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五燈會元卷第十

宋 · 普济 · 第73巻 / 144

開堂日。僧問。世尊出世。梵王前引。帝釋後隨。和尚出世。有何祥瑞。師曰。任是百千諸佛。一時趕向水牯欄裡。曰。有何祥瑞。師曰。山僧不曾眼花。

開堂の日、僧が問うた:「世尊世に出でずれば、梵王前に引き、帝釋後に隨う。和尚世に出でずれば、何の祥瑞か有る。」師は言った:「任れ是れ百千の諸佛、一時に水牯の欄裏に向かって赶せん。」言った:「何の祥瑞か有る。」師は言った:「山僧曾て眼花せず。」

泗州普照曉欽明悟禪師

泗州普照曉欽明悟禪師

僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。東邊更近東。曰。溈山的子.智海親孫也。師曰。卻笑傍人把釣竿。上堂。引手撮空。展轉莫及。翻身擲影。徒自勞形。當面拈來。卻成蹉過。畢竟如何。拍禪床曰。洎合錯商量。

僧が問うた:「師誰家の曲を唱え、宗風阿誰に嗣ぐ。」師は言った:「東邊更に東に近し。」言った:「潙山の的子、智海の親孫也。」師は言った:「却って傍人の釣竿を把るを笑う。」上堂:「手を引きて空を撮む、展轉及ぶ莫れ。身を翻して影を擲つ、徒らに自ら形を勞す。當面拈じ來れば、却って蹉過を成す。畢竟如何。」禪床を拍して言った:「洎ら錯りて商量するに合す。」

廬山東林自遵正覺禪師

廬山東林自遵正覺禪師

上堂。十五日已前放過一著。十五日已後未可商量。正當十五日。試道一句看。良久曰。山色翠穠春雨歇。栢庭香擁木蘭開。

上堂:「十五日已前は一着を放過し、十五日已後は未だ商量すべからず。正に十五日に當たりて、試しに一句を道い看よ。」良く久しくして言った:「山色翠濃として春雨歇み、柏庭香木蘭開くを擁す。」

潭州福嚴寘禪師

潭州福嚴寘禪師

上堂。福嚴山上雲。舒捲任朝昏。忽爾落平地。客來難討門。

上堂:「福嚴山上の雲、舒卷朝昏に任す。忽爾として平地に落ちて、客來たれば門を討らんこと難し。」

潭州東明遷禪師

潭州東明遷禪師

久侍真如。晚居溈山。真如菴忠道者高其風。每叩之。一日閱首楞嚴次。忠問。如我按指。海印發光。佛意如何。師曰。釋迦老子好與二十棒。曰。為甚麼如此。師曰。用按指作麼。曰。汝暫舉心。塵勞先起又作麼生。師曰。亦是海印發光。

久しく眞如に侍して、晚に潙山に居る。眞如庵忠道者其の風を高しとし、每に之を叩く。一日《首楞嚴》を閱する次、忠問うた:「我が指を按ずるが如く、海印發光す、佛意は如何。」師は言った:「釋迦老子好んで二十棒を與うべし。」言った:「何の故に此の如し。」師は言った:「指を按ずるを用いて作麼。」言った:「あなた暫く心を擧ぐれば、塵勞先に起こる、又た作麼生。」師は言った:「亦た是れ海印發光。」

雪竇雅禪師法嗣

雪竇雅禪師法嗣

衢州光孝普印慈覺禪師

衢州光孝普印慈覺禪師

泉州許子氏。室中問僧。父母未生已前。在甚麼處行履。僧擬對。即打出。或曰。達磨在你腳下。僧擬看。亦打出。或曰。道。道。僧擬開口。復打出。

泉州許子氏。室中僧に問うた:「父母未だ生ぜざる已前、何の處に在りて行履する。」僧擬して對せんとすれば、即ち打ち出だす。或いは言った:「達磨あなたの脚下に在り。」僧擬して看んとすれば、亦た打ち出だす。或いは言った:「道。道。」僧擬して口を開かんとすれば、復た打ち出だす。

慶善震禪師法嗣

慶善震禪師法嗣

杭州慶善院普能禪師

杭州慶善院普能禪師

上堂。事不獲已。與諸人葛藤。一切眾生。祇為心塵未脫。情量不除。見色聞聲。隨波逐浪。流轉三界。汩沒四生。致使正見不明。觸途成滯。若也是非齊泯。善惡都忘。坐斷報化佛頭。截卻聖凡途路。到這裡方有少許相應。直饒如是。衲僧分上未為奇特。何故如此。才有是非。紛然失心。咄。上堂。拈拄杖曰。未入山僧手中。萬法宛然。既入山僧手中。復有何事。良久曰。有意氣時添意氣。不風流處也風流。卓拄杖一下。

上堂:「事獲已ならずして、諸人と葛藤す。一切衆生、只だ是れ心塵未だ脫せず、情量除かれざるが爲、色を見聲を聞きて、波に隨い浪を逐い、三界に流轉し、四生に汩沒して、正見明ならず、途に觸れて滯を成さしめたり。若し也是非齊しく泯び、善惡都て忘れて、報化の佛頭を坐斷し、聖凡の途路を截却して、此に到りて方に少許相應する有り。直に饒く是の如しと雖も、衲僧の分上未だ奇特と爲さず。何の故に此の如し。纔かに是非有れば、紛然として心を失す。」咄。上堂、拄杖を拈じて言った:「未だ山僧の手中に入らざれば、萬法宛然。既に山僧の手中に入れば、復た何の事か有らん。」良く久しくして言った:「意氣有る時意氣を添え、風流ならざる處も也た風流。」拄杖を一卓す。

淨土思禪師法嗣

淨土思禪師法嗣

杭州靈鳳山萬壽法詮禪師

杭州靈鳳山萬壽法詮禪師

僧問。如何是佛。師曰。抱樁打拍浮。曰。如何是法。師曰。黃泥彈子。曰。如何是僧。師曰。剃除鬚髮。曰。三寶外。還別有為人處也無。師舉起一指。僧曰。不會。師曰。指在唯觀月。風來不動幡。上堂。德山棒。臨濟喝。盡是無風波帀帀。燈籠𨁝跳過青天。露柱魂驚頭腦裂。雖然如是。大似食鹽加得渴。喝一喝。

僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「樁を抱きて拍浮を打つ。」言った:「どうして法ですか。」師は言った:「黃泥彈子。」言った:「どうして僧ですか。」師は言った:「鬚髮を剃除す。」言った:「三寶の外、還た別に人を爲す處有るか無しや。」師は一指を擧げた。僧は言った:「會せず。」師は言った:「指在りて唯だ月を觀り、風來たれど幡動かず。」上堂:「德山の棒、臨濟の喝、盡く是れ風無しと波匝匝。燈籠靑天を跳び過ぎ、露柱魂驚き頭腦裂く。然りと雖も是の如しと雖も、大いに似たり鹽を食いて渴を加う。」一たび喝した。

杭州慶善守隆禪師

杭州慶善守隆禪師

開堂日。僧問。知師久蘊囊中寶。今日當筵略借看。師曰。多少分明。曰。師子吼時全露現。文殊仗劒又如何。師曰。驚殺老僧。問。千佛出世。各有奇祥。和尚今日。以何為驗。師曰。木人把板雲中拍。曰。意旨如何。師曰。石女拈笙水底吹。上堂。花簇簇。錦簇簇。鹽醬年來事事足。留得南泉打破鍋。分付沙彌煑晨粥。晨粥一任諸人吃。洗缽盂一句作麼生會。多少人疑著。

開堂の日、僧が問うた:「師が久しく囊中の寶を蘊むを知る、今日筵に當たりて略しく看るを借らん。」師は言った:「多少分明。」言った:「獅子吼る時全く露現し、文殊劍を仗りて又た如何。」師は言った:「老僧を驚き殺す。」問うた:「千佛世に出でずれば、各に奇祥有り。和尚今日、何を以て驗と爲す。」師は言った:「木人板を把りて雲中に拍つ。」言った:「意旨は如何。」師は言った:「石女笙を拈じて水底に吹く。」上堂:「花簇簇、錦簇簇、鹽醬年來事事足れり。南泉の鍋を打破し留め得て、沙彌に分付して晨粥を煮さしむ。晨粥一任せ諸人喫せ。鉢盂を洗うの一句作麼生に會せん。多少人疑著す。」

護國月禪師法嗣

護國月禪師法嗣

江陵府護國慧本禪師

江陵府護國慧本禪師

僧問。有物先天地。無形本寂寥。未審是甚麼物。師曰。一鋌墨。曰。恁麼則耀古照今去也。師曰。作麼生是耀古照今底。僧便喝。師便打。上堂。好箇時節。誰肯承當。苟或無人。不如惜取。良久曰。彈雀夜明珠。

僧が問うた:「物有りて天地に先だち、形無く本より寂寥、未だ審かならず是れ何物。」師は言った:「一錠の墨。」言った:「そうすれば古を耀かし今を照らして去る也。」師は言った:「作麼生が是れ古を耀かし今を照らす。」僧便ち喝した。師は便ち打った。上堂:「好箇の時節、誰か肯んて承當せん。苟も或いは人無ければ、惜み取るに如かず。」良く久しくして言った:「雀を彈く夜明の珠。」

南嶽下十四世

南嶽下十四世

智海平禪師法嗣

智海平禪師法嗣

東京淨因蹣菴繼成禪師

東京淨因蹣庵繼成禪師

袁之宜春劉氏子。上堂。拈拄杖曰。清淨本然。云何忽生山河大地。看看富樓那穿過釋迦老子鼻孔。釋迦老子鑽破虗空肚皮。且道山河大地在甚麼處。擲下拄杖。召大眾曰。虗空翻筋斗。向新羅國裡去也。是你諸人。切忌認葉止啼。刻舟尋劒。上堂。茫茫盡是覓佛漢。舉世難尋閑道人。棒喝交馳成藥忌。了亡藥忌未天真。上堂。崑崙奴著鐵袴。打一棒行一步。爭似火中釣鼈。日裡藏冰。陰影問翻魍魎。虗空縛殺麻繩。上堂。狹路相逢且莫疑。電光石火已遲遲。若教直下三心徹。祇在如今一餉時。到這裡。直使問來答去。火迸星飛。互換主賓。照用得失。波翻嶽立。玉轉珠回。衲僧面前了無交涉。豈不見拈花鷲嶺。獨許飲光。問疾毗耶。誰當金粟。那知微笑已成途轍。縱使默然。未免風波。要須格外相逢。始解就中頴契。還會麼。一曲寥寥動今古。洛陽三十六峰西。上堂。舉不顧。即差互。擬思量。何劫悟。大眾。枯桑知天風。是顧不顧。海水知天寒。是思不思。且喚甚麼作悟底道理。兔角杖頭挑法界。龜毛拂子舞三臺。上堂。鼻裡音聲耳裡香。眼中鹹淡舌玄黃。意能覺觸身分別。冰室如春九夏涼。如斯見得。方知男子身中入定時。女子身中從定出。葵花隨日轉。犀紋翫月生。香楓化老人。螟𧕅成蜾[蟲*嬴]。若也不知。苦哉。佛陀耶許你具隻眼。上堂。一念心清淨。佛居魔王殿。一念惡心生。魔王居佛殿。懷禪師曰。但恁麼信去。喚作腳踏實地而行。終無別法。亦無別道理。老僧恁麼舉了。祇恐你諸人見兔放鷹。刻舟求劒。何故。功德天.黑暗女。有智主人。二俱不受。上堂。舉汾陽拈拄杖示眾曰。三世諸佛在這裡。為汝諸人無孔竅。遂走向山僧拄杖裡去。強生節目。師曰。汾陽與麼示徒。大似擔雪填井。傍若無人。山僧今日為汝諸人出氣。拈起拄杖曰。三世諸佛不敢強生節目。卻從山僧拄杖裡走出。

袁の宜春劉氏の子。上堂、拄杖を拈じて言った:「淸淨本然、云何んば忽ち山河大地を生ずる。看看、富樓那釋迦老子の鼻孔を穿ち過ぎ、釋迦老子虛空の肚皮を鑽破す。且く道え山河大地何の處に在る。」拄杖を擲下して、大衆を召して言った:「虛空筋斗を翻して、新羅國裏に向かって去る也。是れあなた諸人、切に葉を認めて啼を止め、舟を刻みて劍を尋ねるを忌めよ。」上堂:「茫茫として盡く是れ佛を覓むる漢、世を擧げて閑道人を尋ね難し。棒喝交馳して藥忌を成し、藥忌を了亡して未だ天真ならず。」上堂:「崑崙奴鐵褲を着けて、一棒を打ちて一步を行く。争か似ん火中に鼈を釣り、日裏に冰を藏する。陰影問うて魍魎を翻し、虛空麻繩を縛殺す。」上堂:「狹路相逢えば且く疑う莫れ、電光石火已に遲遲たり。若し直下に三心徹せしめば、只だ如今一餉の時に在り。此に到りて、直に問い來り答え去り、火迸り星飛び、主賓を互換し、照用の得失、波翻り岳立ち、玉轉じ珠回るを使すとも、衲僧面前には了として交涉無し。豈に見えざらん花を拈ずる鷲嶺は、独り飲光に許し、疾を問う毘耶は、誰か金粟に當たる。那か知らん微笑已に途轍を成せり、縱使默然とも、未だ免れず風波を。要す格の外に相逢えば、始めて就中に穎契を解せん。還た會するか。一曲寥寥として今古を動かす、洛陽三十六峰の西。」上堂:「擧げて顧みざれば、即ち差互す。擬して思量せば、何の劫にか悟らん。大衆、枯桑天風を知るは、是れ顧みるか顧みざるか。海水天寒を知るは、是れ思うか思わざるか。且く何を喚んで悟るの道理と作す。兔角の杖頭法界を挑ぎ、龜毛の拂子三臺を舞う。」上堂:「鼻裏音聲耳裏香、眼中鹹淡舌玄黃。意能く觸を覺り身分别す、冰室春の如く九夏凉し。斯の如く見得れば、方知る男子身中定に入る時、女子身中定より出づ。葵花日に隨いて轉じ、犀紋月を翫んで生ず。香楓老人と化し、螟蛉蜾蠃と成る。若しも知らざれば、苦しい哉。佛陀耶あなたに許して隻眼を具せん。」上堂:「一念心淸淨なれば、佛魔王の殿に居る。一念惡心生ずれば、魔王佛殿に居る。懷禪師説く、但だ此の如く信じ去れば、喚んで脚を踏みて地を實にして行くと作さば、終に別法無く、亦た別道理無し、と。老僧此の如く擧げ了れり、只だ恐らくはあなた諸人兔を見て鷹を放ち、舟を刻みて劍を求めんことを。何の故ぞ。功德天、黑暗女、智有る主人、二つ俱に受けず。」上堂、汾陽が拄杖を拈じて衆に示すを擧げて言った:「三世の諸佛此裏に在りて、あなたがた諸人の爲に孔竅無きに、遂に山僧の拄杖裏に走り向いて、強いて節目を生ず。」師は言った:「汾陽此の如く徒に示すは、大いに似たり雪を担ぎて井を塡め、傍に人無きが若し。山僧今日あなたがた諸人の爲に氣を出ださん。」拄杖を拈じ起こして言った:「三世の諸佛敢えて節目を強生せず、却って山僧の拄杖裏より走り出づ。」

向諸人道。我不敢輕於汝等。汝等皆當作佛。說是語已。翻筋斗向拘屍羅城裡去也。擲下拄杖曰。若到諸方。分明舉似。師同圓悟.法真.慈受並十大法師.禪講千僧。赴太尉陳公良弼府齋。時徽宗皇帝私幸觀之。太師魯國公亦與焉。有善華嚴者。乃賢首宗之義虎也。對眾問諸禪曰。吾佛設教。自小乘至於圓頓。掃除空有。獨證真常。然後萬德莊嚴。方名為佛。常聞禪宗一喝。能轉凡成聖。則與諸經論似相違背。今一喝若能入吾宗五教。是為正說。若不能入。是為邪說。諸禪視師。師曰。如法師所問。不足三大禪師之酬。淨因小長老可以使法師無惑也。師召善。善應諾。師曰。法師所謂愚法小乘教者。乃有義也。大乘始教者。乃空義也。大乘終教者。乃不有不空義也。大乘頓教者。乃即有即空義也。一乘圓教者。乃不有而有。不空而空(或作空而不有。有而不空)。義也。如我一喝。非唯能入五教。至於工巧技藝。諸子百家悉皆能入。師震聲喝一喝。問善曰。聞麼。曰。聞。師曰。汝既聞。此一喝是有。能入小乘教。須臾。又問善曰。聞麼。曰。不聞。師曰。汝既不聞。適來一喝是無。能入始教。遂顧善曰。我初一喝。汝既道有。喝久聲銷。汝復道無。道無則元初實有。道有則而今實無。不有不無。能入終教。我有一喝之時。有非是有。因無故有。無一喝之時。無非是無。因有故無。即有即無。能入頓教。須知我此一喝。不作一喝用。有無不及。情解俱忘。道有之時。纖塵不立。道無之時。橫徧虗空。即此一喝入百千萬億喝。百千萬億喝入此一喝。是故能入圓教。善乃起再拜。師復謂曰。非唯一喝為然。乃至一語一默。一動一靜。從古至今。十方虗空。萬象森羅。六趣四生。三世諸佛。一切聖賢。八萬四千法門。百千三昧無量妙義。契理契機。與天地萬物一體。謂之法身。三界唯心。萬法唯識。四時八節。

諸人に向かって道う:「我敢えて汝等に於て輕んぜず、汝等皆な當に佛と作すべし。」是の語を説き已りて、筋斗を翻して拘尸羅城裏に向かって去る也。拄杖を擲下して言った:「若し諸方に到れば、分明に擧似せよ。」師は圓悟、法眞、慈受と幷びに十大法師、禪講千僧と、太尉陳公良弼の府の齋に赴く。時に徽宗皇帝私かに幸して之を觀る、太師魯國公も亦た與れり。華嚴を善くする者有りて、乃ち賢首宗の義虎なり、衆に對して諸の禪に問うて言った:「吾が佛の教を設くるは、小乘より圓頓に至りて、空有を掃除し、独り眞常を證して、然る後萬德莊嚴、方に名づけて佛と爲す。常に聞く禪宗一喝、能く凡を轉じて聖と成すは、則ち諸の經論と相違背するに似たり。今一喝若し能く吾が宗の五教に入らば、是れを正説と爲す。若し能く入らざれば、是れを邪説と爲す。」諸の禪師を視る。師は言った:「法師の問う所の如く、三大禪師の酬に足らず、淨因小長老は法師をして惑無からしむるを使す可き也。」師は善を召す、善應じて諾す。師は言った:「法師の謂う所の愚法小乘教は、乃ち有義なり。大乘の始教は、乃ち空義なり。大乘の終教は、乃ち不有亦不空の義なり。大乘の頓教は、乃ち即有即空の義なり。一乘の圓教は、乃ち不有而有、不空而空の義なり。我が一喝の如く、非唯だ能く五教に入るのみならず、工巧技藝、諸子百家に至るまで、悉く皆な能く入る。」師は聲を震わして一たび喝し、善に問うて言った:「聞くか。」言った:「聞く。」師は言った:「あなた既に聞く、此の一喝は是れ有、能く小乘教に入る。」須臾にして、又た善に問うて言った:「聞くか。」言った:「聞こえず。」師は言った:「あなた既に聞かず、適來の一喝は是れ無、能く始教に入る。」遂に善を顧みて言った:「我が初めの一喝、あなた既に有と道う。喝久しく聲銷えて、あなた復た無と道う。無と道えば則ち元初實に有り、有と道えば則ち而今實に無し。不有亦無、能く終教に入る。我に一喝の時有りて、有は非是有ならず、無に因りて故有り。一喝の時無くして、無は非是無ならず、有に因りて故無し。即有即無、能く頓教に入る。須く知るべし我が此の一喝は、一喝の用と作さず。有無及ばず、情解俱に忘る。有と道うの時、纖塵立たず。無と道うの時、橫に虛空に遍し。即ち此の一喝は百千萬億の喝に入り、百千萬億の喝は此の一喝に入る。是の故に能く圓教に入る。」善は乃ち起きて再拜す。師は復た謂いて言った:「非唯だ一喝然るのみ。乃至一語一默、一動一靜、古より今に至り、十方虛空、萬象森羅、六趣四生、三世の諸佛、一切の聖賢、八萬四千法門、百千三昧無量妙義、理に契い機に契い、天地萬物と一體なり、之を法身と謂う。三界唯心、萬法唯識。四時八節、」

陰陽一致。謂之法性。是故華嚴經云。法性徧在一切處。有相無相。一聲一色。全在一塵中含四義。事理無邊。周徧無餘。參而不雜。混而不一。於此一喝中。皆悉具足。猶是建化門庭。隨機方便。謂之小歇場。未至寶所。殊不知吾祖師門下。以心傳心。以法印法。不立文字。見性成佛。有千聖不傳底向上一路在。善又問曰。如何是向上一路。師曰。汝且向下會取。善曰。如何是寶所。師曰。非汝境界。善曰。望禪師慈悲。師曰。任從滄海變。終不為君通。善膠口而退。聞者靡不歎仰。皇帝顧謂近臣曰。禪宗玄妙深極如此。淨因才辯亦罕有也。近臣奏曰。此宗師之緒餘也。

(師は続けて言った:)「陰陽一致す、之を法性と謂う。是の故に《華嚴經》に云く、法性一切處に遍在す、と。有相無相、一聲一色、全く一塵中に在りて四義を含む。事理邊無く、周遍して餘無し。參じて雜わらず、混じて一ならず。此の一喝中に於て、皆な悉く具足す。猶お是れ建化門庭、機に隨いて方便にして、之を小歇場と謂い、未だ寶所に至らず。殊に知らず吾が祖師門下は、心を以て心を傳え、法を以て法を印し、文字を立てず、性を見て佛を成る、千聖傳えざる向上の一路在り。」善又た問うて言った:「どうして向上の一路ですか。」師は言った:「あなた且く下に向かって會取せ。」善は言った:「どうして寶所ですか。」師は言った:「あなたの境界に非ず。」善は言った:「禪師の慈悲を望む。」師は言った:「滄海の變ずるに任りて從すとも、終に君の爲に通ぜず。」善口を膠して退いた。聞く者歎仰せざる無し。皇帝顧みて近臣に謂いて言った:「禪宗玄妙深極すること此の如し、淨因の才辯も亦た罕有なり。」近臣奏して言った:「此れ宗師の緒餘也。」

南嶽法輪彥孜禪師

南嶽法輪彥孜禪師

處之龍泉陳氏子。上堂。若是諦當漢。通身無隔礙。舉措絕毫𨤲。把手出紅塵。撥開向上竅。當頭劄定。不犯鋒稜。轉握將來。應用恰好。絲毫不漏。函葢相應。任是諸佛諸祖。覷著寒毛卓竪。會麼。吃茶去。僧問。如何是不涉煙波底句。師曰。皎皎寒松月。飄飄谷口風。曰。萬差俱掃蕩。一句截流機。師曰。點。僧曰。到。師曰。借人面具舞三臺。問。如何是佛。師曰。白額大蟲。曰。祇如洞山道。麻三斤。又作麼生。師曰。毒虵鑽露柱。曰。學人不曉。師曰。踏著始驚人。

處の龍泉陳氏の子。上堂:「若し是れ諦當の漢なれば、通身隔礙無し。擧措毫釐を絶し、手を把りて紅塵を出づ。向上の竅を撥き開き、頭に當たりて札定し、鋒棱を犯さず。轉じ握りて將來すれば、應用恰好なり。絲毫漏らさず、函蓋相應す。任れ是れ諸佛諸祖、覷き著けば寒毛卓豎す。會するか。茶を喫し去れ。」僧が問うた:「どうして煙波に涉らざるの句ですか。」師は言った:「皎皎たる寒松の月、飄飄たる谷口の風。」言った:「萬差俱に掃蕩し、一句流を截る機。」師は言った:「點。」僧は言った:「到。」師は言った:「人の面具を借りて三臺を舞う。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「白額大蟲。」言った:「只だ如し洞山の道う麻三斤、又た作麼生。」師は言った:「毒蛇露柱を鑽る。」言った:「學人曉らず。」師は言った:「踏著して始めて人を驚かす。」

衡州開福崇哲禪師

衡州開福崇哲禪師

邵州劉氏子。上堂。妙體堂堂觸處彰。快須回首便承當。今朝對眾全分付。莫道儂家有覆藏。擲拂子。召侍者曰。因甚打下老僧拂子。問。一水吞空遠。三峰峭壁危。猊臺重拂拭。共喜主人歸。未審到家如何施設。師曰。空手捻雙拳。曰。意旨如何。師曰。突出難辯。上堂。山僧有三印。更無增減剩。覿面便相呈。能轉凡成聖。諸人還知麼。若也未知。不免重重註破。一印印空。日月星辰列下風。一印印泥。頭頭物物顯真機。一印印水。捩轉魚龍頭作尾。三印分明體一同。看來非赤又非紅。互換高低如不薦。青山依舊白雲中。

邵州劉氏の子。上堂:「妙體堂堂として觸處彰れ、疾く須く首を回らして便ち承當すべし。今朝衆に對して全く分付す、道う莫れ儂家に覆藏有ると。」拂子を擲ちて、侍者を召して言った:「因りて甚んとか老僧の拂子を打下せる。」問うた:「一水空を呑みて遠く、三峰峭壁危し。猊臺重ねて拂拭し、共に主人の歸るを喜ぶ。未だ審かならず家に到れば如何に設施せん。」師は言った:「空手雙拳を捻る。」言った:「意旨は如何。」師は言った:「突出して辨え難し。」上堂:「山僧に三印有り、更に增減剩え無し。覿面便ち相呈す、能く凡を轉じて聖と成す。諸人還た知るか。若し也未だ知らざれば、免れず重ねて注破せん。一印は空を印し、日月星辰下風に列す。一印は泥を印し、頭頭物物眞機を顯す。一印は水を印し、捩轉して魚龍頭を尾と作す。三印分明にして體一同、看來赤に非ず又た紅に非ず。高低を互換して如し薦らざれば、靑山依舊白雲中。」

泐潭祥禪師法嗣

泐潭祥禪師法嗣

台州鴻福德昇禪師

台州鴻福德升禪師

衡陽人也。上堂。諸人恁麼上來。墮在見聞覺知。恁麼下去。落在動靜施為。若也不去不來。正是鬼窟活計。如何道得出身底句。若也道得。則分付拄杖子。若道不得。依而行之。卓拄杖。下座。

衡陽の人。上堂:「諸人此の如く上來すれば、見聞覺知に墮ち在り。此の如く下去すれば、動靜施爲に落ち在り。若し也去らず來らざれば、正に是れ鬼窟の活計。如何にか身を出づるの句を道い得る。若し也た道い得れば、則ち拄杖子に分付せん。若し道い得ざれば、依りて之を行ぜ。」拄杖を卓して、座を下りた。

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