Libo

五燈會元卷第十

宋 · 普济 · 第86巻 / 144

東京淨因自覺禪師

東京浄因自覚禅師

青州王氏子。幼以儒業見知於司馬溫公。然事高尚。而無意功名。一旦落髮。從芙蓉遊。履踐精密。契悟超絕。出世住大乘。崇寧間詔居淨因。上堂。祖師西來。特唱此事。自是諸人不肯委悉。向外馳求。投赤水以尋珠。詣荊山而覓玉。殊不知從門入者。不是家珍。認影迷頭。豈非大錯。直得宗門提唱。體寂無依。念異不生。古今無間。森羅萬象。觸目家風。鳥道遼空。不妨舉步。金雞報曉。丹鳳翱翔。玉樹花開。枯枝結子。祇有太陽門下。日日三秋。明月堂前。時時九夏。要會麼。無影樹垂寒㵎月。海潮東注鬥移西。

青州の王氏の子。幼にして儒業を以て司馬温公に知られたり。然るに事は高尚にして、功名の意無し。一旦髪を落し、芙蓉に従りて游び、履践精密にして、契悟超絶なり。世に出でて大乗に住し、崇寧の間に詔して浄因に居らしめた。上堂して言った。「祖師は西来して、特に此の事を唱う、自より是れ諸人の委悉を肯肯ぜざる、外に向かって馳求し、赤水に投げて珠を尋ね、荊山に詣りて玉を覓む、殊に知らず門より入る者は、是れ家珍に非ず、影を認めて頭を迷うは、豈に大錯に非ずや。」直に宗門の提唱を得ば、体寂として依る無く、念は異を生ぜず、古今に間無く、森羅万象は、目に触るる家风、鳥道は空に遼く、歩を挙ぐるに妨げず、金鶏は暁を報じ、丹鳳は翱翔し、玉樹は花開き、枯枝は子を結ぶ、只だ太陽門下は日々に三秋、明月堂前は時々に九夏、要して会せんか。無影の樹は寒㵎の月を垂れ、海潮は東に注ぎて斗は西に移る。

西京天寧禧誧禪師

西京天寧禧誧禅師

蔡州宋氏子。初住韶山。次過天寧.丹霞。上堂。韶山近日沒巴鼻。眼裡聞聲鼻甞味。有時一覺到天明。不在床上不落地。大眾且道在甚麼處。諸人於斯下得一轉語。非唯救得韶山。亦乃不孤行腳。其或未然。三級浪高魚化龍。痴人猶戽夜塘水。問。如何是君。師曰。宇宙無雙日。乾坤祇一人。曰。如何是臣。師曰。德分明主化。道契物情機。曰。如何是臣向君。師曰。赤心歸舜日。盡節報堯天。曰。如何是君視臣。師曰。玄眸凝不瞬。妙體鑒旁來。曰。如何是君臣道合。師曰。帳符尊賤隔。潛信往來通。政和五年九月四日。忽召主事。令以楮囊分而為四。眾僧.童行.常住.津送各一。既而復曰。丹霞有箇公案。從來推倒扶起。今朝普示諸人。且道是箇甚底。顧視左右曰。會麼。曰。不會。師曰。偉哉大丈夫。不會末後句。遂就寢。右脇而化。

蔡州の宋氏の子。初めて韶山に住し、次いで天寧・丹霞を過ぐ。上堂して言った。「韶山は近日巴鼻無し、眼裏に声を聞き鼻で味を甞む、或いは時に一たび覚えて天明に至るも、床上に在らず地にも落ちず。」大衆は且く道え何の処にか在る、諸人は斯に於て一転の語を下し得れば、非だのみ韶山を救うを得、亦た乃ち行脚を孤とせず、其の或いは未だ然らざれば三級の浪高くして魚は龍と化り、痴人は猶お夜塘の水を戽う。問う。「如何なるか是れ君。」師は言った。「宇宙に双日無く、乾坤に只だ一人。」言った。「如何なるか是れ臣。」師は言った。「徳は明主の化を分かち、道は物情の機に契う。」言った。「如何なるか是れ臣の君に向かう。」師は言った。「赤心は舜日に帰し、節を尽くして堯天に報ず。」言った。「如何なるか是れ君の臣を視る。」師は言った。「玄眸は凝りて瞬かず、妙体は鉴して旁来す。」言った。「如何なるか是れ君臣の道合。」師は言った。「帳符は尊賤を隔て、潜信は往来通ず。」政和五年九月四日、忽ち主事を召して、楮嚢を以て分かちて四と為さしむ、衆僧・童行・常住・津送に各々一とす。既にして復た言った。「丹霞に箇の公案有り、从来は推倒せども扶起す、今朝は普く諸人に示す、且く道え是れ箇の甚底ぞ。」左右を顧視して言った。「会するか。」言った。「会せず。」師は言った。「偉なるかな大丈夫、末後の句を会せず。」遂に寝に就きて、右脇にして化した。

長安天寧大用齊璉禪師

長安天寧大用斉璉禅師

上堂。清虗之理。佛祖同歸。畢竟無身。聖凡一體。理則如是。滿目森羅事作麼生。纖塵絕際。渠儂有眼。豈在旁窺。官不容針。私通車馬。若到恁麼田地。始可隨機受用。信手拈來。妙應無方。當風玄路。直得金針錦縫。線腳不彰。玉殿寶階。珠簾未卷。正當此時。且道是甚麼人境界。古渡秋風寒颯颯。蘆花紅蓼滿江灣。

上堂して言った。「清虗の理は、仏祖は帰を同じくし、畢竟に身無く、聖凡は一体、理は則ち是の如し、目に満つる森羅の事は作麼生、繊塵は際を絶ち、渠儂に眼有れば、豈に旁窺に在らんや、官は鍼を容れず、私に車馬を通ず、若し恁麼の田地に到れば、始めて機に随いて受用し、信手に拈げ来たれば、応ずること妙にして方無く、風に当たる玄路、直に金鍼錦縫にして、線脚は彰れず、玉殿宝階に、珠簾は未だ巻かず、正当に此の時、且く道え是れ何の人の境界ぞ、古渡の秋風は寒く飒飒として、蘆花紅蓼は江湾に満つ。」

潼川府梅山己禪師

潼川府梅山己禅師

僧問。如何是法身邊事。師曰。枯木糝花不犯春。曰。如何是法身向上事。師曰。石女不粧眉。

僧が問うた。「如何なるか是れ法身辺の事。」師は言った。「枯木は糁花して春を犯さず。」言った。「如何なるか是れ法身向上の事。」師は言った。「石女は眉を粧わず。」

福州普賢善秀禪師

福州普賢善秀禅師

僧問。如何是正中偏。師曰。龍吟初夜後。虎嘯五更前。曰。如何是偏中正。師曰。輕煙籠皓月。薄霧鎻寒巖。曰。如何是正中來。師曰。松瘁何曾老。花開滿未萌。曰。如何是兼中至。師曰。猿啼音莫辨。鶴唳響難明。曰。如何是兼中到。師曰。撥開雲外路。脫去月明前。

僧が問うた。「如何なるか是れ正中偏。」師は言った。「龍吟は初夜の後、虎啸は五更の前。」言った。「如何なるか是れ偏中正。」師は言った。「軽烟は皓月を籠め、薄雾は寒巌を鎖す。」言った。「如何なるか是れ正中の来。」師は言った。「松は瘁えて何ぞ曾て老いん、花は開けど満たるは未だ萌えず。」言った。「如何なるか是れ兼中至。」師は言った。「猿啼は音辨え難く、鶴唳は響明らめ難し。」言った。「如何なるか是れ兼中到。」師は言った。「雲外の路を撥き開き、月明の前を脱げ去る。」

襄州鹿門法燈禪師

襄州鹿門法灯禅師

成都劉氏子。依大慈寶範為僧。俾聽華嚴。得其要。棄謁芙蓉。蓉問曰。如何是空劫已前自己。師於言下。心跡泯然。從容進曰。靈然一句超群象。迥出三乘不假修。蓉撫而印之。開法鹿門。僧問。虗玄不犯。寶鑑光寒時如何。師曰。掘地深埋。問。如何是逍遙物外底人。師曰。徧身紅爛。不可扶持。

成都の劉氏の子。大慈宝范に依りて僧と為り、華厳を聴かしめられて其の要を得た。棄てて芙蓉を謁う。蓉が問うて言った。「如何なるか是れ空劫已前の自己。」師は言下に於て心迹泯然たり。从容として進みて言った。「霊然たる一句は群象を超え、迥かに三乗を出でて修に仮らず。」蓉は撫して之に印し、鹿門に於て法を開いた。僧が問うた。「虗玄は犯さず、宝鉴の光寒き時如何。」師は言った。「地を掘りて深く埋む。」問う。「如何なるか是れ逍遥して物外の人。」師は言った。「徧身紅爛して、扶持する可からず。」

建昌軍資聖南禪師

建昌軍資聖南禅師

聖節上堂。顧視左右曰。諸人還知麼。夜明簾外之主。萬化不渝。瑠璃殿上之尊。四臣不昧。端拱而治。不令而行。壽逾百億須彌。化洽大千沙界。且道正恁麼時。如何行履。野老不知黃屋貴。六街慵聽靜鞭聲。

聖節に上堂して、左右を顧視して言った。「諸人は還た知るか、夜明簾外の主は、万化も渝らず、瑠璃殿上の尊は、四臣も昧れず、端拱して治め、令せずして行い、寿は百億須弥を逾え、化は大千沙界に洽う、且く道え正に恁麼なる時、如何に行履せん、野老は黄屋の貴きを知らず、六街は慵りて静鞭の声を聴く。」

瑞州洞山微禪師

瑞州洞山微禅師

上堂。日暖風和柳眼青。氷消魚躍浪花生。當鋒妙得空王印。半夜崑崙戴雪行。僧問。如何是默默相應底事。師曰。瘂子吃苦瓜。

上堂して言った。「日暖く風和ぎて柳眼青く、氷消えて魚躍り浪花生ず、鋒に当たりて妙に空王の印を得、半夜に崑崙は雪を戴きて行く。」僧が問うた。「如何なるか是れ黙々たる相応の事。」師は言った。「痖子が苦瓜を喫う。」

太傅高世則居士

太傅高世則居士

字仲貽。號無功。初參芙蓉。求指心要。蓉令去其所重。扣己而參。一日忽造微密。呈偈曰。懸崖撒手任縱橫。大地虗空自坦平。照壑輝巖不借月。庵頭別有一簾明。

字は仲貽、号は無功。初めて芙蓉を参じて、心要を指すを求む。蓉が其の重んずる所を去らしめて、己を扣いて参ぜしむ。一日忽ち微密に造りて、偈を呈して言った。「懸崖に手を撒きて縦横に任り、大地虚空は自ら坦平なり、壑を照らし巌に輝けど月を借らず、庵頭に別に一簾の明有り。」

大洪恩禪師法嗣

大洪恩禅師法嗣

隨州大洪守遂禪師

随州大洪守遂禅師

遂寧章氏子。上堂召大眾。一拳拳倒黃鶴樓。一踏踏翻鸚鵡洲。慣向高樓驟玉馬。曾於急水打金毬。然雖恁麼。爭奈有五色絲絛繫手腳。三鑐金鎻鎻咽喉。直饒鎚碎金鎻。割斷絲絛。須知更有一重礙汝在。且道如何是那一重。還會麼。善吉維摩談不到。目連鶖子看如盲。上堂。舉。李刺史問藥山。何姓。山曰。正是時。李罔測。乃問院主。某甲適來問長老何姓。答道正是時。的當是姓甚麼。主曰。祇是姓韓。山聞曰。若六月對他。便道姓熱也。又。巖頭問講僧。見說大德會教。是否。曰。不敢。巖頭舉拳曰。是甚麼教。曰。是權教。頭曰。苦哉。我若展腳問你。不可道是腳教也。師曰。奇怪二老宿有殺人刀。有活人劒。一轉語似石上栽花。一轉語似空中掛劒。當時若無後語。達磨一宗掃土而盡。諸人要見二老宿麼。寧可截舌。不犯國諱。

遂寧の章氏の子。上堂して大衆を召した。一つの拳は黄鶴楼を拳倒し、一つの踏は鸚鵡洲を踏翻す、慣わし高楼に向かいて玉馬を驟らし、曾て急水に於て金毬を打つ、然ると雖も恁麼なり、争奈せん五色の絲絛は手脚を繋ぎ、三鑐の金鎖は咽喉を鎖すを、直饒鍾み砕きて金鎖を、割断して絲絛をも、須知すべし更に一重の碍なして汝在るを、且く道え如何なるか是れ那一重、還た会するか、善吉維摩も談じて到らず、目連鶖子も看ること盲の如し。上堂して、李刺史が薬山に問うて何姓ぞとを挙ぐ、山は言った、李は罔く測らず、乃ち院主に問うた、某甲は適来長老に何姓ぞと問うたに、答えて曰く正に是の時、的当に何をか姓とする、主は言った、只だ是れ姓は韓なり、山は聞きて言った、若し六月に他に対せば、便ち姓は熱なりと道うべし、又、巌頭が講僧に問うた、見説す大徳は教を会すと、是か否か、言った、敢えず、巌頭が拳を挙げて言った、是れ何の教ぞ、言った、是れ権教なり、頭は言った、苦なるかな、我若し脚を展べて汝に問わば、不可なり脚教なりと道うべからずや、師は言った、「奇怪なり二の老宿は人を殺す刀有り、人を活かす剣有り、一転の語は石上に花を栽うるに似て、一転の語は空中に剣を挂くるに似たり、当時に若し後の語無からば、達磨の一宗は土を掃いて尽きん、諸人は要して二の老宿に見えんとするか、寧ろ舌を截れども、国諱を犯さず。」

青原下十三世

青原下十三世

丹霞淳禪師法嗣

丹霞淳禅師法嗣

真州長蘆真歇清了禪師

真州長蘆真歇清了禅師

左綿雍氏子。襁褓入寺見佛。喜動眉睫。鹹異之。年十八。試法華得度。往成都大慈習經論。領大意。出蜀至沔漢。扣丹霞之室。霞問。如何是空劫已前自己。師擬對。霞曰。你閙在。且去。一日登缽盂峰。豁然契悟。徑歸侍立。霞掌曰。將謂你知有。師欣然拜之。翌日。霞上堂曰。日照孤峰翠。月臨溪水寒。祖師玄妙訣。莫向寸心安。便下座。師直前曰。今日陞座。更瞞某不得也。霞曰。你試舉我今日陞座看。師良久。霞曰。將謂你瞥地。師便出。後遊五臺。之京師。浮汴直抵長蘆。謁祖照。一語契投。命為侍者。踰年分座。未幾照稱疾退閑。命師繼席。學者如歸。建炎末。遊四明主補陀。臺之天封。閩之雪峰。詔住育王。徙溫州龍翔。杭之徑山。慈寧皇太后命開山臯寧崇先。上堂。我於先師一掌下。伎倆俱盡。覓箇開口處不可得。如今還有恁麼快活不徹底漢麼。若無。銜鐵負鞍。各自著便。上堂。久默斯要。不務速說。釋迦老子待要款曲賣弄。爭奈未出母胎。已被人覷破。且道覷破箇甚麼。瞞雪峰不得。上堂。上孤峰頂。過獨木橋。驀直恁麼行。猶是時人腳高腳低處。若見得徹。不出戶身徧十方。未入門常在屋裡。其或未然。趂涼般取一轉柴。上堂。道得第一句。不被拄杖子瞞。識得拄杖子。猶是途路中事。作麼生是到地頭一句。上堂。處處覓不得。祇有一處不覓自得。且道是那一處。良久曰。賊身已露。上堂。口邊白醭去。始得入門。通身紅爛去。方知有門裡事。更須知有不出門底。乃曰。喚甚麼作門。僧問。三世諸佛向火焰裡轉大法輪。還端的也無。師大笑曰。我卻疑著。曰。和尚為甚麼卻疑著。師曰。野花香滿路。幽鳥不知春。問。不落風彩。還許轉身也無。師曰。石人行處不同功。曰。向上事作麼生。師曰。妙在一漚前。豈容千聖眼。僧禮拜。師曰。祇恐不恁麼。師一日入廚看煑麵次。

左綿の雍氏の子。襁褓にして寺に入りて仏を見、喜びて眉睫を動かし、咸く之を異とした。年十八にして法華に試みて度を得、成都大慈に往きて経論を習い、大意を領した。蜀を出でて沔漢に至り、丹霞の室を扣いた。霞が問うた。「如何なるか是れ空劫已前の自己。」師が対えんと擬すれば、霞は言った。「汝は閙に在り、且く去れ。」一日、鉢盂峰に登りて、豁然として契悟し、径に帰りて侍立した。霞が掌して言った。「汝は有るを知ると将に謂わんとす。」師は欣然として之を拝した。翌日、霞が上堂して言った。「日は孤峰の翠を照らし、月は谿水の寒きに臨む、祖師の玄妙の訣は、寸心に向かって安んずること莫れ。」便ち座を下った。師が直に前りて言った。「今日の座に昇る、更に某を瞞するを得ず。」霞は言った。「汝試しに我が今日座に昇るを挙げて看よ。」師が良久した。霞は言った。「汝は瞥地すると将に謂わんとす。」師は便ち出でた。後に五台に游び、京師に之き、汴を浮べて直に長蘆に抵り、祖照を謁えた。一語契り投じて、侍者と為すを命ぜられた。年を逾えて座を分かち、未几にして照は疾を称じて退閑し、師をして席を継がしめた。学者は帰るが如し。建炎の末に、四明に游びて補陀を主り、台の天封、閩の雪峰を経て、詔して育王に住し、温州の龍翔に徙し、杭の径山に移り、慈寧皇太后の命に依りて臯寧崇先を開山した。上堂して言った。「我は先師の一掌の下に、伎倆俱に尽きて、箇の口を開く処を覓むるも得る可からず、如今還た恁麼に快活にして彻底せざる漢有るか、若し無からば、鉄を銜え鞍を負いて、各々自ら便に着けよ。」上堂して言った。「久しく黙すは斯に要なり、速く説くを務めず、釈迦老子は待ちて款曲して売弄せんと要すれど、争奈せん未だ母胎を出でざるに、已に人に觑破されき、且く道え箇の何を觑破したる、雪峰を瞞するを得ず。」上堂して言った。「孤峰頂に上りて、独本の橋を過ぎ、蓦直に恁麼に行くは、猶お是れ時人の脚高く脚低くする処、若し見ること彻せば、戸を出でずして身は十方に徧く、未だ門に入らざるに常に屋裏に在り、其の或いは未だ然らざれば、涼を趂りて一転の柴を般取せよ。」上堂して言った。「第一句を道い得れば、拄杖子に瞞されず、拄杖子を識得するは、猶お是れ途路中の事、作麼生か是れ地頭に到る一句。」上堂して言った。「処処に覓むるも得ず、只だ一処の覓めずして自ら得る有り、且く道え是れ那一処ぞ。」良久して言った。「賊の身は已に露れたり。」上堂して言った。「口辺の白醭を去りて、始めて門に入るを得、通身紅爛して去りて、方知らん門裏の事有るを、更に須知すべし門を出でざる底の有るを。」乃ち言った。「何をか喚びて門と作す。」僧が問うた。「三世の諸仏は火焔裏に向かって大法輪を轉ず、還た端的なるや無しや。」師が大いに笑って言った。「我は却って疑う。」言った。「和尚はなぜ却って疑われる。」師は言った。「野花は路に香り満ちて、幽鳥は春を知らず。」問う。「風彩に落ちざれば、還た身を轉ずるを許すや無しや。」師は言った。「石人の行く処は功を同じうせず。」言った。「向上の事作麼生。」師は言った。「妙は一漚の前に在り、豈に千聖の眼を容れん。」僧が礼拝した。師は言った。「只だ恐らくは恁は恁麼ならざらん。」師が一日厨に入りて麺を煑るを看る次、

忽桶底脫。眾皆失聲。曰。可惜許。師曰。桶底脫自合歡喜。因甚麼卻煩惱。僧曰。和尚即得。師曰。灼然。可惜許一桶麵。問僧。你死後燒作灰。撒卻了向甚麼處去。僧便喝。師曰。好一喝。祇是不得飜款。僧又喝。師曰。公案未圓。更喝始得。僧無語。師打曰。這死漢。上堂。苔封古徑。不墮虗凝。霧鎻寒林。肯彰風要。鉤針穩密。孰雲漁父棲巢。祇麼承當。自是平常快活。還有具透關眼底麼。良久曰。直饒聞早便歸去。爭似從來不出門。上堂。乍雨乍晴。乍寒乍熱。山僧底箇。山僧自知。諸人底箇。諸人自說。且道雪峰口除吃飯外。要作甚麼。問僧。瑠璃殿上玉女攛梭。明甚麼邊事。曰。回互不當機。師曰。還有斷續也無。曰。古今不曾間。師曰。正當不曾間時如何。僧珍重。便出。上堂。撼拄杖曰。看。看。三千大千世界。一時搖動。雲門大師即得。雪峰則不然。卓拄杖曰。三千大千世界。向甚麼處去。還會麼。不得重梅雨。秧苗爭見青。上堂。幻化空身即法身。遂作舞雲。見麼見麼。恁麼見得。過橋村酒美。又作舞雲。見麼見麼。恁麼不見。隔岸野花香。上堂。還有不被玄妙汙染底麼。良久曰。這一點傾四海水。已是洗脫不下。僧問。如何是空劫已前自己。師曰。白馬入蘆花。上堂。窮微喪本。體妙失宗。一句截流。淵玄及盡。是以金針密處。不露光鋩。玉線通時。潛舒異彩。雖然如是。猶是交互雙明。且道巧拙不到。作麼生相委。良久曰。雲蘿秀處青陰合。巖樹高低翠鎻深。上堂。轉功就位。是向去底人。玉韞荊山貴。轉位就功是卻來底人。紅爐片雪春。功位俱轉。通身不滯。撒手亡依。石女夜登機。密室無人掃。正恁麼時。絕氣息一句作麼生相委。良久曰。歸根風墮葉。照盡月潭空。師終於臯寧崇先。塔於寺西華桐嵨。諡悟空禪師。

忽ち桶の底脱れ、衆は皆声を失して言った。「惜しむ可し許り。」師は言った。「桶の底脱れるは自ずから歓喜に合す、甚に因りて却って煩悩せん。」僧は言った。「和尚は即ち得なり。」師は言った。「灼然たり、惜しむ可し許り一桶の麺。」僧に問うた。「汝は死して後に焼きて灰と作る、撒き了して何の処に向かって去る。」僧が便ち喝した。師は言った。「好き一喝なり、只だ是れ款を飜すを得ず。」僧が又喝した。師は言った。「公案は未だ円かならず、更に喝して始めて得。」僧は語無し。師が打って言った。「這の死漢。」上堂して言った。「苔は古径を封じて虗凝に堕せず、雾は寒林を鎖して肯んぞ風の要を彰さん、鈎鍼は穏密にして、孰れか云う漁父の栖巢ならん、只く承当すれば、自より是れ平常の快活、還た透関の眼を具する有るか。」良久して言った。「直饒早く聞きて便ち帰り去るも、争でか从来門を出でざるに似ん。」上堂して言った。「乍ち雨乍ち晴、乍ち寒乍ち熱、山僧の底の箇は山僧自ら知り、諸人の底の箇は、諸人自ら説け、且く道え雪峰の口は飯を喫する外、要して何を作さん。」僧に問うた。「瑠璃殿上に玉女が梭を撺るは、何の辺の事をか明らむ。」言った。「回互して機に当たらず。」師は言った。「還た断続有るや無しや。」言った。「古今は曾て間はず。」師は言った。「正当に曾て間あらざる時如何。」僧が珍重して便ち出でた。上堂して、拄杖を撼して言った。「看よ看よ、三千大千世界は、一時に揺動す。」雲門の大師は即ち得なり、雪峰は則ち然らず、拄杖を卓して言った。「三千大千世界は、何の処に向かって去る、還た会するか、重梅雨するを得ずして、秧苗は争うて青きを見る。」上堂して言った。「幻化の空身は即ち法身なり。」遂に舞を作して云う。見るか見るか、恁麼に見得れば、橋を過ぎて村酒美なり、又た舞を作して云う。見るか見るか、恁麼に見えざれば、岸を隔てて野花香なり。上堂して言った。「還た玄妙の污染を被らざる有るか。」良久して言った。「此の一点は四海の水を傾けても、已に是れ洗脱し下ぐる能わず。」僧が問うた。「如何なるか是れ空劫已前の自己。」師は言った。「白馬は蘆花に入る。」上堂して言った。「微を窮めて本を喪い、妙を体して宗を失う、一句は流を截りて、淵玄は尽く及ぶ、是を以て金鍼の密なる処は光鋩を露わさず、玉線の通ずる時は潜かに異彩を舒ぶ、然ると雖も是の如し、猶お是れ交互の双明、且く道え巧拙の到らざるを、作麼生に相委せん。」良久して言った。「雲蘿の秀でる処は青陰合し、巌樹の高低は翠を鎖して深し。」上堂して言った。「功を轉じて位に就くは、是れ向いて去る底の人、玉は荊山に韫めて貴し、位を轉じて功に就くは是れ却りて来る底の人、紅炉は片雪の春、功位俱に轉じて、通身は滞らず、手を撒きて依を亡ぼす、石女は夜に機に登り、密室は人の掃く無し、正に恁麼なる時、気息を絶する一句は作麼生に相委せん。」良久して言った。「根に帰るは風の葉を堕し、照らし尽くすは月の潭の空なり。」師は終に臯寧崇先に於て卒し、塔を寺の西の華桐嵨にした。悟空禅師と諡す。

明州天童宏智正覺禪師

明州天童宏智正覚禅師

隰州李氏子。母夢五臺一僧解環與。環其右臂。乃孕。遂齋戒。及生。右臂特起若環狀。七歲。日誦數千言。祖寂。父宗道。久參佛陀遜禪師。甞指師謂其父曰。此子道韻勝甚。非塵埃中人。苟出家。必為法器。十一得度於淨明本宗。十四具戒。十八遊方。訣其祖曰。若不發明大事。誓不歸矣。及至汝州香山。成枯木一見。深所器重。一日。聞僧誦蓮經。至父母所生眼。悉見三千界。瞥然有省。即詣丈室陳所悟。山指臺上香合曰。裡面是甚麼物。師曰。是甚麼心行。山曰。汝悟處又作麼生。師以手畵一圓相呈之。復拋向後。山曰。弄泥團漢有甚麼限。師曰。錯。山曰。別見人始得。師應喏喏。即造丹霞。霞問。如何是空劫已前自己。師曰。井底蝦蟆吞卻月。三更不借夜明簾。霞曰。未在更道。師擬議。霞打一拂子曰。又道不借。師言下釋然。遂作禮。霞曰。何不道取一句。師曰。某甲今日失錢遭罪。霞曰。未暇打得你。且去。霞領大洪。師掌牋記。後命首眾。得法者已數人。四年過圓通。時真歇初住長蘆。遣僧邀至。眾出迎。見其衣舃穿弊。且易之。真歇俾侍者易以新履。師卻曰。吾為鞋來邪。眾聞心服。懇求說法。居第一座。六年出住泗州普照。次補太平圓通能仁及長蘆。天童屋廬湫隘。師至創闢一新。衲子爭集。上堂。黃閣簾垂。誰傳家信。紫羅帳合。暗撒真珠。正恁麼時視聽有所不到。言詮有所不及。如何通得箇消息去。夢回夜色依俙皢。笑指家風爛熳春。上堂。心不能緣。口不能議。直饒退步荷擔。切忌當頭觸諱。風月寒清古渡頭。夜船撥轉瑠璃地。上堂。空劫有真宗。聲前問己躬。赤窮新活計。清白舊家風。的的三乘外。寥寥一印中。卻來行異類。萬派自朝東。上堂。今日是釋迦老子降誕之辰。長蘆不解說禪。與諸人畵箇樣子。祇如在摩耶胎時作麼生。以拂子畵此○相。曰。祇如以清淨水。

隰州の李氏の子。母が五台の一僧が環を解きて与うを夢み、環を其の右臂にして、乃ち孕み、遂に斎戒す。及び生まれて、右臂は特に起ちて環の状の若し。七歳にして日に数千言を誦す。祖は寂、父は宗道、久しく仏陀遜禅師に参ず。甞て師を指して其の父に謂いて言った。「此の子は道の韻勝きこと甚だし、塵埃中の人に非ず、苟も出家せば、必ず法器と為らん。」十一にして浄明本宗に於て度を得、十四にして戒を具え、十八にして方に游ぶ。其の祖に訣して言った。「若し大事を発明せざれば、誓って帰らざらん。」及び潁州香山に至りて、成枯木に一見して深く器と重された。一日、僧が蓮経を誦するを聞きて、父母の生ずる所の眼は、悉く三千界を見るに至り、瞥然として省有り。即ち丈室に詣りて悟る所を陳ぶ。山が台上の香合を指し言った。「裏面は是れ何の物ぞ。」師は言った。「是れ何の心行ぞ。」山は言った。「汝が悟る処は又作麼生。」師が手を以て一の円相を画きて之に呈し、復た後に抛げた。山は言った。「泥団を弄する漢は何の限有る。」師は言った。「錯なり。」山は言った。「別に人に見えて始めて得。」師が喏喏と応え、即ち丹霞に造った。霞が問うた。「如何なるか是れ空劫已前の自己。」師は言った。「井底の蝦蟆は月を吞却し、三更は夜明の簾を借らず。」霞は言った。「未だ在らず更に道え。」師が擬議すれば、霞が一拂子を打って言った。「又た借らずと道う。」師は言下に释然たり。遂に礼を作す。霞は言った。「何ぞ一句を道い取らざる。」師は言った。「某甲は今日銭を失いて罪に遭う。」霞は言った。「未だ汝を打つに暇あらず、且く去れ。」霞が大洪を領するとき、師は牋記を掌り、後に衆を首と為すを命ぜられ、法を得る者は已に数人有り、四年に円通を過ぐ。時に真歇が初めて長蘆に住し、僧を遣わして邀えて至らしむ。衆は出でて迎えて、其の衣舃の穿弊なるを見て、且く之を易えんとす。真歇は侍者を俾しめて新履を以て之を易えしむ。師が却って言った。「吾は鞋の為に来たる邪。」衆は聞きて心服し、懇りて法を説くを求め、第一座に居らしむ。六年に泗州普照に出住し、次いで太平円通能仁及び長蘆を補し、天童の屋庐は湫隘なり。師は至りて創辟して一新す。衲子は争うて集う。上堂して言った。「黄閣は簾を垂れ、誰か家信を伝う、紫羅の帳合して、暗に真珠を撒く、正に恁麼なる時、視聴は到る所有らず、言詮は及ぶ所有らず、如何にして箇の消息を通じ去る、夢回りて夜色依俙として暁き、笑いで家風の爛熳の春を指す。」上堂して言った。「心は縁る能わず、口は議る能わず、直饒歩を退げて荷担するも、切に忌む頭に当たりて諱に触るるを、風月は寒清なる古渡頭、夜船は瑠璃の地を撥轉す。」上堂して言った。「空劫に真宗有り、声の前に己躬を問う、赤窮は新しき活計、清白は旧き家風、的的として三乗の外、寥寥として一印の中、却りて来りて異類を行えば、万派は自ら東に朝す。」上堂して言った。「今日は是れ釈迦老子の降誕の辰、長蘆は禅を説くを解せず、諸人に与えて箇の様子を画かん、只だ摩耶の胎に在る時は作麼生。」拂子を以て此の○相を画きて言った。「只だ清浄の水を以て、

浴金色身時又作麼生。復畵此[○@水]相。曰。祇如周行七步。目顧四方。指天指地。成道說法。神通變化。智慧辯才。四十九年。三百餘會。說青道黃。指東畵西。入般涅槃時。又作麼生。乃畵此⊕相。復曰。若是具眼衲僧。必也相許。其或未然。一一歷過始得。上堂。僧問。如何是向去底人。師曰。白雲投壑盡。青嶂倚空高。曰。如何是卻來底人。師曰。滿頭白髮離巖谷。半夜穿雲入市𫑮。曰。如何是不來不去底人。師曰。石女喚回三界夢。木人坐斷六門機。乃曰。句裡明宗則易。宗中辨的則難。良久曰。還會麼。凍雞未報家林曉。隱隱行人過雪山。僧問。一絲不著時如何。師曰。合同船子並頭行。曰。其中事作麼生。師曰。快刀快斧斫不入。問。布袋頭開時如何。師曰。一任填溝塞壑。問。清虗之理畢竟無身時如何。師曰。文彩未痕初。消息難傳際。曰。一步密移玄路轉。通身放下劫壺空。師曰。誕生就父時。合體無遺照。曰。理既如是。事作麼生。師曰。歷歷才回分化事。十方機應又何妨。曰。恁麼則塵塵皆現本來身去也。師曰。透一切色。超一切心。曰。如理如事又作麼生。師曰。路逢死虵莫打殺。無底籃子盛將歸。曰。入市能長嘯。歸家著短衫。師曰。木人嶺上歌。石女溪邊舞。上堂。諸禪德。吞盡三世佛底人。為甚麼開口不得。照破四天下底人。為甚麼閤眼不得。許多病痛。與你一時拈卻了也。且作麼生得十成通暢去。還會麼。擘開華嶽連天色。放出黃河到海聲。師住持以來。受無貪而施無厭。歲艱食。竭己有及贍眾之餘。賴全活者數萬。日常過午不食。紹興丁丑九月。謁郡僚及檀度。次謁越帥趙公令詪。與之言別。十月七日還山。翌日辰巳間。沐浴更衣。端坐告眾。顧侍僧索筆作書遺育王大慧禪師。請主後事。仍書偈曰。夢幻空花。六十七年。白鳥煙沒。秋水連天。擲筆而逝。

金色の身を浴する時は又作麼生。」復た此の[○@水]相を画きて言った。「只だ周行七歩し、四方を目顧し、天を指し地を指し、道を成りて法を説き、神通変化し、智慧弁才、四十九年、三百余会に、青を説き黄を道い、東を指し西を画く、般涅槃に入る時、又作麼生。」乃ち此の⊕相を画きて、復た言った。「若し是れ眼を具する衲僧ならば、必ずや相許す、其の或いは未だ然らざれば、一々に歴過して始めて得。」上堂して、僧が問うた。「如何なるか是れ向いて去る底の人。」師は言った。「白雲は壑に投げて尽き、青嶂は空に倚りて高し。」言った。「如何なるか是れ却りて来る底の人。」師は言った。「頭に満つる白髪は巌谷を離れ、半夜に雲を穿ちて市𫑮に入る。」言った。「如何なるか是れ来らず去らざる底の人。」師は言った。「石女は喚びて三界の夢を回し、木人は坐して六門の機を断つ。」乃ち言った。「句裏に宗を明らむるは則ち易く、宗中に的を辨ずるは則ち難し。」良久して言った。「還た会するか、凍鶏は未だ家林の暁を報せず、隠々たる行人は雪山を過ぐ。」僧が問うた。「一絲も着けざる時如何。」師は言った。「合同して船子は頭を并べて行く。」言った。「其の中の事作麼生。」師は言った。「快刀快斧も斫りて入らず。」問う。「布袋の頭開くる時如何。」師は言った。「溝を填め壑を塞ぐに一任せよ。」問う。「清虗の理は畢竟に身無き時如何。」師は言った。「文彩は未だ痕の初、消息は伝え難き際。」言った。「一歩は密かに移りて玄路転じ、通身は放下して劫壺は空なり。」師は言った。「誕生して父に就く時、体を合して遺照無し。」言った。「理は既に是の如し、事は作麼生。」師は言った。「歷々として纔かに分化の事を回らす、十方の機応は又何の妨げか有らん。」言った。「恁麼ならば則ち塵塵は皆本来の身を現じて去るなり。」師は言った。「一切の色を透りて、一切の心を超ゆ。」言った。「理の如く事の如くは又作麼生。」師は言った。「路に死虵に逢えば打殺すこと莫れ、底無き籃子に盛りて将て帰れ。」言った。「市に入りて能く長嘯し、家に帰りて短衫を着る。」師は言った。「木人は嶺上に歌い、石女は谿辺に舞う。」上堂して言った。「諸の禅徳、三世の仏を吞尽くす人は、なぜ口を開くを得ざる、四天下を照破する人は、なぜ眼を合すを得ざる、許多の病痛は、汝に与えて一時に拈却して了れり、且く作麼生にして十成に通暢して去るを得ん、還た会するか、華岳を擘開けば天色に連なり、黄河を放出せば海に到る声なり。」師は住持して以来、受けるに貪無くして施すに厭無し。歳は食に艱み、己の有るを竭くし及び衆を赡する余を以て、頼りて活を全うする者は数万。日に常に午を過ぎて食わず。紹興丁丑九月、郡僚及び檀度を謁え、次いで越の帥趙公令𬣳を謁えて、之と言別した。十月七日に山に還り、翌日辰巳の間に、沐浴して衣を更え、端坐して衆に告げ、侍僧を顧みて筆を索めて書を作りて育王大慧禅師に遺し、後事を主るを請い、仍ほ偈を書して言った。「夢幻の空花、六十七年、白鳥は烟に没し、秋水は天に連る。」筆を擲ちて逝いた。

龕留七日。顏貌如生。奉全軀塔於東谷。諡宏智。塔名妙光。

龕は留まること七日、顔貌は生けるが如し。全躯を奉りて東谷に塔し、宏智と諡し、塔の名は妙光なり。

隨州大洪慧照慶預禪師

随州大洪慧照慶預禅師

上堂。進一步踐他國王水草。退一步踏他祖父田園。不進不退。正在死水中。還有出身之路也無。蕭騷晚籟松釵短。遊漾春風柳線長。上堂。舉船子囑夾山曰。直須藏身處無蹤跡。無蹤跡處莫藏身。吾在藥山三十年。祇明此事。今時人為甚麼卻造次。丹山無彩鳳。寶殿不留冠。有時憨。有時痴。非我途中爭得知。

上堂して言った。「一歩を進めば他国王の水草を践み、一歩を退げば他祖父の田園を踏む、進まず退かざれば、正に死水中に在り、還た身を出づる路有るや無しや、蕭騒たる晩籟は松の釵短く、游漾たる春風は柳の線長し。」上堂して、船子が夾山を嘱するを挙げて言った。「直に須く身を蔵する処は蹤迹無く、蹤迹無き処は身を蔵すること莫れ、吾は薬山に在ること三十年、只だ此の事を明らめり、今時の人はなぜ却って造次せん、丹山に彩鳳無く、宝殿は冠を留めず、或いは時に憨、或いは時に痴、我が途中に非ずんば争でか知らん。」

處州治平湡禪師

処州治平湡禅師

上堂。優遊實際妙明家。轉步移身指落霞。無限白雲猶不見。夜乘明月出蘆花。

上堂して言った。「優游たる実際の妙明の家、歩を轉じ身を移して落霞を指す、無限の白雲は猶お見えず、夜に明月を乗じて蘆花を出づ。」

淨因成禪師法嗣

浄因成禅師法嗣

台州天封子歸禪師

台州天封子帰禅師

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