Libo

五燈会元 巻第一

宋 · 普济 · 第12巻 / 144

邵武軍鄧氏子(時稱鄧隱峰)。幼若不慧。父母聽其出家。初遊馬祖之門。而未能覩奧。復來往石頭。雖兩番不捷(語見馬祖章)。而後於馬祖言下相契。師問石頭。如何得合道去。頭曰。我亦不合道。師曰。畢竟如何。頭曰。汝被這箇得多少時邪。石頭剗草次。師在左側。叉手而立。頭飛剗子。向師前剗一株草。師曰。和尚祇剗得這箇。不剗得那箇。頭提起剗子。師接得。便作剗草勢。頭曰。汝祇剗得那箇。不解剗得這箇。師無對(洞山雲。還有堆阜麼)。師一日推車次。馬祖展腳在路上坐。師曰。請師收足。祖曰。已展不縮。師曰。已進不退。乃推車碾損祖腳。祖歸法堂。執斧子曰。適來碾損老僧腳底出來。師便出於祖前。引頸。祖乃置斧。師到南泉。覩眾僧參次。泉指淨瓶曰。銅瓶是境。瓶中有水。不得動著境。與老僧將水來。師拈起淨瓶。向泉面前瀉。泉便休。師後到溈山。便入堂於上板頭解放衣缽。溈聞師叔到。先具威儀。下堂內相看。師見來。便作臥勢。溈便歸方丈。師乃發去。少間。溈山問侍者。師叔在否。曰。已去。溈曰。去時有甚麼語。曰。無語。溈曰。莫道無語。其聲如雷。師冬居衡嶽。夏止清涼。唐元和中薦登五臺。路出淮西。屬吳元濟阻兵。違拒王命。官軍與賊軍交鋒。未決勝負。師曰。吾當去解其患。乃擲錫空中。飛身而過。兩軍將士仰觀。事符預夢。鬬心頓息。師既顯神異。慮成惑眾。遂入五臺。於金剛窟前將示滅。先問眾曰。諸方遷化。坐去臥去。吾嘗見之。還有立化也無。曰。有。師曰。還有倒立者否。曰。未嘗見有。師乃倒立而化。亭亭然其衣順體。時眾議舁就茶毗。屹然不動。遠近瞻覩。驚歎無已。師有妹為尼。時亦在彼。乃拊而咄曰。老兄。疇昔不循法律。死更熒惑於人。於是以手推之。僨然而踣。遂就闍維。收舍利建塔。

邵武軍の鄧氏の子(時に鄧隱峰と稱す)。幼くして慧あらざるが若くして、父母は其の出家を聽す。初め馬祖の門に遊ぶも、而るに未だ奧を睹る能わず。復た石頭に來往して、兩番捷たざると雖も(語は馬祖の章に見ゆ)。而して後に馬祖の言下に於いて相契す。老師は石頭に問うた、「如何にしてか道に合して去るを得ん。」頭は說いた、「我も亦た道に合せず。」老師は說いた、「畢竟は如何。」頭は說いた、「お前は此の個に被れて多少の時ぞ。」石頭が草を鏟る次、老師は左側に在りて、手を叉して立つ。頭は鏟子を飛ばして、老師の前に向かいて一株の草を鏟る。老師は說いた、「和尚は只だ此の個を鏟得して、那の個を鏟得せず。」頭は鏟子を提起す。老師は接得して、便ち草を鏟る勢を作す。頭は說いた、「お前は只だ那の個を鏟得して、此の個を鏟得するを解せず。」老師は對無し。(洞山は說いた、「還って堆阜有るか。」)老師は一天車を推す次、馬祖は脚を展べて路の上に坐す。老師は說いた、「師に足を收むを請う。」祖は說いた、「已に展べて縮まず。」老師は說いた、「已に進みて退かず。」乃ち車を推して祖の脚を碾損す。祖は法堂に歸りて、斧子を執りて說いた、「適來老僧の脚底を碾損せし者は出で來れ。」老師は便ち祖の前に出でて、頸を引く。祖は乃ち斧を置く。老師は南泉に到りて、衆僧が參する次を睹て、泉は淨瓶を指して說いた、「銅瓶は是れ境、瓶の中に水有りて、境を動着するを得ず、老僧と水を將來れ。」老師は淨瓶を拈起して、泉の面前に向かいて瀉す。泉は便ち休む。老師は後に沩山に到りて、便ち堂に入りて上板頭に於いて衣鉢を解放す。沩は師叔の到るを聞きて、先に威儀を具えて、堂内を下りて相看す。老師は來るを見て、便ち臥の勢を作す。沩は便ち方丈に歸る。老師は乃ち發して去る。少間、沩山は侍者に問うた、「師叔は在るか。」說いた、「已に去れり。」沩は說いた、「去る時に什麼の語有りし。」說いた、「語無し。」沩は說いた、「語無しと道う莫れ、其の聲は雷の如し。」老師は冬は衡岳に居り、夏は清涼に止まる。唐の元和の中、薦めて五臺に登りて、路は淮西に出でて、吳元濟が兵を阻みて、王命に違拒するに屬す。官軍と賊軍とは交鋒して、未だ勝負を決せず。老師は說いた、「吾は當に往きて其の患を解くべし。」乃ち錫を空中に擲ちて、身を飛ばして過ぐ。兩軍の將士は仰觀して、事は預夢に符し、鬥心は頓息す。老師は既に神異を顯して、衆を惑わすことを慮りて、遂に五臺に入る。金剛窟の前に於いて將に滅を示さんとし、先に衆に問うて說いた、「諸方の遷化は、坐して去り臥して去る、吾は嘗て之を見れり。還って立ちて化する有るや無きや。」說いた、「有。」老師は說いた、「還って倒立する者有るか。」說いた、「未だ嘗て有るを見ず。」老師は乃ち倒立して化す、亭亭然として其の衣は體に順う。時に衆は舁して茶毗に就かんと議すも、屹然として動かず。遠近は瞻睹して、驚嘆已まず。老師に妹の尼と爲る有りて、時に亦た彼に在りて、乃ち拊して喝して說いた、「老兄、疇昔は法律に循わず、死して更に人を熒惑す。」是に於いて手を以て之を推せば、僨然として踣る。遂に闍維に就きて、舍利を收めて塔を建つ。

潭州石霜(亦作龍)大善禪師

潭州石霜(亦作龍)大善禪師

僧問。如何是佛法大意。師曰。春日雞鳴。曰。學人不會。師曰。中秋犬吠。上堂。大眾出來出來。老漢有箇法要。百年後不累汝。眾曰。便請和尚說。師曰。不消一堆火。

僧は問うた、「如何なるか是れ佛法の大意。」老師は說いた、「春日に鷄鳴く。」說いた、「學人は會せず。」老師は說いた、「中秋に犬吠ゆ。」堂に上りて、「大衆は出で來れ出で來れ、老漢に箇の法要有りて、百年の後お前を累わず。」衆は說いた、「便ち和尚に說くを請う。」老師は說いた、「一堆の火を消さず。」

泉州龜洋無了禪師

泉州龜洋無了禪師

本郡沈氏子。年七歲。父𢹂入白重院。視之如家。因而捨愛。至十八。剃度受具於靈巖寺。後參大寂。了達祖乘。即還本院之北。樵採路絕。師一日筞杖披榛而行。遇六眸巨龜。斯須而失。乃庵此峰。因號龜洋。一日。有虎逐鹿入庵。師以杖格虎。遂存鹿命。洎將示化。乃述偈曰。八十年來辨西東。如今不要白頭翁。非長非短非大小。還與諸人性相同。無來無去兼無住。了卻本來自性空。偈畢。儼然告寂。瘞於正堂垂二十載。為山泉淹沒。門人發塔。見全身水中而浮。閩王聞之。遣使舁入府庭供養。忽臭氣遠聞。王焚香祝之曰。可還龜洋舊址建塔。言訖。異香普燻。傾城瞻禮。本道奏諡真寂大師。塔曰靈覺。後弟子慧忠塟於塔左。今龜洋二真身存焉。忠得法於草菴義和尚。

本郡の沈氏の子。年七歲にして、父は攜えて白重院に入れて、之を視ること家の如くして、因って愛を捨つ。十八に至りて、靈巖寺に於いて剃度して具を受く。後に大寂に參して、祖乘を了達し、即ち本院の北に還る。樵採は路を絕つ。老師は一天杖を策して榛を披きて行きて、六眸の巨龜に遇いて、斯須にして失せ、乃ち此の峰に庵し、因って號けて龜洋と爲す。一天、虎有りて鹿を逐いて庵に入れば、老師は杖を以て虎を格えて、遂に鹿の命を存す。洎ぎ將に化を示さんとして、乃ち偈を述べて說いた、「八十年來西東を辨えり、如今は白頭翁を要せず。長にも非ず短にも非ず大小にも非ず、還って諸人と性相同じ。來無し去無し兼ねて住無し、本來自性の空なるを了却す。」偈を畢えて、儼然として寂を告ぐ。正堂に瘞めて二十載を垂れど、山泉の淹沒するを爲す。門人は塔を發きて、全身が水の中にして浮かぶを見る。閩王は之を聞きて、使を遣わして舁して府庭に入れて供養せしむるに、忽ち臭氣は遠く聞ゆ。王は香を焚きて之を祝して說いた、「還って龜洋の舊址に塔を建つべき也。」言を訖えて、異香は普く熏りて、城を傾けて瞻禮す。本道は奏して諡して真寂大師と曰い、塔は靈覺と曰う。後に弟子慧忠は塔の左に葬る。今の龜洋は二の真身存る焉。忠は草庵義和尚に於いて法を得たり。

南嶽西園蘭若曇藏禪師

南嶽西園蘭若曇藏禪師

受心印於大寂。後謁石頭。瑩然明徹。出住西園。禪侶日盛。師一日自燒浴次。僧問。何不使沙彌。師撫掌三下(僧舉似曹山。山雲。一等是拍手撫掌。就中西園奇恠。俱胝一指頭禪。葢為承當處不諦當。僧卻問曹山。西園撫掌。豈不是奴兒婢子邊事。山雲。是。雲。向上更有事也無。山雲。有。雲。如何是向上事。山叱雲。這奴兒婢子)。師養一犬。常夜經行時。其犬銜師衣。師即歸方丈。又常於門側伏守。忽一夜頻吠。奮身作猛噬之勢。詰旦。東廚有一大蟒。長數丈。張口呀氣。毒𦦨熾然。侍者請避之。師曰。死可逃乎。彼以毒來。我以慈受。毒無實性。激發則強。慈苟無緣。冤親一揆。言訖。其蟒按首徐行。倐然不見。復一夕。有群盜至。犬亦銜衣。師語盜曰。茅舍有可意物。一任將去。終無所吝。盜感其言。皆稽首而散。

大寂に於いて心印を受く。後に石頭に謁して、瑩然として明徹す。出でて西園に住し、禪侶は日に盛んなり。老師は一天自ら浴を燒く次、僧は問うた、「何ぞ沙彌を使わざる。」老師は掌を撫すること三下。(僧は曹山に擧似す。山は說いた、「一は等しく是れ手を拍ち掌を撫するに、中に就いて西園は奇怪なり。俱胝の一指頭の禪は、蓋し承當の處が諦當ならざるを爲る。」僧は却って曹山に問うた、「西園の撫掌は、豈に是れ奴兒婢子の邊の事に非ずや。」山は說いた、「是。」說いた、「向上は更に事有るや無きや。」山は說いた、「有。」說いた、「如何なるか是れ向上の事。」山は叱って說いた、「此の奴兒婢子。」)老師は一犬を養い、常に夜の經行の時、其の犬は老師の衣を銜えば、老師は即ち方丈に歸る。又た常に門の側に於いて伏守す。忽ち一夜に頻りに吠えて、身を奮いて猛噬の勢を作す。詰旦、東廚に一大蟒有りて、長さ數丈、口を張きて氣を呀えて、毒焰は熾然たり。侍者は之を避けんことを請う。老師は說いた、「死は逃る可きか。彼は毒を以て來る、我は慈を以て受く。毒は實性無くして、激發すれば則ち强し。慈は苟も緣無ければ、冤親は一揆なり。」言を訖えて、其の蟒は首を按じて徐行して、倏然として見えず。復た一夕、群盜の至る有りて、犬も亦た衣を銜む。老師は盜に語って說いた、「茅舍に意に可なる物有らば、一に任せて將去す、終に吝とする所無し。」盜は其の言に感じて、皆な稽首して散ず。

袁州楊岐山甄叔禪師

袁州楊岐山甄叔禪師

上堂。群靈一源。假名為佛。體竭形銷而不滅。金流樸散而常存。性海無風。金波自湧。心靈絕非。萬象齊照。體斯理者。不言而徧歷沙界。不用而功益玄化。如何背覺。反合塵勞。於陰界中。妄自囚執。禪月問。如何是祖師西來意。師呈起數珠。月罔措。師曰。會麼。曰。不會。師曰。某甲參見石頭來。曰。見石頭得何意旨。師指庭前鹿曰。會麼。曰。不會。師曰。渠儂得自由。唐元和十五年歸寂。茶毗獲舍利七百粒。於東峰下建塔。

堂に上りて、「群靈は一源にして、名を假りて佛と爲す。體は竭き形は銷して滅せず、金は流れ朴は散じて常に存す。性海は風無くして、金波は自ら涌く。心靈は非を絕りて、萬象は齊しく照らす。斯の理を體する者は、言わずして遍ねく沙界を歷り、用いずして功は益々玄化す。如何にしてか覺に背きて、反りて塵勞に合して、陰界の中に於いて、妄りに自ら囚囚執す。」禪月は問うた、「如何なるか是れ祖師の西來の意。」老師は數珠を呈起す。月は罔措す。老師は說いた、「會するか。」說いた、「會せず。」老師は說いた、「某甲は石頭に參見して來れり。」說いた、「石頭を見て何の意旨を得た。」老師は庭前の鹿を指して說いた、「會するか。」說いた、「會せず。」老師は說いた、「渠儂は自由を得たり。」唐の元和十五年に寂に歸す。茶毗して舍利七百粒を獲て、東峰の下に塔を建つ。

磁州馬頭峰神藏禪師

磁州馬頭峰神藏禪師

上堂。知而無知。不是無知。而說無知。便下座(南泉雲。恁麼依師道。始道得一半。黃檗雲。不是南泉駁他。要圓前話)。

堂に上りて、「知りて知ること無きは、是れ知ること無きに非ずして知ること無きと說く。」便ち座を下る。(南泉は說いた、「恁麼に師の道に依れば、始めて半を道得す。」黄檗は說いた、「是れ南泉が他を駁したに非ず、前話を圓せんと要す。」)

潭州華林善覺禪師

潭州華林善覺禪師

常持錫杖。夜出林麓間。七步一振錫。一稱觀音名號。夾山問。遠聞和尚念觀音。是否。師曰。然。山曰。騎卻頭時如何。師曰。出頭即從汝騎。不出頭騎甚麼。山無對。僧參。方展坐具。師曰。緩緩。曰。和尚見甚麼。師曰。可惜許。磕破鐘樓。其僧從此悟入。觀察使裴休訪之。問曰。還有侍者否。師曰。有一兩箇。祇是不可見客。裴曰。在甚麼處。師乃喚大空.小空。時二虎自庵後而出。裴覩之驚悸。師語二虎曰。有客。且去。二虎哮吼而去。裴問曰。師作何行業。感得如斯。師乃良久曰。會麼。曰。不會。師曰。山僧常念觀音。

常に錫杖を持して、夜は林麓の間に出でて、七步に錫を一振し、觀音の名號を一稱す。夾山は問うた、「遠く和尚が觀音を念ずるを聞く、是れ否。」老師は說いた、「然。」山は說いた、「頭を騎却する時は如何。」老師は說いた、「頭を出せば即ちお前に騎られん、頭を出さざれば什麼を騎する。」山は對無し。僧參して、方に坐具を展す。老師は說いた、「緩々。」說いた、「和尚は什麼を見る。」老師は說いた、「惜しい許し、鐘樓を磕破す。」其の僧は此より悟入す。觀察使裴休は之を訪い、問いて說いた、「還って侍者有るか。」老師は說いた、「一兩個有るも、只だ是れ客に見る可からず。」裴は說いた、「什麼の處に在る。」老師は乃ち大空・小空を喚ぶ。時に二虎は庵の後より出づ。裴は之を睹て驚悸す。老師は二虎に語って說いた、「客有り、且く去れ。」二虎は哮吼して去る。裴は問いて說いた、「師は何の行業を作して、斯くの如くを感得せし。」老師は乃ち良久して說いた、「會するか。」說いた、「會せず。」老師は說いた、「山僧は常に觀音を念ず。」

汀州水塘和尚

汀州水塘和尚

問歸宗。甚麼人。宗曰。陳州人。師曰。年多少。宗曰。二十二。師曰。闍黎未生時。老僧去來。宗曰。和尚幾時生。師竪起拂子。宗曰。這箇豈有生邪。師曰。會得即無生。曰。未會在。師無語。

歸宗に問うた、「什麼の人ぞ。」宗は說いた、「陳州の人。」老師は說いた、「年は多少。」宗は說いた、「二十二。」老師は說いた、「闍黎が未だ生まれざる時、老僧は去來す。」宗は說いた、「和尚は幾時に生まれし。」老師は拂子を豎起す。宗は說いた、「此の個に豈に生有らんや。」老師は說いた、「會得すれば即ち生無し。」說いた、「未だ會せず。」老師は語無し。

濛谿和尚

蒙溪和尚

僧問。一念不生時如何。師良久。僧便禮拜。師曰。汝作麼生會。曰。某甲終不敢無慙愧。師曰。汝卻信得及。問。本分事如何體悉。師曰。汝何不問。曰。請師答話。師曰。汝卻問得好。僧大笑而出。師曰。秖有這僧靈利。有僧從外來。師便喝。僧曰。好箇來由。師曰。猶要棒在。僧珍重便出。師曰。得能自在。

僧は問うた、「一念も生生ぜざる時は如何。」老師は良久す。僧は便ち禮拜す。老師は說いた、「お前は作麼生に會する。」說いた、「某甲は終に敢て慚愧無しとせず。」老師は說いた、「お前は却て信じ得及す。」問うた、「本分の事は如何に體悉する。」老師は說いた、「お前は何ぞ問わざる。」說いた、「師に答話を請う。」老師は說いた、「お前は却て好く問えり。」僧は大笑して出づ。老師は說いた、「只だ此の僧の靈利有り。」僧有りて外より來れば、老師は便ち喝す。僧は說いた、「好個の來由ぞ。」老師は說いた、「猶が棒を要する在り。」僧は珍重して便ち出づ。老師は說いた、「能く自在を得たり。」

溫州佛㠗和尚

溫州佛㠗和尚

尋常見人來。以柱杖卓地曰。前佛也恁麼。後佛也恁麼。問。正恁麼時作麼生。師畫一圓相。僧作女人拜。師便打。問。如何是佛法大意。師曰。賊也。賊也。問。如何是異類。師敲椀曰。花奴花奴吃飯來。

尋常、人の來るを見て、拄杖を以て地に卓して說いた、「前佛も恁麼、後佛も恁麼。」問うた、「正に恁麼の時は作麼生。」老師は一の圓相を畫す。僧は女人の拜を作す。老師は便ち打つ。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意。」老師は說いた、「賊ぞ賊ぞ。」問うた、「如何なるか是れ異類。」老師は椀を敲いて說いた、「花奴花奴、飯を喫しに來い。」

烏臼和尚

烏臼和尚

玄.紹二上座參。師乃問。二禪客發足甚麼處。玄曰。江西。師便打。玄曰。久知和尚有此機要。師曰。汝既不會。後面箇師僧祇對看。紹擬近前。師便打。曰。信知同坑無異土。參堂去。問僧。近離甚處。曰。定州。師曰。定州法道何似這裡。曰。不別。師曰。若不別。更轉彼中去。便打。僧曰。棒頭有眼。不得草草打人。師曰。今日打著一箇也。又打三下。僧便出去。師曰。屈棒元來有人吃在。曰。爭柰杓柄在和尚手裡。師曰。汝若要。山僧回與汝。僧近前奪棒。打師三下。師曰。屈棒。屈棒。曰。有人吃在。師曰。草草打著箇漢。僧禮拜。師曰。卻與麼去也。僧大笑而出。師曰。消得恁麼。消得恁麼。

玄・紹の二上座參す。老師は乃ち問うた、「二禪客は發足什麼の處。」玄は說いた、「江西。」老師は便ち打つ。玄は說いた、「久しく和尚に此の機要有りを知れり。」老師は說いた、「お前は既に會せず、後面の個の師僧は只だ看對せよ。」紹は近づかんと擬すれば、老師は便ち打って說いた、「同坑に異土無しと信知す。堂に參し去れ。」僧に問うた、「近離什麼の處。」說いた、「定州。」老師は說いた、「定州の法道は此裏に何く似たる。」說いた、「別ならず。」老師は說いた、「別ならざれば、更に彼中に轉れ。」便ち打つ。僧は說いた、「棒頭に眼有りて、草草に人を打つを得ず。」老師は說いた、「今日は一個を打着したり。」又た三下打つ。僧は便ち出去す。老師は說いた、「屈棒は元來喫する人有る在り。」說いた、「爭奈杓柄は和尚の手裏に在る。」老師は說いた、「お前が要らば、山僧はお前に回え與えん。」僧は近づきて棒を奪い、老師を三下打つ。老師は說いた、「屈棒屈棒。」說いた、「喫する人有る在り。」老師は說いた、「草草に個の漢を打着せり。」僧は禮拜す。老師は說いた、「却て與麼に去れり。」僧は大笑して出づ。老師は說いた、「恁麼を消得す、恁麼を消得す。」

古寺和尚

古寺和尚

丹霞來參。經宿。明旦粥熟。行者祇盛一缽與師。又盛一椀自吃。殊不顧丹霞。霞亦自盛粥吃。者曰。五更侵早起。更有夜行人。霞問。師何不教訓行者。得恁麼無禮。師曰。淨地上不要點汙人家男女。霞曰。幾不問過這老漢。

丹霞が參に來て、宿を經る。明旦、粥熟すれば、行者は只だ一鉢を盛りて老師に與え、又た一碗を盛りて自ら喫し、殊に丹霞を顧みず。霞も亦た自ら粥を盛りて喫す。者は說いた、「五更に侵早く起きて、更に夜行の人有り。」霞は問うた、「師は何ぞ行者を教訓せざる、恁麼に無禮なるを得しめん。」老師は說いた、「淨地の上には人家の男女を點污するを要せず。」霞は說いた、「幾く此の老漢に過り問わざるを得たり。」

石臼和尚

石臼和尚

初參馬祖。祖問。甚麼處來。師曰。烏臼來。祖曰。烏臼近日有何言句。師曰。幾人於此茫然。祖曰。茫然且置。悄然一句作麼生。師乃近前三步。祖曰。我有七棒寄打烏臼。你還甘否。師曰。和尚先吃。某甲後甘。

初め馬祖に參す。祖は問うた、「什麼の處より來る。」老師は說いた、「烏臼より來る。」祖は說いた、「烏臼は近日何の言句有る。」老師は說いた、「幾人か此に於いて茫然たる。」祖は說いた、「茫然は且く置け、悄然の一句は作麼生。」老師は乃ち近づくこと三步。祖は說いた、「我に七棒有りて烏臼に寄せて打たんとす、お前還って甘んずるか。」老師は說いた、「和尚は先先づ喫し、某甲は後に甘んぜん。」

本谿和尚

本溪和尚

因龐居士問。丹霞打侍者。意在何所。師曰。大老翁見人長短在。士曰。為我與師同參。方敢借問。師曰。若恁麼從頭舉來。共你商量。士曰。大老翁不可共你說人是非。師曰。念翁年老。士曰。罪過。罪過。

龐居士の問うに因って、「丹霞が侍者を打つの、意は何の所に在る。」老師は說いた、「大老翁は人の長短を見る在り。」士は說いた、「我が師と同參するを爲め、方に敢て借問す。」老師は說いた、「若し恁麼に頭より擧來れば、お前と商量せん。」士は說いた、「大老翁はお前と人の是非を說く可からず。」老師は說いた、「翁の年老いたるを念う。」士は說いた、「罪過罪過。」

石林和尚

石林和尚

見龐居士來。乃竪起拂子曰。不落丹霞機。試道一句子。士奪卻拂子。卻自竪起拳。師曰。正是丹霞機。士曰。與我不落看。師曰。丹霞患瘂。龐公患聾。士曰。恰是。師無語。士曰。向道偶爾。又一日問士。某甲有箇借問。居士莫惜言語。士曰。便請舉來。師曰。元來惜言語。士曰。這箇問訊。不覺落他便宜。師乃掩耳。士曰。作家。作家。

龐居士の來るを見て、乃ち拂子を豎起して說いた、「丹霞の機に落ちず、試みに一句子を道え。」士は拂子を奪い却りて、却って自ら拳を豎起す。老師は說いた、「正に是れ丹霞の機。」士は說いた、「我と落ちずに看よ。」老師は說いた、「丹霞は啞に患え、龐公は聾に患えたり。」士は說いた、「恰も是れ。」老師は語無し。士は說いた、「向に偶爾と道え。」又た一天士に問うた、「某甲に個の借問有り、居士は言語を惜しむ莫れ。」士は說いた、「便ち擧來を請う。」老師は說いた、「元來言語を惜しむ。」士は說いた、「此の問訊は、覺えず他の便宜に落ちたり。」老師は乃ち耳を掩う。士は說いた、「作家作家。」

亮座主

亮座主

蜀人也。頗講經論。因參馬祖。祖問。見說座主大講得經論。是否。師曰。不敢。祖曰。將甚麼講。師曰。將心講。祖曰。心如工伎兒。意如和伎者。爭解講得。師抗聲曰。心既講不得。虗空莫講得麼。祖曰。卻是虗空講得。師不肯。便出。將下堦。祖召曰。座主。師回首。祖曰。是甚麼。師豁然大悟。便禮拜。祖曰。這鈍根阿師。禮拜作麼。師曰。某甲所講經論。將謂無人及得。今日被大師一問。平生功業。一時氷釋。禮謝而退。乃隱於洪州西山。更無消息。

蜀人なり。頗る經論を講ず。馬祖に參するに因って、祖は問うた、「座主が大に經論を講ずと見說せり、是か否か。」老師は說いた、「敢へず。」祖は說いた、「將に何を以て講ず。」老師は說いた、「心を以て講ず。」祖は說いた、「心は工伎兒の如く、意は和伎者の如し、爭でか講ずるを解せん。」老師は聲を抗げて說いた、「心は既に講ずるを得ず、虛空は講ずるを得ざるか。」祖は說いた、「却て是れ虛空は講ずるを得。」老師は肯せず、便ち出ち出づ。階を將に下らんとすれば、祖は召して說いた、「座主。」老師は首を回らす。祖は說いた、「是れ什麼ぞ。」老師は豁然として大悟し、便ち禮拜す。祖は說いた、「此の鈍根の阿師、禮拜して作麼。」老師は說いた、「某甲の講ずる所の經論は、將に人の及ぶ者無しと謂えり。今日は大師の一問に被りて、平生の功業は一時に冰釋す。」禮謝して退く。乃ち洪州の西山に隱れて、更に消息無し。

黑眼和尚

黑眼和尚

僧問。如何是不出世師。師曰。善財拄杖子。問。如何是佛法大意。師曰。十年賣炭漢。不知秤畔星。

僧は問うた、「如何なるか是れ世に出ざるの師。」老師は說いた、「善財の拄杖子。」問うた、「如何なるか是れ佛法の大意。」老師は說いた、「十年炭を賣る漢は、秤畔の星を知らず。」

米嶺和尚

米嶺和尚

僧問。如何是衲衣下事。師曰。醜陋任君嫌。不掛雲霞色。師將示滅。遺偈曰。祖祖不思議。不許常住世。大眾審思惟。畢竟祇這是。言訖而寂。

僧は問うた、「如何なるか是れ衲衣下の事。」老師は說いた、「醜陋に任せて君の嫌うを掛けず、雲霞の色を掛けず。」老師は將に滅を示さんとして、遺偈を說いた、「祖祖不思議、世に常住するを許さず。大衆は審らかに思惟せよ、畢竟ただ只だ此れ。」言を訖えて寂す。

齊峰和尚

齊峰和尚

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