五燈會元卷第十五
平江府泗洲用元禪師
平江府泗洲用元禅師
一日問建隆曰。臨濟在黃檗。三回問佛法大意。三回被打。意旨如何。語猶未了。被打一拂子。師頓領宗旨。開堂日。僧問。四眾雲臻。請師說法。師曰。有眼無耳朵。六月火邊坐。曰。一句截流。萬機頓息。師曰。聽事不真。喚鐘作甕。問。朝參暮請。成得甚麼邊事。師曰。祇要你歇去。曰。早知燈是火。飯熟已多時。師曰。你鼻孔因甚麼著拄杖子穿卻。曰。拗曲作直又爭得。師曰。且教出氣。上堂。一二三四五。火裡蝍蟟吞卻虎。六七八九十。水底泥牛波上立。一日一夜雨霖霖。無孔鐵鎚灑不入。灑不入。著底急。百川洶湧須彌岌。八臂那吒撞出來。稽首讚歎道難及。咦。上堂。橫按拄杖。顧視大眾曰。今日平地上吃交。便下座。
一日建隆に問いて曰く、臨濟黄檗に在りて、三回佛法の大意を問い、三回打たるるは、意旨如何。語猶ほ未だ了せざるに、一拂子を打たる。師頓に宗旨を領す。堂を開く日、僧問う、四衆雲の臻る、師の法を説くを請う。師曰く、眼有りて耳朵無く、六月火の邊に坐す。曰く、一句流を截り、萬機頓に息む。師曰く、事を聽るに真ならず、鐘を喚びて瓮と作す。問う、朝に參じ暮に請う、成じて什麼の邊の事ぞ。師曰く、只だ要る你歇して去れ。曰く、早く知る燈は是れ火、飯熟して已に多時。師曰く、你鼻孔什麼に因りて拄杖子に穿たれ却る。曰く、曲を拗じて直と作すに又争い得ん。師曰く、且く氣を出づるを敎えよ。上堂、一二三四五、火の裏の蝍蟟虎を吞卻す。六七八九十、水底の泥牛波の上に立つ。一日一夜雨霖霖、孔無き鐵鎚洒ぎ入らず。洒ぎ入らず、底に著いて急なり。百川洶湧して須弥岌たり。八臂の那咤撞き出で來りて、稽首讚歎して道い難及なりと曰う。咦。上堂、拄杖を橫に按じ、大衆を環顧して曰く、今日平地の上に交を喫す。便ち下座
報本元禪師法嗣
報本元禅師法嗣
平江府承天永安元正傳燈禪師
平江府承天永安元正傳燈禅師
鄆州鄭氏子。上堂。天人群生𩔗。皆承此恩力。大眾。有一人道我不承佛恩力。不居三界。不屬五行。祖師不敢定當。先佛不敢安名。你且道是箇甚麼人。良久曰。倚石巖前燒鐵缽。就松枝上掛銅缾。
鄆州鄭氏の子。上堂、天人の群生類(「𩔗」當に「類」と讀み作すべし)、皆な此の恩力を承く。大衆、一人有道う我佛の恩力を承けず、三界に居らず、五行に屬せず、祖師敢えて當を定めず、先佛敢えて名を安けず。你且く道え是れ個の什麼人ぞ。沈黙許久して曰く、石巖の前に倚りて鐵鉢を燒き、松枝の上に就きて銅瓶を掛く
隆慶閑禪師法嗣
隆慶閑禅師法嗣
潭州安化啟寧聞一禪師
潭州安化啟寧聞一禅師
上堂。拈華微笑虗勞力。立雪齊腰枉用功。爭似老盧無用處。卻傳衣缽振真風。大眾。且道那箇是老盧傳底衣缽。莫是大庾嶺頭提不起底麼。且莫錯認定盤星。以拂子擊禪床。下座。
上堂、花を拈じ微笑して虚しく力を勞し、雪に立ちて腰を齊らして枉げて功を用う。争いか似ん老盧の用いる處無くして、卻って衣鉢を傳えて真風を振るうを。大衆、且く道え哪個か是れ老盧の傳う底の衣鉢。莫れや大庾嶺頭に提起し得ざる底か。且く錯りて盤の星を認定する莫れ。拂子を以て禅床を擊ち、下座
三祖宗禪師法嗣
三祖宗禅師法嗣
寧國府光孝惟爽禪師
寧國府光孝惟爽禅師
上堂。今朝六月旦。一年已過半。奉報參玄人。識取孃生面。孃生面。薦不薦。鷺鷥飛入碧波中。抖擻一團銀繡線。
上堂、今朝六月の旦、一年已に半ばを過ぎたり。奉報す玄を參ずる人、娘生の面を識取せよ。娘生の面、薦するか薦せざるか。鷺鷥碧波の中に飛び入りて、抖擻して一團の銀の繡線
泐潭英禪師法嗣
泐潭英禅師法嗣
南嶽法輪齊添禪師
南岳法輪齊添禅師
僧問。學人上來。乞師指示。師曰。汝適來聞皷聲麼。曰。聞。師曰。還我話頭來。僧禮拜。師曰。令人疑著。上堂。喝一喝曰。師子哮吼。又喝一喝曰。象王嚬呻。又喝一喝曰。狂狗趂塊。又喝一喝曰。鰕跳不出鬥。乃曰。此四喝。有一喝堪與祖佛為師。明眼衲僧試請揀看。若揀不出。大似日中迷路。上堂。良久曰。性靜情逸。乃喝一喝曰。心動神疲。遂顧左右曰。守真志滿。拈拄杖曰。逐物意移。驀召大眾曰。見怪不怪。其怪自壞。靠拄杖。便下座。
僧問う、學人上がり來りて、師の指示を乞う。師曰く、你適來鼓聲を聞きしか。曰く、聞きたり。師曰く、我に話頭を還せ。僧禮拜す。師曰く、人をして疑い著けしむ。上堂、一喝して曰く、師子哮吼す。又一喝して曰く、象王嚬呻す。又一喝して曰く、狂狗塊を趁う。又一喝して曰く、蝦跳びて斗を出でず。於是曰く、此の四喝、一喝有りて堪えて祖佛と師と為るを與す。明眼の衲僧試みに揀んで看るを請う。若し揀び出ださざれば、大いに日の中に路を迷うに似たり。上堂、沈黙許久して曰く、性靜かにして情逸や。於是一喝して曰く、心動きて神疲る。於是左右を環顧して曰く、真を守りて志滿つ。拄杖を拈じて曰く、物を逐いて意移る。蓦っから大衆を召して曰く、怪を見て怪しまざれば、其の怪自ら壞る。拄杖に靠りて、便ち下座
泉州慧明雲禪師
泉州慧明雲禅師
僧問。般若海中。如何為人。師曰。雲開銀漢逈。曰。畢竟如何。師曰。棒頭見血。問。毗婆尸佛早留心。直至如今不得妙。意旨如何。師曰。醜拙不堪當。
僧問う、般若の海の中、如何に人を為す。師曰く、雲開きて銀漢迥なり。曰く、畢竟如何。師曰く、棒頭血を見る。問う、毘婆尸佛早く心を留めて、直に如今に至るまで妙を得ざるは、意旨如何。師曰く、醜拙にして堪えて當らず
保寧璣禪師法嗣
保寧璣禅師法嗣
慶元府育王無竭淨曇禪師
慶元府育王無竭淨曇禅師
嘉禾人也。晚歸錢塘之法慧。一日上堂。本自深山臥白雲。偶然來此寄閑身。莫來問我禪兼道。我是吃飯屙屎人。紹興丙寅夏。辭朝貴歸付院事。四眾擁眎。揮扇久之。書偈曰。這漢從來沒縫罅。五十六年成話覇。今朝死去見閻王。劍樹刀山得人怕。遂打一圓相。曰。嗄。一任諸方。鑽龜打瓦。收足而化。火後設利如霰。門人持骨。歸阿育王山建塔。
嘉禾の人なり。晚く錢塘の法慧に歸す。一日上堂、本より深山白雲に臥し、偶然此に來りて閑身を寄す。來りて我に問う莫れ禅兼道、我是れ飯を喫し糞を屙る人。紹興丙寅の夏、朝貴に辭し、歸りて院事を付す。四衆擁れて視る、扇を揮ること久之しくして、偈を書して曰く、這の漢從來縫罅無く、五十六年話霸を成ず。今朝死して閻王を見て、劍樹刀山人の怕るを得たり。於是一圓相を打ちて曰く、嗄。一任す諸方、龜を鑽き瓦を打たん。足を收めて化す。火の後設利霰の如し。門人骨を持ちて、歸りて阿育王山に塔を建つ
台州真如戒香禪師
台州真如戒香禅師
興化林氏子。上堂。孟冬改旦曉天寒。葉落歸根露遠山。不是見聞生滅法。當頭莫作見聞看。
興化林氏の子。上堂、孟冬旦を改めて曉天寒し、葉落ちて根に歸りて遠山を露わす。是れ見聞生滅の法に非ず、頭に當りて見聞の看と作す莫れ
五祖常禪師法嗣
五祖常禅師法嗣
蘄州南烏崖壽聖楚清禪師
蘄州南烏崖壽聖楚淸禅師
僧問。亡僧遷化向甚麼處去。師曰。靈峰水急。曰。恁麼則不生也。師曰。蒼天。蒼天。
僧問う、亡僧遷化して何の處に向かって去る。師曰く、靈峰水急なり。曰く、恁麼なれば即ち生ぜざるなり。師曰く、蒼天、蒼天
黃龍肅禪師法嗣
黃龍肅禅師法嗣
瑞州百丈維古禪師
瑞州百丈維古禅師
上堂。大眾集定。拈拄杖示眾曰。多虗不如少實。卓一下。便起。
上堂、大衆集まり定まれば、拄杖を拈じて衆に示して曰く、多く虚しくするは少く實に如かず。一下卓して、便ち起つ
嘉定府月珠祖鑑禪師
嘉定府月珠祖鑑禅師
僧請筆師語要。師曰。達磨西來。單傳心印。曹谿六祖。不識一字。今日諸方出世。語句如山。重增繩索。乃拍禪床曰。於斯薦得。猶是鈍根。若也未然。白雲深處從君臥。切忌寒猿中夜啼。
僧師の語要を筆するを請う。師曰く、達磨西に來りて、單に心印を傳う。曹溪の六祖、一字を識らず。今日諸方世に出でて、語句山の如し、重ねて繩索を増す。於是禅床を拍して曰く、斯れに於て薦得するも、猶ほ是れ鈍根。若しも未然ならば、白雲の深き處君に從いて臥さん、切に寒猿中夜に啼くを忌む
石霜琳禪師法嗣
石霜琳禅師法嗣
鼎州德山靜照庵什庵主
鼎州德山靜照庵什庵主
僧問。如何是庵中主。師曰。從來不相許。僧擬議。師曰。會即便會本來底。不得安名著字。僧擬開口。師便打出。師室中常以拂子示眾曰。喚作拂子。依前不是。不喚作拂子。特地不識。汝喚作甚麼。因僧請益。師頌答之曰。我有一柄拂子。用處別無調度。有時掛在松枝。任他頭垂角露。
僧問う、如何なるか是れ庵中の主。師曰く、從來相い許さず。僧擬議す。師曰く、會すれば便ち本來の底を會せよ、名を安け字を著くるを得ず。僧口を開かんと擬すれば、師便ち打ち出だす。師室中常に拂子を以て衆に示して曰く、喚びて拂子と作せば、前に依りて是れならず、喚びて拂子と作さざれば、特に地に識らず。你喚びて什麼と作す。因りて僧益を請えば、師頌して之に答えて曰く、我一柄の拂子有りて、用處別に調度無し。或る時は松枝に掛けて、他の頭垂れ角露わすに任す
華光恭禪師法嗣
華光恭禅師法嗣
郴州萬壽念禪師
郴州萬壽念禅師
僧問。龍華勝會。肇啟茲晨。未審彌勒世尊現居何處。師曰。豬肉案頭。曰。既是彌勒世尊。為甚麼卻在豬肉案頭。師曰。不是弄潮人。休入洪波裡。曰。畢竟事又且如何。師曰。番人不繫腰。歲旦。上堂。往復無際。動靜一源。含有德以還空。越無私而逈出。昔日日。今日日。照無兩明。昔日風。今日風。鼓無兩動。昔日雨。今日雨。澤無兩潤。於其中間覓去來相而不可得。何故。自他心起。起處無蹤。自我心忘。忘無滅跡。大眾。若向這裡會去。與天地而同根。共萬物為一體。若也未明。山僧為你重重頌出。元正一。古佛家風從此出。不勞向上用工夫。歷劫何曾異今日。元正二。寂寥冷淡無滋味。趙州相喚吃茶來。剔起眉毛須瞥地。元正三。上來稽首各和南。若問香山山裡事。靈源一派碧如藍。遂喝一喝。下座。
僧問う、「龍華の勝會、此の晨に肇め啓く、未だ審かに彌勒世尊現に何の處に居る」。老師曰く、「猪肉の案頭」。曰く、「既に是れ彌勒世尊、什麼を以てか卻って猪肉の案頭に在る」。老師曰く、「是れ潮を弄ぶ人に非ずれば、洪波の裏に入る休め」。曰く、「畢竟の事又且く如何」。老師曰く、「番人腰を繫げず、歲旦」。上堂、「往復際無く、動靜一源、德を含みて以て空に還り、私無きを越えて迥く出づ、昔日の日、今日の日、照らして兩の明無し、昔日の風、今日の風、鼓して兩の動無し」。昔日の雨。今日の雨。澤に兩の潤無し。其の中間に於て去來の相を覓むれども得る可からず。何の故ぞ。他の心より起きれば、起く處蹤無し。我が心より忘るれば、忘に滅迹無し。大衆、若し這裏に向かって會して去らば、天地と與に根を同じくし、萬物と共に體を一とせん。若し也未だ明らかならざれば、山僧你の為に重ねて頌して出ださん。元正一。古佛の家風此より出づ。勞せず向上に工夫を用いよ。歷劫何ぞ曾て今日に異ならん。元正二。寂寥冷淡滋味無し。趙州相い喚びて茶を喫しに來る。眉毛を剔起して須らく瞥地すべし。元正三。上がり來りて稽首して各々和南す。若し香山山裏の事を問わば、靈源一派碧藍の如し。遂に一喝して、下座
上藍順禪師法嗣
上藍順禅師法嗣
