五燈會元卷第十五
參政蘇轍居士
參政蘇轍居士
字子由。元豐三年以睢陽從事。左遷瑞州搉筦之任。是時。洪州上藍順禪師與其父文安先生有契。因往訪焉。相得歡甚。公諮以心法。順示搐鼻因緣。已而有省。作偈呈曰。中年聞道覺前非。邂逅相逢老順師。搐鼻徑參真面目。掉頭不受別鉗鎚。枯藤破衲公何事。白酒青鹽我是誰。慚愧東軒殘月上。一杯甘露滑如飴。
字は子由。元豐三年睢陽の從事を以て。瑞州の搉筦の任に左遷す。是の時。洪州上藍順禅師其の父文安先生と契有り。因りて往きて之を訪う。相い得て歡び甚だし。公心法を以て咨す。順搐鼻の因緣を示す。已にして省る所有り。偈を作りて呈して曰く、「中年道を聞きて前非を覺ゆ、邂逅相逢う老順師、鼻を搐りて徑に真面目を參じ、頭を掉して別の鉗鎚を受けず、枯藤破衲公何事、白酒靑鹽我是れ誰、慚愧す東軒の殘月の上、一杯の甘露滑らかにして飴の如し」
南嶽下十四世
南岳の下十四世
黃龍新禪師法嗣
黃龍新禅師法嗣
吉州禾山超宗慧方禪師
吉州禾山超宗慧方禅師
上堂舉拂子曰。看。看。祇這箇。在臨濟.則照用齊行。在雲門則理事俱備。在曹洞則偏正葉通。在溈山則暗機圓合。在法眼則何止唯心。然五家宗派。門庭施設則不無。直饒辯得倜儻分明去。猶是光影邊事。若要抵敵生死。則霄壤有隔。且超越生死一句作麼生道。良久曰。洎合錯下注腳。
上堂拂子を擧げて曰く、「看よ、看よ、只だ這個、臨濟に在りては則ち照用齊しく行い、雲門に在りては則ち理事俱に備わり、曹洞に在りては則ち偏正葉通し、潙山に在りては則ち暗機圓合し、法眼に在りては則ち何ぞ止まらん唯心、然るに五家の宗派、門庭の施設は則ち無からず」。直饒辨え得て倜儻分明に去るとも。猶ほ是れ光影の邊の事。若し生死に抵敵せんと要せば。則ち霄壤隔り有り。且く生死を超越する一句作麼生に道わん。良久して曰く、「洎んで錯りて注脚を下すに合す」
臨安府崇覺空禪師
臨安府崇覺空禅師
姑孰人也。上堂。十方無壁落。四面亦無門。淨躶躶。赤灑灑。沒可把。遂舉拂子曰。灌溪老漢向十字街頭。逞風流。賣惺惺。道我解穿真珠。解玉版。濄亂絲。捲筒絹。婬坊酒肆。瓦合輿臺。虎穴魔宮。那吒忿怒。遇文王興禮樂。逢桀紂逞干戈。今日被崇覺覷見。一場懡㦬。師頌野狐話曰。含血噀人。先汙其口。百丈野狐。失頭狂走。驀地喚回。打箇筋斗。
姑孰の人なり。上堂、「十方壁落無く、四面亦た門無し、淨躶躶、赤洒洒、把る可き無し」。遂に拂子を擧げて曰く、「灌溪の老漢十字街頭に向かって、風流を逞しゅうし、惺惺を賣り、道う我眞珠を穿つを解し、玉版を解し、亂絲を㳡り、筒絹を卷り、婬坊酒肆、瓦合輿台、虎穴魔宮」。那咤忿怒し。文王に遇いて禮樂を興し。桀紂に逢いて干戈を逞す。今日崇覺に覗見せられて、一場懡㦬。老師野狐の話を頌して曰く、「血を含みて人に噀けば、先ず其の口を汚す、百丈の野狐、頭を失いて狂走す、蓦地に喚び回して、筋斗を打つ」
潭州上封祖秀禪師
潭州上封祖秀禅師
常德府何氏子。上堂。枯木巖前夜放華。鐵牛依舊臥煙沙。儂家鞭影重拈出。擊拂子曰。一念迴心便到家。遂喝一喝。下座。
常德府何氏の子。上堂、「枯木の巖前夜華を放ち、鐵牛依舊として烟沙に臥す、儂家の鞭影重ねて拈出す」。拂子を擊ちて曰く、「一念心を回せば便ち家に到る」。遂に一喝して。下座
嘉定府九頂寂惺惠泉禪師
嘉定府九頂寂惺惠泉禅師
僧問。心迷法華轉。心悟轉法華。未審意旨如何。師曰。風暖鳥聲碎。日高華影重。上堂。昔日雲門有三句。謂函蓋乾坤句。截斷眾流句。隨波逐浪句。九頂今日亦有三句。所謂饑來吃飯句。寒即向火句。困來打睡句。若以佛法而論。則九頂望雲門。直立下風。若以世諦而論。則雲門望九頂。直立下風。二語相違。且如何是九頂為人處。
僧問う、「心迷えば法華轉じ、心悟れば法華を轉ず、未だ審かに意旨如何」。老師曰く、「風暖かにして鳥聲碎け、日高くして華影重し」。上堂、「昔日雲門三句有り、謂う函蓋乾坤の句、衆流を截斷するの句、波に隨い浪を逐うの句、九頂今日亦た三句有り、所謂饑え來りて飯を喫するの句、寒ければ即ち火に向かうの句、困れ來れば睡を打つの句、若し佛法を以て論ぜば、則ち九頂雲門を望む。直立して下風。若し世諦を以て論ぜば。則ち雲門九頂を望む。直立して下風。二語相い違う。且く如何なるか是れ九頂人を為すの處
嘉興府華亭性空妙普庵主
嘉興府華亭性空妙普庵主
漢州人。久依死心獲證。乃抵秀水。追船子遺風。結茅青龍之野。吹鐵笛以自娛。多賦詠。得之者必珍藏。其山居曰。心法雙忘猶隔妄。色塵不二尚餘塵。百鳥不來春又過。不知誰是住庵人。又警眾曰。學道猶如守禁城。晝防六賊夜惺惺。中軍主將能行令。不動干戈治太平。又曰。不耕而食不蠶衣。物外清閑適聖時。未透祖師關棙子。也須存意著便宜。又曰。十二時中莫住工。窮來窮去到無窮。直須洞徹無窮底。踏倒須彌第一峰。建炎初。徐明叛。道經烏鎮。肆殺戮。民多逃亡。師獨荷䇿而往。賊見其偉異。疑必詭伏者。問其來。師曰。吾禪者。欲抵密印寺。賊怒。欲斬之。師曰。大丈夫要頭便斫取。奚以怒為。吾死必矣。願得一飯以為送終。賊奉肉食。師如常齋出生畢。乃曰。孰當為我文之以祭。賊笑而不答。師索筆大書曰。嗚呼。惟靈勞我以生。則大塊之過。沒我以壽。則陰陽之失。乏我以貧。則五行不正。困我以命。則時日不吉。籲哉。至哉。賴有出塵之道。悟我之性。與其妙心。則其妙心。孰與為隣。上同諸佛之真化。下合凡夫之無明。纖塵不動。本自圓成。妙矣哉。妙矣哉。日月未足以為明。乾坤未足以為大。磊磊落落。無罣無礙。六十餘年。和光混俗。四十二臘。逍遙自在。逢人則喜。見佛不拜。笑矣乎。笑矣乎。可惜少年郎。風流太光彩。坦然歸去付春風。體似虗空終不壞。尚饗。遂舉箸飫䬸。賊徒大笑。食罷。復曰。劫數既遭離亂。我是快活烈漢。如今正好乘時。便請一刀兩段。乃大呼。斬。斬。賊方駭異。稽首謝過令衛而出。烏鎮之廬舍免焚。實師之惠也。道俗聞之愈敬。有僧睹師見佛不拜歌。逆問曰。既見佛。為甚麼不拜。師掌之。曰。會麼。雲。不會。師又掌曰。家無二主。紹興庚申冬。造大盆。穴而塞之。修書寄雪竇持禪師曰。吾將水葬矣。壬戌歲。持至。見其尚存。
漢州の人。久しく死心に依りて證を獲たり。乃ち秀水に抵りて。船子の遺風を追う。靑龍の野に茅を結び。鐵笛を吹きて以て自ら娛しむ。多く賦詠す。之を得る者は必ず珍藏す。其の山居に曰く、「心法雙く忘れて猶ほ妄を隔て、色塵不二にして尚ほ塵を餘す、百の鳥來らずして春又過ぐ、知らず誰か是れ庵に住む人」。又衆を警めて曰く、「道を學ぶは猶ほ禁城を守るが如し、晝は六賊を防ぎ夜は惺惺たり、中軍の主將能く令を行えば、干戈を動かさずして太平を治む」。又曰く、「耕さずして食い蠶せずして衣う、物外の淸閑聖時に適う、未だ祖師の關棙子を透らざれば、亦た須らく意を存して便宜を著くべし」。又曰く、「十二時中工に住する莫れ、窮め來り窮め去りて無窮に到れ、直に須らく無窮の底を洞徹し、須彌第一の峰を踏倒すべし」。建炎初め、徐明叛き、道烏鎮を經て、殺戮を肆にし、民多く逃亡す、老師獨り䇿を荷うて往く。賊其の偉異を見て。疑う必ず詭伏の者と。其の來るを問う。老師曰く、「吾禅者なり、密印寺に抵らんと欲す」。賊怒りて、之を斬らんと欲す。老師曰く、「大丈夫頭を要すれば便ち斫り取れ、奚を以て怒りを為さん。吾死すること必なり、願わくは一の飯を得て以て終を送らん」。賊肉食を奉る、老師常の齋の如く、出生し畢る。乃ち曰く、「孰か當に我の為に文して以て祭るべき」。賊笑いて答えず。老師筆を索めて大書して曰く、「嗚呼、惟れ靈我を勞すること生を以てせば、則ち大塊の過、我を沒すること壽を以てせば、則ち陰陽の失、我を乏しむること貧を以てせば、則ち五行正しからず、我を困ましむること命を以てせば、則ち時日吉ならず、吁なり」。至れり。塵を出づるの道有るを賴む。我が性を悟る。其の妙心と與すれば。則ち其の妙心。孰か與に隣を為さん。上は諸佛の真化に同じく。下は凡夫の無明に合す。纖塵動かず。本より自ら圓成す。妙なり哉。妙なり哉。日月未だ明と為すに足らず。乾坤未だ大と為すに足らず。磊磊落落。罣る無く礙る無し。六十餘年。光和して俗に混ず。四十二腊。逍遙自在。人に逢えば則ち喜び。佛を見て拜せず。笑える哉。笑える哉。惜しむ可し少年の郎。風流太だ光彩なり。坦然として歸り去りて春風に付す。體虚空に似て終に壞れず。尚饗。遂に箸を擧げて饫䬸す。賊徒大笑す。食罷みて。復た曰く、「劫數既に離亂に遭えり、我是れ快活の烈漢。如今正好時に乘ず、便ち一刀兩段を請う」。乃ち大呼して曰く、「斬れ!斬れ!」賊方に駭異し、稽首して過を謝し、衛して出でしむ。烏鎮の廬舍焚を免る。實に師の惠なり。道俗之を聞きて愈々敬う。僧有りて老師の佛を見て拜せざるの歌を睹て。逆らに問いて曰く、「既に佛を見たり、什麼を以て拜せざる」。老師之を掌して曰く、「會するか」。僧曰く、「會せず」。老師又掌して曰く、「家に二の主無し」。紹興庚申の冬、大盆を造り、穴けて之を塞ぎ、書を修めて雪竇持禅師に寄せて曰く、「吾將に水葬せんとす」。壬戌の歲、持至りて、其の尚ほ存するを見る
作偈嘲之曰。咄哉老性空。剛要餧魚鼈。去不索性去。祇管向人說。師閱偈。笑曰。待兄來證明耳。令徧告四眾。眾集。師為說法要。仍說偈曰。坐脫立亡。不若水葬。一省柴燒。二省開壙。撒手便行。不妨快暢。誰是知音。船子和尚。高風難繼百千年。一曲漁歌少人唱。遂盤坐盆中。順潮而下。眾皆隨至海濵。望欲斷目。師取塞。戽水而回。眾擁觀水無所入。復乘流而往。唱曰。船子當年返故鄉。沒蹤跡處妙難量。真風徧寄知音者。鐵笛橫吹作散場。其笛聲嗚咽。頃於蒼茫間。見以笛擲空而沒。眾號慕。圖像事之。後三日。於沙上趺坐如生。道俗爭往迎歸。留五日。闍維。設利大如菽者莫計。二鶴徘徊空中。火盡始去。眾奉設利靈骨。建塔於青龍。
偈を作りて之を嘲って曰く、「咄哉老性空、剛く魚鼈を餧わんと要す、去らば索性に去れ、只管人に向かって説くを」。老師偈を閱して、笑い曰く、「兄の來りて證明するを待つのみ」。遍く四衆に告げしむ。衆集まれば、老師為に法要を説き、仍ほ偈を説いて曰く、「坐脱立亡も、水葬に如かず。一に柴燒を省き、二に圹を開くを省く。手を撒いて便ち行けば、妨げず快暢なり。誰か是れ知音、船子和尚。高風繼ぎ難し百千年、一曲の漁歌唱う人少なし」。遂に盆の中に盤坐し、潮に順いて下る。衆皆な隨いて海濱に至りて、望んで目を斷たんと欲す。老師塞を取りて、水を戽りて回る。衆擁れて觀るに、水入る所無し。復た流に乘りて往きて、唱えて曰く、「船子當年故鄉に返る、蹤跡を沒する處妙量り難し。真風遍く知音の者に寄す、鐵笛橫に吹きて散場と作す」。其の笛聲嗚咽として、頃く蒼茫の間に於て、笛を以て空に擲て沒するを見る。衆號慕し、像を圖して之に事う。後三日、沙の上に於て趺坐して生けるが如し。道俗争いて往きて迎え歸り、五日留む。闍維して、設利菽の如く大なる者計る莫し。二の鶴空中に徘徊し、火盡きて始めて去る。衆設利靈骨を奉りて、靑龍に塔を建つ
嚴州鍾山道隆首座
嚴州鐘山道隆首座
桐廬董氏子。於鍾山寺得度。自遊方所至。耆衲皆推重。晚抵黃龍。死心延為座元。心順世。遂歸隱鍾山。慕陳尊宿高世之風。掩關不事事。日鬻數籰自適。人無識者。手常穿一襪。凡有禪者至。提以示之曰。老僧這襪。著三十年了也。有寺僧戲問。如何是無諍三昧。師便掌。
桐廬董氏の子。鐘山寺に於て度を得たり。自ら方に游び至る所。耆衲皆な推重す。晚く黃龍に抵る。死心延きて座元と為す。心世に順えば、遂に歸りて鐘山に隱る。陳尊宿の世を高うるの風を慕い。關を掩いて事とせず。日に數籰を鬻ぎて自ら適う。人識る者無し。手常に一の襪を穿つ。凡そ禅者至れば有り。提げて以て之に示して曰く、「老僧這の襪、著ること三十年了れり」。寺僧の戲れに問う有り、「如何なるか是れ無諍の三昧」。老師便ち掌す
楊州齊謐首座
楊州齊謐首座
本郡人也。死心稱為飽參。諸儒屢以名山致之。不可。後示化於潭之谷山。異跡頗眾。門人甞繪其像。請贊。為書曰。箇漢灰頭土面。尋常不欲露現。而今寫出人前。大似虗空著箭。怨怨。可惜人間三尺絹。
本郡の人なり。死心飽參と稱す。諸の儒屢々名山を以て之を致せども。可ならず。後に潭の谷山に於て化を示す。異迹頗る衆し。門人嘗て其の像を繪して。贊を請う。為に書して曰く、「個の漢灰頭土面、尋常露現せんを欲せず、而今寫出して人の前に、大いに虚空に箭を著くるに似たり、怨怨、惜しむ可し人間の三尺の絹」
空室道人智通者
空室道人智通なる者
龍圖範珣女也。幼聰慧。長歸丞相蘇頌之孫悌。未幾厭世相。還家求祝髮。父難之。遂清修。因看法界觀。頓有省。連作二偈見意。一曰。浩浩塵中體一如。縱橫交互印毗盧。全波是水波非水。全水成波水自殊。次曰。物我元無異。森羅鏡像同。明明超主伴。了了徹真空。一體含多法。交參帝網中。重重無盡處。動靜悉圓通。後父母俱亡。兄涓領分寧尉。通偕行。聞死心名重。往謁之。心見知其所得。便問。常啼菩薩賣卻心肝。教誰學般若。通曰。你若無心我也休。又問。一雨所滋。根苗有異。無陰陽地上生箇甚麼。通曰。一華五葉。復問。十二時中向甚麼處安身立命。通曰。和尚惜取眉毛好。心打曰。這婦女亂作次第。通禮拜。心然之。於是道聲籍甚。政和間居金陵。甞設浴於保寧。揭榜於門曰。一物也無。洗箇甚麼。纖塵若有。起自何來。道取一句子玄。乃可大家入浴。古靈祇解揩背。開士何曾明心。欲證離垢地時。須是通身汗出。盡道水能洗垢。焉知水亦是塵。直饒水垢頓除。到此亦須洗卻。後為尼。名惟久。掛錫姑蘇之西竺。緇白日夕師問。得其道者頗眾。俄示疾書偈。趺坐而終。有明心錄行於世。
龍圖范珣の女なり。幼にして聰慧。長じて丞相蘇頌の孫悌に歸す。未幾世相を厭い。家に還りて髮を祝ぐを求む。父之を難しとす。遂に淸修す。因りて法界觀を看て。頓に省る所有り。連ねて二偈を作りて意を見す。一に曰く、「浩浩たる塵中體一如、縱橫交互して毘盧を印す、全波是れ水なれど波水に非ず、全水波を成せども水自ら殊なり」。次に曰く、「物我元より異無く、森羅鏡像同じ、明々として主伴を超え、了了として真空を徹す、一體多法を含み、交參して帝網の中、重重無盡の處、動靜悉く圓通」。後に父母俱に亡び、兄涓分寧の尉を領す。通偕に行く。死心名重きを聞きて。往きて之を謁う。心見て其の得る所を知り。便ち問う、「常啼菩薩心肝を賣却して、誰を敎えて般若を學ばしむ」。通曰く、「你若し心無くば我も亦た休まん」。又問う、「一雨の滋す所、根苗異有り、陰陽無き地上個の什麼を生ず」。通曰く、「一華五葉」。復た問う、「十二時中何の處に向かって身を安め命を立つ」。通曰く、「和尚眉毛を惜取して好し」。心打ちて曰く、「這の婦女亂りに次第を作す」。通禮拜し、心之を然とす。於是道の聲籍甚たり。政和の間金陵に居り、嘗て保寧に於て浴を設く。榜を門に揭げて曰く、「一物も無し、個の什麼を洗う、纖塵若し有れば、自ら何より來る、道取せよ一句子玄、乃ち大家浴に入る可し、古靈只だ背を揩るを解し、開士何ぞ曾て心を明らめん、離垢の地を證せんと欲する時は、須らく是れ通身汗出すべし」。盡く道う水能く垢を洗うと。焉んぞ知らん水も亦た是れ塵なるを。直饒水垢頓に除くとも。此に到りて亦た須らく洗却すべし。後に尼と為る。名は惟久。姑蘇の西竺に錫を掛く。緇白日夕老師に問う。其の道を得る者頗る衆し。俄に疾を示して偈を書し、趺坐して終る。《明心錄》有りて世に行わる
黃龍清禪師法嗣
黃龍淸禅師法嗣
潭州上封佛心才禪師
潭州上封佛心才禅師
福州姚氏子。幼得度受具。遊方至大中。依海印隆禪師。見老宿達道者看經。至一毛頭師子。百億毛頭一時現。師指問曰。一毛頭師子作麼生得百億毛頭一時現。達曰。汝乍入叢林。豈可便理會許事。師因疑之。遂發心領淨頭職。一夕汛掃次。印適夜參。至則遇結座。擲拄杖曰。了即毛端吞巨海。始知大地一微塵。師豁然有省。及出閩。造豫章黃龍山。與死心機不契。乃參靈源。凡入室。出必揮淚。自訟曰。此事我見得甚分明。祇是臨機吐不出。若為柰何。靈源知師勤篤。告以須是大徹。方得自在也。未幾。竊觀鄰案僧讀曹洞廣錄。至藥山採薪歸。有僧問。甚麼處來。山曰。討柴來。僧指腰下刀曰。鳴剝剝。是箇甚麼。山㧞刀作斫勢。師忽欣然。摑鄰案僧一掌。揭簾趨出。沖口說偈曰。徹。徹。大海乾枯。虗空迸裂。四方八面絕遮攔。萬象森羅齊漏洩。後分座於真乘。應上封之命。屢遷名剎。住乾元日。開堂示眾曰。百千三昧門。無量福德藏。放行也。如開武庫。錯落交輝。把住也。似雪覆蘆華。通身莫辨。使見之者撩起便行。聞之者單刀直入。箇箇具頂門正眼。人人懸肘後靈符。掃佛祖見知。作叢林殃害。憶得寶壽開堂日。三聖推出一僧。寶壽便打。三聖雲。與麼為人。瞎卻鎮州一城人眼去在。且如乾元今日開堂。或有僧出來。山僧亦打。不唯此話大行。且要開卻福州一城人眼去。何也。劒為不平離寶匣。藥因救病出金缾。上堂。達磨未來東土已前。人人懷媚水之珠。箇箇抱荊山之璞。可謂壁立千仞。及乎二祖禮卻三拜之後。一一南詢諸友。北禮文殊。好不丈夫。或有一箇半箇。不求諸聖。不重己靈。匹馬單鎗。投虗置刃。不妨慶快平生。如今有麼。自是不歸歸便得。五湖煙景有誰爭。上堂。宗乘提唱。妙絕名言。一句該通。乾坤函蓋。直似首羅正眼。竪亞面門。又如圓[○/(○*○)]三點。
福州姚氏の子。幼にして度を得て具を受く。方に游びて大中に至る。海印隆禅師に依る。老宿達道者の經を看るを見る。一毛頭の師子に至る。百億の毛頭一時に現ず。老師指して問いて曰く、「一毛頭の師子作麼生に百億の毛頭一時に現ずるを得る」。達曰く、「汝乍に叢林に入る、豈に可ならん便ち許の事を理會せん」。老師因りて之を疑う。遂に心を發して淨頭の職を領す。一夕汛掃の次。印適づま夜參す。至れば則ち結座に遇う。拄杖を擲て曰く、「了れば則ち毛端巨海を吞み、始めて知る大地是れ一の微塵」。老師豁然として省る所有り、及び閩を出でて、豫章の黃龍山を造りて、死心と機契わず、乃ち靈源に參じ、凡そ室に入れば、出でて必ず涙を揮う。自ら訟して曰く、「此の事我見る所甚だ分明なり、只だ是れ機に臨みて吐き出ださず、若し為ん奈何せん、靈源師の勤篤なるを知り、以て須らく是れ大徹して、方に自在を得るを告ぐ、未幾、竊かに鄰案の僧曹洞の廣錄を讀むを觀て、藥山薪を采りて歸るに至る」。僧の問う有り、「什麼の處より來る」。山曰く、「柴を討りて來る」。僧腰の下の刀を指して曰く、「鳴剥剥、是れ個の什麼ぞ、山刀を㧞きて斫るの勢を作す」。老師忽ち欣然たり。鄰案の僧を掴みて一掌す。簾を揭げて趨り出づ。口を冲きて偈を説いて曰く、「徹、徹、大海枯乾し、虚空迸裂し、四方八面遮攔を絶ち、萬象森羅齊しく漏泄す」。後に真乘に於て座を分かち、上封の命に應え、屢々名刹に遷り、乾元を住する日。堂を開きて衆に示して曰く、「百千の三昧門、無量の福德藏、放行するや、武庫を開くが如く、錯落として交輝し、把住するや、雪の蘆華を覆うに似て、通身辨うる莫し、見る者をして撩起して便ち行かしめ、聞く者をして單刀直入せしむ」。個個頂門の正眼を具え。人人肘の後の靈符を懸く。佛祖の見知を掃い。叢林の殃害と作す。憶い得たり寶壽の堂を開く日。三聖一僧を推出す。寶壽便ち打つ。三聖云う。恁麼に人を為す。鎮州一城の人の眼を瞎却して去らんと在り。且く如く乾元今日堂を開く。或いは僧出で來らば。山僧亦た打たん。唯だ此の話大いに行わるるのみならず。且く要る福州一城の人の眼を開却して去らん。何ぞ。劍不平の為に寶匣を離れ。藥病を救うに因りて金缾を出づ。上堂、「達磨未だ東土に來らざる已前、人人媚水の珠を懷き、個個荆山の璞を抱く、謂うべし壁立千仞、及んで二祖禮して三拜を却けて之後、一一南に諸友を詢え、北に文殊を禮す、好かずや丈夫、或いは一個半個有りて、諸聖を求めず」。己が靈を重んぜず。匹馬單鎗。虚に投じ刃を置く。妨げず慶快して平生す。如今有るか。自ら是れ歸らず歸れば便ち得たり。五湖の烟景争う者誰か有らん。上堂、「宗乘の提唱、妙名言を絶し、一句該通して、乾坤函蓋す、直に首羅の正眼に似て、面門に竪亜し、又圓の如し[○/(○*○)]三點」
橫該法界。乃卓拄杖曰。向這一點下明得。出身猶可易。脫體道應難。又卓拄杖曰。向第二點下明得。縱橫三界外。隱顯十方身。又卓拄杖曰。向第三點下明得。魚龍鎻戶。佛祖潛蹤。不然。放過一著。隨分有春色。一枝三四華。上堂。一法有形該動植。百川湍激競朝宗。昭琴不鼓雲天淡。想像毗耶老病翁。維摩病則上封病。上封病則拄杖子病。拄杖子病。則森羅萬象病。森羅萬象病。則凡之與聖病。諸人還覺病本起處麼。若也覺去。情與無情同一體。處處皆同真法界。其或未然。甜瓜徹蔕甜。苦瓠連根苦。
法界を橫該す。乃ち拄杖を卓して曰く、「這の一點の下に向かって明得すれば、身を出だす猶ほ易し、體を脱し道う應に難し」。又拄杖を卓して曰く、「第二點の下に向かって明得すれば、縱橫三界の外、隱顯十方の身」。又拄杖を卓して曰く、「第三點の下に向かって明得すれば、魚龍戶を鎻し、佛祖蹤を潜む、然らざれば、一著を放過して、分に隨いて春色有り、一枝三四の華」。上堂、「一法形有りて動植を該し、百川湍激して朝宗を競う、昭琴鼓せずして雲天淡く、想像す毘耶の老病翁、維摩病めば則ち上封病み、上封病めば則ち拄杖子病み、拄杖子病めば、則ち森羅萬象病み、森羅萬象病めば、則ち凡と聖と與に病む」。諸人還た覺えるか病本の起く處を。若しも覺えて去らば。情と無情と同じ一體。處處皆な真法界に同じ。其れ或いは未然ならば。甜瓜蔕を徹して甜く。苦瓠根に連ねて苦し
隆興府黃龍德逢通照禪師
隆興府黃龍德逢通照禅師
郡之靖安胡氏子。生有龐眉。年十七。從上藍晉禪師落髮。往依靈源。即明深旨。上堂。舉夾山境話。師曰。法眼徒有此語。殊不知夾山老漢被這僧輕輕拶著。直得腳前腳後。設使不作境話會。未免猶在半途。
郡の靖安胡氏の子。生れて龐眉有り。年十七。上藍晉禅師に從いて髮を落とす。往きて靈源に依る。即ち深旨を明らむ。上堂、「夾山の境の話を擧ぐ」。老師曰く、「法眼徒らに此の語有り、殊に知らず夾山の老漢這の僧に輕々と拶せられて、直に脚前脚後を得たるを、設使境の話を會と作さずとも、未免猶ほ半途に在らん」
潭州法輪應端禪師
潭州法輪應端禅師
南昌徐氏子。少依化度善月。圓顱登具。謁真淨文禪師。機不諧。至雲居。會靈源分座。為眾激昂。師扣其旨。然以妙入諸經自負。源甞痛劄之。師乃援馬祖百丈機語。及華嚴宗旨為表。源笑曰。馬祖百丈固錯矣。而華嚴宗旨與箇事喜沒交涉。師憤然欲他往。因請辭。及揭簾。忽大悟。汗流浹背。源見乃曰。是子識好惡矣。馬祖.百丈.文殊.普賢幾被汝帶累。由此譽望四馳。名士夫爭挽應世。皆不就。政和末。太師張公司成以百丈堅命開法。師不得已。始從。上堂。舉大隋劫火洞然話。遂曰。六合傾飜劈面來。暫披麻縷混塵埃。因風吹火渾閑事。引得遊人不肯回。壞不壞。隨不隨。徒將聞見強針錐。太湖三萬六千頃。月在波心說向誰。僧問。如何是賓中賓。師曰。芒鞋竹杖走紅塵。曰。如何是賓中主。師曰。十字街頭逢上祖。曰。如何是主中賓。師曰。御馬金鞭混四民。曰。如何是主中主。師曰。金門誰敢擡眸覷。曰。賓主已蒙師指示。向上宗乘又若何。師曰。昨夜霜風刮地寒。老猿嶺上啼殘月。
南昌徐氏の子。少にして化度善月に依る。圓顱具に登る。真淨文禅師を謁う。機諧らず。雲居に至る。會す靈源座を分かつ。衆の為に激昂す。老師其の旨を扣く。然れども妙を以て諸經に入るを自負す。源嘗て痛く之を札す。老師乃ち馬祖百丈の機語を援け。及び華嚴の宗旨を以て表と為す。源笑い曰く、「馬祖百丈固より錯れり、而れ華嚴の宗旨個の事と喜ばず交涉無し」。老師憤然として他に往かんと欲し、因りて辭を請い、及び簾を揭げて、忽ち大悟、汗流れて背を浹す。源見て乃ち曰く、「是の子好惡を識り矣、馬祖.百丈.文殊.普賢幾ほどに汝に帶累せられん、此に由りて譽望四に馳せ、名士夫争いて世に應ぜんを挽ぐも、皆な就かず」。政和の末、太師張公司成百丈を以て堅く法を開くを命ず、老師已むを得ず、始めて從う。上堂、「大隋の劫火洞然の話を擧ぐ」。遂に曰く、「六合傾飜して面を劈いて來り、暫く麻縷を披きて塵埃に混ず、風に因りて火を吹くは渾て閑の事、引きて游人肯じて回らず、壞るか壞れざるか、隨うか隨わざるか、徒らに聞見を將て強いて針錐す、太湖三萬六千頃、月波の心に在りて誰に向かって説かん」。僧問う、「如何なるか是れ賓中の賓」。老師曰く、「芒鞋竹杖紅塵を走る」。曰く、「如何なるか是れ賓中の主」。老師曰く、「十字街頭上祖に逢う」。曰く、「如何なるか是れ主中の賓」。老師曰く、「御馬金鞭四民に混ず」。曰く、「如何なるか是れ主中の主」。老師曰く、「金門誰か敢えて眸を擡げて覗わん」。曰く、「賓主已に老師の指示を蒙る、向上の宗乘又若何」。老師曰く、「昨夜霜風地を刮りて寒し、老猿嶺の上殘月に啼く」
東京天寧長靈守卓禪師
東京天寧長靈守卓禅師
泉州莊氏子。上堂曰。三千劍客。獨許莊周。為甚麼跳不出。良醫之門多病人。因甚麼不消一劄。已透關者。更請辯看。上堂。譬如眼根。不自見眼。性自平等。無平等者。便恁麼去。無孔鐵鎚。聊且安置。直得入林不動草。入水不動波。也是一期方便。若也籬內竹抽籬外筍。㵎東華發㵎西紅。更待勘過了。打。僧問。丹霞燒木佛。院主為甚麼眉鬚墮落。師曰。貓兒會上樹。曰。早知如是。終不如是。師曰。惜取眉毛。問。如何是衲衣下事。師曰。天旱為民愁。問。佛未出世時如何。師曰。絕毫絕𨤲。曰出世後如何。師曰。填溝塞壑。曰。出與未出。相去幾何。師曰。人平不語。水平不流。上堂。平高就下。勾賊破家。截鐵斬釘。狐狸戀窟。總不恁麼。合作麼生。所以道。萬仞崖頭親撒手。須是其人。祇如香積國中持缽一句。作麼生道。良久曰。切忌風吹別調中。上堂。釋迦掩室。過犯彌天。毗耶杜詞。自救不了。如何如何。口門太小。宣和五年十二月二十七日。奄然示寂。闍維日。皇帝遣中使賜香。持金盤求設利。爇香罷。盤中鏗然。視之五色者數顆。大如豆。使者持還。上見大悅。
泉州莊氏の子。上堂曰く、「三千の劍客、獨り莊周を許す、什麼を以てか跳び出づる能わず、良醫の門病人多し、因りて什麼を以てか一札を消せざる、已に關を透る者、更に辨えて看るを請う」。上堂、「譬えば眼根、自ら眼を見ず、性自ら平等にして、平等なる者無し、便ち恁麼に去れば、孔無き鐵鎚、聊か且く安置す、直に林に入りて草を動かさず、水に入りて波を動かさざるを得るも、亦た是れ一期の方便」。若しも籬の内の竹籬の外の筍を抽ぜば。㵎の東華發き㵎の西紅なり。更に勘過を待ちて。打つ。僧問う、「丹霞木佛を燒く、院主什麼を以てか眉鬚墮落せし」。老師曰く、「猫兒會して樹に上る」。曰く、「早く知らば是の如く、終に是の如くならず」。老師曰く、「眉毛を惜取せよ」。問う、「如何なるか是れ衲衣の下の事」。老師曰く、「天旱みて民の為に愁う」。問う、「佛未だ世に出ざる時如何」。老師曰く、「毫を絶ち𨤲を絶つ、世に出でて後如何と説く」。老師曰く、「溝を填め壑を塞ぐ」。曰く、「出と未出と、相去ること幾何ぞ」。老師曰く、「人平かなれば語らず、水平らかなれば流れず」。上堂、「平を高くし下に就き、賊を勾して家を破り、鐵を截り釘を斬り、狐狸窟を戀い、總て恁麼ならず、合作麼生せん、所以に道う、萬仞の崖頭親しく手を撒く、須らく是れ其人なれ、只だ如く香積國の中鉢を持する一句」。作麼生に道わん。良久して曰く、「切に風別調の中に吹くを忌めよ」。上堂、「釋迦室を掩い、過犯天に彌んぬ、毘耶詞を杜い、自ら救いて了せず、如何如何、口門太だ小さし」。宣和五年十二月二十七日、奄然として寂を示し、闍維の日、皇帝中使を遣して香を賜わしむ。金盤を持して設利を求む。香を爇き罷む。盤中鏗然たり。之を視れば五色なる者數顆。大きさ豆の如し。使者持ちて還る。上見て大いに悅ぶ
信州博山無隱子經禪師
信州博山無隱子經禅師
歲旦。上堂。和氣生枯枿。寒雲散遠郊。木人占吉兆。夜半露龜爻。諸禪德。龜爻露處。文彩已彰。便見一年十二月。月月如然。一日十二時。時時相似。到這裡直似黃金之黃。白玉之白。自從曠大劫來。未甞異色。還見麼。其或未然。且狥張三通節序。從教李四鬢蒼浪。
歲旦。上堂、「和氣枯枿に生じ、寒雲遠郊に散ず、木人吉兆を占い、夜半龜爻を露わす、諸の禅德、龜爻露わす處、文彩已に彰れ、便ち見る一年十二月、月月然るが如し」。一日十二時。時時相似たり。這裏に到りて直に黄金の黄、白玉の白に似たり。自ら曠大劫より來りて。未甞異色せず。還た見るか。其れ或いは未然ならば。且く張三に狥いて節序を通じ。教に從い李四鬢蒼浪ならしめよ
隆興府百丈以棲禪師
隆興府百丈以栖禅師
興化人也。上堂。摩騰入漢。達磨來梁。途轍既成。後代兒孫開眼迷路。若是箇惺惺底。終不向空裡採華。波中捉月。謾勞心力。畢竟何為。山僧今日已是平地起骨堆。諸人行時。各自著精彩看。
興化の人なり。上堂、「摩騰漢に入り、達磨梁に來る、途轍既に成りて、後代の兒孫眼を開きて路に迷う、若し是れ個の惺惺の底ならば、終に空の裏に華を采らず、波の中に月を捉えず、謾りに心力を勞せず、畢竟何をか為す、山僧今日已に是れ平地に骨堆を起こす」。諸人行く時。各々自ら精彩を著けて看よ
邵州光孝曇清禪師
邵州光孝曇淸禅師
