五燈會元巻第七
潭州雲蓋用清禪師
潭州雲蓋用淸禪師
河州趙氏子。僧問。有一人在萬丈井底。如何出得。師曰。且喜得相見。曰。恁麼則穿雲透月去也。師曰。三十三天事。作麼生。僧無對。師曰。謾語作麼。問。如何是雲葢境。師曰。門外三泉井。曰。如何是境中人。師曰。童行仔子。有頌示眾曰。雲葢鎻口訣。擬議皆腦裂。拍手趂虗空。雲露西山月。僧問。如何是鎻口訣。師曰。徧天徧地。曰。恁麼則石人點頭。露柱拍手去也。師曰。一缾淨水一爐香。曰。此猶是井底蝦蟇。師曰。勞煩大眾。師常節飲食。隨眾二時。但展缽而已。或逾年月。亦不調練服餌。無妨作務。有請必開。即便飽食而亡拘執。至道二年四月二日。示疾而逝。
河州趙氏の子。僧が問うた:「一人在りて萬丈の井底に在り、如何にか出づることを得ん。」師は言った:「且く相見ることを得たるを喜べ。」僧は言った:「そうすれば雲を穿ち月を透って去りました。」師は言った:「三十三天の事、作麼生。」僧は對無し。師は言った:「謾語して作麼。」問うた:「どうして雲蓋の境ですか。」師は言った:「門外の三泉井。」僧は言った:「どうして境中の人ですか。」師は言った:「童行の仔子。」頌有りて衆に示して言った:「雲蓋の鎖口訣、擬議する皆な腦裂す。拍手して虛空に趁わせ、雲露は西山の月。」僧が問うた:「どうして鎖口訣ですか。」師は言った:「天を遍め地を遍め。」僧は言った:「そうすれば石人は頭を點じ、露柱は拍手して去りました。」師は言った:「一瓶の淨水一爐の香。」僧は言った:「此れ猶是れ井底の蝦蟆。」師は言った:「大衆に勞煩す。」師は常に飲食を節し、衆に隨って二時に、但だ鉢を展ぶのみ。或いは年月を逾ゆるも、亦た調練服餌せず、作務を妨げず。請有れば必ず開き、即便ち飽食して亡く拘執せず。至道二年四月二日、疾を示して逝った。
雲居錫禪師法嗣
雲居錫禪師法嗣
台州般若從進禪師
臺州般若從進禪師
僧問。古㵎寒泉時如何。師曰。切忌飲著。曰。飲著又如何。師曰。喪卻汝性命。
僧が問うた:「古澗の寒泉の時はいかに。」師は言った:「切に飲み著くを忌む。」僧は言った:「飲み著けば又た如何。」師は言った:「あなたの性命を喪し却す。」
越州清化志超禪師
越州淸化志超禪師
僧問。如何是佛。師曰。汝是甚麼人。曰。莫便是也無。師曰。是即沒交涉。
僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「あなたは何人か。」僧は言った:「便ち是れならざるを莫し。」師は言った:「是なれば沒交涉。」
青原下十一世
靑原下十一世
長壽彥禪師法嗣
長壽彦禪師法嗣
蘇州長壽法齊禪師
蘇州長壽法齊禪師
婺州人。始講明門。因明二論。尋置遊方。受心印於廣法禪師。節使錢仁奉禮。請繼廣法住持。開堂日。有百法座主問。令公請命。四眾雲臻。向上宗乘。請師舉唱。師曰。百法明門論。曰。畢竟作麼生。師曰。一切法無我。問。城東老母與佛同生。為甚麼卻不見佛。師曰。不見即道。曰。恁麼則見去也。師曰。城東老母與佛同生。
婺州の人。始め明門、因明の二論を講じた。尋ぎて置いて方を遊んで、廣法禪師に心印を受けた。節使の錢仁が禮を奉り、請うて廣法に繼いで住持せしめた。開堂の那の日、百法座主有りて問うた:「令公請命して、四衆雲臻す。向上の宗乘、師に擧唱せんことを請う。」師は言った:「百法明門論。」僧は言った:「畢竟に作麼生。」師は言った:「一切法は我無し。」問うた:「城東の老母は佛と生を同じくせり、何の故に却って佛を見ざる。」師は言った:「見ざれば即ち道う。」僧は言った:「そうすれば見るに去りました。」師は言った:「城東の老母は佛と生を同じくせり。」
雲居齊禪師法嗣
雲居齊禪師法嗣
南康雲居契瓌禪師
南康雲居契瓌禪師
僧問。路逢死蛇莫打殺。無底籃子盛將歸。未審師還受也無。師曰。你甚麼處得來。曰。恁麼則不虗施也。師曰。卻且提取去。問。如何是佛。師曰。讚歎不及。曰。莫祇這箇便是麼。師曰。不令人讚歎。
僧が問うた:「路に死蛇に逢えば打殺すな、底無き籃子に盛り將りて歸れ。未だ審かならず師は還た受けるか無しや。」師は言った:「あなたは何の處より得て來りし。」僧は言った:「そうすれば虛施ならず。」師は言った:「却って且く提げ取りて去れ。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「讚歎は及ばず。」僧は言った:「只だ此箇は便ち是れならざるを莫し。」師は言った:「人をして讚歎せしめず。」
杭州靈隱文勝慈濟禪師
杭州靈隱文勝慈濟禪師
僧問。古鑑未磨時如何。師曰。古鑑。曰。磨後如何。師曰。古鑑。曰。未審分不分。師曰。更照看。問。如何是和尚家風。師曰。莫訝荒疎。曰。忽遇客來作麼生。師曰。吃茶去。
僧が問うた:「古鑑未だ磨かざる時はいかに。」師は言った:「古鑑。」僧は言った:「磨いた後はいかに。」師は言った:「古鑑。」僧は言った:「未だ審かならず分かれるや分かれざるや。」師は言った:「更に照看せよ。」問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「荒疏を訝しむな。」僧は言った:「忽ち客に遇い來らば作麼生。」師は言った:「茶を喫して去れ。」
明州瑞巖義海禪師
明州瑞岩義海禪師
霅川人也。造雲居法席。居問。甚麼物恁麼來。師於言下大悟。遂有頌曰。雲居甚麼物。問著頭恍惚。直下便承當。猶是生埋沒。出世住報本。僧問。如何是祖師西來意。師曰。若到諸方。但道報本不解答話。問。如何是和尚家風。師曰。無忌諱。曰。忽遇觸忤。又且如何。師曰。不解作客。勞煩主人。問。釋迦掩室於摩竭。淨名杜口於毗耶。未審如何示眾。師曰。汝不欲我開談。曰。未曉師機。師曰。且退。問。如何是無位真人。師曰。這裡無安排你處。
霅川の人。雲居の法席に造る。雲居が問うた:「何物か此の如く來る。」師は言下に大いに悟りて、就ち頌有りて言った:「雲居の何物か、問い著けば頭は恍惚。直下に便ち承當せば、猶是れ生まれて埋没せり。」出世して報本に住した。僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「若し諸方に到らば、但だ報本は答話を解せずと道え。」問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「忌諱無し。」僧は言った:「忽ち觸忤に遇えば、又た且く如何。」師は言った:「客を作すを解せず、主人に勞煩せしむ。」問うた:「釋迦は摩竭に於て室を掩い、淨名は毗耶に於て口を杜げたり。未だ審かならず如何に衆に示す。」師は言った:「あなたは我に談を開かせんことを欲せず。」僧は言った:「未だ師の機を曉らず。」師は言った:「且く退け。」問うた:「どうして無位の真人ですか。」師は言った:「此の裡にあなたを安排する處無し。」
明州廣慧志全禪師
明州廣慧志全禪師
上堂。僧問。如何是衲僧本分事。師曰。你莫鈍置我。僧禮拜。師曰。卻是大眾鈍置闍黎。便下座。問。賊不打貧兒家時如何。師曰。說向人也不信。僧曰。恁麼則禮拜而退。師曰。得箇甚麼。
上堂。僧が問うた:「どうして衲僧の本分事ですか。」師は言った:「あなたは我を鈍置するな。」僧は礼拜した。師は言った:「却って是れ大衆が闍黎を鈍置する。」便ち座を下りた。問うた:「賊は貧兒の家を打たざる時はいかに。」師は言った:「人に向かって説くも亦た信ぜず。」僧は言った:「そうすれば礼拜して退きます。」師は言った:「箇の何を得た。」
明州大梅保福居煦禪師
明州大梅保福居煦禪師
僧問。古人面壁。意旨如何。師曰。但恁麼會。曰。未審如何領會。師曰。禮拜著。
僧が問うた:「古人の面壁、意旨如何。」師は言った:「但だ此の如く會せ。」僧は言った:「未だ審かならず如何に領會せん。」師は言った:「礼拜著けよ。」
處州南明惟宿禪師
處州南明惟宿禪師
僧問。法法不隱藏。古今常顯露。如何是顯露底法。師曰。見示大眾。曰。恁麼則學人謹退也。師曰。知過必改。
僧が問うた:「法法は隱藏せず、古今常に顯露す。どうして顯露の法ですか。」師は言った:「大衆に示して見よ。」僧は言った:「そうすれば學人謹み退きました。」師は言った:「過を知れば必ず改めよ。」
荊門軍清溪清禪師
荊門軍淸溪淸禪師
僧問。古路坦然。如何履踐。曰。你是行腳僧。
僧が問うた:「古路坦然たり、如何に履踐せん。」師は言った:「あなたは是れ行脚僧。」
支提隆禪師法嗣
支提隆禪師法嗣
杭州靈隱玄本禪師
杭州靈隱玄本禪師
僧問。蚌含未剖時如何。師曰。光從何來。問。臨濟入門便喝。德山入門便棒。此意如何。師曰。天晴不肯去。師見僧看經。乃問。看甚麼經。僧無語。乃示頌曰。看經不識經。徒勞損眼睛。欲得不損眼。分明識取經。
僧が問うた:「蚌含は未だ剖かざる時はいかに。」師は言った:「光は何より來る。」問うた:「臨濟は門に入れば便ち喝し、德山は門に入れば便ち棒とす。此の意は如何。」師は言った:「天晴れば去るを肯ぜず。」師は僧の經を看るを見て、就ち問うた:「何の經を看る。」僧は語無し。就ち頌を示して言った:「經を看るも經を識らず、徒らに眼睛を損す。眼を損せざらんと欲せば、分明に經を識取せよ。」
羅漢林禪師法嗣
羅漢林禪師法嗣
臨江軍慧力院紹珍禪師
臨江軍慧力院紹珍禪師
僧問。金鷄未鳴時如何。師曰。是何時節。曰。鳴後如何。師曰。卻不知時。問。師子未出窟時如何。師曰。在那裡。曰。出窟後如何。師曰。且走。
僧が問うた:「金鷄未だ鳴かざる時はいかに。」師は言った:「是れ何の時節か。」僧は言った:「鳴いた後はいかに。」師は言った:「却って時を知らず。」問うた:「獅子未だ窟を出でざる時はいかに。」師は言った:「那の裡に在り。」僧は言った:「窟を出でた後はいかに。」師は言った:「且く走れ。」
洪州大寧院慶𤧚禪師
洪州大寧院慶𤧚禪師
僧問。道泰不傳天子令。時人盡唱太平歌。未審師今意旨如何。師曰。山僧罪過。問。如何是佛。師曰。須彌山。上堂。生死涅槃。猶如昨夢。且道三世諸佛。釋迦老子有甚麼長處。雖然如是。莫錯會好。拍手一下。便下座。問。承古有言。東山西嶺青。未審意旨如何。師曰。東山西嶺青。雨下卻天晴。更問箇中意。鵓鳩生鷂鷹。
僧が問うた:「道泰にして天子の令を傳えず、時人盡く太平歌を唱う。未だ審かならず師の今の意旨は如何。」師は言った:「山僧罪過。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「須彌山。」上堂:「生死涅槃は、猶お昨夢のごとし。且く道え、三世の諸佛、釋迦老子に何の長處有るか。然りと雖も是の如しと雖も、錯會するな好し。」手を拍つこと一下、便ち座を下りた。問うた:「古に言有りと承る、東山西嶺は青なり、と。未だ審かならず意旨は如何。」師は言った:「東山西嶺は青なり、雨下りて却って天晴る。更に箇中の意を問わば、鵓鳩は鷂鷹を生ず。」
功臣軻禪師法嗣
功臣軻禪師法嗣
蘇州堯峰顥暹禪師
蘇州堯峰顥暹禪師
