五燈會元卷第十
京兆府蜆子和尚
京兆府蜆子和尚
不知何許人也。事蹟頗異。居無定所。自印心於洞山。混俗閩川。不畜道具。不循律儀。冬夏唯披一衲。逐日沿江岸採掇鰕蜆。以充其腹。暮即宿東山白馬廟紙錢中。居民目為蜆子和尚。華嚴靜禪師聞之。欲決真假。先潛入紙錢中。深夜師歸。嚴把住曰。如何是祖師西來意。師遽答曰。神前酒臺盤。嚴放手曰。不虗與我同根生。嚴後赴莊宗詔入長安。師亦先至。每日歌唱自拍。或乃佯狂泥雪。去來俱無蹤跡。厥後不知所終。
何の許の人か知らず。事蹟は頗る異なり。居に定所無し。洞山に於て心を印してより、閩川に俗を混し、道具を畜わず、律儀を循わず。冬夏唯だ一衲を披き、日を逐うて江岸に沿い鰕蜆を采掇し、以て其の腹を充たす。暮は即ち東山白馬廟の紙銭の中に宿す。居民は目して蜆子和尚と為す。華厳静禅師之を聞き、真仮を決せんと欲し、先に潜かに紙銭の中に入れたり。深夜、師、師帰る。厳は把住して言った。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は遽かに答えて言った。「神前の酒台盤。」厳は手を放して言った。「我と同根に生まれたるは虚ならず。」厳は後に莊宗の詔に赴きて長安に入る。師も亦先に至った。每日歌唱し自ら拍す。或いは乃ち狂を佯りて泥雪す。去来共に踪跡無し。厥後、終わる所を知らず。
台州幽棲道幽禪師
台州幽栖道幽禅師
鏡清問。如何是少父。師曰。無標的。曰。無標的以為少父邪。師曰。有甚麼過。曰。祇如少父作麼生。師曰。道者是甚麼心行。問。如何是佛。師曰。汝不信是眾生。曰。學人大信。師曰。若作勝解。即受群邪。問。如何是道。師曰。但有路可上。更高人也行。曰。如何是道中人。師曰。解驅雲裡信。師一日齋時。入堂白槌曰。白大眾。眾舉頭。師曰。且吃飯。師將示滅。僧問。和尚百年後向甚麼處去。師曰。迢然。迢然。言訖坐亡。
鏡清が問うた。「如何なるか是れ少父。」師は言った。「標的無し。」言った。「標的無きを以て少父と為すか。」師は言った。「何の過か有らん。」言った。「只如く少父は作麼生。」師は言った。「道者は何の心行ぞ。」問う。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「汝は是れ衆生と信ぜず。」言った。「学人大いに信す。」師は言った。「若し勝解と作さば、即ち群邪を受く。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「但だ上る可き路有れば、更高き人も行く。」言った。「如何なるか是れ道中の人。」師は言った。「雲裏の信を駆るを解す。」師が一日齋の時、堂に入りて白槌して言った。「大衆に白す。」衆が頭を挙げた。師は言った。「且く飯を喫せ。」師は将に示滅せんとす。僧が問うた。「和尚百年の後、何の処に向かって去る。」師は言った。「迢然、迢然。」言い訖りて坐亡した。
越州乾峰和尚
越州乾峰和尚
上堂。法身有三種病。二種光。須是一一透得。始解歸家穩坐。須知更有向上一竅在。雲門出。問。庵內人為甚麼不知庵外事。師呵呵大笑。門曰。猶是學人疑處。師曰。子是甚麼心行。門曰。也要和尚相委。師曰。直須與麼始解穩坐。門應喏喏。上堂。舉一不得舉二。放過一著。落在第二。雲門出眾曰。昨日有人從天台來。卻往徑山去。師曰。典座來日不得普請。便下座。問僧。甚處來。曰。天台。師曰。見說石橋作兩段。是否。曰。和尚甚處得這消息來。師曰。將謂華頂峰前客。元是平田莊裡人。問。如何得出三界去。師曰。喚院主來。趂出這僧著。師問。眾僧輪回六趣。具甚麼眼。眾無對。僧問。如何是超佛越祖之談。師曰。老僧問聻。曰。和尚問則且置。師曰。老僧問尚不奈何。說甚麼超佛越祖之談。問。十方薄伽梵。一路涅槃門。未審路頭在甚麼處。師以拄杖畫雲。在這裡(僧後請益雲門。門拈起扇子云。扇子𨁝跳上三十三天。築著帝釋鼻孔。東海鯉魚打一棒。雨似盆傾。會麼)。
上堂して言った。「法身に三種の病有り、二種の光有り、須く是れ一一透得して、始めて家に帰りて穏坐することを解す。須知すべし、更に向上の一竅有るを。」雲門が出て問うた。「庵内の人はなぜ庵外の事を知らざる。」師は呵呵と大笑した。門は言った。「猶お是れ学人の疑う処。」師は言った。「子は何の心行ぞ。」門は言った。「また要す和尚の委ねることを。」師は言った。「直に須く恁麼にして始めて穏坐することを解す。」門は喏喏と応えた。上堂して言った。「一を挙げて二を挙げるを得ず、一著を放過すれば、第二に落ちん。」雲門が衆を出て言った。「昨日、人有りて天台山より来り、却って径山に往く。」師は言った。「典座は来日普請するを得ず。」便ち座を下りた。僧に問うた。「甚の処より来た。」言った。「天台。」師は言った。「石橋が両段を作すと説くを見るや、是か否か。」言った。「和尚は甚の処にこの消息を得て来た。」師は言った。「将に謂う華頂峰前の客、元是れ平田荘裏の人。」問う。「如何にして三界を出でん。」師は言った。「院を呼びて来たれ、この僧を趂出して着け。」師が問うた。「衆僧は六趣に輪廻す、何の眼を具する。」衆は対えず。僧が問うた。「如何なるか是れ超仏越祖の談。」師は言った。「老僧が問う。」言った。「和尚の問うは且く置く。」師は言った。「老僧が問うて尚ほ奈何ともせず、何の超仏越祖の談をか説かん。」問う。「一路涅槃の門、未だ審らかならず路頭は何の処にか在る。」師は拄杖を以て画いて云う。「這裏に在り。」(僧は後に雲門に請益す。門は扇子を拈起して云う。扇子が𨁝跳して三十三天に上り、帝釈の鼻孔に築き着く。東海の鯉魚が一棒を打つ。雨は盆を傾くるが如し。会するか。)
吉州禾山和尚
吉州禾山和尚
僧問。學人慾伸一問。師還答否。師曰。禾山答汝了也。問。如何是西來意。師曰。禾山大頂。問。如何是和尚家風。師曰。滿目青山起白雲。曰。或遇客來。如何祇待。師曰。滿盤無味醍醐果。問。無言童子居何國土。師曰。當軒木馬嘶風切。
僧が問うた。学人は一問を伸ばんと欲す、師は還た答えるや否や。師は言った。「禾山は汝に答え了んぬ。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「禾山の大頂。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「満目は青山に白雲を起こす。」言った。「或いは客の来るに遇わば、如何に只だ待つ。」師は言った。「満盤に味無き醍醐の果。」問う。「無言の童子は何の国土に居る。」師は言った。「軒に当たりて木馬が風に嘶くこと切なり。」
明州天童鹹啟禪師
明州天童咸啓禅師
問伏龍。甚處來。曰。伏龍來。師曰。還伏得龍麼。曰。不曾伏這畜生。師曰。且坐吃茶。簡大德問。學人卓卓上來。請師的的。師曰。我這裡一屙便了。有甚麼卓卓的的。曰。和尚恁麼答話。更買草鞋行腳好。師曰。近前來。簡近前。師曰。祇如老僧恁麼答。過在甚麼處。簡無對。師便打。問。如何是本來無物。師曰。石潤元含玉。鑛異自生金。問。如何是真常流注。師曰。涓滴無移。
伏龍に問うた。「甚の処より来た。」言った。「伏龍より来た。」師は言った。「還た龍を伏するを得たか。」言った。「曾てこの畜生を伏せず。」師は言った。「且く坐して茶を喫せ。」簡大徳が問うた。「学人は卓卓として上り来た、請う師の的的を。」師は言った。「我ここは一屙に便ち了ぢ、何の卓卓的的か有らん。」言った。「和尚が恁麼に答話すれば、更に草鞋を買いて行脚すること好し。」師は言った。「近く前来れ。」簡が近づき前した。師は言った。「只如く老僧が恁麼に答うるに、過は何の処にか在る。」簡は対えず。師は便ち打った。問う。「如何なるか是れ本来無物。」師は言った。「石は潤いて元より玉を含み、鑛は異なりて自ら金を生ず。」問う。「如何なるか是れ真常流注。」師は言った。「涓滴に移る無し。」
潭州寶蓋山和尚
潭州宝蓋山和尚
僧問。一間無漏舍。合是何人居。師曰。無名不掛體。曰。還有位也無。師曰。不處。問。如何是寶蓋。師曰。不從人天得。曰。如何是寶蓋中人。師曰。不與時人知。曰。佛來時如何。師曰。覓他路不得。問。世界壞時。此物何處去。師曰。千聖尋不得。曰。時人如何歸向。師曰。直須似他去。曰。還有的當也無。師曰。不立標則。問。不居正位底人。如何行履。師曰。紅焰叢中駿馬嘶。
僧が問うた。「一間無漏の舎、合には是れ何の人の居るぞ。」師は言った。「名無くして体に挂からず。」言った。「還た位有るや無しや。」師は言った。「処せず。」問う。「如何なるか是れ宝蓋。」師は言った。「人天より得ず。」言った。「如何なるか是れ宝蓋中の人。」師は言った。「時人と知らず。」言った。「仏の来る時如何。」師は言った。「他の路を覓むるを得ず。」問う。「世界壊るる時、此の物は何の処にか去る。」師は言った。「千聖も尋ね得ず。」言った。時人は如何に帰向せん。師は言った。「直に須く他に似て去るべし。」言った。「還た的当有るや無しや。」師は言った。「標則を立てず。」問う。「正位に居らざる人、如何に行履せん。」師は言った。「紅焔叢中に駿馬嘶く。」
澧州欽山文邃禪師
澧州欽山文邃禅師
福州人也。少依杭州大慈山寰中禪師受業。時巖頭.雪峰在眾。覩師吐論。知是法器。相率遊方。二大士各承德山印記。師雖屢激揚。而終然凝滯。一日。問德山曰。天皇也恁麼道。龍潭也恁麼道。未審和尚作麼生道。山曰。汝試舉天皇龍潭道底看。師擬進語。山便打。師被打歸延壽堂。曰。是則是。打我太煞。巖頭曰。汝恁麼道。他後不得道見德山來(法眼別雲。是則是錯打我)。後於洞山言下發解。乃為之嗣。年二十七。止於欽山。對大眾前自省過。舉參洞山時語。山問。甚麼處來。師曰。大慈來。曰。還見大慈麼。師曰。見。曰。色前見。色後見。師曰。非色前後見。洞山默置。師乃曰。離師太早。不盡師意(法眼雲。不盡師意。不易承嗣得他)。僧問。如何是祖師西來意。師曰。梁公曲尺。誌公剪刀。問。一切諸佛及諸佛法。皆從此經出。如何是此經。師曰。常轉。曰。未審經中說甚麼。師曰。有疑請問。問。如何是和尚家風。師曰。錦繡銀香囊。風吹滿路香。巖頭聞。令僧去雲。傳語十八子。好好事潘郎。有僧寫師真呈。師曰。還似我也無。僧無對。師自代曰。眾僧看取。德山侍者來參。才禮拜。師把住曰。還甘欽山與麼也無。者曰。某甲卻悔久住德山。今日無言可對。師乃放手曰。一任祇對。者撥開𮌎曰。且聽某通氣一上。師曰。德山門下即得。這裡一點用不著。者曰。久聞欽山不通人情。師曰。累他德山眼目。參堂去。師與巖頭.雪峰坐次。洞山行茶來。師乃閉眼。洞曰。甚麼處去來。曰。入定來。洞曰。定本無門。從何而入。師入浴院。見僧踏水輪。僧下問訊。師曰。幸自轆轆地轉。何須恁麼。曰。不恁麼又爭得。師曰。若不恁麼。欽山眼堪作甚麼。曰。作麼生是師眼。師以手作撥眉勢。曰。和尚又何得恁麼。師曰。是我恁麼。你便不恁麼。僧無對。師曰。索戰無功。一場氣悶。良久。
福州の人である。少き時杭州大慈山寰中禅師に依りて受業す。時に巌頭・雪峰が衆に在り、師の論を吐くを覩て、是れ法器と知り、相率いて游方した。二大士は各々徳山の印記を承けた。師は屢ば激揚するも、終に凝滞せり。一日、徳山に問うて言った。「天皇も恁麼に道い、龍潭も恁麼に道う、未だ審らかならず和尚は作麼生に道う。」山は言った。「汝試しに天皇龍潭の道う所を挙げて見よ。」師が語を進めんと擬すれば、山は便ち打った。師は打たれて延壽堂に帰りて言った。「是は則ち是なれど、我を打つこと太殺せり。」巌頭は言った。「汝恁麼に道えば、他後に徳山に見ると道うを得ざらん。」(法眼が別に言った。後に洞山の言下に発解して、乃ち之が嗣と為る。)年二十七、欽山に止まり、大衆の前に対して自ら過を省みて、洞山に参ずる時の語を挙げた。山が問うた。「何の処より来た。」師は言った。「大慈より来た。」言った。「還た大慈を見るや。」師は言った。「見たり。」言った。「色前に見るか、色後に見るか。」師は言った。「色の前後に非ざるに見る。」洞山は黙して置いた。師は乃ち言った。「師を離るること太早く、師意を尽くさず。」(法眼云う、師意を尽くさざれば、他を承嗣すること易からず。)僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「梁公の曲尺、志公の剪刀。」問う。「一切の諸仏及び諸仏法は、皆此の経より出ず、如何なるか是れ此の経。」師は言った。「常に転ず。」言った。「未だ審らかならず経中に何を説く。」師は言った。「疑い有らば請いて問え。」問う。「如何なるか是れ和尚の家是れ和尚の家風。」師は言った。「錦繍の銀香嚢、風吹けば路に満ちて香なり。」巌頭が聞きて、僧をして往かしめて云う。「十八子に伝語せん、好く好く潘郎に事えよ。」僧有りて師の真を写して呈した。師は言った。「還た我似たるや無しや。」僧は対えず。師は自ら代えて言った。「衆僧看取せよ。」徳山の侍者が来りて参ず。纔かに礼拝すれば、師は把住して言った。「還た欽山の恁麼を甘んずるや無しや。」者は言った。「某甲は却って久しく徳山に住するを悔ゆ、今日は言無く対えんとす。」師は乃ち手を放して言った。「一任に対えよ。」者は𮌎を撥き開きて言った。「且く某の通気一上を聴け。」師は言った。「徳山門下ならば即ち得、這裏は一点も用いず。」者は言った。「久しく聞く欽山は人情を通ぜずと。」師は言った。「他の徳山の眼目を累せり、参堂に去れ。」師が巌頭・雪峰と坐する次、洞山が茶を行じて来た。師は乃ち眼を閉ぢた。洞は言った。「何の処より来た。」言った。「入定より来た。」洞は言った。「定は本より門無し、何よりか入る。」師が浴院に入りて、僧の水輪を踏むを見た。僧が下りて問訊す。師は言った。「幸いに自ら轆轆地に転ず、何の須か恁麼せん。」言った。「恁麼ならずんば又争でか得ん。」師は言った。「若し恁麼ならずんば、欽山の眼は堪えて何を作す。」言った。「作麼生なるか是れ師の眼。」師は手を以て眉を撥く勢を作した。言った。「和尚は又何ぞ恁麼なるを得。」師は言った。「是れ我が恁麼なれば、汝は便ち恁麼ならず。」僧は対えず。師は言った。「戦いを索めて功無し、一場の気悶なり。」良久して、
乃問曰。會麼。曰。不會。師曰。欽山為汝擔取一半。師與巖頭.雪峰過江西。到一茶店吃茶次。師曰。不會轉身通氣者。不得茶吃。頭曰。若恁麼我定不得茶吃。峰曰。某甲亦然。師曰。這兩箇老漢話頭也不識。頭曰。甚處去也。師曰。布袋裡老鴉雖活如死。頭退後曰。看。看。師曰。奯公且置。存公作麼生。峰以手畵一圓相。師曰。不得不問。頭呵呵曰。太遠生。師曰。有口不得茶吃者多。巨良禪客參。禮拜了便問。一鏃破三關時如何。師曰。放出關中主看。良曰。恁麼則知過必改。師曰。更待何時。良曰。好隻箭。放不著所在。便出去。師曰。且來。闍黎。良回首。師下禪床擒住曰。一鏃破三關即且置。試為欽山發箭看。良擬議。師打七棒曰。且聽箇亂綂漢疑三十年。有僧舉似同安察。安曰。良公雖解發箭。要且未中的。僧便問。未審如何得中的去。安曰。關中主是甚麼人。僧回舉似師。師曰。良公若解恁麼。也免得欽山口。然雖如此。同安不是好心。亦須看始得。僧參。師竪起拳曰。開即成掌。五指參差。如今為拳。必無高下。汝道欽山還通商量也無。僧近前。卻竪起拳。師曰。你恁麼祇是箇無開合漢。曰。未審和尚如何接人。師曰。我若接人。共汝一般去也。曰。特來參師。也須吐露箇消息。師曰。汝若特來。我須吐露。曰。便請。師便打。僧無語。師曰。守株待兔。枉用心神。上堂。橫按拄杖。顧視大眾曰。有麼有麼。如無。欽山唱菩薩蠻去也。囉囉哩哩。便下座。師與道士論義。士立義曰。麤言及細語。皆歸第一義。師曰。道士是佛家奴。士曰。太麤生。師曰。第一義何在。士無語。
乃ち問うて言った。「会するか。」言った。「会せず。」師は言った。「欽山が汝の為に一半を担取せん。」師が巌頭・雪峰と江西を過ぐ。一の茶店に到りて茶を喫する次、師は言った。「轉身して通気することを会せざる者は、茶を喫するを得ず。」頭は言った。「若し恁麼ならば我は定めて茶を喫するを得ず。」峰は言った。「某甲も亦然り。」師は言った。「這箇の両箇の老漢は話頭をも識らず。」頭は言った。「甚の処に去る。」師は言った。「布袋裏の老鴉は活と雖も死の如し。」頭は退後して言った。「看、看。」師は言った。「奯公は且く置く、存公は作麼生。」峰は手を以て一の円相を画いた。師は言った。「問わざるを得ず。」頭は呵呵と言った。「太だ遠きかな。」師は言った。「口有りて茶を喫するを得ざる者多し。」巨良禅客が参ず。礼拝し了って便ち問うた。「一鏃に三関を破る時如何。」師は言った。「関中の主を放出して看よ。」良は言った。「恁麼ならば過を知りて必ず改む。」師は言った。「更に何の時をか待たん。」良は言った。「好し、只だ箭の放ち着く処無きなり。」便ち出でて去った。師は言った。「且く来れ、闍黎。」良が首を回らせた。師は禅床を下りて擒え住して言った。「一鏃に三関を破るは即ち且く置く、試しに欽山の為に箭を発して見よ。」良が擬議した。師は七棒を打ちて言った。「且く箇の乱統の漢の三十年を疑うを聴け。」僧有りて同安察に挙げ似たり。安は言った。「良公は箭を発するを解すと雖も、要且つ未だ的に中らず。」僧は便ち問うた。「未だ審らかならず如何にして的に中るを得て去らん。」安は言った。「関中の主は是れ何の人ぞ。」僧が回りて師に挙げ似たり。師は言った。「良公が若し恁麼を解せば、亦た欽山の口を免れん、然ると雖も如此なり、同安は好心に非ず、亦た須く看るべし。」僧が参ず。師は拳を竪起して言った。「開けば即ち掌と成り、五指は参差す、如今拳と為るは、必ず高下無し、汝道え欽山は還た商量を通ずるや無しや。」僧が近づき前して、却って拳を竪起した。師は言った。「汝恁麼なるは只だ箇の開合無き漢なり。」言った。「未だ審らかならず和尚は如何に人を接す。」師は言った。「我若し人を接せば、汝と一般に去らん。」言った。「特に来りて師を参ず、亦た須く箇の消息を吐露すべし。」師は言った。「汝若し特に来らば、我須く吐露せん。」言った。「便ち請う。」師は便ち打った。僧は語無し。師は言った。「株を守りて兎を待つ、空しく心神を用う。」上堂して言った。「横に拄杖を按じ。」大衆を顧視して言った。「有るか有るか、如し無くんば、欽山は菩薩蛮を唱えて去らん、囉囉哩哩。」便ち座を下りた。師が道士と義を論ず。士は義を立てて言った。「麤言及び細語、皆第一義に帰す。」師は言った。「道士は是れ仏家の奴。」士は言った。「太だ麁きかな。」師は言った。「第一義は何にか在る。」士は語無し。
瑞州九峰通玄禪師
瑞州九峰通玄禅師
郢州程氏子。初參德山。後於洞山言下有省。住後。僧問。自心他心。得相見否。師曰。自己尚不見。他人何可觀。問。罪福之性。如何了達。得無同異。師曰。絺綌不禦寒。
郢州の程氏の子。初めて徳山を参じ、後に洞山の言下に省有り。住して後、僧が問うた。「自心他心、相見るを得るや否や。」師は言った。「自己は尚ほ見ず、他人は何ぞ観る可けん。」問う。「罪福の性、如何に了達して同異無きを得ん。」師は言った。「𫄨綌は寒を御がず。」
青原下六世
青原下六世
曹山寂禪師法嗣
曹山寂禅師法嗣
瑞州洞山道延禪師
瑞州洞山道延禅師
因曹山垂語云。有一人向萬丈崖頭騰身直下。此是甚麼人。眾無對。師出曰。不存。山曰。不存箇甚麼。師曰。始得撲不碎。山深肯之。後有僧問。請和尚密付真心。師曰。欺這裡無人作麼。
曹山が語を垂れて云うに因る。一人有りて万丈の崖頭に身を騰して直下す、此は是れ何の人ぞ。衆は対えず。師が出て言った。「存ぜず。」山は言った。「箇の何を存を存ぜざる。」師は言った。「始めて撲して砕けざるを得。」山は深く之を肯とした。後に僧が問うた。「請う和尚に真心を密付せよ。」師は言った。「這裏に人無きを欺いて作麼せん。」
撫州金峰從志玄明禪師
撫州金峰従志玄明禅師
僧問。如何是金峰正主。師曰。此去鎮縣不遙。闍黎莫造次。曰。何不道取。師曰。口如磉盤。問。千峰萬峰。那箇是金峰。師乃斫額。問。千山無雲。萬裡絕霞時如何。師曰。飛猿嶺那邊何不吐卻。問。如何是西來意。師曰。壁邊有鼠耳。問。如何是和尚家風。師曰。金峰門前無五里牌。新到參。師曰。不用通時暄。第一句道將來。曰。孟春猶寒。伏惟和尚。師曰。猶有這箇在。曰。不可要人點檢去也。師曰。誰。僧指自身。師曰。不妨遭人點檢。拈起枕子。示僧曰。一切人喚作枕子。金峰道不是。僧曰。未審和尚喚作甚麼。師拈起枕子。僧曰。恁麼則依而行之。師曰。你喚作甚麼。僧曰。枕子。師曰。落在金峰窠裡。問。金盃滿酌時如何。師曰。金峰不勝酩酊。僧掃地次。師問。作甚麼。僧竪起苕帚。師曰。猶有這箇在。曰。和尚適來見箇甚麼。師竪起拄杖。僧參。才入方丈。師便打。僧曰。是。是。師又打。僧曰。不是。不是。師作禮拜勢。僧作拓勢。師曰。老僧眼暗。闍黎耳聾。曰。將飯餧魚。還須克己。師曰。施食得長壽報。曰。和尚年多少。師曰。不落數量。曰。長壽者誰。師曰。金峰。曰。果然眼昏。師曰。是。是。問僧。甚處來。僧近前。良久師曰。闍黎參見甚麼人。曰。參甚麼椀。師曰。金峰有過。曰。是。是。師良久。師問僧。甚處來。曰。東國來。師曰。作麼生過得金峰關。曰。公驗分明。師曰。試呈似金峰看。僧展兩手。師曰。金峰關從來無人過得。曰。和尚還過得麼。師曰。波斯吃胡椒。問僧。姓甚麼。曰。姓何。師曰。至竟不脫俗。曰。因師致得。師曰。若恁麼。過在金峰。曰。不敢。師曰。灼然金峰有過。僧問訊次。師把住曰。輒不得向人道。我有一則因緣舉似你。僧作聽勢。師與一掌。僧曰。為甚麼打某甲。師曰。我要這話行。看經次。駢道者來。師擎起經作攬衣勢。
僧が問うた。「如何なるか是れ金峰の正主。」師は言った。「此より鎮県に去ること遥かならず、闍黎は造次すること莫れ。」言った。「何ぞ道い取らざる。」師は言った。「口は磉盤の如し。」問う。「千峰万峰、那箇か是れ金峰。」師は乃ち額を斫った。問う。「千山に雲無く、万里に霞絶ゆる時如何。」師は言った。「飛猿嶺の那辺に何ぞ吐却せざる。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「壁辺に鼠の耳有り。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「金峰の門前に五里牌無し。」新たに到りて参ず。師は言った。「用いず通時の暄、第一の句を道いて将来れ。」言った。「孟春は猶お寒し、伏して惟るに和尚。」師は言った。「猶お這箇の有る在り。」言った。「人の点検に遭うを要せざる可からず。」師は言った。「誰ぞ。」僧が自身を指した。師は言った。「妨げず人の点検に遭うことを。」枕子を拈起して僧に示して言った。「一切の人は枕子と喚ぶ、金峰は是ならざると道う。」僧は言った。「未だ審らかならず和尚は何と喚ぶ。」師は枕子を拈起した。僧は言った。「恁麼ならば依りて之を行わん。」師は言った。「汝は何と喚ぶ。」僧は言った。「枕子。」師は言った。「金峰の窠裏に落つ。」問う。「金杯に満酌する時如何。」師は言った。「金峰は酩酊に勝えず。」僧が地を掃う次。師が問うた。「何を作す。」僧が苕帚を竪起した。師は言った。「猶お這箇の有る在り。」言った。「和尚は適来箇の何を見た。」師は拄杖を竪起した。僧が参ず。纔かに方丈に入れば、師は便ち打った。僧は言った。「是、是。」師は又打った。僧は言った。「不是、不是。」師は礼拝の勢を作した。僧は拓の勢を作した。師は言った。「老僧は眼暗く、闍黎は耳聾し。」言った。「飯を将て魚に餧うは、還た須く己に克つべし。」師は言った。「食を施せば長壽の報を得。」言った。「和尚は年多少。」師は言った。「数量に落ちず。」言った。「長壽の者は誰ぞ。」師は言った。「金峰。」言った。「果然眼昏きかな。」師は言った。「是、是。」僧に問うた。「甚の処より来た。」僧が近づき前した。良久して師は言った。「闍黎は何の人を参見した。」言った。「何の椀を参ず。」師は言った。「金峰に過有り。」言った。「是、是。」師が良久した。師が僧に問うた。「甚の処より来た。」言った。「東国より来た。」師は言った。「作麼生にして金峰関を過ぐるを得。」言った。「公験分明なり。」師は言った。「試しに金峰に呈似して看よ。」僧が両の手を展べた。師は言った。「金峰関は従来人の過ぐるを得る無し。」言った。「和尚は還た過ぐるを得るや。」師は言った。「波斯は胡椒を喫す。」僧に問うた。「姓は何ぞ。」言った。「姓は何。」師は言った。「至竟俗を脱せず。」言った。「師に因りて得。」師は言った。「若し恁麼ならば、過は金峰に在り。」言った。「敢えず。」師は言った。「灼然金峰に過有り。」僧が問うた。輙く人に向かって道うを得ず、我に一則の因縁有りて汝に挙げ似ん。僧が聴の勢を作した。師が一掌を与えた。僧は言った。「なぜ某甲を打つ。」師は言った。「我要すこの話の行われんことを。」経を看る次、駢道者が来た。師は経を擎起して衣を攬る勢を作した。
以目視之。駢提起坐具。以目視師。師曰。一切人道你會禪。駢曰。和尚作麼生。師笑曰。草賊大敗。問。是身無知。如土木瓦石。此意如何。師下禪床。扭僧耳朵。僧負痛作聲。師曰。今日始捉著箇無知漢。僧作禮出去。師召。闍黎。僧回首。師曰。若到堂中。不可舉著。曰。何故。師曰。大有人笑金峰老婆心。上堂。老僧二十年前有老婆心。二十年後無老婆心。僧問。如何是二十年前有老婆心。師曰。問凡答凡。問聖答聖。曰。如何是二十年後無老婆心。師曰。問凡不答凡。問聖不答聖。師見僧來。乃舉手曰。此是大人分上事。你試通箇消息看。曰。某甲不欲瞞和尚。師曰。知孝養人。也還稀有。曰。莫是大人分上事麼。師曰。老僧瞞闍黎。曰。到這裡不易辨白。師曰。灼然灼然。僧禮拜。師曰。發足何處。曰。祇這裡。師曰。不唯自瞞。兼瞞老僧。上堂。我若舉來。又恐遭人唇吻。不舉。又遭人笑怪。於其中間。如何即是。有僧才出。師便歸方丈。至晚。別僧請益曰。和尚今日為甚不答這僧話。師曰。大似失錢遭罪。問僧。你還知金峰一句子麼。曰。知來久矣。師曰。作麼生。僧便喝。師良久。僧曰。金峰一句。今日粉碎。師曰。老僧大曾問人。唯有闍黎門風峭峻。曰。不可須要人點檢。師曰。真鍮不博金。問。如何是非言之言。師曰。不加文彩。問。四海晏清時如何。師曰。猶是堦下漢。上堂。事存函蓋合。理應箭鋒拄。還有人道得麼。如有人道得。金峰分半院與他住。時有僧出作禮。師曰。相見易得好。共住難為人。便下座。僧辭。師問。何處去。曰。不敢妄通消息。師曰。若到諸方。切忌道著金峰為人處。曰。已領尊旨。師曰。忽有人問。你作麼生。僧提起袈裟角。師曰。捷弱於闍黎。
目を以て之を視た。駢が坐具を提起し、目を以て師を視た。師は言った。「一切の人は汝が禅を会すと道う。」駢は言った。「和尚は作麼生。」師は笑って言った。「草賊は大敗せり。」問う。「是の身に知覚無く、土木瓦石の如し、此の意は如何。」師が禅床を下りて僧の耳を扭った。僧が痛みに負えて声を作した。師は言った。「今日始めて箇の知覚無き漢を捉え着いた。」僧が礼を作して出でて去った。師が召した。「闍黎。」僧が首を回らせた。師は言った。「若し堂中に到らば、挙げ着く可からず。」言った。「何の故ぞ。」師は言った。「大いに人有りて金峰の老婆心を笑わん。」上堂して言った。「老僧は二十年前に老婆心有り、二十年後に老婆心無し。」僧が問うた。「如何なるか是れ二十年前の老婆心有る。」師は言った。「凡に問えば凡に答え、聖に問えば聖に答う。」言った。師は言った。「凡に問えども凡に答えず、聖に問えども聖に答えず。」師が僧の来るを見て、乃ち手を挙げて言った。「此は是れ大人分上の事、汝試しに箇の消息を通じて見よ。」言った。「某甲は和尚を瞞さんと欲せず。」師は言った。「孝養の人を知る、亦た還た稀有なり。」言った。「莫ろに是れ大人分上の事か。」師は言った。「老僧は闍黎を瞞す。」言った。「這裏に到りては辨白し易からず。」師は言った。「灼然灼然。」僧が礼拝した。師は言った。「足を発する処は何ぞ。」言った。「只だ這裏。」師は言った。「唯だ自ら瞞するのみならず、兼ねて老僧を瞞す。」上堂して言った。「我若し挙げ来らば、又た恐る人の唇吻に遭うことを、挙げざれば、又た人の笑怪に遭う、其の中間に於て、如何にして即ち是ならん。」僧有りて纔かに出でれば、師は便ち方丈に帰った。晩に至りて、別の僧が請益して言った。「和尚は今日なぜこの僧の話に答えざる。」師は言った。「大いに似たり銭を失いて罪に遭うに。」僧に問うた。「汝還た金峰の一句を知るや。」言った。師は言った。「作麼生。」僧が便ち喝した。師が良久した。僧は言った。「金峰の一句は、今日粉碎せり。」師は言った。「老僧は大いに曾て人に問う、唯だ闍黎の門風の峭峻なるを。」言った。師は言った。「真鍮は金に博えず。」問う。「如何なるか是れ非言の言。」師は言った。「文彩を加えず。」問う。「四海晏清の時如何。」師は言った。「猶お是れ階下の漢。」上堂して言った。「事は函蓋に存し合し、理は応に箭鋒に拄すべし、還た人道うを得る者有るか、如し人道うを得る者有らば、金峰は半院を分かちて与えて住せしめん。」時に僧有りて出でて礼を作した。師は言った。「相見るは易くして好し、共住は人と為り難し。」便ち座を下りた。僧が辞す。師が問うた。「何の処に去る。」言った。「敢えて妄りに消息を通ぜず。」師は言った。「若し諸方に到らば、切に金峰の人と為る処に道い着くこと忌むべし。」言った。「已に尊旨を領す。」師は言った。忽ち人有りて問わば、汝は作麼生。僧が袈裟の角を提起した。師は言った。「捷くこと闍黎に弱し。」
襄州鹿門山處真禪師
襄州鹿門山処真禅師
僧問。如何是和尚家風。師曰。有鹽無醋。曰。忽遇客來。如何祇待。師曰。柴門草戶。謝子遠來。問。如何是道人。師曰。口似鼻孔。問。祖祖相傳。傳甚麼物。師曰。金襴袈裟。問。如何是函中般若。師曰。佛殿挾頭六百卷。問。和尚百年後。向甚麼處去。師曰。山下李家使牛去。曰。還許學人相隨也無。師曰。汝若相隨。莫同頭角。曰。諾。師曰。合到甚麼處。曰。佛眼辨不得。師曰。若不放過。亦是茫茫。問。如何是鹿門高峻處。師曰。汝還曾上主山也無。問。如何是禪。師曰。鸞鳳入雞籠。曰。如何是道。師曰。藕絲牽大象。問。劫火洞然。大千俱壞。未審此箇還壞也無。師曰。臨崖看滸眼。特地一場愁。問。如何是和尚轉身處。師曰。昨夜三更。失卻枕子。問。一句下豁然時如何。師曰。汝是誰家子。上堂。一片凝然光燦爛。擬意追尋卒難見。瞥然撞著豁人情。大事分明總成辦。實快活。無繫絆。萬兩黃金終不換。任他千聖出頭來。總是向渠影中現。
僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の家れ和尚の家風。」師は言った。「塩有りて醋無し。」言った。「忽ち客の来るに遇わば、如何に只だ待つ。」師は言った。「柴門草戸、子の遠来を謝す。」問う。「如何なるか是れ道人。」師は言った。「口は鼻孔の似たり。」問う。「祖祖相伝えて、何の物を伝える。」師は言った。「金襴の袈裟。」問う。「如何なるか是れ函中の般若。」師は言った。「仏殿の頭を挟む六百巻。」問う。「和尚百年の後、何の処に向かって去る。」師は言った。「山下の李家に牛を使いに去る。」言った。「還た学人の相随うを許すや無しや。」師は言った。「汝若し相随わば、頭角を同じうすること莫れ。」言った。「諾。」師は言った。「合に何の処にか到るべき。」言った。「仏眼も辨じ得ず。」師は言った。「若し放過せずんば、亦是れ茫茫なり。」問う。「如何なるか是れ鹿門の高峻の処。」師は言った。「汝還た曾て主山に上るや無しや。」問う。「如何なるか是れ禅。」師は言った。「鸞鳳が鶏籠に入る。」言った。「如何なるか是れ道。」師は言った。「藕糸が大象を牽く。」問う。「劫火が洞然として大千俱に壊る、未だ審らかならず此箇は還た壊るるや無しや。」師は言った。「崖に臨みて浒眼を看れば、特地に一場の愁なり。」問う。「如何なるか是れ和尚の轉身の処。」師は言った。「昨夜三更に、枕子を失却したり。」問う。「一句の下に豁然たる時如何。」師は言った。「汝は是れ誰が家の子ぞ。」上堂して言った。「一片の凝然として光燦爛たり、意を擬して追尋せども卒に見難し、瞥然として撞き着けば人情を豁き、大事分明に総て成弁す、実に快活、繋絆無し、万両の黄金も終に換えず、他の千聖が頭を出すに任れども、総て是れ渠が影中に現ずるに向かう。」
撫州曹山慧霞了悟禪師
撫州曹山慧霞了悟禅師
僧問。佛未出世時如何。師曰。曹山不如。曰。出世後如何。師曰。不如曹山。問。四山相逼時如何。師曰。曹山在裡許。曰。還求出也無。師曰。在裡許。即求出。僧侍立。師曰。道者可煞熱。曰。是。師曰。祇如熱向甚處迴避。曰。向鑊湯鑪炭裡迴避。師曰。祇如鑊湯鑪炭。又作麼生迴避。曰。眾苦不能到。
僧が問うた。「仏未だ世に出づる時如何。」師は言った。「曹山は如かず。」言った。「世に出でし後如何。」師は言った。「曹山に如かず。」問う。「四山が相逼る時如何。」師は言った。「曹山は裏許に在り。」言った。「還た出づるを求むるや無しや。」師は言った。「裏許に在りて、即ち出づるを求む。」僧が侍立した。師は言った。「道者は可く熱きかな。」言った。「是なり。」師は言った。「只如く熱きは何の処に向かって回避せん。」言った。「鑊湯𬬻炭の裏に向かって回避す。」師は言った。「只如く鑊湯𬬻炭は、又作麼生に回避せん。」言った。「衆苦は到る能わず。」
華州草菴法義禪師
華州草庵法義禅師
僧問。如何是祖師西來意。師曰。爛炒浮漚飽滿吃。問。擬心即差。如何進道。師曰。有人常擬。為甚麼不差。曰。此猶是和尚分上事。師曰。紅焰蓮花朵朵開。問。如何是和尚得力處。師曰。如盲似聾。曰。不會。師曰。恰與老僧同參。
僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「浮漚を爛炒して飽満に喫す。」問う。「心を擬すれば即ち差う、如何に道に進まん。」師は言った。「人有りて常に擬す、なぜ差わざる。」言った。「此は猶お是れ和尚分上の事。」師は言った。「紅焔に蓮花の朵朵開く。」問う。「如何なるか是れ和尚の得力の処。」師は言った。「盲の如く聾の似たり。」言った。「会せず。」師は言った。「恰も老僧と同参せり。」
撫州曹山光慧玄悟禪師
撫州曹山光慧玄悟禅師
上堂。良久曰。雪峰和尚為人。如金翅鳥入海取龍相似。僧出問。未審和尚此間如何。師曰。甚處去來。問。如何是西來的的意。師曰。不禮拜更待何時。問。如何是密傳底心。師良久。僧曰。恁麼則徒勞側耳也。師喚。侍者來。燒香著。問。古人云。如紅鑪上一點雪。意旨如何。師曰。惜取眉毛好。問。如何指示。即得不昧去。師曰。不可雪上更加霜。曰。恁麼則全因和尚去也。師曰。因箇甚麼。問。如何是妙明真性。師曰。款款莫磕損。上堂。良久。僧出曰。為眾竭力。禍出私門。未審放過不放過。師默然。問。古人道。生也不道。死也不道。意旨如何。師良久。僧禮拜。師曰。會麼。曰。不會。師曰。也是廚寒甑足塵。上堂。舉拄杖曰。從上皆留此一路。方便接人。有僧出曰。和尚又是從頭起也。師曰。謝相委悉。問。機關不轉。請師商量。師曰。瘂得我口麼。問。路逢猛虎時如何。師曰。放憨作麼。
上堂して良久して言った。雪峰和尚の人と為るは、金翅鳥が海に入りて龍を取るに相似たり。僧が出て問うた。「未だ審らかならず和尚の此間は如何。」師は言った。「甚の処より来た。」問う。「如何なるか是れ西来の的的の意。」師は言った。「礼拝せずんば更に何の時をか待たん。」問う。「如何なるか是れ密伝の心。」師が良久した。僧は言った。「恁麼ならば徒らに耳を側むるなり。」師が喚んだ。「侍者来れ、香を焼き着けよ。」問う。「古人云う、紅𬬻の上の一点の雪の如し、意旨如何。」師は言った。「眉毛を惜しみ取ること好し。」問う。「如何なる指示を以て、即ち昧わず去るを得。」師は言った。「雪上に更に霜を加う可からず。」言った。「恁麼ならば全く和尚に因りて去らん。」師は言った。「箇の何に因る。」問う。「如何なるか是れ妙明真性。」師は言った。「款款として磕損すること莫れ。」上堂して良久した。僧が出て言った。「衆の為に力を竭くすも、禍は私門より出づ、未だ審らかならず放過すか放過せざるか。」師は黙然とした。問う。「古人道う、生なりとも道わず、死なりとも道わず、意旨如何。」師が良久した。僧が礼拝した。師は言った。「会するか。」言った。「会せず。」師は言った。「亦是れ厨寒しく甑に塵足るなり。」上堂して拄杖を挙げて言った。「上より皆此の一路を留めて、方便として人を接す。」僧有りて出でて言った。「和尚は又是れ頭より起つなり。」師は言った。「相委悉するを謝す。」問う。「機関轉ぜず、請う師商量せん。」師は言った。「我が口を痖せむや。」問う。「路に猛虎に逢う時如何。」師は言った。「憨を放って作麼せん。」
撫州曹山羗慧智炬禪師
撫州曹山羌慧智炬禅師
初問先曹山曰。古人提持那邊人。學人如何體悉。山曰。退步就己。萬不失一。師於言下。頓忘玄解。乃辭去徧參。至三祖。因看經次。僧問。禪僧心不掛元字腳。何得多學。師曰。文字性異。法法體空。迷則句句瘡疣。悟則文文般若。苟無取捨。何害圓伊。後離三祖到瑞州。眾請住龍泉。僧問。如何是文殊。師曰。不可有第二月也。曰。即今事如何。師曰。正是第二月。問。如何是如來語。師曰。猛風可繩縛。問。如何履踐。即得不昧宗風。師曰。須知龍泉好手。曰。請和尚好手。師曰。卻憶鍾子期。問。古人道。若記一句。論劫作野狐精。未審古人意旨如何。師曰。龍泉僧堂未曾鎻。曰。和尚如何。師曰。風吹耳朵。問。如何是一句。師曰。無聞。問。如何是聲前一句。師曰。恰似不道。問。如何是和尚為人一句。師曰。汝是九色鹿。問。抱璞投師時如何。師曰。不是自家珍。曰。如何是自家珍。師曰。不琢不成器。
初めて先の曹山に問うて言った。「古人の提持せる那边の人、学人は如何に体悉せん。」山は言った。「歩を退きて己に就けば、万に一を失わず。」師は言下に於て、頓に玄解を忘れ、乃ち辞して去りて徧参した。三祖に至り、経を看る次、僧が問うた。「禅僧は心に元の字脚を挂けず、何ぞ多学を得。」師は言った。「文字の性は異なり、法法は体空なり、迷えば句句は瘡疣、悟れば文文は般若、苟も取舍無くんば、何の害か有らん円伊に。」後に三祖を離れて瑞州に到り、衆が請うて龍泉に住せしむ。僧が問うた。「如何なるか是れ文殊。」師は言った。「第二月有る可からず。」言った。「即今の事如何。」師は言った。「正に是れ第二月。」問う。「如何なるか是れ如来語。」師は言った。「猛風も縄縛すべし。」問う。「如何に履践すれば、即ち宗風を昧わずんば得。」師は言った。「須知すべし龍泉の好手を。」言った。「請う和尚の好手を。」師は言った。「却って鐘子期を憶う。」問う。「古人道う、若し一句を記せば、劫を論じて野狐精と作る、未だ審らかならず古人の意旨如何。」師は言った。「龍泉の僧堂は未だ曾て鎖せず。」言った。「和尚は如何。」師は言った。「風が耳を吹く。」問う。「如何なるか是れ一句。」師は言った。「聞くこと無し。」問う。「如何なるか是れ声前の一句。」師は言った。「恰似せり道わざるに。」問う。「如何なるか是れ和尚の人と為る一句。」師は言った。「汝は是れ九色鹿。」問う。「璞を抱きて師に投ずる時如何。」師は言った。「是れ自家の珍に非ず。」言った。「如何なるか是れ自家の珍。」師は言った。「琢らざれば器と成らず。」
衡州育王山弘通禪師
衡州育王山弘通禅師
僧問。混沌未分時如何。師曰。混沌。曰。分後如何。師曰。混沌。上堂。釋迦如來四十九年說不到底句。今夜山僧不避羞恥。與諸尊者共譚。良久曰。莫道錯。珍重。僧問。學人有病。請師醫。師曰。將病來。與汝醫。曰。便請。師曰。還老僧藥價錢來。問。曹源一路即不問。衡陽江畔事如何。師曰。紅爐焰上無根草。碧潭深處不逢魚。問。心法雙亡時如何。師曰。三腳蝦蟇背大象。問。如何是西來意。師曰。老僧毛竪。問。如何是佛法大意。師曰。直侍文殊過。即向你道。曰。文殊過也。請和尚道。師便打。問。如何是和尚家風。師曰。渾身不直五文錢。曰。大貧寒生。師曰。古代如是。曰。如何施設。師曰。隨家豐儉。問。如何是急切處。師曰。針眼裡打筋斗。問。如何是本來身。師曰。回光影裡見方親。
僧が問うた。「混沌未だ分かれざる時如何。」師は言った。「混沌。」言った。「分かれし後如何。」師は言った。「混沌。」上堂して言った。「釈迦如来の四十九年に説かず底の句、今夜山僧は羞恥を避けず、諸尊者と共に譚ぜん。」良久して言った。「錯りと道うこと莫れ、珍重。」僧が問うた。「学人に病有り、請う師医せん。」師は言った。「病を将て来れ、汝が為に医せん。」言った。「便ち請う。」師は言った。「老僧に薬の価銭を還せ。」問う。「曹源の一路は即ち問わず、衡陽の江畔の事如何。」師は言った。「紅炉の焔上に根無き草、碧潭の深処に魚に逢わず。」問う。「心法双亡の時如何。」師は言った。「三脚の蝦蟆が大象を背負う。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「老僧の毛竪つ。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「直に文殊の過ぐるを侍し、即ち汝に道わん。」言った。「文殊過ぎたり、請う和尚道え。」師は便ち打った。問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「浑身も五文銭に直せず。」言った。「大いに貧寒なり。」師は言った。「古代是の如し。」言った。「如何に施設せん。」師は言った。「家の豊倹に随う。」問う。「如何なるか是れ急切の処。」師は言った。「針の眼裏に筋斗を打つ。」問う。「如何なるか是れ本来身。」師は言った。「回光の影裏に方に親しむを見る。」
