Libo

五燈會元卷第十

宋 · 普济 · 第83巻 / 144

東京普淨院常覺禪師

東京普浄院常覚禅師

陳留李氏子。初訪歸宗。聞法省悟。遂求出家。未幾。歸宗將順寂。召師撫之曰。汝於法有緣。他後濟眾人。莫測其量也。仍以披剃事。囑諸門人。師至唐乾化二年落髮。明年納戒於東林寺甘露壇。尋遊五臺山。還上都。於麗景門外獨居二載。間有北鄰信士張生者。請師供養。張素探玄理。因叩師垂誨。師乃隨宜開誘。張生於言下悟入。設榻留宿。至深夜。與妻竊窺之。見師體徧一榻。頭足俱出。及令婢僕視之。即如常。倍加欽慕。曰。弟子夫婦垂老。今願割宅之前堂。以裨丈室。師欣然受之。至後唐天成三年。遂成大院。賜額曰普淨。師以時機淺昧。難任極旨。苟啟之非器。令彼招謗讟之咎。我寧不務開法。每月三八施浴。僧道萬計。師甞謂諸徒曰。但得慧門無壅。則福何滯哉。一日。給事中陶穀入院。致禮而問曰。經云。離一切相則名諸佛。今目前諸相紛然。如何離得。師曰。給事見箇甚麼。陶欣然仰重。自是王公大人。屢薦章服師號。皆卻而不受。以開寶四年十二月二日示疾。十一日告眾。囑付訖。右脇而化。

陳留の李氏の子。初めて帰宗を訪い、法を聞きて省悟し、遂に出家を求めた。未几にして、帰宗が将に順寂せんとし、師を召して之を撫して言った。「汝は法に縁有り、他後衆人を済すこと、その量を測る莫れ。」仍して披剃の事を、諸の門人に嘱した。師は唐の干化二年に至りて髪を落し、明年东林寺の甘露壇に戒を納めた。尋いで五台山に游び、上都に還りて、麗景門の外に独居すること二載。間に北隣の信士張生有りて、師に供養を請うた。張は素より玄理を探り、因りて師の垂誨を叩いた。師は乃ち宜しきに随いて開誘した。張生は言下に悟入し、榻を設けて留宿せしめた。深夜に至りて、妻と窃かに之を窺えば、師の体は一榻に徧く、頭足俱に出でたり。及び婢僕に視せしむれば、即ち常の如し。倍加して欽慕して言った。「弟子夫婦は垂老なり、今願わくは宅の前堂を割きて、以て丈室を裨けん。」師は欣然として之を受け、後唐天成三年に至りて、遂に大院と成り、額を賜りて普浄と曰う。師は時機の浅昧なるを以て、極旨に任ずること難く、苟も啓くに器に非ざれば、彼をして謗讟の咎を招かしめん、我寧ろ法を開くことを務めず。每月三八に浴を施し、僧道は万計なり。師は甞て諸の徒に謂いて言った。「但だ慧門の壅れ無きを得ば、則ち福は何ぞ滞らんや。」一日、給事中の陶穀が院に入り、礼を致して問うて言った。経に説く、一切の相を離れれば則ち諸仏と名づくと、今目前の諸相は紛然たり、如何にして離れんを得。師は言った。「給事は箇の何を見る。」陶は欣然として仰重し、自は王公大人、屡々章服師号を薦むるも、皆却って受けず。開宝四年十二月二日に疾を示し、十一日に衆に告げ、嘱付し訖りて、右脇にして化した。

護國遠禪師法嗣

護国遠禅師法嗣

懷安軍雲頂德敷禪師

懐安軍雲頂徳敷禅師

初參護國。問曰。直截根源佛所印。摘葉尋枝我不能時如何。國曰。罷攀雲樹三秋果。休弄碧潭孤月輪。師乃頓釋所疑。住後。成都帥請就衙陞座。有樂營將出。禮拜起。回顧下馬臺。曰。一口吸盡西江水即不問。請師吞卻堦前下馬臺。師展兩手唱曰。細抹將來。營將猛省。

初めて護国を参ず。問うて言った。「直截の根源は仏の印す所、葉を摘み枝を尋ぬるは我不能なり、時如何。」国は言った。「雲樹の三秋の果を攀ずるを罢め、碧潭の孤月輪を弄するを休めよ。」師は乃ち頓に疑う所を釈いた。住して後、成都の帥が衙に就いて座を昇らんことを請うた。楽営の将有りて出でて、礼拝して起ち、下馬台を回顧して言った。一口に西江の水を吸尽くすは即ち問わず、請う師階前の下馬台を吞却せん。師が両手を展べて唱えて言った。「細かに抹して将て来れ。」営将は猛省した。

大陽堅禪師法嗣

大陽堅禅師法嗣

襄州石門聰禪師

襄州石門聡禅師

僧問。大陽遷化向甚麼處去。師曰。騎牛不戴帽。正坐不偏行。

僧が問うた。「大陽は遷化して何の処に向かって去る。」師は言った。「牛に騎りて帽を戴かず、正坐して偏行せず。」

潭州北禪契念禪師

潭州北禅契念禅師

僧問。如何是大道之源。師曰。眾流混不得。曰。獨脫事如何。師曰。穿雲透石。問。如何是不墜古今句。師曰。十五十六。日月相逐。

僧が問うた。「如何なるか是れ大道の源。」師は言った。「衆流は混ずるを得ず。」言った。「独脱の事如何。」師は言った。「雲を穿ち石を透る。」問う。「如何なるか是れ古今に墜ちざる句。」師は言った。「十五十六、日月相逐う。」

石門徹禪師法嗣

石門徹禅師法嗣

襄州石門紹遠禪師

襄州石門紹遠禅師

初在石門作田頭。門問。如何是田頭水牯牛。師曰。角轉轟天地。朝陽處處春。他日門又問。水牯牛安樂否。師曰。水草不曾虧。曰。田中事作麼生。師曰。深耕淺種。曰。如法著。師曰。某甲不曾取次。住後。僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。十方無異路。揭覺鳳林前。問。先師已歸鴈塔去。當陽一句請師宣。師曰。脩羅掌內擎日月。夜叉足下蹋泥龍。問。金龍不吐凡間霧。請師舉唱鳳凰機。師曰。白眉不展手。長安路坦平。問。如何是西來意。師曰。布袋盛烏龜。問。如何是石門境。師曰。孤峰對鳳嶺。曰。如何是境中人。師曰。巖中殘雪。處處分輝。問。如何是和尚密作用。師曰。滴瀝非旨趣。千山不露身。問。四方八面來時如何。師曰。赤腳波斯鼻嗅天。問。亡僧遷化向甚麼處去。師曰。灰飛煙滅。白骨連天。師與病僧灸次。僧問。正當與麼時如何。師曰。通玄一脈。大似流星。問。如何是古佛心。師曰。白牛露地臥青谿。問。生死之河。如何過得。師曰。風吹荷葉浮萍草。問。如何是教外別傳一句。師曰。羊頭車子入長安。問。生死浪前如何話道。師曰。毛袋橫身絕飲啄。青谿常臥太陽春。問。如何是道。師曰。山深水冷。曰。如何是道中人。師曰。金槌擊金鼓。問。天陰日不出。光輝何處去。師曰。鐵蛇橫大路。通身黑似煙。問。如何是宗乘中一句。師曰。石火夜燒山。大地齊合掌。問。如何是祖師西來意。師曰。石牛攔古路。木馬驟高樓。

初めて石門に在りて田頭を作す。門が問うた。「如何なるか是れ田頭の水牯牛。」師は言った。「角は転じて天地を轟かし、朝陽は処々の春なり。」他日に門が又問うた。「水牯牛は安楽するか。」師は言った。「水草は曾て亏かず。」言った。「田中の事作麼生。」師は言った。「深く耕し浅く種る。」言った。「法の如く着けよ。」師は言った。「某甲は曾て取次せず。」住して後、僧が問うた。「師は誰が家の曲を唱う、宗風は阿谁を嗣ぐ。」師は言った。「十方に異路無し、覚を掲げて鳳林の前。」問う。「先師は已に雁塔に帰して去り、当陽の一句、請う師宣べん。」師は言った。「修羅の掌内に日月を擎げ、夜叉の足下に泥龍を蹋む。」問う。「金龍は凡間の霧を吐かず、請う師鳳凰の機を挙唱せん。」師は言った。「白眉は手を展べず、長安の路は坦平なり。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「布袋に烏亀を盛る。」問う。「如何なるか是れ石門の境。」師は言った。「孤峰は鳳嶺に対す。」言った。「如何なるか是れ境中の人。」師は言った。「巌中の残雪、処処に輝を分かつ。」問う。「如何なるか是れ和尚の密作用。」師は言った。「滴瀝は旨趣に非ず、千山に身を露わさず。」問う。「四方八面の来る時如何。」師は言った。「赤脚の波斯は鼻で天を嗅ぐ。」問う。「亡僧は遷化して何の処に向かって去る。」師は言った。「灰は飛び烟は滅し、白骨は天に連る。」師が病僧に灸する次、僧が問うた。「正当に恁麼なる時如何。」師は言った。「玄に通ずる一脉、大いに流星に似たり。」問う。「如何なるか是れ古仏の心。」師は言った。「白牛は露地に臥して青谿に在り。」問う。「生死の河は如何に過ぎるを得。」師は言った。「風は荷葉浮萍の草を吹く。」問う。「如何なるか是れ教外別伝の一句。」師は言った。「羊頭の車子は長安に入る。」問う。「生死の浪の前に如何に道を話せん。」師は言った。「毛袋は身を横えて飲啄を絶ち、青谿に常に臥して太陽の春。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「山深く水冷たし。」言った。「如何なるか是れ道中の人。」師は言った。「金槌が金鼓を撃つ。」問う。「天陰りて日出でざれば、光輝は何の処にか去る。」師は言った。「鉄蛇は大路に横たわり、通身は黒きこと烟の如し。」問う。「如何なるか是れ宗乗中の一句。」師は言った。「石火は夜に山を焼き、大地は斉しく合掌す。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「石牛は古路を拦い、木馬は高楼を驟らす。」

潭州北禪懷感禪師

潭州北禅懐感禅師

僧問。如何是諸聖為人底句。師曰。紅輪當萬戶。光燭本無心。問。師唱誰家曲。師曰。石戶不留心。洞玄通妙的。問。如何是佛。師曰。尺短寸長。

僧が問うた。「如何なるか是れ諸聖の人と為る句。」師は言った。「紅輪は万戸に当たり、光燭は本より心無し。」問う。「師は誰が家の曲を唱う。」師は言った。「石戸は心を留めず、玄を洞し妙なる的に通ず。」問う。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「尺は短く寸は長し。」

鄂州靈竹守珍禪師

鄂州霊竹守珍禅師

僧問。如何是西來意。師曰。錫帶胡天雪。瓶添漢地泉。問。迷悟不入諸境時如何。師曰。境從何來。曰。恁麼則無諸境去也。師曰。龍頭蛇尾漢。

僧が問うた。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「錫は胡天の雪を帯び、瓶は漢地の泉を添う。」問う。「迷悟が諸境に入らざる時如何。」師は言った。「境は何より来た。」言った。「恁麼ならば則ち諸境無くして去るなり。」師は言った。「龍頭蛇尾の漢。」

舒州四面山津禪師

舒州四面山津禅師

僧問。如何是佛。師曰。王字不著點。曰。學人不會。師曰。點。問。如何是祖師西來意。師曰。山寒水冷。師有掛杖頌曰。四面一條杖。當機驗龍象。頭角稍低昂。電光臨背上。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「王字に点を着けず。」言った。「学人会せず。」師は言った。「点。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「山寒く水冷たし。」師に挂杖の頌有りて言った。「四面の一条の杖、機に当たりて龍象を験す、頭角稍も低昂せば、電光は背上に臨む。」

嘉州承天義懃禪師

嘉州承天義勤禅師

僧問。如何是承天境。師曰。兩江夾卻青盲漢。一帶山藏赤腳蠻。問。如何是諦實之言。師曰。措大巾子黑。

僧が問うた。「如何なるか是れ承天の境。」師は言った。「両江は青盲の漢を夹却し、一带の山は赤脚の蛮を蔵す。」問う。「如何なるか是れ諦実の言。」師は言った。「措大の巾子は黒し。」

鳳翔府青峰義誠禪師

鳳翔府青峰義誠禅師

僧問。三際不生。是何人境界。師曰。白雲連雪嶽。明月混魚鉤。曰。未審向上更有事也無。師曰。有。曰。如何是向上事。師曰。靈光爍破瑠璃色。大地明來絕點痕。問。如何是青峰家風。師曰。向火吃甜瓜。

僧が問うた。「三際生ぜず、是れ何の人の境界ぞ。」師は言った。「白雲は雪岳に連なり、明月は魚鈎に混ず。」言った。「未だ審らかならず向上に更に事有るや無しや。」師は言った。「有り。」言った。「如何なるか是れ向上の事。」師は言った。「霊光は瑠璃色を爍破し、大地は明らかに来りて点痕を絶つ。」問う。「如何なるか是れ青峰の家風。」師は言った。「火に向かって甜瓜を喫す。」

襄州廣德山智端禪師

襄州広徳山智端禅師

僧問。牛頭未見四祖時如何。師曰。著衣吃飯。曰。見後如何。師曰。著衣吃飯。問。如何是廣德山。師曰。當陽花易發。背陰雪難消。曰。如何是山中人。師曰。朝霞不出門。暮霞行千里。

僧が問うた。「牛頭が未だ四祖に見えざる時如何。」師は言った。「衣を着て飯を喫す。」言った。「見えし後如何。」師は言った。「衣を着て飯を喫す。」問う。「如何なるか是れ広徳山。」師は言った。「陽に当たれば花は発き易く、陰を背けば雪は消え難し。」言った。「如何なるか是れ山中の人。」師は言った。「朝霞有れば門を出でず、暮霞有れば千里を行く。」

筠首座者

筠首座の者

太原人也。自至石門逾三十年。叢林慕之。有僧請吃茶次。問。如何是首座為人一著子。師曰。適來猶記得。曰。即今又如何。師曰。好生點茶來。一日荷鉏入園。僧問。三身中那一身去作務。師拄鉏而立。僧曰。莫便當也無。師𢹂鉏便行。

太原の人である。石門に至りしより三十年を逾ゆ。叢林は之を慕う。僧有りて茶を喫せんことを請う次、問うた。「如何なるか是れ首座の人と為る一着子。」師は言った。「適来は猶お記え得たり。」言った。「即今は又如何。」師は言った。「好く生に茶を点じて来れ。」一日、鉏を荷うて園に入る。僧が問うた。「三身中、那一身か作務に去る。」師が鉏を拄して立った。僧は言った。「莫れ便ち当たるや無しや。」師が鉏を𢹂げて便ち行った。

青原下九世

青原下九世

谷隱儼禪師法嗣

谷隠儼禅師法嗣

襄州谷隱契崇禪師

襄州谷隠契崇禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。番人皮裘胡人著。曰。學人不會此理如何。師曰。聾人側耳瘂人歌。

僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「番人の皮裘を胡人が着る。」言った。「学人は此の理を会せず如何。」師は言った。「聾人は耳を側け、痖人は歌う。」

梁山觀禪師法嗣

梁山観禅師法嗣

郢州大陽山警玄禪師

郢州大陽山警玄禅師

江夏張氏子。依智通禪師出家。十九為大僧。聽圓覺了義講席。無能及者。遂遊方。初到梁山。問。如何是無相道場。山指觀音。曰。這箇是吳處士畫。師擬進語。山急索曰。這箇是有相底。那箇是無相底。師遂有省。便禮拜。山曰。何不道取一句。師曰。道即不辭。恐上紙筆。山笑曰。此語上碑去在。師獻偈曰。我昔初機學道迷。萬水千山覓見知。明今辨古終難會。直說無心轉更疑。蒙師點出秦時鏡。照見父母未生時。如今覺了何所得。夜放烏雞帶雪飛。山謂洞上之宗可倚。一時聲價籍籍。山歿。辭塔至大陽。謁堅禪師。堅讓席使主之。僧問。如何是大陽境。師曰。羸鶴老猿啼谷韻。瘦松寒竹鎻青煙。曰。如何是境中人。師曰。作麼。作麼。曰。如何是和尚家風。師曰。滿瓶傾不出。大地沒饑人。上堂。嵯峨萬仞。鳥道難通。劒刃輕冰。誰當履踐。宗乘妙句。語路難陳。不二法門。淨名杜口。所以達磨西來。九年面壁。始遇知音。大陽今日。也大無端。珍重。問。如何是透法身句。師曰。大洋海底紅塵起。須彌頂上水橫流。師問僧。甚處來。曰。洪山。師曰。先師在麼。曰。在。師曰。在即不無。請渠出來。我要相見。僧曰。聻。師曰。這箇猶是侍者。僧無對。師曰。吃茶去。上堂。諸禪德須明平常無生句.妙玄無私句.體明無盡句。第一句通一路。第二句無賓主。第三句兼帶去。一句道得師子嚬呻。二句道得師子返擲。三句道得師子踞地。縱也周徧十方。擒也一時坐斷。正當恁麼時。作麼生通得箇消息。若不通得箇消息。來朝更獻楚王看。問。如何是平常無生句。師曰。白雲覆青山。青山頂不露。曰。如何是妙玄無私句。師曰。寶殿無人不侍立。不種梧桐免鳳來。曰。如何是體明無盡句。師曰。手指空時天地轉。回途石馬出紗籠。曰。如何是師子嚬呻。師曰。終無回顧意。爭肯落平常。曰。

江夏の張氏の子。智通禅師に依りて出家し、十九にして大僧と為った。円覚了義の講席を聴くに、及ぶ能う者無し。遂に方に游ぶ。初めて梁山に到り、問うた。「如何なるか是れ無相の道場。」山が観音を指して言った。「這箇は是れ呉処士の画。」師が語を進めんと擬すれば、山が急いで索めて言った。「這箇は是れ有相の、那箇は是れ無相の。」師は遂に省有りて便ち礼拝した。山は言った。「何ぞ一句を道い取らざる。」師は言った。「道うは即ち辞せず、紙筆に上るを恐る。」山は笑って言った。「此の語は碑に上りて去る在り。」師が偈を献じて言った。「我昔初機に道を学びて迷い、万水千山に見知を覓え、今を明らめ古を辨じて終に会し難く、直に無心を説けば転た更に疑う、師の点出す秦時の鏡を蒙りて、父母未だ生ぜざる時を照見す、如今覚了して何の所得か有らん、夜に烏鶏を放ちて雪を帯びて飛ばす。」山は洞上の宗は倚る可しと謂い、一時に声侶籍籍たり。山が歿し、塔を辞して大陽に至り、堅禅師を謁えた。堅は席を譲りて之を主せしめた。僧が問うた。「如何なるか是れ大陽の境。」師は言った。「羸鶴老猿は谷韻に啼き、瘦松寒竹は青烟を鎖す。」言った。「如何なるか是れ境中の人。」師は言った。「作麼、作麼。」言った。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「満瓶は傾け出でず、大地に飢人無し。」上堂して言った。「嵯峨たる万仞、鳥道通じ難し、剣刃の軽冰、誰か当たりて履践せん、宗乗の妙句は語路に陳べ難く、不二の法門は浄名も口を杜ぐ、是を以て達磨の西来、九年面壁して始めて知音に遇う。大陽の今日も大いに无端なり。珍重せよ。」問う。「如何なるか是れ法身を透る句。」師は言った。「大洋海底に紅塵起ち、須弥頂上に水横流す。」師が僧に問うた。「甚の処より来た。」言った。「洪山。」師は言った。「先師は在るか。」言った。「在り。」師は言った。「在れば即ち無からざらず、請う渠を出でさせよ、我相見んと欲す。」僧は言った。「聻。」師は言った。「這箇は猶お是れ侍者。」僧は対えず。師は言った。「茶を喫して去れ。」上堂して言った。「諸の禅徳は須く平常無生の句、妙玄無私の句、体明無尽の句を明らむべし、第一句は一路に通じ、第二句は賓主無く、第三句は帯して去るを兼ぬ、一句道い得ば師子の嚬呻、二句道い得ば師子の返擲、三句道い得ば師子の地に踞る、縦くるも十方に周徧し、擒えるも一時に坐断す、正当に恁麼なる時、作麼生に箇の消息を通じ得る。若し箇の消息を通じ得ざれば、来朝更に楚王に献じて看せん。」問う。「如何なるか是れ平常無生の句。」師は言った。「白雲は青山を覆い、青山の頂は露われず。」言った。「如何なるか是れ妙玄無私の句。」師は言った。「宝殿に人は侍立せざる無し、梧桐を種えざれば鳳の来るを免る。」言った。「如何なるか是れ体明無尽の句。」師は言った。「手で空を指す時は天地転じ、回途に石馬は紗籠より出づ。」言った。「如何なるか是れ師子の嚬呻。」師は言った。「終に回顧の意無し、争でか平常に落つるを肯んぜん。」言った。

如何是師子返擲。師曰。周旋往返全歸父。繁興大用體無虧。曰。如何是師子踞地。師曰。迥絕去來機。古今無變異。問。如何是大達底人。師曰。虗空類不得。曰。如何是清淨法身。師曰。白牛吐雪彩。黑馬上烏雞。上堂。撒手那邊千聖外。祖堂少室長根芽。鷺倚雪巢猶自可。更看白馬入蘆花。上堂。夜半烏雞抱鵠卵。天明起來生老鸛。鶴毛鷹觜鷺鷥身。卻共烏鵶為侶伴。高入煙霄。低飛柳岸。向晚歸來子細看。依俙恰似雲中鴈。師甞釋曹山三種墮曰。此三語須明得轉位始得。一作水牯牛。是類墮。師曰。是沙門轉身語。是異類中事。若不曉此意。即有所滯。直是要伊一念無私。即有出身之路。二不受食。是尊貴墮。師曰。須知那邊了卻。來這邊行履。若不虗此位。即坐在尊貴。三不斷聲色。是隨墮。師曰。以不明聲色。故隨處墮。須向聲色裡有出身之路。作麼生是聲色外一句。乃曰。聲不自聲。色不自色。故云不斷指掌。當指何掌也。五位頌曰。正中偏。一輪皎潔正當天。宛轉虗玄事不彰。明暗祇在影中圓。偏中正。休觀朗月秦時鏡。隱隱猶如日下燈。明暗混融誰辨影。正中來。脈路玄玄絕迂迴。靜照無私隨處現。如行鳥道入鄽開。偏中至。法法無依即智智。橫身物外兩不傷。妙用玄玄善周備。兼中到。葉路當風無中道。莫守寒巖異草青。坐卻白雲宗不妙。師神觀奇偉。有威重。從兒稚中。日祇一食。自以先德付授之重。足不越限。脇不至席。年八十。嘆無可以繼者。遂作偈並皮履。布直裰。寄浮山遠禪師。使為求法器。偈曰。楊廣山頭草。憑君待價焞。異苗飜茂處。深密固靈根。偈尾雲。得法者潛眾十年。方可闡揚。遠拜而受之。遂贊師像曰。黑狗爛銀蹄。白象崑崙騎。於斯二無礙。木馬火中嘶。師天聖五年七月十九陞座。辭眾示寂。塔於本山。

(僧が接いで問うた。)「如何なるか是れ師子の返擲。」師は言った。「周旋往返して全く父に帰り、繁興の大用も体亏けず。」言った。「如何なるか是れ師子の地に踞る。」師は言った。「迥かに去来の機を絶ち、古今に変異無し。」問う。「如何なるか是れ大達の人。」師は言った。「虚空は類すを得ず。」言った。「如何なるか是れ清浄の法身。」師は言った。「白牛は雪彩を吐き、黒馬は烏鶏に上る。」上堂して言った。「手を放しし那辺は千聖の外、祖堂の少室は根芽を長ず、鷺の雪巢に倚るは猶お自ら可なり、更に看よ白馬の蘆花に入るを。」上堂して言った。「夜半に烏鶏が鵠卵を抱き、天明れて起きて老鸛を生む、鶴の毛鷹の觜に鷺鷥の身、却って烏鵶と共に侶伴と為り、高く烟霄に入り、低く柳岸を飛び、晩に向かって帰り来たりて子細に看れば、依俙として恰似せり雲中の雁に。」師は甞て曹山の三種の堕を釈して言った。「此の三語は須く轉位を明め得て始めて得べし、一に水牯牛を作すは、是れ類堕なり。」師は言った。「是れ沙門の轉身の語、是れ異類中の事、若し此の意を暁らざれば、即ち滞る所有り、直に是れ要す伊の一念に私無ければ、即ち身を出づる路有らん、二に食を受けざるは、是れ尊貴の堕なり。」師は言った。「須知すべし那辺を了却して、這辺に来りて行履するを、若し此の位を虛にせざれば、即ち尊貴に坐せん、三に声色を断ぜざるは、是れ随堕なり。」師は言った。「声色を明らめざるを以て、故に処に随いて堕す、須く声色裏に向かって身を出づる路有るべし、作麼生か是れ声色外の一句。」乃ち言った。「声は自ら声せず、色は自ら色せず、故に指掌を断たずと云う、当に何の掌をか指すべき。」五位の頌に曰く。「正中偏、一輪の皎潔は正に天に当たり、宛転虗玄の事は彰れず、明暗は只だ影中に在りて円なり、偏中正、朗月秦時の鏡を観るを休めよ、隠隠として猶お日下の灯の如し、明暗混融して誰か影を辨ぜん、正中の来、脉路玄玄として迂回を絶つ。静照に私無くして処に随いて現ず、鳥道を行くが如く鄽に入りて開く。偏中至、法法に依無ければ即ち智智なり、身を横えて物外にして両ならず傷らず、妙用玄玄として善く周備す。兼中到、葉路は風に当たりて中道無し、寒巌の異草の青きを守ること莫れ、白雲を坐却すれば宗妙ならず。」師は神観奇偉にして威重有り。児稚の中より、日に只だ一食。自ら先徳の付授の重きを以て、足は限を越えず、脇は席に至らず。年八十、継ぐ可き無きを嘆じ、遂に偈を作り并せて皮履、布直裰を浮山遠禅師に寄せて、為に法器を求めしめた。偈に曰く。「楊広山頭の草、君に凭りて価を待ちて焞け、異苗の飜りて茂る処、深密にして霊根を固くす。」偈の尾に曰く。法を得る者は衆に潜むこと十年にして、方に闡揚すべし。遠は拝して之を受け、遂に師の像を讃じて言った。「黒狗は爛銀の蹄、白象は崑崙に騎る、斯の二に碍無し、木馬は火中に嘶く。」師は天聖五年七月十九に座を昇りて衆を辞し示寂し、塔は本山に在り。

鼎州梁山巖禪師

鼎州梁山巌禅師

The original text is in the public domain. The Japanese is a machine-assisted translation of this library’s own Chinese paraphrase, checked against a fixed glossary so that technical terms match the definitions used elsewhere on this site. It is a reading aid and does not replace the original.