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五燈會元巻第七

宋 · 普济 · 第41巻 / 144

上堂。從上諸聖。為一大事因緣故出現於世。遞相告報。是汝諸人還會麼。若不會。大不容易。僧問。如何是一大事。師曰。莫錯相告報麼。曰。恁麼則學人不疑也。師曰。爭奈一翳在目。問。三世諸佛盡是傳語人。未審傳甚麼人語。師曰。聽。曰。未審是甚麼語。師曰。你不是鍾期。問。如何是學人眼。師曰。不可更撒沙。

上堂、「從上の諸聖、一大事の因緣を爲りて世に出現し、遞相告報す。是れ汝諸人還た會するか。若し會せずんば、大に容易ならず」。僧が問うた、「如何なるか是れ一大事」。師は言った、「錯りて相告報する莫れか」。曰く、「さようらば則ち學人疑はざるなり」。師は言った、「争奈、一翳目に在るを」。問うた、「三世の諸佛盡く是れ傳語人、未だ審らかならず、甚麼人の語を傳ふる」。師は言った、「聽け」。曰く、「未だ審らかならず、是れ甚麼の語」。師は言った、「汝は是れ鍾期にあらず」。問うた、「如何なるか是れ學人の眼」。師は言った、「更に沙を撒く可からず」。

福州長慶常慧禪師

福州長慶常慧禅師

僧問。王侯請命。法嗣怡山。鎻口之言。請師不謬。師曰。得。曰。恁麼則深領尊慈。師曰。莫鈍置人好。問。不犯宗風。不傷物義。請師滿口道。師曰。今日豈不是開堂。問。燄續雪峰。印傳超覺。不違於物。不負於人。不在當頭。即今何道。師曰。違負即道。曰。恁麼則善副來言。淺深已辨。師曰。也須識好惡。

僧が問うた、「王侯請命し、法嗣怡山に繼ぐ。鎖口の言、師に謬らざらんことを請ふ」。師は言った、「得」。曰く、「さようらば則ち尊慈を深く領す」。師は言った、「人を鈍置する莫し好し」。問うた、「宗風を犯さず、物義を傷つけず、師に滿口に道はんことを請ふ」。師は言った、「今日豈に是れ開堂ならずや」。問うた、「焰は雪峰に續ぎ、印は超覺に傳ふ。物に違はず、人に負かず。當頭に在らず、即今何をか道道ふ」。師は言った、「違負即ち道なり」。曰く、「さようらば則ち來言を善く副へ、淺深已に辨ぜり」。師は言った、「也須く好惡を識るべし」。

福州石佛院靜禪師

福州石佛院靜禅師

上堂。若道素面相呈。猶添脂粉。縱離添過。猶有負𠎝。諸人且作麼生體悉。僧問。學人慾見和尚本來面目。師曰。洞上有言親體取。曰。恁麼則不得見去也。師曰。灼然。客路如天遠。侯門似海深。

上堂、「若し素面を以て相呈すと道へば、猶ほ脂粉を添ふ。縱り添過を離ると雖も、猶ほ負愆有り。諸人且く作麼生か體悉せん」。僧が問うた、「學人和尚の本來面目を見んと欲す」。師は言った、「洞上に言有り、親く體取せよ」。曰く、「さようらば則ち見るを得ざるに去らん」。師は言った、「灼然。客路は天の如く遠く、侯門は海に似て深し」。

福州枕峰觀音院清換禪師

福州枕峰觀音院淸換禅師

上堂。諸禪德。若要論禪說道。舉唱宗風。祇如當人分上。以一毛端上有無量諸佛轉大法輪。於一塵中現寶王剎。佛說。眾生說。山河大地。一時說未甞間斷。如毗沙門王。始終不求外寶。既各有如是家風。阿誰欠少。不可更就別人處分也。僧問。如何是法界性。師曰。汝身中有萬象。曰。如何體得。師曰。虗谷尋聲。更求本末。

上堂、「諸の禪德、若し禪を論じ道を説き、宗風を擧唱せんと要せば、只だ如し當人の分上、一毛端上に無量の諸佛の大法輪を轉ずる有り、一塵中に寶王刹を現ず。佛説き、衆生説き、山河大地、一時に説きて未だ曾て間斷せず。毗沙門王の如く、始終外寶を求めず。既に各々かくの如き家風有り、阿誰か欠少せん。更に別人の處に就いて分せず可し」。僧が問うた、「如何なるか是れ法界性」。師は言った、「汝の身中に萬象有り」。曰く、「如何に體得する」。師は言った、「虛谷に聲を尋ね、更に本末を求む」。

福州東禪契訥禪師

福州東禪契訥禅師

上堂。未曾暫失。全體現前。恁麼道亦是分外。既恁麼道不得。向兄弟前合作麼生道。莫是無道處不受道麼。莫錯會好。僧問。如何是現前三昧。師曰。何必更待道。問。己事未明。乞師指示。師曰。何不禮謝。問。如何是東禪家風。師曰。一人傳虗。萬人傳實。

上堂、「未だ曾て暫しも失はず、全體目前に現ず。さように道ふも亦是れ分外なり。既にさように道ひ得ざれば、兄弟の前に向ひて何を作さばか道はん。莫れ無道の處道を受けざるか。錯りて會する莫し好し」。僧が問うた、「如何なるか是れ現前の三昧」。師は言った、「何ぞ必ずしも更に道ふを待たん」。問うた、「己事未だ明らかならず、師に指示を乞ふ」。師は言った、「何ぞ禮謝せざる」。問うた、「如何なるか是れ東禪の家風」。師は言った、「一人虛を傳へ、萬人實を傳ふ」。

福州長慶院弘辯妙果禪師

福州長慶院弘辯妙果禅師

上堂。於座前側立曰。大眾各歸堂得也未。還會得麼。若也未會。山僧謾諸人去也。遂陞座。僧問。海眾雲臻。請師開方便門。示真實相。師曰。這箇是方便門。曰。恁麼則大眾側聆去也。師曰。空側聆作麼。

上堂。座前に於て側立して曰く、「大衆各々堂に歸り得たりや未だ。還た會し得るか。若し也未だ會せずんば、山僧諸人を瞞して去らん」。遂に座に升る。僧が問うた、「海衆雲臻す、師に方便門を開き、眞實相を示さんことを請ふ」。師は言った、「這箇は是れ方便門」。曰く、「さようらば則ち大衆側聆して去らん」。師は言った、「空しく側聆して作麼せん」。

福州東禪院可隆了空禪師

福州東禪院可隆了空禅師

僧問。如何是道。師曰。正是道。曰。如何是道中人。師曰。分明向汝道。上堂。大好省要。自不仙陀。若是聽響之流。不如歸堂向火。珍重。問。如何是普賢第一句。師曰。落第二句也。

僧が問うた、「如何なるか是れ道」。師は言った、「正に是れ道」。曰く、「如何なるか是れ道中の人」。師は言った、「分明に汝に向ひて道ふ」。上堂、「大好き省要なり、自ら仙陀せず。若し是れ聽響の流ならば、堂に歸りて火に向ふに如かず。珍重」。問うた、「如何なるか是れ普賢の第一句」。師は言った、「第二句に落つるなり」。

福州仙宗院守玭禪師

福州仙宗院守玭禅師

久不上堂。大眾入方丈參。師曰。今夜與大眾同請假。未審還給假也無。若未聞給假。即先言者負。珍重。僧問。十二時中常在底人。還消得人天供養也無。師曰。消不得。曰。為甚麼消不得。師曰。為汝常在。曰。祇如常不在底人。還消得也無。師曰。驢年。問。請師答無賓主話。師曰。向無賓主處問將來。

久しく堂に上らず。大衆方丈に入りて參す。師は言った、「今夜大衆と同じく假を請はん。未だ審らかならず、還た假を給するや無し。若し未だ給假を聞かずんば、即ち先づ言ふ者負けん。珍重」。僧が問うた、「十二時中に常在の人、還た人天の供養を消するや無し」。師は言った、「消し得ず」。曰く、「甚麼の故にか消し得ざる」。師は言った、「汝の常在の爲」。曰く、「只だ如し常に不在の人、還た消するや無し」。師は言った、「驢年」。問うた、「師に無賓主の話を答へんことを請ふ」。師は言った、「無賓主の處に向ひて問ひ將來れ」。

撫州永安院懷烈淨悟禪師

撫州永安院懷烈淨悟禅師

上堂顧視左右曰。患謇作麼。便歸方丈。上堂。良久曰。幸自可憐生。又被汙卻也。上堂。大眾。正是著力處。切莫容易。僧問。怡山親聞一句。請師為學人道。師曰。向後莫錯舉似人。

上堂、左右を顧視して曰く、「謇を患へて作麼せん」。便ち方丈に歸る。上堂。良久して曰く、「幸に自ら可憐なる生、又污却されり」。上堂、「大衆、正に是れ著力の處、切に容易する莫れ」。僧が問うた、「怡山親く聞くの一句、師に學人の爲に道はんことを請ふ」。師は言った、「向後人に錯りて擧似する莫れ」。

福州閩山令含禪師

福州閩山令含禅師

上堂。還恩恩滿。賽願願圓。便歸方丈。僧問。既到妙峰頂。誰人為伴侶。師曰。到。曰。甚麼人為伴侶。師曰。吃茶去。問。明明不會。乞師指示。師曰。指示且置。作麼生是你明明底事。曰。學人不會。再乞師指。師曰。八棒十三。

上堂、「恩を還さば恩滿ち、願を賽すれば願圓く」。便ち方丈に歸る。僧が問うた、「既に妙峰頂に到れり、誰人か伴侶と爲さん」。師は言った、「到れり」。曰く、「甚麼人か伴侶と爲さん」。師は言った、「茶を喫して去れ」。問うた、「明明會せず、師に指示を乞ふ」。師は言った、「指示は且く置き。作麼生か是れ汝の明明の事」。曰く、「學人會せず、再び師の指を乞ふ」。師は言った、「八棒十三」。

新羅國龜山和尚

新羅國龜山和尚

有人舉裴相國啟建法會。問僧。看甚麼經。曰。無言童子經。公曰。有幾卷。曰。兩卷。公曰。既是無言。為甚麼卻有兩卷。僧無對。師代曰。若論無言。非唯兩卷。

人の擧ぐる有り、裴相國法會を啓建し、僧に問う、「甚麼の經を看る」。曰く、「無言童子經」。裴公曰く、「幾卷有る」。曰く、「兩卷」。裴公曰く、「既に無言なり、甚麼の故にか却って兩卷有る」。僧對無し。師代えて曰く、「若し無言を論ぜば、唯だ兩卷のみならず」。

吉州資國院道殷禪師

吉州資國院道殷禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。普通八年遭梁怪。直至如今不得雪。問。千山萬山。如何是龍須山。師曰。千山萬山。曰。如何是山中人。師曰。對面千里。問。不落有無。請師道。師曰。汝作麼生問。

僧が問うた、「如何なるか是れ祖師の西來意」。師は言った、「普通八年梁の怪に遭ふて、直に如今に至るまで雪げず」。問うた、「千山萬山、如何なるか是れ龍須山」。師は言った、「千山萬山」。曰く、「如何なるか是れ山中の人」。師は言った、「對面千里」。問うた、「有無に落ちず、師に道ふを請ふ」。師は言った、「汝作麼生か問ふ」。

福州祥光院澄靜禪師

福州祥光院澄靜禅師

僧問。如何是道。師曰。長安路上。曰。向上事如何。師曰。谷聲萬籟起。松老五雲披。問。如何是和尚家風。師曰。門下平章事。宮闈較幾重。

僧が問うた、「如何なるか是れ道」。師は言った、「長安の路上」。曰く、「向上の事如何」。師は言った、「谷聲萬籟起こり、松老れて五雲披く」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「門下の平章事、宮闈幾重を較ぶ」。

杭州報慈院從[王*(十/(罩-卓+衣))]禪師

杭州報慈院從𤩹禅師

福州陳氏子。僧問。承古有言。今人看古教。未免心中閙。欲免心中閙。應須看古教。如何是古教。師曰。如是我聞。曰。如何是心中閙。師曰。那畔雀兒聲。

福州陳氏の子。僧が問うた、「承聞く、古に言有り、今人古教を看れば、心中の鬧を免れず。心中の鬧を免れんと欲せば、應に古教を看るを須う。如何なるか是れ古教」。師は言った、「如是我聞」。曰く、「如何なるか是れ心中の鬧」。師は言った、「那畔の雀兒の聲」。

杭州龍華寺契盈廣辯周智禪師

杭州龍華寺契盈廣辯周智禅師

僧問。如何是龍華境。師曰。翠竹搖風。寒松鎻月。曰。如何是境中人。師曰。切莫唐突。問。如何是三世諸佛道場。師曰。莫別瞻禮。曰。恁麼則亙古亙今。師曰。是甚麼年中。

僧が問うた、「如何なるか是れ龍華の境」。師は言った、「翠竹翠竹風を搖り、寒松月を鎖す」。曰く、「如何なるか是れ境中の人」。師は言った、「唐突する莫れ」。問うた、「如何なるか是れ三世諸佛の道場」。師は言った、「別に瞻禮する莫れ」。曰く、「さようらば則ち亘古亘今なり」。師は言った、「是れ甚麼の年中」。

太傅王延彬居士

太傅王延彬居士

一日入招慶佛殿。指缽盂問殿主。這箇是甚麼缽。主曰。藥師缽。公曰。祇聞有降龍缽。主曰。待有龍即降。公曰。忽遇拏雲㸕浪來時作麼生。主曰。他亦不顧。公曰。話墮也(玄沙曰。盡你神力。走向甚麼處去。保福曰。歸依佛.法.僧。百丈恆作覆缽勢。雲門曰。他日生天。莫孤負老僧)。長慶謂太傅曰。雪峰竪拂子示僧。其僧便出去。若據此僧。合喚轉痛與一頓。公曰。是甚麼心行。慶曰。洎合放過。公到招慶煎茶。朗上座與明招把銚。忽翻茶銚。公問。茶爐下是甚麼。朗曰。捧爐神。公曰。既是捧爐神。為甚麼翻卻茶。朗曰。事官千日。失在一朝。公拂袖便出。明招曰。朗上座吃卻招慶飯了。卻向外邊打野榸。朗曰。上座作麼生。招曰。非人得其便。

一日招慶の佛殿に入り、鉢盂を指して殿主に問う、「這箇は是れ甚麼の鉢」。殿主曰く、「藥師の鉢」。太傅曰く、「只だ降龍鉢有るを聞く」。殿主曰く、「龍有らば即ち降す」。太傅曰く、「忽ち拏雲攫浪に遇ふ來らば作麼生」。殿主曰く、「他も亦た顧みず」。太傅曰く、「話墮ちたり」(玄沙曰く、「汝の神力を盡して、走りて甚麼の處に向ひて去らん」。保福曰く、「佛に歸依し、法に歸依し、僧に歸依す」。百丈恒に覆鉢の勢を作す。雲門曰く、「他日天に生ぜば、老僧を孤負する莫れ」)。長慶太傅に謂ふ、「雪峰拂子を豎げて僧に示す、那の僧便ち出去す。若し此の僧に據れば、喚び轉へて痛く一頓を與ふるに合す」。太傅曰く、「是れ甚麼の心行」。長慶曰く、「放過に洎す」。太傅招慶に到りて茶を煎ず、朗上座與明招銚を把る。忽ち茶銚を翻す。太傅問うた、「茶爐の下は是れ甚麼」。朗曰く、「爐を捧げる神」。太傅曰く、「既に爐を捧げる神、甚麼の故にか却って茶を翻す」。朗曰く、「官に事ふること千日、失は一朝に在り」。太傅袖を拂ひて便ち出ず。明招曰く、「朗上座招慶の飯を喫し了へて、却って外邊に向ひて野榸を打つ」。朗曰く、「上座作麼生」。明招曰く、「人に非ずして其の便を得る」。

保福展禪師法嗣

保福展禅師法嗣

潭州延壽寺慧輪禪師

潭州延壽寺慧輪禅師

僧問。寶劒未出匣時如何。師曰。不在外。曰。出匣後如何。師曰。不在內。問。如何是一色。師曰。青黃赤白。曰。大好一色。師曰。將謂無人。也有一箇半箇。

僧が問うた、「寶劍未だ匣を出でざる時如何」。師は言った、「外に在らず」。曰く、「匣を出づる後如何」。師は言った、「内に在らず」。問うた、「如何なるか是れ一色」。師は言った、「青黃赤白」。曰く、「大好き一色」。師は言った、「將に謂へり、人無けんと。一箇半箇有るを得たり」。

漳州保福可儔禪師

漳州保福可儔禅師

僧問。如何是和尚家風。師曰。雲在青天水在瓶。問。如何是吹毛劒。師曰。瞥落也。曰。還用也無。師曰。莫鬼語。

僧が問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「雲は青天に在り、水は瓶に在り」。問うた、「如何なるか是れ吹毛劍」。師は言った、「瞥落したり」。曰く、「還た用ゐるや無し」。師は言った、「鬼語する莫れ」。

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