Libo

辰星占

唐 · 李荃 · 第12巻 / 17

作盤ガイド: 暦注(黄暦), 万年暦

水土合,為覆軍。水出東方,大而白,有兵在外解。金、水俱在東方,負海國勝。水入月,主人敗兵亡地。水、金合,旗出,〈○張刻本無此二字。〉破軍殺將,客勝。視其所指,以命破軍。

辰星(水星)は鎮星(土星)と相合するは、主として全軍覆没せん。辰星は東方に出現し、星体大にして色白きは、主として外に在るの軍隊は将に囲を解き兵を罷めんとす。太白は辰星と同じく東方に在れば、海に靠るの国は勝利を獲得す。辰星は月の中に進入するは、主として守方の軍隊敗北して土地を喪失せん。辰星は太白と相合して旗状の気出現すれば(「旗出」の二字張刻本になし)、主として軍隊撃破せられ将領殺せられ、客軍勝利を獲得す。要に其の指す所の方向を看て、拠りて以て何れの一方の軍隊の撃破せらるるかを断定すべし。

水環繞太白,興兵大戰,客勝,主人敗。水遇金,其間可容劍,小戰,則客勝。水出太白左,小戰;磨太白,又去三尺,大戰;水在金北,利主人;在金南,利客。水守房,番兵敗;水守婁,番兵起。水乾昴,夷狄兵起。

辰星は太白を環繞して運行するは、主として兵を興し大戦有り、客軍勝利を獲得し守方失敗せん。辰星は太白と相遇うは、两星の間の距離は一柄の剣を容れ得べく、主として小戦有り、客軍勝利を獲得せん。辰星は太白の左側に出現するは、主として小戦有らん。太白に緊貼して摩擦して過ぎ、再び三尺を相距るは、主として大戦有らん。辰星は太白の北に在るは、守方に有利にして、太白の南に在るは、客軍に有利なり。辰星は房宿に停留するは、主として外族の軍隊敗北し、婁宿に停留するは、主として外族は戦事を興起せん。辰星は昴宿を干犯するは、主として夷狄は戦事を興起せん。

水守心,大臣相殺,大水,異姓立王。水犯尾,大水。水犯箕,有赦;若守左角,動色,貴臣戮死。水犯斗,大臣誅。一曰:兵守赤色,天下敗兵;犯斗,〈○張刻本無此十二字。〉五穀不成。水守女,有婚娶事,萬物不成;犯虛,天下亂,多水。

辰星は心宿に停留するは、主として大臣互相に残殺し、大水を發し、異姓の人は立てられて王と為らん。辰星は尾宿を侵犯するは、主として大水を發せん。辰星は箕宿を侵犯するは、主として赦令を頒行せん。若し左角星に停留して星色變動せば、主として顕貴の大臣殺せられん。辰星は斗宿を侵犯するは、主として大臣誅せられん。別の一説――兵象位を守りて色赤ければ、天下に軍隊の潰敗有り。斗宿を侵犯するは(「一曰」以下の十二字張刻本になし)、主として五穀熟せざらん。辰星は須女宿に停留するは、主として婚嫁の事有り、万物成熟する能わざらん。虛宿を侵犯するは、主として天下大乱し、水患頻仍ならん。

水犯危,大水,有後䘮,〈○張刻本作「女主䘮」。〉臣謀君主。水犯室,有兵,大水。水犯壁,刑法苛,朝廷有憂;犯奎,有火,為害。水乘昴,出其北,胡王死,中國大水。水入畢,有兵;出北,胡王憂;出南,中國憂。

辰星は危宿を侵犯するは、主として大水を發し、皇后に喪事有りて(張刻本は「女主喪」と作る)、臣下は君主を圖謀せん。辰星は室宿を侵犯するは、主として戦事有り、大水を發せん。辰星は壁宿を侵犯するは、主として刑法苛酷にして、朝廷に憂患有らん。奎宿を侵犯するは、主として火災の為害する有らん。辰星は昴宿の上に凌駕して其の北面より穿出するは、主として胡人の君主死亡し、中原に大水を發せん。辰星は畢宿に進入するは、主として戦事有らん。畢宿の北面より出ずれば、胡人の君主に憂有らん。南面より出ずれば、中原に憂有らん。

水犯觜,發兵。水守參伐,星移南,南蠻下;移北,北胡侵。水入東井,星進兵進,星退兵退。水犯輿鬼,兵起;水入庫,〈○張刻本有「樓」字。〉兵起。水入柳,牛貴。水犯星,臣下亂。

辰星は觜宿を侵犯するは、主として兵を發せん。辰星は参宿と伐星とに停留し、若し星位南に移れば、南蛮歸降し、若し北に移れば、北方の胡人入侵せん。辰星は東井宿に進入し、星前進すれば則ち兵を進め、星後退すれば則ち兵を退く。辰星は輿鬼宿を侵犯するは、主として戦事興起せん。辰星は天庫星に進入するは(張刻本は「庫樓」と作る)、また主として戦事興起せん。辰星は柳宿に進入するは、主として牛価上漲せん。辰星は星宿を侵犯するは、主として臣下乱を作さん。

水守張,兵起,大火。水入翼中,刑及賢相,大凶。〈○張刻本云「兵大作,大臣殺僇」。〉水犯軫,大兵起,〈○張刻本云「有大臣䘮」。〉萬物不成。水犯角,大水,舟航相望。水犯亢,大水。〈○張刻本作「大疫」。〉水乾犯五車星,兵起;水留心南河,兵起西方。

辰星は張宿に停留するは、主として戦事興起し、併せて大火災有らん。辰星は翼宿の中に進入するは、主として刑罰は賢良の宰相の身上に加えられ、大凶なり(張刻本は「兵大作、大臣殺僇」と作る)。辰星は軫宿を侵犯するは、主として大規模の戦事興起し(張刻本は「有大臣喪」と作る)、万物成熟する能わざらん。辰星は角宿を侵犯するは、主として大水を發し、江河の上に船只往來相望せん。辰星は亢宿を侵犯するは、主として大水を發せん(張刻本は「大疫」と作る)。辰星は五車星を干犯するは、主として戦事興起し、辰星は南河星一帯に滞留するは、主として西方に戦事興起せん。

占流星篇 第八十五

經曰:夫流星者,天之使也。自上而降下曰流,自下而升上曰飛。大者曰奔星,小者曰流星。星大,則使大;〈○此句「星」字原在下句末,依張刻本移置此。〉星小,則使小。此謂紫微宮、太微宮,出入而徐行,漸經於列宿之次也。或於列星之坐,〈○此下原有「為使也,聲大,怒之象。行疾則兵疾,行遲則兵遲」十七字,與上下文不相屬。今依張刻本。〉非二宮所出者,並為妖星。

兵経に曰く――流星は上天の使者なり。上より下に向かいて墜落するを「流」と謂い、下より上に向かいて升起するを「飛」と謂う。星体大なるを「奔星」と謂い、星体小なるを「流星」と謂う。星体大なれば、傳える所の使命は則ち大なり(此の一句の「星」の字は原は下句の末尾に在り、張刻本に依りて此に移置す)。星体小なれば、傳える所の使命は則ち小なり。ここの説く所は、指すは紫微宮・太微宮より出入して緩緩に運行し依次に二十八宿の星次を経過するのあの一類なり。其の他の列星の座位の間に出現するに至りては(此処以下に原に「為使也、聲大、怒之象。行疾則兵疾、行遲則兵遲」の十七字あり、上下文と相銜接せず、今張刻本に依りて删去す)、並びに紫微・太微の两宮より出づるに非ざるは、一概に「妖星」と算す。

流星赤色有角者,四夷有兵;前赤後黑,兵敗將亡。流星入參,不出,先起者勝,後起者敗。流星干七星者,兵起。流星入建星者,色青,兵起。流星入河鼓者,大將軍亡;出河鼓,兵出;入河鼓,兵入。〈○張刻本無此十字。〉

流星は赤色を呈して芒角を帯ぶるは、主として四方の夷族に戦事有らん。前段赤く後段黒きは、主として軍隊敗亡し将領死亡せん。流星は参宿に進入して再び出でざるは、主として先ず手を動かすの一方は勝利を獲得し後に手を動かすの一方は失敗せん。流星は七星を干犯するは、主として戦事興起せん。流星は建星に進入して星色青を發するは、主として戦事興起せん。流星は河鼓星に進入するは、主として大将軍死亡せん。流星は河鼓より出でれば則ち兵を出だし、河鼓に進入すれば則ち兵を収む(後面の此の十個の字張刻本になし)。

流星入王良,馬盡驚。流星入天將,軍中驚;流星入,將入;星出,將出。流星入紫微宮,匈奴兵起。流星入三臺,大將出。流星入騎官,騎官死。

流星は王良星に進入するは、主として馬匹全て驚を受けん。流星は天将星に進入するは、主として軍の中驚を受けん。流星進入すれば、将領は則ち営に入り、流星出去すれば、将領は則ち師を出ださん。流星は紫微宮に進入するは、主として匈奴は戦事を興起せん。流星は三台星に進入するは、主として大将出征せん。流星は騎官星に進入するは、主として騎官死亡せん。

流星入羽林,兵大起。流星抵北落,兵大起。流星出天宮,匈奴兵起。流星抵天市垣,大將出。流星抵天狗,犯弧矢,將有千里之行。流星出天廐,兵馬出。

流星は羽林星に進入するは、主として大規模の戦事興起せん。流星は北落師門星に抵達するは、主として大規模の戦事興起せん。流星は天宮星より出ずるは、主として匈奴は戦事を興起せん。流星は天市垣に抵達するは、主として大将出征せん。流星は天狗星に抵達しまた弧矢星を侵犯するは、主として将領に千里遠行の事有らん。流星は天廐星より出ずるは、主として兵馬出動せん。

占客星篇 第八十六

經曰:客星者,非本位之星,故曰「客星」也。色白如氣,勃勃然,似粉絮。故所過之宿分野,必有災害。

兵経に曰く――客星は並びに本位の上に固定せざるの星にして、故に之を「客星」と称す。其の色白きは一団の気のごとく、蓬蓬勃勃として、散開の粉絮に好似たり。故に其の経過するは何れの一宿ならんとも、あの一宿の對応する所の分野の地は、必定に災害の発生有らん。

客星出營室,無兵則兵起,有兵則兵敗。客星入奎,破軍殺將。客星犯婁,〈○張刻本作「奎」。〉胡人亂。客星入昴,胡人犯塞。客星入畢,邊有急兵。

客星は営室宿に出現するは、原本戦事無かりしは将に戦事を興起し、原本戦事有りしの軍隊は将に敗れんとす。客星は奎宿に進入するは、主として軍隊撃破せられ将領殺せられん。客星は婁宿を侵犯するは(張刻本は「奎」と作る)、主として胡人乱を作さん。客星は昴宿に進入するは、主として胡人は辺塞を侵犯せん。客星は畢宿に進入するは、主として辺境に緊急の軍情有らん。

客星干觜,城堡虛,軍儲少,軍民餓死。客星守張,〈○張刻本有「主大風」三字。〉將軍有陰謀,兵起。客星入招搖,番兵大起。客星入天槍中,兵起。客星入天棓,兵起。

客星は觜宿を干犯するは、主として城堡空虚にして、軍の中の儲備匱乏し、軍民餓死せん。客星は張宿に停留するは(張刻本此処に「主大風」の三字を多し)、主として将軍は陰謀を心懐り、戦事興起せん。客星は招揺星に進入するは、主として外族大いに兵を興さん。客星は天槍星の中に進入するは、主として戦事興起せん。客星は天棓星に進入するは、主として戦事興起せん。

客星犯文昌,將星色蒼,將有憂;色赤,將驚;色黃,將有喜;色黑,將死。客星守傳舍,胡人入中國。客星守天雞,天下兵馬盡驚。客星守天街,胡王死。客星入庫樓,與守南門,〈○張刻本作「南河」。〉守軍市,守老人,皆主兵起。

客星は文昌星を侵犯すれば――将星は青蒼色を呈するは、主として将に憂有らん。赤色を呈するは、主として将は驚を受けん。黄色を呈するは、主として将に喜有らん。黒色を呈するは、主として将死亡せん。客星は傳舍星に停留するは、主として胡人は中原に進入せん。客星は天鶏星に停留するは、主として天下の兵馬全て驚を受けん。客星は天街星に停留するは、主として胡人の君主死亡せん。客星は庫樓星に進入し、および南門星に停留し(張刻本は「南河」と作る)、軍市星に停留し、老人星に停留するは、皆主として戦事興起せん。

客星守騎官,將憂,士卒散。客星入北落師門,虜人入塞,兵起。客星入天倉,粟大貴。客星入天廐,兵起,馬死。客星入天弓,天下弓弩皆張。

客星は騎官星に停留するは、主として将領に憂有り、士卒潰散せん。客星は北落師門星に進入するは、主として虜人は辺塞に侵入し、戦事興起せん。客星は天倉星に進入するは、主として糧価大漲せん。客星は天廐星に進入するは、主として戦事興起し、馬匹死亡せん。客星は天弓星に進入するは、主として天下の弓弩全て張開して發を待たん。

客星出天弓,〈○張刻本作「天宮」。〉匈奴兵起。客星守狼,夷狄來降。客星守弧,南夷降。客星守車騎,西羌來降。客星守九州,殊▢,負海國不安。客星入天節,番王死。

客星は天弓星より出ずるは(張刻本は「天宮」と作る)、主として匈奴は戦事を興起せん。客星は天狼星に停留するは、主として夷狄來りて歸降せん。客星は弧矢星に停留するは、主として南方の夷族歸降せん。客星は車騎星に停留するは、主として西羌來りて歸降せん。客星は「九州殊口」星に停留するは(原文此処に一字を缺く)、主として海に靠るの国は安寧を得ざらん。客星は天節星に進入するは、主として外族の王死亡せん。

占妖星篇 第八十七

經曰:妖星者,五星之餘氣也,結而為妖,殊形異狀,凶多吉少,所見之分,必有災害。

兵経に曰く――妖星は五星の余気の凝結して成れるの怪异の星にして、形状千奇百怪にして、凶を主するは多く吉を主するは少なし。其の出現するは何れの一分野ならんとも、あそこは必定に災害の発生有らん。

奔星所墜之下,有大兵來。流星前赤後黑,客兵敗散。流星從敵營上來我軍,上銳者,有間諜來說吾兵。流星尾長三四尺者,輝輝然,軍使也;色赤者,將軍使也。

奔星の墜落するの処の下方は、主として大軍の開來有らん。流星前段赤く後段黒きは、主として客軍敗散せん。流星は敵営の上空より我が軍に向かいて飛ぶは、星頭尖鋭なるは、主として間諜の來りて我が方の将士を游説する有らん。流星の尾長さ三四尺・光輝閃耀たるは、是れ軍令を傳送するの使者の象なり。顔色赤を發するは、是れ将軍の使者を派出するの象なり。

流星色青赤,有光,尾長三四尺者,名曰「天雁」,將軍之精華也。兵從星所指者,勝。流星蒼白,為使;色赤,有兵;色黑,將死。飛星如大甕,後大,曉然白,〈○張刻本無此五字。〉前卑後高,所謂頓頑,大將死邑削。

流星の顔色青の中に赤を帯び光芒閃耀して尾長さ三四尺なるは、名づけて「天雁」と曰い、是れ将軍の精華の気の化する所なり。軍隊此の顆の星の所指するの方向に順いて進兵すれば、以て勝利を獲得すべし。流星は蒼白色を呈するは、是れ使者の象なり。赤色を呈するは、主として戦事有らん。黒色を呈するは、主として将領死亡せん。飛星の形状大瓮に似て後段肥大にして、明亮にして白を發し(「曉然白」等の五字張刻本になし)、前低く後高きは、此れ即ち謂う所の「頓頑」にして、主として大将死亡し封邑削奪せられん。

飛星後化雲者,名曰「大滑」,流血積骨之象。枉矢類流星,色青,蛇形,如矢而枉,道所指,將軍死。天狗如奔星,有聲,墜如火光,炎炎燭天,其下有積尺流血,狗來食之。

飛星の飛び過ぐるの後に云気と化成するは、名づけて「大滑」と曰い、是れ流血遍地・白骨堆積の征象なり。「枉矢」の一類の流星は、顔色青を發し、形は長蛇のごとく、箭矢のごとくして弯曲す。其の軌迹の指す所の方向は、主として将軍死亡せん。「天狗」の形状は奔星に似て、墜落する時は声響を帯び、火光の一様に落下し、火焰炎炎として天空を照亮す。其の墜落するの処の下方は血流積りて一尺の深さに至り、會い狗の來りて舔食する有らん。

占雲氣篇 第八十八

經曰:天地相感,陰陽相薄,謂之氣。久積而成雲,皆物形於下而氣應於上。是以荊軻入秦,白虹貫日;高祖在沛,肜雲上覆。積蜃之氣而成宮闕,精之積必形於雲之氣,故曰:「占氣而知其事,望雲而知其人也。」

兵経に曰く――天地互相に感應し陰陽互相に迫近すれば、則ち之を「気」と謂う作る。気久しく積聚すれば便ち云に凝成す。此らは皆事物下に於て形を成し気象上に於て應を呈するの結果なり。故に荊軻秦に入りて刺を行うの時、天上に白虹日を貫くの異象出現せり。漢高祖なお沛県に在るの時、頭頂に常に云気の覆蓋有りき。海市蜃楼は蜃気の積聚して幻成せるの宮闕にして、見るべく精気一旦積聚すれば、必定に云気と為りて形を顕す。故に曰う――「気を観察すれば則ち将に発生せんとするの事を知る能く、云を望めば則ちあそこは是れ何人なるかを知る能し」と。

猛將氣

猛將之氣,如龍如虎,在殺氣中。猛將欲行,先發此氣;如無,將行,當有暴兵起。吉凶以日神占之。〈○張刻本「神」作「辰」。〉

猛将の気の形状は龍のごとく虎のごとくして、肅殺の気の当中に処る。猛将将に出動せんとするの時、此の種の気は先ず行い出現せん。若し此の種の気無くして将領仍お出動せんと要せば、則ち突發の兵禍の興起有らん。吉凶に至りては、当日の日神を用いて占断す(「神」の字張刻本は「辰」と作る)。

猛將之氣,如煙如霧,沸如火光照夜。猛將之處,有赤白氣相遶。猛將之氣,如山林,如竹木,色如紫葢;如門樓,上黑下赤;如旌旗、如張弩、如塵埃,頭尖本大而高。〈○張刻本「多」下有「伏兵」句。〉兩軍相當,敵軍器上,氣如囷倉正白,見日愈明。此皆猛將之氣,不可擊也。

猛将の気は、煙に似て霧に似て、翻騰して火光の夜空を照亮するがごとし。猛将の所在するの地方は、赤白の两色の気有りて互相に環繞す。猛将の気は、或は山林のごとく、或は竹木のごとく、顔色は紫色の傘蓋のごとく、或は門楼のごとくして上黒く下赤く、或は旌旗のごとく張開の弩のごとく揚起の塵埃のごとくして、頂端尖鋭にして根部粗大高聳す(張刻本は「多」の字の下に別に「伏兵」の一句あり)。両軍對壘するの時、敵軍の兵器の上方の気は円形の谷倉に似て純白一色にして、日光の照射下に於て更に加えて明亮なり。以上の此らは皆猛将の気にして、以て冒然に攻撃すべからず。

敵人營上,氣黃白潤澤,將有威德,不可擊也。氣青白而高,將勇,大戰;前白如卑,後青如高,將怯士勇;前大後尖小,將怯不明。

敵人の営壘の上方、気色黄白にして潤澤なるは、敵将は威望有り徳行有りを説明し、攻撃すべからず。気色青白にして高聳なるは、敵将勇猛にして、将に大戦有らんを説明す。前段白を發して低く後段青を發して高きは、将領怯懦にして士卒勇敢なるを説明す。前段粗大にして後段尖細なるは、将領怯懦にして而且に昏昧不明なるを説明す。

敵上氣黑中赤,在前者,將精悍不可當。敵上氣青而疏散者,將怯然;軍上氣發,漸漸如雲裡山形,將有陰謀,不可擊。若在吾軍之上,速戰大勝。敵上氣如蛟蛇向人,此猛將之氣,不可當。若在吾軍之上,速戰大勝。

敵軍の上方の気黒の中に赤を帯び、赤色前に居るは、敵将精明強悍にして鋭く当たるべからざるを説明す。敵軍の上方の気青を發して稀疏松散なるは、敵将怯懦なるを説明す。軍隊の上方に気の升起する有り、漸漸に雲の中の山巒の形状を現出するは、将領は陰謀を心懐るを説明し、攻撃すべからず。此の種の気若し我が軍の上方に出現せば、則ち当に速戦して、大勝を獲得すべし。敵軍の上方の気蛟龍長蛇の一様に人に朝向するは、これ猛将の気にして、鋭く当たるべからず。若し我が軍の上方に出現せば、もまた当に速戦して、大勝を獲得すべし。

勝軍氣

氣如火光、如山隄、如塵埃粉沸、如黃白,旗旌無風而飄,揮揮指敵,此勝軍之氣,所在不可擊。雲氣如三匹帛,前橫後大,如樓椽、如赤色者,所在兵銳,不可擊。

気は火光に似て山堤に似て塵埃粉屑の翻騰するに似て、黄白の色を呈し、旗幟風無くして自ら動き猎猎として敵方を指向するは、これ必勝の軍の気にして、其の所在するの一方は攻撃すべからず。雲気は三匹の布帛に似て、前段横に展び後段粗大にして、或は楼房の椽子に似、或は赤色を呈するは、これ所在の一方の兵鋒鋭利を表示し、攻撃すべからず。

軍上有氣,如人持斧,如蛇舉首而向敵者,皆勝軍。氣如匹帛者,此助勝之氣,所在不可擊。軍上氣如覆舟、如牽牛、如鬬雞,所在不可擊。軍上有五色氣連天,不可擊。〈○此條依張刻本補。〉

軍隊の上方に気有りて、形状は人の手に斧頭を持つに似、蛇の首を昂げて敵方に朝向するに似るは、皆必勝の軍の象徴なり。気は一匹の布帛に似るは、これ助勝の気にして、其の所在するの一方は攻撃すべからず。軍隊の上方の気は翻扣の船に似て牽牛に似て鬥鶏に似るは、其の所在の一方もまた攻撃すべからず。軍隊の上方に五色の気の天際に連接する有るも、同様に攻撃すべからず。(此の一条は張刻本に依りて補入す。)

軍上有雲氣,如華葢、如飛鳥、如伏虎,所在不可擊。軍上氣如五馬,頸低尾高,如杵、如赤馬;在黑氣中,如黑人;在赤氣中,如杵;在黑雲中,如人十十五五;旌旗在黑氣中,赤色在前者︰皆精悍,不可擊。

軍隊の上方に雲気有りて、華蓋に似て飛鳥に似て伏虎に似るは、其の所在するの一方は攻撃すべからず。軍隊の上方の気は五匹の馬に似て、頸低くして尾高く、或は木杵に似て赤馬に似、黒気の中に於て黒衣の人の形状を現出し、赤気の中に於て木杵の形状を現出し、黒雲の中に於て三五成群の人影を現出し、旌旗の気は黒気の中に処りて赤色前に居る――此らは皆軍隊精悍を表示し、攻撃すべからず。

敗軍氣

敗軍之氣,如馬肝、如死灰、如偃葢、如臥魚,乍見乍隱,如霧之朦朧,此衰氣也。若居敵上,宜急擊之。雲氣如壞山,從軍營而墜,軍必敗。

敗軍の気は、顔色は馬肝に似て死灰に似て、形状は倒扣の傘蓋に似て臥する魚に似て、忽ち隱れ忽ち現れ、霧気の朦朧として清らかならざるがごとく、これ衰敗の気なり。此の種の気若し敵軍の上方に出現せば、則ち当に迅速に出撃すべし。雲気は崩塌の山に似て、軍営の上方より墜落し下來るは、此の支の軍隊必定に失敗せん。

雲氣自黃昏發,〈○原本但有「氣昏發」三字,依張刻本補正。〉連夜照人,則軍士散亂。軍上有氣一斷一續者,軍必敗。軍上黑雲,如牛狀、如豬脂、如群羊,〈○張刻本云「軍上有黑雲氣,狀若半豬群羊」。〉名曰「瓦解之氣」,軍必敗。

雲気は黄昏の時分より興起し(原本ただ「氣昏發」の三字のみ、張刻本に依りて補正す)、整夜人を照らして散ぜざるは、主として軍の中の士卒散乱せん。軍隊の上方の気時断時續たるは、此の支の軍隊必定に失敗せん。軍隊の上方の黒雲、形状は牛に似て猪の脂膏に似て成群の羊に似るは(張刻本は「軍上有黑雲氣、狀若半猪群羊」と作る)、名づけて「瓦解の気」と曰い、此の支の軍隊必定に失敗せん。

軍上有雲氣如雙蛇,急擊勿失。軍上氣,如塵灰、如粉、如煙雲霧,勃勃撩亂者,軍必敗。

軍隊の上方に雲気の两条の蛇に似る有れば、当に迅速に出撃して時機を錯失する勿かるべし。軍隊の上方の気は塵灰に似て粉末に似て煙雲霧靄に似て、蓬勃翻騰して繚乱して定まらざるは、此の支の軍隊必定に失敗せん。

軍上有五色雜氣,東西南北不定者,或如群鳥亂飛,或紛紛如轉蓬,或如敗船,或如臥人無手足,或如覆車,散亂不起者,皆敗軍之氣,擊之必克。〈○此下悉依 文瀾閣本。其張刻本與 閣本文全異,今不具列。〉

軍隊の上方に五色駁雜の気有りて、東西南北に向かって飄忽して定まらず、或は群鳥の乱飛するに似、或は紛紛揚々として風に随いて打转するの蓬草に似、或は破船に似、或は手脚無きの臥人に似、或は翻倒の車に似て、散乱して昇騰し起る能わざる――此らは皆敗軍の気にして、之を攻撃すれば必定に勝を取らん。(以下の各条は全て文瀾閣本に依る。張刻本と閣本とは文字完全に同ならず、ここに一一に列出せず。)

軍上氣上大下小者,士卒日減。軍上十日無氣者,其軍必敗。軍上十日無氣,忽有赤白氣,乍出卽滅者,外聲欲戰,實欲退散,宜擊之。

軍隊の上方の気上寛く下窄きは、主として士卒一天天に減少せん。軍隊の上方に連続十天気無ければ、此の支の軍隊必定に失敗せん。軍隊の上方に連続十天気無くして、忽然として赤白の気出現して剛に出現するや即ち熄滅するは、對方は表面上は作戦せんと声言するも実際上は撤退潰散せんと欲するを説明し、当に出撃すべし。

軍上氣出而半絶者,欲散;漸盡去走,一絶一敗,再絶再敗,三絶三敗;在東發白氣,災深;赤氣如火光,從天而降,入軍中,兵亂將死。

軍隊の上方の気升り起るも中途に於て一半を断絶するは、主として軍隊将に潰散せんとす。気漸漸に消盡し、人もまた逐步に逃走す――気断えること一次なれば則ち敗るること一次、断えること両次なれば敗るること両次、断えること三次なれば敗るること三次なり。若し東方に於て白気升起せば、災禍更に加えて深重なり。若し赤気の火光の一様に天上より降りて軍の中に落ち入る有れば、主として軍の中大乱し将領死亡せん。

軍上氣蒼,須臾散盡,或前高後卑,或黑氣如牛馬形,從雲氣中漸入軍中,名曰「天狗食血」,其軍散敗。兩軍相當,十里之內,三里之外,望彼軍上氣高而前白後青者,敗氣也。

軍隊の上方の気青蒼色を呈して、片刻の間に則ち消散浄盡し、或は前高く後低く、或は黒気有りて牛馬の形状を呈して、雲気の中より漸漸に軍の中に進入するは――これを「天狗食血」と謂う作り、此の支の軍隊将に潰散敗亡せんとす。両軍對壘するの時、十里以内・三里以外の距離の上に於て對方の軍隊の上方の気を観望し、若し気高聳して前段白を發し後段青を發せば、則ち是れ敗気なり。

雲氣如人頭,雞兔臨軍上雲葢,蔽濛晝晦者,宜急走,不然必敗。軍上氣,先青而後黑者,其將必死。散軍之氣,如燃生草之煙,前雖銳而後必退。

雲気は人頭に似、或は鶏に似て兎に似て、軍隊の上方に臨壓して云蓋を形成し、天を遮り日を蔽い白昼は昏夜のごときは、当に趕く撤走して、然らざれば必定に失敗せん。軍隊の上方の気先ず青く後に黒きは、此の支の軍隊の将領必ず死せん。潰散の軍の気は、青草を焚焼して冒出するの煙に似て、其の軍前期は鋒鋭なりと雖も、後來必定に退却せん。

軍上氣如丹蛇者,如尾在雲霧中,臨軍上者,中人與外人通。軍行有白氣,如豬來臨者,大驚,宜備。日暈有氣,如死蛇,屬暈者,不利先鋒。

軍隊の上方の気は紅色の蛇に似て、蛇の尾は雲霧の中に隱れ、軍隊の上方に臨壓するは、主として軍の中に人の外と私通する有らん。行軍の途中に白気の猪の一様に逼近する有るは、主として軍の中大いに驚擾を受け、当に予め戒備すべし。日暈の上に気の形は死蛇のごとく日暈に連属するは、先鋒部隊に對して不利なり。

日暈旁有赤雲,如懸鐘,其下有死將。日月暈有背,所臨者敗。白虹及蜺,入營者敗。

日暈の旁边に赤赤雲の懸掛するの鐘に似る有るは、其の下方は主として将領の陣亡有らん。日暈・月暈の上に背向の気出現し、気の指向する所の一方は失敗せん。白虹および副虹の軍営に進入するは、該当の軍は失敗せん。

日暈有四玦在外,軍悉敗散;日暈薄及後至,先去其下,敗軍來降。氣如人十十五五,皆低頭叉手相向;或氣如黑山,以為緣者;白氣如鳥,趣入屯營,連絡不絶,須臾下者︰當有來降。

日暈の外に四処の缺口有るは、軍隊全て敗散せん。日暈稀薄にして、また是れ後來して初めて形成し、併せて先ず下方より散去するは、主として敗軍の來りて投降する有らん。気は三五成群の人に似て、皆頭を低え手を拱して彼此相對し、或は気は一座の黒山に似て某物を以て辺縁と為し、或は白気は鳥に似て急速に屯営に飛入り、連綿断えず、片刻の間に則ち落ち來る――此らは皆主として人の來りて歸降する有らん。

城壘氣

正白如旌旗;或白氣如旗,而赤界其邊;或氣出於外,如火煙;或有雲分為兩截狀,如城壘︰皆堅而不可攻。白氣如城中南北出者,城中黑氣如星,名曰「軍精」,急宜解去。

気は純白にして旌旗のごとく、或は白気は旗幟に似て辺縁は赤色を鑲め、或は気は城外に冒出して火煙に似、或は雲有りて上下の两截に分かれて形状は城墙壁壘に似る――此らは皆城池堅固を表示し、強攻すべからず。白気は城中より南北の两面に向かって伸出し、城中にまた黒気の形は星点のごとき有るは、これを「軍精」と謂う作り、城を攻めるの一方は当に趕く囲を解き撤走すべし。

赤雲或黃雲臨城,城中喜;青雲從軍,城南北出者,不可攻。城中有雲,青色如牛頭,觸人外向者,城中有氣出東,其光黃大,堅城也。

赤雲或は黄雲の城上に臨壓するは、主として城の中に喜事有らん。青雲の軍に随いて來りて、城の南北の两面より伸出するは、城を攻むべからず。城中に雲の青色を呈して形は牛頭のごとく、外に向かって人を頂撞するの姿態を作出し、同時に城中にまた気の東面より透出して光色黄にして盛大なる有るは――これ堅城にして、攻取すべからず。

白氣中出,青氣入北,反覆囘還,不可攻。凡攻城圍邑,過旬,不雷不雨者,為城輔,勿攻。

白気は城中より透出し、青気は北面より進入し、反復回旋往還するは、城を攻むべからず。凡そ城を攻め邑を囲むに、十天を超過して雷を打たず雨を下らざるは、これを「城輔」と謂う作り、是れ上天の城を守るの一方を輔助するにして、進攻する勿れ。

城壘氣出於外,如煙火者,或如雙蛇,舉首向敵,或赤氣如杵,自城中出向外,內兵突出,客敗。凡攻城,有諸氣自城出,兵不得入。

城壘の気は城外に冒出して煙火の一様にして、或は两条の蛇の首を昂げて敵方に朝向するに似、或は赤気の木杵に似て城中より城外に伸向する有る――此らは皆主として城を守るの一方の軍隊は會い突然出撃し、城を攻めるの客軍は失敗せん。凡そ城を攻むるは、ただ種種の気の城中より透出する有らば、攻方の軍隊は則ち攻め入る能わず。

濛氣繞城而不入城,外兵不得入。日暈有青氣,從中出四起者,圍中勝。

蒙蒙の霧気は城池を環繞して城内に進入せざるは、城外の軍隊は攻め入る能わず。日暈の上に青気の暈中より透出して四面に向かって升起する有るは、城の中に被囲困せらるるの一方は勝利を獲得す。

凡攻城,有黑氣臨城上者,積土固險之狀。黑者,水之氣,城池之象也。我據城,敵不可攻;敵據城,我不可攻。凡圍城,平旦視圍上,氣鬱鬱如火光芒,其勢翕翕然者,其方救至;無者,救不至。受圍者,望外救,亦以此占。

凡そ城を攻むるに、若し黒気の城上に臨壓する有るは、あれは土を積みて固く守り険に凭りて拠守するの形状なり。黒は水の気色にして、また城池の象徴なり。此の時我が方は城に拠れば、敵人は攻め下る能わず。敵方は城に拠れば、我もまた攻め下る能わず。凡そ城を囲むに、清晨に包囲圈の上方を観察し、若し気の郁郁勃勃として火光のごとくして其の勢い翕然として聚合するは、あの一方の援兵は将に即に到來せんとす。此の種の気無ければ、援兵は則ち來らざらん。被囲困せらるるの一方の外面の來救を盼望するも、また此の方法を用いて占断す。

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