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天第一百七十七

宋 · 許洞 · 第15巻 / 16

作盤ガイド: 暦注(黄暦), 万年暦

天裂(一作制)於敵上者,敵人自亂之兆也。天色如血,兵戰之兆也。天雨甘露,所雨之地兵大勝也。雨雖在敵,敵敗也;在我,當避之。天雨魚鱉,在敵,敵敗也;在我,亦當避之。天雨血,在敵,急擊之,可勝也;在我,避之;或在我彼兩界者,將大血戰,吏士俱傷。

天敵軍の上空に於て開裂すれば(「裂」は一本に「制」と作る)、是れ敵人の自行に潰亂するの預兆なり。天色紅きこと鮮血の如きは、是れ兵戈の交戰するの預兆なり。天甘露を降せば、降する所の地の軍隊の大勝を主る。此の種の雨縱い敵方に降るも、敵人もまた敗れんを要す。我方に降れば、就ち應當に避開すべし。天上魚鱉を落下すれば、敵方に在れば、敵人敗つ。我方に在れば、もまた應當に避開すべし。天上血雨を落下すれば、敵方に在れば、趕緊に攻擊して以て取勝し得べし。我方に在れば、就ち躲避するを要す。若し我方と敵方との兩邊の交界處に落れば、將に一場の大血戰有るを主り、雙方の官吏士卒皆傷亡せんを要す。

天雨絮及粟,在敵,敵凶;在我,避之。天雨海島毛,大亂之兆也。天雨毛,所雨之地大將信任邪謀也。若煙非煙,慶雲也,雲開有德。若星非星,歸邪也,歸邪有人。若霧非霧,泣軍也,泣軍多殺將。若雷非雷,天鼓也,天鼓多敗軍。不雲而雨,天泣也,天泣多覆國。凡天下之事變異於人者,急慎之。

天上柳絮と谷粟とを落下すれば、敵方に在れば、敵人凶なり。我方に在れば、就ち躲避するを要す。上海島上の鳥獸の羽毛を落下すれば、是れ大亂の預兆なり。天毛を落せば、降落の地の大將の邪惡の謀劃を聽信するを主る。煙に似て又煙に非ざるは、「慶雲」と叫び、雲の開く處德有る人の出現を主る。星に似て又星に非ざるは、「歸邪」と叫び、歸邪出現すれば人の歸附に來る有るを主る。霧に似て又霧に非ざるは、「泣軍」と叫び、泣軍出現すれば多く將領の殺せらるる有り。雷に似て又雷に非ざるは、「天鼓」と叫び、天鼓出現すれば多く軍隊の敗亡有り。天陰らずして雨を下すは、「天泣」と叫び、天泣出現すれば多く國家の傾覆有り。凡そ天下の事情の人に向かって變異を顯出するは、皆趕緊に慎重に對待するを要す。

地第一百七十八

地裂者,兵戈之兆也。營中地生錢者,下謀叛也,急備之。營中地上生毛者,吏士多亡敵,嚴令防之。軍在野,營地震者,有災星到也。營地生五穀者,將士有喜慶,大將有封邑。營中地色忽變黃者,大慶之兆也。營中地忽拆裂,有敗軍將死也,急移營避之。地忽陷者,主將破點之兆也。

大地開裂すれば、是れ兵戈の禍の預兆なり。營中の地上錢幣を長出せば、部下の叛亂を圖謀するを主り、趕緊に防備するを要す。營中の地上毛を生ずれば、官吏士卒多く逃亡して敵に投ずるを主り、嚴令して防範するを要す。軍隊野外に駐扎して營地震動すれば、災星の降臨有るを主る。營地上五穀を長出せば、將士の喜慶の事有り大將封邑を得到するを主る。營中の地色忽然に黄と變ずれば、是れ大喜慶の預兆なり。營中の地面忽然に開裂すれば、軍隊の潰敗・將領死亡を主り、趕緊に營を移して躲避するを要す。地面忽然に塌陷すれば、是れ主將敗亡の預兆なり。

營中地忽生血者,賊來,急速避之。城中與營內山忽有夜崩者,吏士有分散,移營避之。屯兵之城,山春崩者,敵來伐城;山夏崩者,有大水至;山秋崩者,有暴兵至;山冬崩者,軍民饑。結營之地吼如雷者,敵來,急速備之。流水無故絕者,設伏兵至。水忽赤如血者,軍士欲自亂,急備之。

營中の地上忽然に血を滲出せば、敵兵將に至らんを主り、迅速に躲避するを要す。城中と營內の山忽然に夜裏に崩塌すれば、官吏士卒離散を主り、應に營を移して躲避すべし。兵を屯する城池は、山春天に崩塌すれば、敵人の城を攻めに來るを主る。山夏天に崩塌すれば、大水の到來有るを主る。山秋天に崩塌すれば、亂兵の到來有るを主る。山冬天に崩塌すれば、軍民の饑荒を鬧すを主る。營を扎する地雷の如き吼聲を發出せば、敵人の來襲を主り、迅速に防備するを要す。流水故無く斷絕すれば、設伏の兵馬の到來有るを主る。水忽然に赤紅して血の如ければ、軍士將に自ら相擾亂せんを主り、趕緊に防備するを要す。

虹霓第一百七十九

攻敵人之城,有虹霓屈曲從外入者,三日內城屠。五色虹霓飲軍井者,大凶,移營避之。虹霓垂營中者,亦敗兆也。五色虹霓繞城,城中將亂,急攻之。白虹見於軍上者,軍敗流血。白霓貫中,師不可出。白虹繞城而不匝者,從不匝處攻之,必拔矣。繞城而匝者,即俟從漸錯處攻之。

敵人の城池を攻打する時、虹霓屈曲して城外より城內に伸入する有れば、三天の內城池攻破屠戮せらる。五色の虹霓軍中の井水を飲むが如きは、大凶にして、營を移して躲避するを要す。虹霓營中に垂落するも、もまた是れ敗亡の兆なり。五色の虹霓城池を環繞せば、城中將に亂を生ぜんを主り、應に急攻すべし。白虹軍營の上空に出現せば、軍隊の敗亡流血を主る。白霓其の中を貫穿せば、軍隊出動する可からず。白虹城を繞りて合攏無きは、就ち合攏無き缺口より進攻せば、必定に攻下り得べし。已に城を繞りて合攏せるは、就ち它の漸漸に錯開する地方を等ちて再び進攻せよ。

赤虹從天直垂地者,所垂之地敵兵至。十一月屈虹出,破軍敗將。天有白虹如霧者,營中防奸,將及兵將反。黑虹所見之地,大水到其處,利於高處置營。赤虹半隱雲上,有火災,亦當敗。黃虹在營上,吏士多驚撓。青虹亦如之,不為災。

赤虹天上より直に地面に到るまで垂れれば、それの垂落の地敵兵の到來有るを主る。十一月屈曲の虹を出現せば、軍隊の擊破せられ將領敗亡を主る。天上白虹霧の如き有れば、營中奸細を提防するを主り、將領と士兵反叛の虞有り。黑虹出現する地方は、大水將にあの處に至らんを主り、宜しく高處に營を扎すべし。赤虹雲上に半隱れれば、火災有るを主り、もまた戰敗を主る。黄虹營上に出現せば、官吏士卒多く驚擾を受くるを主る。青虹もまた是の如し。但し災禍を構成せず。

雷霆第一百八十

營中雷折木者,大將凶,利修軍政:春三月內甲子、乙丑、戊寅、辛卯、戊午。有雷及霹靂下石殺人者,軍在野營,將有大戰,一月內應之。雷一聲而止者,將軍有重命行。將戰之時,雷聲自我陣後起漸漸入敵者,必勝也。隨其聲而擊之,吉。從敵震迅而來者,凶也,急抽兵避之。

軍營の中雷を打ちて樹木を劈斷せば、大將凶險を主り、宜しく此に借りて軍政を整頓すべし。應に春季三箇月內の甲子・乙丑・戊寅・辛卯・戊午の此の幾日に於て留意して驗證すべし。若し雷霆霹靂石塊を打下して人を砸死せしめ、而して軍隊正に野外に營を扎れば、將に大戰有るを主り、一箇月の內に應驗せん。雷一聲響きて就ち停止せば、將軍の重大の使命の執行せんとする有るを主る。將に交戰せんとする時、雷聲我方の陣後より響き起り、漸漸に敵方に推向すれば、必定取勝せん。雷聲の方向に順って攻擊せば、吉利なり。雷聲敵方より迅猛に震蕩して來れば、凶險にして、趕緊に兵を撤して躲避するを要す。

天陰不雨,雷霆在我軍上,隨而擊之者,大勝也。合戰之時,大雷一聲而止,先動者勝。渾渾圓長者,從來處吉。聲四起東西南北不定者,軍有大血戰,兩軍傷。大雷疾速自我入敵者,勝也;自敵來,凶。霹靂當牙帳,急搜檢(一作驗)之,營中有奸人為賊應,亦慮暴兵至。或夜半無雲而雷者,吏士不從軍令也,火急施恩布惠(一作講我)以禳其禍。

天陰るも而して雨を下さず、雷霆我軍の上空に響けば、隨卽出擊して、大勝を獲し得べし。兩軍交戰の時、一聲の大雷就ち停止せば、先に手を動かす一方獲勝す。雷聲渾厚圓長のは、雷聲の傳來する方向より兵を進めば吉利なり。雷聲四處に響き起り東西南北飄忽不定なるは、軍中大血戰有るを主り、兩軍皆傷亡有らん。大雷迅疾に我方より敵方に推向すれば、勝を主る。敵方より我方に推向せば、則ち凶なり。霹靂正に主將の牙帳上に打當れば、趕緊に搜查するを要し(「檢」は一本に「驗」と作る)、營中奸細の敵人の內應を充當する有り、もまた亂兵の突然來襲を顧慮するを要す。ある時半夜雲無くして雷を打てば、官吏士卒の軍令に服從せざるを主り、火速に恩を施し惠を布きて以て此の場の禍患を禳解するを要す(「布惠」は一本に「講我」と作る)。

戰候第一百八十一

交戰之時,五色採旗掣拽不動者,大勝候也,敵強力戰,慎不可追之。臨戰之時,鼙鼓之音鳴於常者,勝候也。角聲清激者,勝候也。風不起而旌旗悠揚,前指敵陣者,勝候也。馬驕嘶而喜躍欲進者,勝候也。

交戰の時、五彩の旗風に牽扯せられて旗面動かざるは、此是れ大勝の征候なり。不過敵人頑强に死戰せん、務必謹慎にして、貿然と追擊する可からず。戰に臨むの時、鼙鼓の聲音平常に比べ響亮なるは、是れ取勝の征候なり。號角聲清越激揚なるは、是れ取勝の征候なり。風起らずして旌旗自然に飄揚し旗頭敵陣を指向するは、是れ取勝の征候なり。戰馬昂揚嘶鳴して歡躍して前進せんと想うは、是れ取勝の征候なり。

牙帳無故倒折者,敗候也。鼙鼓之音重濁不清徹者,敗候也。角聲洪濁不清潔者,敗候也。焦而四亂者,敗候也。橫而不圓者,內亂將發。旌旗撩亂不整者,敗候也。馬亦多驚嘶退縮者,敗候也。臨陣之際,勝敗之候,能詳慎者善矣。

主將の牙帳故無く倒塌折斷するは、是れ敗亡の征候なり。鼙鼓の聲音重濁にして清亮ならざるは、是れ敗亡の征候なり。號角聲洪大渾濁にして清朗ならざるは、是れ敗亡の征候なり。號角聲焦躁にして四散雜亂なるは、是れ敗亡の征候なり。聲音橫散にして圓渾ならざるは、內亂將に爆發せんを主る。旌旗散亂して整齊ならざるは、是れ敗亡の征候なり。戰馬もまた多く驚を受け嘶叫し畏縮後退するは、是れ敗亡の征候なり。陣に臨むの際の種種の勝敗征候を、能く詳審慎察するは、就ち兵を用うるに善しと算す。

雜占第一百八十二

結營之地,天火焚其林野者,賊兵疾到。火無故自發,焚其帳幕者,有大水到。溪澗中水忽出,主有陰賊到,其地凶,移營避之。或出軍之時,或將戰之際,有兔及麋鹿之類走過者,勿殺之,勝兆也。營中黃龍見者,大勝也。營中山池沼溪澗忽自然自外而入者,士卒陵主將。龍鬥營中及左右者,賊大至,亦防大水。

營を扎する地に、天火あの裏の林野を焚燒せば、賊兵の迅速に到來を主る。火故無く緣無く自行に燒起して帳幕を燒着けば、大水の到來有るを主る。溪澗の中の水忽然に涌出せば、暗藏の賊寇の到來有るを預示し、此地凶險にして、應に營を移して躲避すべし。ある時出兵の際あるいは將に交戰せんとする時、兔子と麋鹿の類の跑過する有れば、それらを殺すなかれ。此是れ取勝の兆なり。營中黄龍を出現せば、大勝を主る。營中の山池・沼澤・溪澗の水忽然に自行に外より內に向かって灌入せば、士卒の主將を欺凌するを主る。龍營中あるいは營の左右に於て爭鬥する有れば、賊兵の大擧到來を主り、もまた大水を防備するを要す。

群蛇集營前道上者,有急兵至。營中竹樹忽然有血者,大將有重憂。營中不雨而樹濕者,賊兵起。營中忽得五色魚者,勿殺之,殺則大水立至,不然暴兵。或有魚上下於樹者,水亦至,急移營高處避之。雞有重距重翼飛來營內者,勝兆也,殺則大凶。兩軍相當,遙見敵上有龍者,不出一月敵當大敗。

成群の蛇營前の道路上に聚集せば、緊急の兵事の到來有るを主る。營中の竹子樹木忽然に血を滲出せば、大將の重大の憂患有るを主る。營中雨を下さずして樹木濕潤せば、賊兵興起を主る。營中忽然に五色魚を捕到せば、它を殺すなかれ。殺せば大水立刻に就到し、然らざればもまた亂兵有らん。ある時魚樹上に於て上下游動すれば、水もまた到らん。趕緊に營を高處に移して躲避するを要す。雙距雙翅を長ずる雞營中に飛進する有れば、是れ取勝の兆にして、它を殺せば大凶なり。兩軍對壘して、遠遠に敵軍の上空龍有るを望見せば、一箇月を出でずして敵人將に大敗せん。

犬尿溺營前大道者,移營避之,有災至。營中馬忽驚嘶者,即起卒兵,立具兵器備之,恐賊潛到。馬前營生角者,多殺傷。馬毛無故而赤,主將災也。將帥之馬夜無故嘶者,其主凶。城忽出水者,賊兵相侵。鼠嚙(一作囓)甲冑及兵器者,損吏士也。鼠群行,即有大水。鼠頻出軍中,防叛逆。虎狼入營者,賊兵至,傷人,大凶。

狗營前の大道上に撒尿せば、應に營を移して躲避して、災禍の到來有るを主る。營中の馬忽然に驚叫せば、應に立即に士卒を喚起し馬上に兵器を備齊して防範を加以し、恐怕賊兵の潛到有らん。馬營前に於て額上に角を長ずれば、殺傷多きを主る。馬毛故無く紅と變ずれば、是れ主將災有るなり。將帥の坐騎夜裏故無く嘶鳴すれば、それの主人凶險なり。城中忽然に水を涌出せば、賊兵の前來侵犯を主る。老鼠鎧甲頭盔と兵器とを啃咬すれば(「嚙」は一本に「囓」と作る)、官吏士卒を損傷するを主る。老鼠成群に遷行すれば、隨卽大水有らん。老鼠頻繁に軍中に出没せば、人の叛變有るを防ぐを要す。虎狼營中に進入すれば、賊兵の到來・人を傷るを主り、大凶なり。

占風統論第一百八十三

凡災風之來,多有殺氣剋日,濁塵飛埃蓬勃四起也。凡詳風之來,多與佳氣並,而日色清朗,天氣涼索,令條長去地少高,不動塵而過也。

凡そ災禍を帶來する風の到來する時は、多半殺氣を夾帶して日光を掩克し、渾濁の塵土飛揚して、蓬蓬勃勃として四面より涌起す。凡そ祥和の風の到來する時は、多く佳美の氣と相伴し、日色清朗にして、天氣清凉爽利にして、枝條をして長長に擺動して地を離るること稍々高くせしめ得、塵土を揚起せずして吹過ぎ往く。

五音占風第一百八十四

宮風聲如雷吼空中(一作風),商風聲如驅群羊,徵風聲如奔馬,羽風聲如擊濕鼓,角風聲如千人語。子午為宮,丑未寅申為徵,卯酉為羽,辰戌為商,巳亥為角。

宮音の風は、聲音雷の空中に吼叫するが如し(「中」は一本に「風」と作る)。商音の風は、聲音羊群を驅趕するが如し。徵音の風は、聲音奔馬の如し。羽音の風は、聲音受潮の鼓を敲擊するが如し。角音の風は、聲音上千人同時に説話するが如し。地支の中子・午は宮に屬し、丑・未・寅・申は徵に屬し、卯・酉は羽に屬し、辰・戌は商に屬し、巳・亥は角に屬す。

宮風發屋折木,米貴,來年兵起。徵風發屋折木,四方有急。羽風發屋折木,米貴(一作情勇)。商風發屋折木,主兵。角風發屋折木,急鬥戰。

宮音の風房屋を掀翻し樹木を吹斷せば、米價騰貴を主り、來年兵を興さん。徵音の風房屋を掀翻し樹木を吹斷せば、四方の急難有るを主る。羽音の風房屋を掀翻し樹木を吹斷せば、米價騰貴を主る(「米貴」は一本に「情勇」と作る)。商音の風房屋を掀翻し樹木を吹斷せば、兵事有るを預示す。角音の風房屋を掀翻し樹木を吹斷せば、急促の搏鬥交戰有るを主る。

刑殺占風第一百八十五

歲月日時,陽德自處,陰德在天干。歲月日時,子刑卯,卯刑子,丑刑戌,戌刑未,未刑丑,丑刑巳,巳刑寅(一作申),辰午酉亥各自相刑。子丑寅巳申為上刑,卯寅巳為下刑。大風從三刑上來,官軍克,大寒大克,小寒小克。風從刑下來禍,從刑上來福。從三刑為上,從自刑為下。

年・月・日・時を論ずれば、陽德自らその位に居り、陰德則ち天干上に寄す。年月日時の地支の相刑に就いて言えば、子は卯を刑し、卯は子を刑し、丑は戌を刑し、戌は未を刑し、未は丑を刑し、丑は巳を刑し、巳は寅を刑す(「寅」は一本に「申」と作る)。辰・午・酉・亥は則ち各々相刑す。子・丑・寅・巳・申は上刑と爲し、卯・寅・巳は下刑と爲す。大風三刑の方位より吹來れば、官軍取勝す。風寒氣重ければ就ち大勝し、風寒氣輕ければ就ち小勝す。風刑位の下より吹來すれば禍を主り、刑位の上より吹來すれば福を主る。三刑の方位より吹來するを上等と爲し、自刑の方位より吹來するを下等と爲す。

十二位占風第一百八十六

申子為貪狼,主欺紿不信,強奪橫取,盜賊攻劫。巳酉為寬大,主福祿賞賜,眾宴酒食,貴人君子。亥卯為陰賊,主戰鬥殺傷,謀反大逆,殺人之事。寅午為廉宜(一作貞),主賓客禮樂,娶嫁,國議,誠信。

十二地支を兩兩に配属する名目に按じて風を占す。申・子の二支は「貪狼」と稱し、欺詐失信・强搶橫奪・盜賊攻劫の事を主る。巳・酉の二支は「寬大」と稱し、福祿賞賜・衆人の宴飮酒食・貴人君子の往來の事を主る。亥・卯の二支は「陰賊」と稱し、戰鬥殺傷・謀反大逆・殺人害命の事を主る。寅・午の二支は「廉貞」と稱し(「宜」は一本に「貞」と作る)、賓客往來・禮樂儀典・男婚女嫁・朝廷議政および誠實守信の事を主る。

丑戌為公正,主執仇怨兵誅。辰未為奸邪,主欺慢人。貪狼之日,風從寬大來,仍以貪狼參說吉凶。他皆仿此。有殺氣從三刑上來,或五墓上來,有伏兵,不戰必克。

丑・戌は「公正」と爲し、仇怨を追究し兵を動かし誅討するを主る。辰・未は「奸邪」と爲し、他人を欺騙輕慢するを主る。比如貪狼の日に於て、風寬大の方位より吹來しても、仍ほ貪狼を一倂に參照し進めて吉凶を推斷するを要し、其餘の情形皆此に照らして類推せよ。若し殺氣三刑の方位より吹來し、あるいは五墓の方位より吹來せば、伏兵有るを主り、交戰するに必あらずもまた必ず能く取勝し得べし。

逆風第一百八十七

蓬勃四方起,或上來觸地,此逆風也,暴兵至。寅時發,主人逆;辰時發,客逆;午時發,親戚逆;申時發,左右逆;黃昏發,外賊逆。宮日風從角上來,卒急有兵圍。至月中折木者,城陷。羽日風喧喧,日無光深霧,兵圍城,客克。商日風從四季上來,關梁不通路絕。陰賊日風從陰賊上來,大寒日(一作賊)日相殺。

風蓬蓬勃勃として四方より涌起し、あるいは上より下に自ら地面に撲到するは、這就ち是れ「逆風」にして、亂兵の到來有るを主る。寅時に風を起せば、人の一方背離を主る。辰時に風を起せば、客軍背離す。午時に風を起せば、親戚背離す。申時に風を起せば、身邊の近侍背離す。黄昏に風を起せば、外來の賊寇逆を作す。宮日の風角位より吹來せば、倉卒の間に兵の城を圍む有るを主る。月中に到りて風樹木を吹斷するのは、城池陷落す。羽日の風聲喧鬧にして、日光晦暗・濃霧彌漫せば、兵の城を圍む有るを主り、客軍取勝す。商日の風辰・戌・丑・未の四季の方位より吹來せば、關隘橋梁通ぜず道路斷絕するを主る。陰賊日の風陰賊の方位より吹來せば、大寒の日雙方相互に廝殺するを主る(「日」は一本に「賊」と作る)。

風雨雜占第一百八十八

攻城圍邑,經旬不雷雨者,城中有輔,疾去之。徵去之日,細雨沐,兵捷之征也。若大風雷雨不見日,辰午戌亥自刑之日,兵家大忌也。臨戎之際,忽來陰氣旁勃,牙槓折陰不見日,旌旗抑揚,此敗征也。

城を攻め邑を圍み、十來天を經過して雷雨を見ざれば、城中神明の輔佑有るを説明し、應に趕快撤離すべし。出征啟程するあの日、細雨の衣裳を沾濕する有るは、是れ軍隊の獲勝するの征兆なり。若し狂風雷雨にして終日太陽を見ず、又辰・午・戌・亥の此れらの自刑の日に趕上せば、那是れ兵家の大忌なり。陣に臨むの際、忽然に陰氣四旁に彌漫し涌來し、牙旗の旗杆折斷し陰雲日を蔽い、旌旗忽起忽落するは、此是れ敗亡の征象なり。

慢風與氣從敵所俱來,我勝,急擊之。反是則凶。旌旗暈暈順風搖曳,舉向賊者,即擊之,勝也。大將牙旗之日,風勢順動,旌旗前指,鼙鼓之音清亮,此勝兆也。持此,可以勝定安三軍之心。

和緩の風と雲氣と一同に敵方より我方に吹到すれば、我軍の獲勝を主り、應に趕緊に攻擊すべし。之に反れば就ち凶なり。旌旗光影閃動して風に順って搖曳し、旗頭敵軍を指向せば、就ち立即に攻擊して、以て取勝し得べし。大將牙旗を樹立するあの日、風勢順暢にして、旌旗前方を指向し、鼙鼓の聲清亮なるは、此是れ取勝の兆にして、此れらを把握住すれば、就ち以て穩く勝算を操り三軍の心を安定し得べし。

風旋塵如穗如蛇形,屈屈來漾者,凶,急備之。風來卑而掃地者,敵兵至,速高則來緩。營中大風折木者,大將失位。風無常而無定者,賊即至。合戰之際,大風晝昏揚塵沖敵,大勝。反是凶。兵初至,所伐之城天色陰翳,又無風而細雨空濛者,軍將敗。若初臨敵而大雷雨隱而至者,大勝之兆也。有旋風入營,折絕旗幟干戈,吹壞帳幕,必有盜賊入營,將死。

旋風塵土を卷起して、形如禾穗・形如長蛇にして、屈曲蕩漾して來れば、凶を主り、趕緊に防備するを要す。風の來ること低くして地に貼りて掃過せば、敵兵將に到らんとし而且來勢迅速を主る。風位偏高なれば、敵人就ち來ること慢し。營中大風樹木を吹斷せば、大將の職位を丟掉するを主る。風向變幻無常にして飄忽不定なるは、賊兵の隨卽到來を主る。兩軍交戰の際、大風白晝を昏暗せしめ塵土を揚起して直に敵方に撲せば、大勝を主る。之に反れば就ち凶なり。軍隊剛に到りて、攻めんと要する所の城池天色陰沉にして、又風無くして細雨迷蒙なれば、我軍將に敗れんを主る。若し初次敵に臨みて就ち大雷雨の隱隱として來る有れば、那是れ大勝の預兆なり。旋風の營中に卷入する有りて、旗幟と戈矛とを吹折し帳幕を吹壞せば、必ず盜賊の營中に混入する有るを主り、將領性命の危有り。

八節占風第一百八十九

候風之次(一作發),常於其節寅時候之。立春之日,位應艮宮,本宮綽綽然和風徐徐而至者,此之謂條風也。風自人門起者,軍民不利也。春分之日,位應震宮,本宮風來,抑之非低,之非高,習然得風者,此之謂明庶風也。明庶風應候,軍民寧泰之兆也。風自金門起者,軍民不利也。

節氣の風の次第を觀測するは(「次」は一本に「發」と作る)、通常あの節氣の當天の寅時に於て進行す。立春此の天は、方位艮宮に對應し、若し本宮方向の寬舒和暖の風緩緩に吹來せば、這就ち「條風」と叫作す。風「人門」の方位より吹起するは、軍隊と百姓とに對して利あらず。春分此の天は、方位震宮に對應し、若し本宮方向の風吹來して、壓下げるに低きと算せず抬起げるに高きと算せず、和順自然に風を得れば、這就ち「明庶風」と叫作す。明庶風節候に按じて期の如く至れば、是れ軍民安寧康泰の預兆なり。風「金門」の方位より吹起するは、軍民に對して利あらず。

立夏之日,位應巽宮,本宮風至,陶陶然圓緩而不散亂者,此之謂清明風者也。清明風應候,軍民寧泰之兆也。風自天門起者,軍不利也。夏至之日,位應離宮,本宮風薰然融和而普者,此謂景風者也。景風應候,軍民寧泰之兆也。風自水門起者,軍民不利也。

立夏此の天は、方位巽宮に對應し、若し本宮方向の風到來して、融融然として圓轉和緩にして散亂せざれば、這就ち「清明風」と叫作す。清明風節候に按じて期の如く至れば、是れ軍民安寧康泰の預兆なり。風「天門」の方位より吹起するは、軍隊に對して利あらず。夏至此の天は、方位離宮に對應し、若し本宮方向の風溫煦融和にして四方に遍及せば、這就ち「景風」と叫作す。景風節候に按じて期の如く至れば、是れ軍民安寧康泰の預兆なり。風「水門」の方位より吹起するは、軍民に對して利あらず。

立秋之日,位應坤宮,本宮風來宣暢而諭(一作渝)者,此之謂涼風者也。涼風應候,軍民寧泰之兆也。風自鬼門起(一作來)者,軍民不利也。秋分之日,位應兌宮,本宮風來肅然者,此謂閶闔風也。閶闔風應候,軍民寧泰之兆也。風自木門起者,軍民不利也。

立秋此の天は、方位坤宮に對應し、若し本宮方向の風吹來して舒暢通達せば(「諭」は一本に「渝」と作る)、這就ち「凉風」と叫作す。凉風節候に按じて期の如く至れば、是れ軍民安寧康泰の預兆なり。風「鬼門」の方位より吹起するは(「起」は一本に「來」と作る)、軍民に對して利あらず。秋分此の天は、方位兌宮に對應し、若し本宮方向の風吹來して肅殺清勁せば、這就ち「閶闔風」と叫作す。閶闔風節候に按じて期の如く至れば、是れ軍民安寧康泰の預兆なり。風「木門」の方位より吹起するは、軍民に對して利あらず。

立冬之日,位應乾宮,本宮風潔清瑩爽而至者,此謂不周風者也。不周風應候,軍民寧泰之兆也。風自土門起者,軍民不利也。冬至之日,位應坎宮,本宮風來淒涼不怒者,此謂廣漠風者也。廣漠風應候,軍民寧泰之兆也。風自火門起者,軍民不利也。

立冬此の天は、方位乾宮に對應し、若し本宮方向の風潔淨清瑩にして爽利に至れば、這就ち「不周風」と叫作す。不周風節候に按じて期の如く至れば、是れ軍民安寧康泰の預兆なり。風「土門」の方位より吹起するは、軍民に對して利あらず。冬至此の天は、方位坎宮に對應し、若し本宮方向の風吹來して凄清にして狂暴ならざれば、這就ち「廣漠風」と叫作す。廣漠風節候に按じて期の如く至れば、是れ軍民安寧康泰の預兆なり。風「火門」の方位より吹起するは、軍民に對して利あらず。

風之來也,順者為祥,逆者為妖。皆人志正邪也,然後通天地鬼神之心也。是以節之首日而占之,可以知其吉凶矣。行師者能以順正之道應乎天,欲風之不祥也,其可得乎!

風の到來は、本位に順應するは是れ祥瑞にして、本位に違逆するは是れ妖異なり。此れ根底に歸って人の心の正と邪とに取决す。人心端正にして、然る後纔か能く天地鬼神の心意を通達せん。ゆえに每箇の節氣の頭一天に於て風を觀測せば、就ち以てそれの示す所の吉凶を知るを得。兵を帶ぶる人若し能く正道に順應する方式を以て上天に回應せば、那麼風をして不祥の兆と變成せしめんと想うも、又怎麼能く可能ならんや。

時加占烏情第一百九十

巳酉為寬大之日,時加巳酉,烏鳴其上,有酒食;時加寅午,烏鳴其上,有酒食、禮讓;時加丑戌,烏鳴其上,有酒食、詞訟、口舌;時加卯亥,烏鳴其上,有酒食;時加辰未,烏鳴其上,有酒食,婦人口舌;時加申子,烏鳴其上,有酒食。

巳日・酉日是れ「寬大」の日なり。時辰巳・酉の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、酒食有るを主る。時辰寅・午の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、酒食と禮讓の事と有るを主る。時辰丑・戌の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、酒食有るを主り、兼ねて訴訟口舌有り。時辰卯・亥の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、酒食有るを主る。時辰辰・未の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、酒食有るを主り、倂べて婦人の口舌有り。時辰申・子の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、酒食有るを主る。

寅午為廉貞日,時加廉貞,烏鳴其上,有王相長吏休廢,有諫諍責讓(一作釀);時加巳酉,烏鳴其上,有賓主;時加申子,烏鳴其上,有酒食,相殺;時加丑未,烏鳴其上,有賓主;時加丑戌,烏鳴其上,與上同;時加亥卯,烏鳴其上,有酒食。

寅日・午日是れ「廉貞」の日なり。時辰廉貞の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、王相の位に居る官長の罷免閒置せらるるに遭い、倂べて諫諍責備の事有るを主る(「讓」は一本に「釀」と作る)。時辰巳・酉の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、賓主相會有るを主る。時辰申・子の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、酒食有るを主り、もまた互相殘殺の事有り。時辰丑・未の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、賓主相會有るを主る。時辰丑・戌の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、上の一條と相同じ。時辰亥・卯の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、酒食有るを主る。

丑戌為公正日,時加公正,烏鳴其上,有王相當其吉,長吏公事休廢,囚死者有來慰問事;時加巳西,烏鳴其上,有公正,酒食相遺;時加寅午,烏鳴其上,有公正慶賀事;時加辰未,烏鳴其上,有使(一作吏)士來說陰私事;時加申子,烏鳴其上有吏(一作人)來作公正事;時加亥卯,烏鳴其上,有士來說賊相殺事。

丑日・戌日是れ「公正」の日なり。時辰公正の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、王相の位に居る人正にその吉に當りて、而して官長の公事罷廢せられ、人の囚死者の爲に前來慰問する有るを主る。時辰巳・酉の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、公正の事有るを主り、彼此酒食を以て相饋贈す。時辰寅・午の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、公正の慶賀の事有るを主る。時辰辰・未の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、使者士人の前來して隱私の事を陳說する有るを主る(「使」は一本に「吏」と作る)。時辰申・子の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、官吏の前來して公正の事を辦理する有るを主る(「吏」は一本に「人」と作る)。時辰亥・卯の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、士人の前來して賊寇の互相殘殺する事を陳說する有るを主る。

辰未為奸邪日,時加辰未,烏鳴其上,有王相來,長吏奸詐,休廢囚死口舌事;時加寅午,烏鳴其上,謙讓人說奸訟事;時加巳酉,烏鳴其上,有酒食、陰賊事;時加丑戌,烏鳴其上,有吏捕奸邪私事,陰謀鬥爭劫殺盜事;時加亥卯,烏鳴其上,除賊兵劫。

辰日・未日是れ「奸邪」の日なり。時辰辰・未の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、王相の位に居る人の到來有るを主り、官長事を行うこと奸詐にして、倂べて罷廢・囚死・口舌の事有り。時辰寅・午の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、謙讓の人の奸詐爭訟の事を陳說する有るを主る。時辰巳・酉の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、酒食有るを主り、もまた陰謀して人を害する事有り。時辰丑・戌の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、官吏の奸邪隱私の事を搜捕する有るを主り、倂べて陰謀・爭鬥・劫殺・盜竊の事有り。時辰亥・卯の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、賊兵劫掠の患を除去するを主る。

申子為貪狼日,時加申子,烏鳴其上,有言群盜攻劫,休廢囚死,有盜賊事;時加巳酉,烏鳴其上,有酒食、攻戰事;時加寅午,烏鳴其上,有善人說攻劫事;時加丑戌辰未,烏鳴其上,有婦人說群賊事;時加亥卯,烏鳴其上,有群賊攻奪事。

申日・子日是れ「貪狼」の日なり。時辰申・子の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、人の群盜攻劫を談論する有るを主り、倂べて罷廢・囚死および盜賊の事有り。時辰巳・酉の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、酒食有るを主り、もまた攻戰の事有り。時辰寅・午の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、善人の攻劫の事を陳說する有るを主る。時辰丑・戌・辰・未の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、婦人の群賊の事を談論する有るを主る。時辰亥・卯の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、群賊の攻奪する事有るを主る。

亥卯為陰賊日,時加亥卯,烏鳴其上,有王相說群臣大義,休廢囚死鬥傷事;時加巳酉,烏鳴其上,有酒食相傷;時加丑戌,烏鳴其上,有使逐賊相傷;時加寅午,烏鳴其上,有婦人奸私相傷事;時加辰未,烏鳴其上,亦如之;時加申子,烏鳴其上,賊攻討事。諸陰日有烏鳴,若群飛狩飄風門從四季上,時加四季,有攻奪,皆為開閉之事。

亥日・卯日是れ「陰賊」の日なり。時辰亥・卯の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、王相の位に居る人の群臣大義を講說する有るを主り、倂べて罷廢・囚死・爭鬥して人を傷る事有り。時辰巳・酉の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、酒食に因って互相傷害するを主る。時辰丑・戌の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、使者の賊寇を追捕して互相傷害する有るを主る。時辰寅・午の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、婦人の奸私して互相傷害する事有るを主る。時辰辰・未の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫するも、もまた是の如し。時辰申・子の位に加臨して、烏鴉上面に於て鳴叫せば、賊寇の攻擊討伐の事有るを主る。各箇の陰日若し烏鴉の鳴叫有れば、群鳥の驚飛と旋風の辰戌丑未の四季の方位より吹來するを加え、而して時辰又四季の位に加臨せば、攻奪の事有るを主る。此れら皆開闔啟閉の一類の事情に屬す。

運加占烏情第一百九十一

烏從子上來,大將不可震威武,敵來勿與戰,必不利。丑上來者,不宜出戰,兵進戰,內有陰謀將發,細察備之。寅上來者,吉音至。卯上來者,利進戰,大將有祿慶之事。辰上來者,有吉信至,營中忽見牛羊大吉,見死物凶。巳上來者,不利戰陣,兩軍俱傷。午上來,不利出兵。未上來,戰鬥主吉,客凶。申上來,不利出兵。酉上來,利出兵,有喜。戌上來,吏士有異心,潛備之。亥上來,不利戰。此十二辰位占烏之情也。

烏鴉子位の方向より飛來せば、大將逞威して武を動かす可からずを主り、敵人來るもそれと交戰するなかれ。交戰すれば必定利あらず。丑位の方向より飛來せば、出戰するに宜からず。若し兵を進め交戰せば、內部陰謀將に發作せんとする有り、細察して防備するを要す。寅位の方向より飛來せば、吉利の消息の到來有るを主る。卯位の方向より飛來せば、兵を進め作戰するに利し、大將加官進祿の喜慶の事有るを主る。辰位の方向より飛來せば、吉信の到來有るを主る。營中忽然に牛羊を見れば大吉にして、死物を見れば則ち凶なり。巳位の方向より飛來せば、陣を列ねて作戰するに利あらず、兩軍皆傷亡有らん。午位の方向より飛來せば、兵を出だすに利あらず。未位の方向より飛來せば、交戰主方に對して吉利にして客方に對して凶險なり。申位の方向より飛來せば、兵を出だすに利あらず。酉位の方向より飛來せば、兵を出だすに利し、喜事有り。戌位の方向より飛來せば、官吏士卒の二心有るを主り、暗中に防備するを要す。亥位の方向より飛來せば、作戰するに利あらず。這就ち是れ十二辰の方位に按じて烏鴉の示す所の情狀を占測するの方法なり。

常以怪字居甲上占之。假令甲子旬,即在子上是也。又若烏從四散並來到營上居,惡聲而止住之者,賊兵已入境矣。急飛過者,賊勇銳,疾如雷電,速為之備,但疾與戰,我可以勝。

占測の時通常旬首「甲」の落る所の位置を以て準と爲す。譬如甲子旬に逢えば、甲就ち子位上に落つ。另外、若し烏鴉四面より散亂して一齊に飛來して、營地の上空に停落し、惡聲を發出して停住して去らざれば、賊兵已に我境に進入せるを説明す。若し烏鴉急速に飛過せば、賊兵勇猛精銳にして來勢雷電の如く快きを説明し、迅速に防備を加以するを要す。但し只要速戰速決すれば、我軍就ち以て取勝し得べし。

鷙鳥飛來將軍牙帳上搏擊者,有賊,不可出戰。三足烏飛來營前後,謂之災飲烏也,賊將來至營中者凶,急備之。赤烏入營者,防奸人刺客。群鳥三三五五營上往來,無聲而四散者,吏士有逃潰之心。

猛禽飛來して將軍の牙帳の上空に於て搏擊せば、賊寇有るを主り、出戰する可からず。三足烏營前營後に飛到するは、これを「災飲烏」と叫作し、賊兵將に營中に打進せんとするを主り、凶にして、趕緊に防備するを要す。紅色の烏鴉營中に飛入せば、奸細と刺客とを提防するを要す。成群の鳥三三五五營上に於て往來して、聲を出さずして四散に飛去れば、官吏士卒逃亡潰散の心有るを主る。

鸛雀忽來營上作巢而鳴,速移營避之,大水至。烏至營棲於牙帳者,吏士謀,大將即有禍,速避之。烏鵲忽來炮上作巢者,吏士謀,大將潛驗之。方戰之時,有白鳥狀如鷹,飛赴敵者,並力擊之,大勝兆也;自敵來赴我者凶,急退軍勿戰。

鸛雀忽然に營上に飛到して巢を筑き鳴叫せば、迅速に營を移して躲避するを要し、大水將に至らんを主る。烏鴉營中に飛到して牙帳上に栖息せば、官吏士卒暗中に謀有るを主り、大將隨卽禍有らん、迅速に回避するを要す。烏鵲忽然に飛來して砲車上に巢を筑けば、官吏士卒暗中に謀有るを主り、大將應に私下に查驗すべし。正に交戰の時に當りて、白色の鳥形狀鷹の如き有りて、敵方に向かって飛べば、就ち合力して出擊せよ。此是れ大勝の兆なり。若し敵方より我方に飛來せば、則ち凶にして、趕緊に兵を退きて交戰するなかれ。

(圖缺)

(此處原有附圖、今已に散佚す。)

雜占烏情第一百九十二

出師之日,烏於軍前逆飛者,征無功;在左則吉;在右則凶。逆軍而作惡聲“查查”者,大凶兆也。或從右發聲和順,自大將後而過左復聲者,大兵有慶之兆也。烏及相呼“於”(一作子)者,吉也。烏於軍前,一足卓立地者,進必(一作不)寇者。在枯卉上鳴者,凶。

兵を出だすあの日、烏鴉軍前に於て迎い面して逆飛せば、出征功無きを主る。左邊に飛べば就ち吉利にして、右邊に飛べば就ち凶險なり。軍隊を迎えて「查查」の惡聲を發出するは、是れ大凶の兆なり。若し烏鴉右邊より和順の叫聲を發出し、大將の背後より左邊を飛過して再次鳴叫せば、此是れ大軍喜慶有るの預兆なり。烏鴉彼此呼應して「於」の叫聲を發出すれば(「於」は一本に「子」と作る)、吉利なり。烏鴉軍前に於て單腳地上に直立せば、軍を進めば必定に敵寇に遭遇するを主る(「必」は一本に「不」と作る)。枯草枯木上に於て鳴叫するは、凶なり。

振迅疾飛,視顧周陣而不止者,前賊也。烏來牙旗上立者,急移營避之,其地不祥。烏立牙帳上作惡聲者,有吏士潛謀逆,速搜驗之,必得奸狀。烏來鼓角上鳴者,將軍、吏士心雄益奮也;器械上鳴者,即有戰陣也;繞營而飛鳴者,所來之處賊兵至也。凡烏之來,大將別令一人候之。此皆能通天地鬼神之情者也。

烏鴉翅を振りて疾飛し、全陣を環視して盤旋して止まざれば、前方に賊寇有るを主る。烏鴉飛來して牙旗上に立てば、趕緊に營を移して躲避するを要し、此の地方吉利ならず。烏鴉牙帳上に立ちて惡聲を發出せば、官吏士卒の暗中に謀反する有るを主り、迅速に搜查核驗して、必定に能く奸情を查出せん。烏鴉戰鼓・號角上に飛到して鳴叫せば、將軍と官吏士卒の鬥志更加昂揚するを主る。兵器上に於て鳴叫するは、隨卽戰陣有らん。營地を繞りて飛鳴するは、それの飛來する方向に賊兵の到來有るを主る。凡そ烏鴉の飛來するは、大將皆別に一人を派して專門に觀測せしむるを要す。此れら皆是れ能く天地鬼神の情狀を通達するの方法なり。

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