偃臺の感山主が圓通院に到りて相看せり。第一座が問うて言った。「圓通に路無し、山主は争いで來るを得たか。」(歸宗の柔が代わりて言う、「期せずしてまた相見するを得たり。」)
因覽寶林傳
人定亥。勇猛精進して懈怠と成す。纖毫の修学の心を起こさず、無相の光中に常に自在なり。釋迦を超え、祖代を越ゆ。心に微塵有れば還って窒礙す。廓然として事無くして頓に清閑なり、他家自ら通人の愛有り。
祖月禪風集寶林。二千餘載道堪尋。雖分西國與東國。不隔人心到佛心。迦葉最初傳去盛。慧能末後得來深。覽斯頓悟超凡眾。嗟彼常迷古與今。
夜半子。心を無生に住せば即ち生死。生死は何曽て有無に屬せん、用の時は便ち用いて文字を沒す。祖師の言は、外辺の事。起こる時を識り取れば還って是れに非ず。意を作して實を搜し求むるも蹤を沒せば、生死の魔の來るに試みるに任せよ。
贈道者
鶏鳴丑。一顆の圓珠は明らかなること已に久し。內外推尋して覓むるも總て無く、境上に施為して渾く大いに有り。頭を見ず、また手無し。世界壞るる時、渠朽ちず。未了の人は一言を聽け、ただこの如今誰か口を動かす。
一語真空出世間。可憐迷者蟾循環。此生勝坐三禪樂。好句長吟萬事閑。秋月圓來看盡夜。野雲散去落何山。到頭自了方為了。休執他經扣祖關。
志公和尚の十四科頌
贈禪客
菩提煩惱不二
了妄歸真萬慮空。河沙凡聖體通同。迷來盡似蛾投焰。悟去皆如鶴出籠。片月影分千㵎水。孤松聲任四時風。直須密契心心地。休苦勞生睡夢中。
衆生は道を修することを解せず、便ち煩惱を斷除せんと欲す。煩惱は本來空寂、道を將てさらに道を覓めんと欲す。一念の心即是れ、何ぞ須らく別の處に尋ね討たん。大道は曉として目前に在り、迷倒の愚人は了らず。佛性は天真自然にして、また因緣の修造無し。三毒の虛假を識らず、妄りに沈浮の生老を執す。昔時は迷日(一に未と作す)を為りて晚しと為し、今日始めて覺えて早からざるに非ず。
持犯不二
丈夫の運用は礙無く、戒律に制せられず。持犯は本より自ら生無し、愚人は他に禁繫せらる。智者は造作皆空、聲聞は途に觸れて滯と為る。大士の肉眼は圓通し、二乗の天眼は翳有り。空中に妄りに有無を執し、色心の礙無きに達せず。菩薩は俗と同居して、清淨かつて世に染めず。愚人は涅槃を貪著し、智者は生死の實際。法性は空にして言説無く、緣起は略して人子無し(一の本は茲の偈と作す)。百歳に智無き小兒、小兒に智有りて百歳。
銘記箴歌
佛と衆生不二
傅大士心王銘
衆生と佛とは殊無く、大智も愚に異ならず。何ぞ須らく外に向かいて寶を求めん、身田自ら明珠有り。正道邪道は二ならず、凡聖の途に同じきを了知す。迷悟は本より差別無く、涅槃生死は一如なり。究竟攀緣は空寂にして、惟だ意想の清虛を求む。一法の得べき有ること無し、翛然として自ら無餘に入る。
三祖僧璨大師信心銘
事理不二
牛頭山初祖法融禪師心銘
心王は自在翛然として、法性は本より十纏無し。一切は佛事ならざる無し、何ぞ須らく念を攝めて坐禅せん。妄想は本來空寂、攀緣を斷除するを用いず。智者は心無くして得べければ、自然に争無く喧無し。無為の大道を識らざれば、何の時にか幽玄を證するを得ん。佛と衆生とは一種、衆生即是れ世尊。凡夫は妄りに分別を生じ、無中に有を執して迷奔す。貪瞋の空寂を了達すれば、何の處にか真門ならざらん。
僧亡名息心銘
靜亂不二
菩提達磨略辨大乘入道四行(弟子曇琳序)
聲聞は喧を厭いて靜を求む、なお面を棄てて餠を求むるがごとし。餠は從來是れ面、造作は人に随いて百變す。煩惱即是れ菩提、心無き即是れ境無し。生死は涅槃に異ならず、貪瞋は焰のごとく影のごとし。智者は心無くして佛を求めず、愚人は邪を執り正を執す。徒らに一生を空しく過し、如来の妙頂を見ず。淫欲の性空を了達すれば、鑊湯爐炭は自ら冷えん。
荷澤大師顯宗記
善惡不二
南嶽石頭大師參同契
我が自身心は快樂にして、翛然として善無く惡無し。法身は自在にして方無く、目に觸るは正覺ならざる無し。六塵は本來空寂、凡夫は妄りに執著を生ず。涅槃生死は平等、四海に阿誰か厚薄せん。無為の大道は自然、心を將て度を畫くを用いず。菩薩は散誕靈通にして、作す所は常に妙覺を含む。聲聞は法を執して坐禅す、蚕の絲を吐きて自ら縛るがごとし。法性は本來圓明、病愈えて何ぞ須らく藥を執せん。諸法の平等を了知して、翛然として清虛快樂なり。
五臺山鎮國大師澄觀答皇太子問心要
色空不二
杭州五雲和尚坐禪箴
法性は本より青黄無く、衆生は谩に文章を造る。吾我は他に止觀を説きて、自ら意擾擾として颠狂す。圓通の妙理を識らざれば、何の時にか真常に會するを得ん。自ら疾は治療する能わずして、却って他人に藥方を教う。外を看れば將に是れ善と為すも、心內はなお豺狼のごとし。愚人はその地獄を畏れ、智者は天堂に異ならず。境に對して心常に起こらず、足を舉ぐるは皆是れ道場。佛と衆生とは二ならず、衆生は自ら分張を作す。もし三毒を除却せんと欲せば、迢迢として災殃を離れず。智者は心是れ佛と知り、愚人は西方に往くを樂む。
永嘉真覺大師證道歌
生死不二
騰騰和尚了元歌
世間の諸法は幻のごとく、生死はなお雷電のごとし。法身は自在にして圓通し、山河を出入りて間無し。颠倒妄想は本より空、般若は迷無く乱無し。三毒は本より自ら解脱す、何ぞ須らく念を攝めて禅觀せん。ただ愚人の了らざるが為のみ、他に從いて戒律の決斷せらる。寂滅の真如を識らざれば、何の時にか彼岸に登るを得ん。智者は斷ずべき惡無し、運用は心に随いて合散す。法性は本來空寂、生死に絆せられず。もし煩惱を斷除せんと欲せば、これ是れ無明の癡漢。煩惱即是れ菩提、何を用いて別に禅觀を求めん。實際は佛無く魔無く、心體は形無く段無し。
南嶽懶瓚和尚歌
斷除不二
石頭和尚草菴歌
丈夫は運用堂堂、逍遥自在にして妨げ無し。一切も害と為す能わず、堅固なればなお金剛のごとし。二辺中道に著かず、翛然として斷に非ず常に非ず。五欲貪瞋は是れ佛、地獄は天堂に異ならず。愚人は妄りに分別を生じ、生死を流浪して猖狂す。智者は色に達して礙無し、聲聞は回惶ならざる無し。法性は本より瑕翳無く、衆生は妄りに青黄を執す。如来は迷愚を引接して、あるいは地獄天堂を説く。彌勒は身中自ら有り、何ぞ須らく別の處に思量せん。真如の佛像を棄却して、この人即是れ颠狂。聲聞は心中了らず、唯だただ言章に趁逐す。言章は本より真道に非ず、轉じて鬥争剛強を増う。心裏は蚖蛇蝮蝎、螫き著けば便ち即ち傷を遭う。文中の義を取るを解せざれば、何の時にか真常に會するを得ん。死して無間地獄に入り、神識は枉げて災殃を受く。
道吾和尚樂道歌
真俗不二
一缽歌(別錄雲杯渡禪師作)
法師は法を説くこと極めて好し、心中は煩惱を離れず。口に文字を談じて他を化すも、轉じてさらに他の生老を增ず。真妄は本來二ならず、凡夫は妄を棄てて道を覓む。四衆は雲集して講を聽き、高座は義を論じて浩浩たり。南座北座は相い争い、四衆は言を為して好と為す。口に甘露を談ずと雖も、心裏は尋常に枯燥す。自己は元より一錢無く、日夜に他の珍寶を數う。恰似たり智無き愚人の、真金を棄却して草を擔ぐに。心中の三毒は捨てず、いまだ何の時にか道を得んを審らかにせず。
樂普和尚浮漚歌
解縛不二
蘇谿和尚牧護歌
律師は律を持して自ら縛る、自ら縛ればまた能く他を縛る。外は威儀恬靜を作すも、心內は恰似たり洪波。生死の船筏を駕せざれば、如何に愛河を度るを得ん。真宗の正理を解せず、邪見の言辭は繁多なり。二の比丘有りて律を犯し、便ち却りて優波に往きて問う。優波は律に依りて罪を説き、轉じて比丘の網羅を增ず。方丈の室中の居士、維摩は便ち即ち來りて呵す。優波は默然として對無し、淨名は法を説きて過無し。而るに彼の戒性は空のごとく、娑婆の內外に在らず。生滅を勸除するも肯んぜざれば、忽ち悟りて還って釋迦に同じ。
法燈禪師古鏡歌三首
境照不二
潭州龍會道尋遍參三昧歌
禅師の體は無明を離る、煩惱は何の處よりか生ぜん。地獄天堂は一相、涅槃生死は空名。また斷ずべき貪瞋無く、また成ずべき佛道無し。衆生と佛とは平等、自然に聖智惺惺なり。六塵に染められず、句句獨り無生に契う。正覺は一念に玄解し、三世は坦然として皆平なり。法に非ず律に非ず自ら制して、翛然として真に圓成に入る。この四句百非を絶ち、空のごとく作無く依無し。
丹霞和尚翫珠吟二首
運用無礙
關南長老獲珠吟
我今滔滔として自在、公王卿宰を羨まず。四時はなお金剛のごとく、苦樂に心常に改まらず。法寶は須彌に喻え、智慧は江海に廣し。八風に牽かれず、また精進懈怠無し。性に任せて沈浮すれば颠のごとく、散誕縱横自在なり。遮莫刀劍頭に臨むとも、我自ら安然として採らず。
香嚴和尚勵覺吟歸寂吟二首
迷悟不二
韶山和尚心珠歌
迷う時は空を以て色と為し、悟れば即ち色を以て空と為す。迷悟は本より差別無く、色空は究竟して還って同じ。愚人は南を喚びて北と作し、智者は西東無きに達す。如来の妙理を覓めんと欲せば、常に一念の中に在り。陽焰は本よりその水に非ず、渴鹿は狂って匆匆に趁う。自身は虛假にして實ならず、空を將てさらに空を覓めんと欲す。世人の迷倒は甚しきに至り、犬の雷に吠うるがごとく轟轟たり。
傅大士心王銘
歸宗至真禅師智常の頌一首
觀心空王玄妙難測。無形無相有大神力。能滅千災成就萬德。體性雖空能施法則。觀之無形呼之有聲。為大法將心戒傳經。水中鹽味色裡膠清。決定是有不見其形。心王亦爾。身內居停面門出入。應物隨情自在無礙。所作皆成。了本識心識心見佛。是心是佛是佛是心。念念佛心佛心念佛。欲得早成戒心自律。淨律淨心心即是佛。除此心王更無別佛。欲求成佛莫染一物。心性雖空貪瞋體實。入此法門端坐成佛。到彼岸已得波羅蜜。慕道真士自觀自心。知佛在內不向外尋。即心即佛即佛即心。心明識佛曉了識心。離心非佛離佛非心。非佛莫測無所堪任。執空滯寂於此漂沈。諸佛菩薩非此安心。明心大士悟此玄音。身心性妙用無更改。是故智者放心自在。莫言心王空無體性。能使色身作邪作正。非有非無隱顯不定。心性離空能凡能聖。是故相勸好自防慎剎邦造作還復漂沈。清淨心智如世黃金。般若法藏並在身心。無為法寶非淺非深。諸佛菩薩了此本心。有緣遇者非去來今。
歸宗は事理絶えり。日輪は正に午に當たる。自在なこと師子のごとく、物に依怙せず。四山の頂に獨り步し、三大路に優游す。欠呿すれば飛禽墮ち、嚬呻すれば衆邪怖る。機は竪れば箭及び易く、影は沒すれば手覆い難し。施張するは工伎のごとく、裁剪するは尺度のごとし。巧みに万般の名を鏤るも、歸宗は還って土に似たり。語默の音聲絶え、旨は妙にして情措け難し。個の眼を棄てば還って聾く、個の耳を取れば還って瞽なり。一鏃は三關を破り、分明なり箭後の路。憐れむべし大丈夫、先天に心祖と為る(体字函の『涅槃経』二十七卷に、真の師子王は晨朝に穴を出で、嚬呻欠呿す)。
三祖僧璨大師信心銘
香嚴襲燈大師智閑の頌一十九首
至道無難唯嫌揀擇。但莫憎愛洞然明白。豪釐有差天地懸隔。欲得現前莫存順逆。違順相爭是為心病。不識玄旨徒勞念靜。圓同太虛無欠無餘。良由取捨所以不如。莫逐有緣勿住空忍。一種平懷泯然自盡。止動歸止止更彌動。唯滯兩邊寧知一種。一種不通兩處失功。遣有沒有從空背空。多言多慮轉不相應。絕言絕慮無處不通。歸根得旨隨照失宗。須臾返照勝卻前空。前空轉變皆由妄見。不用求真唯須息見。二見不住慎莫追尋。才有是非紛然失心。二由一有一亦莫守。一心不生萬法無咎。無咎無法不生不心。能隨境滅境逐能沈。境由能境能由境能。欲知兩段元是一空。一空同兩齊含萬象。不見精麁寧有偏黨。大道體寬無易無難。小見狐疑轉急轉遲。執之失度必入邪路。放之自然體無去住。任性合道逍遙絕惱。繫念乖真昏沈不好。不好勞神何用疎親。欲取一乘勿惡六塵。六塵不惡還同正覺。智者無為愚人自縛。法無異法妄自愛著。將心用心豈非大錯。迷生寂亂悟無好惡。一切二邊良由斟酌。夢幻虛華何勞把捉。得失是非一時放卻。眼若不睡諸夢自除。心若不異萬法一如。一如體玄兀爾忘緣。萬法齊觀歸復自然。泯其所以不可方比。止動無動動止無止。兩既不成一何有爾。究竟窮極不存軌則。契心平等所作俱息。狐疑盡淨正信調直。一切不留無可記憶。虛明自照不勞心力。非思量處識情難測。真如法界無他無自。要急相應唯言不二。不二皆同無不包容。十方智者皆入此宗。宗非促延一念萬年。無在不在十方目前。極小同大忘絕境界。極大同小不見邊表。有即是無無即是有。若不如此必不須守。一即一切一切即一。但能如是何慮不畢。信心不二不二信心。言語道斷非去來今。
授指
牛頭山初祖法融禪師心銘
景德伝燈録巻第二十四
心性不生何須知見。本無一法誰論燻鍊。往返無端追尋不見。一切莫作明寂自現。前際如空知處迷宗。分明照境隨照冥濛。一心有滯諸法不通。去來自爾胡假推窮。生無生相生照一同。欲得心淨無心用功。縱橫無照最為微妙。知法無知無知知要。將心守靜猶未離病。生死忘懷即是本性。至理無詮非解非纏。靈通應物常在目前。目前無物無物宛然。不勞智鑒體自虛玄。念起念滅前後無別。後念不生前念自絕。三世無物無心無佛。眾生無心依無心出。分別凡聖煩惱轉盛。計校乖常求真背正。雙泯對治湛然明淨。不須功巧守嬰兒行。惺惺了知見網轉彌。寂寂無見暗室不移。惺惺無妄寂寂明亮。萬象常真森羅一相。去來坐立一切莫執。決定無方誰為出入。無合無散不遲不疾。明寂自然不可言及。心無異心不斷貪淫。性空自離任運浮沈。非清非濁非淺非深。本來非古見在非今。見在無住見在本心。本來不存本來即今。菩提本有不須用守。煩惱本無不須用除。靈知自照萬法歸如。無歸無受絕觀忘守。四德不生三身本有。六根對境分別非識。一心無妄萬緣調直。心性本齊同居不攜。無生順物隨處幽棲。覺由不覺即覺無覺。得失兩邊誰論好惡。一切有為本無造作。知心不心無病無藥。迷時捨事悟罷非異。本無可取今何用棄。謂有魔興言空象備。莫滅凡情唯教息意。意無心滅心無行絕。不用證空自然明徹。滅盡生死冥心入理。開目見相心隨境起。心處無境境處無心。將心滅境彼此由侵。心寂境如不遣不拘。境隨心滅心隨境無。兩處不生寂靜虛明。菩提影現心水常清。德性如愚不立親疎。寵辱不變不擇所居。諸緣頓息一切不憶。永日如夜永夜如日。外似頑嚚內心虛真。對境不動有力大人。無人無見無見常現。通達一切未嘗不遍。思惟轉昏汩亂精魂。將心止動轉止轉奔。萬法無所唯有一門。不入不出非靜非諠。聲聞緣覺智不能論。
吉州青原山の行思禅師第八世七十四人
