医薬
病不求醫,全生者寡;藥不對症,枉死者多。欲擇善者而從之,須就蓍人而問也。應在醫人,空則瞷亡而不遇;子為藥餌,伏則扞格以無功。
病を生じて往きて医を求めざれば、性命を保全し得るは少なし。薬を用いて症候に対せざれば、冤枉に死するは却って多し。一位の高明の医を挑びて看に来らんと要せば、則ち先に占う人に一卦を問うを得。医薬の一門を占うに、応爻は医を代表す。応爻が空に落つれば、便ちこの医は外出して在らず、彼を尋ねても着かず。子孫爻は薬餌を代表す。子孫が伏蔵して出ざれば、薬は病と相抵触し(「扞格」は則ち牴牾)、服するもまた功効無し。
鬼動卦中,眼下速難取效;空臨世上,心中強欲求醫。官臨福衰,藥餌輕而病重;應衰世旺,病家富而醫貧。
官鬼が卦中に発動すれば、病勢は正しく張り、眼下の薬は一時に効を見難し。世爻が空に落つれば、病家が自己心里に底無きを説明し、勉めて往きて医を求めんとす。官鬼が旺にして子孫が衰なれば、薬力は軽くして病勢は重く、壓し住めず。応爻が衰にして世爻が旺なれば、病家は富厚にして医は貧寒――医の本事は有限にして、また厚望する須なし。
父母不宜持世,鬼煞豈可臨身。官化官,病變不一;子化子,藥食不精。福化忌效,誤服殺身之惡劑;應臨官鬼,防投增病之藥湯。
医薬を占うに、父母爻は世を持するを宜とせず(父母は子孫を剋し、薬神を剋す)。官鬼と凶煞はさらに卦身に臨むを可とせず(病根は身に纏わる)。官鬼が官鬼を変出せば、病情は屢々変じて定まらず。子孫が子孫を変出せば、薬と食とともに精当ならず、換え去り換え来る。子孫爻が発動して忌神を変出するは、それは誤りて人の命を要する猛薬を服せるなり。応爻上に官鬼が臨めば(医は病気を帯ぶ)、彼が反って病情を加重するの薬湯を開き出すを提防すべし。
鬼帶日神,定非久神;應臨月建,必是官醫。世下伏官子動,則藥雖妙而病根常在;衰中坐鬼身臨,則病雖輕而藥力難扶。
官鬼が日辰の気を帯ぶれば(日辰は権重にしてしかもただ一日を管す)、病の来るは急なれども長久ならず。応爻が月建に臨めば、この位は一定して職銜有りの官医。世爻の底下に官鬼が伏して子孫がまた発動すれば、薬はたとい対症なれども、病根は却って照舊に蔵して除き去り得ず。用神が本にすでに衰弱してまた官鬼に坐し、卦身もまたここに臨めば、病は看れば軽しも、薬力は却って扶け起す能わず。
父若伏藏,名雖醫而未諳脈理;鬼不出現,藥總用而不識病源。主絕受傷,盧醫難救;父興得地,扁鵲無功。
父母爻が伏蔵して出ざれば(父母は医書典籍を主る)、この人は医の名を挂けるも、実は脉理に通ぜず。官鬼爻が出現せざれば(官鬼は病の在る所)、薬は只管に喫すれども、病根が何処に在るかを知らず。用神がすでに絶地に臨みまた剋傷を受ければ、たとい盧医(戦国の名医)なりとも救い活さず。父母爻が興旺にしてまた時を得地を得れば、子孫の薬神を剋し死する。たとい扁鵲なりとも能くする所無し。
察官爻而用藥,火土寒涼;驗福德以迎醫,丑寅東北。水帶財興,大忌魚鮮生冷;木加龍助,偏宜舒暢清懷。
官鬼が何の五行に属するかを看て薬を用るを定む。官鬼が火に属し土に属するは、病は燥熱に属し、則ち寒涼の剤を用うべし。子孫が何の方位に落つるかを看て医を請いに往く。子孫が丑・寅の爻に臨めば、則ち東北方に到りて請う。水爻が妻財を帯びて興旺なれば(水は寒を主り財は飲食を主る)、最も魚鮮生冷を忌む。木爻が青竜を加えて来りて相助すれば(木は条達を主り竜は歓喜を主る)、最も心懐を舒暢し鬱結を開解するを宜とす。
財合用神居外動,吐之則痊;子逢火德寓離宮,炙之則愈。坎卦子孫必須發汗,木爻官鬼先要疏風。用旺有扶休再補,鬼衰屬水莫行針。
妻財と用神とが相合して外卦に発動せば(外は上を主り財は食積を主る)、吐法を用いれば則ち好し。子孫爻が火に属してまた離宮に在れば(火は温熱を主る)、艾灸を用いれば則ち好し。子孫が坎宮に在れば(坎は水を主り汗を主る)、則ち発汗の法を用うべし。官鬼が木に属すれば(木は風を主る)、まず風邪を疏散すべし。用神が本にすでに旺相にしてまた生扶有れば、則ちさらに補薬を進むる要なし。官鬼が衰弱してまた水に属すれば(水は寒を主る)、則ち鍼を行うこと勿れ――寒証は鍼を忌む。
福鬼俱空,當不治而自愈;子官皆動,宜內補而外修。卦動兩孫,用藥須當間服;鬼傷二間,立方須用寬胸。
子孫と官鬼の両爻ともに空に落つれば(病無くまた薬無し)、治する須なし、自ずから好し。子孫と官鬼とがともに発動すれば(薬と病と相持す)、則ち内に服して調補し、外に敷洗して用いる両路の併進すべし。卦中に両個の子孫爻が動けば、薬を用るに須らく両方を間隔して服すべく、併せて同じく用うべからず。官鬼が両個の間爻を傷れば(間爻は胸膈に当たる)、方を開くに則ち胸を寛にし気を理するの薬を用うべし。
父合變孫,莫欲閉門修養;五興化福,可用路遇醫人。世應比和無福德,須用更醫;財官發動子孫空,徒勞服藥。
父母爻が相合して子孫を変出せば(父母は本に子孫を剋するも、今は反って変じて生ず)、一味に門を閉じて静養する要なし、外に出でて治を求むるを宜とす。第五爻(道路の位)が発動して子孫を変出せば、途中に偶遇する医を用い得。世応両爻が五行比和にして卦中にまた子孫無ければ、この医は中らず、須らく別に一位を換うべし。妻財と官鬼とがともに発動すれば(財は鬼を生じ、病勢はさらに盛ん)、しかして子孫が空に落つれば、薬を喫するもまた白費なり。
凡占醫藥者,須誠心默禱,用何人,藥有效無效,不必說明姓氏。卜家據此章而斷,自無薦醫之弊,則誠無不格,卦無不驗矣!豈非彼此心乎!
これは王洪緒の按語。およそ医薬を占うに、卜を求むる人はただ誠心にして黙禱するを須ち――問うはどの一位の医を用うべきか・この薬は効有るか無きかのみでよく、医の姓名を報じ出す須なし。占う人は本章の法則に依りて往きて断ずれば、自然として医に替わりて生意を拉するの弊病無し。このようにすれば、誠意は感通せざるなく、卦もまた応験せざる無し。これ豈に彼此ともに一個の真心を存するにあらざらんや。この条は巻首の《卜筮格言》の裡の「医と串通する」を痛斥する一段と正しく相呼応す。
鬼神
僥福鬼神,乃當今之所尚;禱爾上下,在古昔而皆然。不質正於易爻,亦虛行乎祀典。先看卦內官爻,便知鬼神情狀。
鬼神に向かいて福を求むるは、当今の世俗の崇尚する所。天地上下に向かいて祈禱するは、古人もまた一様に做し来れり。しかしもし《易》卦の上に到りて質証辨明せざれば、あの祭祀の礼もまた不過白く行う一場なり。鬼神の一門を占うに、まず卦中の官鬼爻を看る――官鬼は即ち鬼神の象。それが何の五行に属し・何の卦宮に居り・何の六獣に臨むかを看れば、則ち犯す所が何の鬼神・何の情状かを知る。
旺神衰鬼,方偶幹巽,堪推陰女陽男,老幼旺衰可決。若在乾宮,必許天燈斗願;如居兌卦,定然口願傷神。
官鬼の旺相なるは神、衰弱なるは鬼。さらに方位に按じて卦を配せば(乾を西北に配し巽を東南に配するが如き)、陽卦陽爻は男に属し陰卦陰爻は女に属し、旺なるは老と為り衰なるは幼と為り、鬼神の性別老少は便ち断定し得。官鬼がもし乾宮に在れば(乾は天と為る)、必ず従前に天灯を点し星斗を拝するの願を許して還さざりし。もし兌卦に在れば(兌は口と為る)、一定して口頭に許したる願が信を失い、神明を冲犯せり。
坎是北朝,艮則城隍宅土,離為南殿,坤則土地墳陵,震恐樹神或杖傷之男鬼,巽必縊死或顛仆之陰人。八卦仔細推詳,諸鬼自能顯應。
官鬼が坎宮に在れば(坎は北に在り)、北方の廟宇の神。艮宮に在れば(艮は山と為り門闕と為る)、城隍あるいは宅中の土神。離宮に在れば(離は南に在り)、南方の殿宇の神。坤宮に在れば(坤は地と為る)、土地神あるいは墳塋の鬼。震宮に在れば(震は木と為り動と為る)、恐らくは樹神、あるいは杖に打たれて死せるの男鬼。巽宮に在れば(巽は繩と為り風と為る)、必ず自縊して死せるか跌仆して亡びたるの女鬼。八個の卦を逐一に仔細に推詳せば、各路の鬼神は自ずから顕現せん。
更值勾陳,必有土神見礙;如臨朱雀,定然咒詛相侵。白虎血神,玄武則死於不明之鬼;青龍善願,螣蛇則犯乎施相之神。
官鬼がさらに勾陳を帯ぶれば(勾陳は土を主る)、必ず土を動かし土神を冲犯せり。朱雀を帯ぶれば(口舌を主る)、一定して人に咒詛せられて侵されたり。白虎を帯ぶれば、血光に死せるの鬼(白虎は血神と為る)。玄武を帯ぶれば、死ぬること不明不白の鬼。青竜を帯ぶれば、従前に許し下したる善願の未だ還さざる。螣蛇を帯ぶれば、施食の一類の邪神を冲犯せる(「施相」は施食の相類の神を指す)。
金乃傷司,火定媵神香願;木為枷鎖,水為河泊之神。若見土爻,當分厥類:鬼墓乃伏尸為禍,財庫則藏神不安。
官鬼が金に属すれば、刀兵の傷亡を主るの神司。火に属すれば、一定して嫁に随うの神あるいは香火の願の未だ了せざる。木に属すれば、枷鎖牢獄の鬼を主る。水に属すれば、河神水伯。もし土爻なれば、則ちさらに類を分かつを要す――この土がもし正しく官鬼の墓庫なれば、それは地下の伏屍の作祟。もしこの土が妻財の庫なれば(財庫)、それは蔵する所の財物の神の安ならざる。
修造動土,必然煞遇勾陳;口舌起因,乃是土逢朱雀。或犯井神,水在初爻遇鬼;或幹司合,火臨二位逢官。
もし房屋を修造して土を動かして祟を招きしなれば、卦上は必ず凶煞が勾陳に遇える(勾陳は土工を主る)。もし禍事が口舌より起これば、それは土爻が朱雀に遇える。もし井神を冲犯せれば、それは水爻が初爻に在りて(初爻は井と為り地下と為る)官鬼を帯びたる。もし竈神(司命)の作合なれば、それは火爻が第二爻に臨みて(二爻は竈と為る)官鬼に遇えたる。
若在門頭,須犯家堂部屬;如臨道上,當求五路神祗。四遇世沖,鬼必出門撞見;六逢月合,神須遠地相干。
官鬼がもし門戸の位に落つれば(三爻は門と為る)、犯す所は家堂香火の部署の神。もし道路の位に落つれば(五爻は道路と為る)、則ち五路の神を祭求すべし。第四爻(外戸の位)が世爻の来りて冲するに遇えば、この鬼は必ず出でて門を外れて撞見せし。第六爻(遠処・天位)が月建の相合に逢えば、この神は遠地より牽連して来れる。
鬼克身,冤家債主;主克鬼,妻妾陰人。我去生他,卑幼兒童僧道;他來生我,主宗尊長爹孃。無生合克刑,必是兄弟朋友。刑不善終,絕則無祀。
さらに官鬼と用神との生剋に按じてこの鬼が誰なるかを分辨す。官鬼が来りて卦身を剋するは、前世の冤家債主。用神が反って往きて官鬼を剋するは、妻妾の一類の女眷の鬼。我が往きてそれを生ずるは、卑幼の児童あるいは僧道の鬼。それが来りて我を生ずるは、本宗の尊長・父母の霊。彼此すでに生せず合せずも剋せず刑せざれば、それは多く半ば兄弟朋友の鬼。刑を帯ぶるは非命に死し善終を得ざる。絶地に臨むは香火を断ちて祭祀する人無きの孤魂。
如臨日月,定然新死亡靈;自入墓刑,決是獄中囚犯。旁爻財合,必月下之情人;應位弟生,乃社中之好友。
官鬼がもし日辰あるいは月建に臨めば(気は最も新にして最も盛ん)、一定して新近に亡故せるの霊魂。官鬼が自ら墓に入りてまた刑を帯ぶれば、必ず牢獄の中に死せるの囚犯。傍爻の妻財がそれと相合するは、生前の月下の私情の相好。応位上の兄弟爻が来りてそれを生ずるは、社裡に往來せる好友の鬼。
化出鬼爻臨玄武,則穿窬之鬼;變成父母遇螣蛇,則魘魅之精。太歲鬼臨,乃祖傳之舊例;日辰官並,是口許之初心。持世則未酬舊願,伏為有口無心;變財乃不了心齋,空則有頭無尾。
動爻が変出する官鬼が玄武を帯ぶれば、牆を穿ち壁を翻るの盗賊の鬼。父母を変出して螣蛇に遇えば、夢魘の作祟するの精怪。官鬼が太歳に臨めば、欠くる所は祖上より伝わり来たる旧例の祭祀。官鬼が日辰と同支に相并するは、当初に口頭に許し下したるの心願。官鬼が世を持するは、従前の願のなお還さざる。官鬼が伏蔵するは、当時に口有りて心無く、随に口ずさみて許せし。官鬼が妻財を変出するは、斎を持するの心願の了結せざる。官鬼が空に落つるは、頭有りて尾無く、願を許してまた中途に丢き下せし。
鬼在宅中,住居不穩;官臨應上,朝向不通。兌卦金龍千佛相,坎宮木動犯劃舟。水土交加在乾宮,則三元大帝;火金互動於兌卦,為五道傷官。
官鬼が宅爻の中に落つれば、住まえば則ち安穏ならず。官鬼が応爻の上に臨めば(応は対面と為る)、屋宅の朝向の通暢せざる。兌卦の金爻が青竜を帯ぶるは、千仏の相(仏像の法身)。坎宮の木爻が発動するは、竜舟賽會の一類の水神を冲犯せる。水爻土爻が交加して乾宮に在るは、それは三元大帝。火爻金爻が交互に発動して兌卦に在るは、それは五道将軍の一類の傷亡の神。
三空無香火之堂,怪動有不祥之禍。龍遇文書獨發,經文可斷;蛇逢官鬼屬陰,夢寐難當。動入空中值鬼,恐失孝思之禮;靜居宅上臨木,家停暴露之棺。
第三爻(香火堂の位)が空に落つれば、家中に香火を供奉するの処無し。怪異の爻が発動すれば、家裡に不祥の禍を出さんとす。青竜が父母(文書)に臨みて独自に発動すれば、誦経拝懺の事と断じ得。螣蛇が官鬼に遇いて爻が陰に属せば、悪夢に纏われて夜は寢ね安からざるを主る。動爻が空亡に落ちてまた官鬼に値れば、恐らくは祖先に対する孝敬の礼を失せり。爻が安静にして宅位の上に居りてまた木に属せば(木は棺槨と為る)、家中に未だ葬らず暴露して外に在るの棺木を停めたり。
種作
農為國本,食乃民天。五穀不同,執識異宜而布種;一年關係,全憑卦象以推詳。旺相妻財,豐登可卜;空亡福德,損耗難憑。
農事は国家の根本、糧食は百姓の天。五穀は各々性宜有り。誰か能く一々に識りてその宜する所に按じて種を下さん。一年の収成は関係重大にして、全て卦象に憑りて推詳す。種作を占うに妻財を以て収成と為し子孫を以て苗禾と為す。妻財爻が旺相なれば、則ち豊収と断じ得。子孫爻が空亡に落つれば、則ち損耗して、収成は靠み難し。
父母交重,耘耔徒知費力;兄爻發動,年時莫望全收。鬼在旺鄉遇水神,而禾苗渰腐;官居生地加火煞,而稼穡焦枯。
父母爻が重々発動すれば(父母は子孫を剋し、子孫は苗)、草を鋤き土を培うも白く力を費やす。兄弟爻が発動すれば(兄弟は財を剋す)、この一年は全収を指望するなかれ。官鬼が旺地に落ちてまた水に属すれば、禾苗は水に淹れ爛れんとす。官鬼が長生の地に居りてまた火煞を帯ぶれば、荘稼は旱火に烤げ焦されんとす。
土忌克身,水旱不調之歲;金嫌傷世,螟蝗交括之年。木則風摧,靜須榖;生扶合世,方許無虞。
土性の官鬼が来りて卦身を剋せば、この一年は水旱調わず。金性の官鬼が来りて世爻を傷れば、この一年は螟虫蝗虫が交相に害を為す。木性の官鬼は大風が摧折するを主り、ただそれが安静にして動かざるのみ、禾穀は乃ち保住し得。要するに爻の来りてそれを生じそれを扶し、また世爻と相合する有るを須て、乃ち一年無虞を許す。
二爻坐鬼,必難東作於三春;五位連官,定阻西成於八月。初旺則種子有餘,四空則耕牛未辦。
第二爻の上に官鬼が坐すれば、春天の耕作は必定に着手し難し(「東作」は春耕を指す)。第五爻が官鬼に連なれば、秋天の収穫は必定に受阻す(「西成」は秋収を指す)。初爻が旺相なれば、種子は余有り(初爻は種と為る)。第四爻が空に落つれば、耕牛はなお着落無し(四爻は牛畜と為る)。種作を占うに六爻を以て農事の次第に分派し、六親の生剋を配合して看る。
應爻生合世,天心符合人心;卦象疊財爻,多爭壅如少壅。日帶父爻,一倍功夫一倍熱;財臨帝旺,及時耕種及時收。
応爻が来りて世爻を生合するは、それは天意と人心とが相合す。風雨は調順す。卦中に妻財爻が重畳して出現するは、譬えば争いて肥を多く下すがごとく、実は少く下すに如かず――過ぎるは猶ほ及ばざるがごとし。日辰が父母爻を帯ぶれば(父母は労苦を主る)、一倍の工夫を下せば一倍の辛労多し。妻財爻が帝旺に臨めば、則ち時に及びて耕種し時に及びて収穫し、様様に時令に趕得上す。
要知始終吉凶,但看動爻變化;欲識栽培可否,分詳子位持臨。世值三刑,農須帶疾;爻逢兩鬼,地必同耕。
一年の頭より尾に至る吉凶を知らんと要せば、ただ動爻が何を変出するかを看る。この塊の地が能く栽培するか否かを知らんと要せば、則ち子孫爻(苗禾)がどの一位に落ち・何に臨むかを细看す。世爻が三刑に遇えば、田を種ける人の身上に病を帯ぶ。卦中に両重の官鬼が出現すれば、この塊の地は必ず人と合伙して同じく耕す。
父在外爻水輔,地雖高而潮溼;父居內卦日生,田固小而膏腴。父化父,一丘兩段;沖汫沖,七坎八坑。
父母爻(田地を主る)が外卦に在りて水爻の輔助有れば、この塊の地は位置はたとい高きも潮湿なり。父母爻が内卦に在りて日辰の来りて生ずるを得れば、田はたとい小なれども肥沃なり。父母爻が父母を変出せば、一塊の田を分かちて両段と作す。爻上に冲し来り冲し往きて坑洼の相冲するあれば、この地裡は七高八低にして坑坑洼洼なり。
陽象陽爻,此地必然官斗則;或空或動,其田還恐屬他人。坐落胎養,開闢未久;變成福德,溝洫分明。若是坎宮,必近江湖之側;若伏兄弟,乃租鄉鄰之田。
卦象が陽に属し爻もまた陽なれば、この塊の地は必定して官定の斗則に按じて粮を納るる正税の田。父母爻がもし空に落ちあるいは発動せば、この田は恐怕くはすでに別人に帰せり。父母爻が胎・養の位に坐せば、新たに開墾して久しからざるの地。父母爻が子孫を変出せば、田間の溝渠は分明にして水利は斉整なり。卦がもし坎宮に在れば(坎は水と為る)、この田は必ず江湖の辺に近し。父母がもし兄弟の下に伏せば、それは隣里の田を租りて種ける。
蚕桑
既言種植,合論蠶桑,採飼辛苦,只為絲綿。而養育吉凶懸惑,因憑卜筮於著龜。初論子孫得地,則蠶苗必利;次憑財位當權,則絲繭多收。
すでに田を種くを講じたれば、則ち連ねて蚕を養うを講ずべし。桑を采りて蚕に餧うこと辛辛苦して、ただあの点の絲綿のため。しかし養育の吉凶は未決に懸る。ゆえに蓍亀に憑りて占う。蚕桑を占うにまず子孫爻を看る――子孫は蚕苗、それが時を得地を得れば、蚕苗は必ず好し。その次に妻財爻を看る――妻財は絲繭、それが権に当たり勢を得れば、絲繭は収むること多し。
福德要興,更喜日辰扶助;妻財怕絕,尤嫌動象刑沖。兄弟臨身,葉費而絲還微薄;父母持世,心勞而蠶必難為。
子孫爻は興旺するを要し、さらに日辰の来りて扶助するを喜ぶ。妻財爻は絶地に臨むを怕り、尤も動爻の来りてそれを刑しそれを冲するを嫌う。兄弟爻が卦身に臨めば(兄弟は耗を主る)、桑葉は費すこと多くして収むる絲は反って少なし。父母爻が世を持せば(父母は子孫を剋す)、心力は交瘁して蚕は総じて養い好からず。
五行如遇官爻,必遭傷損;一卦皆無鬼煞,方始亨佳。日主沖身,切忌穢人入室;妻財合應,必然汙婦臨蠶。
五行の中にもし官鬼の権に当たるに遇えば、蚕は必ず傷損に遭う。整卦の内にともに官鬼凶煞無ければ、乃ち算して亨通吉利と為す。日辰が来りて卦身を冲せば、切に潔淨ならざる人が蚕室に進むを忌む。妻財爻と応爻とが相合すれば、必ず外来の汚穢の婦人が蚕に靠近せり(旧俗は蚕室に最も汚穢の冲犯を忌む)。
子受暗沖,每遇分臺須仔細;財無傷克,凡占葉價必騰增。兄弟入空亡,絲翻白雪;福身臨已午,繭積黃金。
子孫爻が日辰に暗冲せられれば、分箔して蚕を移す時に毎に格外に小心すべし。妻財爻が傷剋を受けざれば、桑葉の行情を占うに必定上漲す。兄弟爻が空亡に落つれば(劫耗の神は空なり)、繰り出す絲は白きこと飛雪の如し。子孫と卦身とが巳・午の火爻に臨めば(火は明黄を主る)、蚕繭は堆積すること黄金の如し。
父動化財,不枉許多辛苦;官興變福,亦遭幾度虛驚。卦出乾宮,若養夏蠶偏吉利;母居刑地,如言蠶室定崩摧。蠶繭獻功,三合會財局而旺相;卦宮定位,六爻隨動靜以推詳。
父母爻が発動して妻財を変出せば、先に労して後に得、一番の辛苦は白費と算せず。官鬼爻が興動して却って子孫を変出せば、もまた幾場の虚驚を経て後に安ならんとす。卦が乾宮より出ずれば(乾は金に属して秋に当たり、燥熱を主る)、夏蚕を養うに偏に吉利なり。父母爻が刑を受くるの地に居れば(父母は屋宇を主る)、蚕室は一定して塌壊せんとす。蚕繭が豊収して功を献ずるは、三爻が會合して妻財の一局を成してまた旺相なるの象。その卦宮の定位に至っては、則ち依然として六爻の動静に按じて逐一に推詳す。
六畜
道形萬物,理總歸於一心;易盡三才,占豈遺乎六畜。惟能精以察之,自得明而著矣!命在福神,若遇興隆須長養;利歸財位,如逢囚死定輕微。
大道は万物を生成し、道理は総じて一個の心に帰す。《易》は天・地・人の三才を包み盡し、占卜は豈に六畜を遺漏するを得んや。ただ能く精細に体察すれば、自ずから明白顕著ならん。六畜を占うに子孫爻を以て畜牲の性命と為す。それが興旺隆盛なれば、牲口は養いて大きくし好し。妻財爻を以て得る所の利と為す。それがもし囚死無気に逢えば、利を得るは必定微薄なり。
二者不可相無,一般皆宜出現。財旺福衰,雖瘦弱而善走;財空福動,總遲鈍而可觀。財若空亡,雖利暫時無遠力;福臨刑害,若非齾鼻定雕疤。
子孫と妻財の両位は一も欠くべからず、一様にみな卦中に出現すべし。妻財が旺にして子孫が衰なれば、この牲口はたとい瘦弱なれども奔走に善し。妻財が空に落ちて子孫が発動すれば、たとい行動は遅鈍なれども、樣子は却ってなお看るに過ぎ得。妻財がもし空亡に落つれば、眼下はたとい小利有るも、長遠は却って力無し。子孫爻が刑害に臨めば、この牲口は鼻子を缺くにあらざれば、一定して疤痕を帯ぶ。
相合財生,必主調良且善;相沖相剋,定然頑劣不馴。要知蹄足身形,須看臨持八卦;欲別青黃白黑,須參生克六神。陰陽有雌雄牝牡之分,胎養為駒犢羔雛之類。
爻と爻と相合し妻財がまた来りて生ずれば、この牲口は必定馴良温善。彼此に相冲相克すれば、一定して頑劣にして馴し難し。蹄足と身形とを知らんと要せば、則ちそれがどの一個の卦に臨むかを看る(乾は馬・坤は牛・震は龍・巽は雞・坎は豕・離は雉・艮は狗・兌は羊)。青黄白黒の何の毛色かを分かたんと要せば、則ち生剋と六獣とを参看す。爻の陰陽は雌雄牝牡を分出す。爻が胎・養の位に落つれば、則ちそれは小馬・小牛・羊羔・雛雞の一類の幼畜。
身坐子胎,必是受胎之六畜;福臨鬼墓,須知有病於一身。父動有傷,子絕則徒為勞碌;兄興不長,福與則反有生扶。
卦身が子孫の胎位の上に坐せば、これは必ずすでに懐胎せるの牲口。子孫爻が官鬼の墓庫に臨めば、この牲口は一身に病有り。父母爻が発動すれば子孫を傷るを會し、もし子孫がまた絶地に臨めば、それを養うも不過白き辛苦の一場。兄弟爻が興旺なれば、牲口は長じて大きくならず。しかしもし兄弟が反って往きて子孫を生ぜば(兄弟が子孫を生ずるは本に相生)、倒れてまた生扶の助と成る。
世若空亡,到底終須失望。逢金生旺,當慮齧人;值土交重,須憂病染。官加蛇雀,必因成訟成驚;子變兄財,可驗食粗食細。
世爻がもし空亡に落つれば、頭に到りて終帰は失望、養い成さず。子孫爻が金に属してまた生旺なれば(金は歯牙の鋒利を主る)、この畜生が人を咬むを提防すべし。子孫爻が土に値りて重々発動すれば(土は湿滞を主る)、それが病に染まるを担心すべし。官鬼が螣蛇・朱雀を加えれば、必ずこの牲口に因りて官司を惹き出すか驚嚇を受く。子孫爻が兄弟あるいは妻財を変出せば、それが喫うは粗料か精料かを験し得。
財連兄弟,乃芻豢之失時;子化父爻,必勞心之太過。福連官鬼,須防竊取之人;鬼化子孫,恐是盜來之畜。官兄交變,難逃口舌之相侵;日月並刑,豈免死亡於不測。
妻財が兄弟に連なれば(兄弟は財を劫す)、草料の喂食は時に按じず。子孫が父母を変出せば(父母は子孫を剋す)、使喚すること太過にして、その力を労損す。子孫が官鬼に連なれば、人の来りて偸むを提防すべし。官鬼が子孫を変出せば、ただ怕るらくはこの牲口は本身就きて偸み来れる。官鬼と兄弟とが交互に変化すれば、口舌の争執を免れず。日辰月建が一斉に来りて刑すれば、哪にか意外の死亡を免れ得ん。
若占置買,亦宜福動生身;倘問利時,最怕財興化絕。或賭或斗,皆宜世旺財興;或獵或漁,總怕應空福絕。乳抱者宜胎福生旺而無傷,醫治者要父官衰絕而有制。
もし牲口を買い進むるを占えば、もまた子孫爻が発動して来りて卦身を生ずるを須て乃ち好し。もし何時に利を得るかを問わば、最も妻財が興旺して却って絶地を変出するを怕る。もし雞を闘わし狗を走らし、勝を賭けて先を争うの一類なれば、みな世爻の旺にして妻財の興なるを宜とす。もし猎して魚を捕うるなれば、最も応爻の空に落ち子孫の絶に臨むを怕る。孵りて雛を抱育せんとするは、胎爻と子孫爻との生旺にして傷を受けざるを宜とす。牲口に病を治せんとするは、則ち父母と官鬼の両爻が衰絶にして、また爻の来りてそれらを制し住むる有るを要す。
