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景徳伝燈録巻第十五

宋 · 道原 · 第92巻 / 151

福州香谿從範禪師。僧到參。師曰。汝豈不是鼓山僧。對曰是。師曰。額上珠為何不見。無對。僧辭師門送召曰。上座。僧迴首。師曰。滿肚是禪。曰和尚是什麼心行。師大笑而已。師因僧披衲衣。示偈曰。

福州香谿の従範禅師。僧が到りて参した。師は言った。「お前は豈に鼓山の僧にあらずや。」対えて言った。「是です。」師は言った。「額の上の珠は何のために見えぬ。」対えず。僧が辞すれば、師は門に送りて召して言った。「上座。」僧は首を回した。師は言った。「満肚は是れ禅。」言った。「和尚はどんな心の行いですか。」師は大笑したのみ。師は因りて僧が衲衣を披るに、偈を示して言った。

迦葉上名衣披來須捷機

迦葉の上名の衣、披き来れば須く捷機たるべし。

才分招的箭密露不藏龜

纔に分かちて招的の箭、密露して亀を蔵さず。

福州羅源聖壽嚴和尚。有僧自泉州迴來參。師補衲次提起示之曰。山僧一衲衣展似眾人見。雲水請兩條莫教露針線快道。僧無對。師曰。如許多時在彼作什麼。

福州羅源の聖寿厳和尚。ある僧が泉州より回りて参した。師は衲を補う次、提起してこれに示して言った。「山僧の一衲の衣、展げて衆人の見るに似る。雲水は两条を請い、針線を露さしめるな。疾く道え。」僧は対えなかった。師は言った。「かくの如く許りの時、彼に於いて何を作したか。」

前洪州感潭資國和尚法嗣

前の洪州感潭の資國和尚の法嗣

安州白兆山竺乾院志圓。號顯教大師。僧問。諸佛心印什麼人傳得。師曰。達磨大師。曰達磨爭能傳得。師曰。汝道什麼人傳得。問如何是直截一路。師曰截。問如何是佛法大意。師曰苦。問如何是道。師曰普。問如何是學人自己。師曰失。問如何(一有是字)得無山河大地去。師曰。不起見。玄則問。如何是佛。師曰。丙丁童子來求火(則師後參法眼方明厥旨住金陵報恩院)。問如何是畢缽羅窟迦葉道場中人。師曰。釋迦牟尼佛。問如何是朱頂王菩薩。師曰。問那箇赤頭漢作麼。

安州白兆山竺乾院の志圓は、顕教大師と号す。僧が問うた。「諸仏の心印は何人が伝え得るか。」師は言った。「達磨大師。」言った。「達磨は争で伝え得るか。」師は言った。「お前は何人が伝え得ると道うか。」問うた。「どういうのが直截の一路か。」師は言った。「截。」問うた。「どういうのが仏法の大意か。」師は言った。「苦。」問うた。「どういうのが道か。」師は言った。「普。」問うた。「どういうのが学人の自己か。」師は言った。「失。」問うた。「如何にして〔一本に「是」の字有り〕無山河大地を得て去らん。」師は言った。「見を起さず。」玄則が問うた。「どういうのが仏か。」師は言った。「丙丁の童子が来りて火を求む。」(則師は後に法眼に参じて方に厥の旨を明らめ、金陵の報恩院に住した。)問うた。「どういうのが畢鉢羅窟の迦葉の道場の中の人か。」師は言った。「釈迦牟尼仏。」問うた。「どういうのが朱頂王菩薩か。」師は言った。「那箇の赤頭の漢に問うて何作せん。

前濠州思明和尚法嗣

前の濠州思明和尚の法嗣

襄州鷲嶺善本禪師。因入浴室。有僧問。和尚是離垢底人。為什麼卻浴。師曰。定水湛然滿浴此無垢人。問祖意教意是同是別。師曰。鷲嶺峰上青草森天。鹿野苑中狐兔交橫。

襄州鷲嶺の善本禅師。因りて浴室に入った。ある僧が問うた。「和尚は垢を離れた人。なぜかえって浴するのですか。」師は言った。「定水湛然として満ち、この無垢の人を浴す。」問うた。「祖意と教意とは同じか別か。」師は言った。「鷲嶺峰上、青草森として天に連なり、鹿野苑の中、狐兎交横す。

前潭州大光山居誨禪師法嗣

前の潭州大光山居誨禅師の法嗣

潭州谷山有緣禪師。僧問。伶俜之子如何歸向。師曰。會人路不通。曰恁麼即無奉重處也。師曰。我道爾缽盂落地拈不起。問一撥便轉時如何。師曰。野馬走時鞭轡斷。石人撫掌笑呵呵。

潭州谷山の有縁禅師。僧が問うた。「伶俜の子は如何に帰向すべきか。」師は言った。「会人は路通ぜず。」言った。「かくの如くなれば即ち奉重する処無し。」師は言った。「我がお前に道う、鉢盂は地に落ちて拈げ起さず。」問うた。「一撥すれば便ち転ずる時は如何。」師は言った。「野馬が走る時は鞭辔断え、石人は撫掌して笑うこと呵呵。

潭州龍興和尚。僧問。一撥便轉時如何。師曰。根不利。問得座披衣時如何。師曰。不端嚴。曰為什麼不端嚴。師曰。不從證得。問如何是道中人。師曰。終日寂攢眉。

潭州龍興和尚。僧が問うた。「一撥すれば便ち転ずる時は如何。」師は言った。「根は利ならず。」問うた。「座を得て衣を披く時は如何。」師は言った。「端厳ならず。」言った。「なぜ端厳ならざるか。」師は言った。「証得に従わず。」問うた。「どういうのが道の中の人か。」師は言った。「終日寂として眉を攒む。

潭州伏龍山和尚(第一世住)僧問。攪長河為酥酪。變大地為黃金時如何。師曰。臂長衫袖短。問隨緣認果如何是果。師曰。雪內牡丹華。問如何是祖師西來意。師曰。爾得恁麼不識痛癢。

潭州伏龍山和尚(第一世住)。僧が問うた。「長河を攪りて酥酪と為し、大地を変えて黄金と為す時は如何。」師は言った。「臂は長く衫の袖は短し。」問うた。「縁に随って果を認むるに、どういうのが果か。」師は言った。「雪の内の牡丹の花。」問うた。「どういうのが祖師西来の意か。」師は言った。「お前はかくの如くに痛痒を識らぬ。

京兆白雲善藏禪師。僧問。如何是深深處。師曰。矮子渡深溪。問赤腳時如何。師曰。何不脫卻。問如何是法法不生。師曰。萬水千山。

京兆白雲の善蔵禅師。僧が問うた。「どういうのが深深の処か。」師は言った。「矮子が深溪を渡る。」問うた。「赤脚の時は如何。」師は言った。「何ぞ脱き却てざる。」問うた。「どういうのが法法生ぜずか。」師は言った。「万水千山。

潭州伏龍山和尚(第二世住)僧問。隨緣認得時如何。師曰。汝道興國門樓高多少。問子不譚父德時如何。師曰。低聲低聲。

潭州伏龍山和尚(第二世住)。僧が問うた。「縁に随い認め得る時は如何。」師は言った。「お前、興国の門楼の高さは多少と道うか。」問うた。「子が父の徳を談ぜざる時は如何。」師は言った。「低声、低声。

陝府龍峻山和尚。僧問。如何是龍峻山。師曰。佛眼看不見。曰如何是山中人。師曰。作麼。問如何是不知善惡底人。師曰。千聖近不得。曰此人還知有向上事也無。師曰。不知。曰。為什麼不知。師曰。不識善惡說什麼向上事。曰如何。師曰。不見道犴𤞞(上俄寒切下音欲)。問如何是佛向上人。師曰。不戴容。問凡有展拓盡落。今時不展拓時如何。師曰。不展不展。曰畢竟如何。師曰。不拓不拓。

陝府龍峻山和尚。僧が問うた。「どういうのが龍峻山か。」師は言った。「仏眼にも見えず。」言った。「どういうのが山の中の人か。」師は言った。「何ぞや。」問うた。「どういうのが善悪を知らぬ人か。」師は言った。「千聖も近づき得ず。」言った。「この人は還って向上の事ありを知るや無しや。」師は言った。「知らず。」言った。「なぜ知らざるか。」師は言った。「善悪を識らず、何の向上の事をか説かん。」言った。「如何。」師は言った。「犴𤞞と道われるを見ぬか。」(上は俄寒切、下は欲に音す。)問うた。「どういうのが仏の向上の人か。」師は言った。「容を戴かず。」問うた。「およそ展拓有れば尽く今時に落つ。展拓せざる時は如何。」師は言った。「展せず展せず。」言った。「畢竟如何。」師は言った。「拓かず拓かず。

潭州伏龍山和尚(第三世住)問行盡千山路。玄機事若何。師曰。鳥道不曾棲。

潭州伏龍山和尚(第三世住)。問うた。「千山の路を行き尽す。玄機の事は如何。」師は言った。「鳥道は曾て棲まず。

前筠州九峰道虔禪師法嗣

前の筠州九峯道虔禅師の法嗣

新羅清院和尚。問奔馬爭毬誰是得者。師曰。誰是不得者。曰恁麼即不爭是也。師曰。直得不爭亦有過在。曰如何免得此過。師曰。要且不曾失。曰不失處如何鍛鍊。師曰。兩手捧不起。

新羅清院和尚。問うた。「奔馬に毬を争う、誰が得る者か。」師は言った。「誰が得ざる者か。」言った。「かくの如くなれば争わぬが是なり。」師は言った。「直に争わざるを得るもまた過あり。」言った。「如何にしてこの過を免れん。」師は言った。「要するに曾て失わず。」言った。「失わざる処を如何に鍛錬せん。」師は言った。「両手に捧げて起たず。

洪州泐潭寶峰神黨禪師。僧問。四威儀中如何辨主。師曰。正遇寶峰不脫鞋。問如何是佛法大意。師曰。虛空駕鐵船嶽頂浪滔天。

洪州泐潭宝峰の神黨禅師。僧が問うた。「四威儀の中に如何に主を辨ずるか。」師は言った。「正に宝峰に遇うて鞋を脱がず。」問うた。「どういうのが仏法の大意か。」師は言った。「虚空に鐵船を駕し、岳頂の浪は滔天。

吉州南源山行修號慧觀禪師。亦云光睦和尚。僧問。如何是南源境致。師曰。幾處峰巒猿鳥嘯。一帶平川遊子迷。問如何是南源深深處。師曰。眾人皆見。曰恁麼即淺去也。師曰。也是兩頭遙。

吉州南源山の行修は、慧観禅師と号す。また光睦和尚と云う。僧が問うた。「どういうのが南源の境致か。」師は言った。「几処か峰峦に猿鳥嘯き、一帯の平川に遊子迷う。」問うた。「どういうのが南源の深深の処か。」師は言った。「衆人皆見る。」言った。「かくの如くなれば即ち浅く去る也。」師は言った。「亦是れ両頭の遥か。

洪州泐潭明禪師。一日下到客位。眾請師歸方丈。師曰。道得即去。時牟和尚對曰。大眾請師。乃上法堂。問非思量處識情難測時如何。師曰。我不欲違古人。曰不違古人意作麼生。師曰。也合消得禮三拜。僧問。碓擣磨磨不得忘卻。此意如何。師曰。虎口裡活雀兒。問如何是道者。師曰。毛毿毿。曰如何是道者家風。師曰。佛殿前逢尊者。問如何是和尚終日事。師曰。缽盂裡無折筋。曰如何是沙門終日事。師曰。轟轟不借萬人。

洪州泐潭の明禅師。ある日天下りて客位に到った。衆は師に方丈に帰らんことを請うた。師は言った。「道えば即ち行く。」時に牟和尚が対えて言った。「大衆が師を請う。」乃ち法堂に上った。問うた。「思量に非ざる処、識情の測り難き時は如何。」師は言った。「我は古人に違わんと欲せず。」言った。「古人に違わぬ意はどうする。」師は言った。「も合して三拜の礼を消し得べし。」僧が問うた。「碓は搗き磨は磨るも忘却するを得ず。この意は如何。」師は言った。「虎口の裏の活雀児。」問うた。「どういうのが道者か。」師は言った。「毛毵毵。」言った。「どういうのが道者の家風か。」師は言った。「仏殿の前に尊者に逢う。」問うた。「どういうのが和尚の終日の事か。」師は言った。「鉢盂の裏に折筋無し。」言った。「どういうのが沙門の終日の事か。」師は言った。「轟轟として万人に借らず。

吉州秋山和尚。僧問。如何是祖師西來意。師曰。杉樹子。

吉州秋山和尚。僧が問うた。「どういうのが祖師西来の意か。」師は言った。「杉の樹子。

洪州泐潭延茂禪師。僧問。如何是古佛心。師曰。終不道土木瓦礫是。問日落西山去林中事若何。師曰。庭前紅華秀室內不知春。

洪州泐潭の延茂禅師。僧が問うた。「どういうのが古仏の心か。」師は言った。「終に土木瓦礫とは道わず。」問うた。「日は西山に落ちて去る。林中の事は如何。」師は言った。「庭前に紅花秀で、室内に春を知らず。

洪州鳳棲山同安院常察禪師。僧問。如何是鳳棲家風。師曰。鳳棲無家風。曰既是鳳棲為什麼卻無家風。師曰。不迎賓不待客。曰恁麼即四海參尋當為何事。師曰。盤飣自有旁人施。問如何是鳳棲境。師曰。千峰連嶽秀。萬嶂不知春。曰如何是境中人。師曰。孤巖倚石坐不下白雲心。

洪州鳳栖山同安院の常察禅師。僧が問うた。「どういうのが鳳栖の家風か。」師は言った。「鳳栖に家風無し。」言った。「既に鳳栖なればなぜ家風無きか。」師は言った。「賓を迎えず、客を待たず。」言った。「かくの如くなれば即ち四海の参尋は何の事に当てん。」師は言った。「盤飣は自ら旁人の施す有り。」問うた。「どういうのが鳳栖の境か。」師は言った。「千峰は岳に連なりて秀で、万嶂は春を知らず。」言った。「どういうのが境の中の人か。」師は言った。「孤巖に倚りて石に坐し、白雲の心を下さず。

洪州泐潭匡悟禪師(第四世住)僧問。如何是直截一路。師曰。恰好消息。曰還通向上事也無。師曰。魚從下過。問如何是閉門造車。師曰。活計一物無。曰如何是出門合轍。師曰。坐地進長安。問香煙馥郁大張法筵。從上宗乘如何舉唱。師曰。莫錯舉似人。曰恁麼即總應如是。師曰。還是沒交涉。問六葉芬芳師傳何葉。師曰。六葉不相續華開果不成。曰豈無今日事。師曰。若是今日即有。曰今日事如何。師曰。葉葉連枝秀華開處處芳。

洪州泐潭の匡悟禅師(第四世住)。僧が問うた。「どういうのが直截の一路か。」師は言った。「恰好の消息。」言った。「還って向上の事を通ずるや無しや。」師は言った。「魚は下より過る。」問うた。「どういうのが門を閉ぢて車を造るか。」師は言った。「活計一物無し。」言った。「どういうのが門を出でて辙に合するか。」師は言った。「地に坐して長安に進む。」問うた。「香烟馥郁として法筵を大張す。従上の宗乗を如何に挙唱せん。」師は言った。「人に錯って挙似するな。」言った。「かくの如くなれば即ち総て応に是の如くなるべし。」師は言った。「還って是れ交渉無し。」問うた。「六葉芬芳として師は何の葉を伝うるか。」師は言った。「六葉は相続がず、花開きて果成らず。」言った。「豈に今日の事無からんや。」師は言った。「若し今日なれば即ち有り。」言った。「今日の事は如何。」師は言った。「葉葉は枝に連なりて秀で、花は開きて処処に芳し。

吉州禾山無殷禪師者福州人也。姓吳氏。七歲依雪峰真覺大師出家。年滿受戒遊方抵筠陽謁九峰。峰許入室。一日謂之曰。汝遠遠而來暉暉(音混)隨眾。見何境界而可修行。由何徑路而能出離。師對曰。重昏廓闢盲者自盲。峰初未許。師於是發明厥旨頓忘知見。先受請止吉州禾山大智院。學徒濟濟。嘗述垂誡十篇。諸方歎伏鹹謂。禾山可以為叢林表則。時江南李氏召而問曰。和尚何處來。師曰。禾山來。曰山在什麼處。師曰。人來朝鳳闕山嶽不曾移。國主重之命居揚州祥光院。復乞入山以翠巖院。乃江西之勝概。遂棲止焉。時上藍院復虛其室。命師來往闡化。號澄源禪師。僧問。學人乍入叢林乞師指示。師曰。於汝不惜。問仰山插鍬意作麼生。師曰。汝問我。曰玄沙踏倒鍬意作麼生。師曰。我問汝。問未辨真宗如何體悉。師曰。頭大尾尖。問咫尺之間為什麼不覩師顏。師曰且與闍梨道一半。曰為什麼不全道。師曰。盡法無民。曰不怕無民請師盡法。師曰。為知己喪身。曰為什麼卻喪身。師曰。好心無好報。問尊者撥眉擊目視育王時如何。師曰。即今也什麼。曰學人如何領會。師曰。莫非摩利支山。問摩尼寶殿有四角一角常露。如何是露底角。師舉手曰。汝打我卻問。汝還會麼。曰不會。師曰。汝爭解打得我。問如何是西來意。師曰。撲破著。問已在紅焰請師烹鍊。師曰。槌下成器。曰恁麼即烹鍊去也。師曰。池州和尚。問四壁打禾中行剗草。和尚赴阿那頭。師曰。什麼處不赴。曰恁麼即同於眾去也。師曰。小師弟子。師建隆元年庚申二月示有微疾。三月二日令侍者啟方丈集大眾。告辭曰。後來學者未識禾山。即今識取珍重。先是大眾為立生藏本國。諡法性禪師。塔曰妙相。

吉州禾山の無殷禅師は、福州の人、姓は呉。七歳にして雪峯真覚大師に依りて出家した。年満ちて戒を受け、方に遊びて筠陽に抵りて九峯に謁した。峰は入室を許した。ある日これに対して言った。「お前は遠々として来て、暉暉(音は混)として衆に随う。何の境界を見て修行すべく、何の径路に由って出離すべきか。」師は対えて言った。「重昏は廓かに辟け、盲く者は自ら盲く。」峰は初め未だ許さず。師は是に於いて厥の旨を発明し、知見を頓ちに忘れた。先に請を受けて吉州禾山の大智院に止まった。学徒済済たり。嘗て垂誡十篇を述べた。諸方は嘆伏し、咸く禾山は以て叢林の表則と為すべしと謂う。時に江南の李氏が召して問うた。「和尚はどこより来たか。」師は言った。「禾山より来ました。」言った。「山はどこに在るか。」師は言った。「人は来りて鳳闕に朝す、山岳は曾て移らず。」国主はこれを重んじ、揚州の祥光院に居らしめた。また山に入るを乞い、翠巖院は乃ち江西の勝概なるを以て、遂に栖止した。時に上藍院はまたその室を虚しくし、師に来往して化を闡かしめた。澄源禅師と号す。僧が問うた。「学人は乍く叢林に入りました。師に指示を乞います。」師は言った。「お前に於いて惜しまず。」問うた。「仰山の鍬を插す意はどうする。」師は言った。「お前は我に問え。」言った。「玄沙の鍬を踏み倒す意はどうする。」師は言った。「我はお前に問う。」問うた。「未だ真宗を辨えざれば如何に体悉せん。」師は言った。「頭大きく尾尖る。」問うた。「咫尺の間になぜ師の顔を睹ざるか。」師は言った。「且く闍梨と一半を道う。」言った。「なぜ全く道わざるか。」師は言った。「法を尽くせば民無し。」言った。「民無きを怕れず、師に法を尽くすを請います。」師は言った。「知己のために身を喪す。」言った。「なぜかえって身を喪するか。」師は言った。「好心に好報無し。」問うた。「尊者が眉を撥き目を撃ちて育王を視る時は如何。」師は言った。「即今も何ぞや。」言った。「学人は如何に領会せん。」師は言った。「摩利支山に非ずや。」問うた。「摩尼の宝殿に四角あり、一角は常に露る。どういうのが露る角か。」師は手を挙げて言った。「お前は我を打て。」かえって問うた。「お前は還って会するか。」言った。「会しません。」師は言った。「お前は争で我を打つことを解せん。」問うた。「どういうのが西来の意か。」師は言った。「撲破して著く。」問うた。「已に紅焰に在り、師に烹錬を請います。」師は言った。「槌の下に器を成す。」言った。「かくの如くなれば即ち烹錬して去る也。」師は言った。「池州の和尚。」問うた。「四壁は禾を打ち、中行は草を鏟る。和尚は阿那の頭に赴くか。」師は言った。「何の処か赴かざる。」言った。「かくの如くなれば即ち衆と同じく去る也。」師は言った。「小師の弟子。」師は建隆元年庚申二月に微かな疾有るを示した。三月二日、侍者に令して方丈を啓き大衆を集めた。告辞して言った。「後来の学者は未だ禾山を識らず。即今に識り取れ。珍重。」先ず是れ大衆のために生蔵を本国に立つ。諡して法性禅師。塔は妙相と曰う。

洪州泐潭牟和尚。問如何是學人著力處。師曰。正是著力。問古人卷席意如何。師曰。珍重。便下堂。

洪州泐潭の牟和尚。問うた。「どういうのが学人の力を著ける処か。」師は言った。「正に是れ力を著く。」問うた。「古人の席を巻く意は如何。」師は言った。「珍重。」便ち堂を下った。

前臺州湧泉景欣禪師法嗣

前の台州涌泉の景欣禅師の法嗣

台州六通院紹禪師。初參湧泉和尚入室領旨。一日燒畬歸院。泉問。去什麼處來。師曰。燒畬來。泉曰。火後事作麼生。紹曰。鐵蛇鑽不入。泉許之。後居六通院玄侶依附。僧問。不出咽喉唇吻事如何。師曰。待汝一钁斸斷巾子山。我亦不向汝道。問南山有一毒龍如何近得。師曰。非但闍梨千聖亦近不得。人問。承聞南方有一劍話。如何是一劍。師曰。不當鋒。曰頭落又作麼生。師曰。我道不當鋒有什麼頭。其人禮謝而去。師休夏入天台山華頂峰晦跡。莫知所終。

台州六通院の紹禅師。初め涌泉和尚に参じ、室に入りて旨を領した。ある日畬を焼きて院に帰った。泉が問うた。「どこへ行きて来たか。」師は言った。「畬を焼きて来ました。」泉が言った。「火の後の事はどうする。」紹は言った。「鐵蛇も鑽り入れず。」泉はこれを許した。後に六通院に居り、玄侣が依附した。僧が問うた。「咽喉唇吻を出でざるの事は如何。」師は言った。「お前が一镢にして巾子山を斫断すを待て。我もまたお前に向かって道わざらん。」問うた。「南山に一の毒龍有り、如何に近づき得ん。」師は言った。「闍梨のみに非ず、千聖もまた近づき得ず。」人が問うた。「南方に一剣の話有るを承り聞く。どういうのが一剣か。」師は言った。「鋒に当らず。」言った。「頭落ちたればまたどうする。」師は言った。「我は鋒に当らずと道う。何の頭有らん。」その人は礼謝して去った。師は夏を休めて天台山華頂峰に入りて跡を晦ました。終わる所を知る莫し。

前潭州雲蓋山志元禪師法嗣

前の潭州雲蓋山志元禅師の法嗣

潭州雲蓋山志罕禪師。僧問。如何是嶽頂浪滔天。師曰。文殊正作鬧。曰正作鬧時如何。曰。不向機前展大悲。

潭州雲蓋山の志罕禅師。僧が問うた。「どういうのが岳頂の浪滔天か。」師は言った。「文殊が正に鬧を作す。」言った。「正に鬧を作す時は如何。」師は言った。「機の前に大悲を展げるに向かわず。

新羅臥龍和尚。問如何是大人相。師曰。紫羅帳裡不垂手。曰為什麼不垂手。師曰。不尊貴。問十二時中如何用心。師曰。猢猻吃毛蟲。

新羅臥龍和尚。問うた。「どういうのが大人の相か。」師は言った。「紫羅の帳の裏に手を垂れず。」言った。「なぜ手を垂れざるか。」師は言った。「尊貴ならざれば。」問うた。「十二時の中に如何に心を用うべきか。」師は言った。「猢猻が毛虫を喫う。

影州天台和尚(先住天台)問古佛向什麼處去。師曰。中央甲第高歲歲出靈苗。問古鏡未磨時如何。師曰。不施功。曰磨後如何。師曰。不照燭。

影州天台和尚(先ず天台に住した)。問うた。「古仏はどこへ向かって去るか。」師は言った。「中央の甲第高く、歳々に霊苗を出す。」問うた。「古鏡未だ磨かざる時は如何。」師は言った。「功を施さず。」言った。「磨いた後は如何。」師は言った。「照燭せず。

前潭州谷山藏禪師法嗣

前の潭州谷山蔵禅師の法嗣

新羅瑞巖和尚。問黑白兩亡開佛眼時如何。師曰。恐爾守內。問如何是誕生王子。師曰。深宮引不出。

新羅瑞巖和尚。問うた。「黒白両亡んで仏眼を開く時は如何。」師は言った。「お前の内に守るを恐る。」問うた。「どういうのが誕生の王子か。」師は言った。「深宮に引きて出さず。

新羅泊巖和尚。問如何是禪。師曰。古塚不為家。問如何是道。師曰。徒勞車馬跡。問如何是教。師曰。貝葉收不盡。

新羅泊巖和尚。問うた。「どういうのが禅か。」師は言った。「古塚は家と為らず。」問うた。「どういうのが道か。」師は言った。「徒らに車馬の迹を労す。」問うた。「どういうのが教か。」師は言った。「貝葉は収め尽くさず。

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