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景徳伝燈録巻第十八

宋 · 道原 · 第97巻 / 151

更有一般底。恰似等閑相似。聚頭學得箇古人話路。識性記持妄想卜度。道我會佛法了也。只管說葛藤取性過時。更嫌不稱意。千鄉萬裡拋卻老爺孃師僧和尚。作遮去就遮般打約野禿有什麼死急行腳去。師上堂雲。故知時運澆漓迨於像季。近日師僧北去禮文殊。南去遊衡嶽。若恁麼行腳名字比丘徒消信施。苦哉苦哉。問著黑似漆相似。只管取性過時。設使有三箇兩箇。枉學多聞記持話路。到處覓相似言語印可老宿。輕忽上流作薄福德業。他日閻羅王釘爾之時。莫道無人向爾說。若是初心後學。直須著精神莫空記人說。情多虛不如少實。向後只是自賺。有什麼事近前。師上堂大眾雲集。師以拄杖指面前雲。乾坤大地微塵諸佛總在裡許。爭佛法各覓勝負。還有人諫得麼。若無人諫得。待老漢與爾諫。時有僧出雲。便請和尚諫。師雲。遮野狐精。師雲。汝諸人傍家行腳。皆是河南海北各各盡有生緣。所在還自知得麼。試出來舉看。老漢與汝證明。有麼有麼出來。汝若不知老漢謾爾去也。汝欲得知若生緣在北。北有趙州和尚。五臺山有文殊。總在遮裡。若生緣在南。南有雪峰臥龍西堂鼓山。總在遮裡。汝欲得識麼。欲得識向遮裡識取。若不見亦莫掠虛。見麼見麼。且看老僧騎佛殿出去也。珍重。師上堂雲。天親菩薩無端變作一條楖𣗖木杖。乃畫地一下雲。塵沙諸佛盡向遮裡葛藤。便下堂。師雲。我看爾諸人二三機中不能覯得。空披衲衣何益。汝還會麼。與汝注破。久後諸方若見老宿舉一指竪一拂子云是禪是道。拽拄杖打破頭便行。若不如此。盡是天魔眷屬壞滅吾宗。汝若不會。且向葛藤社裡看。我尋常向汝道。微塵剎土三世諸佛。西天二十八祖唐土六祖。盡在拄杖頭上說法。神通變現聲應十方。一任縱橫。爾還會麼。若不會且莫掠虛。然雖據實實是諦見也未。直饒到此田地。未曾夢見衲僧。

(師は続けて言った。)「更に一般の底あり。恰似等閑に相似たり。聚頭して學び得たる箇の古人の話路を、識性に記持して妄想卜度し、道う我佛法を會し了れりと。只管に葛藤を說き取性して時を過ごす。更に稱意せざるを嫌う。千鄉萬里に老爺娘師僧和尚を抛却し、此の去就を作す。这般の打約野秃、什麼の死急あって行脚せる。」師は上堂して言った。「故に知る、時運澆漓して像季に迨ぶと。近日の師僧は北へ去りて文殊を禮し、南へ去りて衡岳に遊ぶ。若し恁么に行脚せば名字比丘、徒らに信施を消す。苦哉苦哉。問著せば黑く漆に似たり。只管に取性して時を過ごす。設し三個兩個有るとも、枉げて多聞を學び話路を記持し、到處に相似の言語を覓めて老宿に印可を求め、上流を輕忽し薄福の德業を作す。他日閻羅王が汝を釘づくる時、無人汝に說くと道う莫れ。若し是れ初心後學ならば、直ちに精神を著けて空しく人の說を記える莫れ。情多き虛は少き實に如かず。後に向かうは只だ自ら賺すのみ。什麼の事かあれば近前せよ。」師は上堂し大眾雲集す。師は拄杖を以て面前を指して言った。「乾坤大地微塵の諸佛、總て里許に在り。佛法を爭いて各々勝負を覓めん。還って諫め得る者有るか。若し人諫め得る無ければ、老漢が汝と諫めんを待て。」時に僧出でて言った。「便ち和尚に諫めんことを請う。」師は言った。「此の野狐精め。」師は言った。「汝諸人の傍家の行脚は、皆是れ河南海北、各々盡く生緣有り。所在に還って自ら知り得るか。試しに出でて舉げて看よ。老漢が汝と證明せん。有るか有るか、出でよ。汝若し知らざれば老漢が汝を謾して去る。汝欲して知らば、若し生緣北に在らば、北に趙州和尚有り、五臺山に文殊有り。總て此の里に在り。若し生緣南に在らば、南に雪峯臥龍西堂鼓山有り。總て此の里に在り。汝識るを欲するか。識るを欲せば此の里に向かいて識り取れ。若し見ざれば亦掠虛する莫れ。見るか見るか。且く看よ、老僧佛殿に騎りて出で去らんを。珍重。」師は上堂して言った。「天親菩薩、無端に變作して一條の楖栗木杖と為る。」乃ち地を畫して一下して言った。「塵沙の諸佛、盡く此の里に向かいて葛藤す。」便ち堂を下る。師は言った。「我看るに汝諸人、二三の機中に觏ること能わず。空しく衲衣を披きて何の益ぞ。汝還って會するか。汝と注破せん。久しき後、諸方にて若し老宿が一指を舉げ一拂子を竪てて是れ禪是れ道と說くを見ば、拄杖を拽りて頭を打破りて便ち行け。若し此くの如くせざれば、盡く是れ天魔の眷屬にして吾が宗を壞滅せん。汝若し會せざれば、且く葛藤社里に向かいて看よ。我尋常に汝に道う、微塵の刹土三世の諸佛、西天の二十八祖唐土の六祖、盡く拄杖頭上に法を說きて、神通變現聲十方に應じ、一任に縱橫す。汝還って會するか。若し會せざれば且く掠虛する莫れ。然りと雖も實に據れども、實に是れ諦見未だなり。直饒此の田地に到るとも、未曾だ衲僧を夢見ず。

沙彌在三家村裡不逢一人。師驀起以拄杖劃地一下雲。總在遮裡。又劃一下雲。總從遮裡出去也珍重。師上堂雲。和尚子。衲僧直須明取衲僧鼻孔。且作麼生是衲僧鼻孔。眾皆無對。師雲。摩訶般若波羅蜜大普請下去。師上堂雲。諸和尚子。饒爾道有什麼事。猶是頭上著頭。雪上加霜。棺木裡瞠眼。炙瘡瘢上著艾燋。遮箇一場狼藉不是小事。爾合作麼生各自覓取箇託生處。好莫空遊州獵縣。只欲捉搦閑話。待老和尚口動。便問禪問道向上向下如何若何。大卷抄了塞在皮袋裡卜度。到處火鑪邊三箇五箇聚頭。口喃喃舉更道。遮箇是公才語。遮箇是從裡道出語。遮箇是就事上道底語。遮箇是體語體。爾屋裡老爺老孃。噇卻飯了只管說夢便道我會佛法了也。將知爾行腳驢年得箇休歇麼。更有一般底。才聞人說箇休歇處。便向陰界裡閉眉閤眼。老鼠孔裡作活計。黑山下坐鬼趣裡。體當便道得箇入頭路。夢見麼。似遮般底殺一萬箇。有什麼罪過。喚作打底。不遇作家。至竟只是箇掠虛漢。爾若實有箇見處。試捻來看共爾商量。莫空不識好惡矻矻地聚頭說閑葛藤。莫教老漢見捉來勘不相當搥折腳。莫道不道。爾還皮下有血麼。以拄杖一時趁下。問如何是佛法大意。師曰。春來草自青。師問新羅僧。將什麼物過海。曰草賊敗也。師引手曰。汝為什麼在我遮裡。曰恰是。師曰。更𨁝跳。問牛頭未見四祖時如何。師曰。家家觀世音。曰見後如何。師曰。火裡蟭蟉吞大蟲。問如何是雲門一句。師曰。獵月二十五。問如何是雪嶺泥牛吼。師曰。天地黑。曰如何是雲門木馬嘶。師曰。山河走。問從上來事請師提綱師曰。朝看東南暮看西北。曰便恁麼領會時如何。師曰。東屋裡點燈西屋裡暗坐。問十二時中如何即得不空過。師曰。向什麼處著此一問。曰學人不會請師舉。師曰。將筆硯來。僧乃取筆硯來。師作一頌曰。

(師は続けて言った。)「沙彌三家里に在りて一人に逢わず。」師は驀然起きて拄杖を以て地を劃して一下して言った。「總て此の里に在り。」又劃して一下して言った。「總て此の里從り出で去るなり。珍重。」師は上堂して言った。「和尚子よ、衲僧は直ちに衲僧の鼻孔を明らめ取るべし。且く作么生是れ衲僧の鼻孔ぞ。」眾皆對えず。師は言った。「摩訶般若波羅蜜。大普請し下去れ。」師は上堂して言った。「諸和尚子よ、饒くば汝道え什麼の事有りとも、猶是れ頭上に頭を著け、雪上加霜し、棺木裏に眼を瞠り、炙瘡瘢上に艾燋を著くるが如し。此の一場の狼藉は小事に非ず。汝合作么生せん。各々覓め取れ箇の托生處を。好く空しく州を遊び縣を獵る莫れ。只だ閑話を捉搦せんを欲し、老和尚の口動を待ち、便ち禪を問い道を問い向上向下如何若何とし、大卷に抄して皮袋裏に塞きて卜度し、到處の火爐邊に三個五個聚頭して口喃喃に舉げ、更に道う、此の箇は公才語、此の箇は里從り道出の語、此の箇は就事上道の語、此の箇は體語と。汝屋裏の老爺老娘を體す。飯を噇却して只管に夢を說き、便ち道う我佛法を會し了れりと。將に知るべし、汝の行脚は驢年に箇の休歇を得るや否やを。更に一般の底有り。纔に人が箇の休歇處を說くを聞けば、便ち陰界裏に向かい眉を閉じ眼を合せ、老鼠孔裏に活計を作し、黑山下に坐し鬼趣里に在り、體當し便ち道う箇の入頭路を得たりと。夢見るか。此般の底を殺すこと一萬個、什麼の罪過か有らん。打底と喚作す。作家に遇わず。至竟は只だ箇の掠虛漢なり。汝若し實に箇の見處有らば、試しに捻りて來り看よ、汝と商量せん。空しく好惡を識らず矻矻地に聚頭して閑葛藤を說く莫れ。老漢に見せしめんこと莫れ。捉え來りて勘う。相當せざれば脚を搥折す。道わざるを道う莫れ。汝還って皮下に血有るか。」拄杖を以て一時に趁い下す。問うた。「如何に是れ佛法の大意。」師は言った。「春來りて草自ら青し。」師は新羅僧に問うた。「什麼物を將て海を過ぐ。」言った。「草賊敗れたり。」師は手を引きて言った。「汝為什麼我が此の里に在る。」言った。「恰も是れ。」師は言った。「更に跳べ。」(底本は此の字を「𨁝」と作す)問うた。「牛頭が四祖を見ざる時如何。」師は言った。「家家の觀世音。」言った。「見し後如何。」師は言った。「火裏の蟭蟉大蟲を吞む。」問うた。「如何に是れ雲門の一句。」師は言った。「臘月二十五。」(底本は「獵月」と作す)問うた。「如何に是れ雪嶺の泥牛の吼ゆる。」師は言った。「天地黑し。」言った。「如何に是れ雲門の木馬の嘶く。」師は言った。「山河走る。」問うた。「從上來の事、師に提綱を請う。」師は言った。「朝には東南を看、暮には西北を看る。」言った。「便ち恁么に領會する時如何。」師は言った。「東屋裏に燈を點し、西屋裏に暗坐す。」問うた。「十二時中如何にして即ち空過せざるを得ん。」師は言った。「什麼處に向かいて此の一問を著く。」言った。「學人會せず、師に舉げんことを請う。」師は言った。「筆硯を將來れ。」僧乃ち筆硯を取りて來る。師は一頌を作して言った。

舉不顧即差互擬思量何劫悟

舉げて顧みざれば、即ち差互す。擬して思量すれば、何の劫か悟らん。

問如何是學人自己。師曰。遊山翫水。曰如何是和尚自己。師曰。賴遇維那不在。問一口吞盡時如何。師曰。我在汝肚裡。曰和尚為什麼在學人肚裡。師曰。還我話頭來。問如何是道。師曰去。曰學人不會請師道。師曰。闍梨公憑分明何得重判。問生死到來如何排遣。師展手曰。還我生死來。問如何是父母不聽。不得出家。師曰淺。曰學人不會。師曰深。問如何是學人自己。師曰。汝怕我不知。問萬機俱盡時如何。師曰。與我拈卻佛殿來與汝商量。曰佛殿豈關他事。師喝曰。遮謾語漢。問如何是教外別傳一句。師曰。對眾將來。曰直得恁麼時如何。師曰。照從何立。問如何是和尚家風。師曰。門前有讀書人。問如何是透法身句。師曰。北斗裡藏身。問如何是西來意。師曰。久雨不晴。又曰。粥飯氣。問古人橫說竪說猶未知向上關棙子。如何是向上關棙子。師曰。西山東嶺青問如何是西來意。師曰。河裡失錢河裡漉。師有時坐良久。僧問何似釋迦當時。師曰。大眾立久快禮三拜。師嘗有頌曰。

問うた。「如何に是れ學人の自己。」師は言った。「山に遊び水に翫ぶ。」言った。「如何に是れ和尚の自己。」師は言った。「賴りて遇う、維那が不在を。」問うた。「一口に吞盡する時如何。」師は言った。「我汝の肚裏に在り。」言った。「和尚為什麼學人の肚裏に在る。」師は言った。「我に話頭を還せ。」問うた。「如何に是れ道。」師は言った。「去れ。」言った。「學人會せず、師に道わんことを請う。」師は言った。「闍梨の公憑分明なり、何得て重ねて判ず。」問うた。「生死到來せば如何に排遣せん。」師は手を展げて言った。「我に生死を還せ。」問うた。「如何に是れ父母聽さざれば出家得ざる。」師は言った。「淺し。」言った。「學人會せず。」師は言った。「深し。」問うた。「如何に是れ學人の自己。」師は言った。「汝我を怕る、知らざらんと。」問うた。「萬機俱盡の時如何。」師は言った。「我と佛殿を拈却して來れ、汝と商量せん。」言った。「佛殿豈に他の事に關らん。」師は喝して言った。「此の謾語の漢め。」問うた。「如何に是れ教外別傳の一句。」師は言った。「眾に對して將來れ。」言った。「直に恁么の時を得ば如何。」師は言った。「照何れ從り立つ。」問うた。「如何に是れ和尚の家風。」師は言った。「門前に讀書人有り。」問うた。「如何に是れ法身を透す句。」師は言った。「北斗裏に身を藏す。」問うた。「如何に是れ西來意。」師は言った。「久雨晴れず。」又言った。「粥飯氣。」問うた。「古人横說豎說すとも猶向上の關棙子を知らず。如何に是れ向上の關棙子。」師は言った。「西山東嶺青し。」問うた。「如何に是れ西來意。」師は言った。「河裏に錢を失い、河裏に漉す。」師は時に良久に坐す。僧問うた。「釋迦の當時に何か似たる。」師は言った。「大眾立つこと久し、快く三拜を禮せよ。」師嘗て頌有りて言った。

雲門聳峻白雲低水急遊魚不敢棲

雲門聳峻にして白雲低し、水急にして游魚敢えて栖まらず。

入戶已知來見解何煩再舉轢中泥

戶に入れば已に來見の解を知る、何ぞ煩わさん再び轢中の泥を舉ぐるを。

衢州南臺仁禪師。問如何是南臺境。師曰。不知貴。曰畢竟如何。師曰。闍梨即今在什麼處。師後遷住本郡鎮境寺而終。

衢州南臺仁禅師。問うた。「如何に是れ南臺の境。」師は言った。「貴を知らず。」言った。「畢竟如何。」師は言った。「闍梨即今什麼處に在る。」師後に遷りて本郡鎮境寺に住して終わる。

泉州東禪和尚初開堂。僧問。人王迎請法王出世。如何提唱宗乘即得不謬於祖風。師曰。還奈得麼。曰若不下水焉知有魚。師曰。莫閑言語。問如何是佛法最親切處。師曰。過也。問學人末後來請師最先句。師曰。什麼處來。問如何是學人己分事。師曰苦。問如何是佛法大意。師曰。幸自可憐生剛要異鄉邑。

泉州東禪和尚、初めて開堂す。僧問うた。「人王迎請して法王世に出づ。如何に宗乘を提唱して即ち祖風に謬らざるを得ん。」師は言った。「還って奈得するか。」言った。「若し水に下らざれば焉んぞ魚有るを知らん。」師は言った。「閑言語する莫れ。」問うた。「如何に是れ佛法の最も親切なる處。」師は言った。「過ぎたり。」問うた。「學人の末後の來り、師に最先の句を請う。」師は言った。「什麼處かより來る。」問うた。「如何に是れ學人の己分の事。」師は言った。「苦なり。」問うた。「如何に是れ佛法の大意。」師は言った。「幸に自ら可憐なれども、剛く異鄉邑を要す。」

餘杭大錢山從襲禪師。雪峰之上足也。自本師印解洞曉宗要。常曰。擊關南鼓唱雪峰歌。後入浙中謁錢王。王欽服道化。命居此山而闡法焉。僧問。不因王請不因眾聚。請師直道西來的的意。師曰。那邊師僧過遮邊著。曰學人不會乞師指示。師曰。爭得恁麼不識好惡。問閉門造車出門合轍。如何是閉門造車。師曰。造車即不門。汝作麼生是轍。曰學人不會乞師指示。師曰。巧匠施工不露斤斧。

餘杭大錢山從襲禪師。雪峯の上足なり。本師の印解を自ら洞曉して宗要を暢ぶ。常に說く、「關南の鼓を撃ちて雪峯の歌を唱う」と。後に浙中に入りて錢王に謁す。王欽服して道化す。此の山に居りて法を闡かんと命す。僧問うた。「王の請に因らず衆の聚に因らず。師に直に西來の的の意を道わんことを請う。」師は言った。「彼の邊の師僧、此の邊に過ぎ著け。」言った。「學人會せず、師の指示を乞う。」師は言った。「争で得ん恁么に好惡を識らざるを。」問うた。「門を閉じて車を造り、門を出でて轍に合う。如何に是れ門を閉じて車を造る。」師は言った。「車を造るは即ち問わず。汝作么生是れ轍。」(底本は「不門」と作す、疑う「不問」の譌ならん)言った。「學人會せず、師の指示を乞う。」師は言った。「巧匠工を施して斤斧を露さず。」

福州永泰和尚。問承聞和尚見虎是否。師作虎聲。僧作打勢。師曰。遮死漢。問如何是天真佛。師乃拊掌曰。不會不會。

福州永泰和尚。問うた。「承聞く、和尚虎を見たり、是か否か。」師は虎の聲を作す。僧は打つ勢を作す。師は言った。「此の死漢め。」問うた。「如何に是れ天真の佛。」師乃ち掌を拊して言った。「不會不會。」

池州和龍山壽昌院守訥。號妙空禪師。福州閩縣人也。姓林氏。受業於古田壽峰。問未到龍門如何湊泊。師曰。立命難存。有新到僧參。師問。近離什麼處。曰不離方寸。師曰。不易來。僧亦曰。不易來。師與一掌。問如何是傳底心。師曰。再三囑汝莫向人說。問如何是從上宗乘。師曰。向闍梨口裡著得麼。問省要處請師一接。師曰甚是省要。

池州和龍山壽昌院守訥。號は妙空禅師。福州閩縣の人なり。姓は林氏。古田壽峯にて受業す。問うた。「未だ龍門に到らず如何に湊泊せん。」師は言った。「命を立て難く存せん。」新到の僧參る有り。師問うた。「近く什麼處を離れたる。」言った。「方寸を離れず。」師は言った。「易からず來り。」僧亦言った。「易からず來り。」師は一掌を與う。問うた。「如何に是れ傳の心。」師は言った。「再三汝を囑す、人に向かいて說く莫れと。」問うた。「如何に是れ從上の宗乘。」師は言った。「闍梨の口裏に向かいて著け得るか。」問うた。「省要の處、師に一接を請う。」師は言った。「甚だ是れ省要。」

建州夢筆和尚。問如何是佛。師曰。不誑汝。曰莫便是否。師曰。汝誑他。閩王請師齋。問和尚還將得筆來也無。師曰。不是稽山繡管。慚非月裡兔毫。大王既垂顧問。山僧敢不通呈。又問。如何是法王。師曰。不是夢筆家風。

建州夢筆和尚。問うた。「如何に是れ佛。」師は言った。「汝を誑かず。」言った。「便ち是か莫れ。」師は言った。「汝彼を誑く。」閩王師に齋を請う。問うた。「和尚還って筆を將て得來るか無し。」師は言った。「是れ稽山の繡管に非ず、愧りて非ざる月裏の兔毫。大王既に顧問を垂る。山僧敢えて通呈せずや。」又問うた。「如何に是れ法王。」師は言った。「是れ夢筆の家風に非ず。」

福州古田極樂元儼禪師。問如何是極樂家風。師曰。滿目看不盡。問萬法本無根。未審教學人承當什麼。師曰。莫䆿語。問久處暗室未達其源。今日上來乞師一接。師曰。莫閉眼作夜好。曰恁麼即優曇華折曲為今時。向上宗風如何垂示。師曰。汝還識也無。曰恁麼即息疑去也。師曰。莫向大眾前䆿語。問摩騰入漢即不問。達磨來梁時如何。師曰。如今豈謬。曰恁麼即理出三乘華開五葉。師曰。說什麼三乘五葉。出去。

福州古田極樂元儼禪師。問うた。「如何に是れ極樂の家風。」師は言った。「滿目看て盡くさず。」問うた。「萬法本に根無し。未審、學人を教えて什麼を承當せしめん。」師は言った。「囈語する莫れ。」問うた。「久しく暗室に處りて其の源に達せず。今日上來して師に一接を乞う。」師は言った。「眼を閉じて夜を作る好し莫れ。」言った。「恁么ならば即ち優曇華折曲して今時と為さん。向上の宗風如何に垂示せん。」師は言った。「汝還って識るか無し。」言った。「恁么ならば即ち疑を息めて去らん。」師は言った。「大衆の前に向かいて囈語する莫れ。」問うた。「摩騰の漢に入るは即ち問わず。達磨の梁に來る時如何。」師は言った。「如今豈に謬らん。」言った。「恁么ならば即ち理三乘を出で華五葉を開かん。」師は言った。「什麼の三乘五葉を說く。出でて去れ。」

福州芙蓉山如體禪師。僧問。如何是古人曲調。師良久曰。聞麼。曰不聞。師示一頌曰。

福州芙蓉山如體禪師。僧問うた。「如何に是れ古人の曲調。」師良久して言った。「聞くか。」言った。「聞かず。」師は一頌を示して言った。

古曲發聲雄今時韻亦同

古曲發聲雄し、今時韻も亦同じ。

若教第一指祖佛盡迷蹤

若し第一指を教えば、祖佛盡く蹤を迷わん。

洛京憩鶴山和尚。柏谷長老來訪。師曰。太老去也。谷曰。還我不老底來。師與一摑。問駿馬不入西秦時如何。師曰。向什麼處去。

洛京憩鶴山和尚。柏谷長老來訪す。師は言った。「太く老去せり。」谷は言った。「我に不老のを還せ。」師は一掴を與う。問うた。「駿馬西秦に入らざる時如何。」師は言った。「什麼處に向かいて去らん。」

潭州溈山棲禪師。問正恁麼時如何親近。師曰。汝擬作麼生親近。曰豈無方便門。師曰。開元龍興大藏小藏。問如何是速疾神通。師曰。新衣成弊帛。問如何是黃尋橋。師曰。賺卻多少人。問不假忉忉如何是和尚家風。師曰。莫作野幹聲。

潭州潙山栖禪師。問うた。「正に恁么の時如何に親近せん。」師は言った。「汝擬して作么生親近せん。」言った。「豈に方便門無からん。」師は言った。「開元龍興大藏小藏。」問うた。「如何に是れ速疾の神通。」師は言った。「新衣成りて弊帛と為る。」問うた。「如何に是れ黃尋橋。」師は言った。「幾多の人を賺却する。」問うた。「忉忉を假らず如何に是れ和尚の家風。」師は言った。「野干の聲を作す莫れ。」

吉州潮山延宗禪師。資福和尚來謁。師下禪床接。資福問曰。和尚住此山得幾年也。師曰。鈍鳥棲蘆困魚止箔。曰恁麼即真道人也。師曰。且坐吃茶。問如何是潮山。師曰不宿屍。曰如何是山中人。師曰。石上種紅蓮。問如何是和尚家風。師曰。切忌犯朝儀。

吉州潮山延宗禪師。資福和尚來謁す。師禪床を下りて接す。資福問うて言った。「和尚此の山に住して得る幾年ぞ。」師は言った。「鈍鳥蘆に栖み、困魚箔に止まる。」言った。「恁么ならば即ち真の道人なり。」師は言った。「且く坐して茶を喫せよ。」問うた。「如何に是れ潮山。」師は言った。「屍を宿めず。」言った。「如何に是れ山中の人。」師は言った。「石上に紅蓮を種う。」問うた。「如何に是れ和尚の家風。」師は言った。「切に朝儀を犯すを忌む。」

益州普通山普明大師。問如何是佛性。師曰。汝無佛性。曰蠢動含靈皆有佛性。學人為何卻無。師曰。為汝向外求。問如何是玄玄之珠。師曰。遮箇不是。曰如何是玄玄珠。曰失卻也。

益州普通山普明大師。問うた。「如何に是れ佛性。」師は言った。「汝佛性無し。」言った。「蠢動含靈皆佛性有り。學人何為れぞ却て無き。」師は言った。「汝が外に向かいて求めるが為。」問うた。「如何に是れ玄玄の珠。」師は言った。「此の箇は是れに非ず。」言った。「如何に是れ玄玄珠。」言った。「失却せり。」

隋州雙泉山梁家庵永禪師。問達磨九年面壁意如何。師曰。睡不著。護國長老來。師問。隨陽一境是男是女。各申一問問問各別。長老將何秖對。護國以手空中畫圓相。師曰。謝長老慈悲。曰不敢。師低頭不顧。問如何得頓息諸緣去。師曰。雪上更加霜。

隋州雙泉山梁家庵永禪師。問うた。「達磨九年面壁の意如何。」師は言った。「睡り着かず。」護國長老來る。師問うた。「隨陽の一境是れ男是れ女。各々一問を申し問問各別なり。長老將に何を以て對せん。」護國手を以て空中に圓相を畫す。師は言った。「長老の慈悲を謝す。」言った。「不敢。」師は頭を低れて顧みず。問うた。「如何にして諸緣を頓息して去らんことを得ん。」師は言った。「雪上更に霜を加う。」

漳州保福院超悟禪師(第二世住)問魚未透龍門時如何。師曰。養性深潭。曰透出時如何。師曰。才昇霄漢眾類難追。曰昇後如何。師曰。慈雲普覆潤及大千。曰還有不受潤者無。師曰有。曰如何是不受潤者。師曰直杌撐太陽。

漳州保福院超悟禪師(第二世住)。問うた。「魚未だ龍門を透らざる時如何。」師は言った。「性を養う深潭。」言った。「透り出づる時如何。」師は言った。「纔に霄漢に升れば衆類追い難し。」言った。「升り後如何。」師は言った。「慈雲普く覆い潤い大千に及ぶ。」言った。「還って潤いを受けざる者有るか無し。」師は言った。「有り。」言った。「如何に是れ潤いを受けざる者。」師は言った。「直杌太陽を撑す。」

太原孚上座遍歷諸方名聞宇內。嘗遊浙中登徑山法會。一日於大佛殿前有僧問。上座曾到五臺否。師曰。曾到。曰還見文殊麼。師曰見。曰什麼處見。師曰。徑山佛殿前見。其僧後適閩川。舉似雪峰曰。何不教伊入嶺來。師聞乃趨裝而邁。初上雪峰廨院憩錫。因分甘子與僧。長慶稜和尚問。什麼處將來。師曰。嶺外將來。曰遠涉不易擔負得來。師曰甘子甘子。方上參雪峰禮拜訖立於座右。雪峰才顧視。師便下看主事。異日雪峰見師乃指日示之。師搖手而出。雪峰曰。汝不肯我。師曰。和尚搖頭某甲擺尾。什麼處不肯和尚。曰到處也須諱卻。一日眾僧晚參。雪峰在中庭臥。師曰。五州管內只有遮和尚較些子。雪峰便起去。雪峰嘗問師曰。見說臨濟有三句是否。師曰是。曰作麼生是第一句。師舉目視之。雪峰曰。此猶是第二句。如何是第一句。師叉手而退。自此雪峰深器之。室中印解師資道成。師更不他遊而掌浴室焉。一日玄沙上問訊。雪峰曰。此間有箇老鼠子。今在浴室裡。玄沙曰。待與和尚勘破。言訖到浴室遇師打水。玄沙曰。相看上座。師曰。已相見了。玄沙曰。什麼劫中曾相見。師曰。𥋙睡作麼。玄沙卻入方丈白雪峰曰。已勘破了。雪峰曰。作麼生勘伊。玄沙舉前語。雪峰曰。汝著賊也。鼓山晏和尚問師。父母未生時鼻孔在什麼處。師曰。老兄先道。晏曰。如今生也。汝道在什麼處。師不肯。晏卻問。作麼生。師曰。將手中扇子來。晏與扇子再徵之。師默置。晏罔測。乃敺之一拳。師在庫前立。有僧問如何是觸目菩提。師踢狗子作聲走。僧無對。師曰。小狗子不消一踢。師不出世。諸方目為太原孚上座。終於維揚。

太原孚上座、遍く諸方を歷り名聞宇内に聞ゆ。嘗て浙中に遊び徑山の法會に登る。一日大佛殿前に於て僧問うた。「上座曾て五臺に到るや否。」師は言った。「曾て到れり。」言った。「還って文殊を見るか。」師は言った。「見たり。」言った。「什麼處にて見る。」師は言った。「徑山の佛殿前にて見たり。」其の僧後に適ち閩川に至り、雪峯に舉似して言った。「何ぞ伊を教えて嶺に入らせ來らざる。」師聞きて乃ち裝を趨りて邁ぐ。初め雪峯の廨院に上り憩錫す。因りて甘子を僧に分つ。長慶稜和尚問うた。「什麼處より將來る。」師は言った。「嶺外より將來り。」言った。「遠涉易からず、担負して得來る。」師は言った。「甘子甘子。」方に上りて雪峯を參じ禮拜訖りて座右に立つ。雪峯纔に顧視す。師便ち下りて主事を看る。異日雪峯師を見て乃ち日を指して之を示す。師手を搖りて出づ。雪峯は言った。「汝我を肯ぜず。」師は言った。「和尚頭を搖ぎ某甲尾を擺す。什麼處にて和尚を肯ぜざる。」言った。「到處にも須く諱却すべし。」一日衆僧晚參す。雪峯中庭に臥す。師は言った。「五州の管內に只だ此の和尚較些子有り。」雪峯便ち起きて去る。雪峯嘗て師に問うて言った。「見說く臨済に三句有り、是か否か。」師は言った。「是なり。」言った。「作么生是れ第一句。」師目を舉げて之を視る。雪峯は言った。「此れ猶是れ第二句。如何に是れ第一句。」師手を叉ぎて退く。自此雪峯深く之を器とす。室中印解師資道成る。師更に他游せずして浴室を掌る。一日玄沙上りて問訊す。雪峯は言った。「此の間に箇の老鼠子有り。今浴室裏に在り。」玄沙は言った。「和尚と勘破せんを待て。」言訖りて浴室に到り師が水を打つに遇う。玄沙は言った。「上座を相看る。」師は言った。「已に相見了れり。」玄沙は言った。「什麼劫中に曾て相見る。」師は言った。「瞌睡作么。」(底本は「𥋙睡」と作す)玄沙却りて方丈に入り雪峯に白して言った。「已に勘破し了れり。」雪峯は言った。「作么生に伊を勘する。」玄沙前の語を舉ぐ。雪峯は言った。「汝賊に著きたり。」鼓山晏和尚師に問うた。「父母未だ生まざる時、鼻孔什麼處に在る。」師は言った。「老兄先に道え。」晏は言った。「如今生まれたり。汝道え什麼處に在ると。」師肯ぜず。晏却りて問うた。「作么生。」師は言った。「手中の扇子を將來れ。」晏扇子を與え再び之を征す。師默然置く。晏罔測す。乃ち之を毆ること一拳。師庫前に立つ。僧有りて問うた。「如何に是れ觸目の菩提。」師は狗子を踢て聲を作して走らしむ。僧對えず。師は言った。「小狗子一踢に消えず。」師世に出でず。諸方目して太原孚上座と為す。維揚にて終わる。

南嶽般舟道場寶聞大師惟勁。福州人也。素持苦行不衣繒纊。惟壞衲以度寒暑。時謂頭陀焉。初參雪峰深入淵奧。復問法玄沙之席心印符會。一日謂鑒上座曰。聞汝註楞嚴經。鑒曰。不敢。師曰。二文殊汝作麼生註。曰請師鑒。師乃揚袂而去。唐光化中入南嶽住報慈東藏(亦號三生藏)藏中有鏡燈一座。即華嚴第三祖賢首大師之所製也。師覩之頓喻廣大法界重重帝網之門。佛佛羅光之像。因美之曰。此先哲之奇功。苟非具不思議善權之智。何以創焉。乃著五字頌五章。覽之者悟。理事相融。後終於南嶽。師於梁開平中撰續寶林傳四卷。紀貞元之後禪門繼踵之源流也。又製七言覺地頌。廣明諸教緣起。別著南嶽高僧傳。皆流傳於世。

南岳般舟道場寶聞大師惟勁。福州の人なり。素より苦行を持して繒纊を衣ず。惟だ壞衲を以て寒暑を度る。時に頭陀と謂う。初め雪峯を參じ深く淵奧に入る。復た玄沙の席に法を問い心印符會す。一日鑑上座に謂いて言った。「聞く、汝楞嚴經を注すと。」鑑は言った。「不敢。」師は言った。「二文殊、汝作么生注せん。」言った。「師の鑑を請う。」師乃ち袂を揚げて去る。唐光化中南岳に入り報慈東藏に住す(亦三生藏と號す)。藏中に鏡燈一座有り。即ち華嚴第三祖賢首大師の所制なり。師之を睹て頓ちに廣大法界重重帝網の門、佛佛の羅光の像を喻う。因りて美して之を說く。「此れ先哲の奇功。苟も不思議善權の智を具せざれば、何以て創らん。」乃ち五字の頌五章を著す。之を覽る者は悟る。理事相融す。後に南岳にて終わる。師梁開平中に續寶林傳四卷を撰す。貞元之後禪門繼踵の源流を紀るなり。又七言覺地頌を制す。廣く諸教の緣起を明す。別に南岳高僧傳を著す。皆世に流傳す。

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