辨正第七
公篤曰:余考近世業星命風鑑各學,而取流年之行者,皆以生誕之日起,為基礎起之關鍵,又有過生辰為餘氣若干之說,今人多用其法。其宗古人之法乎?抑革新之法乎?據余考之,驗者頗少,不驗者尤多,千古未明真象,亦無一定標準之法以為用也。余考天地氣候,陰陽日月,均有盈虛消長之說,而不足者較多,故有閨餘而成歲也。
陳公篤曰く:我近世の星命・看相の各行に從事するの人を考察するに、凡そ流年運程を推するは、皆出生のあの一天より算起し、それを以て運を起こすの基準と做す。なお生辰を過ぎれば便ち若干の「余氣」を算うの説法あり、今人は多くここの辦法に照りて用ゆ。これは究竟古人の法を遵るか、それとも新創の法なるか。我が考驗に据るに、應験するは甚だ少なく、應験せざるはなおさら多し。千百年來真相を説き明白するなく、亦た一個の一定の標準なくして以て依用する能う。我天地氣候・陰陽日月を考察するに、皆盈虛消長の道理あり、而して不足の時は多くに居る、ゆえに閏余を用いて以て一年の数を湊足するを要す。
其氣候陰陽之變,以數學考之,又從夏至一陰生、冬至一陽生,是為天地氣候交易之關鍵。又考達摩麻衣,均未指定行之法,而柳莊衡真等則各據私見而誤解之,或從一州一邑之風俗而規定之,故有超過一歲之說。余按《河圖》《洛書》,以及陰符數、演禽數、大六壬數、太乙數、另數而考證之,當以春令為首,而經過夏秋冬之四時,力為一歲。至於正月生與臘月生,其所生之數月,皆為餘氣,其所餘之多寡,即盈虛之義也。
氣候陰陽の變化は、數理を用いて推考し、又た夏至に一陰始めて生じ・冬至に一陽始めて生ずるより説き起こすを要す、それはこそ天地氣候の交接更替の關鍵。再び達摩・麻衣の両家を考うるに、皆流年を推すの辦法を指定せず。而して柳莊・衡真等の人は各々己見を憑りて以て解釋し、あるいは一州一縣の風俗に照りて隨便に規矩を定め、於是「虚長一歳」の説法を有てり。我《河圖》《洛書》に依據し、および陰符數・演禽數・大六壬數・太乙數の各種の術數を以て考證す:応に春令を以て一年の首と為し、夏・秋・冬の四時を經歴して、こそ満一歳と算え。正月生の人と腊月生の人とに至っては、出生のあの幾個月は皆余氣と算う。余りの多少は、即ち盈虚の道理。換言して説けば、一歳の数は立春より算えて四時を満つるを要し、而して誰の生日より算起するにあらず。余氣を折り算えて清楚にして、流年はこそ準に落ち得。
蓋建子起,實為冬至一陽初生之說,乃天也;建丑起,實為執其兩端而用中之說,乃地也;建寅起,實為立春天氣初升之說,乃人也。故孔子有行夏之時一語,而合節令及戶之朔望也,此為人之正受。按春夏秋冬而行,較為正大而合法;其生誕之日行,是為風俗普通紀念之論,而無氣候節令以行,此皆傍歧而不合法也。
歷法の上に子月を以て歳首と為すの周正は、取るは冬至一陽初生の義、天に属す。丑月を以て歳首と為すの殷正は、取るはその両端を執りてその中を用うの義、地に属す。寅月を以て歳首と為すの夏正は、取るは立春天氣初めて升るの義、人に属す。ゆえに孔子に「夏の時を行う」のここの句あり——《論語・衛靈公》に見ゆ——正に節令と月份の朔望とに合し、これはこそ人の正當に承受すべき所。春夏秋冬の四時に照りて以て流年を推するは、比較正大にして法に合す。生日に照りて以て推するは、それは不過民間の生辰を紀念するの通俗の説法、併せて氣候節令を以て依據と作すなく、皆是れ旁門岐路にして法度に合せず。
又如水形加一歲,火局加二歲,金形加三歲,木馬局四歲,土形加五歲,則又按《河圖》《洛書》之氣化,而順受逆受以為用也。其相生之兼體,合併而加之;相剋之兼體,合併而減半之。是皆有餘不足之法,其流年行本乎此,亦閨餘而歲功成之法也。餘經驗二十餘年,屢驗不妄,茲特規定此種取義,為千古後之定法,故附記於此,以俟後之高明者證之。
再び一層あり:水形の人は一歳を加え、火局は二歳を加え、金形は三歳を加え、木形は四歳を加え、土形は五歳を加う、これは《河圖》《洛書》の氣化の数に按じ、順受・逆受の両種を分かちて以て使用す。若し相生の形體を兼帯すれば、即ち合併して以て加え上げ、若し相剋の形體を兼帯すれば、即ち合併して以て一半を減去す。これは皆「有余」と「不足」との算法、流年を推するは正にこれを以て本と為し、即ち閏余を用いて以て一歳の功を湊成するの辦法。我二十余年を經験し、屢試屢験にして虚妄ならず、現在特にここの取義を定め、以て千秋以後の定法と為し、ここに附記し、後來高明の人の印證せんを待つ。
五形取義
一曰木形。清秀修長,高植瘦弱,得五長之氣而成,其卦為震,其音為角,是為天氣上升之初侯,萬物得之而生也。以高端挺植、清秀修長,是為本局之正體,感受正氣而生也;以腰徧陷弱、輕跳背坑,是為木局之反體,感受不正之氣而生也。
第一種は木形と叫ぶ。相貌清秀修長、身材高挑にして清瘦、是れ「五長」の氣を禀受して成れる。それは八卦に於て震に属し、五音に於て角に属し、天氣始めて上升するの時節に相當り、萬物この股の氣を得れば便ち生發し起これり。若し頭面高聳端正・身干挺直・清秀修長なれば、これは是れ木局の正體、是れ正氣を感受して生ぜる。若し腰身偏側塌陷軟弱・路を走れば軽跳し・背脊凹陷なれば、これは是れ木局の反體、是れ不正の氣を感受して生ぜる。
如木局得青潤色,是其本質之色,主清貴不權,名高壽永,稍有疾厄與恃才偏傲之性情也。如得白色,是為削木成器,主富貴功名,重權有為,稍有任勞與剛燥恃勇之性情也。如得黃色,是為木土相制而相化,主中當中貴,勞碌刑剋,稍有疾厄與明敏畏難之性情也。如得黑色,是為客凌王位,主迍邅反覆,惡疾衣祿,亦有夭苦與聰敏懈怠之性情也。如得紅色,是為通靈發洩,主富貴挫折,險阻刑傷,亦有勞怨與智固執之性情也。故純一木局,是為仙品之根,英屬為仁,定貴賤也,蓋其味為酸也。
木形の人若し青にして潤の氣色を得れば、それは彼の本質の正色、清貴にして實権なきを主り、名声高く・寿命長く、略か病痛を帯び、性情の上に才を恃みて偏傲の毛病あり。若し白色を得れば、是れ金來りて木を削りて器と成る、富貴功名を主り、重権を掌りて作為あり、略か労を任ずるを要し、性情の上に剛躁して勇を恃むの毛病あり。若し黄色を得れば、是れ木土相制してまた相化す、中等の富・中等の貴を主り、一生労碌にして刑剋あり、略か病厄を帯び、性情の上は聡明にして難を畏る。若し黒色を得れば、是れ客氣主位を凌犯せり、處境艱難反復を主り、雖衣禄あるも惡疾多く、亦有夭折労苦・聡敏なれど懈怠の性情。若し紅色を得れば、是れ木氣通靈にして外泄す、雖富貴なるも挫折多きを主り、路途険阻にして刑傷あり、亦有労して怨を招き・智ありて固執の性情。ゆえに純一雑ならざるの木局は、是れ仙家品格の根基、五常に於て仁に属し、以て貴賤を判定するに据り、五味に於て酸に属す。
二曰水形。圓厚而清,肥闊短重,得五圓之氣而成,其封為坎,其音為羽,是為天氣下沉之極候,萬物得之而藏也。以圓肥清重、坐如釘石,是為得水局之正體,感受正氣而生也;以骨弱肉流、上重臀削,是為水局之反體,感受不正之氣而生也。
第二種は水形と叫ぶ。體態圓厚にして氣色清朗、身材肥闊短壯にして沉重、是れ「五圓」の氣を禀受して成れる。それは八卦に於て坎に属し、五音に於て羽に属し、天氣極點に下沉するの時節に相當り、萬物この股の氣を得れば便ち収蔵し起これり。若し身形圓肥・氣色清朗にして擧止沉重・坐し下れば釘し住したるの石頭のごときの穏なれば、これは是れ水局の正體、是れ正氣を感受して生ぜる。若し骨骼軟弱・肌肉松流・上身沉重にして臀部削瘦なれば、これは是れ水局の反體、是れ不正の氣を感受して生ぜる。
如水局得黑潤色,是其本質之色,主大富大貴,重權大名,亦有勞心與英明遠智之性情也。如得白色,是為相生相化,主富貴功名,威權萬里,稍有反覆與機智陰險之性情也。如得紅色,是為水火既濟,主貴名流芳,志向不群,稍有窮困與高深幽博之性情也。如得青色,是為相剋而化,主貴名有權,任勞務功,亦有刑傷與勇為徧見之性情也。如得黃色,是為客侵主位,主小富小貴,安享多祿,稍有疾苦與柔弱苟安之性情也。故純一水局,為佛品之根,其屬為智,定賢愚也,蓋其味為鹹也。
水形の人若し黒にして潤の氣色を得れば、それは彼の本質の正色、大富大貴を主り、重権を掌りて大名あり、亦た労心を帯び、性情の上は英明にして遠見あり。若し白色を得れば、是れ金水相生相化す、富貴功名を主り、威権萬里に及び、略か反復あり、性情の上は機智にして陰険に偏す。若し紅色を得れば、是れ水火既済、貴顯に因りて名声流傳するを主り、志向流俗に同じからず、略か窮困の時あり、性情高深にして學識淵博なり。若し青色を得れば、是れ水木相剋して能く化す、貴顯権あるを主り、肯んじて労を任じて事功を講じ、亦有刑傷、性情は事を任ずるに勇にして見解偏執なり。若し黄色を得れば、是れ客氣主位を侵犯せり、小富小貴を主り、禄食を安享すること比較的多く、略か疾苦あり、性情柔弱にして苟且にして安を偸む。ゆえに純一雑ならざるの水局は、是れ佛門品格の根基、五常に於て智に属し、以て賢愚を判定するに据り、五味に於て鹹に属す。水形の人を看るは、總て先ず彼の本色の黒潤の在るや否やを認定し、さらに別色の來りて彼を生ずるか來りて彼を剋するかを看、吉凶は即ち分かち開き得。
三曰金形。骨堅肉實,方正犄角,得五方之氣而成,其封為兌,其音為商,是為天氣下降之初侯,萬物得之而殺也。以方正犄角、骨肉堅實,是為金局之正體,感受正氣而生也;以陷削欹斜、肉多骨少,是為金局之反體,感受不正之氣而生也。
第三種は金形と叫ぶ。骨骼堅硬・肌肉結實、形貌方正にして稜角を帯び、是れ「五方」の氣を禀受して成れる。それは八卦に於て兌に属し、五音に於て商に属し、天氣始めて下降するの時節に相當り、萬物この股の氣を得れば便ち肅殺凋斂す。若し面骨方正にして稜角を帯び・骨と肉と皆堅實なれば、これは是れ金局の正體、是れ正氣を感受して生ぜる。若し骨肉陷削・五官歪斜・肉多くして骨少なければ、これは是れ金局の反體、是れ不正の氣を感受して生ぜる。
如金局得白潤色,是其本質之色,主威權王霸,大名事業,亦有仇怨與精明剛執之性情也。如得青色,是為克化為用,主富貴多祿,子孫紹業,稍有奔馳與敏捷拘節之性情也。如得黃色,是為相生而化,主中等富貴,豐足衣祿,稍有成敗與持重膽小之性情也。如得黑色,是為相生不化,主貴而挫折,富而消耗,亦有惡疾與剛復窄狹之性情也。如得紅色,是為鍊金成器,主富貴勞碌,逼迫成功,亦有刑傷與堅決自用之性情也。如純一金局,為帝王將相之品,其屬為義,定壽夭也,蓋其味為辛也。
金形の人若し白にして潤の氣色を得れば、それは彼の本質の正色、威権霸業を主り、大名大事を成就し、亦た仇怨を結ぶを免れず、性情精明にして剛執なり。若し青色を得れば、是れ金木を剋して能く化して己用と為す、富貴禄多きを主り、子孫能く家業を継承し、略か奔波するを要し、性情敏捷にして小節に拘る。若し黄色を得れば、是れ土金相生して化す、中等富貴を主り、衣食豊足し、略か成敗あり、性情持重にして膽小なり。若し黒色を得れば、是れ金水を生じて能く化せず、雖貴なるも挫折多く・雖富なるも消耗多きを主り、亦有惡疾、性情剛硬反復にして器量狹窄なり。若し紅色を得れば、是れ火金を煉りて器と成る、富貴なれど労碌を主り、逼迫の中に於て成功を取得し、亦有刑傷、性情堅決にして剛愎自用なり。ゆえに純一雑ならざるの金局は、是れ帝王將相の品格、五常に於て義に属し、以て寿夭を判定するに据り、五味に於て辛に属す。五色の中、ただ白のみ是れ金の本色、其余の四色は皆先ずそれの金と是れ生か剋かを看て、さらにここの一層の富貴の穏なるか傷を帯ぶるかを定むるを要す。
四曰土形。敦厚而重,深濁平勻,得五濁之氣而成,其封為坤,其音為宮,是為天氣半升半沉之侯,萬物得之而容納也。以敦厚而深、濁重寬平,是為土形之正體,感受正氣而生也;以蜂腰削臀、肉浮而流,是為土形之反體,感受不正之氣而生也。
第四種は土形と叫ぶ。體貌敦厚にして沉重、色澤深濁にして平正勻稱、是れ「五濁」の氣を禀受して成れる。それは八卦に於て坤に属し、五音に於て宮に属し、天氣半ば升り半ば沉るの時節に相當り、萬物この股の氣を得れば便ち容納承載する所有り。若し敦厚にして深沉・色濁・體重にして寬平なれば、これは是れ土形の正體、是れ正氣を感受して生ぜる。若し腰細きこと蜂のごとく・臀部削薄・肌肉浮泛にして松流なれば、これは是れ土形の反體、是れ不正の氣を感受して生ぜる。
如土形得黃潤色,是為本質之色,主大富多壽,安和康寧,稍有顧忌與厚遲疑之性情也。如得青色,是為受制相犯,主中富小貴,勞碌受制,亦有反覆與循私妄貪之性情也。如得白色,是為金土相化,主小貴素豐,小名專技,亦有私志與偏僻自恃之性情也。如得黑色,是為克而不化,主刑剋疾苦,勞碌衣祿,亦有夭亡與狹小愚庸之性情也。如得紅色,是為火爍土燥,主勞苦奔馳,刑剋牽制,亦有窮困與拘泥妄拙之性情也。如純一土局,為大富大壽之品,其屬為信,定貧富也,蓋其味為甘也。
土形の人若し黄にして潤の氣色を得れば、それは彼の本質の正色、大富にして寿多きを主り、一生安和康寧、略か顧忌多く、性情敦厚にして事に遇えば遲疑す。若し青色を得れば、是れ木來りて土を剋して受制し相犯す、中等の富・小の貴を主り、労碌にして處處制せられ、亦有反復、性情は私を徇して妄に貪る。若し白色を得れば、是れ土金相生相化す、小貴にして家道素より豊なるを主り、小名あるか一技の長あるか、亦た私心を存し、性情偏僻にして自恃す。若し黒色を得れば、是れ土水を剋して能く化せず、刑剋疾苦を主り、雖衣禄あるも労碌し、亦有夭亡の虞、性情狹小にして愚鈍なり。若し紅色を得れば、是れ火灼にして土焦燥す、労苦奔波を主り、刑剋牽制し、亦有窮困、性情拘泥にして笨拙にして妄為す。ゆえに純一雑ならざるの土局は、是れ大富大寿の品格、五常に於て信に属し、以て貧富を判定するに据り、五味に於て甘に属す。土形の好き處は全て一個の「厚」の字に在り:厚ければ則ち能く載せ能く容る、一旦浮松流動すれば、本色便ち失い、上面の説く所の種種の缺陷は即ち踵を接して至る。
五曰火形。局露有頂,上尖下闊,得五露之氣而成,其封為離,其音為徵,是為天氣上升之極侯,萬物得之而長也。以上銳下豐、尖露起峰,是為火局之正體,感受正氣而生也;以唇吹氣短、濁緊枯焦,是為火局之反體,感受不正之氣而生也。
第五種は火形と叫ぶ。形局外露にして頭頂に峰あり、上部尖削・下部寬闊、是れ「五露」の氣を禀受して成れる。それは八卦に於て離に属し、五音に於て徵に属し、天氣極點に上升するの時節に相當り、萬物この股の氣を得れば便ち生長壯大す。若し上尖下豊・尖處露出して峰を起こせば、これは是れ火局の正體、是れ正氣を感受して生ぜる。若し嘴唇撮起して火を吹くがごとく・氣息短促・氣色渾濁緊澀にして枯焦なれば、これは是れ火局の反體、是れ不正の氣を感受して生ぜる。
如得紅潤色,是為本質之色,主公侯將相,危局發達,亦有艱難險阻興敏捷驕勇之性情也。如得白色,是為火爍金毀,主富貴驚險,多成多敗,亦有孤刑與貪妄放縱之性情也。如得青色,是為木火通靈,主小富小貴,勞碌牽制,亦有羈絆與猶豫見小之性情也。如得黃色,是為相生不化,主富過於貴,飄搖刑剋,亦有殘破與慳悋浮亂之性倩也。如得黑色,是為水火不交,主挫折失敗,冷退刑傷,亦有疾夭與拙偏邪惑之性情也。如純一火局,為公侯將相之品,其屬為禮,定剛柔也,蓋其味為苦也。
火形の人若し紅にして潤の氣色を得れば、それは彼の本質の正色、位公侯將相に至るを主り、能く危局の中に發達し、亦た艱難険阻を免れず、性情敏捷にして驕悍勇猛なり。若し白色を得れば、是れ火爍にして金毁る、雖富貴なるも驚険多く・一生多成多敗を主り、亦有孤獨刑剋、性情貪妄にして放縱なり。若し青色を得れば、是れ木火相生して通靈す、小富小貴を主り、労碌にして處處牽制せられ、亦た羈絆多く、性情猶豫にして見識短小なり。若し黄色を得れば、是れ火土を生じて能く化せず、富は貴に勝るを主り、一生飄搖にして刑剋あり、亦有殘缺破敗、性情慳吝にして浮乱なり。若し黒色を得れば、是れ水火相交する能わず、挫折失敗を主り、冷落退步にして刑傷あり、亦有疾病夭折、性情笨拙偏執にして邪説の迷惑を受け易し。ゆえに純一雑ならざるの火局は、是れ公侯將相の品格、五常に於て禮に属し、以て剛柔を判定するに据り、五味に於て苦に属す。火性最も烈し、本色を得れば則ち貴極まりて一時なり、一たび剋泄に遇えば便ち成敗無常、ゆえに火形の人を看るは、尤も氣色の上に於て生剋を分かち清むるを要す。
五形變通説
公篤曰:相有千般,難逃生剋制化之中;法固無窮,參考吉凶禍福之義。形格各得其氣而生,以相生相化為吉,相爭相剋為凶。凡定格局,先明主客兼體之義,為第一步,故吉凶禍福皆在其中,以合格為富貴壽考,不合格為貧賤勞碌也。
陳公篤曰く:相は千百種あり、總て五行の生・剋・制・化の範圍を跳出す能わず。法門雖無窮なれど、皆吉凶禍福の義理を參照して以て用うを要す。人の形格は各々一種の氣を禀受して生ず、凡そ相生相化するは吉と為し、相爭相剋するは凶と為す。凡そ一個人の格局を斷定せんと要するは、第一步先に哪の一行の主なるか・哪の一行の客なるか・哪些の兼帯の形體なるかを弄明白にせよ、吉凶禍福は全てここの裏頭に在り。合格するは即ち富貴長寿、合格せざるは即ち貧賤労碌。
一大一小為不配,又陷又露為不周。五官以開展為吉,五嶽以勻配為吉,故一大一小,皆受剋制而有缺點也。又陷者,為不足之破敗而生;又露者,為不合之刑剋而成,故不周全,亦相法之所忌也。蓋不足者,而見缺點之敗;有餘者,而見刑傷之勞,均非善相,而不合法也。
一辺大にして一辺小なるを「不配」と叫び、既に凹陷してまた外露するを「不周」と叫ぶ。五官は舒展開闊を以て吉と為し、五嶽は彼此勻稱相配を以て吉と為す、ゆえに一大一小のは、皆是れ剋制を受けて缺陷を帯ぶ。いわゆる「又陷」は、分量不足なるに因りて破敗を生出す。いわゆる「又露」は、配合不當なるに因りて刑剋を造成す。両様湊り合されば即ち周全ならず、これも亦た相法の忌諱する所。須く分量不足のは、缺陷の帯來するの失敗を顕出せんを知るべし。分量有余のは、刑傷の帯來するの労苦を顕出す——両者皆是れ好き相にあらず、皆法度に合せず。
額高耳反,主前澤破耗,火克金也。南嶽高露,為火之有餘;耳反廓飛,為金之不足。故火克其金,而前澤破耗,祖業蕭條。余每見南嶽高廣,而反無前業,皆兩耳之輪反廓飛之不配也。蓋兩耳為初,故前業不守,而見破耗也。
額頭高くして両耳翻反のは、先人の留下したるの産業敗れ光るを主る、これは是れ火の金を剋す。額は「南嶽」にして火に属し、高聳にして外露す、是れ火有余なり。耳は金に属し、耳輪翻反・耳廓外飛す、是れ金不足なり。ゆえに火金を剋して、先人の恩澤耗散せられ、祖業それに跟いて凋零す。我常に額頭高廣の人のかえって祖業を承受せざるを見るに、皆是れ両耳の輪反廓飛・額と相配せざるに因る。耳の主るは早年運、ゆえに先人の産業守り得住せず、一開頭より即ち敗耗せり。
額尖頦大,主一生困窮,水克火也。余考南嶽尖削,為火之不足;地閣豐大,為水之有餘。故水克其火,而一生困窮,勞碌刑剋。余每見地庫豐隆,而反受窮困,亦由上亭尖弱之不配,火星受克於水故也,即天停可勝地閣之義也。
額頭尖くして下巴大なるは、一生困窮を主る、これは是れ水の火を剋す。我考究す:額は南嶽にして火に属し、尖くして削薄、是れ火不足なり。下巴地閣は水に属し、豊満寬大、是れ水有余なり。ゆえに水火を剋して、一生困窮、労碌にして刑剋多し。我常に下巴地庫豊隆の人の反って窮を受くるを見るに、亦た上停額部尖弱にして相配せざるに因り、火星水に剋せらるるの縁故なり——これは即ち相法の上に天停応に地閣に勝るべしと説くの道理。
耳大目小,愚庸無知,金傷木也。兩耳為金星,如形質長大,為金之有餘;兩目為木星,內為肝絡,如形式太小,為木之不足。故金克其木,天姿愚拙,受制而壽。凡聰明者,耳目相配,耳有垂珠,目有清光,兩不相剋,而反相用也。
耳朵大にして眼睛小なるは、天資愚鈍無知、これは是れ金の木を傷つく。両耳は金星と為す、若し長く且つ大に長得れば、是れ金有余なり。両眼は木星と為す、内に於て肝の經絡に連れ、若し太だ小に長得れば、是れ木不足なり。ゆえに金木を剋して、天資愚拙、雖剋制を受くると雖もかえって長寿す。凡そ聡明の人は、耳と目と彼此相配す:耳に垂珠あり、目に清光あり、両者相克せず、かえって彼此相用と為る。見るべし五官はただ一處を挑びて大小を看る能わず、要緊は彼此の分量の能く配得上がるや否やに在り。
目露鼻弱,凶險迭見,木克土也。兩目大而露,為木之有餘;鼻小弱尖,為土星之不足。故木克其土,應刑剋人丁,驚險失敗,凶危挫折,皆土受木之克。凡貴在眼,富在鼻,成敗之關鍵在比。如兩相剋制,雖貴亦貧窮,而有危險之傾覆,己身破家也。
眼睛外露にして鼻子瘦弱のは、凶険接連して断えず、これは是れ木の土を剋す。両眼大にして外露す、是れ木有余なり。鼻子小・弱にして尖、是れ土星不足なり。ゆえに木土を剋して、家中人丁を刑剋するに応じ、驚険失敗・凶危挫折に遭遇す、皆是れ土木に剋せらるるの致す所。相法の上に貴は眼を看・富は鼻を看、成敗の關鍵は即ちここに在り。若し両者互相剋制すれば、縱令顯貴するも亦た貧窮せん、なお傾覆の危あらん、自身家業を敗掉す。
鼻大口小,破梓離鄉之格,土克水也。鼻為土星,豐隆過大,為土之有餘;口小唇薄,為水星之不足。水受土克,則有六親之累,內外之患,因而破梓離鄉,而無立身之地,口為衣祿關鍵故也。土星雖大,孤立而無用也。
鼻子大にして嘴巴小なるは、故郷を離れ・家園を抛下するの格局、これは是れ土の水を剋す。鼻は土星と為す、豊隆頭を過ぎ得、是れ土有余なり。嘴小さく唇薄し、是れ水星不足なり。水土に剋せられれば、即ち六親の拖累を受け、内外皆禍患を生じ、因りて郷を離れ井を背にし、本土に於て足を立て住む能わず、口は是れ衣禄の關鍵の所在なるに因る。ここの種の人は鼻子雖大なれど、孤零として作用を起こし得ず。
髭粗眉細,奴欺戚累之輩,下犯上也。眉為文采之官,在上為主;髭為下停之表,在下為客。均以柔細為合格。如眉粗濃而髭柔細,此為上臨下之格,尚不至為害;如眉柔細而髭粗濃,此為客凌其主、下欺其上之格,當然有害而凌虐,以相欺而累也。
胡鬚粗くして眉毛細なるは、僕役に欺凌せられ・親戚の拖累を受くるの一類、これは是れ下の上を犯す。眉は是れ文采を主るの官位、上に在りて主に属す。胡鬚は是れ下停の表徵、下に在りて客に属す。両者皆柔細を以て合格と為す。若し眉粗濃にして鬚柔細なれば、それは上位下位を壓倒するの格局、なお害と為るに至らず。若し眉柔細にして鬚粗濃なれば、それは客主を凌ぎ・下上を欺くの格局、自然欺壓凌虐を受け・人に牽累せられん。相法の上に上下尊卑を講ずるは、併せてただ貴賤の一層に在らず、眉と髭と孰れか粗き孰れか細きは、已に主客の勢を定め下せり。
故法以陽陰交垢,為萬物生;以五行錯綜,為萬物用。人之稟受,以陰陽交垢,而萬物發生。天有陰陽而歲功成,人有陰陽而男女生,氣有陰陽而寒暑別,地有陰陽而五穀收。凡人道物類器用,皆以五行之生剋制化而為用也。人之形格氣色,亦合陰陽五行也。
ゆえに相法は陰陽交感を以て萬物化生の本と為し、五行錯雑交互を以て萬物致用の途と為す。人の禀受する所は、正に陰陽交感して然る後に萬物發生す。天に陰陽あれば、於是一年の歳功完成するを得。人に陰陽あれば、於是男女を分かち出づ。氣に陰陽あれば、於是寒暑別あり。地に陰陽あれば、於是五穀収を得。凡人間の道理・物類の品性・器用の功能は、皆五行の生・剋・制・化を靠りて以て作用を發揮す。人の形格と氣色とは、同樣に陰陽五行に合す。
五行平勻,相生而為用;五行強弱,相剋而為害。故人內具五行,心肝脾肺腎是也;外具五行,眉目鼻耳口是也。五行不可過,亦不可不足。如內五行不足,則有疾病發生;外五行不足,則有貧賤之害。過之則傷,而有孤獨刑剋;不及則害,而有夭亡下賤也。
五行分布平匀なれば、便ち相生して各々その用を得。五行強弱懸殊なれば、便ち相剋して彼此害と為る。ゆえに人は内に於て五行を具備す、即ち心・肝・脾・肺・腎。外に於ても亦た五行を具備す、即ち眉・目・鼻・耳・口。五行は既に太だ過ぐる可からず、亦た不足する可からず。内五行不足なれば、即ち疾病を生出す。外五行不足なれば、即ち貧賤の害あり。太だ過ぐれば則ち傷を受けて、孤獨刑剋を招来せん。及ばざれば則ち害を受けて、夭亡下賤を導致せん。ゆえに相を看るは哪の一處の最も好きかを找るにあらず、而して五處の能く彼此相安するや否やを看る:内五行安ければ則ち身健やかなり、外五行安ければ則ち命順なり。
睛清額寬,必是貴豪之人;神充嶽大,方為賢傑之士。睛清主貴,額寬亦主貴,如兼而有之,則為貴之豪者。神充者氣厚而特智,又主壽徵;嶽大者主有奇特行為,流芳千古,此賢傑之品,而立非常之功也。
眼珠清亮・額頭寬闊のは、必定顯貴の中の豪傑。精神充足・五嶽豊隆のは、こそ賢能傑出の士と算え得上がる。眼睛清亮は貴を主り、額頭寬闊も亦た貴を主り、両様兼ね備えれば、即ち貴人の裏の豪雄。精神充足の人は元氣厚くして智慧人に過ぎ、また是れ長寿の徴。五嶽高大の人は往々奇特の作為ありて、能く千古に芳を流す——これは是れ賢傑の品格、能く非常の功業を建立す。
金木不可以相剋,水火不可以相犯。金木不可平均而相爭,則相剋而為害矣;水火不可平勻而相爭,亦相剋而為害矣。故以金多木少,則為克化成用;木多金少,則為削木成器。水火亦然,相爭而不濟其用也。
金と木とは互相剋制する可からず、水と火とは互相侵犯する可からず。金木の両者は分量相當たりて各々相讓らざれば、即ち相剋して害と為るを成す。水火の両者は分量相當たりて各々相讓らざれば、亦た相剋して害と為るを成す。ゆえに金多く木少なければ、是れ金木を剋して化して己用と為す。木多く金少なければ、是れ金を以て木を削りて器と成る。水火の間も亦た一様なり:若し勢均力敵して相爭わば、即ち各々の用處を發揮し出で得ず。
是以金不嫌方,木不嫌瘦,水不嫌肥,火不嫌露,土不嫌濁。純一則富貴壽考,反犯則勞苦貧賤。金以方為用,故不嫌其方也;木不嫌瘦,以瘦為用故也;水以圓肥為用,故不嫌其肥也;火以露為用,故不嫌其露也;土以濁為用,故不嫌其濁也。五形各得其正,皆富貴壽考;反犯則勞苦貧賤,與迍邅夭亡也。
ゆえに金形は方を嫌わず、木形は瘦を嫌わず、水形は肥を嫌わず、火形は露を嫌わず、土形は濁を嫌わず。五行純一雑ならざるは富貴長寿を主り、彼此反剋相犯するは労苦貧賤を主る。金は方正を以て用と為す、ゆえにそれの方を嫌わず。木は清瘦を以て用と為す、ゆえにそれの瘦を嫌わず。水は圓肥を以て用と為す、ゆえにそれの肥を嫌わず。火は尖露を以て用と為す、ゆえにそれの露を嫌わず。土は厚濁を以て用と為す、ゆえにそれの濁を嫌わず。五種の形局各々本分を守れば、皆富貴長寿する能う。一旦反剋相犯すれば、即ち労苦貧賤、甚至困頓夭亡す。いわゆる「嫌」と「不嫌」とは、全てあの一樣の特徴の是れ本形の応に有るべきなるか否かを看る:本形の有るべきは、いよいよ足ればいよいよ好し。有るべからざるは、一分も亦た累贅なり。
似金得金剛毅深,而威權萬里;似木得木資財足,兩流芳千年。純金之局,而得其金氣,主大貴而有權勢;純木之局,而得其木氣,主清貴而富足。故帝王將相皆多出金局,仙品多出本局,次亦聖賢,又次則名士名流,而有流芳事業,其富足尚其次也。
形貌金に似てまた金氣を得るは、性情剛毅深沉、威権萬里に及ぶ可し。形貌木に似てまた木氣を得るは、資財充足、声名千年に流傳す。純粹の金局にして金の本氣を得着れば、大貴にして権勢を握るを主る。純粹の木局にして木の本氣を得着れば、清貴にして家道富足を主る。ゆえに歷來の帝王將相は多く金局より出づ。神仙一流の品格は多く木局より出づ、次の一等は是れ聖賢、再び次の一等は便ち名士名流、皆能く後世に芳を流すの事業を留下し、家資豊足に至っては、かえって其次に在り。
似水得水文學貴,而福澤綿綿;似土得土富財庫,而積金壘壘。純水之局,而得水氣,主大富貴而有權勢;純土之局,而得土氣,主大富而有壽徵。故帝王多出水局,次則為公侯之品;鉅富多出土局,次亦富甲一州一邑也。
形貌水に似てまた水氣を得るは、文學を以て貴顯し、福澤綿長なり。形貌土に似てまた土氣を得るは、財庫充盈し、金銀山のごとく堆積す。純粹の水局にして水の本氣を得着れば、大富大貴にして権勢を握るを主る。純粹の土局にして土の本氣を得着れば、大富にして併せて長寿の徴あるを主る。ゆえに帝王は多く水局より出づ、次の一等も亦た公侯の品格。巨富は多く土局より出づ、次の一等も亦た能く一州一縣に甲を富む。
似火得火主機智,而勢碌險阻之功名;主客相合亦富貴,而平安享受之福澤。純火之局,由尖露而成,主公侯將相之品,故寇準之頭尖似筆,馬周之肩聳如蕉,然多出艱難險阻之時,而成功業也。如五行之主客相合,亦為富貴壽考,而有厚福之格也。
形貌火に似てまた火氣を得るは、機敏多智を主り、功名は奔労険阻の中に於て掙り來るを要す。若し五行の主と客と配合し當を得れば、同樣に富貴にして、而且能く安んじて福澤を享く。純粹の火局は尖峭外露に由りて成る、公侯將相の品格を主る、ゆえに宋代の寇準は頭尖きこと筆のごとく、唐代の馬周は両肩聳起して蕉葉のごとし、皆是れ火局。不過ここの一類の人は多半是艱難険阻の時勢の裏に於て功業を成就す。五行主客相配し宜を得るに至っては、亦た富貴長寿・福澤深厚の格局なり。
金形得金,局逢土為佳;土形得土局,見火尤妙。金形主貴,如兼一線之土,則貴中有富也;土局主富,如兼一線之火,則有小貴而合其用也。此言兼體之合格,上言純一之局也。
金形の人の金氣を得着は、若し再び一点の土を兼ねれば最も好し。土形の人の土氣を得着は、若し再び一点の火を見れば尤も妙なり。金形は貴を主る、如果一絲の土氣を兼帯せば、即ち貴の中に富を帯ぶ——土能く金を生ずるに因る。土形は富を主る、如果一絲の火氣を兼帯せば、即ち点小貴を得て用に相合する能う——火能く土を生ずるに因る。ここの両句の講ずるは兼帯の形體にして合格するの情形、上文の講ずるは則ち純一雑ならざるの形局なり。
金局火重,財散如塵;木主金傷,錢消似雪。金之本局,如兼火體一半,或四分,皆言金局之受傷也,故財帛日見消耗矣。如木之本局,兼金一半,或四分,亦言木之受傷他,而財帛如湯潑雪之化也。
金局にして火氣太だ重きは、錢財塵土のごとく散ず。木を主體と為して金に傷つけらるるは、錢財積雪のごとく消融す。金の本局は、如果兼帯の火體一半を占め・あるいは四成を占むれば、皆金局の傷を受けたりと算え、ゆえに財帛一天一天消耗し下れり。木の本局は、如果兼帯の金一半を占め・あるいは四成を占むれば、亦た木の傷を受けたりと算え、財帛は即ち滾水の雪を澆くがごとく化して乾乾淨淨なり。
火得紅活,用顯奇榮;水逢黑潤,愈增福壽。火局得紅活之氣,當然立奇功而封侯拜相,但從驚險處而發達也。故馬周之興唐室,在中興時代;寇準之輔宋室,在克敵時代。水局得黑潤,亦主貴壽多福。
火局紅にして活の氣色を得着は、必定奇功を建立して殊榮を顕出す。水局黒にして潤の氣色に遇上は、福分寿数いよいよ增添す。火局の人の紅活の氣を得着は、自然能く奇功を立てて侯を封じ相を拜せん、ただ發達は總て驚険の處より得來るを要す。ゆえに馬周は唐室を輔佐して、正に中興の時候に當る。寇準は宋室を扶助して、正に敵に抗するの時候に當る。水局の人の黒潤の氣を得着は、同樣に顯貴長寿にして福多きを主る。
火形兼木,必定超榮;水局逢金,於須發達。火局本尖露而成,如加以清秀,則為木火通靈之局,亦主智敏而享盛名,又作身後之事業,比言超群榮貴也。水局兼金,則為有權之貴,盛衰皆為權貴,亂世尤發武貴也。
火形木形を兼帯のは、必定榮顯超群なり。水局金形に遇上のは、終に發達するを須す。火局は本来尖峭外露に由りて成る、若し再び清秀の氣を添え上げれば、即ち木火通靈の格局と成り、聡明敏捷にして大名を享くるを主り、なお能く身後の事業を留下す、これは即ちいわゆる超群榮貴。水局金形を兼帯のは、便ち是れ實権あるの貴格、世道の興盛なるか衰乱なるかを論ぜず皆権貴を做る能う、乱世の裏に於ては尤も武職に於て發迹し易し。
土逢乙木,奇發流通;木遇微金,削成器用。土局本主富而不貴,如兼一線之木,則為克化而有用,則富中有貴名也。然多為異路功名,而曰奇發,因其人為利用,因其時為利用故也。本周兼一線之金,則削成器用,走險而發,則貴而有權也。
土形一点の乙木に遇上は、奇特の方式を以て發達して財源流通せん。木形一点の微弱の金に遇上は、便ち刀を以て木を削りて器用を成すがごとし。土局は本来富を主りて貴を主らず、若し一絲の木氣を兼帯せば、木土を剋して能く化して有用と為る、即ち富の中に貴名を帯ぶなり。不過これは多半是正途に非ざるの功名を走る、ゆえに「奇發」と叫ぶ——あるいは人に因りて用を得、あるいは時に因りて用を得るなり。木局一絲の金氣を兼帯は、便ち是れ木を削りて器と成る、険路を走るを靠りて發迹し、能く貴くして而且権あり。
火得微金,有財難積而不入庫;木逢重金,雖貴必勞,而多挫折。火本克金,如金多火少,則煉成寶劍而為用;火多金少,則消化無餘矣,雖有財而不入庫。金本克木,如木少金多,克化為用;木多金少,削成器用;最忌金木各半,而相爭也。
火形ただ一点の金を帯ぶのみのは、財ありと雖も積攒し難く・庫に進む能わず。木形過重の金に遇上は、縱令顯貴するも必定労碌し、而且挫折甚だ多し。火は本来金を剋す:若し金多く火少なければ、即ち寶劍に煉成して用に堪う。若し火多く金少なければ、金便ち一点も剩さず熔化せられ、ゆえに雖錢財あるも存え住む能わず。金は本来木を剋す:若し木少なく金多ければ、是れ剋して能く化し、かえって我の用と為る。若し木多く金少なければ、是れ木を削りて器と成る。最も忌むは金木各々一半を占めて彼此相爭うなり。
木不兼金,雖貴而無權;火不兼土,已成而忽敗。純木為清貴仙品,有大名而無權勢,須得微金以削成器,方為貴而有權也。火為上炎之象,而不持久,故得微土方持久,否則一成一敗矣。
木形金を兼帯せざるは、縱令顯貴するも亦た實権なし。火形土を兼帯せざるは、事剛に成りてまた忽ち敗る。純粹の木局は是れ清貴の仙家品格、大名声ありて権勢なし、必ず一点の金を得て來りて木を削りて器と成して、こそ既に貴くまた権ある能う。火は是れ上に向かいて燃焼の象、燃えて久しき能わず、ゆえに一点の土を得てこそ持久する能う、然らざれば即ち一成一敗、反反復復なり。
水金合用,方大貴而無極;金土合形,雖富榮而有限。五形以金水兩形為大富貴,千古帝王多出金水之局,故金水合用而成一局,則大貴矣。金主貴而土主富,如金土合用,則為中富中貴,或常富常貴,以及教授梓榮之例。
水と金と配合して用と為すは、こそ貴極處に到りて止境なきなり。金と土と合成して一形と為すは、雖富足榮顯なると雖も限度あり。五種の形局の裏に、金・水の両形を以て最も大富大貴を主る、千百年來の帝王は多く金水の局より出づ、ゆえに金水配合して一局と成るは、便ち是れ大貴の相。金は貴を主りて土は富を主る、若し金土配合せば、即ち中等の富・中等の貴、あるいは尋常の富貴、譬えば書を教え業を授け・鄉里に榮を得るのここの一類。
聲音相應,純一取之;內外不合,酌量定也。形格為外相之表,聲音為內相之氣。然聲音亦有金木水火土各音,如合其形,則純一而論;如內外不同,又須審查而酌量定之也。
声音と形局と相應するは、即ち純一の局に按じて以て断を取る。内外両下合せざるは、即ち情形を斟酌して以て判定するを要す。形格は是れ外相の表現、声音は是れ内相の氣機。声音も亦た金・木・水・火・土の五種の音を分かつ:如果声音形局と相合せば、即ち純一の局と作して以て論ず。如果内外一致せざれば、必ず細かく審察を加え、軽重を権衡して以て定奪するを要す。
卷五
希夷心相篇
心者貌之根,審心而善惡自見;行者心之表,觀行而禍福可知。余考心為全身主宰,有心然後有性,有性然後有行為,凡事先動於心,後露於形,故聖人有中形外、胸正瞭焉、胸不正睦焉之說。按行為是心之代表,福善禍淫,乃天道之自然;福淫禍善,乃相法之形質。查其有心無心之行為,心善心惡之原理,或天道支配人事,或人事強勝天道,當以形格限氣色,為認定之標準也。
心是れ相貌の根、一個人の心を審察すれば、善惡自然顕露す。行為は是れ心の外在の表徵、彼の行為を看れば、禍福即ち知る能う。これは是れ陳摶《心相篇》の宗を開くの両句。作者の按語:心是れ全身の主宰、心ありてこそ性情あり、性情ありてこそ行為あり。凡事皆先ず心の裏に於て動き起こり、然る後にこそ形貌の上に顕露す、ゆえに聖人に「中に存するは外に形る」および「胸中正なれば則ち眸子瞭、胸中不正なれば則ち眸子眊」の説法あり。行為は是れ心の代表:善は福を得・淫は禍を得、それは是れ天道の自然。而して淫かえって福を得・善かえって禍を得は、即ち相法の形質の上に到りて縁故を找るを要す。一個人の行為の有心なるか無心なるか・彼の心地の善なるか惡なるかを考察し、究竟是れ天道人事を支配するか、それとも人事天道に強く過ぐるかは、皆応に形格氣色を配合して、以て認定の標準と為すべし。
心性不公平,難得兒孫長育;言語多反覆,應知詭譎旋生。人處社會交際,以公平交易為正當,方為昭信用而持久。如有欺詐,雖有暫時利益,亦不久必敗,或兒孫不肖與刑剋。按言語反覆,其人奸貪妄舉,險詐心毒,不可交遊同事也。
心地公平ならざるの人は、兒孫順利に長成する難し。説話反復常なきの人は、須く詭詐立刻に即ち跟いて來るを知るべし。作者の解説:人の社會上に往來するは、公平交易を以て正當と為し、こも能く信用を昭示して長久せんを要す。倘若欺詐の事を行わば、縱い一時の利を得とも、久しからずして亦た必定失敗し、あるいは兒孫成材せず・親子刑剋の上頭に応ず。説話反復の人に至っては、人と為りて奸貪にして擧動妄為し、陰険狡詐にして心地狠毒、彼と交往して事を共にする可からず。
垂首低言,必是奸貪之輩;披肝露膽,決為英傑之人;心和氣平,可上孫榮子貴;才偏性傲,定招大禍奇窮。垂首者,沉思用心之態;低言者,邪淫不正之例。披肝言其正直,露膽言其耿介;心和言其量宏,氣平言其厚重。才偏者,私心自用;性傲者,暴戾凌人,故有取怨結仇之大禍潛伏也。
頭を低くし・嗓子を壓し低めて説話のは、必是れ奸貪の輩。能く肝膽を剖き開きて人と相見るは、一定是れ英傑の士。心地平和・氣度安詳のは、子孫皆能く榮顯せん。才具偏枯にして性情傲慢のは、必定大禍奇窮を招来せん。作者の解説:頭を低くは是れ深思盤算の様子、声を低くは是れ邪僻不正の表現。「肝を披く」は彼の正直を形容し、「膽を露す」は彼の耿介を形容す。「心和」は彼の器量宏大を形容し、「氣平」は彼の人と為りて厚重を形容す。才偏の人は私心自用し、性傲の人は暴戻にして人を凌ぐ、ゆえに怨を結び仇を招くの大禍は即ちその裏頭に潜伏す。
轉眼無情,兒孫累重;談時念舊,富貴期頤;仗富欺貧,焉可托妻寄子;敬老憐幼,必能裕後光前。無情之人,六親斷絕,朋友交惡,故累及子孫;念舊之人,多結深厚善緣,故能享大福。仗富欺貧,其人無公理,故招官訟而敗家;敬老憐幼,其人多慈良,故種福田而發達。
臉を轉じれば即ち臉を翻して情なきは、兒孫彼の重累と成る。談話に及んでなお舊情を念うは、既に富貴にしてまた長寿。錢あるを仗りて窮人を欺壓のは、どうして妻兒を彼に托付する能わんや。老人を敬重し・幼小を愛惜のは、必定能く祖先を光耀し・後人を福蔭せん。作者の解説:情なきの人は六親斷絶・朋友怨を結ぶ、ゆえに子孫に連累及ぶ。舊を念うの人は多く深厚の善縁を結び下す、ゆえに能く大福を享く。富を仗りて貧を欺くの人は心裏に公理なし、因りて官司を招來して家を敗る。老を敬い幼を憐むの人は多半慈善良厚、因りて福田を種えて發達す。
輕口出違言,壽元短折;忘恩思小怨,科第難成;小富小貴易盈,前程有限;大富大貴不動,獲福無程。日德關係頗大,妄語可傷人命,破人產,故有禍從口出之說。忘恩者,不可問前程也。小富貴易盈,當然不是大器;大富貴不動,當然是厚福。
口に隨いて情理に背くの話を説き出すは、寿命短促なり。別人の恩惠を忘れて卻って小小の怨隙を記うは、功名成り難し。小富小貴にして即ち自滿のは、前程限りあり。大富大貴にして心動摇せざるは、福を得るに止境なし。作者の解説:口徳の關係は甚だ大なり、一句の妄語にて以て人の性命を傷つけ・人の家産を敗る能う、ゆえに「禍は口より出づ」の説法あり。恩を忘れ義に負くの人は、彼の前程を問うに及ばず。小小の富貴にして即ち自滿するは、当然大器にあらず。大富大貴にして心為す所に動かざるは、当然是れ福澤深厚なり。
欺蔽陰私,縱有榮華享不久;公平正直,雖無子息死為神。開口說輕生,臨大節決然規避;逢人稱知己,即深交究竟平常。上二句是言公理,下二句是言性情。余每見能言者,於事實均相反,故常說輕生,而不能循正義;素稱知己,心有別圖。凡流露於表面者,皆非事實;或言過其實者,皆不能履行。此希夷深於社會學,始有如此精義也。
暗中欺瞞し・陰私の事を行うの人は、縱い榮華あるとも享くること長久ならず。人と為りて公平正直のは、縱令子嗣なきとも、死後能く人に神のごとく奉祀せられん。動もすれば口を開きて即ち性命を惜しまずと説くは、真に大節前に當れば必定躲れ開けん。誰を見ても皆知己と稱作のは、就中深く交わり下るとも不過平常なり。作者の解説:上の両句の講ずるは公理、下の両句の講ずるは性情。我常に能く説き能く道うの人を見るに、做し出すの事は全て説く所と相反す:口々声声一死を惜しまずと言うも、卻って正義を守り得住する能わず。一向自ら知己と稱すも、心裏別に打算あり。凡そ表面に浮かぶは皆是れ實情にあらず、説き過頭するは皆做り到る能わず。陳希夷は世情人事に深く通じて、こそここのようの精辟の話を説き出せし。
處事不辭勞怨,堪為棟樑之材;遇故輒避嫌疑,豈是心腹之寄。乖戾難堪,因訟喪身又害子;待人厚,無端福祿更延年。迷花戀酒,閨中妻妾參商;利己損人,膝下兒孫忤逆;賤買田莊,決生敗子;尊崇師道,必產賢郎。凡社會情形,任勞者有成,避嫌者多阻,乖戾者多官非,厚者多閒福。花酒損身惡疾,不止口舌;損人欺人,皆種惡因於子孫,亦常情也。
事を辦するに辛労を怕れず・怨を招くを怕れざるは、棟梁の材と稱するに配す。一たび舊交に遇えば即ち急ぎて嫌を避くるは、どうして以て心腹の托付と作す能わんや。性情乖戻にして相處し難きは、官司を打ちて命を喪いに因り、なお兒子を連累せん。人を待して厚道のは、無端にして即ち福禄あり、なお能く年を延ばさん。花酒に沉迷のは、家裏の妻妾は參星と商星との一樣に相和睦せず。ただ自己を利して別人を損ずるは、膝下の兒孫忤逆不孝なり。低價を用いて人の田莊を強買のは、一定敗家子を生出せん。師道を尊崇のは、必定賢能の兒子を生出せん。作者の解説:世上の情形は即ちこもなり、肯んじて労を任ずるは成就あり、一味嫌を避くるは處處阻を受け、性情乖戻のは官司多く、人を待して厚道のは清閑の福多し。花酒は不但口舌を招く、なお身體を傷つけ惡疾を生ず。人を損い人を欺くは、皆是れ子孫に替りて惡因を種え下す——これらも亦た是れ人情常理なり。
愚魯又尖酸,刻薄貧窮兼損壽;聰明反厚,優容福祿及誥封。患難能守,若讀書必為柱石之臣;安樂若忘,縱低才亦是青雲之客。鄙吝勤勞,亦有大富小康之別,宜觀其量;奢侈靡麗,豈無奇人浪子之分,必視其才。尖酸刻薄,多刑人丁而貧苦;聰明厚,皆平安多福。守道安貧,皆非尋常之人。凡人以器量為認人之標準,才智為別人之關鍵,而鑑定其大富小康、奇人浪子,皆在合宜與否耳。
既に愚鈍にしてまた尖刻の人は、刻薄の外になお貧窮して寿を折らん。聡明にしてまたかえって敦厚の人は、氣度寬容し、福禄を享きて以て朝廷の誥封を受くるに至らん。患難の中に於てなお守り得住のは、若し肯んじて書を讀めば必ず國家の柱石の臣と成らん。身安樂に處して安樂を忘れたるがごときは、縱令才具平平なるも亦た青雲の客なり。同じく鄙吝にして勤労なるは、その中に大富と小康との別あり、彼の器量を看るを要す。同じく奢侈華靡なるは、その中に豈奇人と浪子との分なからんや、必ず彼の才具を看るを要す。作者の解説:尖酸刻薄の人は多く家中人丁を刑剋して而且貧苦す。聡明にして厚道の人は皆平安して福多し。能く道を守り貧に安んずるは、皆是れ尋常の人物にあらず。人を看るは總て器量を以て標準と為し、才智を以て分別の關鍵と為す。彼を断じて大富なるか小康なるか・奇人なるか浪子なるかに至っては、全て宜に合するや否やに在り。
弗以見小為守成,惹禍破家難免;莫認惜福為悋慳,輕財仗義盡多。處大事不燥急,偉器晚成;能見機而擴充,高才早發。多才吝教,已無成人亦無成;見過隱規,身可托家亦可托。知足與自滿不同,一則矜而受災,一則謙而受益;大才與庸流各異,一則誕而多敗,一則實而有成。凡事悋慳為見小,當用合度為惜福,持重不燥為大器,逢時見機為多才。一技之長而吝教,終為消滅;規過遷善為君子。驕智有別,才庸各異,故各之事實與利害不同也。
眼光短浅を以て守成と作る勿れ、さもあれば禍を惹き家を破るは免れがたし。亦た惜福を誤りて慳吝と認作る勿れ、惜福の人は往々財を輕んじ義に仗る。大事に遇えば急躁せざるは、是れ晚成の大器。能く時機を看準して事業を擴充のは、是れ早發の高才。多種の才能ありて人に教うるに吝なるは、自己成らず、別人も亦た成らず。人に過あるを見て暗中に規勸のは、身家性命皆彼に托付する能う。知足と自滿とは併せて相同ぜず:自滿は是れ驕矜にして災を招く。知足は是れ謙遜にして益を受く。大才と庸人とも亦た大いに一樣ならず:庸人は虚誕にして敗多し。大才は朴實にして成あり。作者の解説:凡事一味慳吝なれば即ち是れ眼光小、用いて分寸に合してこそ惜福と叫ぶ。沈着にして躁急せざるは是れ大器、時機に逢いて能く看出するは是れ多才。一技の長ありて人に教うるに舍て得ざるは、この門の技藝は終に失傳に帰せん。規勸して人をして過を改め善に向かわしむるはこそ君子。驕と智と分別あり、才と庸と各々同じからず、ゆえに各人の境遇と利害とも亦た両樣なり。
忮求勝會,圖名利到底遜人;惻隱心多,遇艱難中途獲救。不分德怨,料難至乎遐年;較量錙銖,豈足期乎大受。剛者圖易就,災傷豈保全無;柔者作事難成,平福亦能安受。樂處生愁,一生辛苦;怒時反笑,至老奸貪。不分德怨,昧卻天良故夭壽;較量錙銖是小品。剛者勇於進取,然有傾覆之失敗;柔者作事猶豫,然有中止之障礙。樂時愁者勞碌,怒時笑者陰毒。
一味嫉忌して勝を爭うの人は、名利を圖謀するも頭到りてなお人に如かず。惻隱の心多きの人は、艱難に遇上すれば半途に於てもまた來りて救うの人あらん。恩徳と怨仇と分かち清めざるは、料想高寿に活くる難し。錙銖の小利を斤斤に計較のは、どうして彼の大任を承當せんを指望せんや。剛強の人は事易く成ると雖も、しかるに災傷未だ必ずしも全く免かれず。柔弱の人は事を辦して成り難しと雖も、しかるに平常の福分は卻って安享し得住す。快活の時かえって愁を生ずるは、一生辛苦す。怒を發するの時かえって笑うは、老に到るも皆奸貪なり。作者の解説:恩怨を分かち清めざるの人は天良を昧したり、ゆえに短寿す。錙銖を計較の人は是れ小器の品。剛強の人は進取に勇なれど、卻って傾覆失敗あるを免れ難し。柔弱の人は事を辦して猶豫するも、亦た半途にして廃するの障碍に遇わん。樂の時かえって愁うの人は一生労碌し、怒の時かえって笑うの人は心地陰毒なり。
好矜己善初弗再望乎功名,樂談人非最足傷乎性命。責人重而責己輕,弗與同共事;功歸人而過歸己,盡堪救患扶災。矜己善主招嫉,談人非主結仇,二者有反動之害也。責人恕己,即不公平之謂;功人過己,即大器量之別,二者為君子小人之界限也。
自己の好き處を誇耀するを愛するの人は、再び功名を指望するに及ばず。別人の是非を議論するを喜ぶの人は、最も性命を折損し易し。別人を責むること重くして自己を責むること軽きは、彼と事を共にする勿れ。功労を別人に帰し・過錯を自己に帰するは、完全に彼を托して患を救い危を扶くる能う。作者の解説:自ら己の善を誇るは人の嫉恨を招き、人の非を説くを好むは人と仇を結ぶ、両様皆反彈の害を招來せん。人を責めて己を恕るは、即ち是れ不公平。功は人に帰し・過は己に帰するは、即ち是れ大器量の分別——ここの両条は正に君子と小人との界限なり。
處家孝弟無虧,管櫻奕世;與世吉凶同受,血食千年。任意周全,其德必厚;任情激搏,其心必毒。另變臉薄福之人,能耐久宏量之士。孝弟二字,為品行常度,聖賢初基。與世存亡,為劫在當時,名垂後世。德厚之人天性善,當然耐久;心毒之人天性惡,容易變臉。
家に在りて父母を孝順し・兄弟を友愛して毫も虧欠なきは、冠冕纓綬世代相傳す。天下の人と吉凶禍福を同じく當るは、千年の後になお人の祭祀を受けん。事事肯んじて人に替りて周全のは、徳必定厚し。一味性情を逞しゅうして激搏衝撞に往くは、心必定毒し。動もすれば臉を翻すは、是れ福薄の人。能く持久して改めざるは、是れ器量宏大の士。作者の解説:孝悌の両個字は是れ品行の常軌、亦た是れ聖を成し賢を成すの起步。天下と存亡を共にするの人は、雖當時に劫に遭うも、名声は卻って後世に傳わる。徳厚の人は天性善良、自然長久に經得起。心毒の人は天性凶惡、ゆえに臉を翻せば即ち臉を翻すと説く。
愛與人爭,滋培而前程有限;事求自反,蓄積厚而屈事能伸。少年飛揚浮動,顏子之限難逃;狀年冒昧昏迷,不惑之期難過。喜怒不擇輕重,一事無成;笑罵不查是非,知交斷絕。愛爭為盛世之戒,亂世之趨,故科學為競爭時代,主負氣不壽。自反為容量有智。飛揚者三十二歲止,迷昧者四十歲止,有悞於邪行故也。喜笑怒罵皆不查,其人驕妄,六親失睦,知交斷絕矣。
人と爭うを愛するは、縱い培植いよいよ多くとも、前程も亦た限りあり。凡事肯んじて躬を反えて自ら問うは、積蓄深厚し、眼下屈を受くるも將來能く伸べん。少年の時輕浮張揚のは、顔回の三十二歳のあの道の關を逃れ得ず。壮年の時魯莽昏昧のは、四十不惑のあの道の坎を過ぐる能わず。喜怒輕重を分かたざるは、一事成らず。笑罵是非を問わざるは、朋友斷絶す。作者の解説:爭うを好むは、太平世の裏に於ては応に戒むべきなり、乱世の裏に於ては卻って風氣と成れり、如今科學を講ずるは正に競爭の時代、ここの種の人は氣を負いで長寿ならず。肯んじて自我反省するは、是れ器量ありてまた智慧あるなり。張揚浮動のは三十二歳に止まり、昏昧糊塗のは四十歳に止まる、皆邪路に耽誤せられたるに因る。喜笑怒罵一概分辨を加えざるの人は、人と為りて驕横妄為し、六親和睦せず、知交も亦た斷絶せり。
濟人之急,亦有時乎貧乏,天將福矣;排人之難,亦有涉乎囹圄,神必佑之。凍餓休怨根基,造惡所致;瘟亡不由數,獲罪於天。甘受人欺,有子必然大發;常思退步,一生終得安閒。得失不驚其神,非富即貴而且壽;喜怒不形於色,成功立名亦有奸。無事失措倉皇,躬卑狹隘;有難欣然安穩,膽識寬宏。濟急排難,種善因也;造惡結凍餓之果,戕為瘟疫之源。能讓者有厚福,思退者得安全。得失不亂常度,主貴壽;怒喜不現形色,主權奸。
人の急難を救うは、自己時にまた貧乏あるも、それは是れ上天將に福を彼に賜わんとす。人に替りて危難を排解のは、自己時にまた牢獄に牽進するも、それは是れ神明必定彼を保佑せん。凍え餓うるに根基好からざるを怨む勿れ、それは是れ自己惡を造りて招來せるなり。瘟疫に死するも亦た全是れ命数にあらず、それは是れ上天を得罪せるなり。甘心して人の欺負を受くるは、兒子必定大發せん。常に退步を留下せんと想うは、一生終に安閑に帰せん。得と失と皆彼の神を驚動する能わざるは、富に非ざれば即ち貴、而且長寿なり。喜と怒と皆臉上に顕さざるは、雖能く功を成し名を立つるも、その中に亦有奸雄あり。事なきの時就ち慌張失措のは、是れ身分卑下・器量狹隘なり。難あるの時かえって從容安穩のは、是れ膽識寬宏なり。作者の解説:急を救い難を排すは是れ善因を種え下す。惡を造りて凍え餓うるの果を結ぶは、他人を戕害するは則ち瘟疫の源頭。肯んじて人に讓るは厚福あり、肯んじて退讓するは平安を得。得失常度を乱さざるは貴を主りて而且寿なり。喜怒色に形らざるは、則ち権臣あるいは奸雄を主る。
處事存心,終身介吉;果仁積德,五世其昌。人事可憑,天道不爽。如何餐刀飲劍?君子剛復自用,小人行險僥倖。如何投河自隘?男子才短蹈危,女子氣盛見逼。人乃於機,天巧於報施。故君子剛復自用,遇反動力大則危;小人行險僥倖,遇時機不合則凶。男子才短蹈危,當然有傾覆之故;女子氣盛見逼,當然有輕生之舉。
事を辦するの時心の裏に善念を存するは、終身皆吉利の中に在り。果決して仁を行い・陰徳を積累するは、五代皆能く昌盛せん。人事は靠り住む能う、天道も亦た從來差錯せず。何のため刀劍の下に死するの人あるや。君子剛愎自用し・小人険を行いて僥幸すに因る。何のため河に投じて自盡するの人あるや。男子は才具足らざるに険境を蹈み・女子は氣性太だ盛んにして人に相逼迫せらるるに因る。作者の解説:人は機巧の上に心を用い、天は報應の上になおさら巧なり。ゆえに君子剛愎自用すれば、一旦反彈の力量大に過ぐるに碰上れば即ち危険なり。小人険を行いて僥幸すれば、一旦時機合せざるに碰上れば即ち凶なり。男子は才短くして険を蹈む、自然傾覆の縁故あり。女子は氣盛んにして逼せられ、自然軽生の擧動あらん。
如何短折己身?出薄言,做薄事,存薄心,處處皆薄。如何凶災惡死?有陰行,多陰私,藏陰毒,種種皆陰。薄言喪口德而招非,薄事昧天良而結怨,薄心設機阱而害人,故夭壽。陰行含邪淫,陰私悖倫理,陰毒造危機,故罹尚。皆從邪妄發生,當然無好結果也。
何のため自己短命なるや。説くは刻薄の話、做すは刻薄の事、存するは刻薄の心、處處皆刻薄なるに因る。何のため凶災に遭い惡死するや。陰損の行徑あり・陰私の勾當多く・陰毒の心腸を蔵し、様様皆陰なるに因る。作者の解説:刻薄の話は口徳を喪い是非を招き、刻薄の事は天良を昧し怨仇を結び、刻薄の心は陷阱を設下して人を害す、ゆえに短寿す。陰損の行徑の裏は邪淫を含着し、陰私の勾當は倫常に悖逆し、陰毒の心腸は危機を製造す、ゆえに殃に遭う。これらは皆邪僻妄為より生出し、自然好き結果なし。
如何暴病而殘?縱慾奢情。如何毒瘡而危?肥甘膩凝。如何老後無嗣?性情孤僻。如何盛年喪子?心地欺瞞。縱慾自戕,故損其壽;肥膩爽口,故災其身。老後無子,一為孤僻之妄貪,一為悋財之邪行;盛年喪子,亦為悋慳欺心,不積德也。
何のため忽然急病を得て殘疾を落下するや。情を縱り欲を放ち・色欲に奢なるに因る。何のため毒瘡を生じて性命危に垂れるや。肥甘厚味喫し過多にして油腻凝滞するに因る。何のため老來後嗣なきや。性情孤僻なるに因る。何のため壮年子を喪うや。心地欺瞞なるに因る。作者の解説:欲を縱るは是れ自戕、ゆえに寿数を折損す。肥膩は雖口に爽なれど、卻って身體に災を招く。老來子なきは、一種は孤僻の中に妄貪を帯び、一種は財を吝むの外になお邪行あり。壮年子を喪うは、亦た慳吝欺心・徳を積むを肯んぜざるに因る。
如何多遭火盜?刻薄為懷。如何時犯官符?強梁作膽。如何端揆首輔?常懷濟物之心。如何拜相封侯?獨挾蓋世之氣。刻薄者,有天災以報之,火盜乃輕重也;強梁者有橫禍,故以官符累之。濟物利人,氣挾蓋世,皆大貴之格也。
何のため屢々火災盗劫に遭うや。心の裏に刻薄を存するに因る。何のため常に官非を犯すや。蠻横を憑りて膽量と做すに因る。何のため宰輔重臣を做る能うや。心の裏に常に世を濟い物を利するの念頭を存するに因る。何のため相を拜し侯を封ぜらるる能うや。獨り蓋世の氣概を懐抱するに因る。作者の解説:刻薄の人は、上天災禍を用いて以て彼に報應す、火災と盗劫とは不過軽重の別。蠻横の人は本より横禍あり、ゆえに官司を用いて以て彼を拖累す。能く物を濟い人を利し・氣當世を蓋うに至っては、皆是れ大貴の格局なり。
何知金馬玉堂?動容清麗。何知建節擁牙?氣慨凌霄。何知丞薄下吏?量平膽薄。何知明經教授?老近行尸。何知苗而不秀?非惟愚蠢更荒唐。何知秀而不實?蓋謂自賢兼短行。量平而不剛決,膽薄而不勇進,故僅常貴而止。凡以教授職終者,老近行尸頗驗。愚蠢荒唐,乃偏好而惑邪;自賢每行,乃中止而驕傲。此皆希夷之精深處也。
どうして一個人の能く金馬門に入り・玉堂に登りて位清要に居るを知るや。彼の擧止清雅秀麗を看よ。どうして彼の能く節を持し旗を掌りて・外に於て兵を統するを知るや。彼の氣概高く雲霄を凌ぐを看よ。どうして彼のただ縣丞主簿の一類の小吏を做るのみなるを知るや。彼の器量平平・膽識単薄を看よ。どうして彼のただ經學を以て一個の教授を做るのみなるを知るや。彼の老來神氣行尸に近きを看よ。どうして彼の是れ《論語》の説く所の「苗にして秀でず」なるを知るや。それは不但愚蠢のみ、なおさら行事荒唐を兼ねる。どうして彼の是れ「秀でて實ならず」なるを知るや。それは是れ自ら以て賢能と為して徳行虧あるなり。作者の解説:器量平常なれば便ち剛斷する能わず、膽識単薄なれば便ち勇進する能わず、ゆえに至多尋常の官貴に做るに至るを止む。凡そ教職を以て終身するの人は、老來形容枯槁して行尸のごとし、ここの一条は相當應験す。愚蠢荒唐は、是れ偏執して好む所を受けて邪説の迷惑を受くるなり。自ら以て賢と為すは、是れ半途にして廃し加うるに驕傲するなり。これらは皆陳希夷の精深人に過ぐるの地方なり。
若論婦人,先須靜默;從來淑女,不貴才能。貌有威嚴,當膺一品之封;時少修飾,能掌萬金之重。女格古法以靜默為主,坤道宜柔之意,女子無才便是德。今世反此,但取美麗,不問淫蕩;但取才智,不問剛亂。希夷之法,不為用也。
女子の相を論ずるは、先ず彼女の安靜寡言なるや否やを看るを要す。古より以來の淑女は、併せて才能を以て長を見ず。容貌威厳を帯ぶは、応に一品の封誥を受くべし。平時甚だ粧飾少なきは、能く萬金の家業を執掌せん。作者の解説:女子を相するの古法は靜黙を以て主と為し、坤道柔に宜しきの意思を取る、いわゆる「女子才なければ即ち是れ徳」。今天の風氣は正相反す:ただ美麗を取りて、淫蕩なるや否やを問わず。ただ才智を取りて、剛強紛乱なるや否やを問わず。陳希夷のここの一套の法度は、今天に於て已に適用せず。
多言好勝,縱然有嗣必傷身;孝弟慈良,不特助夫而旺子。貧苦中毫無怨言,兩國褒封;富貴時常惜衣糧,滿堂榮慶。好勝之人,量狹心窄,負氣而病,何能旺子;孝慈之人,器大量寬,當然助夫與家,強身旺子。貧苦不怨,富貴不驕,皆婦德而賢,近世尚浮華,否則土俗矣。
話多くして勝を好むの女子は、縱い子嗣あるとも必定身を傷つけん。孝順慈良の女子は、不但能く丈夫を助け、なお能く子息を旺えん。貧苦の中毫も怨言なきは、能く両國の褒封を得ん。富貴の時なお衣食を愛惜のは、一門榮慶堂に満たん。作者の解説:勝を好むの人は器量狹窄・心地促狹、動もすれば氣を負いで病と成り、どうして子を旺にする能わんや。孝順慈良の人は器量宏大、自然能く丈夫を幇け・家業を興し、自身強健にして子息興旺す。貧苦して怨を生ぜず・富貴して驕矜せざるは、皆是れ賢徳の婦人の様子。ただ近世浮華を崇尚し、ここの一路に合せざるは、かえって人に土氣俗氣と看作せらるるなり。
