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太白入中外官占第三十六

唐 · 李淳风 · 第13巻 / 26

作盤ガイド: 暦注(黄暦), 万年暦

金入五車,留不去,秦國金玉貴。一曰:兵大起。一曰:萬人已上入國,以宿占其國。金乘守天庫,中國兵所向,無不勝。有自來王,將其人民中國,國有大喜。金守南河,天下難起,道塞。金犯五諸侯,與兵者亡國。金犯南河戒,邊兵,臣有謀,若兵起,夷狄君憂,若毀亡。

金星が「五車」星官に進入して留駐して去らざるは、秦地に金玉の騰貴を主る。一説は兵戈の大いに起る。一説は万人以上の軍隊の国境に進入するあり・五車の臨む所の宿次に依ってどの国に応ずるかを推占し得べし。金星が凌圧して「天庫」星を停守するは、中原の軍隊の所向無敵を主る。此の象はもまた外邦の王が自動して来帰し・その部衆を率いて中原に帰附し・国家に大喜慶あるを主る。金星が「南河」を停守するは、天下に禍難の興起・道路の阻塞を主る。金星が「五諸侯」星を侵犯するは、兵事に参与する諸侯の亡国を主る。金星が「南河戒」を侵犯するは、辺境に兵あり・臣下に陰謀ありを主る。もし兵を興せば、則ち夷狄の君に憂あり・甚だしきは覆滅せん。

金犯軒轅御女,天子僕死。金入軒轅中,犯乘守之,有逆賊,若大災。犯軒轅大星,女主憂。金出東井,犯必有白龍出左右。金入少微,君當求賢佐,則失威奪勢。太白犯少微,名士有憂,王者任用小人,忠臣被害者死。

金星が「軒轅」星官の中の「御女」星を侵犯するは、天子の近侍・僕従の死亡を主る。金星が軒轅の中に進入し、また侵犯・凌圧・停守してその星に及ぶは、叛逆の賊あり・あるいは大災あるを主る。軒轅の大星(すなわち女主の星)を侵犯するは、皇后・太后の一類の女主に憂あるを主る。金星が東井を出でて侵犯する所有るは、必ず白龍の一類の異象が左右に出現せん。金星が「少微」星に進入するは、君王が正に賢能を訪求して輔佐せんとするに当たり、然らざれば将に威権を失い・人に勢を奪われんとするを主る。太白が少微を侵犯するは、名望ある士人に憂あり・君王が小人を任用し・忠臣が陥害に遭いて死するを主る。

金犯太微,立受事期,命奪號滅衛為期。金犯左右執法,執法者誅,若有罪。金以庚子順入太微天庭中,天子所使也;不以庚子日,非天子之使。金當太微門,為受制,左執法為受事,右執法當為受事,守太微門三日已下,為受制,三日已上,為亂、為賊、為飢。金入太微宮,抵黃帝座,有兵在中,五星觸坐,君賊死。

金星が「太微垣」を侵犯するは、立刻に命を受けて事に任ずるの応期あり・封号を褫奪し・護衛を誅滅するをもって応験の時と為すを主る。金星が太微垣の「左執法」「右執法」の二星を侵犯するは、刑法を執掌する官員の誅せらるる・あるいは身に罪譴を獲るを主る。金星が庚子の日に順行して太微天庭の中に進入するは、是れ天子の命を奉じて出行する使者の象。庚子の日に非ざれば、則ち天子の使者に非ず。金星が正に太微垣の宮門に当たるは、制命を承受する象。左執法に在るは命を受けて事に任ずるを為し、右執法に在るもまた当に命を受けて事に任ずべし。太微門を停守して三日以内なるは、制命を承受するを為す。三日以上なれば、則ち変乱を主り・寇賊を主り・飢荒を主る。金星が太微宮に進入し、直ちに「黄帝座」に抵るは、宮禁の中に兵あるを主る。およそ五星が帝座に触犯するは、君王が賊人に殺害せらるるを主る。

辰星占第三十七

辰星,一名安調,二名細極,三名熊星,四名鉤星,五名司農,六名兔星。北方水德,玄武之精,葉光紀之使也,其性智,其事聽,其時冬,其日壬癸,其辰亥子,其帝顓頊,其神玄冥,其蟲甲,其音羽,其數六,其味鹹,其卦坎,為月,為刑獄、險阻,故辰星主刑獄。所在之宿,欲其小而明則吉,而刑息獄靜,百姓安。若大而光明,則刑亂獄興,人民險害,有阻守之象。辰星所在,其國有權智,用兵為主。

辰星(水星)に別に六箇の名号あり。一は「安調」と名づけ、二は「細極」と名づけ、三は「熊星」と名づけ、四は「鈎星」と名づけ、五は「司農」と名づけ、六は「兔星」と名づく。それは北方水徳に属し、玄武の精・北方黒帝「葉光紀」の使者なり。五常に於いては「智」、五事に於いては「聴」、四時に於いては冬、天干に於いては壬癸、地支に於いては亥子、その帝は顓頊、その神は玄冥、その虫は甲介の類、その音は羽、その数は六、その味は鹹、その卦は坎。三光に於いては月に比し、人事に於いては則ち刑獄・険阻と為り、ゆえに辰星は刑罰・獄訟を主管す。辰星の臨む所の宿次は、星体が小にして明浄なるをもって吉と為し、刑罰の止息・獄訟の清静・百姓の安寧を主る。もし星体が大にして光芒が熾盛なれば、則ち刑政が紊乱し・獄訟が繁興し・人民が険を遭い害を受け・阻塞・固守の象あり。辰星の臨む所の分野は、その国に多く権謀・智計あり・兵を用うるを能事と為す。

人君當以冬時,修辰星之政,恤孤獨,察阿黨,謹蓋藏,修積聚,培城郭,戒門閭,慎管龠,固封疆,備邊境,防要害,慎關梁,不為淫佚,命將帥講武,射御角力,節事省己,則辰星順度。人君若淫佚非道,縱恣外戚,不禁近習,不恆獄刑,起眾發徵,開洩藏氣,則辰星失行,伏見不常,伏見而有芒角矣,則民疾疫隨之,以喪亡,國不昌。

君主は応に冬季に辰星と相応する政令を修挙すべし。孤児・独老を撫恤し・党を結び私を営むを査察し・収蔵・儲備を謹慎し・倉廩の積聚を修治し・城郭を加固し・里門を戒備し・鎖鑰を慎守し・封疆を鞏固にし・辺境を防备し・要害を扼守し・関卡・橋梁を謹守し・淫楽を放縦せず・将帥に命じて武事を講習し・射御・角力を比試せしめ・政務を節制し・自身を反省すれば、このようになれば辰星は就ち度に循って行く。君主がもし荒淫・無道にして、外戚を放縦し・親近・侍幸を約束せず・刑獄の軽重が反覆して常なく・師を興し衆を動かし・徭役を征発し、冬季に本当に閉蔵すべき地気を泄漏せば、辰星は就會常軌を失い・あるいは伏しあるいは見ゆるに定準なく、一旦身を現わしてまた芒角を帯ば、百姓の疫病がこれに随いて至り、以て死亡が相続き・国家は昌盛する能わざらん。

人君以冬時行春令,則歲星之氣干之,辰星色青,君憂刑獄動,生死不當,地凍不密,氣洩,人流亡。來春蝗蟲為災,水泉竭,民多疥癘胎夭,多痼疾,斷官凶;以為冬行夏令,則熒惑之氣干之,辰星色赤而小昧,刑禍並起,兵旱,國多暴風,冬不雪不寒,氣霧冥昧,雷發聲矣;以冬行秋令,則太白之氣干之,辰星色白,則威刑並作,獄訟軍旅,同時而興,霜雪不時小兵起地,侵四鄙八堡矣。

君主が冬季に春に属する政令を推行すれば、木徳の歳星の気が就来て干犯し、辰星は青色を呈し・君王に憂あり・刑獄が興動し・処死と赦生とが皆その当を得ず・土地の封凍が密ならず・地気が外泄し・人民が流亡するを主る。来年の春に蝗虫が災を成し・泉水が枯竭し・百姓に多く疥癣・癘疫を生じ・胎児が夭折し・痼疾が身に纏い・獄を断ずる官に凶あらん。もし冬季に夏に属する政令を推行すれば、火徳の熒惑の気が就来て干犯し、辰星は色赤くして細小・昏暗に、刑罰と禍乱とが并び起り・兵災・旱災が同じく至り・国中に多く暴風・冬天が雪を降らずも寒冷せず・霧気が昏冥し・冬雷が声を発するを主る。もし冬季に秋に属する政令を推行すれば、金徳の太白の気が就来て干犯し、辰星は白色を呈し・威刑が并作し・獄訟と軍旅とが同時に興起し・霜雪が時令に按らずして降り・小股の兵禍が境内に起り・四方の辺鄙と各処の堡寨とを侵擾するを主る。

令逆時,則辰星不軌,錯逆動行,降之以刑誅,大臣刑戮作矣。命得時,則獲詔矣。自辰星降之以治矣,民靜而國安,軍威而邊固,無危難,人君聽察是非,智慮聽審,刑戮當其儀,允則辰星明光,小國順道降治矣。若君聽讒言,任佞,刑戮無辜,獄訟停滯,其儀不當,則辰星垂芒,氣暈不明,天降刑戮,人亂矣,國者不昌。

政令が時序に違逆すれば、辰星は就ち常軌に循わず・錯乱・逆行し、上天が刑誅をもって罰を降し・大臣が刑戮の禍を遭受す。政令が時序に合すれば、就ち能く上天の嘉命を獲得せん。此の後辰星は便ち治平の象を降下す——百姓が安静にして国家が安定し・軍威が振揚して辺防が穩固に・危難なからん。君主が是非を明察し・思慮が周詳・聴断が審慎に・刑戮が法度に合し・公允・得當なれば、辰星は就ち光明・清亮にして、小国すらも正道に順服してその治理を受けん。もし君主が讒言を聴信し・奸佞を任用し・罪なき人を刑戮し・獄訟が積圧して決せず・案を断ずるに法度に合せざれば、辰星は就ち芒角を垂下し・気暈が昏暗にして明らかならず・上天が刑戮の罰を降下し・人事が紛乱し・国家は昌盛する能わざらん。

若用兵,辰星出東方,色白即勝,外邦敗;出西方色赤,西方勝,中國敗,無兵。辰星色黃,有福。辰星有角,小戰。辰星色黑三芒,有罷兵,天下無兵。辰星太白出西方,水居金星前滅,日在西北,陰邦有兵,謀以戰,主人勝;在西南,陽有兵,謀在外戰,客勝。辰星與太白在西南,南方事;在西北,北方事;正在酉,陰國事;正在卯,陽國事。辰星與宿星合,為亡地。五星與辰星合,為將死;水土合,為覆軍,軍合斗,為戰無兵,內亂。

もし兵を用うるの際に逢えば。辰星が東方に出でて色白なれば、本方が取勝し・外邦が敗る。西方に出でて色赤なれば、西方が取勝し・中原が敗れ、あるいは竟に兵事なからん。辰星が色黄なれば、福慶あるを主る。辰星が芒角を生出するは、小規模の戦闘あるを主る。辰星が色黒にして三道の芒を帯ば、兵を罷むを主り・天下に戦事なし。辰星と太白とが同じく西方に出で、水星が金星の前に隱没し、日が西北の方位に在れば、陰方の国に兵あり・開戦を謀劃すれば、則ち守方(主人)が取勝す。日が西南の方位に在れば、陽方に兵あり・境外に交戦せんを謀れば、則ち来攻の一方(客)が取勝す。辰星と太白とが同じく西南に在るは、南方の事に応ず。同じく西北に在るは、北方の事に応ず。正に酉位に当たるは、陰方の国に応ず。正に卯位に当たるは、陽方の国に応ず。辰星と列宿の星とが相合するは、土地の喪失を主る。五星と辰星とが相合するは、将帥の死亡を主る。水星と土星とが相合するは、軍隊の覆没を主る。両軍が相合して交闘すれば、則ち交戦する虽も大兵禍なく、却って内乱あらん。

水出東方,大而白,天下有兵、有水。水金俱出東方,皆赤而角,中邦敗,負海國勝。水入月中,人主敗戰、亡地。金水旗出,破軍殺將,客勝。視旗所指,以命破軍,水環繞太白,若與鬥戰,客勝,主人吏死。水遇金間可成劍,小戰客勝。太白去三尺,軍急約戰。水色黑三芒,天子有兵,一時再見,則有軍在外有罷。水在金北出,利主人;出金南,利客。

水星が東方に出でて形体が大・色白なるは、天下に兵事あり・また水災あるを主る。水星と金星とが一同に東方に出で、皆赤色を呈して芒角を生ずるは、中原の邦が戦敗し・瀕海の国が取勝するを主る。水星が月の中に進入して月に掩わるるは、君主が戦敗し・土地を喪失するを主る。金・水の二星の旁辺に旗状の気が生出するは、軍隊の潰敗・将領の殺され・来攻の一方が取勝するを主る。旗気の指す方向を察看すれば、則ちどの一方の軍隊の潰敗するかを断定し得べし。水星が太白を環繞して行き、もし太白と相闘せば、客方が取勝し・守方の将吏が死亡するを主る。水星と金星とが相遇し、その間の光気が剣形を結成し得べく、小戦ありて客方が取勝するを主る。太白が水星に距ること三尺なるは、軍情の緊急・双方が期を約して交戦するを主る。水星が色黒にして三芒を帯ば、天子に兵事あるを主る。もし同一の時段の内に両度出現せば、則ち軍隊が外に在り・将に兵を罷めんとするを主る。水星が金星の北に出現するは、守方に利あり。金星の南に出現するは、客方に利あり。

辰星水性,平而且智,故主刑獄焉。辰星伏而不見經時,斷獄者失理矣,人君察之。辰星伏見以時,斷獄平矣。辰星怒芒角,有暴獄,不則水損城郭,傷嘉苗。

辰星は水の性を禀け、水性は平準にして智を含む——ゆえに辰星は刑罰・獄訟を主管す。辰星が潜伏して見えずして本に応に出現すべき時節を過ぐるは、案を断ずる官吏が法理に違失し・君主が応に明察すべきを主る。辰星の隱伏と出現とが皆時節に合するは、獄を断ずるに公平を主る。辰星が怒張して芒角するは、惨酷の冤獄あるを主る。然らざれば則ち大水が城郭を毀壊し・禾苗を損傷せん。

辰星入列宿占第三十八

角:水乘左角為旱,乘右角為水。一曰:為水、兵戰。水守角,王者刑罰急。水守角,大水滂滂,人民往來,舟船相望。留兩角間,關梁阻塞,軍有興國庭者,邊戎阻塞。

「角」宿の分野は鄭地・兗州に属し、天の門戸と為り、左角は刑理を主り、右角は将帥を主る。水星が左角を凌圧するは、天旱を主る。右角を凌圧するは、水災を主る。一説は水災と兵戦とが并び見ゆ。水星が角宿を停守するは、君王の刑罰の苛急を主る。水星が角宿を停守するは、また大水の浩蕩・人民の奔走・往来・舟船の首尾相望むを主る。水星が左右の両角の間に留駐するは、関卡・橋梁の阻塞・軍隊の朝廷に於ける興動・辺地の戎狄の通路もまた阻斷せらるるを主る。

亢:水入亢,其國病疫。水守亢者,國有憂,天下大亂。水守亢,逆行不順,其色明大,政未行。水逆行守,為中兵。一云:五星守亢為中兵。

「亢」宿の分野は鄭地・兗州に属し、天子の内朝と為り、疎遠の宗廟と疾疫とを主る。水星が亢宿に進入するは、その国に疫病の流行するを主る。水星が亢宿を停守するは、国に憂患あり・天下の大乱を主る。水星が亢宿を停守して逆行・不順にして、色沢が明亮・形体が粗大なるは、政令の推行し能わざるを主る。水星が逆行して亢宿を停守するは、京師の内に兵あるを主る。一説はおよそ五星が亢宿を停守するは、皆京師の内に兵あるを主るとす。

氐:水入氐,貴臣暴憂,法官有獄事。水乘氐右星,天下有大水大兵;乘氐右星,天子有自將兵於地野外。房:水入房十日,成句巳,為大人惡之,以赦解之。水守房,天下水火起,不則有兵。水守房,為胡兵發。水守房,有白衣之會。

「氐」宿の分野は鄭地・兗州に属し、天の根と為り、后妃の休息する宮府なり。水星が氐宿に進入するは、貴臣が驟然に憂に遭い・法を掌る官に獄訟の事あるを主る。水星が氐宿の右星を凌圧するは、天下に大水・大兵あるを主る。氐宿の右星を凌圧するは、もまた天子が親身に兵を領して郊野の外に在るを主る。「房」宿の分野は宋地・豫州に属し、天駟・明堂と為り、車馬と布政とを主る。水星が房宿に進入して十日、軌跡が屈曲して「勾」「巳」の形のごときは、貴人がこれをもって凶と為し・赦令を用いて消解するを須すを主る。水星が房宿を停守するは、天下に水火の災が并び起り・然らざれば兵事あらんを主る。水星が房宿を停守するは、胡兵の発動を主る。水星が房宿を停守するは、また喪事の聚会あるを主る。

心:水守心,以水滅火,三日不去,主服藥酒,忠臣相戮,山川大潰,水溢滂滂。水守心,大水滂滂,天下失綱。水守心,為火,時多盜賊,人民相惡。水守心,天下大敗,易主姓氏。水守心,大臣戮主,水逆留犯守乘凌心,王者起,內賊亂,臣下有謀易位天子者,權宗室得勢大臣。

「心」宿の分野は宋地・豫州に属し、明堂と為り、中央の大星は天王を象り、前後の二星は太子と庶子とを象り、賞罰・号令を主る。水星が心宿を停守するは、是れ水をもって火を滅するの象。三日に去らざれば、君上が誤って毒酒を服し・忠臣が互いに残殺し・山川が崩潰し・洪水が漫溢するを主る。水星が心宿を停守するは、大水の浩蕩・天下が綱紀を失去するを主る。水星が心宿を停守するは、また火象に応じ、当時に多く盗賊・人民が彼此に憎悪するを主る。水星が心宿を停守するは、天下の大敗・君主の姓氏を改換するを主る。水星が心宿を停守するは、大臣が君主を殺害するを主る。水星が逆行・留駐・侵犯・停守・凌圧して心宿に及ぶは、人の起りて作乱するあり・宮廷の内部に賊党が乱を生じ・臣下に天子の位を篡奪せんを図謀するあり・宗室と勢を得たる大臣とが機に借りて権柄を窃取するを主る。

尾:水入尾,天下大水,江河決溢,魚鹽貴三倍。水入尾天江,天下水。水守尾箕,後宮有省罷者。一曰:後宮有罪者。水守尾,大飢,人相食,民異其國,君子賣子,妃后亂。

「尾」宿の分野は燕地・幽州に属し、後宮の嬪妃と九子の位とを主る。水星が尾宿に進入するは、天下の大水・江河の決口・漫溢・魚鹽の価が三倍に漲るを主る。水星が尾宿の附近の「天江」星に進入するは、天下の水を発するを主る。水星が尾宿・箕宿を停守するは、後宮に裁減・罷黜せらるる人あるを主る。一説は後宮に人の罪を獲るあり。水星が尾宿を停守するは、大飢荒・人の相食・百姓が本国を背离し・士人が自己の児女を売り・妃后が淫乱するを主る。

箕:水入箕,天下大赦。水入箕,大人當之。水守箕,若動角芒,貴者有棄,自相滅。水守箕,七日以內禍災起,若有疾風解之,消。

水星が箕宿に進入するは、天下に大赦あるを主る。水星が箕宿に進入するは、もまた貴人が災咎を承当するを主る。水星が箕宿を停守し、もし芒角が搖動せば、顕貴の人が棄逐に遭い・彼此に残滅するを主る。水星が箕宿を停守するは、七日以内に禍災の興起あるを主る。もし疾風に吹き散らされば、災禍は就ち消解せん。

南斗:水入南斗中,大臣誅。一曰:不用兵眾而有天下。水守斗,有兵,赤而角,天下敗;白而大,裂地,相賄賂為利;異而小,其國亡。水守斗,有兵,易政改朔。水留南斗,所守之國當誅。

水星が南斗の中に進入するは、大臣の誅せらるるを主る。一説は衆に兵を動用せずして便ち天下を取得し得べし。水星が南斗を停守するは、兵事あるを主る——色赤にして芒角を生ずれば、天下の敗亡を主る。色白にして形体が大なれば、土地を割裂し・彼此に賄賂して私利を謀るを主る。色沢が異常にして形体が細小なれば、その分野の国の滅亡を主る。水星が南斗を停守するは、兵事あり・政令を更改し・正朔を変易するを主る。水星が南斗に留駐するは、守る所の分野の国に当に誅戮あるべきを主る。

牽牛:水入牛,五穀不成。水守牛,水湧為敗久,牛多死。水守牛,臣謀其上。水常以冬朝於牛,當朝不朝,名曰失律;二時不朝,名曰失政;三時不朝,名曰五穀不登。

水星が牽牛宿に進入するは、五穀の熟せざるを主る。水星が牽牛を停守するは、大水の湧溢・為害が久長に・牛の多く死亡するを主る。水星が牽牛を停守するは、臣下がその君上を図謀するを主る。水星は常度に按りて冬季に当に来りて牽牛に朝会すべし。当に朝会すべきに来らざるを「失律」と呼び、両季に朝会に来らざるを「失政」と呼び、三季に朝会に来らざるを「五穀不登」と呼ぶ。

女:水入須女守之,其國當娶婦嫁女事,若他國來進女者。水守女,為萬物不行。水守女,為后夫人有變,妾立。水守女,女主御世,天下大赦,其國水,國大亂。

水星が須女に進入してその中に停守するは、その国に当に婦を娶り女を嫁がすの事あるべく・あるいは別国が前来して女子を進献するを主る。水星が女宿を停守するは、万物の生長・運行する能わざるを主る。水星が女宿を停守するは、皇后・夫人の位次の変を生ずるを主り、妾媵が扶立を得るを主る。水星が女宿を停守するは、皇后・太后の一類の女主が朝に臨みて天下を統御し・天下に大赦あり・その分野の国に水災あり・国中の大乱を主る。

虛:水犯虛,其邦多水災。水守虛,政令急,天下大亂,天下虛,大人憂。水守虛,若角動青色,臣有欺君者,有兵喪於國內。水守虛,有女災,丁壯行徭,妻子獨居,萬民坐虛。

水星が虚宿を侵犯するは、その邦国に多く水災あるを主る。水星が虚宿を停守するは、政令の苛急・天下の大乱・国用の空虚・貴人に憂あるを主る。水星が虚宿を停守し、もし芒角が搖動して青色を呈せば、臣下に君主を欺瞞するあり・国内に兵禍・喪事あるを主る。水星が虚宿を停守するは、女子の災あり・壮丁が遠く徭役に服し・妻子が独り空房を守り・万民がこれに因りて空乏するを主る。

危:水守入危,奸臣謀。水守危,有大水,有大喪。水守危,皇后憂疾,兵喪並起。營室:水入營室,天下大兵乘水,欲攻王侯之國,不出百二十日,水守室,天下諸侯發動於西北。

水星が停守して危宿に進入するは、奸臣が不軌を図謀するを主る。水星が危宿を停守するは、大水あり・大喪あるを主る。水星が危宿を停守するは、皇后の憂愁・患病・兵禍と喪事とが一同に発生するを主る。水星が営室に進入するは、天下の大軍が水路を乘じて兵を進め・将に王侯の封国を攻打せんとし・一百二十日を出でずして応験するを主る。水星が室宿を停守するは、天下の諸侯が西北方に兵を興し発動するを主る。

東壁:水犯東壁,王者刑急法深,朝廷憂愁,國有蓋藏保守之事。水守壁,兵革起,入壁守之,奸臣有謀。奎:水入奎,有決洩之事,名水有絕者。水守奎,外國之王入御中道。水守奎,天下多災為旱,萬物五穀不成,有兵災。水守奎,王者憂,大人當之。

水星が東壁を侵犯するは、君王の刑罰の苛急・法令の深刻・朝廷の上下が憂愁し・国中に封蔵・守備の事あるを主る。水星が壁宿を停守するは、兵戈の興起を主る。壁宿に進入して停守するは、奸臣の暗中に図謀するを主る。水星が奎宿に進入するは、堤防の決口・滲泄の事あり・著名の河流に断流するあるを主る。水星が奎宿を停守するは、外国の王が中原の正道に入居するを主る。水星が奎宿を停守するは、天下に多く災ありて旱を成し・万物・五穀が成熟する能わず・また兵災あるを主る。水星が奎宿を停守するは、君王に憂あり・貴人がこの咎を承当するを主る。

婁:水守婁,若角動赤黑色,臣有爭色而起兵者。水守婁,多水災;水守婁,外國之主入御中。水入婁犯守之,王者刑法急,大臣當誅,必有下獄者。

水星が婁宿を停守し、もし芒角が搖動して赤黒の色を呈せば、臣下に争競に因りて起兵するあるを主る。水星が婁宿を停守するは、多く水災を主る。水星が婁宿を停守するは、外国の君が中原に入居するを主る。水星が婁宿に進入して侵犯・停守するは、君王の刑法の苛急・大臣に当に誅戮せらるべきあり・必ず獄に下る人あらんを主る。

胃:水犯胃,天下谷無實,以為飢憂。一曰為亂。水守胃,且有急令。一曰國主當之。水逆行胃,天下有兵,倉庫空虛。水星犯胃,國安寧。

水星が胃宿を侵犯するは、天下の穀物が結実せず・因りて飢荒の憂あるを主る。一説は変乱を主る。水星が胃宿を停守するは、将に緊急の詔令あらんを主る。一説は国君がこの咎を承当す。水星が胃宿に逆行するは、天下に兵あり・倉庫の空虚を主る。もまた一説あり、水星が胃宿を侵犯するは反って国家の安寧を主るとす。

昴:水乘昴,且有亡國,有謀主之變。若行其北,西夷有毒霜早降,歲有疾癘。水犯昴乘之,兵起,為民害。水乘昴,若出北者,為陰國有憂,若胡王死。水入昴中,有三丈水,留二十日,若六十日,守昴中,國開門,有大客,國政大危,易政令,若自來。水守昴畢,東南行至天街,及至五車,為邊兵發,有赦。

水星が昴宿を凌圧するは、将に亡国の禍あり・また君主を図謀する事変あるを主る。もし水星が昴宿の北に行れば、西方の夷狄に毒霜の提早に降下し・当年に多く疾疫あるを主る。水星が昴宿を侵犯してその上を凌圧するは、兵事の興起・百姓の害と為るを主る。水星が昴宿を凌圧し、あるいは昴宿の北より出現するは、陰方の国に憂あり・あるいは胡人の王の身死を主る。水星が昴宿の中に進入するは、三丈の深き大水あるを主る。もし留駐して二十日あるいは六十日、昴宿の中に停守せば、国門が洞開し・大批の外客の到来あり・国政が極めて危殆に・政令を更改し・あるいは外邦の自行して来帰するあるを主る。水星が昴宿・畢宿を停守し、再び東南に行きて「天街」に到り、「五車」に至るまでなるは、辺兵の発動・また赦令あるを主る。

畢:水犯畢,出其北陰國有憂;出南,南國有憂,水入畢口,各伺其出日而數之。期二十日,為兵發始入處,率一日期十日,為軍罷。水入畢口,邊有兵。一曰:其國易政。水出畢陽則旱,出畢陰則水,為政令不行。水守畢,山水潰,河大溢,潦大至。水犯附耳,兵起,若將相有喪憂也,不即免退。

水星が畢宿を侵犯してその北より出づるは、陰方の国に憂あるを主る。その南より出づるは、南方の国に憂あるを主る。水星が畢口に進入するは、各々それの出で来る日を守候して計数す——二十日を期と為すは、兵を発する象なり。それが始めて進入するの処より起算し、大約留駐すること一日が応期十日なり、期に到れば即ち兵を罷む。水星が畢口に進入するは、辺境に兵あるを主る。一説はその国が政令を更改す。水星が畢宿の陽(南)より出づれば則ち天旱し、畢宿の陰(北)より出づれば則ち水災し、また政令の推行し能わざるを主る。水星が畢宿を停守するは、山洪の暴発・河水の大いに溢れ・涝水の氾濫して至るを主る。水星が「附耳」星を侵犯するは、兵事の興起・あるいは将相に喪憂あり・もし立即に官を免じ引退せざれば便ち禍を免れ難きを主る。

觜:水入觜中,伺其出日而數之。期二十日,兵發,伺始入之處,率一日期十日,罷軍。水入觜,子歸其母,君臣和同。水守觜,為萬物不成。一曰:旱,五穀不成,大人憂。又曰:不出百日,天下大飢。水守觜,多水災。水犯觜,不可動眾行兵。一曰:有反臣,不出百日,天下水,趙國尤甚。

水星が觜宿の中に進入するは、それの出で来る日を守候して計数す——二十日を期と為し、兵を発するを主る。それが始めて進入するの処より起算し、大約留駐すること一日が応期十日なり、期に到れば即ち兵を罷む。水星が觜宿に進入するは、あたかも兒子が母親に回帰するがごとく、君臣の和睦・同心を主る。水星が觜宿を停守するは、万物の成熟する能わざるを主る。一説は天旱・五穀の成らず・貴人に憂あり。又一説は百日を出でずして天下の大飢せん。水星が觜宿を停守するは、多く水災を主る。水星が觜宿を侵犯するは、師を興し衆を動かして兵を用う可からざるを主る。一説は叛臣あり・百日を出でずして天下に大水を発し・趙地が尤其に嚴重なりとす。

參:水犯參,貴臣強。水守伐,星移南,胡入塞;星移北,胡出塞。水守參,天子不可以兵動眾,國必有反臣。水守參,有赤星守參中,邊有兵。水宿參,若宿伐,為有反臣。

水星が参宿を侵犯するは、貴臣の勢力の強盛を主る。水星が「伐」星を停守す——星位が南に移れば、胡人の塞に入るを主る。星位が北に移れば、胡人の塞を出づるを主る。水星が参宿を停守するは、天子が兵を動かし衆を興す可からず・国中に必ず叛臣あらんを主る。水星が参宿を停守し、もしまた赤色の星が参宿の中に停守せば、辺境に兵あるを主る。水星が参宿に停宿し、あるいは伐星に停宿するは、皆叛臣あるを主る。

東井:水入東井,若星進,兵進。水守井,為火災。水守井,若角動,色赤黑,為水起兵;色黃潤澤,天子善令。若色變者,大人憂,天下有名水絕,所為絕者,逆行而入之。水守東井,胡兵起,五穀霜損,其國尤甚,歲大惡。守鉞,大臣誅,斧鉞用,省兵起。水受期不東井,朝輿鬼,五穀不登。

水星が東井に進入し、もし星体が前に推進せば、兵馬の進軍を主る。水星が東井を停守するは、火災あるを主る。水星が東井を停守し、もし芒角が搖動して色が赤黒を作せば、水事に因りて兵を起すを主る。もし色黄にして潤沢なれば、天子に善政・良令あるを主る。もし星色が変異せば、貴人に憂あり・天下に名ある大川の断流するを主る。およそその断絶を致すは、皆水星の逆行して井に入るの致す所なり。水星が東井を停守するは、胡兵の興起・五穀が霜損に遭い・その分野の国が尤其に嚴重に・年成の大壊を主る。水星が井宿の旁の「鉞」星を停守するは、大臣の誅せらるる・斧鉞の刑の動用・宮省の中に兵の興起あるを主る。水星が応期に到るも東井に入らず、反って輿鬼に朝向するは、五穀の登らざるを主る。

輿鬼:水犯輿鬼,有兵。一曰:犯天質,兵起。水犯天尸,貴臣有罪;犯四星,天子當之。水守鬼,大人不祭祀之事。柳:水入天庫,以水起兵。水入柳,天下米貴,馬貴,先潦後旱。水守柳,即歲不收。水守柳,為反臣,中外兵,以德令解之。水守柳,貴臣得地,後有德令,不出九十日。

水星が輿鬼を侵犯するは、兵事あるを主る。一説は鬼宿の中の「天質」を侵犯するは、兵事の興起を主る。水星が「天尸」を侵犯するは、貴臣の罪を獲るを主る。鬼宿四星を侵犯するは、天子がこの咎を承当するを主る。水星が鬼宿を停守するは、貴人が祭祀の事を廃棄するを主る。水星が「天庫」星に進入するは、水事に因りて兵を起すを主る。水星が柳宿に進入するは、天下の米価・馬価の騰貴・先に涝災あり・後に旱災あるを主る。水星が柳宿を停守するは、当年就ち顆粒の収穫なきを主る。水星が柳宿を停守するは、叛臣あり・京師の内外皆兵あり・恩を施し徳を布くの詔令を用いて消解するを須すを主る。水星が柳宿を停守するは、また貴臣が地を拓き・その後に恩徳の令の頒下するあり・九十日を出でずして応験するを主る。

七星:水守犯七星,有君置太子者。水留七星,為天下大憂之,中兵。水犯七星,即兵內亂起。若守二十日已上,有水。水守七星,貴人有罪,若法官有憂也。水守犯七星,三月已上,賊臣在側,若叛臣,皆九十日應。

水星が停守して七星を侵犯するは、君王が太子を冊立する事あるを主る。水星が七星に留駐するは、天下に大憂あり・京師の内に兵あるを主る。水星が七星を侵犯すれば、就ち兵変・内乱の興起あらん。もし停守して二十日以上なれば、水災あるを主る。水星が七星を停守するは、貴人の罪を獲る・あるいは法を掌る官に憂あるを主る。水星が停守して七星を侵犯して三箇月以上なるは、賊臣が就に君側に在り・あるいは叛臣あり・皆九十日の内に応験するを主る。

張:水守張,天下水兵起。水守張,若角動,有臣傷其君;色赤,有兵出。水守張,為反臣,中外以兵,德令解,謂赦令也。水入張,若守,水入火,為逆理犯上,天下不安,下謀上,多鬥訟,若多疾。

水星が張宿を停守するは、天下に水災あり・兵事の興起を主る。水星が張宿を停守し、もし芒角が搖動せば、臣下のその君を傷害するあるを主る。色赤なれば、兵の出動あるを主る。水星が張宿を停守するは、叛臣あり・京師の内外に兵を動かし・恩徳の令をもって消解するを須すを主る——いわゆる恩徳の令とはすなわち赦令なり。水星が張宿に進入し、あるいはその中に停守するは、是れ水が火位に入るにして、常理に悖逆し・君上を冒犯する象、天下の不安・下位が上位を図謀し・多く争闘・訴訟あり・あるいは多く疾病あるを主る。

翼:水入翼中,兵大起。水守翼,水入火,逆理,貴有憂,若大臣戮,又水旱之災。星入其度,當位者退之,以消天意,王者以赦除咎。水守翼,大水兵起,色白,京師兵起;色黃,事成;色青黑,死事。

水星が翼宿の中に進入するは、兵戈の大いに起るを主る。水星が翼宿を停守するは、是れ水が火位に入るにして、常理に悖逆し、顕貴の者に憂あり・あるいは大臣が誅戮に遭い・また水旱の災あるを主る。星が本に応に入るべからざる宿度に進入するは、その位に居る人は応に引退して、もって上天の譴告を消解し、君王は則ち赦令を用いて災咎を免除すべし。水星が翼宿を停守するは、大水と兵事とが并び起るを主る——色白なれば、京師に兵を興すを主る。色黄なれば、事情の成し遂ぐるを主る。色青黒なれば、死喪の事あるを主る。

軫:水入軫中,為火起。水守軫,天下大變,貴人多死。一曰:國有喪。水守軫,萬物五穀不成。水守軫,為反,中外兵,以德令解之。水守軫,戚臣凶。

水星が軫宿の中に進入するは、火災の興起を主る。水星が軫宿を停守するは、天下に大変あり・貴人に多く死すを主る。一説は国に喪事あり。水星が軫宿を停守するは、万物・五穀の成熟する能わざるを主る。水星が軫宿を停守するは、反叛あり・京師の内外皆兵あり・恩徳の令を用いて消解するを須すを主る。水星が軫宿を停守するは、外戚の臣に凶あるを主る。

辰星入中外官占第三十九

水星入五車,則水開。水入五車乘犯守之,庫以潦,兵起。水守南河戒,兵起,蠻夷兵,邊城或憂,若有旱災,人民飢。又曰:留南河南戒中,為兵起西方。水行南戒中,若留中守南戒,為旱。一日,為姬疾病。

水星が「五車」星官に進入するは、河水の解凍・開流を主る。水星が五車に進入して凌圧・侵犯・停守してその星に及ぶは、府庫が涝水に因りて損を受け・兵事の興起を主る。水星が「南河戒」を停守するは、兵事の興起・蛮夷の兵を発し・辺城に或は憂患あり・或は旱災あり・人民の飢荒を主る。又一説は、南河の南戒の中に留駐するは、兵の西方に起るを主る。水星が南戒の中を経行し、あるいはその中に留駐し・南戒を停守するは、天旱を主る。另一説は宮中の姫妾の患病を主る。

水行犯守軒轅,女主失勢。一曰:大臣當之,若有黜者,期三年。水中犯乘軒轅太民星,大飢,大流太后宗,有誅者,若□有罪。中犯乘守少民星,小飢,小流後宗,有誅者,若有罪。水入乘犯少微,宰相易。一曰:主有憂。

水星が運行して侵犯し「軒轅」星官を停守するは、皇后・太后の一類の女主が権勢を失去するを主る。一説は大臣がこの咎を承当し・あるいは罷黜せらるる人あり・応期三年。水星が軒轅の中に於いて侵犯・凌圧して「太民」星に及ぶは、大飢荒・太后の一族が大批に流徙し・誅殺せらるるあり・あるいは□人の罪を獲るあるを主る(原文ここに一字を缺く)。その中に於いて侵犯・凌圧・停守して「少民」星に及ぶは、小飢荒・后族が小批に流徙し・誅殺せらるるあり・あるいは人の罪を獲るあるを主る。水星が進入・凌圧・侵犯して「少微」星に及ぶは、宰相の更換を主る。一説は君主に憂あり。

乙巳占 巻第七

流星占第四十

流星者,天皇之使,五行之散精也。飛行列宿,告示休咎。若星大,使大;星小,使小。星大則事大而害深,星小則事小而禍淺。有尾跡光為流星,無尾跡者為飛星,至地者為墜星。出則使出,入則使入。干犯滅則為誅罰之象。墜星之所,其下流血,破軍殺將,為咎最深。

流星は天皇大帝の使者にして、五行の散布する精気の化する所なり。それは列宿の間を飛行し、用いて吉凶を昭示す。星体が大なれば、主る所の使命もまた大。星体が小なれば、主る所の使命もまた小。星が大なれば則ち事情が大にして危害が深く、星が小なれば則ち事情が小にして禍患が浅し。尾跡の光芒を拖くを「流星」と呼び、尾跡なきを「飛星」と呼び、地面に落つるを「墜星」と呼ぶ。星が内より外に向かって出づるは、使者の外出を主る。外より内に向かって入るは、使者の入朝を主る。他星を衝犯して随いて熄滅するは、誅罰の象なり。墜星の落下する地方は、その下に必ず流血の禍あり・軍隊が潰敗し・将領が殺され・災咎が最も深重なり。

蜀後主建興十年,諸葛亮帥大眾伐魏,屯兵於渭南。有長星赤而芒角,自東北西南流投營,三投再還,往大還小,占曰:兩軍相當,有大流星流來走軍上及墜軍者,皆破敗之兆也。九月,亮卒于軍營而退,群帥交爭,多相殘誅。

蜀漢・後主建興十年、諸葛亮が大軍を率いて曹魏を討伐し、渭水の南に兵を屯す。当時長星ありて色赤にして芒角を帯び、東北より西南に向かって飛流し、蜀軍の営壘に投向し、三度投下し・两度折回し、去る時は星体が大にして回る時は星体が小なり。占辞にいう。両軍が対壘の際、大流星の飛来して軍営の上空を掠过しあるいは営中に墜落するは、皆潰敗の徴兆なりと。この年の九月、諸葛亮が軍営に死し、蜀軍が兵を退き、衆将が互いに権を争い、多く彼此に残殺・誅戮するあり。

魏景初二年,司馬仲達懿圍公孫淵於襄平。八月丙寅夜,有大流星,長數十丈,色白有芒鬣,從首出東北,流墜襄平城東南。占曰:圍城而有流星來走城上及墜城中者,軍破。又曰:星墜當其下有戰傷。又曰:凡星所墜,國易姓。九月,淵突圍,走至襄平星墜所,破斬屠城,坑其眾。

曹魏・景初二年、司馬懿(字は仲達)が襄平に於いて公孫淵を囲困す。八月丙寅日の夜、大流星ありて長さ数十丈・色白にして芒鬣を帯び、首を出づるの処より東北に飞向し、襄平城の東南に墜落す。占辞にいう。城を囲むの時、流星の飛来して城上を掠过しあるいは城中に墜入するは、軍隊の潰敗を主ると。又いう。星の墜落する処は、その下に当に戦事の死傷あるべしと。又いう。およそ星の墜つる地は、その国が姓氏を改換するを要すと。この年の九月、公孫淵が囲を突いて出逃し、正に襄平の星墜の地方に走到して撃破・斬殺せられ、魏軍が城を屠り、その部衆を坑殺したり。

景元四年六月,大流星二,並如斗見西方,分流南北,光照地,隆隆有聲。占曰:流星為貴使,星大者使大。是年鍾會、鄧艾克蜀。二星二帥之象,二帥相背分流之象應也。鍾會既叛,三軍怒。隆隆有聲,兵將怒之驗也。

曹魏・景元四年六月、両顆の大流星ありて皆斗のごとき大さにして、西方に出現し、分かれて南北に向かって飛流し、光が地面を照らし・隆隆として声あり。占辞にいう。流星は顕貴の使者の象にして、星体の大なるは主る所の使者の位望もまた高しと。この一年に鍾会・鄧艾が蜀漢を攻克し、両顆の星は正に両位の統帥の象に応じ、二星が背向して分流するは、正に両位の統帥が彼此に相背くの象に応ず。後來鍾会が叛変し、三軍が憤怒す。星流の隆隆として声あるは、正に兵将の憤怒の応験なり。

凡流星有芒角者及有聲為怒,色潤而遲為喜。疾則事速,緩而事遲。眾星皆流,人遷之象。星數流者,天下大兵,急使馳驛之象也,皆以色占。色青為飢為憂,色赤為旱為兵,色黃為喜為土功,色白為兵為刑罰,色黑為病死疾疫。各以其休王占之,各以其日辰所在宿分國屬而占。

およそ流星が芒角を帯びおよび声响あるは、怒を主る。色沢が潤沢にして行度が徐緩なるは、喜を主る。行度が快ければ則ち事情の来ること急に、行度が慢ければ則ち事情の来ること遅し。衆星が一斉に飛流するは、人民の遷徙の象なり。流星の屢々飛流するは、天下に大兵あり・緊急の使者が驛を馳せ奔走する象なり。これらは皆星色に合わせて占断するを要す——色青は飢荒を主り憂患を主り、色赤は天旱を主り兵事を主り、色黄は喜慶を主り土木の工程を主り、色白は兵事を主り刑罰を主り、色黒は疾病・死亡と瘟疫とを主る。又各々五行の休王の気に依って推占し、各々その日辰の所在する宿次・分野と所属の国とに依って推占す。

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