Libo

修徳第十九

唐 · 李淳风 · 第8巻 / 26

作盤ガイド: 暦注(黄暦), 万年暦

夫修德者,變惡從善,改亂為治之謂也。上天垂象,見其吉凶、譴告之義。人君見機變,齋戒洗心,修政以道,順天之教也。夫人君順天者,子從父之教也。見災而不修德者,逆父之命也。順天為明君,順父為孝子。故孔子曰:昔者明王事父孝,故事天明;主事母孝,故事地察。天地明察,神明彰矣。

いわゆる「修徳」とは、すなわち悪行を改変し・善道を遵従し、乱政を治世に改造するをいう。上天は天象を垂示し・吉凶を顕現し、譴責・告誡の用意を含有す。人君は天象変動の徴兆を見れば、就ち斎戒・沐浴し・内心を洗滌し、正道に依って政事を整頓すべし——これがすなわち上天の教導に順從する。人君が上天に順從するは、譬えば兒子が父親の教誨に聴從するがごとし。災異を見て修徳せざれば、就ち譬えば父親の命令に違抗するがごとし。天に順うは明君、父に順うは孝子。ゆえに孔子は《孝経》の中にいう。往昔聖明の君王は父親に侍奉して能く孝を尽くし、因って上天に侍奉して能く明察す。君主は母親に侍奉して能く孝を尽くし、因って大地に侍奉して能く明察す。天地の道は皆明白・洞察せられ、神明の意旨は自然に彰顯すと。

《易》曰:大人者,與天地合其德,與日月合其明,與四時合其序,與鬼神合其吉凶。此順天地而化也。先天而天不違,後天而奉天時。天且不違,而況於人乎?況於鬼神乎?此大人至德,同乎天也。

《周易・乾卦・文言》にいう。いわゆる「大人」とは、彼の徳行は天地と相合し、彼の光明は日月と相合し、彼の秩序は四時と相合し、彼の定むる所の吉凶は鬼神と相合す。これがすなわち天地に順応して教化を施行する。彼が行事は天時の先に走れば、上天は并びて彼に違背せず。行事が天時の後に在れば、彼は就ち上天の時令を奉行す。上天ですら尚且彼に違背せざれば、いわんや人をや、いわんや鬼神をや。これは大人の極高の徳行で、已に天と同一せり。

是故人君力行守道,見德遷善,大人順天之化而照臨萬方,故物莫之違。及其行不符道,理不合義,則示之以災,教之從善不息,補過自新,故盛德必昌也。

ゆえに人君はただ努力して踐行し・正道を恪守すれば、善徳を見れば遷りて善に向かい、それはすなわち大人が上天の化育に順応して四方を光照する。これがために万物は能く彼に違逆するなく。彼が行事して道に合せず・施政して義に合せざるに及んで、上天は便ち災異を用いて彼を警示し、不断に彼に教えて善道に改從し・過失を彌補し・重新に人と為らしむ。ゆえに徳行の盛大の君主は必ず昌盛す。

《書》曰:唯聖人罔唸作狂,唯狂克唸作聖。此之謂也。蓋善不積不足以成名,惡不積不足以滅身。惡雖小,不可不去;善雖小,不可不為。子曰:積善之家,必有餘慶;積不善之家,必有餘殃。非一朝一夕之故,其所由來者漸矣。此言善惡之積起於毫末,而成丘山。故曰:日變修德,禮重則躬;月變眚刑,恩從肆赦;星變結和,義敦鄰睦。是以明君宰相,隨變而改,積善以應天也。

《尚書・多方》にいう。聖人はもし善道を存念し能わざれば、もまた狂妄の人に変成す。狂妄の人はもし善道を存念し能わば、もまた聖人と為る可し——講ずる所はまさにこの道理。善行は積累せざれば名声を成就するに足らず、悪行は積累せざればもまた自身を毀滅するに足らず。悪事は小なる虽も、除去せざる可からず。善事は小なる虽も、做らざる可からず。孔子にいう。善行を積累する人家は、必定に余留の福慶あり。悪行を積累する人家は、必定に余留の禍殃あり。これは皆一朝・一夕に造成するに非ず、その由来は逐漸に積成するなり。これは説く所は善悪の積累は毫末に起りて、終に堆りて丘山と成る。ゆえに説く。太陽に変異あれば就ち徳行を修養し、礼数の隆重の時は親身に礼を行うべし。月に変異あれば就ち刑罰を省察し、広く恩澤を施して大いに罪人を赦すべし。星辰に変異あれば就ち和好を締結し、道義を篤行して隣邦を敦睦すべし。これがために聖明の君主と宰輔は、皆天象の変に随って政事を改易し、善行を積累してもって上天に回応す。

《易》曰:君子見機而作,不俟終日。此言修德之急也。是故有變,修其政而理其事焉,何暇待於終日哉?上自天子,下及黎庶,蟲魚草木,咸繫天象,垂見變異,罔不悉焉。譴告之理多方,從善之途非一,以善為德,以虐為凶。故《書》曰:德無常師,善無常主,協於克一,此之謂矣。唯爾在位,咸司厥職,罔或淫僻,以召天災。

《周易・繫辞下》にいう。君子は事情の先兆を見れば就立刻行動し、一天の過ぐるを待たず——これは修徳の緊迫を講ず。ゆえに天象は一有変異すれば、就ち政令を整頓し・政事を料理すべし——どこに還た一整天を等待する工夫あらんや。上は天子より、下は黎民・百姓に至り、乃至虫魚・草木に至るまで、天象と相関聯せざるなく。上天の垂示する変異は、一様に周備・詳尽せざるなし。譴責・告誡の方式は多種・多様にして、善道に改從する途徑もまた一条に止まらず。善を行うをもって徳と為し、暴虐をもって凶と為す。ゆえに《尚書・咸有一徳》にいう。修徳に固定・不変の老師なく、為善にも固定・不変の準則なく、関鍵は純一の徳に合するに在り——説く所はすなわちこの意。およそ官位に身居する人は、皆各々その職を守り、淫佚・邪僻の行為ある可からず、もって天災を招来することを免れんがためなり。

治亂之緒,得失之經,事匪一途,萬機並作。故曰:月災眚,五星時合,變異之象,感召之應。咸具本篇,以為常則。故每占下云:修德以禳之也。修德同於君臣,非獨在乎上位矣。

治と乱の頭緒・得と失の常理は、事情は一条の路徑に止まらず、万般の政務は同時に并起す。ゆえに説く。月に災眚が出現し、五星が時に応じて会合する——これらの変異の天象は、皆人事の感召して来るの報応。その内容は皆本篇の中に具備し、用いて通常の準則と為す。これがために毎一条の占辞の下に皆「修徳以禳之」と写る——修徳は君と臣の共同の事で、并びてただ上位に居る人のみが去做するを要するに非ず。

按劉向、京房對災異,多云:人君賦斂重數,徭役繁多,黜退忠良,進用讒佞,荒於禽色,酣酒嗜音,雕牆峻宇,誅戮直諫,殘害無辜,聽邪言,不遵正道,疏絕宗戚,異姓擅權,無知小人,作威作福,則天降災祥,以示其變,望其修德以禳之也。

漢代の劉向・京房が災異に応答した奏対を考察すれば、彼らは大多説く。人君はもし賦税の征斂が沉重・頻数にして・徭役が煩多く、忠良を貶退して讒佞を進用し、田猟・女色に沉溺し・酒に耽り楽を好み、墙壁を雕飾し・屋宇を高起し、直言・進諫の人を誅殺し・無辜の民を残害し、邪僻の言を聴信して正道に遵わず、宗室・外戚を疏遠・断絶して異姓に権柄を專擅せしめ、無知の小人に威を作し福を作さしめれば、那么上天は就ち災異・変象を降下し、用いて警告を顕示し、君主が修徳してもってそれを消除することを指望すと。

不修德以救,則天裂地動,日月薄蝕,五星錯度,四序愆期,雲霧昏冥,風寒慘裂,兵飢疾疫,水旱過差,遂至亡國喪身,無所不有。

もし修徳して挽救することを肯んぜざれば、那么天就ち開裂し・地が震動し、日月は薄蝕し、五星の運行は錯乱・失度し、四季の節候は違誤・失期し、雲霧は昏暗・晦冥し、風寒は凛冽・刺骨し、兵禍・飢荒・疾疫は接連して来り、水旱は常度を失い、終に亡国・喪身に至り、なんの禍事も皆発生せん。

其救之也,君治以道,臣諫以忠,進用賢良,退黜讒佞,恤刑緩獄,存孤育寡,薄賦寬徭,矜贍無告,散後宮積曠之女,配天下鰥獨之男,齊七政於天象,順四時以布令,輿人之誦必聽,芻蕘之言勿棄,行□束帛,以賁丘園,進安車以搜巖穴,然後廣建賢戚,蕃屏皇家,磐石維城,本枝百世,然則此災可消也,國可保也,身可安也。頌太平者,將比肩於市里矣。擊壤行歌者,豈一老夫哉!餘今略具大綱而已,豈能詳之者矣。

挽救の弁法は、君主は正道をもって国を治め、臣子は忠誠をもって進諫し、賢良を進用し・讒佞を貶退し、刑罰を慎用し・獄訟を寛緩し、孤児を撫養し・寡婦を贍育し、賦税を軽減し・徭役を放寛し、申訴する処なき人を怜恤・救済し、後宮中の長久に空守する宮女を遣散し、彼女らを天下の鰥居・孤独の男子に配給し、七政(日月五星)を天象と整斉に相応せしめ、四時に順応して政令を頒布す。衆人の議論は一定要聴取し、草を割き柴を打つ者の言も抛棄する勿れ。□(原文一字を缺く)束帛の礼を備辦して、山林に隠逸する士を光耀し、安車を派出して岩穴中の賢人を搜訪す。然る後に広く賢能の宗親を封建し、彼らに皇室を屏藩せしめ、磐石のごとく穩かに・城垣のごとく固くし、本干・枝葉を百世に伝続せしむ。このようになれば、災禍は就ち消除し得べく、国家は就ち保全し得べく、自身は就ち安寧し得べし。太平を歌頌する人は、将に街市・里巷の中に摩肩・接踵せんとし、撃壤して歌うは、また豈に一位の老農に止まらんや。我は如今ただ大略に綱要を陳述するのみで、どこに能く一々詳尽せんや。

辨惑第二十(闕)

史司第二十一

昔重黎受職,羲和御官,任重上司,位居鼎嶽,所以調均和氣,燮理陰陽,義等鹽梅,事同舟楫,故能觀天示變,察人成化,百工信理,庶績咸熙,此古之□世。

往昔重・黎二氏は命を受けて天地の職を掌管し、羲氏・和氏は暦象の官を統領し、彼らは責任が重大にして身は上司に居り、地位は鼎足と山岳のごとし。彼らの職分は調和・均平して天地の気をし・陰陽を燮理するに在り、その緊要は羹湯を調るに用うる塩と梅のごとく、その功用は河を渡るに用うる船と桨のごとし。ゆえに能く天象を観察してもって変異を顕示し、人情を体察してもって教化を成就し、百官は各々その職を守りて政理は信可く、各項の功業は皆興盛せり。これがすなわち上古□(原文一字を缺く)の世の情形。

暨三王已降,五霸相沿,英賢嗣興,哲人繫踵,君則畏命奉天,臣則竭誠盡慮,故能權宜時政,斟酌治綱,驗人事之是非,托神道以設教,忠節上達,黎庶下安,此中古之賢史也。

夏・商・周三王以後に至っては、春秋の五覇は相継いで沿袭し、英才・賢士は接連して興起し、明哲の人は接踵して出ず。国君は天命を敬畏し・天道を奉行し、臣子は忠誠を竭尽し・精力を殫し慮を竭くす。ゆえに能く時に因って宜に制するに政令を権変し・治国の綱紀を斟酌し、人事の是非を検証し、神道を借助してもって教化を施行し、忠貞の節操を上は君王に達せしめ、黎民・百姓は下に安居せしむ。これがすなわち中古時代の賢明の史官。

至若漢魏之後,晉宋相承,夷狄亂華,官失其守,君惡直諫,臣矜諂諛,捷徑是遊,罕遵正道。疇人術士,俯同卜祝之流,唯辨纖芥之吉凶,驗事理之微末。推考術數,務在多言屢中;庶徵休咎,未詳關於政治。玉衡傾斜,七政所以不齊;彝倫攸敘,九疇於焉遂隱。此末代之流弊也。

漢・魏以後に至っては、晋・宋は相承し、夷狄は中原を扰乱し、官員は本職を喪失す。君主は直言・進諫を厭悪し、臣下は阿諛・奉承を夸尚し、人人は捷径を钻営し、正道に遵循するは少し。世代相伝の暦官と術士は、身を俯して卜筮・祝祷の流に混同し、ただ能く纖芥のごとき細なる吉凶を辨别し・事理中の最も瑣末の枝節を検証するのみ。彼らは術数を推算するに、一味に話の多いを求め・偶に言中することを求め、種種の徴兆の善悪に対しては、却ってそれが政治との関係を講清せず。玉衡(渾儀)は傾斜・不正にして、七政の運行はこれによって整斉を失う。彝倫は本に応に有序なるべきに、《洪範》九疇はここにおいて隱沒して彰らざる。これがすなわち末代の流弊。

近在隋代,則尤甚焉。吳人袁充,典監斯任。口柔曲佞,阿媚時君。誑惑文皇,諂諛二世。每回災變,妄陳禍福。以凶為吉,回是作非。先意承顏,附會神理。勸桀行虐,助紂作淫。凡是南人,明相煽惑。

近在隋代、この種の弊病は尤其厳重。呉地人の袁充は、太史監のこの一職任を掌管し、彼は口舌が柔媚にして・曲意に諂佞し、当時の君主に逢迎・討好す。隋文帝を欺騙・迷惑し、煬帝父子両代に阿諛・奉承す。災変に逢う毎に、就ち胡乱に禍福を陳説し、凶を把りて吉と為し・是を掉換して非と為し、君主の開口する前に搶って彼の臉色に迎合し、牽強・附会して所謂神明の理を為す。これは等しく夏桀に暴虐を施行するを勧め・商紂に縱欲・作乱するを幇するがごとし。およそ南方より来る人は、彼は皆公然と結党・煽惑す。

於時大業昏暴,崇向吳人。中州高才,言不入耳。每有四方秀異,獻書上策,一皆不覽,並付袁充。充乃繕寫所獻,回換前後。竊人之才,以為己力。奏於昏主,自叨名位。

当時大業年間朝政は昏乱・暴虐にして、呉地の人に偏向を崇尚し、中原の高才の士の説く話は根本聴入れず。四方の杰出人物が書を献じ策を上るに逢う毎に、煬帝は一概に看ず、全部袁充に交す。袁充は便ち人家の献じた文字を一遍謄抄し、前後の次序を調換一下し、別人の才思を窃取して己が有と為し、昏君に上奏し、己がために濫りに名位を取る。

因行譖害,追逐前人。以忠言獲罪者,其將量方,復奏絕圖書,彌增忌諱。一藝以上,追就京師。因聚富人,幾將數萬。置之別府,名為道術。賣威鬻勢,交納貨財。免徭停租,賄於私室。兼之以抑黜勝己,排擯同儕,浸潤屢行,誅斥非一。

続いて彼はまた讒を進めて陷害し、先前の同行を駆逐す。忠言・直諫によって罪を獲た人は、正に彼に掂量・処置せらるるを等待す。彼は還た上奏して図讖の書籍を禁絶し、忌諱を越発繁多せしむ。およそ略々一技の長ある人は、一概に京師に追征す。彼は機に乗じて富人を聚斂し、幾乎数万の衆あり、另設の官署の裏に安置し、名義上は道術を研習すると説くも、実則は威権を販売し・勢力を售賣し、貨財を收受し、人のために徭役を免除し・租賦を停納し、賄賂を自己の家中に納む。加上勝れる己なる人を壓制・貶斥し・同輩を排擠・擯棄し、讒言は水の浸潤するがごとく一次次施行し、誅戮・斥逐せらるるは一人に止まらず。

術士達人,高賢碩學,朱紫雌黃,由其品藻,權衡失正,何其毒歟!於是清烈之後,超然遠遊,結舌鉗口,坐觀得失,而充苟安祿位,以危天下,在上不悟,卒至覆亡。將是上天降禍,生此讒賊,不然,何由翦隋宗之甚也。此乃前朝殘橫者矣。

術士と通達の人・徳高の賢者と学問淵博の士は、誰が朱か誰が紫か・孰れが是か孰れが非かは、全憑彼一人の品評・塗改に凭り、人物を衡量する権柄は完全に公正を失う——何等の毒害なるや。ここにおいて清正・剛烈の士の後人は、皆超然として遠游して去り、口を閉じ舌を結び、朝政の得失を坐看す。而して袁充は苟且に俸禄・官位を貪戀し、以致天下を危害し、上位に在る人は始終覚悟せず、終に国家の傾覆・滅亡に落る。これは大概上天が災禍を降下して、ようやくこのごとき讒佞の賊子を生ず。然らざれば、何ぞ隋朝の宗室をこのごとく徹底に剪滅するに至らん。これがすなわち前朝の残忍・横暴の史官である。

若乃天道幽遠,變化非一,至理難測,應感詎同。故梓慎、裨灶,占或未周,況術斯已下,焉足可說。至若多言屢中,非餘所尊,唯爾學徒,幸勿膠柱。夫言非次也,豈徒然哉?立行建功,必以其道。故宋韋晉野,理存設教;京房谷永,義在救君。照灼圖謀,餘芳不朽,遺風獨邁,可不尚歟?

天道の幽深・遼遠に至っては、変化は一端に止まらず、最深の道理は測度し難く、感応の方式はまた怎麼相同じならんや。ゆえに連れ梓慎・裨灶のごとき高手も、占断も必ずしも周全ならず、いわんや術業が彼らの下に在る人をや——どこに称道するに値せん。あの種の話を多く説き・偶に言中する做法に至っては、我が推重する所に非ず。諸位の学徒、膠柱・鼓瑟し・旧法に拘泥せざるを希望す。我がこれらの話を説くは并びて次序に合せざる空談に非ず——豈に白説せんや。立身・行事し・功業を建立するは、必定に正道に遵循すべし。ゆえに宋国の子韋・晋国の師曠(子野)は、本意は天象を借して教化を設立するに在り。漢代の京房・谷永は、用心は君主を匡救するに在り。彼らの謀慮は光輝として人を照らし、遺留の芳名は永不磨滅し、流風・余韻は古今に超絶す——怎麼推崇を加えざらんや。

若乃高才希世,學藝過人,後生所畏也;時不再來,恥自媒銜,沉翳可惜也。至蔽賢妒能,素餐吝位,抑屈奇俊,先民所恥也;名遂身退,功成不居,舉賢進能,古人所尚也。

才具の高絶・世の罕有に至っては、学識・技芸が常人を超過するは、これ後輩の敬畏する所。然るに時機は一去すれば再び回らず、もし自我の挙薦・自らの長を陳することを耻とすれば、才華は就此埋没・湮滅し、それは很可惜なり。あれらの賢者を遮蔽し・能人を嫉妒し、白く俸禄を吃して官位を吝惜し、奇才・俊士を壓制・委屈するのごときは、前代の先民の引きて恥と為す所。而して功名成就すれば便ち自ら引退し、功ありて自ら居らず、賢才を推挙し・能人を進用するは、ようやく古人の崇尚する所なり。

貴耳賤目,棄能取假,任非其人,鑑賞之過也;信古疑今,深廢淺習,抑揚失疑,知音之責也。變通守道,被褐幽居,知命是鑑,哲人之規也;道聽途說,眩惑群小,詭隨掇禍,庸人之悔也。唯爾史官後學,餘之所志,可不鑑哉!

耳聞を看重して目見を軽視し、真有本领の人を抛弃して虚假の徒を取用し、応に任用すべからざる人を任用するは、これ鑑別・賞識の上の過錯。古人を迷信して今人を懐疑し、精深の学を廃置してその浅陋を習い、褒貶・軽重を失当するは、これ識者の応に負うべき責任。能く権変に通達してまた正道を堅守し、粗布の衣裳を身穿して幽居して仕えず、天命を明白にしてこれをもって自ら照すは、これ哲人の準則。道聴・途説して、一群の小人に迷惑せられ、声に随い和して禍患を招来するは、これ庸人の悔恨。諸位の史官と後学の士は、我がここに記下する心志を、怎麼引きて鑑と為さざらんや。

乙巳占・巻第四

五星占第二十二

夫形器著於下,精象繫於上,所以通山澤之氣,引性命之情,近取諸身,耳目為肝腎之用,鼻口實心腹之資,故情慾暢於性靈,神道宣於視聽,彼此響應,豈不然與?是以聖人體而名之,垂教後世,授之以職位,分之以國野,象之事物,效之以吉凶,雖變化萬殊,誰能越此,將來事業,可得而理焉。

有形の器物は下方に顕現し、精微の星象は上天に繋属し、二者はこれによって能く山沢の気を溝通し・性命の情を引発す。就近して人身より譬を取れば、耳目は肝・腎の気の外用で、鼻口は実に心・腹の資養する所の通道。ゆえに情欲は性霊の中に通暢し、神明の道は視聴の間に宣発し、彼此は声響の相応ずるがごとし——豈にこのごときに非ずや。これがために聖人はこの道理を体察して星辰のために名を命じ、教化を後世に垂示す。それらに職位を授与し、それらの主る所の邦国と郊野を分配し、それらを用いて人間の事物に象を取り、それらを用いて吉凶を検証す。天象の変化は千差万別なる虽も、誰か能くこの範囲を超出せん。将来の事業も、また就ちこれに拠って推理して知る可し。

《易》曰:在天成象,在地成形,變化見矣,此之謂也。但去聖久遠,通人間作名數多少,或有不同,今總列之。取其理當者,以著於篇;浮華之流,刪而不錄矣。

《周易・繫辞上》にいう。天上に在りては星象を形成し、地上に在りては物形を形成し、変化は就ちこれによって顕現す——講ずる所はまさにこの道理。ただ聖人の時代に距ること已に久遠にして、博通の士は各自名目を造立し、数目の多少はあるいは出入あり。如今はそれらを総汇・羅列出して、その中の道理の妥当なるを取り、本篇に写進す。浮華・不実の一類に至っては、一概に删去して録せず。

凡五星之行也,象人君次敘,不敢干犯亂常,越次當位矣。猶如月有弦望晦朔、星有合見留逆。是故歲星、填星、熒惑晨見於日,後行逆於日。當其平旦之時,欲至於午上便留,留而平旦過午返則逆,逆行行至於夕時,又欲當午上則後更留,留而午則又順行,行極而伏與日合,則同宿共度而受命於日,更晨見於東方,此皆不敢以昏旦之時,當於午後任行歷,故遲凝留焉。

およそ五星の運行は、皆人君の位次・秩序に象を取り、あえて常規を冒犯・扰乱し・次第を越えて占すべからざる位置を占据せず。就ち月に上弦・下弦・望日・晦日・朔日あるがごとく、五星もまた合・見・留・逆あり。ゆえに歳星・填星・熒惑は早晨に太陽より先に出現して後、行度は太陽の後面に落ちて逆行を呈す。清晨の時分に当たり、それらは将に午位(正南)に行き至らんとして便ち停留す。停留して後、もし清晨已に午位を過ぐれば、就ち逆行に転成す。逆行して傍晚の時分に至り、将に正に午位に当たらんとする時に便ちまた停留す。午位を留め過ぎれば就ち再び順行に転じ、順行して極処に至れば便ち隱伏して太陽と相合し、同宿・同度して太陽に聴命し、然る後に重新に早晨に東方に出現す。これは皆それらが昏・旦の時に正に午位に当たりて任意に行度することを敢えてせざるがために、ようやく遅滞・凝住して停留するなり。

至於金、水二星,則又甚耳。晨見東方平旦,當丙己之地,便速行以追日,及之,伏,伏與日合,合後出於西方,速行,昏時至丁未之地,即遲行,待日而又伏焉,此則日與五星,皆不敢以昏旦當午而盛。

太白(金)・辰星(水)二星に至っては、この種の情形は就ち更に明顯。それらは清晨に東方に出現し、平旦の時に丙・己の方位に行き至り、便ち速度を加快して太陽を追趕す。趕上して後に便ち隱伏し、伏して太陽と相合す。相合して以後また西方より出で、快速に運行し、黄昏の時に丁・未の方位に行き至り、便ち慢行に転じ、太陽を等候して再度隱伏す。見るべし、太陽と五星は、皆昏・旦の時に正に午位に当たりて自己の盛大を顕示することを敢えてせず。

故《易》曰:日中則昃,月盈則蝕,天地盈虛,與時消息。是則正南方者,君人之所面向也,故莫敢輕焉。而五星伏見,日數各殊,遲疾逆順,其數不等,求之見合,大較同一術焉。今列之如左:

ゆえに《周易・豊卦・彖伝》にいう。太陽は正中に至れば就ち西に偏し、月は圓満すれば就ち虧蝕す。天地の盈満と空虚は、皆時節に随って消長す。見るべし、正南方は君主が南面して坐して朝向する所の方位。これがためにどの一顆の星もそれを軽慢することを敢えてするなし。而して五星の隱伏と出現の日数は各々相同じからず、遅・疾・逆・順の数値も一様ならず。但しそれらの出現と相合を推求する方法は、大体上は同一套の算術。現在はそれらを下に開列す。

歲星,率五十三萬四千五百三。(一本云:五百三百分一之五。)晨伏十六日。一終三百九十八日。熒惑,率一百四萬五千九十四六分半。晨伏七十二日。一終七百七十九日。填星,率五十萬六干六百三十八七分半。晨伏十八日。一終三百七十八日。

歳星は、会合の率は五十三万四千五百零三(另一种の本子は「五百三又三百分之五」と作る)。晨伏十六日、一整周を繞行するは三百九十八日。熒惑は、会合の率は一百零四万五千零九十四又六分半。晨伏七十二日、一整周を繞行するは七百七十九日。填星は、会合の率は五十万六千六百三十八又七分半(原文は「千」を「干」と写す)。晨伏十八日、一整周を繞行するは三百七十八日。

太白率七十八萬二千四百五十分。晨伏六日。一終五百八十三日。晨見伏三百二十七分。同夕見伏二百五十六日。辰星,率十五萬五千二百七十八五分半。晨伏十一日。一終一百一十五日。晨見伏五十二日分,同夕見伏五十三日、五十六日。推合見日月術。

太白は、会合の率は七十八万二千四百五十分。晨伏六日、一整周を繞行するは五百八十三日。晨見より隱伏に至るは三百二十七分、それと相対する夕見より隱伏に至るは二百五十六日。辰星は、会合の率は十五万五千二百七十八又五分半。晨伏十一日、一整周を繞行するは一百一十五日。晨見より隱伏に至るは五十二日分、それと相対する夕見より隱伏に至るは五十三日あるいは五十六日。以上就是五星と日月との会合・初見を推算する方法である。

星官占第二十三

夫五星者,昊天上帝之五使,稟神受命,各司下土,雖幽潛深遠,罔不知悉。故或有福德佑助,或有禍罰威刑,或順軌而守常,或錯亂以顯異,芒角變動,光色盛衰,居留干犯,句巳掩滅。所以告示者,蓋非一途矣。

五星は、昊天上帝の派出した五位の使者で、神明を秉承し・天命を接受し、各々人間の一方の土地を主管す。人間の事は即便隱微・深藏し・幽遠にして見難きも、それらは知暁・詳尽せざるなし。ゆえにそれらは時に福德を降下して佑助を加え、時に禍罰を施加して威刑を顕示し、時に軌道に循って常度を安守し、時に錯乱・失序してもって異常を顕出す。それらはあるいは芒角を生じ、あるいは変動・揺曳し、光色は時に盛時に衰え、あるいは居し・あるいは留し・あるいは干し・あるいは犯し、あるいは勾曲の「句巳」の形を走出し、あるいは別の星を掩蔽してそれを隱滅せしむ。上天が用いて人間に告示する方式は、本來一条の途徑に止まらず。

凡五星,各有常色,各有本體。至如歲星色青,熒惑色赤,如大角,如參左肩,是其常色。填星色黃,太白色白,如五車大星有光。辰星色黑,如奎大星。凡五星,色青員為飢而憂,赤員多旱而爭,黃員女主喜,白員為喪與兵,黑員水而病。

およそ五星は、各々それが固定の顔色あり、各々それが本来の形体あり。譬如歳星は色青く、熒惑は色赤く、赤きこと大角星のごとく・参宿左肩のあの一顆の星のごとし——これがすなわちそれらの常色。填星は色黄、太白は色白く、白きこと五車中の大星のごとく光あり。辰星は色黒く、黒きこと奎宿の大星のごとし。およそ五星は、顔色が青を発して圓なるは、飢荒と憂患を主る。赤を発して圓なるは、旱多くしてかつ争闘あるを主る。黄を発して圓なるは、女主に喜慶あるを主る。白を発して圓なるは、喪事と兵禍を主る。黒を発して圓なるは、水災と疾病を主る。

凡五星,黃角土地之爭,赤角犯誤城,白角為兵,青角為憂,黑角死喪。凡五星,五色變常者,青為憂,赤為爭旱,黃為喜,白為兵,黑為喪病。

およそ五星が黄色の芒角を生ずれば、土地を争奪するを主る。赤色の芒角を生ずれば、城邑を侵犯して差失を致すを主る。白色の芒角を生ずれば、兵禍を主る。青色の芒角を生ずれば、憂患を主る。黑色の芒角を生ずれば、死喪を主る。およそ五星の五色が常態を改変すれば、青に変ずれば憂患を主り、赤に変ずれば争闘と旱災を主り、黄に変ずれば喜慶を主り、白に変ずれば兵禍を主り、黒に変ずれば喪事と疾病を主る。

夫五星繫八卦:填星繫於坤艮。故其行最遲,象地之與山不可移易。不易者,女人之德也。歲星繫於震巽。巽象草木之生動而遲也,又似風雷有時而作耳。雷震百里,風為號令。而震動者,人君之象也,故象主德焉。

五星は各自八卦に繋属す。填星は坤卦と艮卦に繋属す——ゆえにそれの運行は最も慢く、大地と山岳の移易し可からざるを象徴す。移易せざるは、正に女子の徳。歳星は震卦と巽卦に繋属す。巽卦は草木の生長を象徴し、動に在る虽も遅緩にして、また風雷が時に按って発作するがごとし。雷声は百里を震動し得べく、風は則ち号令を象徴す。而して震動の象は正に人君の象徴。ゆえに歳星は君主の徳に象を取る。

熒惑繫於離。離,火也。凡物之恆動不靜者,火也。火能照明糾察,燔燒穢積,故蕩除暴。故熒惑,行疾於水,而象禮官,察獄以罰萬物。《易》曰:相見乎離,大人以繼明照于四方。故主體察焉。

熒惑は離卦に繋属す。離はすなわち火。万物の中に恒久に運動して静止せざるは、すなわち火。火は能く照亮・明察し・奸慝を糾挙し、汚穢・積垢を焚焼す。ゆえに能く暴乱を盪除す。これがために熒惑の運行は辰星(水)より還た快く、礼を掌る官に象を取り、獄訟を審察してもって万物を懲罰す。《周易・説卦伝》にいう。万物は離卦に在りて相見る。《離卦・象伝》にいう。大人は相継いで絶えざる光明をもって四方を照臨す。ゆえに熒惑は体察・糾核の事を主管す。

太白繫於乾,為天體行健不息,故金行最急。《易》曰:悅乎兌,戰乎乾。故主兵,兵又須有威,故主威。兌為悅,言以悅使人,以威臨物,乾兌之道也。故太白主兵焉。

太白は乾卦に繋属す。乾は天体で、運行は剛健にして息まず。ゆえに金星の運行は最も急疾。《周易・説卦伝》にいう。兑卦に在りては欣悦し、乾卦に在りては交戦す。ゆえに太白は兵事を主管す。兵を用うるはまた必ず威厳あるべし。ゆえにそれもまた威権を主管す。兑卦は悦を為すは、欣悦をもって人を役使し・威厳をもって万物を統御するを説く——これは正に乾・兑両卦の道理。これがために太白は兵事を主管す。

辰星繫於坎,坎為水者,晝夜常流,無有休息。故水行亦速,與金相似。坎為水,為陰,為盜,為刑,刑盜於險,司獄之官也。故其坎所主於刑焉。

辰星は坎卦に繋属す。坎は水を為し、水は昼夜長流して休止なし。ゆえに水星の運行もまた很も快く、金星と相似す。坎は水を象徴し、もまた陰を象徴し、盗賊を象徴し、刑罰を象徴す。險難の地に在りて盗賊を懲治するは、正に牢獄を掌管する官の職分。ゆえに坎卦の主る所は、すなわち刑罰の事。

凡五星之入列宿與中外官,其占大同。但當以理消息其吉凶,不可一一具陳也。凡月之行也,每去五星十度內,必疾行向之。若道內外則屈,屈回就之。過之則遲行,留止不速去。又辰星欲見,有時依度合見而入氣差。伏者,去之十八度內,有星者見,先星則不見。此皆相從就之大例也。並著在歷術之中,其日蝕交分亦然。

およそ五星が二十八宿および中官・外官の各星座に進入するは、占法は大体相同じく、ただ応に事理に按って斟酌・推詳してその吉凶をし、一条一条全部列挙する法なし。およそ月の運行は、毎当五星に距ること十度以内に至れば、必定に速度を加快してそれに趨向す。もし黄道の内外に在れば、行跡は就ち弯曲し、繞りて回りてそれに靠近す。越過して後に便ち速度を放慢し、逗留して肯んじて很も快く離去せず。また辰星の将に出現せんとするがごときは、時に度数に按って本に応に出現すべきに、却って入気の推算に差あるがために見えず。いわゆる「伏」とは、それに距ること十八度以内に在り、もし別に星あれば則ち看見し得べく、もし星の先に在れば便ち看えざる。これらは皆天体が彼此趨從・靠近する通例で、一併に暦法の中に載る。日蝕・交食の分数もまた同様の道理。

其五行代王,四序不一,各於其時而為主焉。及其司過見罰,降福呈祥,則大小異其貌,休王殊其色。或光潤明淨。或微細芒角,犯有少異,即可消息占之,不必要待其間有斗蝕掩犯也。四時之色,春青,夏赤,秋白,冬黑,四季黃。占於列國也,則明勝暗,喜勝怒。其憂喜之色,則以同前。

五行は更迭して権を当て、四季は各々相同じからず、各々自ら当令の時に在りて主を為す。それらが過失を察挙し・刑罰を顕示し、あるいは福澤を降下し・祥瑞を呈現するに及んで、就ち形体の大小によって形貌を同じからざらしめ、休囚・旺相によって顔色に別あり。あるいは光沢・潤潔・明浄、あるいは細微にして芒角を生ず。ただ干犯の中に略々異常あらば、就ち斟酌・推詳して占断を加うべく、必ずしも一定要その間に斗・蝕・掩・犯の出現を待つを要せず。四季の正色は、春は青・夏は赤・秋は白・冬は黒、四季の末の辰・戌・丑・未月は黄。用いて列国の事を占断すれば、則ち明亮は昏暗に勝り・喜色は怒色に勝る。憂色と喜色の分別に至っては、前面に講じた所と同じ。

凡五星之內,有三星巳上同宿,為合。凡聚合之宿,相生則吉事興,相剋則凶事起。宿之行性,並於當方為定,兼之宿占,而察其事焉。二星明,相和大吉,相剋大凶。福德先至為吉,刑禍先至為凶。刑禍先去為吉,福德先去為凶。一吉一凶,兩事俱發,但當修德以備之。

およそ五星の中、三顆以上が同じく一宿に処るを、就ち「合」と呼ぶ。およそ聚合の所在する星宿は、星の五行と相生すれば則ち吉事が興起し、相克すれば則ち凶事が発生す。星宿の五行の属性は、皆それが所在する方位をもって準と為し、再び当該の宿の本身の占辞を合上し、もって主る所の事を考察す。両星が明亮の時、五行が相和すれば則ち大吉、相克すれば則ち大凶。福德の星が先到するは吉を為し、刑禍の星が先到するは凶を為す。刑禍の星が先に離去するは吉を為し、福德の星が先に離去するは凶を為す。もし一吉・一凶が并見すれば、就ち吉凶両事が一斉に発生す——ただ応に徳行を修養してもってそれに防备すべし。

二星已上聚合,皆為改革政令。三星若合,是謂驚,改立侯王。四星若合,是為大蕩,其國兵喪並起,君子憂,小人流。五星若合,是謂易行,改立王者,掩有四方,子孫蕃昌,亡德受殃,滅其宗廟,百姓離去,被滿四方。五星大,事大;小,事小。

両顆以上の星が聚合するは、皆政令を改革するを主る。三星が相合するは、「驚」と呼び、諸侯王を改立するを主る。四星が相合するは、「大蕩」と呼び、あの分野の国家は兵禍と喪事が一斉に興起し、君子は憂愁し、小人は流亡す。五星が相合するは、「易行」と呼び、天下の主を改立するを主る。徳あるは四方を取得し、子孫は繁盛・昌隆す。徳なきは反って禍殃を受け、宗廟が滅せられ、百姓は离散・逃亡し、流散して四方に布満す。五星の形体が大なれば、主る所の事は就大し。形体が小なれば、主る所の事は就小し。

五星干犯中外官占第二十四

五星犯攝提,臣謀其君。若主出之,有兵起,期一年。五星犯守大角,臣謀主,有兵起,人主憂,王者戒慎左右,不出八十日,遠期一年。五星入市中,將凶。一曰五官有憂,一曰赦。

五星が摂提星を侵犯すれば、臣下がその君主を図謀するを主る。もし君主が外出すれば、就ち兵事の興起あらん——応期一年。五星が大角星を侵犯しかつ駐守すれば、臣下が君主を図謀し・兵事の興起あり・君主に憂患あるを主り、君王は当に左右の近臣を警戒・提防すべく、事発は八十日を出でず、最遠は応期一年。五星が天市垣の中に進入すれば、将帥に凶あるを主る。另一説は五官の長に憂あり、還た一説は将に大赦あらんとす。

五星犯帝座,為臣謀主,有逆亂事。五星犯守東西咸,為臣有不從令,有陰謀。五星犯天江,天下水,若入之,大水滿城郭,人民飢,去其鄉。五星干犯五車,大旱,若喪。犯庫星,兵起北方、西方。犯倉,穀貴,有水。

五星が帝座星を侵犯すれば、臣下が君主を図謀し・叛逆・作乱の事あるを主る。五星が東咸・西咸二星を侵犯しかつ駐守すれば、臣下が政令に服從せず・暗中に別に図謀あるを主る。五星が天江星を侵犯すれば、天下に水あるを主る。もしその中に進入すれば、大水が城郭に灌満し・百姓が飢荒し・郷を離れて逃亡するを主る。五星が五車星を干犯すれば、大旱を主り、あるいは喪事あり。庫楼星を侵犯すれば、兵事が北方・西方より興起するを主る。天倉星を侵犯すれば、穀価が騰貴し、かつ水災あるを主る。

五星犯建星,大臣相諧。五星犯離珠,宮中有爭,若有亂宮者,若宮人有罪黜者。五星入天市,將軍興軍者吉。五星守犯天關,道路絕,天下相疑,為有關梁之令。五星出北河戒北,若乘北河戒,為女喪。

五星が建星を侵犯すれば、大臣が互いに勾結・附和するを主る。五星が離珠星を侵犯すれば、宮中に争闘あり、あるいは宮中に作乱する人あり、あるいは宮人が罪を獲て貶退せらるるを主る。五星が天市垣に進入するは、将軍が兵を興し武を用うるに対し吉利なり。五星が天関星に駐守しかつ侵犯すれば、道路が断絶し・天下の人が彼此猜疑し・将に関卡・橋梁方面の禁令あらんを主る。五星が北河戒の北面に出現し、あるいは北河戒に圧臨すれば、女子の喪事あるを主る。

五星中犯乘守五諸侯,諸侯死,期三年。五星入五諸侯,伺其日出而數之,皆二十日兵發,伺始入處,率百日,期十日軍罷。《巫咸占》曰:五星入二十八宿宮,中外宮同。五星犯守積水,其國有水災,物不成,魚鹽貴。一曰:水潦為敗,糴大貴,民飢期三年。

五星が当中を衝犯し・圧臨しかつ五諸侯星に駐守すれば、諸侯の死亡を主り、応期三年。五星が五諸侯星に進入するは、それが出で来るあの日を守候してかつ計数すべく、一律二十日の内に兵事が発動す。再びそれが当初進入の位置を守候すれば、大約一百日——応期十日の内に軍隊が解散す。《巫咸占》にいう。五星が二十八宿の宮位に進入するは、中官と外官の占法は相同じい。五星が積水星を侵犯しかつ駐守すれば、あの一分野の国家に水災あり・作物が成らず・魚塩の価が貴きを主る。另一説は、積水が澇を成して災害を造成し・糧価が大漲し・百姓が飢荒し、応期三年。

五星犯守積薪,天下大旱,五穀不登,人民飢。五星犯守水位,天下以水為害,津樑阻塞。一曰:大水入城郭,傷人,民皆走,期二年。五星守酒旗,則天下大酺,賜爵宗室。

五星が積薪星を侵犯しかつ駐守すれば、天下が大旱し・五穀が歉収し・百姓が飢餓するを主る。五星が水位星を侵犯しかつ駐守すれば、天下が水をもって害と為し・渡口と橋梁が阻塞して通ぜざるを主る。另一説は、大水が城郭に灌み進み・人口を淹傷し・百姓が四散・奔逃し、応期二年。五星が酒旗星に駐守すれば、那就ち天下が大いに酒宴を擺して聚飲し、かつ宗室に向かい爵位を賜与するを主る。

五星入天庭,色白潤澤,期百八十日,有大赦。五星東行入太微庭,歲不登,人民飢,遲出東門,天下有急兵。若守之,將相大臣御史有死者。若入端門守庭,大禍至。

五星が天庭(太微垣)に進入し、顔色が潔白にして潤澤なるは、応期一百八十日、将に大赦あらん。五星が東行して太微垣の庭中に進入するは、年成が歉収し・百姓が飢荒するを主る。もし遅遅としてようやく東門より出づれば、天下に緊急の兵事あるを主る。もしそれが垣中に駐守すれば、将・相・大臣・御史の当中に人の死亡するありを主る。もし端門より進入して庭中に駐守すれば、大禍の臨頭を主る。

入南門,出東門,國大旱;入南門,逆行出西門,國有大水;逆行入東門,出西門,大國破亡;若順入西門蕃而留不出,楚國凶殃。五星若從右入太微,主有大憂,有赦。犯將相,執法大臣有憂,執法者誅。(金火尤甚。)五星入太微中華東西門,若左右掖門,而出端門者,必有反臣。

南門より進入し・東門により出づるは、国中に大旱あるを主る。南門より進入し・逆行して西門により出づるは、国中に大水あるを主る。逆行して東門より進入し・西門により出づるは、大国が破敗・滅亡するを主る。もし順行して西門より進入し、藩垣の内に滞留して出でざれば、楚地が凶殃を遭受するを主る。五星はもし右辺より太微垣に進入すれば、君主に大憂あり・かつ将に赦令あらんを主る。将星・相星を侵犯すれば、執法の大臣に憂あり・執法の官が誅せらるるを主る(太白と熒惑がこれを犯すは尤其厳重)。五星が太微垣の中華東門・中華西門より、あるいは左掖門・右掖門より進入して、しかして端門により出づるは、必定に反叛の臣あらん。

五星犯黃帝座,改易主,天下亂,存亡半。五星犯守四帝座,臣謀主,去之,去一尺,事不成。五星中犯乘守四帝座,闢君也。星中犯乘四帝座,天下半亡。五星守內屏星,君臣失禮,下而謀上。一曰:大臣有戮死者。

五星が黄帝座星を侵犯すれば、君主を更換し・天下が大乱し・存する者と亡する者とが各々半を占めるを主る。五星が四帝座星を侵犯しかつ駐守すれば、臣下が君主を図謀するを主る。もしそれが離去し、離去すること一尺なれば、則ち事情は成就し能わず。五星が当中を衝犯し・圧臨しかつ四帝座に駐守すれば、君主が廃黜せらるるを主る。星が当中を衝犯しかつ四帝座に圧臨すれば、天下に半の人の喪亡あるを主る。五星が内屏星に駐守すれば、君臣の間が礼節を失去し・下位に居るが上位に居るを図謀するを主る。另一説は、大臣の中に殺死せらるるあり。

五星入羽林,有兵起。若逆行變色,成句巳,天下大兵,關梁阻塞,不出其年。五星犯天廩,天下亂,大飢,粟散出其年。五星守參旗,兵大起,弓弩用,大將出行。一曰弓矢貴。

五星が羽林軍星に進入すれば、兵事の興起あるを主る。もし逆行してしかも色を変じ、勾曲の「句巳」の形を走成すれば、天下に大規模の戦事あり・関卡・橋梁が阻塞して通ぜず、当年を出でずして応験するを主る。五星が天廩星を侵犯すれば、天下が大乱し・大いに飢荒を鬧かし・倉中の粟米が散発せられ出づるを主り、就ち当年に応験す。五星が参旗星に駐守すれば、兵事が大起し・弓弩が用場に派し・大将が出征するを主る。另一説は弓箭の価格が昂貴なり。

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