雑星・祆星の占(雜星祆星占)第五十
祆星晝見。甘氏曰:星與日並出,名曰婦女與日爭光,武且弱,文且強,在邑為文,在野為兵。恆星不見。楊泉《物理論》曰:凡無名之星,一見一不見,唯二十八宿度數有當,故曰恆。《左氏傳》曰:魯莊公時恆星不見,夜中,星隕如雨。傳曰:恆星不見,夜明也。《穀梁傳》曰:常者在位,人君之象。不見者,無君之象。晉世祖太始四年七月,星隕如雨,西流星隕,民叛吳歸晉之象也。
妖星が白昼に現れること。甘氏は言う――この種の星は太陽とともに現れ、「婦女が日と光を争う(婦女与日争光)」と名づけ、武力が衰えて文教が盛んになる兆しである。城邑の上空に現れるのは文事に応じ、原野の上空に現れるのは兵事に応じる。恒星が見えなくなること。楊泉『物理論』は言う――およそ名号のない星は、ある時は見え、ある時は見えない。二十八宿だけが一定の度数・位次をもつため「恒星」と称する、と。『左氏伝』の記載――魯の荘公の時に恒星が見えなくなり、夜半に至って流星が雨のように降った。伝文の解釈によれば、恒星が見えないのは夜空が明るすぎるからである。『穀梁伝』は言う――常に位に在るのは人君の象徴である。恒星が見えないのは君なき象徴である、と。西晋世祖泰始四年七月、流星が雨のように墜ちて、星は西に向かって流れ落ちた。これはまさに民衆が東呉を裏切って晋朝に帰順する徴象であった。
斗搖占。《呂氏春秋》曰:至亂之代,有星斗星搖。漢文帝元年,中星盡搖,上問候星者,對曰:星搖者,民勞也。後伐四夷,百姓勞於兵革。京房《易傳》曰:星者陰陽之精,萬物之體,五行之形。其體在下,精耀在上。百官之命,各因其原,飛及行,萬人不安。大星隕下,陽失其位,災害之萌也。其救也,人君當悔過,反政責躬,省徭役,安國封侯,以寧人為先,則宿星正矣。京房《易傳》曰:君不任賢,厥祅,天雨星。
星辰が揺動する占。『呂氏春秋』は言う――極乱の世になると、星辰と北斗の星が揺れて定まらない、と。漢の文帝元年、天空の正中にある衆星がすべて揺動した。皇上が星象を観測する官に問うと、答えて言う――星辰が揺動するのは百姓が労苦する兆候です、と。後に朝廷が四方の夷族を討伐し、百姓は果たして兵革の役に苦しんだ。京房『易伝』は言う――星は陰陽の精華・万物の形体・五行の形象である。形体は下界に在り、精光は上天に照る。百官の命運は各々その本源の星宿に依る。星が飛び星が行き常度を失えば、万民は安寧を得ない。大星が墜落するのは陽気が本位を失うことで、これは災害の萌す先兆である。補救の方は――人君は悔い改め、政事を反省し自らを責め、徭役を減省し、邦国を安んじ功臣を分封し、百姓を安んじることを先とすれば、諸宿の星は正位に帰る、と。京房『易伝』はまた言う――君主が賢人を任用しないとき、その妖異の応は、天より星が雨のように落ちることである、と。
祅占。《黃帝占》曰:祅者,五行之氣,五星之變,各見其方,以為災殃。各以五色占,知何國吉凶,必決矣。行見無道之國,失禮之邦,為飢為兵,水旱死亡之徵。《黃帝占》曰:凡祅所出,形狀不同,為殃一也。其出不過一年,若三年,必有破國屠城,其君死亡,天下反亂,戰死於野,積尸縱橫,餘殃不盡,為水旱、兵飢、疾疫之殃也。
妖異の星の占。『黄帝占』は言う――いわゆる「妖」とは、五行の気の化するもの・五星の常を失う変で、各々相応する方位に現れて、もって災殃を示すものである。青・赤・黄・白・黒の五色によって分かち占断すれば、どの国の吉凶かを知ることができ、必ず判定できる。妖星が運行して無道の国・礼を失う邦に顕現するのは、饑饉を主り・兵禍を主り、水旱と死亡の兆しである、と。『黄帝占』はまた言う――およそ妖星が現れるとき、形状は各々同じでないが、もたらす禍殃は同じである。それが出てから一年を経ず、あるいは三年、必ず国破れ城屠られる禍があり、その国の君主が死亡し、天下が反背して乱れ、士卒が荒野に戦死して屍が縦横に積み重なる。余る災殃が散じ尽きなければ、化して水旱・兵禍・饑饉と疫病の災いとなる、と。
天棓。《河圖》曰:歲星之精,流為天棓。班固《天文志》曰:歲星嬴而東南,變為天棓。石氏曰:天棓出,其國凶,不可舉事用兵。又曰:期三月,必破軍拔城。甘氏曰:天棓見,女主用事。
天棓(てんぱい)。『河図』は言う――歳星(木星)の精気が流散すれば、化して「天棓」となる、と。班固『天文志』は言う――歳星が運行して常度を超え東南に偏すれば、変じて天棓となる、と。石氏は言う――天棓が現れると、その分野の国に凶禍があり、大事を興し兵力を動かすことはできない、と。また言う――応期は三ヶ月、必ず軍隊の撃破され城池の攻め取られることがある、と。甘氏は言う――天棓が現れるのは、女主が権を当たり政を理める兆しである、と。
天槍占。《春秋緯》曰:歲星退而南,三月生天槍。陽亢變萌,義亂兵行,諸侯大橫,所見國,無用兵。《漢書天文志》曰:孝文帝時,天槍夕出西南。占曰:為兵喪亂。其六年十一月,匈奴入上郡雲中,漢起兵以衛京師。劉向曰:吳楚七國反。
天槍の占。『春秋緯』は言う――歳星が逆行して南に偏し、三ヶ月後に「天槍」を生ずる。これは陽気の亢盛・変異の萌生する象で、道義の敗壊・動乱の興起・兵馬の出行を主り、諸侯が極めて横暴となる。それが現れた分野の国は、兵を用いるに宜しくない、と。『漢書天文志』は言う――漢の文帝の時、天槍が夕暮れに西南方に現れた。占辞に――兵事・丧事と動乱を主る、と。文帝六年十一月、匈奴が上郡と雲中に侵入し、漢は兵を調べて京師を拱衛させた。劉向はこの天象を呉楚七国の反乱に応じたとした。
國皇。巫咸曰:國皇之大而赤,類南極老人也。《春秋考異郵》曰:國皇見東南,則兵起,天下急。司馬彪《天文志》曰:孝靈光和中,國皇見東南角,去地一二丈,如炬火狀,十餘日不見。占曰:國皇為亂,內外有兵喪,其後黃巾賊張角燒州郡,朝廷遣將討平,斬首十餘萬級。
国皇(こっこう)。巫咸は言う――国皇の星は形体が大きく色が赤を帯び、南極老人星に類似する、と。『春秋考異郵』は言う――国皇が東南方に現れれば、兵事の興起を主り、天下に急を告ぐ、と。司馬彪『天文志』は言う――漢の霊帝光和の間、国皇の星が東南の角に現れ、地を離れること一二丈、火炬の形の如く、十数日して見えなくなった。占辞に――国皇は動乱を主り、朝廷の内外に兵事と丧事がある、と。この後、黄巾の張角が州郡を焼き、朝廷は将を遣わして討伐して平定し、十余万級を斬った。
蚩尤旗。《河圖》:熒惑之精,流為蚩尤旗,類彗而後委曲,象旗也。《說苑》曰:蚩尤旗,五星盈縮之所生。夏氏曰:四望無雲,獨見赤雲,蚩尤旗也。《黃帝占》曰:蚩尤旗,本類彗而後委曲,象旗幡,長可二三丈。見則王者旗鼓大行,征伐四方,兵大起。不然,國有大喪,期三年,中五年,遠七年。魏高貴鄉公元年,有白氣出南北側,廣數丈竟天。王肅曰:蚩尤旗也,東方有亂乎?後毋丘儉據淮南以叛。《春秋運斗樞》曰:蚩尤旗干太微,法滅,帝死於野。
蚩尤旗。『河図』は言う――熒惑(火星)の精気が流散すれば、化して「蚩尤旗」となる。形状は彗星に類似して尾部が曲がり、旗一面のようである、と。『説苑』は言う――蚩尤旗は五星の運行の盈縮が常を失うことより生ずる、と。夏氏は言う――四方望んでも雲がなく、ただ一片の赤雲を見るとき、それがすなわち蚩尤旗である、と。『黄帝占』は言う――蚩尤旗は本体が彗星のようで尾部が曲がり、旗幡の姿の如く、長さおよそ二三丈である。それが現れると、君王が大いに旌旗・戦鼓を挙げて四方を征伐し、兵事が大いに興る兆しである。もしそうでなければ、国に大喪がある兆しで、応期三年、中は五年、遠くは七年である。曹魏の高貴郷公の元年、白気が南北両側より起こり、幅は数丈に達して長空を横貫した。王粛は言う――これは蚩尤旗である。東方におそらく変乱があるであろう、と。後に毌丘倹が果たして淮南に拠って反逆した。『春秋運斗枢』は言う――蚩尤旗が太微垣を侵犯するのは、法度の廃滅を主り、皇帝が野外に死する兆しである、と。
天讒占。甘氏曰:天讒在西南,長數丈,左右銳,出而易處。京房曰:天讒出其下,相讒為兵,赤地千里,枯骨籍籍。《漢書天文志》曰:天讒為天喪。(一雲兵喪。)
天讒の占。甘氏は言う――天讒の星が西南方に現れ、長さ数丈、左右両端が鋭く、現れた後に位置を移し替える、と。京房は言う――天讒がどこかの上空に現れれば、そこの人は互いに讒毁して兵禍を引き起こし、赤地千里・白骨が遍地に狼藉する、と。『漢書天文志』は言う――天讒は上天の降す喪亡を主る、と(もう一つの説では兵事と丧事を主るという)。
旬始。《說苑》曰:旬始,五星盈縮之所生也。巫咸曰:旬始出於北斗旁,狀如雄雞,其怒有青黑,象伏鱉。《春秋合誠圖》曰:黃彗分為旬始,為立王之題,主亂主招橫,見則臣亂兵作,諸侯虐,期十年,聖人起伐,群猾橫恣。《春秋考異郵》曰:旬始照其下,必有滅王。《漢天文志》曰:旬始如鱉,一見群猾橫恣。《玄冥占》曰:有如雄雞,其色赤黃,其名曰旬始,則天下有兵,其國不寧,期三年。
旬始(じゅんし)。『説苑』は言う――旬始は五星の運行の盈縮が常を失うことより生ずる、と。巫咸は言う――旬始は北斗の傍に現れ、形状は一羽の雄鶏のようである。それが怒るときは青黒の色を帯び、形は地に伏す鼈のようである、と。『春秋合誠図』は言う――黄色の彗気が分化して旬始を出す。それは新王を擁立する標記で、動乱を主り・横暴を招く。現れると臣下の作乱・兵禍の興作を主り、諸侯が暴虐となり、応期は十年、その間に聖人が兵を起こして討伐し、一群の奸猾の徒が横行放肆する、と。『春秋考異郵』は言う――旬始がどこかを照臨すれば、そこに必ず君王の滅ぶることがある、と。『漢天文志』は言う――旬始は形状が鼈のようで、一旦現れると群奸が横行放肆する、と。『玄冥占』は言う――一種の星は形が雄鶏の如く、色は赤黄、名を旬始という。それが現れると天下に兵事のあることを主り、その国は安寧を得ず、応期三年である、と。
天狗。《黃帝占》曰:天狗者,五星之氣,出西南,金火氣合,名曰天狗。孟康曰:天狗有尾,旁有短彗,下有如狗下食血,其軍必敗。石氏曰:西北有星,長三丈而出,水金氣交,名曰天狗,見則大兵起,天下大飢,人相食。石氏曰:夫天狗所下之處,必有大戰,破軍殺將,伏尸流血,天狗食之。皆期一年,中二年,遠三年,各以其所下之國占之。郄萌曰:出狀赤白有光,即為天狗,其下小小無足。所下之地,必流血,國易政。
天狗(てんぐ)。『黄帝占』は言う――天狗は五星の気の化するもので、西南方に現れ、金気と火気が相合して成り、名を天狗という、と。孟康は言う――天狗には尾があり、傍に短い彗芒を帯び、下端は一疋の狗が身を俯せて血を舐めるようである。それに遭う軍隊は必ず敗戦する、と。石氏は言う――西北方に星があって、長さ三丈にして現れるのは、水気と金気の交合して成るもので、名を天狗という。それが現れると大規模な兵事の興起を主り、天下に大饑饉があり、人が人を食う、と。石氏はまた言う――およそ天狗の墜落する所には、必ず大戦があり、軍隊が撃破され・将が殺され、屍が横たわり鮮血が遍く流れ、天狗に呑食されるが如くである。これらはすべて一年で応じ、中は二年、遠くは三年、各々その墜落に対応する国によって占断する、と。郄萌は言う――現れる時に形状が赤白にして光あるものが、すなわち天狗である。その下端は小さく脚なく、それが墜落する所は必ず血が流れ、国家は政権を換える、と。
《漢天文志》曰:哀帝時著天白氣,廣如一匹布,長十餘丈,如雷,西南行止,名曰天狗。傳曰:言之不從,則有狗禍、詩祅。其年人相驚動,喧譁奔走。《春秋緯》:天狗如犬奔有聲,望之如火,見則四方相射。《漢史》云:西北有三丈如火,名曰天狗,出則人相食。《天官》云:天狗狀如犬。《鏡星》又曰:大流星,有聲,其止地,類狗所墜,如火光中天。其下圓,如數頃田處,上銳,見有黃色,千里破軍殺將。《漢史》又曰:昭明,下為天狗,兵起流血,占昭明。《洛書》曰:昭明見,霸者出。《運斗樞》曰:昭明有芒角征也。《河圖》曰:太白散為天狗。又曰:有出其狀赤白有光,則為天狗。其下小無足,所下國易主。貞觀十三年正月三日日午,東南方有聲如雷,久而方絕。參驗此徵,多是天狗下,眾說不同,未詳孰是。推亂亡之運,此其必天狗乎。
『漢天文志』は言う――漢の哀帝の時、天上に一道の白気が現れ、幅は一匹の布の如く、長さ十余丈、声は雷鳴の如く、西南に向かって運行して後に留まり、名を天狗という、と。伝文に――言語が正理に合わなければ、狗妖の禍と歌謡の妖が起きる。その年、人々は互いに驚き乱し、諠譁して奔走した、と。『春秋緯』は言う――天狗は狗のように走りて声響を帯び、望むと一団の火のようである。それが現れると四方の互いに攻射するを主る、と。『漢史』は言う――西北方に長さ約三丈・形状が火のようなものがあって、名を天狗という。それが現れると人が人を食うを主る、と。『天官書』は言う――天狗の形状は犬のようである、と。『鏡星』はまた言う――大流星があって、声響を帯びて地上に墜落し、一条の狗が落ちるようで、火光が半空を照らす。落ちた所は下部が円く広く約数頃の田ほどで、上部は鋭く、望むと黄色を帯び、千里の内で軍隊の破れ・将の殺されることを主る、と。『漢史』はまた言う――昭明星が降下すれば天狗となり、兵事の興起・血流成河を主る。これは昭明を占う説である、と。『洛書』は言う――昭明が現れると、覇を称する者の興起を主る、と。『運斗枢』は言う――昭明星が芒角を帯びるのが、その徴験である、と。『河図』は言う――太白(金星)の精が散じて天狗となる、と。また言う――星が現れて、形状が赤白にして光あるものがすなわち天狗である。それは下部が小さく足なく、墜落する国は君主を換える、と。唐の貞観十三年正月三日正午、東南方に雷鳴の如き声があって、久しくして止んだ。上面のこれらの徴験に照らして見れば、多くは天狗の墜落である。ただ各家の説が同じでないため、いずれが正しいかまだ分からない。もし乱亡の気運に依って推断するならば、これは恐らく必ず天狗であろう。
枉矢。《說苑》曰:枉矢,五星盈縮之所生也。巫咸曰:枉矢,類大流星,色蒼黑,蛇行,望之如有毛,(一雲目。)因長數匹,著天。《海中占》曰:枉矢,類流星,望之有毛目,可一匹布,皎皎著天。見則天下兵大起。將出,弓弩用,期三年。《漢天文志》云:枉矢所觸,天下之所伐射,滅亡之象也。又曰:枉矢流,以伐亂。又云項羽救鉅鹿,枉矢西流。占曰:枉矢所觸,天下之所伐射,滅亡之象也。物類莫直於矢,今蛇行不能直,矢而枉者,執矢者不正矣,以象項羽執正亂也。
枉矢(おうし)。『説苑』は言う――枉矢は五星の運行の盈縮が常を失うことより生ずる、と。巫咸は言う――枉矢は大流星に類似し、色は蒼黒で、行く時は蛇のように弯曲し、望むと茸毛が生えているようである(もう一つの説では眼睛が長じているようだという)。長さ数匹の布で、緊密に天空に貼り付く、と。『海中占』は言う――枉矢は流星に類似し、望むと茸毛と斑目があり、約一匹の布の長さで、明るく天に附している。それが現れると天下の兵事の大起を主る。それが現れようとする時、弓弩がまさに動用されようとし、応期三年である、と。『漢天文志』は言う――枉矢の触れる所は、すなわち天下の征伐し射殺せんとする対象で、滅亡の象徴である、と。また言う――枉矢が流れるのは、乱賊を討伐するためである、と。また項羽が巨鹿を救援した時、枉矢が西に向かって流れたと言う。占辞に――枉矢の触れる所は、すなわち天下の討伐せんとする対象で、滅亡の象徴である。万物の中で箭より直いものはないが、今この「箭」は蛇行して直くことができない。箭が曲がるとは、箭を執る者が正しくないことを説明し、ちょうど項羽が不正の身をもって撥乱の権を執ったことを象徴する、と。
天鋒。宋均曰:天鋒,彗象矛鋒也。《洪範五行傳》曰:漢昭帝時,天鋒出西方天市,東行過河鼓,入營室中,佔有亂臣戮死。後左將軍上官傑與燕王謀反伏誅。
天鋒(てんぽう)。宋均は言う――天鋒はすなわち形状が矛の尖のような彗星である、と。『洪範五行伝』は言う――漢の昭帝の時、天鋒が西方の天市垣に現れ、東に向かって運行して「河鼓」星を経て、「営室」宿の中に入った。占断は――乱臣が誅殺される、と。後に左将軍上官桀と燕王劉旦が謀反し、果たして法に伏して誅された。
蓬星。《荊州占》曰:蓬星,一名王星,狀如夜火之光,多則四五,少則二三。一曰:蓬星在西南,長數丈,左右有光,出而易處。《漢書天文志》曰:景帝中三年六月壬戌,蓬星見西南,在房南,去房可二丈,大如二斗器,白色;癸亥,在心東北,可丈所;甲子,在尾北,可六尺;丁卯,在箕北,近漢稍小,且去時大如桃;壬申,去,凡十日。占曰:蓬星出,必有亂臣。房心間,天子宮也,是時梁王欲為漢嗣,使人殺漢諍臣袁盎,漢欲誅梁大臣,斧鉞用,梁王恐懼,乘車入關,伏斧鑕謝罪,然後得免也。
蓬星(ほうせい)。『荊州占』は言う――蓬星はまたの名を王星といい、形状は夜の火光のようで、多い時は四五顆、少ない時は二三顆ある、と。もう一つの説――蓬星は西南方に現れ、長さ数丈、左右に光があり、現れた後に位置を移し替える、と。『漢書天文志』は言う――漢の景帝中元三年六月壬戌の日、蓬星が西南方に現れ、房宿の南に位置して、房宿を距ること約二丈、大きさは二斗を盛る器皿のようで、白色であった。癸亥の日、心宿の東北に移り、相距ること約一丈。甲子の日、尾宿の北に在り、相距ること約六尺。丁卯の日、箕宿の北に在り、銀河に近づいてやや小さくなり、まさに去ろうとする時の大きさは桃の如し。壬申の日に去った。前後計十日であった。占辞に――蓬星が現れれば、必ず乱臣がある。房宿と心宿の間は、まさに天子の宮廷である。当時、梁孝王は漢朝の皇位継承者になろうとして、直諫を敢えてする漢臣袁盎を刺殺する人を遣わした。朝廷は梁国の大臣を誅殺しようとして、斧鉞の刑がまさに動用されようとした。梁王は恐懼して、車に乗って関に入り、斧質の上に伏して罪を謝し、その後に禍を免れた、と。
気候の占(氣候占)第五十一
赤黃氣出紫微宮天皇大帝星上,有立王。赤氣潤澤入紫微宮天皇星上,如刀劍,天子有喜,皇后懷孕事。赤黃氣出紫微宮中東西蕃星,天子用錢賜諸侯王,又云兵起。赤氣出紫微宮中勾陳星上,兵起。
赤黄色の雲気が紫微宮の「天皇大帝」星の上より昇るのは、新王が擁立される兆しである。赤色にして潤沢の雲気が紫微宮に入り、天皇大帝星の上に罩み、形状が刀剣のようなのは、天子に喜慶があり・皇后が懐妊する兆しである。赤黄色の雲気が紫微宮の中の東蕃・西蕃の諸星より昇るのは、天子が銭財をもって諸侯王に賞賜する兆しである。もう一つの説では兵事の興起を主るという。赤色の雲気が紫微宮の中の「勾陳」星の上より昇るのは、兵事の興起する兆しである。
黃白氣潤澤,如刀劍形,入紫微宮,守禦女星上,天子有男喜事。黃白氣正圓如杯碗,入紫微宮中,有立侯王。一云:天子有璧玉事。黃白氣入紫微宮中,有立侯王。白氣如龍如風或類獸飛鳥,入紫微宮,皆神氣,客喜。黃白如杯碗正圓,入紫宮,倖臣有奉獻美食。蒼白氣入紫微宮,其禍除;或入長垣,胡人兵起。
黄白色の雲気が潤沢鮮明で、形状が刀剣のようで、紫微宮に入って「御女」星の上に止まるのは、天子に男子誕生の喜びのある兆しである。黄白色の雲気が正円で杯碗の如く、紫微宮の中に入るのは、侯王が擁立される兆しである。一説では天子が璧玉を賜る事のある兆しという。黄白色の雲気が紫微宮の中に入るのは、侯王が擁立される兆しである。白色の雲気が龍のよう・風のよう、あるいは走獣・飛鳥のようで、紫微宮に入るのは、これらは皆神霊の気で、遠来の賓客が喜事をもたらす兆しである。黄白色の雲気が杯碗のように正円で、紫宮に入るのは、寵愛を受ける臣子が美食を進献する兆しである。蒼白色の雲気が紫微宮に入るのは、もとの禍患が消除する兆しである。もし「長垣」星に入れば、北方の胡人が兵を起こす兆しである。
蒼白氣入勾陳中,大司馬戮死。赤氣出勾陳中,大將戰有功。白氣入勾陳中,天子立宗廟事。黃白氣出勾陳中,兵在外告罷事。黃白氣入勾陳中,將不戰。黑氣入勾陳中,大司馬軍中死事。黑氣入勾陳中,其禍除。
蒼白色の雲気が「勾陳」星の中に入るのは、大司馬が殺される兆しである。赤色の雲気が勾陳の中より昇るのは、大将が戦って功を立てる兆しである。白色の雲気が勾陳の中に入るのは、天子に宗廟を建立する事のある兆しである。黄白色の雲気が勾陳の中より昇るのは、外で征戦する軍隊が罷兵を奏報する兆しである。黄白色の雲気が勾陳の中に入るのは、将領が開戦しない兆しである。黒色の雲気が勾陳の中に入るのは、大司馬が軍中に死する兆しである。黒色の雲気が勾陳の中に入るのは、またもとの禍患が解除を得る兆しである。
蒼黑氣入北斗魁中,貴臣下獄事。蒼白黑氣出北斗魁中,大臣禁者其禍除。赤氣入北斗魁中,大臣斧鑕斬者。黃氣入北斗魁中,天子出惡令。黃白氣入北斗魁中,天子左右倖臣有囚者遇德令。黃白氣入北斗魁中,集輔星,相有喜。赤氣集輔星,相有斧鑕之誅。黃白氣集輔星,相擾。
蒼黒色の雲気が北斗の魁星の中に入るのは、貴臣が下獄される兆しである。蒼白と黒色の雲気が北斗魁の中より昇るのは、囚われた大臣の禍患が解除を得る兆しである。赤色の雲気が北斗魁の中に入るのは、大臣に斧質に斬殺される者のある兆しである。黄色の雲気が北斗魁の中に入るのは、天子が厳苛な政令を頒下する兆しである。黄白色の雲気が北斗魁の中に入るのは、天子の身辺の囚繫される寵臣が施恩の詔令に遇う兆しである。黄白色の雲気が北斗魁の中に入って「輔」星の上に聚まるのは、丞相に喜事のある兆しである。赤色の雲気が輔星の上に聚まるのは、丞相に斧質に誅殺される禍のある兆しである。黄白色の雲気が輔星の上に聚まるのは、丞相が侵擾を受ける兆しである。
蒼白氣出東西掖門,天子憂喪事;出太微中,其禍除。黃白氣潤澤入太微中,天子有喜事。赤黃氣入太微,天子用錢賜玉。赤黃氣如箕帚,出太微中,天子用錢賜美女。赤氣如杯碗正圓光明,出太微中,天子用璧賜諸侯。氣上赤下白,大如井口,從外入,壓太微庭者,邪臣氣;其氣直者,貴臣氣;出東掖門者,兵起,將受命。
蒼白色の雲気が太微垣の東掖門・西掖門より昇るのは、天子が丧事を憂うる兆しである。もし太微垣の中より昇れば、もとの禍患が消除する兆しである。黄白色の雲気が潤沢鮮明にして太微垣の中に入るのは、天子に喜慶の事のある兆しである。赤黄色の雲気が太微垣に入るのは、天子が銭財をもって玉器を賞賜する兆しである。赤黄色の雲気が形は簸箕と掃帚の如く、太微垣の中より昇るのは、天子が銭財をもって美女を賞賜する兆しである。赤色の雲気が杯碗のように正円にして明るく、太微垣の中より昇るのは、天子が玉璧をもって諸侯を賞賜する兆しである。雲気が上部は赤く下部は白く、大きさは井口の如く、外より入って来て太微垣の庭を圧するのは、これは奸邪の臣の気である。その気の笔直なのは、貴臣の気である。東掖門より出て行くのは、兵事の興起を主り、将帥が命を受けて出征する兆しである。
赤氣出太微中,兵起。一曰立王。赤氣入東西掖門,內亂兵起,入,主且有喜事,天必應之以雲光影。黃白出宮上,若旗有光,人主有大喜,延年益壽。赤黃氣入太微,潤澤如帚,婦女喜。黃白氣如杯碗,入太微,天子有壁玉喜。黃白氣類走獸飛鳥,入太微,皆神氣,客喜。黃白氣入太微東西掖門,天子喜獻見戰。黃白氣如杯碗正圓,入太微,有獻美女者。黃白氣太微中,有立王。黑氣如蛇蚨及龍形,在太微庭中宮闕上者,白衣之會,其同章環太微天庭而入,殺主有喪,此氣皆奸臣讒賊之氣。黃白氣出東西掖門,天子同德令。一曰:雲如鳥口在太微,有人為外應。黑氣入東西掖門,大人憂。
赤色の雲気が太微垣の中より昇るのは、兵事の興起を主る。一説では新王を擁立する兆しという。赤色の雲気が東・西掖門に入るのは、内乱して兵が起こる兆しである。気が入った後、君主にまさに喜事があるであろう。上天は必ず云彩・光影をもって相応ずる。黄白色の雲気が宮殿の上空に現れ、形状が旗幟のようで光あるのは、君主に大喜があり、延年益壽する兆しである。赤黄色の雲気が太微垣に入り、潤沢鮮明にして形が掃帚のようなのは、婦女に喜びのある兆しである。黄白色の雲気が杯碗の如く、太微垣に入るのは、天子に璧玉を得賜する喜びのある兆しである。黄白色の雲気が形は走獣・飛鳥の如く、太微垣に入るのは、皆神霊の気で、遠客が喜事をもたらす兆しである。黄白色の雲気が太微垣の東・西掖門に入るのは、天子が戦功の献捷を得る喜びのある兆しである。黄白色の雲気が杯碗のように正円で、太微垣に入るのは、美女を進献する者のある兆しである。黄白色の雲気が太微垣の中に現れるのは、新王が擁立される兆しである。黒色の雲気が形は蛇・蝮および龍の様子で、太微庭の中の宮闕の上に現れるのは、丧事の集会のある兆しである。その気が一片に結成し、太微天庭を環繞して侵入するのは、君主が殺されて喪のある兆しで、この類の気は皆奸臣と讒賊の気である。黄白色の雲気が東・西掖門より昇るのは、天子が同じく恩徳を施す詔令を頒布する兆しである。もう一つの説――雲の形状が鳥口のようで太微垣に現れるのは、外に応接する者のある兆しである。黒色の雲気が東・西掖門に入るのは、大人物に憂患のある兆しである。
蒼白氣如走獸,入太微坐旁,天子旁有反者。蒼白氣如走獸,入太微坐旁,有反者。蒼白氣如走獸,入抵太微坐,天子有憂。蒼白氣入抵太微坐,天子喪事。赤青氣出五帝座,出南者,不出九十日,人君失其宮,天下不安。赤氣直指太微座,諸侯內亂。青氣赤氣出五帝下,入倖臣中,不出六十日,近臣欲有謀其君者,氣不明者不成,其明者死亡,天下大亂。黃氣出太子座,不出六十日,太子即位。黑氣抵太微座左右,諸侯死。
蒼白色の雲気が形は走獣の如く、太微垣の帝座の傍に入るのは、天子の身辺に反逆する者のある兆しである。蒼白色の雲気が形は走獣の如く、帝座の傍に入るのは、反逆する者のある兆しである。蒼白色の雲気が形は走獣の如く、入って来て太微垣の帝座に抵るのは、天子に憂患のある兆しである。蒼白色の雲気が入って来て帝座に抵るのは、天子に丧事のある兆しである。赤青色の雲気が「五帝座」より昇り、南辺より昇るのは、九十天を出ずに、人君がその宮室を失い、天下が安寧を得ない兆しである。赤色の雲気が笔直に太微垣の帝座を指すのは、諸侯が内部で作乱する兆しである。青色と赤色の雲気が五帝座の下方より昇り、寵臣の星位の中に入るのは、六十天を出ずに、近臣が君主を図謀する兆しである。気が明亮でなければ陰謀は成らず、気が明亮ならば君主の死亡を主り、天下が大いに乱れる兆しである。黄色の雲気が「太子座」より昇るのは、六十天を出ずに、太子が即位する兆しである。黒色の雲気が太微垣の帝座の左右に抵るのは、諸侯が死亡する兆しである。
蒼白氣入郎位,中兵起。赤氣出郎位,多用兵,遠出行。黃氣潤澤入郎位,中郎位受賜。黑氣入郎位,多有死者。蒼白氣入天棓,有喪。蒼白黑氣出天棓,其禍除。赤氣入天棓,兵起大將戮死。黑氣入天棓,大人憂。
蒼白色の雲気が「郎位」諸星に入るのは、宮禁の中に兵事の興起する兆しである。赤色の雲気が郎位より昇るのは、大量に兵を用い、遠く行って出征する兆しである。黄色にして潤沢の雲気が郎位に入るのは、中郎一班の宿衛の臣が賞賜を得る兆しである。黒色の雲気が郎位に入るのは、死亡する者の多い兆しである。蒼白色の雲気が「天棓」星に入るのは、丧事のある兆しである。蒼白と黒色の雲気が天棓より昇るのは、もとの禍患が消除する兆しである。赤色の雲気が天棓に入るのは、兵事の興起・大将の殺される兆しである。黒色の雲気が天棓に入るのは、大人物に憂患のある兆しである。
黃氣入玄床,後宮有子喜。白氣有喪。黑氣出女床,後宮有死者。青氣後宮病。青白氣出貫索中,其禍除。赤氣入貫索中,有內亂兵起。黃白氣入貫索中,天子喜。黃氣入貫索中,大人惡之。
黄色の雲気が「女床」星に入るのは、後宮に子を生む喜びのある兆しである。白色の雲気が入るのは、丧事のある兆しである。黒色の雲気が女床より昇るのは、後宮に死する者のある兆しである。青色の雲気が現れるのは、後宮に病める者のある兆しである。青白色の雲気が「貫索」星の中より昇るのは、もとの禍患が消除する兆しである。赤色の雲気が貫索の中に入るのは、内乱して兵の起こる兆しである。黄白色の雲気が貫索の中に入るのは、天子に喜びのある兆しである。黄色の雲気が貫索の中に入るのは、大人物がこの象を悪む兆しである。
蒼白黑氣出天市,其禍除,萬物賤。赤氣入天市,有斧鑕之事。赤氣入天市,有火憂。赤氣入天市,五兵器大貴。赤氣入天市中,有斧鑕之事。赤氣入天市,兵弩貴。黃白氣長二尺如繒布,常集天市,有神奇物者,天子有喜。
蒼白と黒色の雲気が「天市垣」より昇るのは、もとの禍患が消除し、百物の価が賤くなる兆しである。赤色の雲気が天市垣に入るのは、斧質の刑戮の事のある兆しである。赤色の雲気が天市垣に入るのは、火災の憂いのある兆しである。赤色の雲気が天市垣に入るのは、刀・剣・矛・戟・矢などの五種の兵器の価格が大いに漲る兆しである。赤色の雲気が天市垣の中に入るのは、斧質の刑戮の事のある兆しである。赤色の雲気が天市垣に入るのは、兵器と弓弩の価が貴い兆しである。黄白色の雲気が長さ二尺で、一段の繒布のようで、常に天市垣に聚集するのは、神奇の物の出現し・天子に喜びのある兆しである。
蒼白氣入南斗,多大風。赤氣入北斗,兵起及宗廟有火憂,大旱。黑氣入北斗,天子使諸侯。歲星出芒,氣長三丈,三日雨,王者不安;熒惑出芒,氣長一丈,百日旱;填星出芒,氣長四丈,有土功事;太白出芒,氣長三丈至六丈,大風雨起所指處;晨星出芒,氣長一丈,大水。
蒼白色の雲気が南斗に入るのは、大風の多い兆しである。赤色の雲気が北斗に入るのは、兵事の興起および宗廟に火災の憂いのある兆しで、天下に大旱がある。黒色の雲気が北斗に入るのは、天子が使者を遣わして諸侯に出使する兆しである。歳星(木星)が芒角を射出し、気の長さ三丈のは、三日内に雨の降る兆しで、君王が安寧を得ない。熒惑(火星)が芒角を射出し、気の長さ一丈のは、百日の乾旱の兆しである。填星(土星)が芒角を射出し、気の長さ四丈のは、土木の工程の事のある兆しである。太白(金星)が芒角を射出し、気の長さ三丈から六丈のは、芒角の指す所に大風雨の起こる兆しである。晨星(水星)が芒角を射出し、気の長さ一丈のは、大水の発する兆しである。
雲の占(雲占)第五十二
雲如匹布而行,若南,若東,若北,若西,郡上者,其君有憂,必有精以去。四望無雲,獨見赤雲如立蛇,其下有流血出戰。四望無雲,獨見赤雲如覆船,亦其下有戰。赤雲氣如光影見者,臣叛,不過三年。赤雲氣主兵將死,客勝,主人敗。
雲が一匹の布のように飄行して、あるいは南に、あるいは東に、あるいは北に、あるいは西に、ある郡の上空を経れば、そこの長官に憂患があり、必ず精誠の禳解があって免れることができる。四方望んでも雲がなく、ただ一片の赤雲が直立する蛇のようなのを見るのは、その下方の地区に流血の戦事のある兆しである。四方望んでも雲がなく、ただ一片の赤雲が翻覆した船のようなのを見るのも、またその下方に戦事のある兆しである。赤色の雲気が光影のように顕現するのは、臣下が反逆する兆しで、三年を出ない。赤色の雲気が現れるのは、守る方の軍隊の将領がまさに死し、客軍が勝利を得・主軍が敗落する兆しである。
赤氣覆日如血光,大旱,人民飢千里。黑氣如大道一條,至長明,不見頭尾東西者,不過三朔,大赦天下。黑氣如群羊豬魚,四夷不順。黑氣如斗如群馬蛇變化,為疾疫,人民亡,不宜乳婦,夷兵欲欺中國,宜遣伺候,讒言為惡。
赤気が太陽を罩め、一片の血光のようなのは、大旱の兆しで、千里の内で百姓が饑饉する。黒気が一条の大路のようで、極めて長く分明で、東西両端の頭尾が見えないのは、三ヶ月を出ずに天下に大赦のある兆しである。黒気が形は群れる羊・猪・魚のようなのは、四方の夷族が帰順しようとしない兆しである。黒気が形は斗器のようで、また群れる馬と蛇のように変化が定まらないのは、疾疫の流行し・百姓が死亡する兆しで、哺乳する婦人に対して特に不利である。また夷族の兵が中原を欺侮しようとする兆しで、人を遣わして偵察・守候し、ならびに讒言の悪をなすを備えるべきである。
雲如一匹布竟天,天下兵起。四望無雲,獨見黑雲極天,兵大起。雲半天,兵起天溝,不出三日,大雨,雨後不占。四望無雲,見赤雲如燭火,其下戰流血死。
雲が一匹の布のように長空を横貫するのは、天下に兵事の興起する兆しである。四方望んでも雲がなく、ただ黒雲が天際に布き満ちるのを見るのは、兵事の大起の兆しである。雲が半個の天空を遮るのは、兵事が天溝一帯に起こる兆しで、三日を出ずに大雨がある。雨が降った後は、これに依って占断しない。四方望んでも雲がなく、ただ赤雲が燭火のようなのを見るのは、その下方に戦事があり、流血して死する兆しである。
日濛濛無光,士卒內亂,將軍循法度,察有功以自明,及有內發,止嚴刑而伺奸人謀議。天陰沉不降雨,晝不見日,夜不見星月,三日已上,陰謀起,將慎左右及敵使;陰五日至七日,有陰謀蔽,將奪其權,此有篡殺事。
太陽が昏濛して光なきは、士卒が内部で作乱する兆しである。将軍は法度に遵い、功ある者を考核して自ら公正なるを表すべきで、内乱が中より発動するを待ったら、厳刑を停用し、暗中に奸人の密謀を偵察すべきである。天色が陰沈して雨が降らず、白天に太陽が見えず・夜に星月が見えず、このように三日以上連続するのは、陰謀の興起する兆しで、主将は身辺の者と敵方の派す使者を提防すべきである。陰沈が五天から七天のは、陰謀が遮蔽されていることを説明し、将領の兵権が奪去され、これは簒位・弑殺の事のある徴象である。
天陰,日月俱無光,晝不見日,夜不見星,有雲障之而不雨,此為君臣俱有陰謀,兩敵相當,陰相圖議;若晝陰夜月出,君謀臣;若夜陰晝日出,臣謀君。白氣如帶一道竟天,有暴兵;白蛇出,長盡天,必有暴兵流血;白蛇夜出,其年兵起。
天色が陰晦し、日月ともに光なく、白天に太陽が見えず・夜に星星が見えず、雲に遮蔽されて雨が降らないのは、これは君と臣の双方がともに陰謀を懐いていることである。もし両軍が対峙すれば、すなわち互いに暗中に図謀し計算し合うことである。もし白天が陰晦して夜に月亮が出れば、君主が臣下を図謀する兆しである。もし夜が陰晦して白天に太陽が出れば、臣下が君主を図謀する兆しである。白気が一条の帯のように長空を横貫するのは、暴乱の兵のある兆しである。白色で蛇の如き気が現れ、長く天空に布き満ちるのは、必ず暴兵が流血する。白蛇状の気が夜間に現れるのは、その年に兵事の興起する兆しである。
濛霧者,邪氣陰來沖陽,奸臣謀其君。在天為濛,在人為霧,日月不見為濛,前後人不見為霧。濛者,氣也,臣以為非法,亂君政,霧從夜半至,日中不解,遂止,為君不悟,臣行邪政於百姓。過日中而似雨,臣強;夜濛晝明,臣謀君;晝濛夜明,臣得志。
いわゆる「濛霧」とは、陰邪の気が上に冲犯して陽気に及ぶもので、奸臣がその君主を図謀することを象徴する。天上では「濛」と呼び、人間では「霧」と呼ぶ。日月が遮られて見えないのを「濛」といい、前後の人が互いに見えないのを「霧」という。濛はすなわち気であり、それが現れるのは臣下が行事に法度に合わず、君主の政令を擾乱することを表示する。霧が半夜より瀰漫し始め、正午に至っても消散せず、随後して止むのは、これは君主が醒悟できず・臣下が百姓に対して邪僻な政令を推行する徴象である。正午を過ぎて雨が降りそうなのは、臣下の強横を主る。夜に濛が起こって白天が晴明なのは、臣下が君主を図謀する兆しである。白天に濛が起こって夜が晴明なのは、臣下が志を得る兆しである。
黃雲霧蔽北斗,明日雨。赤雲掩北斗,明日大熱殺人。白雲掩北斗,不過三日雨。青雲掩北斗,立雨;天下無雲,晴;北斗上中下獨有雲,後五日大雨。
黄色の雲霧が北斗を遮蔽すれば、翌日雨が降る。赤色の雲が北斗を掩えば、翌日は酷熱して人を熱死させ得る。白色の雲が北斗を掩えば、三日を出ずに雨が降る。青色の雲が北斗を掩えば、即ち就中雨が降る。天上一片に雲なければ、晴天である。ただ北斗の上・中・下の三処に雲があれば、五天の後に大雨がある。
乙巳占 巻第九
《易》曰:天垂象,見吉凶,聖人則之。又云:觀乎天文,以察時變;觀乎人文,以化成天下。故伏羲畫卦,以定逆順之徵;軒轅設圖,實著陰陽之道。蓋大聖所以通天地之至理,極造化之能事,體妙綴於神機,作範擬於繫象。唯神也,故冥賾可尋;唯機也,故幽玄可驗。至若仰觀俯察,輔國利民,觀毫考微,全身保命,探禍福之源,徵成敗之數,賢達所尚,由來久矣。淳風不揆庸昧,少而研習,雖著作十餘,而每多繁雜,輒以負薪餘日,綴集眾書,考論群氏,錯綜黃咸,博聞甘石,及以三都鬼谷,王霸高宗;略其旨要,撮錄秘驗,吉凶勝負,以類相從,勒為一部,聊備遺忘,並指圖略,例示二三。好道畏命,時或覽焉,審能精之,萬不遺一也。
『周易・繋辞』に――天は天象を垂示し、吉凶を顕現し、聖人はそれに取法する、と。『周易・賁卦・彖伝』はまた言う――天文を観察して、もって四時の変化を考察し、人文を観察して、もって天下を教化し・風俗を成就する、と。故に伏羲は八卦を画き、もって逆と順の徴兆を判定し、軒轅黄帝は星図を設立し、実に陰陽の道を彰明にした。大聖人はまさにこれを藉りて天地の至理を貫通し、造化の能事を窮め、精微の体察を神妙の枢機に係り、法度の制作を卦爻の象に比拟した。まさにそれが神妙であるがゆえに、幽深難測の理が尋求できる。まさにそれが枢機あるがゆえに、玄遠の事が検証できる。仰ぎて天象を観・俯して地理を察し、国家を輔助し・百姓を利益し、毫末を観察し・細微を考究し、自身を保全し・性命を護り、禍福の根源を探求し・成敗の定数を検験する。これは歴来の賢達の士の推重するところで、由来すでに久しい。私李淳風は自らの平庸暗昧を量らず、年少の時より此の道を研習し、著述は十余種あるが、往々にして繁杂に失した。そこで柴を打ち労作する余の閑暇に乗じて、衆家の書を彙集し、諸家の学説を考訂・評議し、黄帝・巫咸の説を交錯綜合し、甘徳・石申の言を広く採り、および三都・鬼谷・王霸・高宗の諸家に及び、その中の要旨を撮取し、秘伝して霊験ある条目を摘録し、吉凶・勝負を門類に依って併せ帰し、編んで一部の書と成し、姑らくもって遺忘に備え、併せて図式の概要を附し、二三条を挙げて示例とした。此の道を好み天命を畏敬する者が、時おりそれを翻閲し、もし真に鑽研精熟できれば、万に一つの失もないことを能くするであろう。
帝王気象の占(帝王氣象占)第五十三
凡天子氣,內赤外黃,正四方所發之處,當有王者。若天子欲有遊往處,其地亦先發此氣,遠近數里,如法計之。吉凶以日辰相剋相生決期,亦如支干數法。天子氣如城門,隱隱在氣霧中,恆帶殺氣森森然。
およそ天子の気は、裏は赤を発し・外は黄を発し、端正に四方に対する。それの発する所のあの地方に、まさに王を称する者が出現すべきである。もし天子がまさに出游してある処に往かんとすれば、その塊の地方もまた予めこの種の気を発し、範囲の遠近は数里あり、法度に依って推算できる。吉凶はすなわち当日の干支の相生相克を用いて応期を判定し、また干支の数目を推算する方法と同じである。天子の気は形状が城門のようで、隠隠約約として霧気の中に藏れ、併せて常に森森たる殺気を帯びている。
天子氣如華蓋,在氣霧中,或有五色,又多在晨昏見。天子氣如千石倉,在氣霧中。凡王者氣發,常以王相日多,與時及日辰相生,其法並在略例中。天子氣五色如山鎮。天子氣如高樓在霧中。
天子の気は形状が「華蓋」のようで、すなわち帝王の車駕の上の傘蓋で、霧気の中に処り、ある時は五種の色を呈し、しかも多くは清晨と黄昏の時に現れる。天子の気は形状が千石を容るる糧倉のようで、霧気の中に処る。およそ王者の気の発出は、常に多く五行が旺・相に処る日に在り、併せて当時の時辰および日辰の干支と相生し、具体の方法は皆本書の『略例』の中に写されている。天子の気は五色を兼ね備え、一座の一方を鎮守する大山のようである。天子の気は形状が高楼のようで、霧気の中に隠現する。
《洛書》云:蒼帝起,青雲扶日;赤帝起,赤雲扶日;黃帝起,黃雲扶日;白帝起,白雲扶日;黑帝起,黑雲扶日。又云:氣象青衣人垂手,在日西,天子之氣。敵上氣如龍馬,雜色鬱鬱沖天者,此皆帝王之氣,不可擊。若在吾軍,戰必大勝。
『洛書』は言う――蒼帝が興起する時は、青雲が太陽を扶持する。赤帝が興起する時は、赤雲が太陽を扶持する。黄帝が興起する時は、黄雲が太陽を扶持する。白帝が興起する時は、白雲が太陽を扶持する。黒帝が興起する時は、黒雲が太陽を扶持する、と。また言う――雲気の形状が青衣を穿ち両手を垂れた人のようで、太陽の西に現れるのは、これは天子の気である。敵方の上空の雲気が形は龍馬の如く、雑色にして蓊鬱と直ちに天空に冲するのは、これらは皆帝王の気で、攻撃してはならない。もしこの種の気が我が軍の上空に現れれば、交戦すれば必ず大勝する、と。
范增云:漢祖氣皆為龍虎或五彩,此天子之氣也。又云:吾使人望沛公,其氣沖天,五色相摻,或似人,此非人臣之氣也。又云:氣如龜鳳大人,有五彩其形,隨王時發者,皆天子之氣,多上達於天。
范増は言う――漢高祖劉邦の頭上の雲気は皆龍虎の形をなし、あるいは五彩を呈す。これは天子の気である、と。また言う――私は人を遣わして沛公の雲気を観望させた。その気は雲天に直ちに冲し、五色が交雑し相い掺じ、ある時は人の形状のようである。これは人臣の有すべき気ではない、と。また言う――雲気の形状が亀のよう・鳳のよう・高大な人のようで、形体が五彩を帯び、併せて王者のまさに興るべき時に随って発出するのは、皆天子の気で、多くは上に向かって直ちに天際に通ずる、と。
将軍気象の占(將軍氣象占)第五十四
將軍之氣如龍,兩軍相當,若發其上,則其將猛銳如虎,在殺氣中。猛將欲行動,先發此氣;若無行動,亦有暴兵起,吉凶以日辰決之。猛將氣如火煙狀。猛將氣白,赤氣繞之。猛將氣如山林竹木。
将軍の気は形状が龍のようである。両軍が対峙する時、もしこの種の気がある一方の上空より発すれば、その一方の将領は勇猛鋭利で虎の如く、身は一片の殺気の中に処する。猛将がまさに行動あらんとする時、事に先んじてこの種の気を発する。もし行動が並びなければ、また暴乱の兵の興起する兆しである。吉凶は当日の干支を用いて判定する。猛将の気は火焰の升騰する煙のようである。猛将の気は色白く、四周に赤気が環繞する。猛将の気は山林の中の竹木のようである。
猛將氣紫黑如門樓,或上黑下赤,似黑旗。猛將氣如張弩。猛將氣如塵埃,頭銳而卑本大而高。兩軍相當,敵軍上氣如囷倉正白,見日益明者,猛將氣,不可擊。
猛将の気は紫黒色を呈し、一座の門楼のようで、あるいは上部が黒を発し下部が赤を発し、一面の黒色の旗幟のようである。猛将の気は張り開いた弩のようである。猛将の気は揚げたる塵埃のようで、頂端は鋭く低伏し、根部は粗大にして高聳する。両軍が対峙し、敵軍の上空の雲気が円形の穀倉のようで純白にして、太陽を見れば愈々明るいのは、これは猛将の気で、攻撃してはならない。
敵上氣黃白而轉澤者,將有盛德,不可擊。氣青白而高,將勇大戰;前白後青而高,將弱士勇;前大後小,將怯不明。敵上氣黑、中赤氣在前者,將精悍不可當。
敵方の上空の雲気が黄白色にして愈々転じて潤沢なるは、相手方の将領の徳望が隆盛なる兆しで、攻撃してはならない。雲気が青白にして高聳するは、将領が勇武でまさに大戦あらんとする兆しである。前面が白く後面が青にして高聳するは、将領が懦弱にして士卒が勇敢なる兆しである。前面が大きく後面が小さいは、将領が怯懦にして事理に明らかならざる兆しである。敵方の上空の雲気が黒を発し、中間に赤気が前に居るは、相手方の将領が精明強悍にして抵挡すべからざる兆しである。
敵上氣青而疏散者,將怯弱。軍上氣發,漸漸如云,變作山形者,將有深謀,不可擊。若在吾軍,速戰大勝。敵上氣如交蛇向人,此猛將氣,不可當;若在吾軍,戰必大勝。凡赤氣上與天連,軍中有名將。一雲賢將。
敵方の上空の雲気が青色にして稀疏涣散なるは、将領が怯懦軟弱なる兆しである。軍隊の上空に雲気が昇起し、漸く雲のように鋪展し、また山の形状と変ずるは、その将領が深く謀略有る兆しで、攻撃してはならない。もし我が軍の上空に現れれば、速戦すれば大勝を獲るべし。敵方の上空の雲気が两条の蛇の交纏して人に扑するが如きは、これは猛将の気で、抵挡すべからず。もし我が軍の上空に現れれば、交戦すれば必ず大勝する。およそ赤気が上に向かって天と相連なるは、軍中に著名の将領ある兆しである。もう一つの説では賢能の将領有るという。
