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雲気の外官に入る占(雲氣入外官占)第六十七

唐 · 李淳风 · 第20巻 / 26

作盤ガイド: 暦注(黄暦), 万年暦

赤氣直如千尋槍竿沖庫樓,天子自將兵,兵大動,武庫官憂,內外不安。赤氣入魚星,車騎滿野,軍大動,將軍憂。蒼白氣入羽林軍,直南出,后有憂。赤白氣入龜,巫卜官憂。赤黑氣入鱉魚,白衣之會,天下易政。赤氣入傅說,祝官憂。赤氣入北落師門中,兵起。蒼黑氣入天倉,歲不熟。

赤気が笔直にして千尋長き槍杆の如く直ちに庫楼星に冲するは、天子が自ら兵を領し、軍事が大いに動き、武庫を掌る官に憂あり、内外ともに安寧を得ざらん。赤気が魚星に進入するは、車馬・騎士が原野に布き満ち、大軍が調動し、将軍に憂有らん。蒼白の気が羽林軍星に進入し、一直に南に向かって穿出するは、皇后に憂有らん。赤白の気が亀星に進入するは、巫卜を掌る官に憂有らん。赤黒の気が鱉魚星に進入するは、喪服の会有り、天下が朝を改め政を換えん。赤気が傅説星に進入するは、祝祷を掌る官に憂有らん。赤気が北落師門星の中に進入するは、将に兵事有らん。青黒の気が天倉星に進入するは、年成が熟さざらん。

青白氣入天囷,歲飢。蒼白氣入騎官,將死。赤氣入敗臼,人主凶。青氣入天廩,飛蝗生。赤氣入天苑中,牛馬多傷。赤氣出參旗,不出一年,西胡來,欲盜中國,若侵地,不出三年,天下煩擾,百姓多憂。蒼白氣入天廁中,天子有陰病。青赤氣入積卒中,正臣欲論兵事發。赤氣入天漢中,兵大起。

青白の気が天囷星に進入するは、年成が饑饉せん。蒼白の気が騎官星に進入するは、将領が死せん。赤気が敗臼星に進入するは、君主に凶有らん。青気が天廩星に進入するは、飛蝗を生ぜん。赤気が天苑星の中に進入するは、牛馬に多く傷損有らん。赤気が参旗星より出来するは、一年を出ずに、西方の胡人が就中前來して中原を劫掠せんと図謀せん。もしすでに土地を侵占せば、三年を出ずに、天下が動蕩煩擾し、百姓に多く憂有らん。蒼白の気が天厠星の中に進入するは、天子が隠疾を患えん。青赤の気が積卒星の中に進入するは、是れ中正の臣が議論を発し・兵事を動かさんとす。赤気が天漢の中に進入するは、将に大いに挙げて兵を興さん。

蒼白氣入咸池中,水蟲多死。蒼白氣入折威中,大臣作逆內亂,兵大起,天子失勢。赤雲氣入天積中,有火憂。蒭藁一名天積。歲星起出喪氣長三丈,三日雨,王者不安,大擾。熒惑出喪氣長一丈,百日旱。填星出喪氣長四丈,有土功,多雨。太白出喪氣長三丈至六丈,多風雨,兵大起所指處。辰星出喪氣長一丈,大水。

蒼白の気が咸池星の中に進入するは、水中の魚虫に多く死亡有らん。蒼白の気が折威星の中に進入するは、大臣が乱を作し反を造り、内乱が興起し、大いに挙げて兵を動かし、天子が権勢を失わん。赤色の雲気が天積星の中に進入するは、火災の憂有らん。蒭藁星はまたの名を天積という。歳星(木星)が昇起する時に喪気を冒出し、長さ三丈なるは、三天の内に雨降り、君王が安寧を得ず、天下が大乱せん。熒惑(火星)が喪気を冒出して長さ一丈なるは、百日の大旱を主る。填星(土星)が喪気を冒出して長さ四丈なるは、将に土木の役有り、しかも雨多し。太白(金星)が喪気を冒出して長さ三丈から六丈なるは、風雨多く、それの指す所に大いに挙げて兵を興さん。辰星(水星)が喪気を冒出して長さ一丈なるは、大水を主る。

氣象升沉,表吉凶之得失。青氣白黑犯官坐而入,占者察焉,豫曉祅變,括量銓度,唯氣幽深,窮之更堅,鑽之更邃。諸占隱辭決,並在略例中。若志士研精,須得指圖者也。僕尋之白首,粗得其門,後世學人觀此意也。

雲気の象はあるいは升りあるいは沈み、吉凶・得失を顕示す。青気・白気・黒気が星官の座位を侵犯してその中に進入するは、占候する人は仔細に審察し、予め妖異の変化を明了し、反復して衡量・斟酌すべし。ただ気の此の門の学問は幽深にして測り難く、愈々窮究すれば愈々艱深を覚え、愈々鑽研すれば愈々幽遠を覚ゆ。各種の占法の隠語と断辞は、皆『略例』の中に収む。もし志有る士が此の道を精研せんと欲せば、還って図式を指し点ずる人を得て当面伝授せらるるを須みる。我は此の道を探求して白頭に至るまで、始めて略々門径を摸り得たり。後世の学人は妨げず我が此の一番の用意を体会せよ。

乙巳占 巻第十

《易》曰:巽為風。巽卦曰:重巽以申命,又云:撓萬物者,莫疾乎風,風以散之。《詩序》曰:風,諷也,教也,風以動之,教以化之。然則風者,是天地之號令,陰陽之所使,發示休咎,動彰神教者也。《洪範》曰:念用庶徵:雲聖,時風若。咎徵:雲蒙,恆風若。《周禮春官保章氏》:以十有二風,察天地之和合、乖別之祅祥。自此而觀,即占風聲,以探禍福,由來尚矣。

『周易』は言う――巽卦は風を象徴す、と。『巽卦』は言う――重畳の巽卦は、以て反復して号令を申明す。また言う――万物を攪動するに、風より迅疾なるは莫し。風は万物を吹き散らすを能くす、と。『毛詩序』は言う――風はすなわち諷喻・すなわち教化なり。風を用いて人の心を鼓動し、教化を用いて風俗を改変す、と。此の様に看れば、風はすなわち天地の号令・陰陽の駆使する所の物なり。それは吉凶・禍福を顕示し、動象を用いて神明の教誨を彰明す。『尚書・洪範』は言う――各種の徴験に留意すべし。君主が聖明通達なれば、就中時に応ずる風の相随う有り。咎悪の徴に至りては、君主が昏昧不明なれば、就中久しく刮りて停まらざる風の相随う有り、と。『周礼・春官・保章氏』に記載――十二種の風を用いて天地の気の和合なるか乖離なるかの妖祥を考察す、と。此に由りて看れば、風声を占候して以て禍福を探求するは、由来すでに久遠なり。

故金勝未啟,表拔木之徵祥;玉幣才交,起偃禾之異事。宋襄失德,六鷁退飛;伯姬將焚,異鳥之唱。是知風覺鳥情,天地之事理,其所由來久矣。昔子野驟歌以驗楚軍,吳範立候而期關羽。楊範之占雞酒,管輅之察飛鳩。並皆占等同符,義過合契。是知事無大小,隨感必臻,祥無淺深,見形皆應。此則法術之所由來也。

故に周室の金縢の匱がいまだ開啓せざらざるに、先ず大風の木を抜くの徴祥有り。祭祀の玉帛が纔かに献上せられて、就中禾稼の倒伏して後に復た起きるの異事現る。宋襄公が徳を失えば、就中六隻の鷁鳥の倒退して飛び宋都を過ぐる有り。伯姫が将に火に焚かれて死せんとするに、先に怪鳥の鳴叫有り。見るべし、風は鳥獣の情状を顕露するを能くす。これは天地間の事理にして、その来源すでに久遠なり。従前、晋国の楽師・師曠(字は子野)は几たびか南風・北風を歌唱して、就中楚軍の必敗を験出したり。呉范は候風の法を設立し、関羽の敗亡の日期を予定せり。楊范は鶏と酒を憑じて占験し、管輅は飛鳩を察看して以て事を断ず。彼らの占断は皆符節の如く吻合し、義理は合券よりもなお厳丝合縫なり。此に由りて知るべし――事は大小を論わず、ただ感応有る所は必ず顕現し、祥兆は深浅を論わず、ただ形跡を現出せば皆応験せん。就中これは此の門の法術の由来なり。

余昔敦慕斯道,歷覽尋究。自翼奉己後,風角之書,近將百卷,或詳或略,真偽參差,文辭詭淺,法術乖舛,輒削除煩蕪,翦棄遊談,集而錄之,以為風鳥參驗,附於玄象之末。並有立成,以備倉卒,庶使文省事周,詞約理贍,後之同好想或觀之。夫蹙口微嘯,尚有徵應,況五行招感,能無所聞?陸賈曰:目瞷得酒食,火花得錢財,鵲啄足而行人至,蜘蛛集而百事喜,小既如此,大亦有之,將來君子,幸畏天命也。

我は従前に此の門の学問を篤好し、群書を遍覧し・根を尋ね底を究む。翼奉以後、風角を講ずる書はほとんど上百巻、あるいは詳尽あるいは簡略、真偽が雑混し、文辞が怪誕浅陋にして、法術が前后に矛盾す。我は是れ繁蕪を刪除し、空談を剪去り、彙集抄録して編と成し、「風鳥」の一門の参験の法として、天象の諸巻の末尾に附す。書中に還って現成の図表を編み、以て倉促の時の取用に備う。文字を省浄にして事理を周備・辞句を簡約にして義理を豊贍ならしめんことを希う。後世の同好の人は或いは一読せんや。唇を撮起して軽く口哨を吹くも尚ほ且つ徴応あれば、況んや五行の間に彼此招引して感応せんに、怎ぞ消息の聞くべからざるがあらん。陸賈は言ったり――眼皮が跳動すれば酒食を得、燈花が爆開すれば銭財を得、喜鵲が脚を啄めば行人の到来有り、蜘蛛が聚集すれば百事が歓喜す、と。小事はすでに此の如し、大事もまた必ず此の様ならん。将来の君子は、天命を敬畏するを希望す。

候風法(候風法)第六十八

凡候風者,必於高迥平原,立五丈長竿,以雞羽八兩為葆,屬於竿上,以候風,風吹羽葆,平直則占。亦可於竿首作盤,盤上作木烏三足,兩足連上而外立,一足繫羽下而內轉,風來烏轉,回首向之,烏口銜花,花旋則占之。

およそ風向を観候する人は、必ず高曠平坦の原野の上に、一根の五丈長き竿子を立て、八両の鶏毛を用いて羽葆を扎り、竿頂に繋りて以て風を候す。風が羽葆を吹動して、羽葆を平直に吹く時に就中占を起こすべし。また竿頂に一個の円盤を作るも可。盤上に一隻の三足の木烏を安んじ、その中の両足は盤に連ねて外に向かって立定し、一足は下面の羽毛を系りて内に向かって轉動すべし。風が一たび来れば木烏は就中轉動し、頭を回して風に迎着え、烏の嘴の裏に一朵の花を銜え、花が旋轉し起これば就中これに拠って占断す。

淳風曰:羽必用雞,取其屬巽,巽者號令之象。雞有知時之效。羽重八兩,以仿八風。竿長五丈,以仿五音。烏象日中之精,故巢居而知風,烏為先首。《淮南子》曰:天欲風,巢居先翔。古書云:立三丈五尺竿於西方,以雞羽五兩繫其端,羽平應占。

李淳風は言う――羽毛は必ず鶏毛を用い、それが八卦の中に巽に属するを取る。巽は正に号令の象徴なり。しかも鶏には暁を報じ時を知るの效験あり。羽毛の重さ八両は、八方の風を效法す。竿の長さ五丈は、五音を效法す。烏鴉は太陽の中の精気を象徴す。故にそれが巢を筑きて居れども風信を預知するを能くし、風を候するは便ち木烏を以て首选と為す。『淮南子』は言う――天が将に風を刮らんとすれば、巢を筑く鳥が先に飛び起きる、と。古書の上に言う――西方に一根の三丈五尺の竿子を立て、五両の鶏毛を竿端に系り、羽毛が吹き平さるる時に就中応験して占を起こす、と。

然則知長短輕重,取於合宜。竿不必過長,但以出眾中不被隱蔽為限,有風即動,便可占候。羽毛必五兩已上,八兩已下。但以羽輕則易平,重則難舉。常住安居,宜用烏候;軍旅權設,宜用羽占。羽葆之法:先取雞羽中破之,取其多毛處,以細繩遂緊夾之,長短三四尺許,屬於竿上,其扶堯、獨鹿、四轉、五復之風,各以形狀占之。

此に由りて知るべし――竿の長短・羽の軽重は、ただ一個の合適を取るのみ。竿子は必ずしも太長を要せず、ただ周囲より高出して遮蔽せられざれば行く。風有れば動き、便ち候占すべし。羽毛は必ず五両以上・八両以下を要す。それは羽毛が太軽ければ容易に吹き平され、太重ければ難く吹き起されるがゆえなり。長住安居の地方は、木烏を用いて風を候するに宜し。軍旅の中に臨時設置するは、羽葆を用いて風を占うに宜し。羽葆を作る方法――先ず鶏毛を取りて中より剖開し、毛の多き一段を取り、細繩を用いて緊く夾住し、長さ三四尺左右、竿の上に系す。扶尭・独鹿・四轉・五復の此の几種の風に至りては、各々その形状に按じて占断す。

占風遠近法(占風遠近法)第六十九

凡風動,初遲後疾,其來遠;初急後緩,其發近。(此以遲疾推風發遠近。)凡風動葉十里,鳴條百里,搖枝二百里,墮葉三百里,折小枝四百里,折大枝五百里。一云:折木飛砂石千里。或云:伐木施千里,又云:折木千里,拔木樹及根五千里。(此鳴條已上,皆百里風也。此以勢力推風遠近。)

およそ風が起こる時、初めは緩慢にして後が急驟なるは、風の遠方より来るを説明す。初めが急驟にして後が和緩なるは、風の近処より発するを説明す。(これは風勢の快慢を用いて風の起こる遠近を推断する。)およそ風がただ樹葉を吹動するは、十里より来る。枝條を吹きて響き作らしむるは、百里。樹枝を揺動するは、二百里。樹葉を吹落するは、三百里。小枝を折断するは、四百里。大枝を折断するは、五百里。一説に樹木を折断し・砂石を吹起するは、一千里より来る。また言うに林木を砍伐する一般の風は千里に及ぶ。更に言うに樹木を折断するは一千里、樹を根を連ねて抜き起こすは五千里。(枝條を吹きて響き作らしむる以上、皆百里の風に属す。これは風の勢力を用いて風の遠近を推断する。)

凡大風非常,三日三夜者,天下盡風也;二日二夜者,天下半風也;一日一夜者,萬里風也。(此以時節多少推風發遠近。)凡風二日二夜,事及三千里外;一日一夜周時,事及二千里;或一日或一夜六時已上者,事及一千里;半日半夜三時已上,事及五百里;三時已下,事及百里。(此以時多少推災及遠近。)凡大樹拔根,事及三千里外;折大枝,事及二千里。(此以勢力占災遠近。)

およそ異常の大風に遇上し、刮ること三天三夜なるは、是れ天下が皆風を刮るなり。刮ること両天両夜なるは、是れ天下の一半が風を刮るなり。刮ること一天一夜なるは、是れ万里の風なり。(これは持続する時辰の多少を用いて風の起こる遠近を推断する。)およそ風が両天両夜を刮るは、主する所の事は三千里以外に及ぶ。一天一夜を満ちて十二時辰を刮るは、事は両千里に及ぶ。あるいは一天・あるいは一夜にして六個の時辰以上なるは、事は一千里に及ぶ。半天・半夜にして三個の時辰以上なるは、事は五百里に及ぶ。三個の時辰に足らざるは、事は百里に及ぶ。(これは時辰の多少を用いて災禍の波及する遠近を推断する。)およそ大樹の根を連ねて抜き起こされるは、事は三千里以外に及ぶ。ただ大枝を折断するのみなるは、事は両千里に及ぶ。(これは風の勢力を用いて災禍の遠近を占断する。)

凡風近起城郭中者,有急事;卒起宮宅中者,為左右有變事。風自百里已上來者,皆謂其風時緩時急,條長垂索索然者是也。若蓬勃乍起乍止,卒緩卒急,勢無常準者,並二百里以內,非遠來,為災乃重。若當時有雲雨雷電者,不占。其應四時災日兼雷雨而發者,並依別占。周成王偃禾之風是也。

およそ風が就近して城郭の中に起こるは、緊急の事有るを主る。忽然として宮室・宅院の中に起こるは、是れ身辺の近侍に将に変故を出さんとす。風が百里以外より吹き来ると説くは、指す所は皆あの種の時に緩く時に急く・風条が長長に垂れ下りて索索として響く風なり。もし蓬勃として起こり・忽ち起き忽ち止み・忽ち緩く忽ち急く・勢頭に一定の準則なきは、皆二百里以内に在り、遠処より来るにあらざれども、しかもそれが災を成すは反って更重なり。もし当時に雲雨雷電有れば、就中占を起こさず。あの些の四時の災日に応じ・また雷雨を兼ねて一同に発作するは、皆別に専門の占法に按じて推断し、周成王の時に禾稼を吹き倒したあの場の大風はすなわち此の類に属す。

淳風曰:天下地氣,有偏饒風處,或近山川,或近大水,皆以異常為占,而山川記復有近風穴處。然風發出之時,皆有所應。然風或發一時間,遠乃至十日已上者,災重。而京房《風角》又有推五音風所發遠近,各以其五音之數,期風來處遠近。凡風發,一日為其縣,二日他縣,三日其郡,四日他郡,五日其州,六日他州。各以日數,知災所及。一云:凡風一日一夜為邑,二日三日為州,四日五日為國,六七日為天下。

李淳風は言う――天下の地気、有る地方は偏ねて風多く、あるいは山川に近く・あるいは大水に近し。これらの地方は皆反常の風を以て占と為すべし。山川の記載の中に還って風穴に近き地方有り。不過ただ風が発作する時、皆各々その徴応有り。風あるいはただ一個の時辰を刮り、久しきは竟に十天以上に延続すれば、あの災禍は就中重し。京房の『風角』の裏にまた五音の風の遠近より発するを推算する方法有り。各々五音の数に按じて、以て風の来処の遠近を定む。およそ風の起こる、第一天は本県を主り、第二天は別県を主り、第三天は本郡を主り、第四天は別郡を主り、第五天は本州を主り、第六天は別州を主る。各々天数に按じれば就中災禍の波及する範囲を知るべし。もう一つの説――およそ風が一天一夜を刮るは一邑を主り、両天三天は一州を主り、四天五天は一国を主り、六七天は天下を主る、と。

凡五音,有納音中金木水火土定五音者,有十二辰配五音,有聽聲配五音。宮風,近十里,中百里,遠千里。(宮之數也。)羽風,近六里,中六十里,遠六百里。徵風,近七里,中七十里,遠七百里。角風,近八里,中八十里,遠八百里。商風,近九里,中九十里,遠九百里。

およそ五音を講ずるに、納音の中の金木水火土に按じて以て五音を定むる有り、十二辰を用いて五音に配する有り、また声音を聴くに靠りて五音に配する有り。宮風は、近きは十里、中等は百里、遠きは千里(これは宮音の数なり)。羽風は、近きは六里、中等は六十里、遠きは六百里。徴風は、近きは七里、中等は七十里、遠きは七百里。角風は、近きは八里、中等は八十里、遠きは八百里。商風は、近きは九里、中等は九十里、遠きは九百里。

淳風曰:案京房《角風》所載,五音風發遠近,皆以五行成數推之。其云遠近及中者,皆以日時多少及勢力強弱,以事準之。推其遠近,皆變通其數,觸類長之,而風所從來二十四處,皆須明知發止。審別支干及以八卦所在,發時早晚,來從何處,息在何時,回在何日何辰,皆須審明知之。凡候風之體,須明知入卦,審識支干,或上或下,或高或卑,必曉此義,然後可驗,必無乖越。若失在毫末,差深千里。

李淳風は言う――京房『角風』の記載する所を考察するに、五音の風が発作する遠近は、皆五行の成数を用いて推算し出でたるなり。それの説く所の遠・近および中等は、皆風の持続する時辰の多少と勢力の強弱を参照し、実際の情形に按じて定むべし。遠近を推算する時は、皆この数字を靈活に変通し、類に触れて旁に通ずるに推衍して去るべし。而して風の従りて来る二十四個の方位は、必ずそれが何処より起こり・何処に止まるを弄清せねばならず。干支および八卦の所在する方位を審辨し、起風の早晚、何処より来り・何時に止息し・何れの日の何れの時辰に回旋するを、全て審察して明白にすべし。およそ風を候する要領は、必ず卦に入るの法を清楚に掌握し・干支を仔細に辨識し、風があるいは上あるいは下・あるいは高あるいは低を、必ずこれらの道理を通暁して然る後に占験乃ち偏差有ることなからん。もし毫厘を差せば、就中千里を謬らん。

今設八方之法:八干,甲乙丙丁庚辛壬癸;四卦,乾坤艮巽。八干、四卦、十二辰總有二十四分,皆立方,迭相沖破,即是風所從來。審視發止,乃可占驗。凡風從戌上來者須抵辰,自辛至者須直乙,發乾上來者必須抵巽,如此交沖,始知來處,以辯辰卦而入於占。迴風卒而圓轉扶搖,有如羊角向上輪轉。有自上而向下,有從下而升上,或平條長直,或磨地而起。

現在に八方の方法を設立す。八干は甲・乙・丙・丁・庚・辛・壬・癸。四卦は乾・坤・艮・巽。八干・四卦に十二辰を加えて、総計二十四分、各々一方を占め、両両として相冲し相破す。就中これは風の従りて来る所の方位なり。風の起止を審察して、乃ち占験すべし。およそ風が戌位の上より来るは、必ず辰位に抵せん。辛位より来るは、必ず直ちに乙位に冲せん。乾位より発出するは、必ず巽位に抵せん。此の象の如く両相交冲して、乃ち風の来処を知るを能くし、これに拠って地支と卦位を辨明して占断に納入す。旋風の来るは急促にして団団と盘旋し・扶揺して直上し、羊角の如く上に向かって旋轉す。あるいは上より下に向かって圧し、あるいは下より上に向かって升り、あるいは平直の長条を成し、あるいは地面に貼りて巻き起こる。

風声の五音を推す法(推風聲五音法)第七十

謂太史必知風之情,曉風之聲。宮聲如牛鳴牢中,隆隆如雷;(鼓響,雲直如雷鼓也。)徵風聲如奔馬,炎(注,一作燎火。)上如縛彘駭起;商風聲如離群之羊,如叩銅鐘,如飛集之羽,如流水汲汲,諮嗟聲感人;羽風聲如擊溼鼓,如流水揚波,激氣相磋,如麋鹿之鳴子也;角風聲如千人語,然令人悲哀,如人叫啾啾,如千人呼嘯,如雞登木。

これは太史が必ず風の情状を懂得し・風の声音を辨出し得べきを説く。宮音の風は、声は牛の欄中に在りて鳴叫するが如く、隆隆として雷声の好似たり(一注に鼓の響きと作るは、それが简直として雷鼓の如しを説く)。徴音の風は、声は奔馬の如く、火焰の上騰するが如し(注――一作に燎火)、また捆らるる猪の驚きて跳び起くるが如し。商音の風は、声は群を離れたる羊の叫ぶが如く、銅鐘を敲撃するが如く、群鳥の羽を振りて飛集するが如く、流水の汲汲として声有るが如く、あの嗟叹の音は人をして動容せしむ。羽音の風は、声は潮を受けたる鼓を敲打するが如く、流水の波浪を揚げるが如く、気流の激荡して相磨するが如く、また母鹿の幼崽を呼喚するが如し。角音の風は、声は千人の交談するが如く、却って人を悲哀せしめ、人の啾啾として哭叫するが如く、千人の一斉に呼嘯するが如く、また鶏の樹に飛び上がるが如し。

李淳風曰:五音者,是五行之聲,皆出於黃鐘之管,以生清濁。黃鐘之管長九寸,聲最濁以為宮,其數九九八十一,三分增減,以生上下。故三分減宮一分,餘五十四,三分益一,七十二,三分減一,四十八,三分益一,六十四,以成五音之數。

李淳風は言う――五音は、五行の声音なり。皆黄鐘の管より出で、此に由りて清濁の差別を生ず。黄鐘の管は長さ九寸、声音は最も濁く、それを宮音と定む。その数は九九八十一なり。再び三分損益の法を用いて増減し、上下の各音を生ず。故に宮の数を三分して一分を減ずれば、余る五十四。三分して一分を増ずれば、七十二を得。三分して一分を減ずれば、四十八を得。三分して一分を増ずれば、六十四を得――此の様にして便ち五音の数を成就す。

夫聽五音之法,必須以耳察其聲,以牙(牙,古互字。)大小,而清濁有大小,量聲體響,不可以文載口傳,是故黃帝截竹為管,以大小長短,為聲之法。然長短度量,必須以數正之。度數若正,則其聲亦正,今風發聲大小無定,不可一準。故推其清濁,以知大小況耳,但人見不同,故聲體多別,商徵牙錯,冀彼知音。

五音を聴辨する方法に至りては、必ず耳朵を用いてその声音を審察し、互いにその大小を比較せねばならず(「牙」は古の「互」の字)。清濁の中にまた大小の分別有り。声音の体勢と回响を衡量するは、これは文字に記載し・口頭に伝授する能わざる所なり。故に黄帝は竹を截りて管と為し、管子の大小・長短を用いて声音の法度を確定せり。然而長短の度量は、必ず数を用いて校正せねばならず。度数もし正ければ、声音もまた正し。如今、風の発出する声音は大小に定なく、ただ一個の標準を能わざるがゆえに、ただその清濁を推求し、藉りて大小を知るのみ。ただ各人の聴感が同じからざるがゆえに、声音の分辨に対して多く出入有り。商音を徴音と聴き成して互いに錯認す。還って音律を懂る人の明察を望む。

《黃帝》曰:凡風之動,皆不安之象也。若在山川海濱之上,空穴之間,風所起處,皆不可占之,為常式也。若在宮宅城營之內,戰陣之所,風勢異常,吹揚沙石,日光白濁,則乃占之。《黃帝》曰:凡人君理順四時,則春無悽風,夏無苦雨。先王之治,以天下為家,以兆民為子。

『黄帝』の書の上に言う――およそ風の起こるは、皆不安の徴象なり。もし山川・海濱の上・空谷・洞穴の間に在れば、あれは本来風の起こる地方にして、皆これに拠って占を起こすべからず。これは通例なり。もし宮室・宅院・城池・営塁の内、あるいは両軍の対陣する処に在りて、風勢が反常にして、沙石を吹揚し、日光が白を発して渾濁せば、乃ち占を起こすべし。『黄帝』はまた言う――およそ君主が治理して四時に順応すれば、春天に凄厉の寒風なく、夏天に害を為すの苦雨なし。先王が天下を治むるに、天下を以て自らの家と為し、億万の百姓を以て自らの孩子と為す、と。

凡風,用意察之,若紛錯交橫,乍起乍止,儒墨深藏,智者緘默。風若有聲刮耳,君用小人,疏遠君子。風若肅肅習習,調和潤氣濡物,而卯酉之位乘之,必雨,須臾而至。風若暴疾,南北無處,交錯離合,紛埃相注,此風之應,必在人主。風若冥冥,白日沉形,黃霧四塞,太陽翳精,主之昏亂,政教不明。風若滅滅,相隨南北,旁亂相觸,高下遲疾,人去其宅,大兵四集。風若寒切,令人戰慄,刑罰急酷,暴霜殺物。風若啾啾,令人悲愁,必有大喪,疾疫之憂。風若炎炎,或遲或疾,為火為旱,誠之所急。

およそ風は、皆心を用いて体察すべし。風もし紛乱交錯し・忽ち起き忽ち止まるは、儒者・墨者が皆深く蔵れて出でず・智慧有る人も緘口して言わざるを主る。風もし声有りて耳を刮るは、君主が小人を任用して君子を疎遠にするを主る。風もし肅肅習習として吹き、調和して潤気を帯びて万物を沾湿し、また卯位・酉位の上に乗ずるは、必ず雨を降らん。片刻にして就中到らん。風もし急暴迅疾にして、南北に定所なく、交錯離合し、塵埃が紛紛として灌注すれば、此の種の風の徴応は必ず君主の身に応ず。風もし昏昏冥冥にして、白日に形影を隠没し、黄霧が四方を堵塞し、太陽が光輝を失うは、君主の昏乱・政教の不明を主る。風もし断断続続・忽ち明く忽ち滅びて南北に相随い、四旁に乱竄して互いに碰撞し、忽ち高く忽ち低く・忽ち慢く忽ち快きは、百姓の家園を離れ・大軍の四面より聚集するを主る。風もし寒気の人を逼り、人をして戦慄せしむるは、刑罰の急迫苛酷にして、暴霜の万物を摧殺するが如きを主る。風もし啾啾として響き作り、人を悲愁せしむるは、必ず大いなる丧事と疫病の憂有らん。風もし炎熱にして人を灼き、あるいは慢くあるいは快きは、火災と旱災を主る。これは最も警誡を須むべし。

五音の主する所の占(五音所主占)第七十一

宮為君,商為臣,角為事,徵為令,羽為物。宮數一,(為君,為身。)徵數三,(為宗廟,為先人鬼怪。)羽數五,(為境界,為妻財。)商數七,(為人臣,為吏僕。)角數九。(為疾病,為死喪。)

宮音は君主を主り、商音は臣属を主り、角音は事務を主り、徴音は号令を主り、羽音は財物を主る。宮の数は一(君主を主り・自身を主る)。徴の数は三(宗廟を主り・先人と鬼怪を主る)。羽の数は五(疆界を主り・妻室・財物を主る)。商の数は七(臣と為る人を主り・吏員・僕役を主る)。角の数は九(疾病を主り・死喪を主る)。

淳風曰:按五音所主,以宮為君體,象五行之內土為最尊,(莊注,是故五行土性地是也。)地體與天敵體,故宮音於五音之內。為君之尊,必主宗廟。宮之先人,蓋是火行,故次徵。而號令之體,不取自專,必因宗廟,故徵亦為號令。體必有二,道不孤立,助祭宗廟,佐修陰道。故立妃后,以設母儀,是以羽為宮妻,妾是親物,故亦為物。

李淳風は言う――五音の主する所に按ずるに、宮を以て君主の本体と為し、象を五行の中の土の最も尊貴なるに取る(荘氏注――故に言うに五行の中に土性はすなわち地なり、と)。地の形体は天と相匹敵す。故に宮音は五音の中に君主の尊位に居り、必然として宗廟の事を主管す。宮の先人は火に属す。故に次の一位は徴なり。号令の此の事は、君主の一人に由りて専断する能わず。必ず宗廟に稟告せねばならず。故に徴もまた号令を主る。およそ体は必ず二有り。道は孤立する能わず。人の宗廟を祭祀し・陰柔の道を輔佐修治するを協助するを要す。故に妃后を立てて以て母儀の範を垂る。此の因に羽を以て宮の配偶と為す。妃妾はまた親近の物なり。故に羽もまた財物を主る、と。

有妻有物,百世本枝,當須子嗣,以紹宗社,故次商而為臣子。易窮則變,物極則反,天道常運,萬物隨時,次及於事,事之大者,莫過於病,病死之道,因於鬼刑。角是宮宮,故角終其末,論五音,則因濁而至清;論情誼,則從尊以主卑。故宮生於徵,徵生於角,角生於羽,此其宜也。

妻室有り・財物有りて、百世の本干・枝葉を延続して去らしむるを要し、還って子嗣の宗廟・社稷を継承するを須む。故に下の一位は商、臣と為り子と為るを主る。『周易』の講ずるは、窮すれば則ち変じ、事物は極点に到れば就中反轉し、天道は運転して停まず、万物は時に随って遷す。接いで便ち「事」に説き及ぶ。而して事情の中の最も大なるは、疾病より甚だしきは莫し。病死の道はまた鬼神・刑罰に源す。角は宮中の宮なり。故に角は最も末に排す。五音に就りて論ずれば、濁より漸々清に到るなり。情理に就りて論ずれば、尊き者より下りて卑き者に及ぶなり。故に宮は徴を生じ、徴は角を生じ、角は羽を生ず。これは理の当然たる次序なり。

地十二辰五音法:子為陽宮土,主帝王;丑為陽徵火,主旱、大災、口舌、宮寺;寅為陽徵,主烽旱火;卯為陽羽,主雨水、霖霪、霧露;辰為陽商金土,大將吏士;巳為陽角,主疾病憂懼;午為陰宮土,主妃后;未為陰徵火,主庶人土功,飛蟲,詔書檄;申為陰徵火,為郵驛尉侯;酉為陰羽水,主霜電陰沉;戌為陰商金,主小將兵刃;亥為陰角,主死喪哭泣。李淳風曰:自子至巳皆為陰律所上生,故為陽。自午至亥皆為陽律所下生,故為陰。

地支十二辰の五音に配する法――子は陽宮にして土に属し、帝王を主る。丑は陽徴にして火に属し、旱災・大災・口舌および宮廷・官署の事を主る。寅は陽徴にして、烽火・旱災と火患を主る。卯は陽羽にして、雨水・連綿の淫雨と霧露を主る。辰は陽商にして金土に属し、大将与吏士を主る。巳は陽角にして、疾病と憂懼を主る。午は陰宮にして土に属し、妃后を主る。未は陰徴にして火に属し、平民の土木・労役・飛虫の災と詔書・檄文を主る。申は陰徴にして火に属し、郵駅と尉侯の職を主る。酉は陰羽にして水に属し、霜・電と陰沈の天を主る。戌は陰商にして金に属し、偏裨・小将与兵刃を主る。亥は陰角にして、死喪・哭泣を主る。李淳風は言う――子より巳に至るは、皆陰律に被りて上に向かって生ぜらるる所なり。故に陽に属す。午より亥に至るは、皆陽律に被りて下に向かって生ぜらるる所なり。故に陰に属す、と。

《洪範五行》之數,水、火、金、木、土,蓋自順理,自北徂南,先經後緯,以土數注之。今五音則宮、徵、羽、商、角。宮為聲主,以集五音,形其尊卑。故逆自南徂北,先緯而後經,逆順先後,蓋取聲形為質也。數兼奇偶,聲為響也。陰偶陽奇,獨奇陽,性動者逆行,情定者順入,是以有逆順之理焉。徵者大也,大是南方,體合二位,故戊己及土同在南方。五音之說,故以二位成體。所以平均多少,遞標逆順,猶六神之內,大兼二將者也。

『洪範』五行の次序は水・火・金・木・土、本是れ常理に順いて排したるなり。北より南に由りて、先ず経にして後に緯、最後に土の数を用いて収束す。如今、五音の次序は則ち宮・徴・羽・商・角。宮は衆声の主にして、以て五音を統攝し・尊卑を顕出す。故に反って南より北に由りて、先ず緯にして後に経。此の一逆一順・一先一後は、声と形を取りて以て根拠と為す。数は奇偶を兼ね、声は則ち彼らの回响なり。陰は偶数・陽は奇数にして、ただ奇数のみ陽に属す。性の動に属するは逆行し、情の已に定まれるは順入す。故にその中に自ら逆順の道理有り。徴はすなわち大の意なり。大は南方に対応し、その体は両個の方位を兼合す。故に戊・己と土もまた南方に同在す。五音の説は、此の因に両個の方位を用いて一体を構成することを要し、此の様にして乃ち多少を平均し・依次に逆順を標出すを能くす。六神の中に大将が両位の副将を兼領するが如し。

五音風の占(五音風占)第七十二

宮風:(音如雷鼓。)發屋折木,(怒也。)有土功,(宮主土。)人君內亂,(宮為君,發屋折木,自動其□,故亂也。)不出十日、百日,(宮數。)有所之,(風以動之,以所其不安,故有之。)且有急令,(風必有急令也。)貴人相捕斬,(亂則君臣相疾,疑慮忌恐,其傷亡,遞相捕斬。)天下兵起,(貴賤相誅,下不堪命,故天下兵起也。)盜賊滿市,人飢不已,(貴人誅,兵卒起,令不行。賊入市。)車馳馬奔,流移不止。(宮為土,土動,故人移居。亂則兵起車馳,但有急令應占,則下皆發。他皆仿此。)

宮風(声音は雷鼓の如し)――屋頂を掀翻し・樹木を折断す(これは怒風)。土木の工程有るを主る(宮は土を主る)。君主の内部に乱を生ず(宮は君と為り、風が屋を掀き木を折るは、自己が自らの根本を動揺せしめたるがゆえに、故に乱を生ず)。応期は十天あるいは一百天を出ず(これは宮の数なり)。往く所有るを主る(風は万物を鼓動するを能くし、その不安を因として動く所有らん)。併せて緊急の命令有らん(風の起こるは必ず急令に伴随す)。貴人の間に互いに捕殺す(内乱なれば則ち君臣が互いに猜忌し・疑慮畏懼し、是を以て彼此傷亡し・逓相に捕斬す)。天下に兵興る(貴賤が互いに誅戮し、下面の人はその命に堪えざるがゆえに、天下に兵興る)。盗賊が市井に充斥し・百姓が饑饉して止まざらん(貴人が誅せられ・兵卒が蜂起し・政令が行われざれば、盗賊は便ち市中に闖入す)。車馬が奔驰し・流亡遷徙して停まざらん(宮は土に属し、土が一たび動けば、人は就中居を遷す。乱れば則ち兵起こり車馳す。ただ急令が此の占に応ぜば、下面のこれらの事は就中皆発生せん。其余の各風は皆此に照らして類推す)。

徵風。發屋折木,不出三日、三十日。若有大災,吏憂自行,當四方有告急事,或有火妖。性恐怖驚亂。(凡言吏者,理入官,上至三公皆是也。)羽風。發屋折木,不出五日、五十日,糴大貴,人以水為敗,若大喪,后妃黜,寶物出。商風。發屋折木,不出七日、七十日,有急令,兵起,糴大貴,國四門閉,兵從中起。(四門閉者,閉梁塞城邑,固折而備干也。)角風。發屋折木,不出九日、九十日,有急賊盜鬥戰,糴大貴,大飢,人飢相食,有大死喪,當有疾癘之事。

徴風――屋を掀き木を折るは、応期は三天あるいは三十天を出ず。もし大災有れば、官吏は憂懼を因に自ら奔走し、四方に将に急を告げる事有り、あるいは火怪の出現有らん。此の種の風の性情は人を恐怖驚乱せしむ。(およそ「吏」と説くは、治事して仕に入る人を指し、上は三公に至るまで皆算入す。)羽風――屋を掀き木を折るは、応期は五天あるいは五十天を出ず、糧価が大いに漲り、人は水を因に敗亡に遭い、あるいは大喪有り・后妃が廃黜せられ・宝物が宮外に流出せん。商風――屋を掀き木を折るは、応期は七天あるいは七十天を出ず、緊急の命令有り・兵事が興起し・糧価が大いに漲り・国都の四門が緊閉し・兵変が内部より発生せん。(いわゆる四門の緊閉とは、橋梁を封鎖し・城邑を堵塞し、関防を加固して以て外侵を防備す。)角風――屋を掀き木を折るは、応期は九天あるいは九十天を出ず、緊急の賊盗と斗戦有り・糧価が大いに漲り・大いに饑饉を鬧し・人は餓えて互いに残食し・大量の死喪有り、還って瘟疫の事を発生せん。

淳風曰:按京房翼奉風角舊書,皆以此與五音相動風占相連,各在一音之首。後之學者,竟不能悟,渾雜推考,頗乖舊意。今輒心集之於此,別為條例,則使後學如是風聲之占,不與彼日辰五音相雜矣。然即此風,雖知聲之所主發之禍福,皆須以日辰來處相參課之。

李淳風は言う――京房・翼奉の伝えたる風角の旧書を考察するに、皆此の一部分を五音の相動の風占と連ねて一にし、各々每一音の開頭に放り置く。後世の学者は竟に領会する能わず、混雑して一に推考し、甚だ旧本の原意に違背す。如今、我は特に心を用いてそれらを此処に彙集し、別に条例を立て、後学をして此の類の風声の占を推する時に、再びあの些の日辰・五音の占と相い混雑せざらしめんと欲す。不過ただ此の類の風に就りて言えば、声音の主する所の禍福を知ると雖も、仍然として皆日辰と風の来処を拿りて互いに参照考校せねばならざるなり。

占風之家,多雲發屋折木、飛沙轉石等語,若每一行之中,一著此語,則於文頗煩。今輒集風發之體,以一字例。凡古占雲發屋折木者,今皆云怒風。古占雲揚沙轉石者,今皆云狂風。古占雲四轉五復者,今皆云亂風。古占雲暴風卒至,乍有乍無者,今皆云暴風。古占雲獨鹿蓬勃者,今皆云勃風。古占雲扶搖羊角者,今皆為飄風。今因此以風來清涼溫和塵埃不起者為和風。若有闇冥昏濁寒克者為霾翳。

風を占う人は、多く「屋を掀き木を折る」「沙を飛ばし石を走らす」一類の説法を用う。もし每一条の裏に皆これらの話を写し上げば、文字は就中甚だ累贅なり。現在、我は風の発作する形態を帰納して、各々一個の字を用いて通例と為す。およそ古占に「屋を発し木を折る」と説くは、今后は一律に「怒風」と呼ぶ。古占に「沙を揚げ石を轉ず」と説くは、今后は一律に「狂風」と呼ぶ。古占に「四轉五復」と説くは、今后は一律に「乱風」と呼ぶ。古占に「暴風が忽然而至り・忽ち有り忽ち無し」と説くは、今后は一律に「暴風」と呼ぶ。古占に「独鹿蓬勃」と説くは、今后は一律に「勃風」と呼ぶ。古占に「扶揺羊角」と説くは、今后は一律に「飄風」と呼ぶ。此の因にまた清涼温和にして吹き来り・塵埃の起こらざる風を「和風」と呼ぶ。もし昏暗渾濁にして・寒気の人を逼るは、就中「霾翳」と呼ぶ。

古書云:風者,通已前並用,總有八號,謂之八風。取《爾雅》風名,風而雨為霾,陰而風為翳,日出而風為暴,迴風為飄,焚輪謂之頹,扶搖謂之焱。

古書の上に言う――風は、前面の列したる名目に連ねて併せて使用し、総計して八個の名号有り、「八風」と呼ぶ。これらの名称は『爾雅』の記す所の風名より取れり。風を起こしてまた雨を降らすを「霾」と呼び、天陰にして風を起こすを「翳」と呼び、日出の時に風を起こすを「暴」と呼び、回旋の風を「飄」と呼び、上より下に向かって巻く旋旋風を「頹」と呼び、下より上に向かって巻く旋風を「焱」と呼ぶ、と。

五音六属を論ず(論五音六屬)第七十三

五音者:一言宮,三音徵,五言羽,七言商,九言角。六屬者:庚屬震,辛屬巽,戊屬坎,巳屬離,丙屬艮,丁屬兌;子午屬庚,丑未屬辛,寅申屬戊,卯酉屬巳,辰戌屬丙,巳亥屬丁。

いわゆる五音――数一を宮と呼び、数三を徴と呼び、数五を羽と呼び、数七を商と呼び、数九を角と呼ぶ。いわゆる六属――庚は震卦に属し、辛は巽卦に属し、戊は坎卦に属し、己は離卦に属し、丙は艮卦に属し、丁は兌卦に属す。子・午の両辰は庚に属し、丑・未は辛に属し、寅・申は戊に属し、卯・酉は己に属し、辰・戌は丙に属し、巳・亥は丁に属す。

乾主甲子壬午。(甲為陽日之始,壬為陽日之終。子為陽辰之初,午為陽辰之中。乾初在子,則乾四在午。言乾為陽,故主陽日;乾主陽,故四陽辰。內主子,外主午,內為始,外為終,終始陰陽也。)坤主乙未癸丑。(乙為陰日之始,癸為陰日之終,丑為陰辰之初,未為陰辰之中。坤初在未,則坤四在丑每言坤為陰,故主陰日辰,內主未,外主丑。)

乾卦は甲子と壬午を主る。(甲は陽日の開始、壬は陽日の終結。子は陽辰の起頭、午は陽辰の中位。乾卦の初爻は子を納す。然らば乾卦の第四爻は就中午を納す。乾は陽と為るがゆえに陽日を主る。乾は陽を主るがゆえに四個の陽辰に配す。内卦は子を主り、外卦は午を主り、内は起始と為り・外は終結と為る。一終一始は正に陰陽の道なり。)坤卦は乙未と癸丑を主る。(乙は陰日の開始、癸は陰日の終結。丑は陰辰の起頭、未は陰辰の中位。坤卦の初爻は未を納す。然らば坤卦の第四爻は就中丑を納す。坤は陰と為るがゆえに陰の日辰を主る。内卦は未を主り、外卦は丑を主る。)

震主庚子庚午。(震為長九,主甲。對於庚,以父授男,乾初子,故主庚於,與父同也。)巽主辛丑辛未。(巽為長女,坤初主乙,乙對於辛,故巽主辛,以母授女,故主五未也。)坎主戊寅戊申。(戊為中男,故主之辰在中之干,與中也。離主己卯己酉,離為中女,故主中干中辰。)艮主丙辰丙戌。(艮方少男乾上,主壬對丙,故主丙辰丙戍,是第五配之。)兌主丁巳丁亥。(兌為少女對丁,故主丁巳丁坤上,主癸亥,是第六故配之。)

震卦は庚子と庚午を主る。(震は長男と為り、乾は甲を主り、甲と庚は相対す。これは父親が納甲の法を長子に授くるなり。乾卦の初爻は子を納す。故に震もまた庚子を主り、父卦と相同じ。)巽卦は辛丑と辛未を主る。(巽は長女と為り、坤卦の初爻は乙を主り、乙と辛は相対す。故に巽は辛を主る。これは母親が納甲の法を長女に授くるなり。故に辛未を主る。)坎卦は戊寅と戊申を主る。(戊は中男と為るがゆえに、それの主する所の地支は中位に居り、天干もまた居中の戊を取る。離卦は己卯と己酉を主り、離は中女と為るがゆえに、居中の天干と居中の地支を主る。)艮卦は丙辰と丙戌を主る。(艮は少男と為り、乾卦の上爻は壬を主り、壬と丙は相対す。故に艮は丙辰・丙戌を主る。これは第五重の配法なり。)兌卦は丁巳と丁亥を主る。(兌は少女と為り、丁と相対す。故に丁巳・丁亥を主る。坤卦の上爻は癸亥を主る。これは第六重の配法なり。)

故八地十二辰,以命十干所屬者命之。未至,以其言數納其音,以數主。一曰:今日辰相配,共得一音。然月初出於庚見震象,八日丁上見兌象,十五日甲上見乾象,十六日平旦、辛上見巽象,二十三日平旦、丙上現艮象,晦日見離象,朔日見坎象於戊巳中宮。此之所主,從月而來矣。

故に八方の地と十二地支は、皆十天干の各自の所属に依照して命名し帰類すべし。もし納音の数がいまだ推到せざれば、説く所の数目に依ってその音を納定し、数目を以て綱と為して推断す。もう一つの説法――当日の天干と地支を相配し、合わせてただ一個の音を得るのみ、と。月相と八卦の対応に至りては――月亮が初めに出ずる時は「庚」位に見え、「震」卦の象を顕現す。初八日は「丁」位の上に「兌」卦の象を顕現す。十五日は「甲」位の上に「乾」卦の象を顕現す。十六日の清晨は「辛」位の上に「巽」卦の象を顕現す。二十三日の清晨は「丙」位の上に「艮」卦の象を顕現す。月末の晦日は「離」卦の象を顕現す。月朔の日は則ち「戊己」の中宮に「坎」卦の象を顕現す。此の一套の推法の主管する所の休咎は、皆月亮の盈虧・運行に随って来るなり。

五音の正朔日を受くる占(五音受正朔日占)第七十四

(細音立成日,並納陰陽,六情中同者也。)

此の一篇は五音を細分し、「立成」表の用いる所の日辰を列出し、併せて陰陽の分属を一併に納入して其中と為す。後文の「六情」の一篇の講ずる所と相同じ。

朔者,正月一日,諸納音陰陽宮日。(子盡巳為陽,午盡亥為陰。)

いわゆる「朔」とは、就中正月初一の此の日なり。およそ納音の法を用いて推し出したる日子は、皆先ずどれが陽宮日・どれが陰宮日かを分清せねばならず。(「子」より「巳」に至る此の六辰は陽に属し、「午」より「亥」に至る此の六辰は陰に属す。)

庚子為陽宮,庚午為陰宮。(庚子重陽,庚午重陰。)以此宮音受正朔日風者,賣田宅,收粟。(謂正月朔也。淳風以十一月者,陽之始,歲首所起,十一月朔日為元。)

「庚子」の日は納音が宮に属して陽位に居るは、是れ陽宮日なり。「庚午」の日は納音が宮に属して陰位に居るは、是れ陰宮日なり。(庚子は陽の上に陽を加う。故に「重陽」と呼ぶ。庚午は陰の上に陰を加う。故に「重陰」と呼ぶ。)およそ正月初一の此の日に宮音の日に由りて当日の風を承受するは、田地・房産を売出し・粟米を収進するに宜きを主る。(此処に説くは正月初一なり。李淳風は則ち十一月を用うるを主張す。それは十一月が陽気の初生の始・一年の節候の起点なるがゆえに、故に十一月の朔日を取りて以て推算の開端と為す。)

徵日受正朔日風者,賣田宅絲綿,收大麥。羽日受正朔日風者,賣下田,就山陵居,五穀。(水傷。)商日受正朔日風者,賣六畜,收筋角皮,修甲治兵。角日受正朔日風者,賣田宅,收奴婢棺槨及送終之具。

徴音の日が正月初一に風を承受するは、田宅と糸綿を売出し・大麦を収進するに宜きを主る。羽音の日が正月初一に風を承受するは、低窪の田地を売掉し・山陵の高処に遷りて居住し・併せて五穀を囤積するに宜きを主る。(それは羽が水に属するがゆえに、此の年に水気が庄稼を傷害せん。)商音の日が正月初一に風を承受するは、六畜を売掉し・筋・角・皮革の一類の物資を収進し・铠甲を修繕し・兵器を整治するに宜きを主る。角音の日が正月初一に風を承受するは、田宅を売出し・奴婢および棺椁などの送終の器具を収買するに宜きを主る。

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