客星が中外官を犯す占い 第四十六
客星入攝提座,謀臣在側,聖人受制。出大角,兵起,天下亂。若守之二十日已上,王者惡之,國易政,期三年。干犯天市,所犯者誅。干犯帝座,人民大亂,宮朝徙大臣,期三年。守東西咸,人主淫泱失道。
客星が「摂提」星座に入るのは、陰謀を持つ臣が君主の身旁におり、聖明の君主がかえって彼に挟制される兆しである。客星が「大角」星から分かれ出るのは、兵事が興り天下が大いに乱れる兆しであり、もし大角を二十日以上守れば、君王はこの象を悪み国家が政権を換え、応験の期は三年である。客星が「天市垣」を侵犯するのは、それが侵犯する星に対応する人が誅殺される兆しである。客星が「帝座」星を侵犯するのは、百姓が大いに乱れ宮廷朝堂が大臣を遷調する兆しで、応験の期は三年である。客星が「東咸」「西咸」の二星を守るのは、君主が淫佚放纵して正道を失う兆しである。
入天江,津關絕,道路阻塞。一曰:河津吏有憂。干犯建星,王者失道,貴者誅,賢士逃亡。犯離珠,後宮凶。守天大將軍,大將憂。干犯五車,兵起滿野,天下半傾,百姓徙居,去其鄉土,期三年;守,五穀貴。
客星が「天江」星に入るのは、渡口・関隘が断絶し道路が阻塞する兆しであり、別の説に河渡を掌る官吏に憂患があるとする。客星が「建星」を侵犯するのは、君王が正道を失い顕貴の人が誅殺され、賢士が外に逃亡する兆しである。客星が「離珠」星を侵犯するのは、後宮に凶事がある兆しである。客星が「天大将軍」星を守るのは、大将が憂懼する兆しである。客星が「五車」星を侵犯するのは、兵馬が興り原野に布満し、天下が半ば傾覆し百姓が他へ徙り己の郷土を離れる兆しで、応験の期は三年である。ただ守って犯さないだけなら、五穀の値が貴くなる兆しである。
入天關,天下有急,關市閉塞,人多疾病,多盜賊。出南河戒,有男喪事於外,暈三重,必有降城。一曰:客干犯兩戒間,天子出走,大臣執勢,王者以赦除咎,群臣天子以寧。入北河,多胡為異兵。
客星が「天関」星に入るのは、天下に緊急の事があり、関口と集市が閉塞して通じず、人に疾病が多く盗賊が衆多となる兆しである。客星が「南河戒」から分かれ出るのは、男子の喪事が外地で発生する兆しであり、もし星の外囲に三重の光暈があれば必ず城池が投降する。別の説に、客星が南河・北河の両戒の間を侵犯するのは、天子が出奔逃亡し大臣が権勢を把持する兆しである。君王が大赦をもって災咎を消除すれば、群臣と天子は安寧を得る。客星が「北河戒」に入るのは、北方の胡人が大批に興り、辺を犯す異族の兵となる兆しである。
干犯五諸侯,王室亂,大兵起,天下宮廟不祀。出五諸侯,大臣有憂,若執政臣得罪。一曰:議臣有黜。赤星守五諸侯,天下大亂。干犯積水,兵起宮門,宗廟毀絕,大臣憂。出積水,天下水溝為災,土功堤防之事,期不出一年。出積薪,有憂,若以薪蒿之事而致罪。
客星が「五諸侯」星を侵犯するのは、王室が動乱し大規模な兵事が興り、天下の宮殿・宗廟の祭祀が絶える兆しである。客星が五諸侯から分かれ出るのは、大臣に憂患があるか、あるいは執政の臣が罪を得る兆しであり、別の説には諫議の臣が罷黜されるとする。赤い星が五諸侯を守るのは天下が大いに乱れる兆しである。客星が「積水」星を侵犯するのは、兵事が宮門の内に起こり宗廟が毀棄され断絶し、大臣が憂懼する兆しである。客星が積水から分かれ出るのは、天下の溝渠・水道が災いとなり土木・堤防の役が興る兆しで、応験の期は一年を出ない。客星が「積薪」星から分かれ出るのは、憂患があるか柴草の事によって罪を得る兆しである。
干犯水位,水道閉塞,伏兵在水中,以水為害。出水位,為水官有憂,若臣下有謀兵起,期三年。干犯軒轅,近者誅滅宋族,王以赦除咎。入軒轅,有遠客來者。入東門,有夷人從外來降。
客星が「水位」星を侵犯するのは、水道が閉塞して通じず、伏兵が水中に蔵れ、水をもって禍害とする兆しである。客星が水位から分かれ出るのは、水を掌る官に憂患があるか、あるいは臣下が陰謀を懐いて兵事が興る兆しで、応験の期は三年である。客星が「軒轅」星を侵犯するのは、近期の応験は宋の地の宗族を誅滅することであり、君王は大赦をもって災咎を消除すべきである。客星が軒轅に入るのは、遠方の客人が来る兆しである。客星が「東門」に入るのは、夷族の人が境外から帰降して来る兆しである。
干犯少微,白衣聚,王者凶,術士不彰,智者逃亡,期三年。入少微,奸臣眾;出少微,術士用,及功巧,王用之。入端門仍出,其國大患,天下亂,以色占之。出左掖門,其國憂;出東門,旱;出右門,亂;出西門,國亂及大水。
客星が「少微」星を侵犯するのは、官爵なき士人が聚集し、君王に凶险があり、方術の士が顕揚されず、智謀ある人が逃亡し世を避ける兆しで、応験の期は三年である。客星が少微に入るのは奸臣が衆多の兆しであり、客星が少微から分かれ出るのは、方術の士が任用を得て、身に巧藝を懐く工匠も併せて君王に起用される兆しである。客星が「端門」に入りすぐまた出るのは、その国に大きな禍患があり天下が動乱する兆しで、具体的な吉凶は星の色によって占い断ずる。客星が「左掖門」から分かれ出るのはその国に憂患がある兆し、「東門」から分かれ出るのは干ばつの兆し、「右掖門」から分かれ出るのは動乱の兆し、「西門」から分かれ出るのは国家が動乱し大きな水がある兆しである。
入太微庭中,出端門,天下大亂,王憂,國易政,期三年。他星入太微,色白潤澤者有赦。入太微中,兵大起,有客賊來入國,守之十日不出,其災成。在陽為男,在陰為女,不出三十日。入天子宮十日而成句巳,天下有赦。入太微中乘守者,有殃;出太微,國有兵喪。
客星が太微垣の庭中に入り、再び「端門」から出るのは、天下が大いに乱れ君王が憂愁し、国家が政令を換える兆しで、応験の期は三年である。他の異星が太微垣に入り、色が潔白で潤いあるものは、大赦がある兆しである。客星が太微垣の中に入るのは、兵事が大いに興り外来の賊寇が国境に侵入する兆しであり、もしその中に十日守って出なければ、この災禍は坐実する。南(陽位)に発生すれば男子に応じ、北(陰位)にあれば女子に応じ、応験は三十日を出ない。客星が天子の宮(太微垣内)に十日入り、運行が曲がった勾巳の形を成すのは、天下に大赦がある兆しである。客星が太微垣の中に入り諸星を凌乗し守るのは禍殃がある兆しであり、客星が太微垣から出るのは、国家に兵事と喪事がある兆しである。
入太微,犯黃帝座,天子憂,臣謀主,至座而還,謀不成,反受其殃。犯之十日已上,臣謀成,期不出一年。抵帝座,天子有喪;抵座旁,臣有反。有赤星銳如鉤抵座星,天子兵驚,一曰火驚。黑星抵帝座,天子惡之。客星有犯乘守內屏星者,為君臣失禮,而輔臣有諫者免罷。
客星が太微垣に入り「黄帝座」星を侵犯するのは、天子が憂愁し臣下が君主を図り謀る兆しである。もし星が帝座の跟前まで行って折り返せば、陰謀は成らず、事を謀る人がかえって自らその禍を受ける。帝座を十日以上侵犯するのは、臣下の陰謀が遂げられる兆しで、応験の期は一年を出ない。客星が帝座に抵るのは天子に喪がある兆しであり、帝座の旁に抵るのは臣下に反叛がある兆しである。赤い星で芒角が鋭く鉤のごとく帝座に抵るのは、天子が兵事に驚擾される兆しであり、別の説には火災に驚擾されるとする。黒い星が帝座に抵るのは、天子がこの象を悪む兆しである。客星が「内屏」星を侵犯し凌乗し守るのは、君臣の間が礼数を失い、進諫する輔弼の臣が免職罷黜される兆しである。
客星入紫微,王室有兵喪。客星出平星,賦斂之臣有罪;若庫使不忠,當有廢黜,期不出一年。守羽林軍天陣,兵戈大起。
客星が「紫微垣」に入るのは、王室に兵事と喪事がある兆しである。客星が「平星」から分かれ出るのは、賦税の征斂を掌る臣が罪を得るか、あるいは倉庫の主管が不忠であって廃黜されるべき兆しで、応験の期は一年を出ない。客星が「羽林軍」と「天陣」の二星を守るのは、兵戈が大いに興る兆しである。
乙巳占 巻第八
彗孛の占い 第四十七
長星,狀如帚;孛星圓,狀如粉絮,孛孛然,皆逆亂凶。孛之氣狀雖異,為殃一也,為兵喪,除舊佈新之象。餘災不盡,為兵喪水旱,凶飢暴疾。長大見久,災深;短小見速,災淺。彗孛所當之國受其殃。
「長星」の形は箒のようであり、「孛星」は丸く、形は散り乱れた綿絮のようで、ぼんやり蓬として四方へ射出る。この二種の星はいずれも叛逆・動乱の凶象を主る。彗気と孛気は形状は異なれど、成す禍殃は同じで、いずれも兵事と喪事を主り、「除旧布新」――王朝の交代の徴象である。もし余りの災気が散り尽くせなければ、兵禍・喪亡・水災・旱災、および凶年の飢饉と急性の疫病を主る。星の形が長大で現れる時間が久しければ災禍は深重となり、星の形が短小で速やかに隠没すれば災禍は軽浅となる。彗星・孛星がいずれの国の分野に正対すれば、その国がこの禍殃を蒙るのである。
彗孛干犯月五星,有兵喪,中國兵動,四夷來侵,百姓不安。凡彗孛見,亦為大臣謀反,以家坐罪,破軍流血,死人如麻,哭泣之聲遍天下,臣殺君,子殺父,妻害夫,小凌長,眾暴寡,百姓不安,干戈並興,四夷來侵,國兵不出,飢疫死亡之事。
彗星・孛星が月と金・木・水・火・土の五星を侵犯するのは、兵事と喪事があり、中原の兵馬が調動され、四方の夷族が侵して来て、百姓が安寧を得ない兆しである。およそ彗星・孛星が現れるのは、また大臣が謀反し、全家がこれによって連坐して罪を得る兆しであり、軍が潰敗して血が流れを成し、死者が乱麻のごとく多く、哭泣の声が天下に満ちる。臣が君を殺し、子が父を殺し、妻が夫を謀り害し、年の幼き者が長き者を欺き、人多き者が人少なき者を圧し、百姓が安寧を得ず、干戈が四方に興り、四方の夷族が侵入するのに、本国の軍は陣に出ることができず、併せて飢饉・瘟疫と死亡の事がある兆しである。
凡戰,兩軍相當,執本者勝;隨彗所指處以討之焉。彗星有行有止,行者則事小,止者則事大,各在邦以直事國分占之。
およそ交戦において、両軍が勢力互角の時は、彗星の本体(星身)のある方に居る側が勝利を占め、彗尾の指す方向に従って敵を討伐すべきである。彗星には運行して止まらないものと、停駐して動かないものとがある。運行するものは応験の事が小さく、停駐するものは応験の事が重大である。それぞれその居る位置により、当値の事項と対応する国家の分野をもって占い断ずる。
彗孛が列宿に入る占い 第四十八
彗孛出行,歷二十八宿。留舍出見,百日不去,三年應之。五十日已上,五年應之。二百日已上,七年應之,災深。
彗星・孛星が運行するときは二十八宿を遍歴する。それがある宿の星舎に停留して現れ、百日も去らないものは三年以内に応じ、五十日以上停まるものは五年以内に応じ、二百日以上停まるものは七年以内に応じ、しかも災禍はいよいよ深重である。
彗孛干犯兩角間,白者,軍起不戰,邦有大喪;其色赤,戰,芒所指,必有破軍侵城,期七十日,或三年。與彗孛出角,天下大亂,更改易王,暴兵起,必有戰,近期三年,中五年,遠九年。彗入出角,長可七八尺,天下更改。金火守之,兵大用。
彗星・孛星が「角宿」の二星の間を侵犯する場合、色が白く発するものは、軍が兵を起こして交戦せず邦国に大喪がある兆し、色が赤く発するものは交戦の兆しで、星芒の指す方向には必ず軍の撃破と城池の侵奪があり、応験の期は七十日、あるいは三年である。もし彗孛が角宿から分かれ出るのは、天下が大いに乱れ改朝换代して君王を換え、暴乱の兵が興り必ず戦事がある兆しで、近くは三年、中は五年、遠くは九年に応じる。彗星が角宿を出入して長さ七・八尺ほどのものは、天下が改易して主を換える兆しである。太白金星・熒惑火星が角宿を守るのは、大規模に兵を用いる兆しである。
彗出亢,天下大飢,其國有兵喪,人民多疫,人相食,不出三年。彗出亢,天子失德,天下大亂,有大水、兵疫。彗干犯氐,大赦,天子失德,米大貴。彗出氐中,天下大赦,其滅氐,大疾惡,米大貴,兵起。彗孛起氐中,天子不安宮,移徙,失德,易政。
彗星が「亢宿」から分かれ出るのは、天下が大いに飢饉となり、その分野の国に兵事と喪事があり、百姓に瘟疫が多く、人が人を食うに至る兆しで、応験は三年を出ない。彗星が亢宿を出るのは、また天子が徳を失い天下が大いに乱れ、大水・兵災と疫病がある兆しである。彗星が「氐宿」を侵犯するのは、大赦が頒行され天子が徳を失い、米の値が大いに上がる兆しである。彗星が氐宿の中から分かれ出るのは、天下に大赦がある兆しであり、もしそれが氐宿の光を掩い滅すれば、重い疾疫があり米の値が大いに上がり、兵事が興る兆しである。彗孛が氐宿の中から升るのは、天子が宮中で安寧を得ず、他へ徙るを余儀なくされ、徳行に欠け政令を換える兆しである。
彗起房出,天子行為無道,諸侯守兵守國。彗孛貫房,王室大亂。彗干犯鉤鈐,王宮大亂,不出三年。彗出心,兵起宮中,劍戟交鋒,大臣相疑,有戮死者,近期七日,中七十日,遠百八十日。彗出心,居守之,天子有喪,德令不行,蝗蟲大起,人民飢,流去其鄉,期一年,遠六年。
彗星が「房宿」から升り分かれ出るのは、天子の行いが無道で、諸侯が各自に兵を擁して自国を守る兆しである。彗孛が房宿を貫穿するのは、王室が大いに乱れる兆しである。彗星が房宿の旁の「鉤鈐」星を侵犯するのは、王宮が大いに乱れる兆しで、応験は三年を出ない。彗星が「心宿」から分かれ出るのは、兵事が宮中に起こり、刀剣・長戟が当面して交鋒し、大臣の間で互いに猜疑し、殺戮される人が出る兆しで、近くは七日、中は七十日、遠くは百八十日に応じる。彗星が心宿を出て停駐し守候するのは、天子に喪があり徳政の法令が行えず、蝗虫が大量に滋生し、百姓が飢餓して流亡し郷を離れる兆しで、応験の期は一年、最も遠くは六年である。
彗出入尾,后相貴臣誅,兵起宮門,宮人走出,國易政,近一年,中二年,遠三年。彗孛干犯尾,后有以珠玉簪珥惑天子者,誣讒大起,后相貴臣誅,宮人走出,兵起宮門,歲多土功,近期百八十日,遠一年。彗出箕,夷狄為亂,大兵起,天下大旱,米貴十倍,大飢。彗守箕,東夷下溼與水居,將為亂。
彗星が「尾宿」を出入するのは、皇后・丞相と顕貴の臣が誅殺され、兵事が宮門に起こり、宮人が出逃し、国家が政権を換える兆しで、近くは一年、中は二年、遠くは三年に応じる。彗孛が尾宿を侵犯するのは、後宮の人が珠玉の簪珥の類の首飾をもって天子を惑わし、誣告・讒毀の風が大いに起こり、皇后・丞相と貴臣が誅され、宮人が出逃し、兵が宮門に起こり、この年に土木の工役が多い兆しで、近くは百八十日、遠くは一年に応じる。彗星が「箕宿」から分かれ出るのは、夷狄が乱をなし大規模な兵事が興り、天下に大旱があり、米の値が十倍に上がり大きな飢饉となる兆しである。彗星が箕宿を守るのは、東方の夷族のうち低窪で湿った所に水に依って居る部落が乱をなさんとする兆しである。
彗孛長干犯南斗,爵祿大臣憂,王者病疫,臣謀君,子謀父,弟謀兄,是謂無禮,諸侯不通,天下易政,大亂兵起,期百八十日,遠不出一年。彗出南斗,大臣謀反,兵水並起,天下亂。彗出斗,天下皆謀上。
長大な彗孛が「南斗」を侵犯するのは、爵禄を掌る大臣が憂愁し、君王が疫病に染まる兆しである。臣が君を図り、子が父を図り、弟が兄を図る、これを「無礼」と謂う。諸侯の間で往来が断絶し、天下が政権を換え、大いに乱れて兵が起こる兆しで、応験の期は百八十日、最も遠くは一年を出ない。彗星が南斗から分かれ出るのは、大臣が謀反し、兵禍と水災が共に発生し天下が動乱する兆しである。彗星が斗宿を出るのは、天下の人が皆君上を図り謀る兆しである。
彗犯牛,吳越兵起自立,三年而滅。彗孛干犯牛,中國兵起。彗出牛,四夷兵起,邊境為亂,來侵中國,人主有憂,期一年,中二年,遠三年。彗出牛,改元易號之象。又曰:多兵,糴貴,牛大死。
彗星が「牛宿」を侵犯するのは、呉・越の地が兵を起こして自立し、三年の後に消滅される兆しである。彗孛が牛宿を侵犯するのは、中原の地に兵事が興る兆しである。彗星が牛宿から分かれ出るのは、四方の夷族が兵を起こし、辺境が動乱して中原を侵犯しに来て、君主に憂患がある兆しで、応験の期は一年、中は二年、遠くは三年である。彗星が牛宿を出るのは、また年号を改め名号を換える征象である。別の説には、兵事が多く糧の値が昂貴となり、牛が大批に死亡するとする。
彗孛干犯須女,其邦兵起,女為亂,若妾遷為後,王者無信,大亂,期不出三年,退女所親,天下安寧。彗出須女,其國兵大起,女主為亂,王者惡之,將軍戮死,若以戰亡,期不出三年。
彗孛が「須女」宿を侵犯するのは、その邦国に兵事が興り、女子が乱をなすか、あるいは姫妾が正して皇后とされる兆しであり、君王が人に信を失い天下が大いに乱れる兆しで、応験は三年を出ない。もし女寵の親党を斥退できれば、天下は安寧を得る。彗星が須女宿から分かれ出るのは、その国に兵事が大いに興り、女主が乱をなし、君王がこの象を悪み、将軍が殺されるかあるいは戦場に死する兆しで、応験は三年を出ない。
彗出虛,兵大起,天子自將兵於野,大戰流血,光芒所指,國必亡,期三年,遠五年。彗出虛危之間,其國有叛臣,兵大起,將軍出行,國易政,期三年。彗出干犯危,其國有叛臣,兵大起,將軍出,國易政,若大水,人飢,期三年。彗孛干犯危,其國有叛者,兵起,大將軍出。
彗星が「虚宿」から分かれ出るのは、兵事が大いに興り、天子が自ら兵を率いて野外で征戦し、大戦して血が流れを成す兆しであり、彗芒の指す分野の国は必ず滅亡し、応験の期は三年、最も遠くは五年である。彗星が虚宿と危宿の間に出るのは、その国に叛臣があり兵事が大いに興り、将軍が兵を領して出行し、国家が政権を換える兆しで、応験の期は三年である。彗星が出て「危宿」を侵犯するのは、その国に叛臣があり兵事が大いに興り、将軍が出征し国家が政権を換えるか、あるいは大水が発し人民が飢饉に遭う兆しで、応験の期は三年である。彗孛が危宿を侵犯するのは、その国に叛乱する人があり兵事が興り、大将軍が出征する兆しである。
彗孛干犯室,先起兵者弱,不可以戰,戰必亡地,主將必亡,去之吉,期百八十日,遠二年。一云:期三年,遠六年。又曰:彗出室,大水。彗出室壁間,兵大起,若有大喪,有亡國死王,期不出三年。彗出室,天下亂,易政。孛見室中,後宮且有亂。一曰:有德令。彗犯室,先起兵者,不可以戰,亡地,期三年,遠六年。
彗孛が「室宿」を侵犯するのは、先に兵を動かす方が弱勢に処し、開戦してはならず、開戦すれば必ず土地を失い、主将は必ず陣亡し、避けて戦わないのを吉とする兆しで、応験の期は百八十日、最も遠くは二年である。一説には応験の期は三年、最も遠くは六年とする。またの説に、彗星が室宿を出るのは大水の兆しとする。彗星が室宿と壁宿の間に出るのは、兵事が大いに興るか、大喪があり亡国があり君王が死難に遭う兆しで、応験は三年を出ない。彗星が室宿を出るのは、天下が動乱して政権を換える兆しである。孛星が室宿の中に見えるのは、後宮に変乱がある兆しであり、別の説には徳政を施す詔令が頒き下される兆しとする。彗星が室宿を侵犯するのは、先に兵を動かす方は開戦してはならず、開戦すれば土地を失う兆しで、応験の期は三年、最も遠くは六年である。
彗孛犯壁,且其國起兵大災,廟堂四門流血,天下降。彗干犯出壁,王者兵起,毀壞宗廟,四門伐兵,流血滂滂,人民惶惶,莫知其殃,近期一年,中三年,遠五年。
彗孛が「壁宿」を侵犯するのは、その国が兵を起こさんとして大災を釀し、宗廟・朝堂と都城の四門に血が遍地に流れ、天下の人が次々に降服する兆しである。彗星が壁宿を侵犯して出るのは、君王が兵を興し、宗廟が毀壊され、四方の城門に兵刃が相攻し、鮮血が滂沱として横流れし、百姓が惶恐安まらず禍殃の来る所を知らない兆しで、近くは一年、中は三年、遠くは五年に応じる。
彗孛干犯奎,其國君出戰,大飢,人相食,國無繼嗣,近期一年,遠三年。彗孛出奎,西北舉兵伐中國。其下食石千錢,天下大水,庫兵悉出,禍在強侯外夷,相應首謀,期三年。彗出奎,魯國兵起。
彗孛が「奎宿」を侵犯するのは、その国の国君が自ら出戦し、大いに飢饉に騒ぎ人が人を食い、国に継位の子嗣がない兆しで、近くは一年、遠くは三年に応じる。彗孛が奎宿から分かれ出るのは、西北の方が兵を挙げて中原を討伐する兆しである。その分野の下では糧食が一石に千銭にまで売られ、天下に大水が発し、府庫の兵器はすべて調出される。禍の端は強横の諸侯と境外の夷族にあり、二者が互いに呼応して乱を謀るを首とし、応験の期は三年である。彗星が奎宿を出るのは、魯国に兵事が興る兆しである。
彗孛干犯婁,國有大兵,四時絕祀,遠不出三年。彗出婁,國有大兵,四時絕祀,有亡國,先旱後水,人民亂,飢死,五穀大貴,糴無價,期一年,遠三年。彗孛干犯出婁,五穀不成,倉廩空虛,六畜疫。
彗孛が「婁宿」を侵犯するのは、国中に大規模な兵事があり四季の祭祀が断絶する兆しで、最も遠くは三年を出ずして応じる。彗星が婁宿を出るのは、国中に大兵があり四季の祭祀が断絶し、亡国の禍がある兆しである。先に旱し後に澇れ、百姓が動乱して飢餓に死し、五穀の価格が暴騰し、糧食が貴くて価を定められない兆しで、応験の期は一年、最も遠くは三年である。彗孛が婁宿を侵犯して出るのは、五穀が成熟せず倉庫が空虚となり、六畜が瘟疫に遭う兆しである。
彗出胃,五穀不成,倉廩空虛。彗孛出昴胃之間,狀如竹竿而倚,此出為兵起戒,此太白之變見,不過一年,其國兵起,若有喪。彗出胃,大臣為亂,天下兵起,五穀不登,人民飢,京都國倉,悉皆空虛,期三年,中五年,遠七年。彗出胃昴之間,狀如竹帚,有兵災,大臣為亂,君弱臣強,邊兵大起,天子憂之,人民驚恐,國王有憂,期一年,中二年,遠三年。彗孛出胃昴之間,大國兵起。
彗星が「胃宿」から分かれ出るのは、五穀が熟せず倉庫が空虚となる兆しである。彗孛が昴宿と胃宿の間に出て、形状が斜めに倚れた竹竿のようであるものは、この出現は兵事が起こらんとする警戒であり、太白金星の失常の変に属する顕現で、一年を出ずしてその分野の国に兵事が興るか、喪事がある兆しである。彗星が胃宿を出るのは、大臣が乱をなし天下に兵が起こり、五穀が欠收し百姓が飢餓し、京城と国の糧倉がすべて空虚となる兆しで、応験の期は三年、中は五年、遠くは七年である。彗星が胃宿と昴宿の間に出て、形状が竹製の箒のようであるのは、兵災があり大臣が乱をなし、君主が衰弱し臣下が強横となり、辺境の兵事が大いに興り、天子がこれによって憂え百姓が驚恐し、国王に憂患がある兆しで、応験の期は一年、中は二年、遠くは三年である。彗孛が胃宿と昴宿の間に出るのは、大国に兵事が興る兆しである。
彗孛干犯昴,大臣為亂,國兵大起,期一年。彗孛出昴,赦。彗孛犯畢,必有丈夫數萬人。彗孛犯畢,邊大戰,中原流血。彗出畢觜之間,小而長,狀如長竿,上有壘壘然。此出為兵戰戒,此填星之變見,不過一年,兵起宮中,女主有殃。
彗孛が「昴宿」を侵犯するのは、大臣が乱をなし全国の兵事が大いに興る兆しで、応験の期は一年である。彗孛が昴宿から分かれ出るのは、大赦がある兆しである。彗孛が「畢宿」を侵犯するのは、必ず数万の成年男丁を徴発して軍に従わせる兆しである。彗孛が畢宿を犯すのは、また辺境に大戦があり中原に血が流れを成す兆しである。彗星が畢宿と觜宿の間に出て、形体が小さく狭長く、様子が長竿のごとく、上端が層々に堆り重なるもの――この出現は兵戦が起こらんとする警戒であり、填星(土星)の失常の変に属する顕現で、一年を出ずして兵事が宮中に起こり、女主が殃に遭う兆しである。
彗孛守畢柄,侯邑益土;守畢口,中邦相亂易政,邑君大臣當之。彗干犯觜,國兵起,天下動擾,期一年,遠三年。彗出觜,其國兵起,有失地死主,人流,大臣出戰,下有亡國,期三年,遠五年。彗見觜,必有破國亂軍,伏死其辜。
彗孛が畢宿の柄部を守るのは、諸侯の封邑が土地を增益する兆しであり、畢宿の口部を守るのは、中原の諸邦が互いに攻め乱れ政権を換え、城邑の君と大臣に応じる兆しである。彗星が「觜宿」を侵犯するのは、国中に兵事が興り天下が動盪して安まらない兆しで、応験の期は一年、最も遠くは三年である。彗星が觜宿を出るのは、その国に兵が起こり、土地を失い君主が死難する事があり、人民が流散し、大臣が兵を領して出戦し、下に亡国の禍がある兆しで、応験の期は三年、最も遠くは五年である。彗星が觜宿に見えるのは、必ず国家の破敗・軍の潰乱があり、併せて罪によって法に伏して死する人がある兆しである。
彗孛干犯參,其國邊兵大敗,其軍亡,期一年,遠三年。彗出參,天子更政。彗出參伐,天兵蔽地,大臣謀反,君有憂,天子躬甲,斧鉞大用,兵馬馳道,弓弩恆張,期三年,遠五年。彗孛流入參,若出參,其年兵起。彗干犯東井,則大臣誅,其國用兵,期百八十日。
彗孛が「参宿」を侵犯するのは、その国の辺防の軍が大敗して全軍覆没する兆しで、応験の期は一年、最も遠くは三年である。彗星が参宿を出るのは、天子が政令を更改する兆しである。彗星が参宿の「伐」星に出るのは、天子の軍が天を遮り地を蔽い、大臣が謀反し君主に憂患があり、天子が自ら甲を披いて陣に臨み、斧鉞の刑戮が大量に動かされ、兵馬が馳道に奔馳し、弓弩が長く張設されて発を待つ兆しで、応験の期は三年、最も遠くは五年である。彗孛が参宿に流れ入るか、あるいは参宿から分かれ出るのは、その年に兵事が興る兆しである。彗星が「東井」宿を侵犯するのは、大臣が誅殺されその国が兵力を動かす兆しで、応験の期は百八十日である。
彗在井,大人死,見三十日,兵將當之;見五十日,相當之;見七十日,主當之。彗孛干犯鬼,國有大兵橫行,近一年,遠三年,天子以赦除咎。彗出鬼,名曰喪樓見,皆以赦應之;彗出鬼,有喪。
彗星が井宿に停まるのは、大人物が死亡する兆しである。三十日現れるものは兵を帯びる将領に応じ、五十日現れるものは丞相に応じ、七十日現れるものは君主その人に応じる。彗孛が「鬼宿」を侵犯するのは、国中に大軍が横行する兆しで、近くは一年、遠くは三年に応じ、天子は大赦をもって災咎を消除することができる。彗星が鬼宿から分かれ出るのは、この天象を「喪楼見」と名づけ、いずれも大赦をもって応ずべきものであり、彗星が鬼宿を出るのは喪事がある兆しである。
彗出於犯柳,國誅大臣,兵喪並起。又云:強臣凌主,天下傾危,其國大旱,民以飢死,期三年,遠五年。彗出柳,有兵,臣凌主,大旱,穀貴。
彗星が出て「柳宿」を侵犯するのは、国家が大臣を誅殺し、兵事と喪事が共に発生する兆しである。またの説に、強横の臣が君主の上に凌ぎ、天下が傾覆して危殆となり、その国が大旱となり百姓が餓死する兆しで、応験の期は三年、最も遠くは五年である。彗星が柳宿を出るのは、兵事があり臣下が君主を欺凌し、大旱で穀の値が昂貴となる兆しである。
彗干犯七星,邦有大亂,國主不定,兵起宮殿,貴臣戮,近期七十日,遠百八十日。掃出星張之間,狀如布,從風而靡,此為兵戒,熒惑之變也。彗出星張之間,狀如炊火,且為兵災,熒惑之變。
彗星が「七星」(即ち星宿)を侵犯するのは、邦国が大いに乱れ国君の位が穏やかでなく、兵事が宮殿の中に起こり、顕貴の臣が殺される兆しで、近くは七十日、遠くは百八十日に応じる。箒のような彗気が星宿と張宿の間に出て、形状が一幅の布のようで風に飄拂して倒伏するのは、兵事の警戒であり、熒惑(火星)の失常の変に属する。彗星が星宿と張宿の間に出て、形状が炊煙の中の火光のようであるのも、また兵災を主り、同じく熒惑の変である。
彗干犯張,其國內外用兵,主徙宮,天下半亡。彗出張,大旱,谷石三千。彗干犯翼,其國用兵,大臣為憂,遠期百八十日。彗出翼軫之間,天下皆謀上,國有大喪,人主死亡,必有大兵,期其不出三年。彗出翼,其國有兵,若有喪,以水為飢,人多流亡,所指有降伏,期五年。
彗星が「張宿」を侵犯するのは、その国が内にも外にも兵を用い、君主が宮室を遷り離れ、天下が半ば淪亡する兆しである。彗星が張宿を出るのは、大旱があり穀の値が一石に三千銭となる兆しである。彗星が「翼宿」を侵犯するのは、その国が兵力を動かし大臣がこれによって憂愁する兆しで、最も遠い応験の期は百八十日である。彗星が翼宿と軫宿の間に出るのは、天下の人が皆君上を図り謀り、国に大喪があり君主が死亡し、必ず大規模な兵事がある兆しで、応験の期は三年を出ない。彗星が翼宿を出るのは、その国に兵事があるか、あるいは喪事があり、水災によって飢饉となり人が多く他郷に流亡し、彗芒の指す方向に降服する人がある兆しで、応験の期は五年である。
彗孛干犯軫,兵喪並起,近期百八十日,遠一年。彗出軫,天子崩,兵喪並起,滿宮門,車馬無主,人無定居,期三年,中五年,遠九年。王者以赦除咎,則災消也。
彗孛が「軫宿」を侵犯するのは、兵事と喪事が共に発生する兆しで、近くは百八十日、遠くは一年に応じる。彗星が軫宿を出るのは、天子が駕崩し兵事と喪事が併せ起こり、兵馬が宮門に満ち塞がり、車馬が主を失い、人々に安定の居所がない兆しで、応験の期は三年、中は五年、遠くは九年である。君王がもし大赦をもって災咎を消除すれば、災禍は化解することができる。
彗孛が中外官に入る占い 第四十九
彗出攝提,天下亂,帝自兵於野,兵起宮中,王者有憂,期不出三年。彗干大角,長可六七尺,天下大亂,兵大起,國易政,期三年。彗出大角,大角為帝座。秦始皇時,彗出大角,大角亡,以亡秦之象。
彗星が「摂提」星から分かれ出るのは、天下が動乱し、皇帝が自ら兵を領して野外で征戦し、兵事が宮中に起こり、君王に憂患がある兆しで、応験は三年を出ない。彗星が「大角」星を侵犯し、長さ六・七尺ほどのものは、天下が大いに乱れ兵事が大いに興り、国家が政権を換える兆しで、応験の期は三年である。彗星が大角に出る――大角という星は即ち天帝の宝座である。秦始皇の時、彗星が大角に出て大角星がこれによって隠没し見えなくなったのは、秦朝が亡びようとする征象であった。
彗犯天市,地震。(一雲天紀。)彗干天市,所犯者誅。彗孛犯宦者,中外有兵。彗干犯帝座,民大亂,宮廟徙,大臣憂,期三年。彗出東西咸,女主淫泱自恣,宮門不禁,若貴女有憂。
彗星が「天市垣」を侵犯するのは、地震の兆しである(別の説には「天紀」星を侵犯するという)。彗星が天市垣を侵犯するのは、それが犯する星に対応する人が誅殺される兆しである。彗孛が「宦者」星を侵犯するのは、朝廷の内外に兵事がある兆しである。彗星が「帝座」星を侵犯するのは、百姓が大いに乱れ宮室・宗廟が遷移し、大臣が憂懼する兆しで、応験の期は三年である。彗星が「東咸」「西咸」の二星から分かれ出るのは、女主が淫佚放纵して恣に為し、宮門が禁衛を失うか、あるいは貴族の女子に憂患がある兆しである。
彗干歷天江,大兵攻王國,王者以赦解之,則國豐年。彗孛干犯建,王者失道,忠言誅,賢士逃亡。彗孛犯離珠,後宮為亂,若宮人有誅。若守之陽,為大旱;守之陰,為大水,五穀不登,人民飢。
彗星が「天江」星を侵犯して経過するのは、大軍が王畿の国を攻める兆しであり、君王が大赦をもって化解すれば、国家はかえって豊年を得る。彗孛が「建星」を侵犯するのは、君王が正道を失い、忠言を進める人が誅殺され、賢士が外に逃亡する兆しである。彗孛が「離珠」星を侵犯するのは、後宮が乱をなすか、あるいは宮人が誅される兆しである。もし離珠の南(陽位)を守れば大旱の兆し、北(陰位)を守れば大水で五穀が欠收し百姓が飢餓する兆しである。
魏陳留咸熙二年五月,彗見王良,長丈餘,色白,東南指,十二日滅。占曰:王良,天子御馳;彗掃之,除舊佈新之象也。色白為喪,王良在東壁次,又幷州之分野,八月晉文王薨,十二月帝遜位於晉。
曹魏の陳留王・咸熙二年五月に、彗星が「王良」星に現れ、長さ一丈余り、白色で、尾は東南を指し、十二日して消えた。占辞に曰く、王良は天子の駕を馳駆する象である。彗星がそれを掃うは、まさに除旧布新の徴兆である。白色は喪事を主る。王良星は東壁宿の星次に位し、また并州の分野に属す。その年の八月に晋の文王・司馬昭が世を去り、十二月に魏帝は位を晋に譲った。
彗出天大將軍,兵大起,將軍出,旗鼓陳。若守之,大將死,若有誅,期不出三年。彗孛干犯五車,兵滿野,天下半傾,百姓徙居,去其鄉土,期三年。
彗星が「天大将軍」星から分かれ出るのは、兵事が大いに興り将軍が出征し、旌旗・戦鼓を列ねて陣して行く兆しである。もし彗星がこの星を守れば、大将が陣亡するかあるいは誅殺される兆しで、応験は三年を出ない。彗孛が「五車」星を侵犯するのは、兵馬が原野に布満し、天下が半ば傾覆し、百姓が他へ徙り己の郷土を離れる兆しで、応験の期は三年である。
彗出天關,兵大起,道路不通,人多盜賊,必有關塞之事,人主有憂。彗出天關而守之,天下道絕,國多盜賊,關梁不通,人主有憂。彗出南河,蠻越兵起,邊戍有憂,若關吏有罪者。彗守南河,為大旱;守北河,胡為亂,來侵中國;若守,胡軍敗。
彗星が「天関」星から分かれ出るのは、兵事が大いに興り道路が通ぜず、盗賊が衆多となり、必ず関隘を封鎖する事があり、君主に憂患がある兆しである。彗星が天関を出て停留し守候するのは、天下の道路が断絶し、国中に盗賊が多く、関卡・橋梁が通ぜず、君主に憂患がある兆しである。彗星が「南河」から分かれ出るのは、南方の蛮・越の地に兵が起こり、辺境の戍守に憂いがあるか、あるいは関吏が罪を得る兆しである。彗星が南河を守るのは大旱の兆しであり、「北河」を守るのは北方の胡人が乱をなし中原を侵犯しに来る兆しで、もし久しく守って去らなければ、胡人の軍はかえって敗亡する。
彗干犯五諸侯,王室大亂,兵起,天子宮廟不祀。彗出五諸侯,執政臣有誅,若有被戮者,貴人當之,主有憂,期一年,遠五年。彗孛干犯積水,兵起宮門,宗廟毀絕,大臣有憂。彗孛干犯積薪,有亂臣在宗廟。
彗星が「五諸侯」星を侵犯するのは、王室が大いに乱れ兵事が興り、天子の宮殿・宗廟の祭祀が絶える兆しである。彗星が五諸侯から分かれ出るのは、執政の大臣が誅されるか、あるいは殺戮される人があり、貴人に応じ、君主に憂患がある兆しで、応験の期は一年、最も遠くは五年である。彗孛が「積水」星を侵犯するのは、兵事が宮門に起こり、宗廟が毀棄され断絶し、大臣に憂患がある兆しである。彗孛が「積薪」星を侵犯するのは、乱臣が宗廟の中に混迹する兆しである。
彗孛干犯水位,水道不通,伏兵在水中,以水為害。彗出水位,天下以水為憂,有兵起,五穀不成,人飢。彗出軒轅,皇后有憂,若失勢,宮人不安,人主有憂,後宮當之。彗犯軒轅,天下大亂,易主,以五色占期。彗出軒轅,若守之,天下大亂,易王,宮門當閉,若女主死,期三年,遠五年。
彗孛が「水位」星を侵犯するのは、水道が通ぜず伏兵が水中に蔵れ、水をもって禍害とする兆しである。彗星が水位を出るのは、天下が水患を憂いとし、兵事が興り五穀が熟せず人民が飢餓する兆しである。彗星が「軒轅」星から分かれ出るのは、皇后に憂患があるか、あるいは権勢を失い、宮人が安寧を得ず、君主に憂いがあり、後宮に応じる兆しである。彗星が軒轅を侵犯するのは、天下が大いに乱れ君主を換える兆しで、彗星の五色によって応期を推し断ずる。彗星が軒轅を出るかそれを守るのは、天下が大いに乱れ君王を換える兆しで、宮門は緊閉すべきか、あるいは女主が死亡し、応験の期は三年、最も遠くは五年である。
彗孛干犯少微,白衣聚,王者凶,術士不顯,智者逃亡,期三年。彗出少微,多能臣有戮者,若功臣有罪,一曰:法令臣有誅者。彗出少微,士大夫起。
彗孛が「少微」星を侵犯するのは、官爵なき士人が聚集し、君王に凶险があり、方術の士が顕達できず、智謀ある人が逃亡して世を避ける兆しで、応験の期は三年である。彗星が少微を出るのは、才干多き臣に殺戮される者があるか、あるいは功ある臣が罪を得る兆しであり、別の説には法令を執掌する臣に誅される者があるとする。彗星が少微を出るのは、また士大夫が起ちて政に干る兆しである。
彗孛干太微,天下亂,有兵喪,大人惡之,以色占期,亦為死王。彗孛干歷太微,所歷者亡。出而孛太微,天下亂,不過三五年,必易政,以色占期,亦為徙王。彗如粉絮,入太微,守五帝座,國有崩喪,大臣立,天下亂,大兵起,若犯守四帝座,輔臣有誅,執政者亡,期三年。
彗孛が太微垣を侵犯するのは、天下が動乱し兵事と喪事があり、大人物がこの象を悪む兆しで、星の色によって応期を推し断じ、また君王の死亡を主る。彗孛が太微垣の諸星を侵犯して経歴するのは、それが経過する星に対応する人が敗亡する兆しである。彗星が現れて孛気をもって太微垣を衝き犯すのは、天下が動乱し、三五年を過ぎずに必ず政権を換える兆しで、星の色によって応期を推し断じ、また君王の遷徙を主る。彗星の形状が散り乱れた綿絮のようで、太微垣に入り「五帝座」を守るのは、国に崩逝・喪亡の事があり、大臣が新君を立て、天下が動乱し大規模な兵事が興る兆しであり、もし四方の帝座星を侵犯し守れば、輔弼の臣が誅され執政する人が敗亡する兆しで、応験の期は三年である。
大彗干犯五帝座,王者亡,子孫不昌,王者修孝於天,奉宗廟郊祠則災除。狀如帚,正赤,抵內屏,兵也。彗出內屏,守衛臣有誅,若有罪執法者當之。彗孛干犯北辰,天下有大喪。
大きな彗星が「五帝座」を侵犯するのは、君王が死亡し子孫が昌盛できない兆しであり、君王は孝道をもって天を敬奉し、恭しく宗廟を祭祀し郊祭を行えば、災禍は消除し得る。彗星の形状が箒のようで色が純赤にして「内屏」星に抵るのは、兵事の兆しである。彗星が内屏に出るのは、宮廷の守衛の臣が誅されるか、あるいは罪ある執法の官がこの災殃に当たる兆しである。彗孛が「北辰」(北極星)を侵犯するのは、天下に大喪がある兆しである。
彗孛干犯北斗,有殺罰。春秋時,有孛干於北斗,則齊、魯、晉、鄭、宋、莒之君並殺亂之禍。孛東方,則楚滅,三家、田氏分篡齊魯。漢文帝末,孛西方,後吳楚六國反,而誅滅亡。晉太始末至太康初,災異數見而晉氏隆盛,吳實滅亡,天變在吳可知矣。昔漢高三年,孛大角。大角,項王以亡,漢氏無事,此項王先受命也。吳晉之時,天下橫分,大角孛而吳亡,與項氏事同。
彗孛が「北斗」を侵犯するのは、誅殺・刑罰の事がある兆しである。春秋の時、かつて孛星が北斗を侵犯し、続いて斉・魯・晋・鄭・宋・莒の諸国の国君が相次いで弑殺・動乱の禍に遭った。孛星が東方に現れた時は、楚が滅亡し、韓・趙・魏の三家が晋を分け、田氏が斉を簒い、斉魯の一帯が瓜分された。漢の文帝の末年、孛星が西方に現れ、後に呉・楚など六国が反逆して、いずれも誅滅された。西晋の泰始末年から太康初年にかけ、災異がしきりに現れたが、晋室はかえって隆盛し、真に滅亡したのは東呉であった。これはこの天変が呉に応じたことを示す。昔、漢の高祖三年に孛星が大角を犯した。大角は帝座の星であり、項羽はこれによって敗亡したが、漢室は安然として事なきを得た。これは項羽が先に天命を受けたゆえである。呉・晋が対峙した時、天下が東西に分裂し、大角が孛を蒙って呉国が滅亡したのは、項羽のあの事と同じ理である。
彗干三臺,三公誅喪。彗孛干紫微,天下易王。彗出執法,臣有憂,政令不行,國失綱紀。彗出羽林,軍人反。
彗星が「三台」星を侵犯するのは、三公が誅殺されるか喪亡に遭う兆しである。彗孛が「紫微垣」を侵犯するのは、天下が君王を換える兆しである。彗星が「執法」星に出るのは、大臣に憂患があり政令が行えず、国家が綱紀を失う兆しである。彗星が「羽林」星に出るのは、軍人が反叛する兆しである。
魏正始六年八月戊午,彗見七星,長可二尺,色白,進至張,積二十三日滅。九年三月見昴,長六尺,色青白,西南指。七月見翼,長二尺,進至軫,積四十二日滅。占曰:七星、張為周分野,翼、軫為楚,昴為趙魏。彗所以除舊佈新,主兵喪。嘉平元年,司馬懿誅曹爽兄弟及其黨與,皆夷三族,京師嚴兵。三年,誅楚王彪,又襲王凌於淮南。淮南,東楚也,魏諸王幽於鄴。
曹魏の正始六年八月戊午の日、彗星が「七星」宿に現れ、長さ約二尺、白色で、前へ推し進み「張宿」に至り、共に二十三日して消えた。正始九年三月、彗星が「昴宿」に見え、長さ六尺、青白色で、尾は西南を指した。七月に「翼宿」に見え、長さ二尺、推し進んで「軫宿」に至り、共に四十二日して消えた。占辞に曰く、七星・張宿は周の地の分野であり、翼宿・軫宿は楚の地に属し、昴宿は趙・魏の地に属す。彗星の意義は除旧布新にあり、兵事と喪事を主る。嘉平元年に至り、司馬懿が曹爽の兄弟とその党羽を誅し、皆三族を滅ぼされ、京城に戒厳して兵を布いた。嘉平三年に楚王・曹彪を誅し、また淮南で王凌を襲撃した――淮南は即ち東楚の地である。この後、曹魏の諸藩王は皆鄴城に幽禁された。
