王制
古者以周尺八尺為步,今以周尺六尺四寸為步。古者百畝,當今東田百四十六畝三十步。古者百里,當今百二十一里六十步四尺二寸二分。
古は周尺八尺を以って一步と爲し、今は周尺六尺四寸を以って一步と爲す。古の百畝は、今の東方の田一百四十六畝三十步に相當す。古の百里は、今の一百二十一里六十步四尺二寸二分に相當す。
方千里者,為方百里者百,封方百里者三十國。其餘方百里者七十,又封方七十里者六十。為方百里者二十九,方十里者四十,其餘方百里者四十,方十里者六十,又封方五十里者百二十。為方百里者三十,其餘方百里者十,方十里者六十。名山大澤不以封,其餘以為附庸間田。諸侯之有功者,取於間田以祿之。其有削地者,歸之間田。
方千里なるは、方百里の百箇なり。方百里の三十國を封す。その余方百里の七十は、又方七十里の六十を封す。方百里の二十九・方十里の四十に相當す。その余方百里の四十・方十里の六十は、又方五十里の一百二十を封す。方百里の三十に相當す。その余方百里の十・方十里の六十。名山大澤は持って封せず、その余は附庸と閑田と爲す。諸侯の功あるは、閑田より取りて彼に俸祿を給す。地を削らるるあるは、閑田に歸還す。
天子之縣內,方千里者,為方百里者百,封方百里者九,其餘方百里者九十一,又封方七十里者二十一,為方百里者十,方十里者二十九,其餘方百里者八十,方十里者七十一,又封方五十里者六十三,為方百里者十五,方十里者七十五,其餘方百里者六十四,方十里者九十六。
天子畿內、方千里なるは、方百里の百箇なり。方百里の九箇を封し、その余方百里の九十一。又方七十里の二十一を封す、方百里の十・方十里の二十九に相當す。その余方百里の八十・方十里の七十一。又方五十里の六十三を封す、方百里の十五・方十里の七十五に相當す。その余方百里の六十四・方十里の九十六。
諸侯之下士,祿食九人,中士食十八人,上士食三十六人,下大夫食七十二人,卿食二百八十八人,君食二千八百八十人。次國之卿,食二百一十六人,君食二千一百六十人。小國之卿,食百四十四人,君食千四百四十人。次國之卿,命於其君者,如小國之卿。天子之大夫為三監,監於諸侯之國者,其祿視諸侯之卿,其爵視次國之君,其祿取之於方伯之地。方伯為朝天子,皆有湯沐之邑於天子之縣內,視元士。諸侯世子世國,大夫不世爵,使以德,爵以功。未賜爵,視天子之元士,以君其國。諸侯之大夫,不世爵祿。
諸侯の下士は、俸祿九人を養い、中士は十八人を養い、上士は三十六人を養い、下大夫は七十二人を養い、卿は二百八十八人を養い、君は二千八百八十人を養う。次國の卿は、二百一十六人を養い、君は二千一百六十人を養う。小國の卿は、一百四十四人を養い、君は一千四百四十人を養う。次國の卿の、その君より任命せらるるは、小國の卿のごとし。天子の大夫の三監を爲し、諸侯の國を監察するは、その俸祿は諸侯の卿に比照し、その爵は次國の君に比照し、その俸祿は方伯の土地より取る。方伯は天子に朝見するが爲に、天子畿內に皆湯沐の邑あり、元士に比照す。諸侯の世子は國家を世襲し、大夫は爵を世襲せず、德に按りて役使し、功に按りて爵を給す。未だ爵を賜えざれば、天子の元士に比照して、他國の君と爲る。諸侯の大夫は、爵祿を世襲せず。
六禮:冠、昏、喪、祭、鄉、相見。七教:父子、兄弟、夫婦、君臣、長幼、朋友、賓客。八政:飲食、衣服、事為、異別、度、量、數、制。
六禮、冠・昏・喪・祭・鄉飲酒・相見。七敎、父子・兄弟・夫婦・君臣・長幼・朋友・賓客。八政、飲食・衣服・事作作爲・分別差異・度・量・數・制。
月令
孟春之月,日在營室,昏參中,旦尾中,其日甲乙,其帝大皞,其神句芒,其蟲鱗,其音角,律中大蔟,其數八,其味酸,其臭羶,其祀戶,祭先脾。
孟春の月、日は營室に在り、昏に參星中に在り、旦に尾星中に在り。その日は甲乙、その帝は太皞、その神は句芒、その蟲は鱗、その音は角、律は太蔟に應じ、その數は八、その味は酸、その氣味は膻、その祀は戸、祭に脾を先進す。
東風解凍,蟄蟲始振,魚上冰,獺祭魚,鴻鴈來。
東風が冰凍を解き、蟄伏の蟲始めて振動し、魚は冰上に上り、水獺が魚を祭り、鴻雁到來す。
天子居青陽左個,乘鸞路,駕倉龍,載青旗,衣青衣,服倉玉,食麥與羊,其器疏以達。
天子は青陽の左の側室に住み、鸞車に乘り、蒼龍馬を駕り、青旗を載せ、青衣を穿き、蒼玉を佩び、麥と羊を食い、その器具は疎朗通達なり。
是月也,以立春。先立春三日,大史謁之天子,曰:“某日立春,盛德在木。”天子乃齊。立春之日,天子親帥三公、九卿、諸侯、大夫以迎春於東郊。還反,賞公卿諸侯大夫於朝。
この月、以って春を立つ。立春前の三日、太史が天子に稟告して曰く、「某日立春、盛德は木に在り」と。天子は即ち齋戒す。立春の日、天子は親ら三公・九卿・諸侯・大夫を率領して東郊に春を迎う。返回し、朝中にて公卿・諸侯・大夫を賞賜す。
命相佈德和令,行慶施惠,下及兆民。慶賜遂行,毋有不當。
相に命じて德を頒布し令和を宣布し、慶賞を施行し恩惠を施與し、下は兆民に及ぶ。慶賞・賜與是に實行せられ、不當なるなからしめよ。
乃命大史,守典奉法,司天日月星辰之行,宿離不貸,毋失經紀,以初為常。
乃ち太史に命じて、典籍を守り法を奉行し、天の日月星辰の運行を掌管し、停留と經歷と差貸せず、經紀を失わず、當初を以って經常と爲せ。
是月也,天子乃以元日祈谷於上帝,乃擇元辰。天子親載耒耜,措之於參保介之御間,帥三公、九卿、諸侯、大夫躬耕帝借。天子三推,三公五推,卿諸侯九推。反,爵於大寢,三公、九卿、諸侯、大夫皆御,命曰勞酒。
この月、天子は即ち好日を以って昊天上帝に穀物を祈求し、即ち好日を選擇す。天子は親ら耒耜を載せ、參乘披甲衛士と御者の間に放ち、三公・九卿・諸侯・大夫を率領して親ら帝籍田を耕す。天子は三度推し、三公は五度推し、卿・諸侯は九度推す。返回し、大寢にて爵を行い、三公・九卿・諸侯・大夫皆侍奉す、之を勞酒と謂う。
是月也,天氣下降,地氣上騰,天地和同,草木萌動。王命布農事,命田舍東郊,皆修封疆,審端經術,善相丘陵,阪險,原隰,土地所宜,五穀所殖,以教道。民必躬親之,田事既飭,先定準直,農乃不惑。
この月、天氣下降し、地氣上騰し、天地和同し、草木萌動す。王は農事を布置するを命じ、田官に東郊に住せしめ、皆封疆を修治し、田間の徑と溝を審察端正し、丘陵・陡坡險地・高平低濕を善く察看し、土地の適宜する所・五穀の繁殖する所を以って敎導す。民は必ず親ら爲せ。田事已に整飭せば、先ず準繩を確定し、農人乃ち疑惑せず。
是月也,命樂正入學習舞,乃修祭典,命祀山林川澤,犧牲毋用牝。
この月、樂正に命じて學に入り舞を練習せしめ、即ち祭典を修治し、山林川澤を祭祀するを命じ、犧牲は雌を用いるなかれ。
禁止伐木,毋覆巢,毋殺孩蟲、胎夭飛鳥,毋麛毋卵,毋聚大眾,毋置城郭,掩骼埋胔。
樹木を砍伐するを禁じ、鳥巢を翻覆するなかれ、幼蟲・胚胎幼小と飛鳥を殺害するなかれ、幼獸を取るなかれ卵を取るなかれ、大衆を聚集するなかれ、城郭を設置するなかれ、枯骨腐肉を掩埋せよ。
是月也,不可以稱兵,稱兵必天殃。兵戎不起,不可從我始。毋變天之道,毋絕地之理,毋亂人之紀。
この月、兵を興すべからず、兵を興せば必ず天殃あり。兵戎興起せざれば、われより始むべからず。天の道を改變するなかれ、地の理を斷絶するなかれ、人の紀を擾亂するなかれ。
孟春行夏令,則雨水不時,草木蚤落,國時有恐。行秋令,則其民大疫,猋風暴雨總至,藜莠蓬蒿並興。行冬令,則水潦為敗,雪霜大摯,首種不入。
孟春に夏の時令を實行すれば、雨水時に按らず、草木早落し、國中時時驚恐あり。秋の時令を實行すれば、民に大疫あり、暴風・暴雨一齊に至り、藜莠・蓬蒿一齊に興起す。冬の時令を實行すれば、大水災と成り、雪霜の來勢甚だ猛く、最早種は土に入る能わず。
仲春之月,日在奎,昏弧中,旦建星中。其日甲乙,其帝大皞,其神句芒,其蟲鱗,其音角,律中夾鍾,其數八,其味酸,其臭羶,其祀戶,祭先脾。
仲春の月、日は奎に在り、昏に弧星中に在り、旦に建星中に在り。その日は甲乙、その帝は太皞、その神は句芒、その蟲は鱗、その音は角、律は夾鍾に應じ、その��は八、その味は酸、その氣味は膻、その祀は戸、祭に脾を先進す。
始雨水,桃始華,倉庚鳴,鷹化為鳩。
始めて雨を降り、桃始めて花を開き、黄鸝鳴叫し、鷹變化して鳩と爲る。
天子居青陽大廟,乘鸞路,駕倉龍,載青旗,衣青衣,服倉玉,食麥與羊,其器疏以達。是月也,安萌牙,養幼少,存諸孤。擇元日,命民社。命有司,省囹圄,去桎梏,毋肆掠,止獄訟。
天子は青陽の太廟に住み、鸞車に乘り、蒼龍馬を駕り、青旗を載せ、青衣を穿き、蒼玉を佩び、麥と羊を食い、その器具は疎朗通達なり。この月、萌芽を安定し、幼小を養護し、各處の孤兒を存問す。好日を選擇し、民に命じて社を祭せしむ。有司に命じて、監獄を減省し、脚鐐・手拷を去り、陳尸・拷打するなかれ、獄訟を停止せよ。
是月也,玄鳥至。至之日,以大牢祠於高禖,天子親往,后妃帥九嬪御。乃禮天子所御,帶以弓韣,授以弓矢,於高禖之前。
この月、燕子到來す。到來の日、太牢を以って高媒を祭祀し、天子親ら前往し、后妃が九嬪を率領して侍奉す。乃ち天子の御幸する所に對して禮を行い、弓袋を帶び、弓矢を授給し、高媒の前に在り。
是月也,日夜分,雷乃發聲,始電,蟄蟲鹹動,啟戶始出。先雷三日,奮木鐸以令兆民曰:“雷將發聲,有不戒其容止者,生子不備,必有兇災。”日夜分,則同度量,鈞衡石,角鬥甬,正權概。
この月、日夜平分し、雷乃ち聲を發し、始めて電あり、蟄伏の蟲皆動き、洞穴を開啓して始めて出づ。雷を打つ前三日、木鐸を搖きて兆民に令して曰く、「雷將に聲を發せんとす、戒備せざる者の儀容擧止、生む孩子完備せず、必ず凶災あらん」と。日夜平分せば、度・量を統一し、衡石を均平し、斗斛を校正し、秤錘と刮平の概を端正す。
是月也,耕者少舍,乃修闔扇,寢廟畢備。毋作大事,以妨農之事。是月也,毋竭川澤,毋漉陂池,毋焚山林。
この月、耕種の人稍や休息を得、乃ち門扇を修治し、寢廟全部完備す。大事を作るなかれ、以って農事を妨礙せよ。とはいえこの月、川澤を枯竭せしむるなかれ、陂池を濾干するなかれ、山林を焚燒するなかれ。
天子乃鮮羔開冰,先薦寢廟。
天子は乃ち羔を以って冰を開き、先ず寢廟に進獻す。
上丁,命樂正習舞,釋菜。天子乃帥三公、九卿、諸侯、大夫親往視之。仲丁,又命樂正入學習舞。
上旬の丁日、樂正に命じて舞を練習し、釋菜を舉行せしむ。天子は乃ち三公・九卿・諸侯・大夫を率領して親ら前往して觀看す。中旬の丁日、又樂正に命じて學に入り舞を練習せしむ。
是月也,祀不用犧牲,用圭璧,更皮幣。
この月、祭祀は犧牲を用いず、圭璧を用い、皮幣に改用す。
仲春行秋令,則其國大水,寒氣摠,至寇戎來徵。行冬令,則陽氣不勝,麥乃不熟,民多相掠。行夏令,則國乃大旱,暖氣早來,蟲螟為害。
仲春に秋の時令を實行すれば、國家大水し、寒氣驟然として至り、寇戎來りて征伐す。冬の時令を實行すれば、陽氣勝つ能わず、麥は即ち熟せず、民多く互相いに掠奪す。夏の時令を實行すれば、國家大旱し、暖氣早く來り、蟲螟害と成る。
季春之月,日在胃,昏七星中,旦牽牛中。其日甲乙,其帝大皞,其神句芒,其蟲鱗,其音角,律中姑洗,其數八,其味酸,其臭羶,其祀戶,祭先脾。
季春の月、日は胃に在り、昏に七星中に在り、旦に牽牛中に在り。その日は甲乙、その帝は太皞、その神は句芒、その蟲は鱗、その音は角、律は姑洗に應じ、その數は八、その味は酸、その氣味は膻、その祀は戸、祭に脾を先進す。
桐始華,田鼠化為鴽,虹始見,萍始生。
梧桐始めて花を開き、田鼠鼠變化して鵪鶉と爲り、虹始めて出現し、浮萍始めて生ず。
天子居青陽石個,乘鸞路,駕倉龍,載青旗,衣青衣,服倉玉,食麥與羊,其器疏以達。
天子は青陽の右の側室に住み、鸞車に乘り、蒼龍馬を駕り、青旗を載せ、青衣を穿き、蒼玉を佩び、麥と羊を食い、その器具は疎朗通達なり。
是月也,天子乃薦鞠衣於先帝。命舟牧覆舟,五覆五反,乃告舟備具於天子焉。天子始乘舟,薦鮪於寢廟,乃為麥祈實。
この月、天子は乃ち先帝に黄桑色の衣服を進獻す。船を管る者に命じて船を翻せしめ、五度翻して五度正し、纔かに天子に船已に完備せるを稟告す。天子始めて船に乘り、寢廟に鮪魚を進獻し、乃ち麥のために結實を祈求す。
是月也,生氣方盛,陽氣發洩,句者畢出,萌者盡達,不可以內。天子佈德行惠,命有司,發倉廩,賜貧窮,振乏絕,開府庫,出幣帛,周天下,勉諸侯,聘名士,禮賢者。
この月、生氣正盛にして、陽氣發泄し、彎曲なる皆出づ、萌芽なる皆通達し、收斂すべからず。天子は德を頒布し惠を實行し、有司に命じて、倉廩を打開し、貧窮に賜給し、乏絶を救濟し、府庫を打開し、幣帛を拿出し、天下を周濟し、諸侯を勉勵し、名士を聘問し、賢者を禮待せしむ。
是月也,命司空曰:“時雨將降,下水上騰,循行國邑,周視原野,修利堤防,道達溝瀆,開通道路,毋有障塞。”田獵罝罘、羅罔、畢翳、餧獸之藥,毋出九門。
この月、司空に命じて曰く、「時雨將に降らんとし、地下水が上騰す、國邑を巡行し、原野を周遍察看し、堤防を修治便利にし、溝瀆を疏通し、道路を開通し、障塞するなからしめよ」と。田獵の網・羅・長柄網・隱蔽物・獸を餧う藥は、九門を出づるなかれ。
是月也,命野虞無伐桑柘。鳴鳩拂其羽,戴勝降於桑,具曲植蘧筐,后妃齊戒,親東鄉躬桑,禁婦女毋觀,省婦使,以勸蠶事。蠶事既登,分繭稱絲效功,以共郊廟之服,無有敢惰。
この月、野虞に命じて桑柘を砍伐するなからしめよ。斑鳩がその翅膀を振動し、戴勝が桑上に落ち着く。蠶箔・架子・圓筐方筐を備辦す。后妃齋戒し、親ら東に向かいて桑を采る。婦女が游觀するを禁止し、婦人の役使を減省し、以って蠶事を勸勉す。蠶事已に完成せば、繭を分け絲を稱して功效を考核し、以って郊廟の服を供給す、敢えて怠惰するなきなり。
是月也,命工師,令百工,審五庫之量,金、鐵、皮、革、筋、角、齒、羽、箭、幹、脂、膠、丹、漆,毋或不良。
この月、工師に命じて、百工をして五庫の分量を審察せしむ、金・鐵・皮・革・筋・角・齒・羽・箭・干・脂・膠・丹・漆、不良なるなからしめよ。
百工鹹理,監工日號,毋悖於時,毋或作為淫巧,以蕩上心。
百工皆治理し、監工每日號令し、時令に悖逆するなかれ、過分の奇巧を制作するなかれ、以って上にある者の心を搖蕩せよ。
是月之末,擇吉日大合樂,天子乃率三公、九卿、諸侯、大夫親往視之。
この月の末尾、吉日を選擇し大規模に樂を合し、天子は乃ち三公・九卿・諸侯・大夫を率領して親ら前往して觀看す。
是月也,乃合累牛騰馬,遊牝於牧。犧牲駒犢,舉書其數。
この月、乃ち種牛と公馬を會合し、母畜を牧地に游走せしむ。犧牲と馬駒牛犢は、皆その數目を寫下す。
命國難,九門磔攘,以畢春氣。
國中に命じて儺祭を舉行し、九門にて牲體を分裂して攘除し、以って春氣を結束す。
季春行冬令,則寒氣時發,草木皆肅,國有大恐。行夏令,則民多疾疫,時雨不降,山林不收。行秋令,則天多沈陰,淫雨蚤降,兵革並起。
季春に冬の時令を實行すれば、寒氣時時發作し、草木皆肅殺し、國に大驚恐あり。夏の時令を實行すれば、民多く疾病瘟疫し、時雨降らず、山林に收穫なし。秋の時令を實行すれば、天多く沈陰し、過量の雨早く降り、兵革一齊に興起す。
孟夏之月,日在畢,昏翼中,日婺女中。其日丙丁,其帝炎帝,其神祝融,其蟲羽,其音徵,律中中呂,其數七,其味苦,其臭焦,其祀灶,祭先肺。
孟夏の月、日は畢に在り、昏に翼��中に在り、日は婺女に對應して中に在り。その日は丙丁、その帝は炎帝、その神は祝融、その蟲は羽、その音は徵、律は中呂に應じ、その數は七、その味は苦、その氣味は焦、その祀は竈、祭に肺を先進す。
螻蟈鳴,蚯蚓出,王瓜生,苦菜秀。
螻蛄鳴叫し、蚯蚓出づ、王瓜生ず、苦菜秀出す。
天子居明堂左個,乘朱路,駕赤馬,載赤旗,衣朱衣,服赤玉,食菽與雞,其器高以粗。
天子は明堂の左の側室に住み、朱紅の車に乘り、赤馬を駕り、赤旗を載せ、朱紅の衣を穿き、赤玉を佩び、豆と雞を食い、その器具は高くして粗なり。
是月也,以立夏。先立夏三日,大史謁之天子曰:“某日立夏,盛德在火。”天子乃齊。立夏之日,天子親帥三公、九卿、大夫以迎夏於南郊。還反,行賞,封諸侯,慶賜遂行,無不欣說。
この月、以って夏を立つ。立夏前の三日、太史が天子に稟告して曰く、「某日立夏、盛德は火に在り」と。天子は即ち齋戒す。立夏の日、天子は親ら三公・九卿・大夫を率領して南郊に夏を迎う。返回し、賞賜を實行し、諸侯を封じ、慶賞・賜與是に實行せられ、欣悅せざるなきなり。
乃命樂師,習合禮樂。命太尉,贊桀俊,遂賢良,舉長大。行爵出祿,必當其位。
乃ち樂師に命じて、禮樂を練習會合せしむ。太尉に命じて、傑出の俊才を助選し、賢良を進用し、高大の人を推擧せしむ。爵を授與し俸祿を發出するに、必ずその位と相當せよ。
是月也,繼長增高,毋有壞墮。毋起土功,毋發大眾,毋伐人樹。
この月、生長を繼續し高度を增加し、毁壞堕落するなからしめよ。土木の工程を興起するなかれ、大衆を發動するなかれ、人の樹を砍伐するなかれ。
是月也,天子始絺,命野虞,出行田原,為天子勞農勸民,毋或失時。
この月、天子始めて細葛を穿き、野虞に命じて田原を出行し、天子のために農人を慰勞し民を勸勉し、時令を失う人あるなからしめよ。
命司徒巡行縣鄙,命農勉作,毋休于都。
司徒に命じて縣鄙を巡行し、農人に命じて勞作に努力し、都邑に休息するなからしめよ。
是月也,驅獸毋害五穀,毋大田獵。農乃登麥,天子乃以彘嘗麥,先薦寢廟。
この月、野獸を驅趕して五穀を傷害するなかれ、大規模に田獵するなかれ。農人乃ち麥を進獻し、天子は乃ち豬を以って麥を嘗め、先ず寢廟に進獻す。
是月也,聚畜百藥,靡草死,麥秋至,斷薄刑,決小罪,出輕系。蠶事畢,后妃獻繭,乃收繭稅,以桑為均,貴賤長幼如一,以給郊廟之服。
この月、百藥を積聚畜養す。細草死し、麥秋至れり。輕刑を判決し、小罪を決斷し、輕囚を放出す。蠶事畢り、后妃繭を獻じ、乃ち繭稅を收取し、桑樹に按りて均平を爲し、貴賤・長幼如同一樣、以って郊廟の服を供給す。
是月也,天子飲酎,用禮樂。
この月、天子は酎酒を飲み、禮樂を用いる。
孟夏行秋令,則苦雨數來,五穀不滋,四鄙入保。行冬令,則草木蚤枯,後乃大水,敗其城郭。行春令,則蝗蟲為災,暴風來格,秀草不實。
孟夏に秋の時令を實行すれば、苦雨屢次來り、五穀滋長せず、四邊の鄙は堡壘に進入す。冬の時令を實行すれば、草木早枯し、然る後大水し、その城郭を毁壞す。春の時令を實行すれば、蝗蟲災と成り、暴風來到し、花開く草實結ばず。
仲夏之月,日在東井,昏亢中,旦危中。其日丙丁,其帝炎帝,其神祝融,其蟲羽,其音徵,律中蕤賓,其數七,其味苦,其臭焦,其祀灶,祭先肺。
仲夏の月、日は東井に在り、昏に亢星中に在り、旦に危星中に在り。その日は丙丁、その帝は炎帝、その神は祝融、その蟲は羽、その音は徵、律は蕤賓に應じ、その數は七、その味は苦、その氣味は焦、その祀は竈、祭に肺を先進す。
小暑至,螳螂生,鵙始鳴,反舌無聲。
小暑至り、螳螂生ず、伯勞始めて鳴き、反舌聲なし。
天子居明堂太廟,乘朱路,駕赤馬,載赤旗,衣朱衣,服赤玉,食菽與雞,其器高以粗,養壯佼。
天子は明堂太廟に住み、朱紅の車に乘り、赤馬を駕り、赤旗を載せ、朱紅の衣を穿き、赤玉を佩び、豆と雞を食い、その器具は高くして粗なり、壯健美好を養護す。
是月也,命樂師修鼗鞞鼓,均琴瑟管簫,執干鏚戈羽,調竽笙(上“竹”下“也”)簧,飭鐘磬柷敔。
この月、樂師に命じて小鼓と搖鼓を修治し、琴瑟管簫を均調し、干戚戈羽を持ち、竽笙と簧を調和し、鍾磬と起止樂器を整飭せしむ。
命有司為民祈祀山川百源,大雩帝,用盛。乃命百縣雩祀百辟卿士有益於民者,以祈谷實。農乃登黍。
有司に命じて民の爲に山川百源を祭祀祈求せしめ、大規模に上帝を雩祭し、盛禮を用いよ。乃ち各縣に命じて百君卿士の民に益あるを雩祭せしめ、以って穀物の結實を祈求す。農人乃ち黍を進獻す。
是月也,天子乃以雛嘗黍,羞以含桃,先薦寢廟。
この月、天子は乃ち雛雞を以って黍を嘗め、櫻桃を進獻し、先ず寢廟に進獻す。
令民毋艾藍以染,毋燒灰,毋暴布,門閭毋閉,關市毋索,挺重囚,益其食。
民に命じて藍草を割りて染色するなかれ、灰を燒くなかれ、布を曬すなかれ、門閭を關閉するなかれ、關市を搜索するなかれ、重囚を寬緩し、その食を增加せよ。
遊牝別群,則縶騰駒,班馬政。
游走の母畜を分別成群せしめ、即ち公馬駒を拴住し、馬を養う政を頒布せよ。
