盐铁论 · 第18巻
鹽鐵論卷六
塩鉄論 巻六終わり
欽定四庫全書
欽定四庫全書
鹽鐡論卷七
塩鉄論 巻七
漢桓寛撰
漢 桓寛 撰
明張之象注
明 張之象 注
刺議第二十六
刺議(しぎ) 第二十六
丞相【去聲】史曰山林不讓椒桂以成其崇君子不辭負薪之言以廣其名故多見者博多聞者知【去聲】距諫者塞專已者孤故謀及下者無失防舉及眾者無頓功【頓壊也權謀篇曰聖王之舉事必先諦之於謀慮而後考之於蓍白屋之士皆關其謀芻蕘之役鹹盡其心故萬舉而無遺籌失策傳曰眾人之智可以測天兼聼獨斷惟在一人此大謀之術也謀有二端上謀知命其次知事知命者預見存亡禍福之原早知盛衰廢興之始防事之未萌避難於無形若此人者居亂世則不害於其身在乎太平之世則必得統下之權彼知事者亦尚矣見事而知得失成敗之分而究其所終極故無敗業廢功東野鄙人曰泰山不讓礫石江海不辭小流所以成其大也詩曰先民有言詢於芻蕘博謀也秦王子嬰曰輕慮者不可以治國獨智者不可以存君】詩云詢於芻蕘故布衣皆得風【去聲】議何況公卿之史乎春秋士不載文而書咺【暄上聲】者以為宰士也【春秋曰天王使宰咺來歸惠公仲子之賵公羊傳曰宰者何官也咺者何名也曷為以官氏宰士也】孔子曰雖不吾以吾其與【去聲】聞諸侯僕雖不敏亦當傾耳下風攝齊【音諮】勾指受業徑於君子之塗矣使文學言之而是僕之言有何害使文學言之而非雖防丞相【去聲】史孰不非也
丞相史が曰く【注音:「相」は去声と読む】: 山林は椒桂を譲らずして以て其の高を成し、君子は負薪の言を辞せずして以て其の名を広む。故に見ること多きは博く、聞くこと多きは智なり【注音:「知」は去声と読む】。諫を距ぐは塞く、己を専らにするは孤なり。此に因り謀は下に及べば失策無く(底本は「失防」と作る)、挙は衆に及べば頓功無し【頓は、是れ壊なり。《権謀篇》に曰く: 聖王の事を挙ぐるは、必ず先ず之を謀慮に諦め、而る後に之を蓍亀に考う(底本この字は生僻字で転写後に失われた)。白屋の士は皆其の謀に関り、芻蕘の役は皆其の心を尽くす、故に万挙して遺籌失策無し。伝に曰く: 衆人の智は以て天を測るべく、兼聴独断は唯だ一人に在るのみ、此れ是れ大謀の術なり。謀は二端有り: 上謀は命を知り、其の次は事を知る。命を知るは存亡禍福の原を預見し、盛衰廃興の始を早く知り、事の未萌に先んじ(底本は「防」と作る)、難を無形に避く。此の如きの人は、乱世に居れば則ち其の身に害無く、太平の世に在れば則ち必ず下を統べるの権を得たり。那の事を知るも亦た還お高明なり: 事を見て得失成敗の分を知り、而して其の終極する所を究む、故に敗業廃功無し。東野の鄙人が曰く: 泰山は礫石を譲らず、江海は小流を辞せず、故に其の大を成す。《詩》に曰く: 先民は言有り、芻蕘に詢る。是れ博謀なり。秦王の子嬰が曰く: 慮を軽くするは以て国を治むべからず、智を独りにするは以て君を存すべからず】。《詩》に曰く: 芻蕘に詢る。故に布衣も皆能く議を諷し【注音:「風」は去声と読む】、況んや公卿の史をや。《春秋》は士は文を載せずして咺を書す【注音:「咺」は暄、上声と読む】、是れ以て宰士と為す【《春秋》に曰く: 天王は宰咺をして恵公仲子の賵を帰せしむ。《公羊伝》に曰く: 宰は何ぞや、是れ官なり。咺は何ぞや、是れ名なり。何を以て官を以て氏と称するや、其れ宰士を以てなり】。孔子が曰く: 我を以とせずと雖も、吾は其れ諸侯に聞くに与らん【注音:「与」は去声と読む】。僕は不敏と雖も、亦た当に耳を傾けて下風に、斉を摂り指を勾き【注音:「斉」は咨と同じ】、業を受けて君子の途に径るべし。文学をして言いて是ならしめば、僕の言は何の害か有らん。文学をして言いて非ならしめば、丞相史と為ると雖も(底本は「虽防」と作る)【注音:「相」は去声と読む】、誰か非とせざらん。
文學曰以正輔人謂之忠以邪導人謂之佞【令尹子西曰為人臣而忠其君者爵祿不足以賞也為人臣而諛其君者刑罰不足以誅也】夫【音扶】怫【音勃】過納善者君之忠臣大夫之直士也孔子曰大夫有爭【去聲】臣三人雖無道不失其家【韓嬰曰大夫有爭臣三人雖無道不失其家季氏為無道僭天子舞八佾旅泰山以雍徹孔子曰是可忍也孰不可忍也然不亡者以冉有季路為宰臣也】今子處宰士之列無忠正之心枉不能正邪不能匡順流以容身從風以説【音悅】上上所言則苟聽上所行則曲從若影之隨形響之於聲終無所是非【夏侯曰夫和羮之美在於合異上下之益在能相濟順從乃安此琴瑟一聲也】衣【去聲】儒衣冠【去聲】儒冠而不能行其道非真儒也譬若土龍文章首目具而非龍也葶歴似菜而殊味玉石相似而異類【汜論曰夫亂人者芎防之與藁本也蛇床之與蕪也此皆相似故劒工惑劒之似莫邪者唯歐冶能名其種玉工玉之似碧盧者唯猗頓不失其情魏文侯曰夫物多相類而非也幽莠之防也似禾驪牛之黃也似虎白骨疑象武夫類玉此皆似之而非者也】子非孔氏執經守道之儒乃公卿面從之儒非吾徒也冉有為季氏宰而附益之孔子曰小子鳴鼓而攻之可也故輔桀者不為知【去聲】為桀斂者不為仁丞相【去聲】史黙然不對
文学が言います: 正を以て人を輔くるを忠と叫び、邪を以て人を導くを佞と叫ぶ【令尹子西が曰く: 人の臣と為りて其の君に忠なるは、爵禄は以て賞するに足らず。人の臣と為りて其の君に諛うは、刑罰は以て誅するに足らず】。句首の夫【注音:「夫」は扶と同じ】: 過を拂いて善を納るるは【注音:「怫」は勃と同じ】、是れ君の忠臣・大夫の直士なり。孔子が曰く: 大夫は争臣三人有れば、無道と雖も其の家を失わず【注音:「争」は去声と読む】【韓嬰が曰く: 大夫は争臣三人有れば、無道と雖も其の家を失わず。季氏は無道を為し、天子を僭き、八佾を舞い、泰山に旅し、雍を以て徹す。孔子が曰く: 是れ忍ぶべきか、孰れか忍ぶべからざる。然れども亡びざるは、是れ冉有・季路を以て宰臣と為すを以てなり】。今你は宰士の列に処り、忠正の心無く、枉は能く正さず邪は能く匡せず、流に順いて以て身を容れ風に従いて以て上を悦ばしむ【注音:「説」は悦と同じ】: 上の言う所は則ち苟りて聴き、上の行う所は則ち曲りて従う、影の形に随い響の声に於けるが若く、終に是非する所無し【夏侯玄が曰く(底本この字は生僻字で転写後に失われた): 和羹の美は異を合するに在り、上下の益は能く相い済るに在り。一味は順に従うは乃ち安し、此れ是れ琴瑟の一声なり】。儒衣を衣て儒冠を冠るも【注音:「衣」は去声と読む】【注音:「冠」は去声と読む】能く其の道を行わざれば、真儒に非ず。譬えば土龍のごとく、文章首目は皆具わるも而して龍に非ず。葶藶は菜に似て味同じからず、玉石は相似りて類同じからず【〈汜論〉に曰く: 人を乱るは、芎䓖の藁本と、蛇床の蘼蕪とするは(底本は「芎防」と作る)、此らは皆相似る。故に剣工は莫邪に似たるの剣に迷惑せられ、唯だ欧冶のみ能く其の種を名づく。玉工は碧盧に似たるの玉に迷惑せられ(底本「玉工」の下一字は生僻字で転写後に失われた)、唯だ猗頓のみ其の情を失わず。魏文侯が曰く: 物は多く相い類するも而して其の実は是れ非ず。幽莠の幼は(底本は「之防」と作る)亦た禾に似て、驪牛の黄は亦た虎に似て、白骨は象に疑われ、武夫は玉に類す、此らは皆之に似て而して非なり】。你は孔氏の経を執り道を守るの儒に非ず、乃ち是れ公卿に面従するの儒、我らの此の類に非ざるなり。冉有は季氏の宰と為りて之に附益す、孔子が曰く: 小子は鼓を鳴して之を攻むる可なり。故に桀を輔くるは智と算せず【注音:「知」は去声と読む】、桀の為に斂むるは仁と算せず。丞相史は黙然として対えず【注音:「相」は去声と読む】。
利議第二十七
利議(りぎ) 第二十七
大夫曰作世明主憂勞萬人思念北邉之未安故使使【去聲】者舉賢良文學髙第詳延有道之士將欲觀殊議異冊虛心傾耳以聽庶幾雲得諸生無能出竒計逺圖匃奴安邊境之冊【通作防】明枯竹守空言不知趨舍之宜時世之變議論無所依如膝癢而搔背辯訟公門之下訩訩【音兇】不可勝【音升】聽【訩訩眾言也】如品即口以成事此豈明主所欲聞哉
大夫が言います: 世を作すの明主は万人を憂労し、北辺の未だ安んぜざるを思念す、故に使者を派遣して賢良文学高第を挙げ【注音:「使」は去声と読む】、道有るの士を詳延し、将に殊議異策を看んとし、心を虚にし耳を傾けて以て聴かんとす、庶幾くは得る所有らん。諸生は能く奇計を出さず・匈奴を遠く図らず・辺境を安んずるの策を【「冊」は「策」に通ず(底本は「通防」と作る)】、只だ枯竹空言を守るを知り、趨舎の宜・時世の変を知らず、議論は依拠する所無し、膝痒くして背を掻くが若く、公門の下に辯訟し、讻讻として【注音:「讻」は凶と同じ】聴くも聴き勝ぐべからず【注音:「勝」は升と同じ】【讻讻は、是れ衆言なり】。品字に口を加えて以て事を成すが若きは、此れ豈に明主の聴かんと欲する所ならんや。
文學曰諸生對冊【通作防】殊路同歸指在於崇禮義退財利復往古之道匡當世之失莫不雲太平雖未盡可亶用【亶信也】宜略有可行者焉執事闇於明禮而喻於利末沮事隳【音灰】議計利籌冊【通作防】以故至今未決非儒無成事公卿欲成利也
文学が言います: 諸生は策に対して【「冊」は「策」に通ず(底本は「通防」と作る)】、路を殊にして帰を同じくし、主旨は礼義を崇び財利を退け、往古の道を復し当世の失を匡うに在り、太平に説き至らざる無し。尽く信用すべからずと雖も【亶は、是れ信なり】、亦た略して行うべき有るべし。執事は明礼に暗くして利末に喩い、事を沮み議を毀し【注音:「隳」は灰と同じ】、利を計り策を籌す【「冊」は「策」に通ず(底本は「通防」と作る)】、故に今に至りて未だ決せず。是れ儒に成事無きに非ず、是れ公卿は利を成さんと欲するなり。
大夫曰色厲而內荏亂真者也文表而柔裡亂實者也文學裒衣博帶竊周公之服鞠躬踧踖竊仲尼之容議論稱誦竊商賜之辭刺譏言治過管晏之才心卑卿相【去聲】志小萬乗【去聲】及授之政昏亂不治故以言舉人若以毛相【去聲】馬【仲尼弟子傳曰孔子曰吾以言取人失之宰予以貌取人失之子羽道應訓曰秦繆公請伯樂曰子之年長矣子姓有可使求馬者乎對曰良馬者可以形容筋骨相也相天下之馬者若滅若失若亡其一若此馬者絶塵弭轍臣之子皆下材也可告以良馬而不可告以天下之馬臣有所與供儋纒採薪者九方堙此其於馬非臣之下也請見之穆公見之使之求馬三月而反報曰已得馬矣在於沙丘穆公曰何馬也對曰牡而黃使人往取之牝而驪穆公不説召伯樂而問之曰敗矣子之所使求者毛物牝牡弗能知又何馬之能知伯樂喟然太息曰一至此乎是乃其所以千萬臣而無數者也若堙之所觀者天機也得其精而忘其粗得其在內而忘其外見其所見而不見其所不見視其所視而遺其所不視若彼之所相者乃有貴乎馬者馬至而果千里之馬】此其所以多不稱【去聲】舉詔冊【通作防】曰朕嘉宇內之士故詳延四方豪俊文學博習之士超遷官祿言者不必有徳何者言之易而行之難有舍其車而識其牛貴其不言而多成事也【漢書曰劉寛嘗行有人失牛者乃於路就寛車中認之寛無所言下駕步歸有頃認者得牛而送還叩頭謝曰蹔負長者寛曰物有相類事容脫誤幸勞見歸何為謝也】吳鐸以其舌自破主父偃以其舌自殺【繆稱訓曰吳鐸以聲自毀膏燭以明自爍許慎曰鏎大鈴出於吳也叢談曰口者闗也舌者機也出言不當四馬不能追也口者關也舌者兵也出言不當反自傷也言出於已不可止於人行發於邇不可止於逺夫言行者君子之樞機樞機之發榮辱之本也可不慎乎故蒯子羽曰言猶射也括既離雖有所悔焉不可從而追已詩曰白珪之玷尚可磨也斯言之玷不可為也】鶡【音押】鴠【音旦】夜鳴無益於明主父鳴鴟無益於死【鶡鴠渇鴠也詩云相彼鳱鴠尚或惡之鳴急旦也增韻曰鳱鴠求旦之鳥形似雞晝夜常鳴陸佃曰怪鴟其鳴即雨為繇可以聚眾鳥一名只狐晝無所見夜即飛也】非有司欲成利文學桎【音只】梏【音谷】於舊術【木在足曰桎在手曰梏】牽於間【音閒】言者也
大夫が言います: 色は厲にして内は荏なるは、是れ真を乱る。文を表し柔を裏とするは、是れ実を乱る。文学は衰衣博帯して、周公の服を窃む。鞠躬踧踖して、仲尼の容を窃む。議論称誦して、子貢・子夏の辞を窃む。刺譏して治を言うは、管晏の才を超過す。心は卿相を卑しめ【注音:「相」は去声と読む】、志は万乗を小とす【注音:「乗」は去声と読む】。之に政を授くるに及ぶに及びては、却りて昏乱して治まらず。故に言を以て人を挙ぐるは、猶お毛を以て馬を相するが【注音:「相」は去声と読む】ごとし【《仲尼弟子伝》に曰く: 孔子が曰く: 吾は言を以て人を取りて、宰予に失せり。貌を以て人を取りて、子羽に失せり。〈道応訓〉に曰く: 秦繆公は伯楽に請いて曰く: 子の年は長きたり、子姓に以て馬を求むべき有らんか。対えて曰く: 良馬は以て形容筋骨を相すべし。天下の馬を相するは、若し滅し若し失し若し亡す其の一の如し、此の如きの馬は塵を絶ち轍を弭す。臣の子は皆下材、告ぐるに良馬を以てすべくも天下の馬を以て告ぐべからず。臣に一の担纏采薪の九方堙有り、彼の馬を相するは臣の下に在らず、彼に見えんことを請う。穆公は見て、彼をして馬を求めしむ。三月にして返り、報じて曰く: 已に馬を得たり、沙丘に在り。穆公が曰く: 何の馬ぞ。対えて曰く: 牡にして黄なり。人をして往きて取らしむれば、却りて牝にして驪なり。穆公は悦ばず、伯楽を召して問えて曰く: 敗れたり。你の使する所の馬を求むるは、毛色牝牡も能く知らず、又た怎能く馬を知らん。伯楽は喟然として太息して曰く: 竟に此の歩に至るか。此れ正に彼の臣に千万倍して数無き所以なり。堙の観る所の如きは、是れ天機、其の精を得て其の粗を忘れ、其の内に在るを得て其の外を忘れ、其の見る所を見て其の見ざる所を見ず、其の視る所を視て其の視ざる所を遺す。彼の相する所の如きは、乃ち馬に於いて貴き有り。馬至り、果たして是れ千里馬】。此れ即ち多く挙に称えざる所以の縁なり【注音:「称」は去声と読む】。詔策に曰く【「冊」は「策」に通ず(底本は「通防」と作る)】: 朕は宇内の士を嘉し、四方の豪俊文学博習の士を詳延して、官禄を超遷する所以なり。言う者は必ずしも徳有らず。何を以てんや。之を言うは易くして之を行うは難し。其の車を舎てて其の牛を識る者有るは、其の言わざるを貴びて事を成すこと多きなり【《漢書》に曰く: 劉寛は嘗て行き出で、人に牛を失う者有り、便ち路上に於いて寛の車中に就きて認む。寛は言う所無く、車を下りて歩行して帰る。過ぐること有りて、認むる者は牛を得て送り還し、頭を叩きて謝して曰く: 暫く長者に負う。寛が曰く: 物は相い類する有り、事は脱誤を容る。幸いに見帰せられて労せり、何必に謝せん】。呉鐸は其の舌を以て自ら破り、主父偃は其の舌を以て自ら殺す【〈繆稱訓〉に曰く: 呉鐸は声を以て自ら毀れ、膏燭は明を以て自ら爍る。許慎が曰く: 鐸は是れ大鈴、呉より出づ。《叢談》に曰く: 口は是れ関、舌は是れ機、言を出だして当たらざれば、四馬も能く追わず。口は是れ関、舌は是れ兵、言を出だして当たらざれば、反りて自ら傷る。言は己より出づるも、人に止むべからず。行は邇に発するも、遠に止むべからず。言行は是れ君子の枢機、枢機の発は是れ榮辱の本、慎まざるべけんか。故に蒯子羽が曰く: 言は猶お射るがごとく、括は既に弦を離れば、悔うる所有ると雖も、従いて追う可からず已む。《詩》に曰く: 白珪の玷は尚お磨くべし、斯の言の玷は為すべからず】。鶡鴠は夜に鳴くも【注音:「鶡」は押と同じ】【注音:「鴠」は旦と同じ】、明に益無し。主父は鴟の鳴くが如く、死を免るるに益無し【鶡鴠は即ち渇鴠なり。《詩》に曰く: 彼の鹎鴠を相る、尚お或いは之を悪む。鳴くは旦を急ぐ。〈増韻〉に曰く: 鹎鴠は是れ旦を求むるの鳥、形は鶏に似て、昼な夜な常に鳴く。陸佃が曰く: 怪鴟は、其の鳴けば則ち雨、繇を為して以て衆鳥を聚むべし、一の名は只狐、昼は見る所無く、夜は則ち飛ぶ】。是れ有司は利を成さんと欲するに非ず、是れ文学は旧術に桎梏し【注音:「桎」は只と同じ】【注音:「梏」は谷と同じ】【木は足に在るを桎と曰い、手に在るを梏と曰う】、間言に牽かるるなり【注音:「間」は閑と同じ】。
文學曰能言之能行之者湯武也能言不能行者有司也文學竊周公之服有司竊周公之位文學桎【音只】梏【音谷】於舊術有司桎【音只】梏【音谷】於財利主父偃以舌自殺有司以利自困夫【音扶】驥之才千里非造父不能使禹之知萬人非舜為相【去聲】不能用【雜事篇曰顔淵侍魯定公於臺東野畢御馬於臺下定公曰善哉東野畢之御顔淵曰善則善矣雖然其馬將失定公不悅以告左右曰吾聞之君子不讒人君子亦讒人乎顔淵不悅歴階而去須防馬敗聞矣定公躐席而起曰趨駕請顔淵顔淵至定公曰向寡人曰善哉東野畢御也吾子曰善則善矣雖然其馬將失矣不識君子何以知之也顔淵曰臣以政知之昔有舜工於使人造父工於使馬舜不窮於其民造父不盡其馬是以舜無失民造父無失馬今東野畢之御也上車執轡御體正矣周旋步驟朝禮畢矣歴險致逺而馬力殫矣然求不已是以知其失矣定公曰善可少進與顔淵曰獸窮則觸鳥窮則喙人窮則詐自古及今有窮其下能無危者未之有也詩曰執轡如組両驂如舞善御之謂也定公曰善哉寡人之過也】故季桓子聼政桞下惠忽然不見孔子為司冦然後悖熾【泰族訓曰孔子為魯司冦道不拾遺市買不豫賈田漁皆譲長斑白不戴負】驥舉之在伯樂【音洛】其功在造父造父攝轡馬無駑【音奴】良皆可取道周公之時士無賢不肖皆可與言至治故御之良者善調馬相【去聲】之賢者善使士今舉異才而使減【音撿】騶【音鄒】御之是猶扼驥鹽車而使責之疾【騶廐御也扼通作軛轅端橫木駕馬領者】此賢良文學多不稱【去聲】舉也
文学が言います: 能く言いて又た能く之を行うは、是れ湯武。能く言いて能く行わざるは、是れ有司。文学は周公の服を窃み、有司は周公の位を窃む。文学は旧術に桎梏し【注音:「桎」は只と同じ】【注音:「梏」は谷と同じ】、有司は財利に桎梏す【注音:「桎」は只と同じ】【注音:「梏」は谷と同じ】。主父偃は舌を以て自ら殺し、有司は利を以て自ら困る。句首の夫【注音:「夫」は扶と同じ】: 驥の才は千里、造父に非ざれば能く使わず。禹の智は万人、舜を相と為るに非ざれば能く用いられず【注音:「相」は去声と読む】【〈雑事篇〉に曰く: 顔淵は魯定公に台に侍し、東野畢は馬を台下に御る。定公が曰く: 善なるかな、東野畢の御。顔淵が曰く: 善ければ則ち善し、然りと雖も其の馬は将に失せんとす。定公は悦ばず、左右に告げて曰く: 我は聞く君子は人を讒せず、君子も亦た人を讒するか。顔淵は悦ばず、階を歴りて去る。須臾にして(底本は「须防」と作る)馬敗るの消息至る。定公は席を躐えて起ちて曰く: 急ぎ車を駕して顔淵を請え。顔淵至る。定公が曰く: 先に寡人は善なるかな東野畢の御と曰い、吾子は善ければ則ち善し然りと雖も其の馬は将に失せんとすと曰う、識らず君子は何以て之を知る。顔淵が曰く: 臣は政を以て之を知る。従前舜は人を使うに工く、造父は馬を使うに工し。舜は其の民を窮めず、造父は其の馬を尽くさず、此に因り舜は失民無く、造父は失馬無し。今東野畢の御るは、車に上りて轡を執り、御体は正しく、周旋歩驟は朝礼は畢り、険を歴り遠を致して馬力は尽き、還お求めて已まず、此に因り其の将に失せんを知る。定公が曰く: 善し。以て稍々更に一層を進むべきか。顔淵が曰く: 獣は窮すれば則ち触れ、鳥は窮すれば則ち喙らし、人は窮すれば則ち詐す。古より自りて今に及ぶまで、其の下を窮めて能く危なき無きは、未だ之れ有らず。《詩》に曰く: 轡を執るは組の如く、両驂は舞うが如し。是れ善御の謂なり。定公が曰く: 善なるかな、寡人の過なり】。故に季桓子は政を聴く、柳下恵は忽然として見えず。孔子は司寇と為り、然る後に悖然として熾盛す【〈泰族訓〉に曰く: 孔子は魯の司寇と為り、道は遺を拾わず、市買は賈を豫せず、田漁は皆長に譲り、斑白は戴負せず】。驥の挙げらるるは伯楽に在り【注音:「楽」は洛と同じ】、其の功は造父に在り。造父は轡を摂れば、馬は駑良を論わず以て道を取るべし【注音:「駑」は奴と同じ】。周公の時、士は賢不肖を論わず以て之と至治を言うべし。故に御の良は善く馬を調え、相の賢は善く士を使う【注音:「相」は去声と読む】。今異才を挙げて却りて減騶をして駕御せしむるは【注音:「減」は撿と同じ】【注音:「騶」は鄒と同じ】、猶お驥を塩車に扼して其の迅疾を責むるがごとし【騶は是れ廐御。扼は軛に通ず、是れ轅端の横木にして馬の領に駕するなり】。此れ即ち賢良文学の多く挙に称えざる所以の縁なり【注音:「称」は去声と読む】。
國病第二十八
国病(こくびょう) 第二十八
大夫曰嘻諸生闒【音逹】茸【音戎】無行【去聲】多言而不用情貌不相副若穿逾之盜自古而患之是孔丘斥逐於魯君曾不用於世也何者以其首攝多端迂時而不要也【攝引持也】故秦王燔去其術而不行坑之渭中而不用【秦紀曰李斯請非博士官所職天下敢藏詩書百家語詣守尉雜燒之盧生為始皇求仙藥亡去始皇大怒使御史案問諸生諸生犯禁者四百六十四人皆坑之咸陽潘生曰儒林填於坑穽詩書煬而為煙】乃安得鼓口舌申顔眉預前論議是非國家之事也
大夫が言います: 嘻。諸生は闒茸にして行無く【注音:「闒」は達と同じ】【注音:「茸」は戎と同じ】【注音:「行」は去声と読む】、言多くして用いられず、情貌は相い副わず、穿窬の盗の如く、古より自りて此を憂患す。故に孔丘は魯君に斥逐せられ、曽て世に用いられず。何を以てんや。其れ首鼠两端して、時に迂くして切要に当たらざるを以てなり【摂は、是れ引持なり】。故に秦王は其の術を燔き去りて行わず、之を渭中に坑して用いず【《史記・秦始皇本紀》に曰く: 李斯は請う: 博士官の職く所に非ざれば、天下敢えて詩書百家語を蔵するは、皆守尉に交えて雑りて之を焼かん。盧生は始皇の為に仙薬を求めて亡び去る。始皇は大怒し、御史をして諸生を案問せしめ、諸生の禁を犯す四百六十四人を皆咸陽に坑す。潘生が曰く: 儒林は坑穽に填まり、詩書は煬されて煙と為る】。此れ還お怎んぞ口舌を鼓し顔眉を伸べ論議して国家の事を是非せんや。
