二・年時
陰暗晴暑,天道之常;水旱兵災,年時之變。欲決禍福於一年,須審吉凶於八卦。所謂年時,一年中,四時事也。遠則國家,近則官府;大則天道,小則人物;皆在六爻內 。凡推及此,必須仔細。不比人事一端之易,學者宜用心焉。
陰・暗・晴・暑は天道の常態であり、水災・旱災・兵禍は一年の時運の変異である。一年の禍福を判定せんと欲せば、八卦の中に吉凶を審察せねばならない。いわゆる年時とはすなわち一年四季の内の事である。遠くは国家に関係し、近くは本地の官府に関係し、大は天道であり、小は人物であり、全てこの六爻の内にある。およそこの一門に推し及ばんには、必ず格外に仔細ならざるべからず。一樁の人事を占うが如く易しきに比すべからず。学者は当に用心すべし。
初觀萬物,莫居死絕之鄉;萬物屬初爻。臨財福吉,臨鬼殺凶。生旺有氣,五穀豐登,六畜興旺。空亡墓絕,則六畜多災,五穀亦欠收也。受克亦然。次察群黎,喜在旺生之地。二爻為人民之位。遇子孫,四時安樂。逢官鬼,太歲多災;發動克世,民多為盜。自空化空,民多暴死。空動,生合應爻,民多遷徙外郡。火鬼化父,小兒多出痘疹。
先ず初爻の主る万物を看、それをして死・絶の郷に落ちしむるなかれ。万物は初爻に属す。それが「妻財」「子孫」に臨めば則ち吉、「官鬼」凶煞に臨めば則ち凶。生旺気有れば五穀豊登し六畜興旺し、空亡に落ちあるいは墓絶に入れば則ち六畜多く災いあり五穀もまた歉収を要す。初爻が克を受くるも同じ。再び二爻の主る百姓を察す。それが旺相受生の地に落つるを喜ぶ。二爻は人民の位である。「子孫」に遇えば一年四季安楽し、「官鬼」に逢えばこの一年多く災いあり、官鬼発動して世を克せば百姓多く盗賊を為す者有り。二爻が自空してまた空に化せば百姓多く横死す。二爻が空にして発動し、また応爻を生合せば百姓多く外郡に遷徙す。火の「官鬼」が「父母」を化出せば小児多く痘疹を出す。
三言府縣官僚,兄弟則徵科必迫;三爻屬陽,以府官斷;屬陰,以縣官斷。屬陰土,以府州縣僚佐官斷。三爻臨世,或是本宮,以本縣官斷。無故自空,縣必缺任。逢空而遇應上鬼沖,必有外郡官攝政。發動逢空,將已辭印。化進神,有升擢之喜;化退神,有降謫之憂。生合世爻,或初二爻者,有仁民愛物之心;刑剋,則剋制小民。非良吏也。若臨子孫,清廉正直;臨官鬼,酷毒好刑;臨兄弟,貪暴無恥。兄動克世而生合五爻,或歲君者,必主其年官府徵科急迫也。
三爻は府県の官僚を講ず。この位もし「兄弟」に臨めば賦税の徴収は必然に逼迫す。三爻が陽に属せば則ち府一級の官に按じて断じ、陰に属せば県一級の官に按じて断じ、陰土に属せば府州県の佐貳属官に按じて断ず。三爻もし世爻に臨み、あるいは正に本宮の爻なれば、則ち本県の官に按じて断ず。三爻が無縁無故に自ら空亡に落つれば本県は必ず長官を缺き、空に逢うてまた応爻上の「官鬼」に沖せられれば、必ず外郡の官ありて政務を代理す。三爻が発動して空に逢えば、長官は将に印を辞し任を卸さんとす。三爻が進神に化すれば昇遷の喜び有り、退神に化すれば貶謫の憂い有り。三爻が世爻あるいは初爻二爻を生合するは、この官に仁民愛物の心有り。それらを刑克するはすなわち小民を苛刻にして良吏に非ず。三爻が「子孫」に臨むは清廉正直の官、「官鬼」に臨むは酷毒にして刑を好む官、「兄弟」に臨むは貪暴にして恥なきの官である。「兄弟」発動して世を克し、また五爻あるいは太歳を生合せば、必ずこの一年官府の賦税を徴収する格外に急迫なるを主す。
四論朝廷宰相,沖身則巡警無私。三公九卿,上司官,皆在四爻。若能生合世爻、二爻,必有憂民官在朝。生合五爻,刑剋二爻,朝廷皆阿諛之臣。發動,以出巡官斷之。臨子孫,正直無私。生合持世,必能為民除害。兄動化財,與世刑剋,其年當有徵索舊欠官來也。若臨應上,或化空亡,必不入我境界。若與其身相沖,遍巡四境。如遇鬼化鬼,一年官,兩度來;或有兩員官來也。
四爻の論ずるは朝廷の宰輔である。それもし身爻を沖せば、すなわち巡察警戒して偏私する所なし。三公九卿および上司の官はみな四爻に在り。四爻もし世爻と二爻とを生合する能くば、朝中に必ず百姓を憂念するの官有り。もしただ五爻を生合して反って二爻を刑克しに往かば、それ満朝みな阿諛奉承の臣である。四爻発動せば、則ち出京巡察の官に按じて断ず。四爻が「子孫」に臨むは正直無私の官である。それが世爻を生合しあるいは世爻を持臨せば、必ず百姓のために害を除く能し。「兄弟」が発動して「妻財」を化出し、また世爻と刑克せば、この一年当に旧欠を追徴する官員の来る有るべし。この爻もし応爻上に臨み、あるいは空亡に化入せば、その官は必ず我が境内に進まず。もし身爻と相冲すれば、遍く四境を巡らんとす。「官鬼」が「官鬼」を化出するに遇えば、一年の内に官の来ること两趟あり、あるいは两員の官員前来する有り。
五為君上之爻,五爻為天子之位,最不宜動來刑剋世爻,其年必受朝廷剋剝。若臨財福,生合世爻,必有君恩。化出父母,當有赦宥。空動,有名無實。或雖生合世爻,卻被三四爻剋制、合住者,縱有君恩,官府隱瞞,不能下及百姓。制爻衰死,亦主半被侵捺。五爻自空,其年天子有崩傷之憂。化出子孫回頭剋制,必主太子攝位。五爻空動,沖身沖歲,有巡狩出外事。四爻制克五爻,當有奸臣專國。四爻旺,五爻衰,恐謀不軌。
第五爻は君主の位である。一年の年成を占うに最も忌むは第五爻が発動して「世爻」を刑克しに来ること。もしこのようであればこの一年百姓は必ず朝廷の横徴暴斂を受く。第五爻もし「妻財」「子孫」に坐して世爻を生合せば、当年必ず君恩に蒙る。もし「父母」を変出せば則ち朝廷の赦令を頒下するに応ず。第五爻動くといえども「空亡」に落つれば恩沢はただ虚名にして並び実恵なし。第五爻が世爻を生合すれども第三第四爻に克制せられあるいは合住せらるる者あり。それは恩典下るといえども地方官府の隠瞞截留せる所と為り、恵み百姓に及ばず。もしその克制の爻本身衰弱死絶せば、これも恩沢の半分を侵吞せらるるを主す。第五爻が自身空に落つれば当年天子に駕崩あるいは傷に遇うの憂患有り。もし子孫を変出して頭を回りて第五爻を克制せば、太子が君権を代行するを主す。第五爻が空に落ちてまた発動し、「卦身」を沖し「太歳」を沖せば、天子に巡狩出行の事あるを主す。第四爻は大臣の位である。もし第五爻を克制せば、当に権臣の国政を専擅する有るべし。第四爻旺にして第五爻衰なれば、更に恐るべし大臣の不軌を図謀するを。
六為昊天之位。六爻為天。若空,其年必多怪異事。蓋天無空脫之理。所以,主有變異也。如子孫為日食星隕類。若遇兄動,亦主有驚怪不常之變。此於空亡之異,為尤甚也。應亦為天,克世,則天心不順;世還為地,逢空,則人物多災。應爻又作外郡,世爻又作本境看。
第六爻は蒼天の位である。年時を占うに第六爻を以て天を代表す。この爻もし「空亡」に落つれば当年必ず怪異の事多し。天は虚空脱落の理なければなり。一旦空に落つれば則ち天象変異の上に応ず。たとえば第六爻が「子孫」に坐せば、すなわち日食・隕星の類である。第六爻もし「兄弟」の発動に遇えば、これも驚怪反常の変故あるを主す。これは落空の応ずる変異よりも更に甚だし。「応爻」同じく天を代表するを以て、応爻が「世爻」を克すればすなわち天意順ならずである。世爻は則ち地を代表し、世爻が空に落つれば人畜万物多く災い有り。このほか応爻また外地の州郡を看るべく、世爻は本地の境内を看るべし。
太歲逢兄乘旺,有溫州之大颶;太歲,乃一年主星。惟遇子孫為吉,其他皆非所利。如臨兄,出現變動,其年必多惡風;乘旺克世,有颶風之災。若屬金水,或化父母,或與父爻同發,風水之禍,必不能免。化兄一年雨作。流年值鬼帶刑,成漢寢之轟雷。流年,即太歲。若臨官鬼發,其年必多惡雷。帶刑剋世,必傷人物。六親中至凶,莫若官。六爻遇之,皆遭其禍。如初爻遇之,物不利;二爻遇之,人不安。六爻無官,年月不帶,方為大吉。縱有旱潦年災,必不至於大害。出現逢空,或衰絕不動,亦不妨。
「太歳」は一年の主星である。卦中はただ太歳が「子孫」に坐するをもって吉とし、その余の諸爻に坐すればみな利とせず。太歳もし「兄弟」に坐して出現発動せば、当年必ず悪風多し。再び旺に乗りて「世爻」を克せば、即ち飓風の災い有り。温州の歴来遭う所の大飓風の如し。もしこの兄弟爻が金に属し水に属し、あるいは「父母」を変出し、あるいは父母爻と一同に発動せば、風災水患必ず免れ難し。兄弟を変出せば則ち一年陰雨連綿たり。いわゆる「流年」はすなわち太歳である。太歳もし「官鬼」に坐して発動せば、当年必ず悪雷多し。再び刑を帯びて世爻を克せば、必定雷震して人を傷り畜を傷る。漢代の宮寝の雷轟に遭うの事の如し。六親の中に最も凶なるは官鬼より甚だしきはなく、六爻いずれの爻にてもそれに遇えば皆その禍を遭う。初爻に遇えば田産器物利あらず、二爻に遇えば家人安からず。六爻の中いずれも官鬼を見ず、年月もまた官鬼を帯びざるを要すれば、乃ち大吉。たとえ旱涝年災有りとも釀成して大害と為るに至らず。官鬼出現すれども「空亡」に落ち、あるいは衰絶して発動せざれば、また事に妨げず。
發動妻財,旱若成湯之日;交重父母,潦如堯帝之時。財臨太歲,其年雨水必不周遍。更臨火爻,或火化其生扶,而父爻衰弱者,定主亢旱。若父持太歲,其年雨水必多,更化水爻,又臨生旺之地,而財爻空伏無氣者,必主大水。世克如不傷世,則五穀不損。若只占年時水旱,不必拘定太歲,但看財父可也。有動,以動為勝;不動,以旺為勝。克世則可畏。
「妻財」発動すれば旱を主り、「父母」発動すれば涝を主る。妻財爻もし「太歳」に臨めば、当年雨水必ず遍く降る能わず。再加えてそれが火に属し、あるいは火爻有りてそれを生扶し、しかも父母爻また衰弱なれば、一定大旱の年である。商湯の時七年の旱の如し。父母爻もし太歳に臨めば当年雨水必ず多し。再び水爻を変出し、また長生帝旺の地に処り、しかも妻財爻が空に落ち伏蔵して気なければ、必ず大水を発す。堯帝の時の洪水の如し。世爻もしそれを克する能くば、あるいはそれが世爻を傷害せざれば、五穀は受損を致さず。もしただ一年の水旱を占問せば、必ずしも太歳に死守して放さざるを要せず。単に妻財・父母の両爻を看れば即ち可なり。発動する者有れば発動の一爻を以て准とし、ともに動かざれば旺相の一爻を以て准とす。およそ世爻を克するは、乃ち真正に畏るべし。
猛烈火官回祿,興災於熙應;鬼在乾宮,或在六爻上動,當以雷斷,其餘不可亂言。如卦中火鬼動,其年有火災。若與世無干,而與應爻克沖者,乃是外郡被災,與本境無涉也。汪洋水鬼玄冥,作禍於江淮。水鬼發動,其年必有水災。在外卦,或化父母,或沖動父母,是雨水淹沒。在內卦,是河決海翻。若不克世,雖溢無事。如戊午年正月辛亥日,卜年時,得蒙之中孚卦。水鬼與應上父爻俱動,傷克世爻,妻財又伏;其年果應風雨連月,水溢田中,五穀淹腐殆盡也。
火性の「官鬼」は火災を主る。ただし官鬼もし乾宮に在り、あるいは第六爻上で発動すれば、それは雷に断ずるを要す。乱りに火と説くべからず。卦中に火鬼発動せば当年火災有り。もしそれが「世爻」と渉なきも、ただ「応爻」と相冲相克せば、それは外地州郡の災いに遭うと為り、本境と干らず。水性の官鬼は則ち水患を主る。水鬼発動せば当年必ず水災有り。外卦に在り、あるいは「父母」を変出し、あるいは父母爻を沖動せば、雨水氾濫して淹没す。内卦に在れば則ち河堤潰決し海潮倒灌す。もし世爻を克せざれば水泛溢すれども事なし。例えば戊午年正月辛亥日に年成を占問して《蒙》の《中孚》を得たり。水性の官鬼が応爻上の父母爻と一同に発動して世爻を傷克し、「妻財」また伏蔵して出でず。当年果して風雨月を連ね、田中積水し五穀淹泡腐爛してほぼ収穫なし。
尤怕屬金,四海干戈如鼎沸;金鬼發動,其年必不寧靜。蓋金乃兵象,故也。在四五爻上,是大臣謀叛;沖剋應爻,生合五爻,是朝廷征討。在外卦,又屬他宮,是夷狄侵犯中華。鬼化鬼,或兩鬼俱動,必非一處作亂。卦身逢之,四海皆然。太歲逢之,一年不得安靜。空動是虛,或化空絕,化敗病,或化回頭克,或被月建日辰動爻剋制,雖或反亂,終必敗亡。休囚發動,不過強梁盜賊。甲寅正月庚申日,卜倭亂,得困之大過卦。六三午火鬼動,化出酉金兄弟,帶刑剋害,其年果應倭賊大亂。火主燒,金主殺,兄又劫財,所以,其年劫燒殺傷,不可勝計。
最も怕るるは「官鬼」が金に属する。それは天下兵戈四起の象である。金性の官鬼発動せば当年必ず太平ならず。金は兵器を主ればなり。金鬼が第四・第五爻上で発動せば大臣の謀反である。「応爻」を沖克して第五爻を生合せば、朝廷の兵を発して征討するである。外卦に在りてまた他宮に属せば外族が中原に入侵す。官鬼が官鬼を変出し、あるいは两重の官鬼同時に発動せば、乱を作すこと必ず一処に止まらず。「卦身」がそれに遇えば天下到る処騒動し、「太歳」がそれに遇えば一年安寧を得ず。金鬼動くといえども「空亡」に落つれば動もまた虚動なり。あるいは空亡・絶地・敗地・病地に変入し、あるいは回頭克を変出し、あるいは「月建」「日辰」および動爻に克制せらるれば、たとえ叛乱有りとも終に蕩平せらるるを要す。金鬼が休囚無気の時に発動すれば、ただ強盗草寇のみ。甲寅年正月庚申日に倭寇の乱を占って《困》の《大過》を得たり。六三午火の官鬼発動して酉金の「兄弟」を変出し、また刑克害を帯びたり。当年果して倭寇大いに乱れたり。火は焚焼を主り金は殺戮を主り、兄弟はまた財物を劫奪するを主るをもって、ゆえにその一年劫掠・焚焼・殺傷の事は数えて尽くし難し。
更嫌值土,千門疫癘若符同。土鬼發動,其年多瘟疫。生旺為甚,休囚稍可。在艮宮動,瘴氣亦重。克世,人多疫死,世克不妨。鬼帶白虎,亦是瘟疫兆也。逢朱雀而化福爻,財動則旱蝗相繼;鬼帶朱雀動,化子孫,刑剋身世,主有蝗蟲之災。蓋朱雀能飛,子孫又禽蟲之屬,故也。財臨太歲,雖非朱雀,若化子,在生氣爻上亦然。更遇財爻亦動而無制伏者,必主旱蝗相繼之歲。
更に嫌うは「官鬼」が土に属する。それは家家戸戸に瘟疫に染まるを主る。土性の官鬼発動せば当年疫病多し。長生帝旺の地に処れば重く、休囚無気なれば則ち稍軽し。艮宮で発動せば山林の瘴気もまた重し。「世爻」を克せば人病死すること多く、世爻反ってそれを克する能くば妨げず。官鬼が「白虎」を帯ぶるも同じく瘟疫の先兆である。官鬼が「朱雀」を帯びて発動し「子孫」を変出し、また「卦身」「世爻」を刑克せば、蝗災あるを主す。朱雀は飛禽に属し、子孫また禽虫の一類に帰するをもってなり。「妻財」が「太歳」に臨み、朱雀を帯びずともただ子孫を変出し、また生気の爻上に落つればこれも同じ。もし妻財爻同時に発動して制伏する人無ければ、必ず旱災と蝗災と接連して来るの年である。
遇勾陳而加世位,兄興則饑饉相仍。勾陳,職專田土。官鬼逢之,必非大有年。持世克世,必然歉收。財化兄,或與鬼俱動,則是饑饉之年也。若財空福絕,或福空財絕,皆是飢歲。莽興盜起,由玄武之當官;鬼加玄武,動克世爻,其年必多盜賊。屬陰,是穿窬小人,樑上君子;屬陽,是強梁夥盜。若臨土,或化土克世,必主盜賊蜂起。化出金,沖剋歲君,或五爻者,今雖為盜賊,終必謀動干戈,擾亂四海,以犯上也。
「勾陳」は専ら田土を管す。「官鬼」が勾陳を帯びれば当年必ず豊年に非ず。再び「世爻」を持しあるいは世爻を克せば一定歉収なり。「妻財」が「兄弟」を変出し、あるいは財と官鬼とが一同に発動せば、すなわち饑荒の年である。もし財爻が空に落ちて「子孫」が絶に入り、あるいは子孫が空に落ちて財爻が絶に入るも、みな荒年である。官鬼が「玄武」を帯びて発動して世爻を克せば、当年必ず盗賊多し。官鬼が陰に属せば、墻を鑽り壁を翻るの小偷であり、陽に属せば群れを成し伙を結ぶの強盗である。玄武官鬼もし土に属し、あるいは土爻を変出して世を克せば、必定盗賊蜂起す。もし金爻を変出して「太歳」あるいは第五爻を沖克せば、則ち今日は盗賊たりといえども日後終に兵を挙げて乱を作し天下を擾動して上に犯す。西漢末の王莽権を篡んで群盗並び起こるの如し。
宋殄異多,因螣蛇之御世。鰧蛇,乃妖怪之神。在六爻上動,雖非鬼,必主有大變異。鬼在六爻上動,雖非鰧蛇,亦主大變。在乾宮,或化入乾卦者,亦然。不在六爻,不落乾宮,而鬼帶鰧蛇發動,則是世間有變異奇怪。如下文所云也。
「螣蛇」は妖異怪変を主るの神である。螣蛇が第六爻上で発動すれば、「官鬼」を帯びずとも必ず大なる天地の変異あるを主す。官鬼が第六爻上で発動すれば螣蛇を帯びずとも同じく大変を主す。官鬼が乾宮に在り、あるいは乾卦に変入するもこの如し。もし既に第六爻に在らず、また乾宮に落ちず、ただ官鬼が螣蛇を帯びて発動せば、それは人間に種種の反常怪異の事の現るるである。宋末の災異の滅絶多きはすなわちその応なり。いずれの怪異に応ずるかは、下文に分列する各条を看よ。
若在乾宮,天鼓兩鳴於元末;鰧蛇動臨官鬼,若在乾宮,主有天鼓鳴之異。若化金爻子孫,或化入兌卦者,有星月之異。如星入月類。若化火財,與父作合者,有虹霓之異。如吸酒飲釜類。若化火爻子孫,或化入離宮者,有日月之異。如今丙辰秋,數日並出類。鬼爻或屬金者,以雷斷。如擊臺失匙類。鬼爻屬木,或化父母爻者,以雨斷。如雨血雨毛類。鬼爻屬木,或化兄弟者,以風斷。如紅風黑風類。木鬼與世應相沖,有異風之變。如宋季有白氣溺貫百里類。
「螣蛇」が発動して「官鬼」に坐し、もし乾宮に在れば天鼓轟鳴の怪異を主す。元朝末年の二度天鼓の鳴るの如し。もし金爻の「子孫」を変出し、あるいは兌卦に変入せば、星月失常を主す。星辰の月中に侵入するの類の如し。もし火性の「妻財」を変出して「父母」と相合せば虹霓の異を主す。虹の垂れて酒を吸い釜中の水を飲み尽くすの類の如し。もし火爻の子孫を変出し、あるいは離宮に変入せば日月の異を主す。丙辰年秋天の数日並び出づるの類の如し。官鬼もし金に属せば則ち雷に断ず。雷撃楼台して匙鑰を失落するの類の如し。官鬼が木に属しあるいは父母爻を変出せば則ち雨に断ず。天の血雨・毛雨を降らすの類の如し。官鬼が木に属しあるいは兄弟爻を変出せば則ち風に断ず。紅風・黒風の類の如し。木性の官鬼が「世爻」「応爻」と相冲するもまた怪風の変有り。宋末の白気百余里を横貫するの類の如し。
如當震卦,雷霆獨異於國初。鰧蛇鬼,在震宮動者,有雷霆之異。如秋間夏月,無雲而雷霆震類。震卦,又為龍。若臨辰巳爻上,或化辰爻,主有龍現。如龍掛為橋之異。震卦又為木,或臨木爻,或化木爻者,有樹木之異。如戴若實家,柳如牛鳴;趙如初家,柏如鶴鳴之類也。
「螣蛇」官鬼が震宮で発動せば雷霆反常を主す。秋日あるいは夏夜の晴空无雲にして忽ち雷震を発するの類の如し。本朝の開国之初めに即ちこの異有り。震卦はまた龍を代表す。螣蛇官鬼もし辰・巳爻上に落ち、あるいは辰爻を変出せば龍の現身あるを主す。龍身空を横ぎり掛橋の如きの類の如し。震卦はまた木を代表す。螣蛇官鬼もし木爻上に落ちあるいは木爻を変出せば草木の生異を主す。戴若実の家の柳樹の牛鳴の声を発し、趙如初の家の柏樹の鶴鳴の声を発するの類の如し。
艮主山崩,臨應則宋都有五石之隕;鰧蛇鬼,在艮宮動者,其年有山崩之異。如元統間山崩陷為地類。屬金化金,則是石,如山鶴變為石,叱石為羊類。若臨應爻,或在六爻,或化乾卦,是天變也。如星化為石類。坤為地震,帶刑則懷仁有二所之崩。鰧蛇鬼,在坤宮動者,其年必主地震。逢金,則有聲;帶刑,則崩裂。坤卦又為牛,若鬼臨丑,必有牛異。如戴人變牛類。乾坤二卦中,鰧蛇鬼,臨世動,乃是人有異事,非物也。如婦生須,男孕子類。坤乃純陰卦,鰧蛇鬼動,與玄武相合住者,必主晝晦。元末每多此異。
艮は山を為し山崩を主る。「螣蛇」官鬼が艮宮で発動せば当年山崩の異有り。元統年間の山崩して平地に陥るの類の如し。それが金に属しまた金爻を変出せば応ずる所は石に在り。山鶴の石に化し叱石して羊と成すの類の如し。もし「応爻」に落ち、あるいは第六爻に在り、あるいは乾卦に変入せば、それは天上の変である。星墜ちて石に化するの類の如し。宋の都には曾て五塊の隕石の落下する有り。坤は地を為し地震を主る。螣蛇官鬼が坤宮で発動せば当年必ず地震有り。金爻に遇えば地震声有り、刑を帯びれば地裂け陥崩す。懐仁の両処の崩陥の如し。坤卦はまた牛を代表す。官鬼もし丑爻に落つれば必ず牛の怪異有り。戴姓の人の牛形に変作するの類の如し。乾・坤の両卦の中、螣蛇官鬼もし「世爻」に臨み発動せば、それは人身上の出づる怪事にして物怪に非ず。婦人の鬍鬚を生出し男子の懐孕するの類の如し。坤は純陰の卦なり。螣蛇官鬼発動して「玄武」に合住せられれば、必ず白昼昏黒を主す。元朝末年常にこの類の異象有りき。
坎化父爻,雨血雨毛兼雨土;坎卦,在天為雨,在地為水。鰧蛇鬼在此宮動,臨應爻六爻,或化父爻者,皆以雨斷。不然,則是河涸海溢之異。若金鬼化父,當有雷雪同作之異。雨血雨毛雨土,皆元末之異也。巽連兄弟,風紅風黑及風施。鰧蛇鬼,在巽宮動化兄,主有異風。如宋英宗時有赤風,元順帝時有黑風類。若不化兄,不臨應爻六爻,勿作風斷,是草木之異。如武后時,九月梨花開類。震巽二卦,又為禽鳥。若鰧蛇鬼在生氣爻上動者,有諸禽之異。如春秋時,六鷁退飛;唐庫中,金錢化蝶類。
坎は天に在りては雨を為し地に在りては水を為す。「螣蛇」官鬼が坎宮で発動し、また「応爻」あるいは第六爻に臨み、あるいは「父母」爻を変出すれば、みな雨の怪異に断ず。否らざれば便ち河流乾涸し海水暴溢の異である。もし金性の官鬼が父母爻を変出せば、当に雷雪並び作るの怪事有るべし。血雨を降らし毛雨を降らし土雨を降らすは、みな元朝末年に出現したりし異象なり。螣蛇官鬼が巽宮で発動して「兄弟」を変出せば怪風有りを主す。宋英宗の時の赤風、元順帝の時の黒風の類の如し。もし兄弟を変出せずまた応爻と第六爻とに臨まざれば、風に断ずるを要せず。それは草木の異なり。武則天の時の九月梨花盛んに開くの類の如し。震・巽の両卦はまた飛禽を代表す。螣蛇官鬼もし生気の爻上で発動せば鳥類の怪を出すを主す。春秋の時の六隻の鷁鳥退きて飛びて宋都を過ぎる、唐代の府庫中の金銭の蝴蝶に化するの類の如し。
日生黑子,宋恭帝驚離象之反常;鰧蛇鬼,在離宮動者,有日異。如宋恭帝時,日中有黑子類。若非應爻六爻,則有火異也。如大德間,火從空中降下,延燒禾稼數十畝類。邇年蒲州火從平地迸出,居民被燒者,不可勝計。沼起白龍,唐玄宗遭兌金之變異。兌為澤,為井,為池沼。若鰧蛇鬼,在此宮動者,當有唐玄宗時,沼中白龍,乘空而起。元順帝太子寢殿後新甃一井,井中亦有龍出,火焰爍火,變幻不測,宮人見之,莫不震攝類。
「螣蛇」官鬼が離宮で発動せば太陽の怪を出すを主す。宋恭帝の時の日面に黒子の出現するの類の如し。もし「応爻」と第六爻上に在らざれば、それは火の怪異なり。元代の大徳年間に天火空中より降下し、延焼して庄稼数十畝に及ぶ。また近年の蒲州の地火平地より噴出し、居民の焼死するは数え勝たざるの如し。兌は沢を為し井を為し池沼を為す。螣蛇官鬼が兌宮で発動せば当に水沢の怪出ずるに応ずべし。唐玄宗の時の池沼中に白龍騰空して起こる。また元順帝の太子の為に新たに砌つる寝殿の後井中にもまた龍出現し、火光閃爍して変幻測る莫く、宮人これを見て驚駭せざるなし。
發動空亡,乃驗天書之詐;以上鰧蛇鬼動,臨空化空,其怪異事是虛傳,詐說,非真有也。如宋真宗時,天書下降之類。居臨內卦,定成黑眚之妖。鰧蛇鬼,在本宮內卦,妖怪見於家庭。如宋徽、欽時,有黑眚見掖庭類。欲知天變於何方,須究地支而分野。凡遇變異之象,須看見於何方,直以所傷之方定之。如子為齊域,丑為吳域,寅為燕域類。此十二支分野也。當先以克爻定之,無克,以刑爻定之,又無刑,則以本爻斷。刑剋爻空,亦以本爻斷。
以上の各条の言う所の「螣蛇」官鬼発動は、もしそれ自身「空亡」に落ちあるいは空亡に変入せば、則ちこれらの怪異の事はただ訛伝誑語にして真実に有るに非ず。宋真宗の時の偽りて天書降世と称するの類の如し。螣蛇官鬼もし本宮の内卦に落つれば、妖怪はすなわち家宅の内に出現す。宋徽宗・欽宗の時の黒眚の宮掖に現るの類の如し。天変の何方に応ずるを知らんと欲せば、須く地支の分野に按じて推求すべし。およそ変異の象に遇えば、それがいずれの方に応ずるかを看て、直に受傷の方を以て定む。子を斉地と為し丑を呉地と為し寅を燕地と為すの如きは、これすなわち十二地支の分野なり。方位を定むるに先ずそれを克するの一爻を取り、克爻なければ則ちそれを刑するの一爻を取り、既に刑もなくまた克もなければ則ち本爻の属するの地支を以て断ず。刑爻克爻が空に落つるも、また本爻を以て断ず。
身持福德,其年必獲休祥;子孫為褔德之神,以其生財克鬼,故也。若得旺動,其年必有好處。在初爻,萬物吉利;二爻,百姓安寧;三四爻,官吏清明;五爻,君明國正;六爻必有景星慶雲之瑞也。若臨太歲,生合世身;或臨世身,有氣不空,是皆太平之象。世受刑傷,世歲多遭驚怪。世乃年時之主爻。凡三農百姓,五穀六畜,皆繫於此。得時旺相,不臨兄鬼,其年必然稱意。如受太歲、月建、日辰、動爻傷克,其年必多驚險。無故自空,人多暴死。
「子孫」は福徳の神である。それが「妻財」を生じ「官鬼」を克するを以てなり。子孫が旺相発動せば当年必ず好処有り。初爻に在れば万物順遂し、二爻に在れば百姓安寧し、三四爻に在れば官吏清廉し、五爻に在れば君主賢明にして国政清正し、六爻に在れば必ず景星慶雲の類の祥瑞有り。子孫もし「太歳」に臨みて「世爻」「卦身」を生合し、あるいは直接に世爻・卦身上に落ちて気有りて空ならざれば、みな太平の象である。世爻は年成を占うの主爻なり。農事・百姓・五穀・六畜はみなこの一爻に係る。世爻が当令旺相にしてまた「兄弟」「官鬼」に坐せざれば、当年必然称心なり。もし太歳・「月建」・「日辰」あるいは動爻の傷克を受けば、当年必ず驚険多し。もし無縁無故に自ら「空亡」に落つれば、則ち人多く暴死す。
年豐歲稔,財福生旺而無傷;卦中子孫得地,財爻有氣不空,兄鬼凶神衰靜者,必是豐年樂歲。冬暖夏涼,水火休囚而莫助。凡占年時,以財父二爻看水旱,水火二爻看寒暑。若水在死絕,或居空地,其年冬月必暖;火居死絕,或居空地,其年夏月必涼。若加刑害克世,而又居生旺之地者,暑必酷暑,寒必嚴寒。不克世爻,則傷物。此衰旺,不可以節氣論。
卦中の「子孫」が地を得、「妻財」気有りて空に落ちず、「兄弟」「官鬼」等の凶神また衰弱安静なれば、必定是れ五穀豊登の好年成である。一年の年時を占うに、妻財・父母の両爻を用いて水旱を看、水爻・火爻を用いて寒暑を看。水爻が死絶の地に処りあるいは「空亡」に落つれば当年冬天必然に和暖し、火爻が死絶の地に処りあるいは空亡に落つれば当年夏天必然に清凉す。反って水火もし刑害を帯びて「世爻」を克しに往き、また長生帝旺の地に処れば、それは熱必ず酷熱し冷必ず厳寒す。たとえ世爻を克せずとも庄稼牲畜を損傷するを要す。ここに言う所の衰旺は、爻の旺衰に按じて論ず。節気を拿じて推るべからず。
他宮傷克,夷狄侵凌;他宮為夷狄。無他宮,則看外卦。若來傷克本宮,其年夷狄必來侵犯。外生內卦,必多進貢。本卦休囚,國家衰替。本宮為國家。無本宮,則看內卦。旺相,國家強盛;無氣,則國家衰替。陰陽相合,定然雨順風調;凡遇一陰一陽卦,必然世應相生。六爻相合,一卦中,各有配偶。其年必主雨順風調也。更得六爻安靜,財福不空,必是豐登之歲。
卦中の他宮の爻は外族を代表す。卦中もし他宮爻なければ則ち外卦を看。他宮あるいは外卦が来たりて本宮を傷克せば、当年外族は必ず辺境を侵犯しに来る。反って外卦が内卦を生ずれば則ち四夷多く来たりて進貢す。本宮は国家を代表す。卦中もし本宮爻なければ則ち内卦を看。本宮旺相なれば国家強盛し、本宮気無ければ国勢就く衰落す。およそ一陰一陽相間わるの卦は、「世爻」「応爻」必然に相生し、六爻両両相合して、一卦の中各々配偶有り。当年必定風調雨順なり。再加えて六爻安静にして「妻財」「子孫」がともに空に落ちざれば、一定豊収の年である。
兄鬼皆亡,必主民安國泰。兄弟乃剋剝破敗之神,官鬼又禍患災殃之主。二者空亡,或不上卦,必主其年國家無事,兆民安樂,六畜得宜,萬物暢茂,雍熙之世也。唯明天道,能知萬象之森羅;識透玄機,奚啻一年之休咎。
「兄弟」は克剥破耗の神、「官鬼」は禍患災殃の主である。この両爻もしともに「空亡」に落ち、あるいは根本に卦に上がらざれば、当年必定国家事なく万民安楽し六畜興旺して庄稼茂盛し、是れ太平和楽の世道なり。要するにただ天道運行を明白にして、乃ち万象紛紜の所以然を知るべく、其中の玄機を参透すれば、推断する能くする所はまた何ぞただ一年の吉凶禍福のみならんや。
卜筮全書巻之九・黄金策二
三・国朝
君恕則臣忠,共濟明良之會;國泰則民樂,當推禍福之原。雖天地尚知其始終,況國家豈能無興廢?本宮旺相,周文王創八百年之基;大象休囚,秦始皇遺二世主之禍。本宮為國爻。以太歲為君爻,歲合為后爻;月建為臣爻,日建為東宮;子孫為黎庶,父爻為國。若建國時,卜得本宮旺相,如周文王,子孫享國八百年之久也。史記周武王定鼎於洛,卜云:傳位三十,歷年七百。後至赧王亡,共算八百餘年。故曰:周過其歷也。若本宮休囚,大象又凶,則如秦始皇,二世亡國。
君主が寛仁なれば臣下は忠を尽くし、共に君明く臣良しの盛会を成し、国家が安定すれば百姓は安楽す。占う者は正に禍福の根源を推究すべし。天地なお且つ始有り終有り、况んや一の国家、いかんぞ興盛衰亡なからんや。国運を占うに本宮を以て国家の爻と為す。「太歳」は君主の爻、太歳と相合するの爻は皇后の爻、「月建」は大臣の爻、「日建」は太子の爻、「子孫」は百姓、「父母」は国土である。もし開国建邦の時に本宮旺相を占得すれば、便ち周文王の奠基して子孫の国を享くること八百年の久しきが如し。『史記』に周武王の洛邑に鼎を定め、占問の結果は位を伝うること三十世、歴年七百と載す。後に周赧王の亡国に至り、前後を合算して八百余年なり。ゆえに周朝は国を享くること卜辞の定むる年数を過ぎたりと曰う。反って本宮休囚して卦の大象また凶なれば、秦始皇の如く、ただ二世に伝わりて便ち国を亡ぼす。
九五逢陽,當遇仁明之主;四爻值福,必多忠義之臣。五爻為君位。若逢陽象,更遇青龍財福,必是仁明之君。世臨陽象,帶吉神亦然。四爻為臣位,若子孫旺相剋世,乃敢諫直臣。若兄鬼生合世爻,乃阿諛佞臣也。
第五爻は君主の位なり。この爻もし陽爻にしてまた「青竜」および「妻財」「子孫」に坐せば、必ず仁厚英明の君なり。「世爻」もし陽象に属して吉神を帯ぶるもまた同じ。第四爻は大臣の位なり。この爻もし「子孫」に坐して旺相世を克すれば、それは敢えて顔を犯して直諫するの忠臣なり。もし「兄弟」「官鬼」に坐して世爻を生合せば、それは曲意逢迎するの奸佞の臣なり。
歲克衰宮,玉樹後庭花欲謝;本宮衰死,更遇太歲所克,其年國有亂亡之兆。昔陳將亡,後主使諸妃嬪,及女樂與俠客,共賦詩,互相贈答。採其尤豔麗者,被以新聲;選宮女千餘,習而歌之,分部迭奏。其曲有玉樹後庭花,臨春樂等,大略皆美諸嬪妃之容色。君臣酣歌,自夕達旦,以此為常。後為隋所滅。故曰:玉樹後庭花欲謝也。
本宮が衰弱死絶してまた「太歳」に克たるれば、この一年国家に喪乱滅亡の徴有り。昔陳朝の将に亡びなんとするの時、陳後主が衆妃嬪・女楽と門客とに命じて一同に詩を賦し、彼此唱和して、其中の最も艶麗なる篇章を抜びて新曲を配し、宮女一千余人を選んで分部演習し輪番演唱せしむ。曲名に《玉樹後庭花》《臨春楽》等有り、大抵みな妃嬪の容色を称美するの詞なり。君臣酒を縦うし歌を歓び、傍晚より天が明くるに至るまで唱して、以て常と為し、後に終に隋朝に滅せらる。ゆえにこの条は「玉樹後庭花欲謝」を以て国国勢の将に傾かんとするを比喻す。
年傷弱世,鼎湖龍去不多時。太歲刑沖剋害世爻,主國君疾病,或內難將作。若克世爻,而世爻衰弱,必有君崩之憂。史記曰:黃帝乘龍上天。故凡帝崩曰升遐,諱言死也。今日鼎湖龍去,言其不久而崩也。世臨沐浴合妻財,夫差戀西施而亡國;世臨沐浴,或財爻、應爻帶沐浴動,克合世爻,必是國君好色。如夫差戀西施美,拒子胥諫,後為越王勾踐所滅。
「太歳」が「世爻」を刑沖克害すれば、国君の疾病を主す。あるいは宮廷の内乱将に起こらんとす。もし太歳が世爻を克して世爻本身衰弱なれば、必ず君主駕崩の憂有り。『史記』に黄帝が鼎湖に龍に乗りて天に昇ると曰う。ゆえに後世は帝王の去世を「升遐」と称し、諱んで直に死とは説かず。ここに「鼎湖龍去」と講ずるは、すなわち君主久ならずして崩ぜんと説くなり。世爻もし「沐浴」に坐し、あるいは「妻財」「応爻」が沐浴を帯びて発動し来たり世爻を克合せば、必ず国君の女色を貪恋するなり。呉王夫差の西施の美色に迷恋し、伍子胥の勧諫を拒絶し、後に越王勾践に国を滅ぼされるが如し。
應帶咸池臨九五,武后革唐命而為周。應乃皇后之位。若帶咸池,其后必淫。更居九五,乃是後居尊位。如漢呂后,臨朝稱制。更有旺動,刑沖剋害世爻,世或空亡,必如唐武后廢中宗為廬陵王,革唐命為周。游魂遇空,虞舜南巡不返;卦遇游魂,主國君遷都遊蕩巡狩之象。如周穆王巡狩遊行天下。若加凶殺克世,或世動入死墓空絕,則如虞舜南巡,崩於蒼梧之野。
「応爻」は皇后の位なり。応爻もし「咸池」を帯びれば皇后は必然淫乱なり。再び第五爻に居れば、それは皇后の尊位を占據するなり。漢代の呂后の臨朝称制するが如し。もしこの応爻また旺相発動して「世爻」を刑沖克害し、あるいは世爻が「空亡」に落つれば、即ち唐代の武則天の如く中宗を廃して廬陵王と為し、唐を改めて周と為さん。遊魂卦を占得すれば、国君の都を遷し出巡遊蕩するの象を主す。周穆王の天下を巡行するが如し。もし再加えて凶煞が世爻を克し、あるいは世爻が発動して死・墓・空・絶に入れば、それは虞舜の南巡して蒼梧の野に死して返らざるが如し。
歸魂帶煞,始皇返國亡身。若歸魂卦,遇凶神惡殺,動克世身,如始皇求仙海上,返國崩於沙丘之野。子發逢空,張子房起歸山之計;子孫為臣。若逢空動,或四爻臣位空動,更被世爻克害,必是君欲害臣,臣欲避君。如漢張良,托為辟穀,棄職從赤松子遊也。
帰魂卦を占得し、また凶神悪煞有りて発動し来たり「世爻」「卦身」を克せば、秦始皇の東行海上に仙を求め、回程の途中に沙丘に死するが如し。「子孫」は臣子を代表す。子孫が「空亡」に落ちて発動し、あるいは第四爻臣位が空に落ちて発動し、再び世爻に克害せられれば、必ず君主は臣子を加害せんと欲し、臣子は君主を躲避せんと欲す。漢代の張良が辟谷修道を托言し、官を棄てて赤松子に随いて雲遊して去るが如し。
將星被害,嶽武穆抱籲天之冤。將星,如寅午戌日卜,午爻為將星是。餘類推。若將星臨財子,必得忠良智勇之將。將星值官鬼白虎,必強悍之將。若臨父,必老將;遇兄,不過庸常之將。若將星持鬼,克害世爻,必如曹操桓溫,挾天子以令諸侯,多致篡位自立。若將星被動爻克害,或被四爻動克,必如宋岳飛,遇秦檜權奸之害而死也。
いわゆる「将星」は、例えば寅午戌日に卦を占えば午爻は便ち将星、その余の各日はこれに照らして類推す。将星もし「妻財」「子孫」に坐せば、必ず忠良にして智勇双全の大将を得。将星が「官鬼」に坐してまた「白虎」を帯びれば、強悍の将なり。「父母」に坐せば、年高きの老将なり。「兄弟」に坐せば、平庸の将なり。将星もし官鬼に坐して「世爻」を克害せば、それは曹操・桓温の一流、天子を挟持して諸侯に号令し、多くは終に篡位自立に至る。将星もし動爻に克害せられ、あるいは第四爻が発動して来り克せば、必ず宋代の岳飛の秦檜這般の権奸に陥害せられて死し、冤を含みて天を呼ぶが如し。
應旺生合世爻,聖主得椒房之助;應爻,皇后之位。若應爻旺相,生合世爻,更臨財福;主皇后美貌智略,天性慈仁;能規君過,導君以善。如漢馬後。宋宜仁,稱女中堯舜也。後房用椒塗壁,以闢除邪氣。故曰椒房。日辰拱扶子位,東宮攝天子之權。子孫乃臣位。若他宮子孫旺相,更值日辰,生扶拱合,世值胎養空絕,必主少國,疑有大臣攝政。如周公輔成王是。若本宮子孫生旺,更得日辰扶助,必國君厭棄大寶,將欲傳位;太子當國,攝天子事也。
「応爻」は皇后の位なり。応爻が旺相にして「世爻」を生合し、また「妻財」「子孫」に坐せば、皇后の容貌美好にして才智人に過ぎ、天性慈愛にして、君主の過失を規諫し君主を引導して善に向かわしむるを主す。漢代の馬皇后、宋代の宣仁太后の如く、皆女中の堯舜と称せらる。古に皇后の居る所の殿は花椒を用いて泥に和し壁を塗り、その邪気を辟除するを取る。ゆえに「椒房」と称す。「子孫」は臣位なり。他宮の子孫もし旺相にしてまた「日辰」の生扶拱合を得、しかも世爻が正に胎・養・空・絶の地に処れば、国君年幼にして恐らくは大臣の摂政する有るを主す。周公の成王を輔佐するが如し。もし本宮の子孫生旺にしてまた日辰の扶助を得れば、それは国君の帝位に厭倦し意に伝授する有り、太子が国を当たりて天子の権を代行するなり。
世克福爻,唐玄宗有殺兒之事;若本宮子孫,被四爻沖剋刑害,必被讒臣謗訕。若世克本宮子孫,子孫又入死墓空絕,必太子遇讒被害。如唐玄宗信李林甫譖,將太子瑛,鄂王瑤,光王琚,皆廢為庶人,後復賜死於城東驛也。子傷君位,隋楊廣有弒父之心。本宮子孫,帶殺旺動,克害世爻,乃太子有篡位之兆。如隋楊廣弒父,自立為帝。
本宮の「子孫」もし第四爻に沖克刑害せられれば、太子は必ず奸臣の毀謗譏訕に遭う。もし「世爻」が本宮の子孫を克し、子孫また死・墓・空・絶の地に落入れば、太子は必ず谗言に因りて害せられん。唐玄宗の李林甫の誣陥を聴信し、太子李瑛および鄂王李瑶・光王李琚を皆庶人に廃し、後にまた城東駅に死を賜うが如し。反って本宮の子孫が凶煞を帯び旺相発動して世爻を克害せば、それは太子に篡位の兆有り。隋煬帝楊広の父を弑して自ら帝と為るが如し。
一卦無孫,宋仁宗有絕嗣之嘆,卦中無子孫,或子孫休囚,動入墓絕空死,必是國無太子。如宋仁宗無子而嘆。四爻克子,秦扶蘇中趙高之謀。四爻,乃臣位。若旺動,傷克本宮子孫,則如秦太子扶蘇,被趙高矯詔賜死。
卦中に「子孫」を見ず、あるいは子孫が休囚して、発動の後にまた墓・絶・空・死の地に落入れば、必ず国中に太子なし。宋仁宗の子なくして絶嗣の嘆を発するが如し。第四爻は大臣の位なり。この爻もし旺相発動して本宮の子孫を傷克せば、秦太子扶蘇の趙高に遺詔を偽造せられて死を賜うが如く、儲君は権臣の謀に死す。
身值動官,唐太宗禁庭蹀血;世身持官,帶殺旺動,必至殺克兄弟,乃兄弟必不相容之兆。如唐太宗,伏兵玄武門,將建成,元吉射死,血流禁庭,而被軍馬蹀踐也。世安空弟,周泰伯讓國逃荊。世持兄弟空亡,與應相生合,更有吉神動克,必是兄弟推讓天位之象。如周泰伯托為採藥,逃之荊蠻,讓位季歷也。
「世爻」「卦身」が「官鬼」に坐し、また凶煞を帯び旺相発動せば、必ず「兄弟」爻を殺傷するに至る。これは兄弟の間相容るる能わざるの兆なり。唐太宗の玄武門に伏兵して、兄李建成と弟李元吉とを射殺し、血は宮禁に流れて軍馬の践蹋する所と為るが如し。之に反して世爻が兄弟に坐して「空亡」に落ち、また「応爻」と相生相合し、別に吉神有りて発動し来り克せば、必ず兄弟互いに君位を推譲するの象なり。周代の泰伯の入山採薬を托言し、荊蠻の地に逃げ、君位を弟季歴に譲るが如し。
凶神生合世神,玄宗信林甫之佞;若鬼殺動,生合世爻,必是佞臣阿諛,人君信任。如唐玄宗,信任李林甫一十九年,養成天下大亂。君位克傷四位,商紂害比干之忠。四爻為臣。持財子,而被世爻動克,必犯顏之臣,遭剖心之主。有如比干之盡忠,而被紂王之誅也。
「官鬼」が凶煞を帯び発動して「世爻」を生合せば、必ず奸佞の臣の阿諛奉承して君主の信任する所と為るなり。唐玄宗の李林甫を信用すること十九年、終に天下の大乱を釀成するが如し。第四爻は臣位なり。この爻が「妻財」「子孫」に坐して世爻の発動し来り克するに被れば、必ず直言して上を犯すの忠臣有るも、残暴君と剖心の君に遇うなり。正に比干の誠を竭し忠を尽くすも反って商紂王に殺害せらるるが如し。
離宮變入坎宮帶凶殺,而徽欽亡身於漠北;卦中大象皆凶,世應克害刑沖,或世動入死墓空絕,必是國君遭患,死亡之兆。離乃南方,坎乃北方。離化坎,乃南入北。故如宋之徽欽二宗,被金兀朮所擄,幽於五國城,卒老死於沙漠之地。乾象化為巽象有吉曜,而孫劉鼎足於東南。乾宮變巽宮,大象皆吉。當如劉先主,吳孫權,建國東南,與魏三足鼎立也。國之治亂興衰,卦理推詳剖決。
卦の大象全凶にして「世爻」「応爻」また刑沖克害し、あるいは世爻が発動して死・墓・空・絶に入れば、必ず国君の難に遭い身死するの兆なり。離は南方に在り坎は北方に在り。離宮が坎宮に変入すれば、すなわち南よりして北に入るを由とす。ゆえに宋代の徽宗・欽宗の金人に擄去せられ、五国城に囚禁せられ、最後に漠北に老死するに応ずるが如し。之に反して乾宮が巽宮に変入して大象皆吉なれば、乾は西北に居り巽は東南に居るを以て、当に蜀漢の先主劉備と東呉の孫権との如く東南に国を建て、曹魏と天下を三分するが如くすべし。一国の治乱興衰は、皆卦理に依りて逐層推詳し剖断して疑を決すべし。
四・征戦
醫不執方,兵不執法,堪推大將之才能;謀事在人,成事在天,當究先師之妙論。觀世應之旺衰,以決兩家之勝負;將福官之強弱,以分彼我之軍師。世為我,應為彼。世旺克應則勝,應旺克世則負。子孫為我之將軍,官鬼為彼之敵帥。
良医は薬を用うるに死方に拘わらず、良将は兵を用うるに成法を守らず。ここより正に大将の才能を推知すべし。謀るは人に在り、成敗は天に在り。戦陣を占うに当たりては先師の伝うる精妙の論断を細究すべし。戦を占うに「世爻」「応爻」の旺衰を看れば、便ち両軍の勝負を判定すべく、「子孫」「官鬼」の強弱を看れば、便ち我が方と敵方との主帥を分出すべし。世爻は我が方、応爻は敵方なり。世旺にして応を克せば我勝ち、応旺にして世を克せば我敗る。子孫は我軍の将領、官鬼は敵方の主帥なり。
父母興隆,立望旌旗之蔽野;金爻空動,側聽金鼓之喧天。父母為旌旗。旺動主兵起。金空動,則聞金鼓聲。金空則響,故也。財為糧草之本根,兄乃伏兵之形勢。財為糧草。旺多衰少,空為無糧。兄為伏兵,又為奪糧之神,不宜旺動。
「父母」は旌旗を代表す。父母爻が旺相発動せば兵事の興起を主り、眼前に便ち旌旗野を蔽うの象なり。金爻が「空亡」に落ちて発動せば、金鼓の喧天を聴くを主す。金属は中空にして乃ち声を発する能くするがゆえなり。「妻財」は軍糧草料を代表す。旺なれば則ち糧足れり、衰なれば則ち糧少なし、空亡に落つれば便ち断糧なり。「兄弟」は伏兵を代表し、また劫奪銭糧の神なり。ゆえに最も旺相発動すべからざるなり。
木興扶世,濟川宜駕乎輕舟;火旺生身,立寨必安於勝地。木為舟揖。若動來生扶世身,或水爻與子孫動,宜乘舟決戰以取勝;火為營寨。若旺動生扶世身,結寨必得形勝之地也。父母興持,主帥無寬仁之德;子孫得地,將軍有決勝之才。父母持世動,乃主帥不恤士卒,上下離心。若帶兄弟凶神,須防自變。子孫持世身旺動,將軍必決勝千里外。以上數節,出《天玄賦》,不細解。
木は舟楫を代表す。木爻が発動して来り「世爻」「卦身」を生扶し、あるいは水爻と「子孫」とが同動せば、船に乗りて決戦して勝を取るに宜し。火は営寨を代表す。火爻が旺相発動して世爻・卦身を生扶せば、営を扎して必ず形勢険要の地を占得する能し。「父母」持世にして発動せば、主帥が士卒を体恤せず上下心を離るるの象なり。もし再び「兄弟」等の凶神を帯びれば、須く軍中の譁変を防備すべし。「子孫」が世を持し卦身を持して旺相発動せば、主将は勇有り謀有り、必ず千里之外に決勝する能し。以上の这几節はみな『天玄賦』に出づ。前人已に成説有り、ここに再び逐句細解を加えず。
水爻克子子孫強,韓信背水陣而陳餘被斬;卦中水爻動,及世持水爻,或動出水爻克傷子孫,若子孫旺相,得日辰月建生扶,或子孫旺動,則可效韓信背水戰,死中求生而反勝也。陰象持兄兄克應,李愬雪夜走而元濟遭擒。兄為伏兵。如在內象旺動,克應,乃我伏兵;克世,是他伏兵。若兄在陽象,宜日間伏;兄在陰象,宜夜間伏。如唐憲宗朝,李朔雪夜銜枚走,直搗蔡城,以擒吳元濟也。
卦中に水爻発動し、あるいは「世爻」が水爻に坐し、あるいは水爻を変出して「子孫」を克傷し、しかも子孫本身旺相にしてまた「日辰」「月建」の生扶を得、あるいは子孫が旺相発動せば、則ち韓信の水に背きて陣を列し、これを死地に置きて後に生き、反って敗を勝と為すを傚法すべし。当年の陳余を泜水に斬るの役の如し。「兄弟」は伏兵を代表す。内卦に在りて旺相発動して「応爻」を克せば、我が方の設伏なり。世爻を克せば則ち敵方の設伏なり。兄弟爻が陽象に属せば白天に伏を設くるに宜しく、陰象に属せば夜間に伏を設くるに宜し。唐憲宗の時の李愬の雪夜に趁りて枚を銜み疾行し、直に蔡州城を搗ち、呉元済を生擒するが如し。
世持子而被傷,可效周亞夫堅壁不戰;世持子孫,將必才能,可以克敵。若父動克,宜且固守,以避其鋒,不利速戰。如漢景帝朝,七國反,帝使周亞夫,屯細柳以攻之。中夜軍驚,擾亂至帳下,亞夫堅臥不起,深溝高壘,數日乃定,遂破七國之兵。
「世爻」が「子孫」に坐せば、主将は必ず才能有りて以て敵を克するに足る。ただし「父母」が発動して来り克せば、則ち営塁を固守して敵の鋒芒を避くるに宜しく、速戦に利あらず。漢景帝の時の七国の叛乱、景帝が周亜夫を派して兵を屯せしめ討伐せしめ、夜半に軍中驚乱し、喧擾は直に主帥の帳下に鬧るに至るも、周亜夫は安臥して起たず、ただ溝を深く塁を高くして堅守するを管し、数日の後に軍心自ずから定まり、終に七国の兵を撃破するが如し。
應臨官而遭克,當如司馬懿固壘休兵。應持官旺相,彼將才能,我難與敵。雖卦有子孫發動,終不能大勝。如三國時,司馬懿自料才能不如孔明,甘受巾幗之辱,堅壘不戰尚矣。世持衰福得生扶,王翦以六十萬眾而勝楚;世身雖持子孫,衰弱亦難勝敵。若得月建日辰生扶,可效始皇朝,王翦以六十萬眾,卒成勝楚之功。
「応爻」が「官鬼」に坐して旺相なれば、敵将の才能出衆にして我が方は与に匹敵し難し。たとえ卦中に「子孫」発動すれども、終に大勝する能わず。三国の時の司馬懿の自ら才能の諸葛亮に及ばざるを量り、甘んじて巾幗を贈るの羞辱を忍び、壁を堅うして戦わざるは反って上策たりしが如し。「世爻」子孫に坐すといえども、もし衰弱無気なれば、同じく敵に勝ち難し。ただし「月建」「日辰」の生扶を得れば、秦始皇の時の王翦の、兵六十万を統して、終に楚を滅すの功を成就するを傚法すべし。
卦有眾官臨旺子,謝玄以八千之兵而破秦。卦有官鬼,父母雖多,而安靜休囚;子孫雖少,而當權旺動。此乃寡勝眾之象。如晉謝玄、劉牢之,以八千兵渡江,破秦王符堅九十萬眾也。兩子合世扶身,李郭同心而興唐室;子孫為將,世為國君。若卦中有兩子旺動,生扶世身;主國有二將,合謀勝敵之兆。如唐李光弼、郭子儀,二人同心,以忠義自勵,終能靖亂,復興唐室。
卦中に「官鬼」「父母」多しといえども皆安静休囚し、しかも「子孫」少なしといえども当権旺動せば、これは寡を以て衆に勝つの象なり。東晋の謝玄・劉牢之の八千の兵を以て江を渡り、前秦の苻堅の九十万の大軍を撃破するが如し。子孫は将領を代表し、「世爻」は国君を代表す。卦中もし两重の子孫旺相発動して世爻・「卦身」を生扶すれば、国家の两員の大将同心合謀して強敵に勝つを得るを主す。唐代の安史の乱を平定するの時、李光弼と郭子儀との二人同心協力し、忠義を以て互相に激励し、終に禍乱を蕩平して唐室を重振するが如し。
二福刑沖化絕,鍾鄧互隙而喪身家。若有二子爻生旺變動,相沖,相刑、兩化入死墓絕空,雖勝敵將,必爭權奪寵,相殘害之兆。如晉鍾會、鄧艾領兵平蜀,蜀平,而嫌隙互生,乃至自相屠戮、身家俱喪。子化死爻,曹操喪師於赤壁;子孫為我軍卒。若動入死墓空絕敗,應又克世,或鬼父動傷身世;必致三軍喪命,損兵折將之兆。如曹操誇水軍八十萬眾,乘勢襲吳,而為周瑜、黃蓋火攻所敗。
卦中の两重の「子孫」皆生旺発動して、彼此相冲相刑し、また双々死・墓・絶・空に変入せば、則ちたとえ敵将に勝つ能くとも、両将の間も必ず権を争い寵を奪い、自ら相残害す。西晋の鍾会・鄧艾の兵を領して蜀を平げ、蜀地既に平げて嫌隙叢生し、終に互相に屠戮し身死し家破るるに至るが如し。子孫はまた我が方の士卒を代表す。子孫が発動して死・墓・空・絶・敗の地に入り、「応爻」また「世爻」を克し、あるいは「官鬼」「父母」が発動して世爻・「卦身」を傷及せば、必ず三軍の命を喪い兵を損じ将を折るの兆なり。曹操の水軍八十万と号し、勢に乗じて呉を襲うも、周瑜・黄蓋に火攻を以て打敗せらるるが如し。
世逢絕地,項羽自刎於烏江。世乃一國之君,三軍之帥。最宜旺相,克應為吉,若被應爻刑沖剋害,而世又休囚,及動入死墓空絕,主將必然不利。如項羽百戰百勝,而一朝兵散,羞見江東父老,自刎烏江也。水鬼克身,秦符堅有淝水之敗;水鬼旺動,傷克世身,敵兵必得舟揖渡江之利。如秦符堅,以投鞭斷流之眾,而竟敗於謝玄八千渡江之兵也。
「世爻」は一国の君・三軍の主帥を代表す。最も宜しく旺相にして「応爻」を克する能くするを以て吉と為す。もし世爻が応爻に刑沖克害せられ、本身また休囚し、あるいは発動して死・墓・空・絶に入れば、主将は必然不利なり。項羽の百戦百勝して、一朝兵敗れ衆散じ、江東の父老に見るを羞じ、烏江に自刎するが如し。水性の「官鬼」が旺相発動して世爻・「卦身」を傷克せば、敵軍は必ず舟船の江を渡るの利を得。前秦の苻堅の自ら誇りて鞭を江に投ずれば以て流を断つに足るとし、兵衆百万にして、竟に謝玄の八千渡江の兵の手下に敗るが如し。
火官持世,漢高祖遇平城之圍。火爻帶鬼,賊寨必近。若火鬼持世,須防困圍。若得子孫旺動,雖被圍得勝。如田單之下齊城。若子衰官旺,必致困圍。如漢高祖被匈奴圍於平城,七日乃解。應官克世卦無財,張睢陽食盡而斃。應持鬼,克世,卦又無財,乃是食盡死亡之象。如張巡被圍睢陽城也。
火爻が「官鬼」を帯びれば、敵営の已に近きを説明す。火性の官鬼もし「世爻」を持せば、須く囲困せらるるを防ぐべし。この時もし「子孫」が旺相発動せば、囲困せらるるといえどもなお勝を取る能し。田単の困守して反攻して斉国の城邑を収復するが如し。もし子孫が衰えて官鬼が旺なれば、必ず重重囲に陥る。漢高祖の匈奴に平城に囲困せられ、七日にして方に囲を解かるるが如し。「応爻」が官鬼に坐して来り世爻を克し、卦中にまた「妻財」なければ、それは糧尽きて死するの象なり。張巡の睢陽城を困守し、糧絶え城陥ちて殉難するが如し。
世鬼興隆生合應,呂文煥無援而降。旺鬼持世,乃困圍之象。卦又無財,子孫又弱,世又生合應爻,乃兵少食盡降敵之兆。宋呂文煥守襄陽,元兵圍之甚久,賈似道隱蔽不援,城中食盡遂降。外宮子動化絕爻,李陵所以降虜。子在外宮動,而被應克世,是我軍遠征。初雖見勝,終必有敗。又化絕爻,不免降虜。如漢武時李陵往事也。
旺相の「官鬼」が「世爻」を持せば、囲困せらるるの象なり。卦中また「妻財」なく「子孫」もまた衰弱にして、世爻反って「応爻」を生合しに往かば、便ち兵少なく糧尽きて敵に降るの兆なり。宋代の呂文煥の襄陽を鎮守し、元兵の長く城を囲み、賈似道の軍情を隠匿して救兵を発せず、城中糧尽き、呂文煥終に出でて降るが如し。「子孫」が他宮で発動して、しかも応爻また世爻を克せば、それは我軍の遠征外に在り、起初勝つといえども最終必ず敗る。子孫もし再び絶地に変入せば、便ち兵敗れて敵に降るを免れず。漢武帝の時の李陵の匈奴に降るの旧事の如し。
內卦福興生合應,樂毅所以背燕。內卦子孫動,而反生合應爻,傷克身世,是我將卒有背主降敵之兆。如燕將樂毅背燕投趙是也。鬼雖衰而遇生扶,勿追窮寇。官爻雖衰,若遇動爻日辰,生扶拱合,是敵兵雖少,必有救援。子雖旺而遭剋制,毋急興師。子孫雖旺,若被父母日辰動爻克害,彼必有計,不可急攻。攻之,必被摧折;雖不大敗,亦損軍威。宜緩圖之。
内卦の「子孫」が発動して、却って「応爻」を生合しに往き、同時に「卦身」「世爻」を傷克せば、それは我が方の将士に主を背きて敵に降るの兆有り。燕将の楽毅の燕を棄てて趙に投ずるが如し。「官鬼」衰弱すといえども、もし動爻あるいは「日辰」の生扶拱合を得れば、敵兵少なしといえども必ず援軍有るを説明し、窮追すべからず。「子孫」旺相すといえども、もし「父母」「日辰」あるいは動爻に克害せられれば、敵方早く備防の計有るを説明し、急ぎて進攻すべからず。急攻は必然に挫を受け、たとえ大敗を致さずとも、軍威を折損するを要す。当に歩調を放緩し従容としてこれを図るべし。
鬼爻暗動傷身,吳王被專諸之刺。官爻雖靜,而被日辰沖動旺相,克害身世,必若吳王被專諸之刺。若鬼暗動,而被世克,或子動來救,則如荊何刺秦王不中,而反自被誅也。子化官爻克世,張飛遭范張之誅。子孫化官生合應,而克害身世,乃是我兵卒謀殺主帥,而欲降敵之象。如後漢張翼德,素不恤士卒,一日被小卒範強、張達梟首帳下,順流而投孫權也。
「官鬼」安静すといえども、「日辰」に沖起せられて旺相となり、来り「卦身」「世爻」を克害せば、それは呉王僚の専諸に行刺せらるるが如く、主帥に遇刺の危有り。もし官鬼が暗動して「世爻」に克せられ、あるいは「子孫」有りて発動し来り救わば、荆軻の秦王を刺して中たらず、反って自ら誅せらるるが如し。「子孫」が官鬼を変出して「応爻」を生合し、同時に卦身・世爻を克害せば、それは我が方の士卒が主帥を謀殺し意に敵に降らんと図るの象なり。後漢の張飛の平素士卒を体恤せず、一日部卒の范強・張達に帳中に於いて首級を割取せられ、江に順い孫権に投奔するが如し。
要識用兵之利器,五行卦象並推詳。土為炮石,金為刀箭,水木為舟,火為營寨。又乾兌為刀,震巽為弓馬,火槍,坤為野戰類。若此象有克應之神,宜用此器以克敵;應爻官父在此象克世,宜反防敵人用此器也。仁智勇器之將,豈越於此?攻守克敵用兵,當審於時。
いずれの兵器を用うべきかを知らんと欲せば、須く五行と卦象とを合わせて推詳すべし。土は砲石を為し、金は刀箭を為し、水と木は舟船を為し、火は営寨を為す。また乾・兌は刀を為し、震・巽は弓馬火槍を為し、坤は平原野戦の類を為す。卦中もしこの一象に「応爻」を克する能くするの神有れば、則ちこの類の兵器を用いて敵を克しに往くに宜し。之に反して応爻の「官鬼」「父母」がこの一象上に落ちて「世爻」を克しに来れば、反って敵のこの類の兵器を用いて我を攻むるを防備するを要す。仁・智・勇・器の四者兼備の良将は、長ずる所もただこの如し。攻守敵を克し兵を調え将を遣るに至りては、須く時を審し勢を度して後に行うべし。
