重刊人子須知資孝地理心學統宗卷八上之三
江右山人徐善繼述同著。
本卷の題署は「江右山人徐善繼・徐善述同着」。前の兩卷は龍穴配向と砂法とを講じ、此の一卷は水法に轉入す。先ず二十四位に按って逐字に水の名目と吉凶とを開出し、再び陰陽兩局を分って水の發源・到堂と出口とを論じ、最後に吉水二十八款・凶水二十四款を列す。是れ形勢派の羅盤を用いて水法を消納するの總匯なり。
總じて二十四位の水法吉凶を論ず
子,武庫水,主商賈得財,因軍賊發越。癸,財帛水,主驟發橫財,生六指、缺唇、腳疾、墮胎。丑,血財水,主旺犧牲,忤逆、孤寡、供佛、飯僧、禮拜香火。艮,質庫水,主財帛鉅富,典質得橫財,進祿位。寅,白虎水,主虎傷手足,瘋跛痼疾,兇狠痴愚,火災。
下面に羅盤二十四位に按って逐字に水の名目と主應とを開出す。看る時は先ず水のどの一字より來り・又どの一字より去るかを格定して、再び號に對して査斷す。子位の水は名づけて「武庫水」、商賈して財を得るを主り、あるいは軍旅・盜賊の一路の事に因って發迹す。癸位の水は名づけて「財帛水」、驟然に橫財を發するを主るも、家中に六指の兒・缺唇の人を生じ、脚疾と墮胎の患あり。丑位の水は名づけて「血財水」、牲畜の興旺を主るも、卻って亦忤逆・孤寡を主り、家人は多く佛を供し僧を齋し・香火を禮拜す。艮位の水は名づけて「質庫水」、財帛巨富を主り、當鋪を開き典質するに靠って橫財を得、竝びに祿位に進升する能くし。寅位の水は名づけて「白虎水」、虎に傷られて手足に及ぶを主り、瘸跛痼疾・凶狠癡愚の人を出し、竝びに火災あり。
甲,人爵水,主小貴,瘋跛、痼疾、瘟火。卯,天爵水,主驟富貴,發橫財,出人長大英勇。乙,地爵水,主牝雞晨鳴,風聲忤逆,螟蛉繼贅。辰,黃泉水,主橫死夭折,伶仃孤寡,缺唇、癆瘵、惡疾、瘟疫。巽,御街水,主高科、文名、富貴、因親發財產、旺人、女貴。
甲位の水は名づけて「人爵水」、小小の官貴を主るも、瘸跛・痼疾と瘟疫火災とを帶ぶ。卯位の水は名づけて「天爵水」、驟發の富貴・橫財を得るを主り、人の身材高大にして英勇なるを出す。乙位の水は名づけて「地爵水」、母雞の公雞に代って曉を報ずるを主る。即ち婦人の家を當りて權を奪い、家中に風流の醜聞と忤逆の事あり、義子を抱養しあるいは女婿を招贅するに靠って承繼す。辰位の水は名づけて「黃泉水」、横死夭折・孤苦伶仃・鰥寡無依を主り、竝びに缺唇・癆瘵・惡疾と瘟疫を出す。巽位の水は名づけて「御街水」、科第の名次高く・文名遠く播び・富貴を主り、竝びに姻親に因って田産を得、人丁は興旺、女眷は貴顯なり。
巳,財寶水,主少富、少亡、喑啞、孤寡、淫佚、癆瘵、跛足、蛇傷。丙,天貴水,主官貴、進女人財產田地。午,紅旗水,主軍伍起家,官貴財、因女發財、武貴、火災、離鄉、目疾。丁,人丁水,主旺人進財,富貴長壽,高科名位,與貴聯姻。未,色衣水,主癆瘵、暗疾、賊盜、風聲、離鄉、孤寡、僧道、伶仃。
巳位の水は名づけて「財寶水」、年少にして即ち富を主るも、亦早亡・啞疾・孤寡・淫逸・癆瘵・跛足と蛇傷とを主る。丙位の水は名づけて「天貴水」、官職貴顯を主り、竝びに婦人の一邊に因って田産財物を進得す。午位の水は名づけて「紅旗水」、行伍より起家し・官職財祿を得るを主り、あるいは婦人に因って發財し、武貴を主るも、然れども兼ねて火災・離郷と眼疾あり。丁位の水は名づけて「人丁水」、人丁の興旺・財物の增益を主り、富貴長壽にして、科第の名位高く、竝びに貴家と親を結ぶ能くし。未位の水は名づけて「色衣水」、癆瘵・隱疾・盜賊・風流醜聞・離郷・孤寡を主り、家人は多く出家して僧道と爲り、孤苦伶仃なり。
坤,鬼箭水,主寡母坐堂、少亡、淫亂、僧尼。申,絕命水,主外死、少亡、忤逆、孤寡、橫暴。庚,武職水,主勇略、財祿。酉,金帶水,主驟發富貴,進女人財產。辛,甲科水,主聰明、發科第,開庫進產。
坤位の水は名づけて「鬼箭水」、寡母の家を當りて事を理するを主り、家人は早亡し、淫亂の事あり、あるいは出家して僧尼と爲る。申位の水は名づけて「絶命水」、外に客死し・早年に夭亡し・子弟は忤逆・孤兒寡婦を主り、竝びに横暴の人を出す。庚位の水は名づけて「武職水」、人の勇あり謀あり・財を得祿を得るを主り、武途に宜し。酉位の水は名づけて「金帶水」、驟然に富貴を發するを主り、竝びに妻室の一邊に因って財産を進得す。辛位の水は名づけて「甲科水」、天資聰明を主り、科第に中る能くし、庫を開き財を積み・産業を增置す。
戌,八煞水,主忤逆、不義、少亡、孤寡、癆瘵、惡死、顛狂、患腳、火災。幹,鰥寡水,主雙育、痼疾、孤寡、忤逆、少亡、絕嗣。亥,財祿水,主驟富大貴,累代昌盛。壬,離鄉水,主離鄉、黃腫、水災、墮胎。
戌位の水は名づけて「八煞水」、子弟の忤逆不義・早年の夭亡・孤兒寡婦・癆瘵・横死・癲狂・脚疾と火災とを主る。干位の水は名づけて「鰥寡水」、雙胞を生じて養い難きを主り、家人に痼疾あり、鰥夫寡婦・忤逆の子を出し、早亡して以至絶嗣す。亥位の水は名づけて「財祿水」、驟然に大富大貴を主り、累世昌盛にして、是れ二十四位の水の中の最も上等の一路なり。壬位の水は名づけて「離郷水」、故鄕に遠離するを主り、黃疸浮腫を患い、水災に遭い、婦人は墮胎す。以上の二十四條は只だ水の在る所の方位を論ず。還お來龍坐向と合看して、一を執りて斷ず可からず。
總じて陰陽二局の水法吉凶を論ず
艮丙巽辛兌丁巳丑震庚亥未十二位屬陰。凡陰位來龍,宜扦陰位向首。其水宜從陰位發源,陰位到堂,陰位出口則吉。若雜於陽,謂之陽水破局,主凶。大抵無有十全者,宜於葬法中控制之,消納之也。
二十四位は分作して陰陽の兩局と爲る。陰に屬するは艮・丙・巽・辛・兌・丁・巳・丑・震・庚・亥・未の十二位なり。凡そ陰位の上より來るの龍は、便ち應當に陰位の坐向を立て、水も亦陰位より發源し・陰位より明堂に流れ・陰位より出口して、此の如く純陰雜らざるこそ吉と算す。若し中間に陽位の水を夾雜せば、便ち之を「陽水破局」と叫びて、凶を主る。不過實際の地形は、很少十全十美・純にして雜らざるあり。夾雜に遇う時は、應當に下葬の作法の上に於て控制を加えて、水口を改め・向を立て・水を放つ等の手段を用いて雜氣を消納し去るべく、必ずしも一處の不純に因って全局を廢棄するを要せず。
干甲坤乙離壬寅戌坎癸申辰十二位屬陽。凡陽位來龍,宜扦陽位向首。其水宜從陽位發源,陽位到堂,陽位出口則吉。若雜於陰,謂之謂水破陽局,主凶。
陽に屬するは干・甲・坤・乙・離・壬・寅・戌・坎・癸・申・辰の十二位なり。凡そ陽位の上より來るの龍は、便ち應當に陽位の坐向を立て、水も亦陽位より發源し・陽位より明堂に流れ・陽位より出口して、此の如く純陽雜らざるこそ吉と算す。若し中間に陰位の水を夾雜せば、便ち之を「陰水破陽局」と叫びて、凶を主る(底本の此の句は「謂之謂水破陽局」と作し、一箇の「謂」の字を多くして「陰」の字を脱す。今は照録して改めず)。陰陽兩局の分法は、本書の水法の總綱にして、下文の吉凶の各款は皆此れより推衍す。
諸吉水類凡そ二十八款
三陽水:巽丙丁合流庚兌震艮出,主食邑開府膺三公。此方位家之三陽也。形勢家不以此拘。李淳風曰:“流水一交處為一陽,內明堂為二陽,外明堂為三陽,各用密結。”曾文迪以明堂為內陽,案山為中陽,外朝山為外陽。
第一款「三陽水」。巽・丙・丁の三方の水は合流して、再び庚・兌・震・艮の諸方より流出して、封を受け邑を食み・府を開き牙を建て・位は三公に登るを主る。此れは方位の一派の説く所の三陽を講ず。形勢の一派は竝びに此の説法に拘守せず。唐代の李淳風は説く。水流の交會するの第一處を一陽と叫び、內明堂を二陽と叫び、外明堂を三陽と叫ぶ。三處は皆各自結聚して緊密なるを要す。曾文迪は則ち明堂を以て內陽と爲し・案山を中陽と爲し・外面の朝山を外陽と爲す。見るべし、「三陽」の一名は、方位家は水の來去の方位を指し、形勢家は堂局の三重の層次を指す。用うる時は須らく據る所はどの一家なるかを分淸すべし。
六建水:天建亥水,地建艮水,人建丁水,財建卯水,祿建巽水,馬建丙水。此方位加之六建也。形勢家不以此拘。曾文迪曰:“水在左為天建,主官壽;在右為地建,主田宅;在前為人建,主子孫。財建用本山大五行取之,如寅山丙水之類,主財帛;祿建亦用本山取之,如甲山寅水之類,主位望;馬建亦用本山取之,如申山寅水之類,主車馬。”按二說皆通,宜互論之。
第二款「六建水」。亥方の水を天建と叫び、艮方の水を地建と叫び、丁方の水を人建と叫び、卯方の水を財建と叫び、巽方の水を祿建と叫び、丙方の水を馬建と叫ぶ。此れは方位の一派の固定の方位に按って安ずるの六建なり。形勢の一派は此に拘らず。曾文迪は説く。水は穴の左邊に在れば即是天建にして、官職と壽數とを主る。右邊に在れば是れ地建にして、田宅を主る。穴前に在れば是れ人建にして、子孫を主る。財建は要として本坐山の大五行を用いて取る。譬如寅山に丙水を配するの類にして、財帛を主る。祿建も亦本山に按って取る。譬如甲山に寅水を配するの類にして、地位聲望を主る。馬建も同じく本山に按って取る。譬如申山に寅水を配するの類にして、車馬を主る。二徐の按語は説く。兩種の説法は皆講りて通ず。應當に互相に參照して用うべし。
六秀水:艮丙巽辛兌丁。巽山忌見兌水為曜星,艮山忌見震巽水為剋制,不以六秀論。八貴水:艮丙、巽辛、兌丁、震庚,皆是配納之宜,故貴。五吉水:丁玉門水、巽文筆水、辛學堂水、丙金堂水、卯寶倉水。
第三款「六秀水」。艮・丙・巽・辛・兌・丁の六箇の方位の水を指す。然れども例外を注意すべし。巽山を立てるは兌方の水を見るを忌む。あれは巽の曜煞星なり。艮山を立てるは震方と巽方の水を見るを忌む。あれは艮氣を克制するなり。此の兩種の情形は便ち再び六秀に按って吉を論ずる能わず。第四款「八貴水」。艮は丙に配し・巽は辛に配し・兌は丁に配し・震は庚に配す。此の四對は皆卦と干と互相に配納して宜しきを得る。故に貴を主る。第五款「五吉水」。丁方の水を玉門水と叫び、巽方の水を文筆水と叫び、辛方の水を學堂水と叫び、丙方の水を金堂水と叫び、卯方の水を寶倉水と叫ぶ。五者は齊備すれば即ち五吉と爲す。
赦文水:丙丁。離為君象,丙丁輔之為臣象。君者出令者也,臣者行君之令而致之民者也。故二宮之水曰赦文,主赦宥。賴氏云:“丙丁之水名赦文,永無凶禍罹家門。”長壽水:艮丁丙兌。在宮,南極老人星司壽者也。春分時見丙,秋分時見丁,丙納於艮,丁納於兌,故此四位水皆主壽考。
第六款「赦文水」。丙・丁の兩方の水を指す。離位は君主の象、丙・丁は兩旁に在りて輔佐す。是れ臣子の象なり。君主は號令を發して施すを負責し、臣子は君命を奉行して下して民に達するを負責す。故に此の兩宮の水を「赦文」と叫びて、赦免寬宥を得る能く・凶禍は解す可きを主る。賴布衣は説く。丙丁の水は名は赦文。家門は永く凶禍に遭わず。第七款「長壽水」。艮・丁・丙・兌の四方の水を指す。南極老人星は壽命を主管するを主る。春分の時節は丙方に於てそれを見、秋分の時節は丁方に於てそれを見る。而して丙は艮に納し・丁は兌に納す。納甲の法に按れば此の四位は同氣なり。故に此の四方の水は皆長壽を主る。
催官水:艮山丙水、震山庚水、巽山辛水、兌山丁水,俱是納乾之水,與龍陰陽相見,故主催官進爵,驟富榮名。橫財水:庚辛亥山卯水、卯山庚辛水、亥艮山巽水、庚酉辛山艮水、離山壬子癸水、壬癸山午水、寅甲山坤申水、坤申山寅甲水,俱是陰陽相合,故發越最速,亦須特朝為驗。
第八款「催官水」。艮山を立てて丙水を見、震山を立てて庚水を見、巽山を立てて辛水を見、兌山を立てて丁水を見る。此れらは皆卦の納する所の干の水にして、來龍の陰陽と相配して相見る。故に官運を催促し・官を加え爵を進め、驟然に富を致して榮名を享くるを主る。第九款「橫財水」。庚辛亥の山は卯水を見、卯山は庚辛水を見、亥艮の山は巽水を見、庚酉辛の山は艮水を見、離山は壬子癸の水を見、壬癸の山は午水を見、寅甲の山は坤申水を見、坤申の山は寅甲水を見る。此の八組は皆陰陽相合の配對にして、故に發すること最も速し。不過必ずあの一方の水の專程に穴に朝して來るこそ、驗は得着るを得るなり。
金帶水:庚酉辛水繞抱,三位屬金也。銀帶水:艮水繞抱,為銀帶水。艮為銀寶之地也。又艮字從銀。金階水:庚兌辛水特朝,或田源平坦,亦以三位屬金取義也。
第十款「金帶水」。庚・酉・辛の三方の水は環繞して穴を抱きて、形は束帶の如し。便ち金帶水と叫ぶ。此の三位は五行の中に皆金に屬するを以てなり。第十一款「銀帶水」。艮方の水は環繞して穴を抱けば、銀帶水と叫ぶ。艮は銀寶の藏する所の地、而且「銀」の字の偏旁は正しく「艮」に從るを以て、其の義の相合を取るなり。第十二款「金階水」。庚・兌・辛の三方の水は專程に穴に朝して來るか、あるいはあの一帶の田塍の水源は平鋪して階の如し。便ち金階水と叫ぶ。同じく是れ此の三位の金に屬するの意思を取るなり。三款は皆水形の環抱あるいは平朝を以て吉と爲し、最も反跳斜飛を忌む。
御街水:陰局艮水巽水俱特朝為是,陽局乾水坤水俱特朝者為是。詩云:“祿馬還須要上街,坤申寅艮好推排。更生峰秀真為美,清節為官時選擇。”又云:“乾坤艮巽御街水,須用長流百步餘。大地趨朝羅列應,兒孫兩府佩金魚。”
第十三款「御街水」。陰局に屬するは、艮方の水と巽方の水との專程に穴を朝するを以て合格と爲す。陽局に屬するは、干方の水と坤方の水との專程に穴を朝するを以て合格と爲す。歌訣は説く。祿馬の砂は還お御街の水に配上を須り、坤・申・寅・艮の幾位は好好と推排すべし。若し此れらの方位に再生じて秀峰を出さば、那れは真に美格にして、子孫の淸節を以て身を立て・朝廷に選拔任官せらるるを主る。又一首は説く。干・坤・艮・巽の四維の御街水は、必ず綿長に百步以上を流過せねばならず。再び大地の勢の趨向朝拱・羅列相應あらば、兒孫は便ち東西二府に列して・金魚袋を佩帶する能くし。
陽皷水:艮巽震兌水朝先到穴,為陽鼓先鳴。陰鼓水:丙辛丁庚水朝先到穴,為陰鼓先鳴。謝獻能作《清化胡知府祖地記》云:“陽鼓未鳴陰鼓鳴,人口尚千丁。”乃辛水朝穴也。
第十四款「陽鼓水」。艮・巽・震・兌の四方の水は來朝して最も先ず穴前に到達するを、「陽鼓先鳴」と叫ぶ。第十五款「陰鼓水」。丙・辛・丁・庚の四方の水は來朝して最も先ず穴に到るを、「陰鼓先鳴」と叫ぶ。謝獻能の作る所の《淸化胡知府祖地記》は説く。陽鼓は還だ響かざるに陰鼓は先に響けば、此の一家の人口は仍ほ千丁の盛んあり。それの指す所は正しく辛方の水の穴を朝するの格局なり。陰陽の兩鼓を判ずるは、關鍵は諸水の中のどの一支の最も先ず堂に到るかを辨明するに在りて、而して水の多寡を看るに非ず。
歸元水:亥艮山丙丁巳水,丙丁山亥水,震巽山庚水,庚酉辛山震水,離山壬癸水,壬癸山坤水,絕胎二位水也。或元辰直流,或穴前直放,皆不為害,但不可太長耳。又按《大全》謂金絕於庚,水土絕於丙,火絕於壬,故甲庚丙壬四位為太乙歸元水,主貴。亦通。
第十六款「歸元水」。亥山・艮山を立てて丙丁巳方の水を見、丙丁山を立てて亥方の水を見、震巽山を立てて庚方の水を見、庚酉辛山を立てて震方の水を見、離山を立てて壬癸方の水を見、壬癸山を立てて坤方の水を見る。此れらは皆十二長生の裏の「絶」位と「胎」位の上の水なり。此の類の水は即使穴前の元辰水の直流して出去するか、あるいは穴前より直放して走るとも、亦害と爲さざるも、只是長く流れ過ぐる可からず。又《地理大全》の説法に按ずるに、金は庚に絶し、水と土は丙に絶し、火は壬に絶す。故に甲・庚・丙・壬の四位は「太乙歸元水」と稱して、貴を主る。此の説法も亦講りて通ず。以て竝存す可し。
官曜水:艮見兌,兌見艮,巽見震庚亥,亥見巽,坎見離,離見壬,皆陰陽正配,無相混淆,故主催官發財祿。花羅水:亥山巳丙,艮丙山庚,巽山丁,兌丁山辛,庚山艮丙,震山丙,壬離山乙,坤山壬。其義未詳。吳董多用之,故不刪。
第十七款「官曜水」。艮山を立てて兌水を見、兌山を立てて艮水を見、巽山を立てて震庚亥の水を見、亥山を立てて巽水を見、坎山を立てて離水を見、離山を立てて壬水を見る。此れらは皆陰陽の正しく相配對して相雜らざるなり。故に官運を催促し・財を發し祿を得るを主る。第十八款「花羅水」。亥山を立てて巳丙の水を見、艮丙山を立てて庚水を見、巽山を立てて丁水を見、兌丁山を立てて辛水を見、庚山を立てて艮丙の水を見、震山を立てて丙水を見、壬離山を立てて乙水を見、坤山を立てて壬水を見る。二徐は坦言す。此の一款の據る所の義理は還だ考明白ならず。然れども吳景鸞・董德彰の兩家が常用するを以て、故に保留して刪らず。此の種の疑を存して刪らざるの態度は、正しく本書の體例の謹愼なる處なり。
鬼鄉水:震艮水去宜流其方。宋國師吳景鸞表云:“山不高於旺氣,水不敗於鬼鄉。”故罹靖康之禍。文秀學堂水:巽辛兌。巽辛乃天乙、太乙之照臨,而辛兌乃天帝文章之府司,主士大夫之權也。故三位水主文名顯貴。
第十九款「鬼鄕水」。震方・艮方の去水は、宜しく此の兩箇の方位より流走すべし。言う所の鬼鄕は、我を克するの方を指し、水は那里より流出すれば、煞氣を送り去るに等し。宋代の國師吳景鸞は朝廷に上るの表章の中に説く。山は旺氣の方より高くする可からず、水は鬼鄕の位に敗泄す可からず。彼は地理の説を借りて進諫するなり。後來北宋は果たして靖康の禍に遭えり。第二十款「文秀學堂水」。巽・辛・兌の三方の水を指す。巽と辛は天乙星・太乙星の照臨する方位、而して辛と兌は又是れ天帝の文章を掌管する府署の在る所、士大夫の權柄を主る。故に此の三方の水は文名の顯達貴盛を主る。
金魚御街水:丙水入巽轉辛或丁,主富貴雙全。若更東震水或山高應,尤貴。財寶玉階水:艮丙入兌丁,主官祿驟貴。人丁催官水:丙流丁兌出,人丁旺盛榮貴。金門上馬水:丙水入兌轉巽流震,金門棹臂,赫赫聲名。
第二十一款「金魚御街水」。丙方の水は巽方に流入し、再び轉じて辛方あるいは丁方に向って去る。富と貴と兩全を主る。若し東邊の震方に還お水ありあるいは高山ありて相應せば、那れは更に貴し。第二十二款「財寶玉階水」。艮方と丙方の水は兌方・丁方に流入して、官祿の驟然に貴顯するを主る。第二十三款「人丁催官水」。丙方の水は丁方に流向して兌方より出口して、人丁の旺盛にして榮顯なるを主る。第二十四款「金門上馬水」。丙方の水は兌方に流入し、再び巽方に轉じて震方に流向す。此れを金門搖臂と叫ぶ(棹臂は即ち桨を搖ぐの臂膀の如く屈曲して情あり)。聲名赫赫を主る。此の幾款は皆水の來去轉折の次序に重んず。只だそれがどの一方に在るかを看るに非ず。
正官文秀水:巽水來長,主奕代文章,聯名科第。正官財帛水:巽水流西入亥,得兌震山高應,主資財鉅萬。金馬玉堂:巽水入西兌辛而出,主貴入朝班,翰苑榮顯。辛水遠轉丁,主清秀奇才。金門華表水:巽水流艮,主女為妃。
第二十五款「正官文秀水」。巽方の水の來ること悠長なれば、世世代代に皆文章の士あるを主り、兄弟は同榜に聯名して擧に中る。第二十六款「正官財帛水」。巽方の水は西に向って流去して亥方に入り、再び兌方・震方に高山ありて相應するを得ば、資財の巨萬を主る。第二十七款「金馬玉堂」。巽方の水は西邊の兌・辛に流入して出口して、朝班の列に入るの貴を主り、翰林院の中に榮顯す。若し辛方の水の遠遠と轉じて丁方に向かわば、則ち淸秀奇特の才を出すを主る。第二十八款「金門華表水」。巽方の水は艮方に流向して、家中の女子の宮に入りて妃と爲るを主る。以上の二十八款の吉水は、皆前面の陰陽二局と對照して用うるを要す。
諸凶水類凡そ二十四款
八山曜水:艮山忌見寅水,兌山忌見巳水,震山忌見申水,坤山忌見卯水,巽山忌見酉水,離山忌見亥水,坎山忌見辰水,乾山忌見午水。其例起於渾天甲子所屬之五行克八卦之所屬也。如干卦屬金,乾宮壬午火爻克之,乾山忌見午水為曜。他仿此推,朝來流去皆凶,重則誅夷刑戮,輕則殺傷刑撻,至驗。詩曰:坎龍坤兔震猿猴,巽雞幹馬兌蛇頭,艮虎離豬皆曜水,逢之宅墓一齊消。
凶水の第一款「八山曜水」。艮山を立てるは寅方の水を見るを忌み、兌山を立てるは巳方の水を見るを忌み、震山を立てるは申方の水を見るを忌み、坤山を立てるは卯方の水を見るを忌み、巽山を立てるは酉方の水を見るを忌み、離山を立てるは亥方の水を見るを忌み、坎山を立てるは辰方の水を見るを忌み、干山を立てるは午方の水を見るを忌む。此の條例は納甲裝卦の法に出づ。渾天甲子の配する所の五行を用いて本卦の屬する所の五行を克す。譬如干卦は金に屬し、干宮の納する所の壬午の爻は火に屬し、火は能く金を克す。故に干山を立てれば便ち午方の水を見るを忌む。此れを「曜」と叫ぶ。其の余の各卦は此に照って類推す。此の種の水は無論穴に朝して來るか流散して去るか皆凶にして、重きは滿門の誅戮を招致し、輕きも亦殺傷刑責あり。極めて應驗す。歌訣は説く。坎卦は龍(辰)を忌み、坤卦は兔(卯)を忌み、震卦は猿猴(申)を忌み、巽卦は雞(酉)を忌み、干卦は馬(午)を忌み、兌卦は蛇頭(巳)を忌み、艮卦は虎(寅)を忌み、離卦は猪(亥)を忌む。此れらは皆是曜水。碰上すれば、住宅墳墓は一齊に消亡す。
四墓黃泉水,亦名四殺,又名四金水:辰水、戌水、丑水、未水。金墓丑,木墓未,火墓戌,水土墓辰,故曰四墓。蓋墓者,從土而藏之義。如人之英姿俊美,玉之光華瑩潔,墓而藏之,其美莫見。故以墓為黃泉者,即《傳》所謂“不及黃泉毋相見”之義。如夭亡少死,與所葬之祖相依九泉下,故曰黃泉。亦名四金,以天宿亢、婁、鬼、牛所臨之地。賴氏云:“四金朝流並坐向,痼疾寡夭人伶仃。”又名四殺。《入式歌》云“相逢何處禍偏多,四季宮中逢四殺”是也。故此四位水極凶,主夭亡、孤寡、痼疾、惡死、邪淫、癆瘵、瘟癀,亦須破局者為驗。
第二款「四墓黃泉水」、又四殺・四金水と叫ぶ。辰・戌・丑・未の四方の水を指す。金の墓庫は丑に在り、木の墓庫は未に在り、火の墓庫は戌に在り、水と土の墓庫は辰に在り。故に四墓と稱す。「墓」は土に從りて收藏するの意思。人の英俊の姿容・玉の瑩潔の光華の如く、一旦埋藏せられば、あの美好は便ち再び見る能わず。墓を黃泉と稱する所以は、便ち《左傳》の鄭莊公の「黃泉に及ばずんば、相見る無きなり」のあの句の意思なり。若し家中に少年夭亡あれば、葬る所の祖先と相依して九泉の下に在るを以て、故に黃泉と叫ぶ。又名を四金と爲す。此の四位は正しく二十八宿の中の亢・婁・鬼・牛の四宿の臨する所の地なるを以てなり。賴布衣は説く。四金の水の來朝し・流去しあるいは正當坐向するは、痼疾・寡婦・夭亡・孤苦伶仃を主る。又名を四殺と爲す。《入式歌》の言う所の「相逢う處に禍偏多し、四季の宮中に四殺に逢う」は便ち此を指す。故に此の四位の水は極凶にして、夭亡・孤寡・痼疾・横死・邪淫・癆瘵と瘟疫とを主る。然れども同じく要として冲破本局するをこそ應驗す。
反覆黃泉水,來去皆凶,總不宜見:庚丁向忌見坤水,乙丙向忌見巽水,甲癸向忌見艮水,辛壬向忌見乾水。此亦墓水也。亦曰四路黃泉,最忌水來。按《海角經》云:假如丙向隸艮,乙向隸坤,艮屬土,土墓於辰,絕於巳,而巽居辰巳之間,故凶。門路亦忌之,犯者主禍與四墓黃泉同。
第三款「反復黃泉水」。此の種の水は無論來るか去るか皆凶、總めて見るを宜しとせず。庚向・丁向を立てるは坤方の水を見るを忌み、乙向・丙向を立てるは巽方の水を見るを忌み、甲向・癸向を立てるは艮方の水を見るを忌み、辛向・壬向を立てるは干方の水を見るを忌む。此れも亦墓水の一類に屬し、又「四路黃泉」と叫ぶ。最も水のあの一方より朝して來るを忌む。《海角經》の解釋に按ずるに、譬如丙向は納甲の上に艮卦に隸屬し、乙向は坤卦に隸屬す。艮は土に屬し、土の墓庫は辰に在り・絶地は巳に在り、而して巽は正しく辰と巳との間に夾る。故に巽水を見るを凶と爲す。不但水を忌む、門路の走向を連ねて亦忌む。触犯せば、招來するの禍は四墓黃泉と一樣なり。
坤向忌見庚丁水,巽向忌見乙丙水,艮向忌見甲癸水,乾向忌見辛壬水。此名八路黃泉,忌水去,主禍同上。反覆黃泉詩云:庚丁坤上是黃泉,坤向庚丁不可言。巽向最嫌流丙乙,乙丙須防巽水先。甲癸向中憂見艮,艮逢甲癸禍炎炎。乾向辛壬為不吉,辛壬向首怕流乾。
反って説く。坤向を立てるは庚方・丁方の水を見るを忌み、巽向を立てるは乙方・丙方の水を見るを忌み、艮向を立てるは甲方・癸方の水を見るを忌み、干向を立てるは辛方・壬方の水を見るを忌む。此の一組は名づけて「八路黃泉」。忌む所は水のあの一方に往きて流去るにして、禍を招くは上面と同じ。故に前の一組は水の來るを忌み・此の一組は水の去るを忌み、合して反復黃泉と稱す。其の歌訣は説く。庚向丁向は坤方を以て黃泉と爲し、反って坤向の庚丁を見るも亦説く可からず。巽向は最も水の丙・乙に流向するを嫌い、乙丙向を立てるは又須らく先ず巽方の水を防ぐべし。甲向癸向は艮方を見るを怕れ、艮向は甲癸に遇うも亦禍事炎炎なり。干向は辛壬を見るを不吉と爲し、辛壬向を立てるは則ち水の干方に流向するを怕る。
八曜殺水,又名水中八殺:甲向忌水流寅去,乙向忌水流辰去,丙向忌水流午去,丁向忌水流未去,庚向忌水流申去,辛向忌水流戌去,壬向忌水流亥去,癸向忌水流丑去。詩云:甲怕流寅乙怕辰,丙午丁未要傷人,庚申辛戌宜當避,壬亥癸丑是凶神。又云:丙丁辛向忌寅流,壬癸逢蛇乙向牛,庚向逢申甲向亥,也教人犯配他州。亦名八向曜水,主凶。
第四款「八曜殺水」、又水中八殺と叫ぶ。專ら去水を忌む。甲向を立てるは水の寅方より流走するを忌み、乙向を立てるは水の辰に流向するを忌み、丙向を立てるは水の午に流向するを忌み、丁向を立てるは水の未に流向するを忌み、庚向を立てるは水の申に流向するを忌み、辛向を立てるは水の戌に流向するを忌み、壬向を立てるは水の亥に流向するを忌み、癸向を立てるは水の丑に流向するを忌む。歌訣は説く。甲向は水の寅に流るるを怕れ、乙向は辰に流るるを怕れ、丙向の午・丁向の未は皆人を傷るを要し、庚向の申・辛向の戌は應當に回避し、壬向の亥・癸向の丑は皆是凶神なり。另一首は説く。丙丁辛の三向は水の寅に流るるを忌み、壬癸向は蛇(巳)に遇い・乙向は牛(丑)に遇い、庚向は申に遇い・甲向は亥に遇えば、亦人をして罪を犯して別州に充軍せしめん。此の一款も亦八向曜水と叫ぶ。總めて凶を主る。向を立てて後は必ず先ず水口のどの一字に落ちるかを看て、触著すれば即ち須らく向を改むべし。
桃花水,一名咸池水,一名娥眉水:卯酉乃太陰出入之門戶,朔後晦前,其光狀如娥眉,亦嬌嬈之象,故主淫慾。子午以與卯酉為四正耳。陽局忌見卯酉二水破局,主淫。若壬子癸龍有午水朝,主驟發,以離壬配納,水制火伏而吉矣。離龍子水朝,雖發福必淫亂。蓋純卦不配,龍受坎制故耳。陰局子午二水破局,主淫。若庚辛陰龍見卯水朝,主大發。蓋乾卦相配,金制水伏故爾。震山兔水,縱吉必淫,以純卦不配,而龍受金制,故凶。
第五款「桃花水」、又咸池水・娥眉水と叫ぶ。卯・酉の兩位は月亮の出入する門戶、初一の後・月底の前に、月光の形は美人の蛾眉の如くして、是れ嬌媚の象。故に淫慾を主る。子・午の兩位は則ち卯酉と同じく四正の位と爲るに因って竝論す。陽局に屬するは卯・酉の兩方の水の本局を冲破するを忌みて、淫亂を主る。然れども若し是れ壬子癸の一路の龍にして午水の來朝あるは、反って驟發を主る。離と壬と納甲に按って相配し、水は能く火を制して火氣は伏して吉と爲るを以てなり。反って離龍にして子水の來朝を見れば、雖も福を發する能くするも、家中は必ず淫亂あり。此れは同じく純卦にして配偶を成さず、而して龍は又反って坎水の制する所を受くるを以てなり。陰局に屬するは子・午の兩方の水の局を破するを忌みて、淫を主る。然れども若し庚辛一路の陰龍は卯水の來朝を見れば、反って大發を主る。干卦の之に相配し、金は能く木を制して水氣は伏して吉と爲るを以てなり。震山を立てて兔(卯)水を見るに至っては、縱然福を發するも亦必ず淫亂あり。同じく是れ純卦の配せず、龍は反って金制を受くるの緣故なり。
坎龍離水不宜入酉,謂之游魂桃花水,主淫。賴氏云:“坎龍離水入西兌,淫奔定主期桑中。”風聲水破局者有驗:巽巳水破陽局,主淫亂風聲。賴氏云:“巽巳兼朝破陽局,那堪太乙生堆峰。深閨有女顏如玉,墜胎玷辱春風容。”坤水破陰局,主淫亂風聲。坎離陽朝入陰局,主淫亂風聲。卯水破陽局,主風聲。賴氏云:“卯水特朝主驟發,龍輕砂碎招淫奔。”
另に一條あり。坎龍にして離方の水あれば、此の水は宜しく再び酉方に流入す可からず。あれは「游魂桃花水」と叫び、淫を主る。賴布衣は説く。坎龍の離水は西邊の兌位に流入せば、必定に男女私奔・桑中に約會するの醜事あらん。第六款「風聲水」。本局を冲破するを以てこそ應驗す。巽・巳の水の陽局を冲破するは、淫亂と風流醜聞を主る。賴布衣は説く。巽巳の水は兼ねて朝して陽局を破せば、何況太乙(巽)方は又堆阜の峰を生出し、深閨の中の女兒は容顔玉の如しも、卻って墮胎に因って彼女の春風の如き容色を玷辱せん。坤方の水の陰局を冲破するも、亦淫亂醜聞を主る。坎・離の陽水は陰局に朝入するも、同じく淫亂醜聞を主る。卯方の水の陽局を冲破するも、亦風聲を主る。賴布衣は説く。卯水の專程に來朝するは本は驟發を主るも、然れども若し來龍の輕薄・砂形の破碎せば、便ち私奔の醜を招來せん。
離鄉水破局者有驗:離水、壬水、寅水、戌水。離者,離去之義也,故主離鄉遠去。壬寅戌皆隸於離,故亦如之。凡四宮見水來去,吉地則主離鄉而富貴,凶地則主移徙逃竄。
第七款「離郷水」。同じく本局を冲破するを以てこそ應驗す。離方・壬方・寅方・戌方の水を指す。「離」の字は本身便是離去するの意思。故に離郷遠去を主る。壬・寅・戌の三位は納甲三合の上に皆離卦に隸屬す。故に應驗も亦離水と一樣なり。凡そ此の四宮に水の來るか水の去るかを見るに、若し本身是れ吉地ならば、家鄕を離開して外に在りて富貴するを主り、若し是れ凶地ならば、便ち擧家遷徙・四處逃竄を主る。見るべし、同一種の水にして、吉凶の方向は地の本質より決定す。水は只だ「離郷」の此の一件事を決定するのみ。
回祿水,回祿者火神之名也:午水兼丙,寅午戌三方水,乙辰水破陰局。離為陽火,丙為陰火,二宮之水兼朝溷雜,必主火災。若單朝則不忌。寅午戌三合火局,若俱有水朝入,或凹缺風吹,或水從而出,皆主火災。乙辰水來去破陰局,謂之帶殺火,主火災。
第八款「囘祿水」。囘祿は火神の名字なり。指す所は、午方の水は又丙方を兼帶し、寅午戌の三方に皆水あり、および乙・辰の水の陰局を冲破するなり。離位は陽火、丙位は陰火にして、此の兩宮の水は一同に來朝して混雜すれば、必ず火災を主る。若し只だ其の中の一方の單獨に來朝するは、便ち忌まず。寅午戌は三合の火局にして、若し此の三方に皆水の朝入あり、あるいは三方に凹口缺風ありて灌り入り、あるいは水は又此の三方より流出すれば、皆火災を主る。乙・辰の水は一來一去して陰局を冲破するを、「帶殺火」と叫びて、亦火災を主る。
按賴氏《催官篇》云:“游魂陰樞水併入,寅午戌歲燒天紅。葬法多注兌亥氣,回祿受制應潛蹤。”蓋游魂午也,陰樞丙也。二水兼入,名曰天地陰陽火,必主火災,其應多在寅午戌火旺年月。故葬法必於金井中用注之法以制之。須多注兌金以生亥水,又注亥水以控丙午之火,則回祿受制而不能為災矣。今人不識注氣之法,乃有訾議行注為非者,是不知裁成輔相,以斡旋造法之妙也。
二徐の按語は説く。賴布衣《催官篇》は講じ過ぐ。游魂と陰樞の兩路の水は一同に流入して、寅・午・戌の年に到れば便ち滿天紅通に燒かん。下葬の時に多く兌・亥の兩方の氣を注せば、火神は制約を受けて、自然に潛蹤して發せず。此處の「游魂」は午を指し、「陰樞」は丙を指す。兩方の水は兼幷して入るを、「天地陰陽火」と叫びて、必ず火災を主り、應驗するの時は多く寅午戌の此れらの火旺の年月に在り。故に下葬の作法の上に必ず金井(即ち墓穴の壙坑)の中に於て「注氣」の法を用いてそれを制すべし。要として多く兌方の金氣を注して亥方の水氣を生じ、再び亥方の水氣を注して丙午の火氣を控制すれば、此の如くして火神は制を受けて、便ち災と爲る能わず。如今の人は注氣の法を懂らずして、反って注氣を施行するは錯と譏議す。此れは天地を裁成し・萬物を輔相し・人力を用いて造化を斡旋するの妙用を明白せざるなり。
廖金精為吾邑張氏扦陽基於吳園,坐子癸向午丁,而有丙午水朝入,金精知不能免於回祿,乃鑿坑於其方,名曰滅火坑,而注亥注兌以制之。囑曰:“自此君家永絕回祿之災。”但戒火坑不可填塞。張氏守其戒,五百餘年無火災。嘉靖壬戌,偶塞火坑,未旬日而災百餘舍,所災之處,正與坑所塞者相值,而塞未及者,則截然反風滅火。符應如此,蓋見地理之妙,而控制之術亦神矣哉!此予目擊其事,謹述以告明者。
此處に一件の親歷の事あり。宋代の廖金精は我らの縣里の張氏の爲めに吳園に於て一處の陽宅基地を相中して、子癸に坐し・午丁に朝す。而して丙午方に偏に水の來朝あり。廖金精は此の家の火災を躲過す能わざるを知りて、便ち丙午のあの一方に於て一箇の坑を鑿りて、「滅火坑」と名取りて、竝びに亥方と兌方の氣を注入して以てそれを制す。臨去に囑咐して曰く。此れより以後、貴家は永遠に火災を斷絶せん。只是再三に告戒す。此の火坑は絶に填塞す可からず。張氏は此の一條の戒律を守りて、五百多年に火災無し。嘉靖壬戌年に到りて、偶然に火坑を填塞して、十天に到らずして便ち一百多間の房屋を燒掉す。而且起火の地段は、正好に填塞する所のあの一段の坑と相對應し、凡そ填到らざるの地段は、火はそこに燒到れば便ち截然として頭を掉し・風回りて火滅す。應驗すること此の如く分毫差らず。見るべし、地理の妙、而して控制の術も亦真に神奇なり。此の事は我の親眼の見る所なり。謹んで記して以て明達の士に告ぐ。
鰥寡水破局者驗:乾水破局、坤水破陰龍者是。幹為老陽,坤為老陰,皆亢極無生成之義,故主鰥寡,甚則絕嗣。乾水尤可畏,坤水稍次之。乾水破陰局,主出鰥夫、痼疾、橫逆。賴氏云:“陽璣來去跛能履,鰥寡繼贅人無蹤。”坤水破陰局,主出寡母、淫風,家多少亡。兼未水,主寡母私於僧道,及出尼姑和尚。亦須兼砂斷之。賴氏云:“玄戈洋洋入冢宅,高堂紅粉悲無窮。掀裙獻花砂共位,媍女不潔招淫風。若有圓峰缽盂樣,或出尼姑並和尚。”
第九款「鰥寡水」。本局を冲破するを以てこそ應驗す。干方の水の局を破り・坤方の水の陰龍を冲破するを指す。干は老陽、坤は老陰にして、皆是亢極にして生成の義無し。故に鰥夫寡婦を出すを主り、嚴重なるは甚至絶嗣す。其の中の干水は尤其に可畏にして、坤水は稍次の一等なり。干水の陰局を冲破するは、鰥夫・痼疾と横逆の人を出すを主る。賴布衣は説く。陽璣(干)の水は一來一去して、家中に跛脚にして勉强に行走する能うの人を出し、鰥寡と承繼入贅の事は接連不斷、終に人蹤斷絶に至る。坤水の陰局を冲破するは、寡母を出すを主り、淫風あり、家中は早亡多し。若し再び兼ねて未方の水あれば、寡母の僧道と私通するを主り、竝びに尼姑和尚を出す。此れらは還お砂形と合看してこそ斷定す能くし。賴布衣は説く。玄戈(坤)の水は洋洋として墳宅に灌入して、堂上の婦人は悲傷無窮。再び掀裙・獻花の一類の砂ありて同在に此の一位あれば、婦女は便ち貞潔ならずして淫風を招來す。若し圓峰ありて形は鉢盂の如くば、便ち尼姑と和尚を出さん。
癆瘵水:乙辰水破局、未坤水破局、幹戌水破局。凡四墓龍脈,及入懷尖射惡砂,或凹風吹穴,朝水破局,主癆瘵,極凶。不破局者無妨。少亡水:辰水破局、戌乾水破局、坤申水破局。賴氏云:“亢婁辰戌流注非吉地,少亡悖逆無忠貞。”又云:“坤水洋洋入冢宅,高堂紅粉悲無窮。”
第十款「癆瘵水」。乙辰の水の破局・未坤の水の破局・干戌の水の破局。凡そ四墓一路の龍脈、あるいは尖利の惡砂ありて直に懷に射入り、あるいは凹口の風ありて穴上に吹到り、再加朝水は本局を冲破せば、便ち癆瘵の疾を主り、極めて凶險なり。若し竝びに本局を冲破せざれば、則ち妨事ならず。第十一款「少亡水」。辰方の水の破局・戌干の水の破局・坤申の水の破局。賴布衣は説く。亢宿(辰)婁宿(戌)の此の辰戌兩路の水流は注りて進み來れば、便ち吉地に非ず。少年夭亡・子弟悖逆にして忠貞の氣無きを主る。又説く。坤方の水は洋洋として墳宅に灌入せば、堂上の婦人は要として悲傷無窮ならん。
痼疾水:寅甲水破局,主瘋跛殘疾,盲目跎背。辰水破局,主缺唇露齒,喑啞耳聾。壬癸水破局,主腫脹落水,自縊血崩。戌乾水破局,主喑啞、盲聾、瘋跛。午水破局,主瞎眼。辰戌丑未四水破局,主痼疾橫逆。
第十二款「痼疾水」。逐位に分應す。寅・甲の水の本局を冲破するは、瘸跛殘疾・瞎眼駝背の人を出すを主る。辰方の水の破局は、缺唇露齒・啞口聾耳を主る。壬・癸の水の破局は、浮腫脹滿・水に落ちて淹溺し、以及上弔自縊・婦人血崩を主る。戌・干の水の破局は、啞・盲・聾と瘸跛とを主る。午方の水の破局は、瞎眼を主る。辰・戌・丑・未の四墓の水は一齊に破局せば、久病不愈の痼疾と忤逆横暴とを主る。凡そ此れは皆「破局」を以て前提と爲す。水は雖も此れらの方位に在るも、只だ本局の陰陽純氣を冲破せざれば、便ち此の斷を作さず。
刑戮水破局者有凖:坎龍見辰巽水,坤龍見卯水,震龍見坤申水,離龍見亥水,幹龍見丙午水,巽龍見酉水,艮龍見寅甲水,兌龍見巳水。即八山曜水,主遭刑戮。凶者多致全家誅戮,縱吉地亦主遭刑,或遭盜殺,或戰陣而亡,至驗。不破局者無驗。
第十三款「刑戮水」。本局を冲破するを以て最も準驗あり。坎龍は辰・巽の水を見、坤龍は卯水を見、震龍は坤・申の水を見、離龍は亥水を見、干龍は丙・午の水を見、巽龍は酉水を見、艮龍は寅・甲の水を見、兌龍は巳水を見れば、此れは便ち前面の第一款の説く所の八山曜水、刑戮を遭受するを主る。凶の多きは全家の誅せらるるに至り、縱然是れ吉地なるも、亦家人の刑を受くるを主り、あるいは盜賊に殺害され、あるいは戰陣に死す。極めて應驗す。若し曾て本局を冲破せざれば、便ち此の應を作さず。同一組の水は此處に再び一度出づるは、八曜は專ら刑殺を主るを以て、特に標出して以て警戒を示すなり。
下獄水:午水破陰局,辰戌水破陰局。天獄星照午而貴人不臨辰戌,故此三水破局,主遭囚禁。若更有砂如獄如枷,或路繞如鎖,臨此三位,尤凶,主囹圄死。夭橫水:辰水破局、戌水破局。辰戌為天羅地網,故二水破局,主凶惡夭橫,粉身碎骨之慘。
第十四款「下獄水」。午方の水の陰局を冲破し、辰・戌の水の陰局を冲破す。天獄星は午位を照臨し、而して天乙貴人は辰戌の兩位に到らざるを以て、故に此の三方の水の破局は、牢獄に囚禁せらるるを遭うを主る。若しあの三方に還お砂形ありて牢獄の如く・枷鎖の如く、あるいは道路の盤繞して鐐銬の如くば、凶險は更甚にして、獄中に死するを主る。第十五款「夭横水」。辰方の水の破局・戌方の水の破局。辰は天羅・戌は地網にして、兩位は陷困を主る。故に此の兩方の水の破局は、凶惡横死を主りて、粉身碎骨の慘禍あり。
惡死水:癸水破局,主溺,主藥毒。甲水破局,主縊,主木石壓。午水破局,主牢囚,主火燒。丑水破局,主刀兵,主刑戮。申水破局,主陣亡,主水渰。乙辰破局,主木壓,主水渰。乾水破局,主石壓,主誅戮。寅水破局,主虎咬,主湯火。巳水破局,主蛇咬,主自縊。
第十六款「惡死水」。方位に按って分別に不同の死法に應ず。癸方の水の破局は、淹死を主り、あるいは藥毒に中りて死す。甲方の水の破局は、上弔を主り、あるいは木石に壓死せらる。午方の水の破局は、牢獄に死するを主り、あるいは火に燒死せらる。丑方の水の破局は、刀兵に死するを主り、あるいは刑戮に遭う。申方の水の破局は、陣亡を主り、あるいは水に淹れらる(「渰」は「淹」と同じ)。乙・辰の水の破局は、木に壓せらるるを主り、あるいは水淹に遭う。干方の水の破局は、石に壓せらるるを主り、あるいは誅戮に遭う。寅方の水の破局は、虎に咬まるるを主り、あるいは滾湯烈火に死す。巳方の水の破局は、蛇に咬まるるを主り、あるいは自縊して死す。取象は皆各方位的の五行物類より來る。
軍配流移水:午水、寅水、癸水、辰水、庚申水。凡此數水破局者必主遠配,輕則徙竄。盜寇水破局者驗:乙辰水、辛戌水、寅申水、丑癸水、未坤水。吉地常遭盜寇,凶地常出盜寇。
第十七款「軍配流移水」。午方の水・寅方の水・癸方の水・辰方の水・庚申の水。凡そ此の幾種の水の本局を冲破するは、家人は必ず發配充軍して遠方に至るを遭い、輕一点のも亦要として遷徙流亡す。第十八款「盜寇水」。本局を冲破するを以て應驗す。乙辰の水・辛戌の水・寅申の水・丑癸の水・未坤の水。若し本身是れ吉地ならば、家中の常に盜賊に搶劫せらるるを主り、若し是れ凶地ならば、則ち自家の盜賊を出すを主る。同樣の水にして、地の吉凶に因って分作して受害と爲害との兩種の應驗と爲す。
乞丐水:辰水破局、戌水破局。二水直去,無砂收攔,穴向順去,主乞丐。屠宰水:辰戌丑未水交流,此四殺水,縱吉亦不過屠宰而已。
第十九款「乞丐水」。辰方の水の破局・戌方の水の破局。此の兩方の水は若し筆直に流去して、又砂山無くして下手に收攔關鎖し、而して穴の坐向は恰好に又水の去る方向に順れば、家道敗落して沿門に乞討するに至るを主る。言う所の「順去」は、向首と水流との同一方向を指し、氣は水に随いて泄れて收無し。第二十款「屠宰水」。辰・戌・丑・未の四方の水は交錯匯流して、此れ便是四殺水。縱然地本身は吉なるも、出す所の人も亦不過宰牲屠戶一流而已なり。
螟蛉水:乙水、卯乙水、乙辰水、辛戌水、乾水。賴氏云:“天官來去招繼贅。”又云:“陽璣來去跛能履,鰥寡繼贅人無蹤。”悖逆水:辰水破局、戌水破局。賴氏云:“亢婁流注非吉地,少亡悖逆無忠貞。”
第二十一款「螟蛉水」。螟蛉は抱養の義子を指す。乙方の水・卯乙の水・乙辰の水・辛戌の水・干方の水。賴布衣は説く。天官(乙)の水は一來一去して、家中は要として義子あるいは入贅女婿を招きて承嗣せん。又説く。陽璣(干)の水は一來一去して、跛脚にして勉强に走る能うの人を出し、鰥寡と承繼入贅とは接連して來り、終に人蹤斷絶に至る。第二十二款「悖逆水」。辰方の水の破局・戌方の水の破局。賴布衣は説く。亢宿(辰)婁宿(戌)の水は流注して進み來れば便ち吉地に非ず。少年夭亡・子弟悖逆にして忠貞の氣無きを主る。
妖魅水破局者驗:丑水、未水。鬼牛不正之氣,故主妖魅祟怪。蛇虎水:巳水主蛇傷,寅水主虎咬,破局者是。此亦以其所當而應也。徽州程氏、樂平朱氏二地,皆以虎傷,俱有寅水來也。其課云:“半夜夫妻八百丁。”圖見穴忌卷。
第二十三款「妖魅水」。本局を冲破するを以て應驗す。丑方の水・未方の水。丑は牛金宿に屬し・未は鬼金宿に屬して、皆是不正の氣。故に妖魅の作祟・怪異の事を主る。第二十四款「蛇虎水」。巳方の水は蛇に咬傷せらるるを主り、寅方の水は虎に咬まるるを主る。皆以て本局を冲破するを準と爲す。此れも亦是れ各方位の配する所の物類に按って以て應驗するなり。徽州程氏・樂平朱氏の兩處の墳地は、皆虎に人を傷らるるの事を出過せり。兩地は皆寅方の水の來朝あり。當時の斷語は説く。半夜裏に夫妻と成りて、一家は八百丁なり。圖形は已に穴忌を講ずるのあの一卷に見ゆ。
河汨水:壬子水破局、子癸水破局、庚申水破局、乙辰水破局,此以水局而應也。若破局主水厄。藥毒水:癸水丑水交流並破局者是。賴氏云:“陰光天廚揖冢宅,隨母改嫁忘其宗。少亡毒藥因女禍,兄弟屠戮交相攻。”若見天醫水解之,不忌。
「河汨水」の一款。汨は沉溺の意なり。壬子の水の破局・子癸の水の破局・庚申の水の破局・乙辰の水の破局。此の幾組は皆是水局の屬する所の方位、水氣の過盛に因って應驗す。若し本局を冲破せば、溺水の厄を主る。「藥毒水」の一款。癸方の水と丑方の水と交錯匯流して竝びに本局を冲破するは即是なり。賴布衣は説く。陰光(癸)と天廚(丑)の水とは墳宅に拱揖して、子孫は母に随いて改嫁して本宗を忘れ、少年は婦人の禍に因って中毒して身亡なり、兄弟の間は互相に殘殺す。若し別に天醫方の水ありて來りて化解せば、便ち忌むを必とせず。
瘟疫水:震山戌乾水,艮山未坤水,兌山丑癸水,巽山戌水,離山艮寅水,坎山丙午水,乾山卯水,坤山巳水。墜胎水:子癸水破陰局,巽巳水破陽局。雷驚水:亥卯未三合同見水,主雷驚墓及傷人。震山見亥未二水來去,必主雷驚。賴氏云:“未水來去龍入震,霹靂一聲驚西東。”
「瘟疫水」の一款。震山を立てて戌・干の水を見、艮山を立てて未・坤の水を見、兌山を立てて丑・癸の水を見、巽山を立てて戌水を見、離山を立てて艮・寅の水を見、坎山を立てて丙・午の水を見、干山を立てて卯水を見、坤山を立てて巳水を見れば、皆瘟疫を主る。「墜胎水」の一款。子・癸の水の陰局を冲破し、巽・巳の水の陽局を冲破して、皆婦人の小産を主る。「雷驚水」の一款。亥・卯・未の三合の位は同時に皆水あれば、墳墓を雷擊し竝びに活人に傷及するを主る。震山を立てて亥・未の兩方の水の一來一去を見れば、必ず雷驚を主る。賴布衣は説く。未方の水は來去して龍は震位より入首せば、一聲の霹靂は東西の兩邊を驚動せん。
左道水:未水、丑水。二水為僧道、法師、齋公,縱吉地亦主出人喜為供佛飯僧之事。賴氏云:“鬼牛來去空為吉,唸經寡夭常逢凶。”
「左道水」の一款。未方の水と丑方の水とを指す。此の兩方の水は僧人・道士・法師と齋を喫する居士とを出すを主る。縱然是れ吉地なるも、亦家人の佛を供し僧を齋するの一類の事を喜好するを主り、家財を此の上に耗す。賴布衣は説く。鬼宿(未)牛宿(丑)の水は一來一去して、空しく吉の名目あるも、實際は經を念し佛を誦するの家は常に孤寡夭亡の凶に遇う。此れは前面の「血財水」「色衣水」の斷ずる所と相通ず。見るべし、丑未の兩位は本書の水法の中に始終左道の應と作す。
翻棺覆槨水:戌乾凹風射水,乙辰凹風射水,癸丑凹風射水,未坤凹風射水。有凹缺,又有水沖射,是風送水入,為禍尤緊,故主翻棺覆槨。賴氏云:“四金砂陷風一入,翻棺覆槨人遭殃。”又云:“四金水射風入局,翻棺覆槨災非輕。”
「翻棺覆槨水」の一款。戌干方に凹口ありて風を透し又有水直射し、乙辰方に凹風射水あり、癸丑方に凹風射水あり、未坤方に凹風射水あり。此の四組の特點は、既に凹缺ありて風を灌入せしめ、又水ありて直衝射來るにして、風が水を一起に穴内に送進するに等しく、禍と爲すこと尤其に緊急なり。故に棺槨の掀翻せらるるを主る。賴布衣は説く。四金の砂は低陷して、風は一たび灌入すれば、棺槨は翻覆し・家人は殃に遭う。又説く。四金の方に水射し風は局中に入れば、翻棺覆槨の災禍は絶に輕からず。察看する時は須らく穴心に蹲って、四顧して缺口の有無を看、再び缺口の外は正しく水の來るに對するか否かを看るべし。
樹根穿板水:寅甲水、乙辰水、戌乾水。破局者驗。樹根穿板,亦不拘此,惟龍無氣脈而穴不受風者,必有樹根穿入棺,貫其骸骨,甚為可畏。貫目則主子孫壞目,納耳則聾耳,穿背則發背,穿足則跛足。
「樹根穿板水」の一款。寅甲の水・乙辰の水・戌干の水は、本局を冲破するを以てこそ應驗す。不過樹根の棺板を穿透するの此の件事は、亦此の幾種の水に限らず。凡そ來龍に真の氣脈無くして、而して穴場は又風に當るの地方は、必定に樹根ありて棺内に鑽進し、尸骨を穿貫して、非常に可怕なり。樹根の眼部に貫到れば、子孫は便ち眼を壞し、耳部に進入すれば、子孫は便ち耳聾し、背部を穿過すれば、子孫は便ち背疽を生じ、足部を穿過すれば、子孫は便ち跛足す。此れは本書の形氣感應を以て「地の禍は人に應ず」を解釋するの典型の説法。穴を驗する時は須らく四圍の大樹の方位と距離とを留意すべし。
黃泉浸尸水:乙辰水破局、坤申水破局、壬子水破局、戌乾水破局、寅申水破局。水浸尸骨,亦不拘此,惟龍脈無氣而穴場受風者,雖至高之處,亦有水。水浸尸骨,馴以黑爛,主疾病黃腫,漸以絕人,不但貧賤而已。不破局者非是。
「黃泉浸尸水」の一款。乙辰の水の破局・坤申の水の破局・壬子の水の破局・戌干の水の破局・寅申の水の破局。然れども水の尸骨を浸すも亦此の幾種に限らず。凡そ龍脈に氣無くして穴場の風を受くるの地方は、即使極高の山頭の上に葬るとも、壙内は照樣に水あらん。水は一たび尸骨を浸せば、日久く便ち漸々發黑腐爛して、子孫の疾病・黃疸浮腫を主り、人丁は一点点に斷絶す。不只だ貧賤而已なり。「馴」は漸々の意思なり。若し曾て本局を冲破せざれば、便ち此の一款の指す所の情形に非ず。
蟻螻穿棺水:乙辰、寅甲、甲卯、艮寅、申庚、辛戌、未坤、癸丑、辰巽、坤申、乾亥。俱以龍穴不真者驗。蟻螻穿棺,亦不拘於此,凡斗煞必有蟻。予見徙地有蟻,不但穿棺,年深遠者,並骸盡囓之,極為凶惡。
「蟻螻穿棺水」の一款。乙辰・寅甲・甲卯・艮寅・申庚・辛戌・未坤・癸丑・辰巽・坤申・干亥の諸方の水は、皆要として來龍と穴場との真ならざるを以てこそ應驗す。螞蟻螻蛄の棺木を穿透するも、亦此れらの方位に限らず。凡そ兩氣の相衝して鬭煞するの處は、必定に蟻を生ず。我は親眼に遷葬して起出せるの舊壙の裏に蟻あるを見過せり。不但棺木を穿透し、年代の久遠なるは尸骨を連ねて啃食殆盡せられて、極めて凶惡なり。知る可し、蟻患の根源は龍穴の不真・氣脈の衝鬭に在りて、方位の水は不過其の成形を助くる而已。
