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行軍擇道

明 · 郭载騋(校) · 第17巻 / 56

作盤ガイド: 大六壬起課, 金口訣起課

遇寇途中擇路行,勝光為武休北征。注曰:凡行兵擇路,先看玄武所乘之神。如勝光火玄武乘之,不可向北方水鄉用兵,謂火畏水故也。見木為之忌申酉。玄武乘寅卯不可西征,謂木畏金克也。庚辛南征不宜兵。玄武乘金神不宜南征,金累火克也。水不宜向土,土不宜向木地。玄武畏方為危地。玄武所畏之方為受危之地,不可征進。又《出軍擇道》云:“視日辰行年上神能制玄武,攻賊不敢敵。”軍帥須得會其情。當審五行之情狀。

途中で敵寇に遭い進路を選ぶ時、「勝光」(午)の上に玄武が乗っていれば、北方へ進兵してはならない。原注に曰く:凡そ行軍に路を擇ぶには、まず玄武の乗じる地支の神が何れかを見よ。仮に玄武が勝光・午火の上に乗ずれば、北方・水に属する地境に向かって兵を用いてはならない。火は水を怕れるからである。玄武の乗ずる所が木に属すれば、申・酉の方を忌むべきである。玄武が寅・卯の木に乗ずれば、西へ征討してはならない。木は金に克されることを怕れるからである。玄武が庚・辛の類の金神に乗ずれば、南へ兵を用いるべからず。金は火に克制されるからである。同様に、玄武が水神に乗ずれば土の方へ行くべからず、土神に乗ずれば木地へ行くべからず。要するに玄武の畏れる方位が即ち我軍の危地であり、そこへ向かって進軍してはならない。また《出軍擇道》に曰く:「日干・日支と主将の行年の上の神を看よ。若し玄武を制伏し得れば、敵を攻めるに敵は敢えて抵当せず。」将帥たる者は必ずその理を体し、五行生克の情状を詳しく審察すべきである。

軍行擇路實多途,更以陰陽作歲模。亥卯未、巳酉丑為陰歲,申子辰、寅午戌為陽歲也。陽歲大吉來加上。陽年以丑加陽歲君。陰歲還將小吉鋪。陰歲以未加陰歲君,俱順行。丙壬之下為人道。丙屬巳,壬屬亥,天罡巳亥所臨之下為人道。甲庚之下是天居。即天盤寅申下是天道也,宜往之。

行軍に路を擇ぶには本来門路が多く、また年支の陰陽により別に一つの格局を立てる。亥・卯・未と巳・酉・丑は陰年に属し、申・子・辰と寅・午・戌は陽年に属する。陽年に逢えば「大吉」(丑)を加え、即ち丑を当年の年支の上に加える。陰年に逢えば「小吉」(未)を鋪き、即ち未を当年の年支の上に加える。両者とも順行の方向に十二神を排布する。丙・壬の両干の寄せる下が即ち「人道」である。丙は巳に寄り、壬は亥に寄る。天罡(辰)が巳・亥の下の位置に落ちるのが人道である。甲・庚の両干の寄せる下は則ち「天居」で、即ち天盤の寅・申の下を天道とし、これらの方向へ行軍するに宜しい。

察賊所在

聞賊未知賊所在,加時春乙夏居丁。乙干寄辰官,丁干寄未宮。秋辛冬癸名天目。辛干寄戌宮、癸干寄丑官。賊當在下伏其形。聞賊以月將加時,視天目所加之方,賊在其下。天目者,春辰、夏末、秋戌、冬丑是也。春占占尋辰,餘仿此。

敵有りと聞いても敵の在処を知らぬ時は、月将を占時に加臨して天盤を排出する。春は乙を看、夏は丁を看よ。乙干は辰宮に寄居し、丁干は未宮に寄居する。秋は辛を看、冬は癸を看よ。この几位を合わせて「天目」と称す。辛干は戌宮に寄居し、癸干は丑宮に寄居する。敵は即ち天目の臨む下に潜伏する。敵訊を聞いたら、月将を占時に加えて天盤を転出し、天目が何れの方に落ちるかを看れば、敵はその下に蔵れている。所謂天目とは、春は辰、夏は未(原文は「末」と作る)、秋は戌、冬は丑である。春に占問すれば辰を尋ね、残りの三季もこれに類推する。

途中前後疑逢寇,大吉所臨知賊程。丑為大吉,月將加時,大吉臨處即知賊駐向。臨於子午太沖下。丑臨子午,賊在卯下。若加辰戌伏登明。丑加辰戌,賊在亥下。寅申定是居參宿。參者,申中宿也;丑加寅申,賊在傳送下。丑未必應藏軫星。大吉加丑未,賊在巳下,軫者,巳中宿也。卯酉河魁下潛伏。大吉加卯酉,賊在戍下。巳亥還在大吉停。丑加巳亥,賊在丑下。帶刑旺相難沖擊。在處或刑日辰,或旺相不可攻擊。設法抽軍別路行。既不可擊,當卜吉路而行也。

路上で前後に敵あらんことを疑えば、「大吉」(丑)の臨む処を看て敵の行程を推し断ずる。丑は即ち大吉である。月将を占時に加えて天盤を転出し、大吉が何処に落ちるかを看れば、敵の駐屯する方向を知る。大吉が子或いは午の上に落ちれば、敵は卯位の下に在る。大吉が辰或いは戌の上に加われば、敵は登明(亥)の下に伏す。大吉が寅或いは申の上に加われば、敵は参宿の在る処に——参は申宮の星宿ゆえ、敵は伝送(申)の下に在る。大吉が丑或いは未の上に加われば、敵は軫星の下に蔵る——軫は巳宮の星宿ゆえ、敵は巳の下に在る。大吉が卯或いは酉の上に加われば、敵は河魁(戌)の下に潜伏する。大吉が巳或いは亥の上に加われば、敵は仍お丑位の下に止まる。若し敵の在る処が刑煞を帯び、或いは旺相の気に値えば、正面から衝き難い。或いは我が日干日支を刑克し、或いは気勢が方に盛んで、いずれも強攻すべからず。この時は軍を撤して別に一路を行くべく設える——打つべからざる以上、まず吉道を占い出してから行軍すべし。

賊近我軍推前後。出兵臨敵,不知賊在前後,或陰有諜間,不可不占也。加時占測用防奸。以月將加時,方知敵奸,便於進退也。巳申子卯臨支後。巳申子卯四神,內有一神臨支辰者,賊在我後,當反營以待之。立在干頭已去前。上四神有一神加在干上,賊在前,去當備前;不臨支干,前後無賊。干若居支寇當道。日干加辰上,主賊正當要路也。支若居干隨我軒。辰加日干,主賊隨我後來,急宜回營以待之。

敵が我軍に逼る時、彼が前に在るか後に在るかを推し断ずべし。兵を出して敵に臨み、敵が前に在るか後に在るかを知らず、また暗中に遣わされた間諜の有無を知らざれば、一課を占わざるを得ない。月将を占時に加えて測算するのは、正に姦細を識破せんがためである。巳・申・子・卯の四神が日支の上に臨めば、敵は我軍の後方に在る。この四神の中、一位でも日支に落ちれば、敵は我が背後に在り、営塁を掉転してこれを待つべし。若しこの四神が日干の上に落ちれば、敵は前方に在り、開拔の時は前を防備することに意を加えよ。若し四神が日干にも日支にも臨まざれば、前後ともに敵なしである。日干が日支の上に加われば、敵寇は正に要道に当たって遮る。日支が日干の上に加われば、敵は我が車駕に尾行して来る。急いで営に回ってこれを待つべし。

恐寇埋伏軍要程。若欲行程,恐有伏兵,以月將加時占之。支干上訣最靈通。干支手上一訣鬼神通其靈應。巳申子卯支干伏。四神有一神加臨支干者,是為鬼神通其吉凶。敵寇奸邪布伏兵。即知敵寇有伏兵,宜謹防之。四字不臨,無伏兵。

敵寇が我が行軍の要道に伏を設くるを憂う時も、この法を用いる。若し開拔して路に上らんとし、伏兵あるを怕れば、月将を占時に加えて一課を占え。日干・日支の上のこの口訣は最も霊験あり、掌上に一推すれば鬼神も皆霊応を顕わす。巳・申・子・卯の四神が日干日支の上に伏せば——この四神の中、一位でも干支に加臨すれば、即ち鬼神が汝に吉凶を透かし告ぐるもの——それは敵寇が姦詐にして已に伏兵を布いたりと説明する。謹んで提防すべし。若しこの四字が一つも干支に臨まざれば、伏兵なしである。

旺相帶刑逢必戰。旺者,春占得卯,夏占得巳,秋占得申,冬占得子。相者,春火,夏土,秋水,冬木,季金是也。刑者,子卯刑之類。逢旺帶刑,必戰。休囚空亡不敢徵。休者,春水,夏木,秋土,冬金,四季火。囚者,春金,夏水,秋水,冬土,四季木是也。空亡者,甲子旬戌亥空,餘仿此。若逢此,我不敢戰,宜固守。

占う所の神が旺相の気を得て且つ刑を帯びる時、逢えば必ず開戦す。所謂旺とは、春の占に卯を得、夏の占に巳を得、秋の占に申を得、冬の占に子を得ること。所謂相とは、春は火を相とし、夏は土を相とし、秋は水を相とし、冬は木を相とし、四季の月は金を相とすること。所謂刑とは、子が卯を刑する類の如し。旺相に逢い且つ刑を帯びれば、両つながら相激し、必ず戦事を起こす。反って、休・囚の地に落ち或いは空亡に値えば、敢えて出征せず。所謂休とは、春は水休み、夏は木休み、秋は土休み、冬は金休み、四季の月は火休む。所謂囚とは、春は金囚われ、夏は水囚われ、秋は水囚われ、冬は土囚われ、四季の月は木囚わる。所謂空亡とは、甲子の一旬の中に戌・亥の二支が空となり、残りの各旬はこれに類推す。これらの情形に遇えば、我方は敢えて出戦せず、堅く守るべし。

干傷前伏支傷後。支上神克干並干上神,干受傷,伏兵在我前;干上神克支並支上神,為支傷,賊在我後。支干俱損莫沖驚。若干上神克干,支上神克支,謂支干俱損,前後俱有伏兵,固守吉,戰則凶。

日干が傷を受ければ伏兵は前に在り、日支が傷を受ければ伏兵は後に在る。日支上の神が日干を克し、或いは日干上の神を克するを、日干の傷を受くと謂い、伏兵は我軍の前方に埋められている。日干上の神が日支を克し、或いは日支上の神を克するを、日支の傷を受くと謂い、敵は我軍の後方に埋められている。若し日干日支の両辺とも損を受ければ、軽率に衝撞し驚動してはならない。所謂干支俱に損すとは、日干上の神が日干を克し、日支上の神がまた日支を克し、前後ともに伏兵を布くを謂う。この時は堅守してこそ吉、出戦すれば必ず凶。

抽軍避寇

賊勢憑凌我未強。注曰:若途中逢賊,他強我弱,抽軍迴避。看天罡。以月將加時,看天罡落在何字上,以避其強猛。繫孟直須從右隱。辰為天罡,如加寅申巳亥之孟神,從右道隱而避之,吉。仲季回軍向左藏。子卯午酉為四仲,辰戌丑未為四季,天罡加此八神之一位者,向左藏之無咎。

敵勢が人を陵して我方が未だ強からざる時は、軍を撤して回避すべし。原注に曰く:若し途中で敵に碰え、彼強く我弱ければ、隊伍を撤して避けよ。避くる方向は天罡を看よ。月将を占時に加えて天盤を転出し、天罡(辰)が何れの字に落ちるかを看て、これにより敵の強猛の勢いを躲かる。天罡が四孟の位に落ちれば、右より隠れ去るべし。辰は天罡、若し寅・申・巳・亥のこの四つの孟神に加臨せば、右路より隠蔽躲避すれば吉を得る。天罡が四仲・四季の位に落ちれば、軍を左に向けて蔵すべし。子・卯・午・酉は四仲、辰・戌・丑・未は四季、天罡がこの八位の中の何れか一位に加われば、左に隠蔵するに過ちなし。

從魁小吉太沖地。酉為從魁,未為小吉,卯為太沖。此三神者,為天之三門,再為除定開危,是天門地戶庇護。天上加臨逃難方。以月將加時,看天盤卯酉未三字落在何方,向之可以避難也。如遇旺方,不可駐,春不宜東,餘仿此。

「従魁」「小吉」「太冲」のこの三処は難を避くる好地方である。酉を従魁と叫び、未を小吉と叫び、卯を太冲と叫ぶ。この三位の神を合わせて天上の「三門」と称す。若し更に建除十二値の中の除・定・開・危の四位に逢えば、即ち天門地戸が庇護しているので、最も穏妥である。天盤上にこの三つの字が何れの方に加臨するかを看れば、そこが逃難して往くべき方向である。月将を占時に加えて天盤を転出し、卯・酉・未の三字が何方に落ちるかを看て、そこに向かって走れば難を避くるを得る。但し当令の旺気の方位に碰えば、駐紮すべからず——譬えば春は木旺なれば、東へ走るに宜しからず、残りの各季もこれに類推す。

渡關覘賊

見賊行程渡彼間。兩國相戰,不知彼情虛實,差人越渡,間以覘之。行年歲月日沖難忌。去人行年並太歲、月建、日、時沖破之方,不可去。將軍與去人行年相沖亦同。訣曰:“凶不凶,視破沖”也。

敵の行止路程を探り明かさんとすれば、人を渡越させて相手の境内に入れねばならない。両国交戦し、相手の虚実を摸し清め難ければ、人を差遣して境を越え潜入させ、間諜として窺探せしむ。人を遣わすに最も忌むのは、往く所の方位が行年・太歳・月建・日辰と相冲する時である。凡そ派出する人の行年、および太歳・月建・日・時と相冲破する方位は、皆前往すべからず。主将の行年が派出者の行年と相冲すれば、同じく派遣すべからず。口訣に曰く:「凶か凶ならざるかを断ずるには、破と冲の有無を看よ。」

支干上將休囚惡。如春三月差人,日辰上見水神將,謂之休;見金神,謂之囚,逢此不可往,主凶。旺相相生去即安。若秋三月,辰上見金神將,謂之旺;見水神將,謂之相。逢見旺相,渡關即安矣。

日干・日支の上に乗ずる天将が休・囚の地に落ちれば、即ち悪兆である。譬えば春季の三箇月の間に人を遣わし、日干日支上に水に属する神将を見れば、水は春に休たり。金に属する神将を見れば、金は春に囚われたり。この両種の情形に碰えば皆前往すべからず、凶を主る。反って、旺相の気を得て且つ日辰と相生せば、往けば平安である。譬えば秋季の三箇月、日支上に金に属する神将を見れば、金は秋に当たって旺たり。水に属する神将を見れば、水は秋に相たり。旺相の気に遇えば、關を渡り卡を過ぐるに平安無事である。

占賊来否

賊欲相凌切要知,游都作限用占之。游都甲己當在丑。注曰:甲己二日丑為游都,以月將加時尋丑,餘仿此。乙庚在子丙辛箕。乙庚二日子為游都,丙辛二日寅為游都,箕者是寅中宿也。丁壬居巳言非謬。丁壬二日巳為游都。戊癸向申更莫疑。戊癸二日申為游都。

敵が来て侵犯せんとする時、最も緊要なのは先に知ること、これに就て「游都」という神煞を用いて期限を划定して占算す。游都は甲日・己日に丑の上に落ちる。原注に曰く:甲・己の両日は丑を游都とし、月将を占時に加えて天盤を転出して丑の位置を尋ね、残りの各日もこれに類推す。乙日・庚日の游都は子に在り、丙日・辛日の游都は箕に在る。乙・庚の両日は子を游都とし、丙・辛の両日は寅を游都とす。箕は寅宮の星宿ゆえ、箕を以て寅に代指す。丁日・壬日の游都は巳に居る、この話は虚謬に非ず。戊日・癸日の游都は申に向かう、更に疑うに及ばず。

游都伏日今將到。假如甲午日占,以月將加時,如丑加本日甲,謂游都伏日,主賊今日來。如丑加午支亦然。前支一日在明期。如游都加支前一神,賊明日來也。二三依次須防禦。如游都加支前二神,第二日賊來;加支前三神,第三日來也。若臨前四不侵圍。游都臨前四辰,主賊過去不來也。

游都が本日の干支の上に伏せば、敵は今天到らんとす。譬えば甲午日に占問し、月将を占時に加えて天盤を転出し、若し丑(甲日の游都)が恰好日干甲の寄せる宮位の上に加われば、これを「游都伏日」と謂い、敵が当天来るを主る。丑が日支午の上に加わるも亦た同じ。游都が日支の前一位に落ちれば、敵は明日到る。游都が日支の前面の第一位神に加われば、敵は第二天に到る。前第二位・第三位に落つるは、次を以て備防すべし。游都が日支前の第二位に加われば第二日に敵来、前第三位に加われば第三日に敵来。若し前面の第四位に落ちれば、敵は便ち来て囲攻せず。游都が日支前の第四辰に臨めば、敵が旁より過去し来て相犯らざるを主る。

游都旺相支干畏。假如春三月丙辛日占,寅為游都,是旺;丁壬日占,巳為游都,為相;加本日干支,占賊勢甚強,是為畏也,宜避之則吉。賊勢憑凌難守持。游都旺相主賊必來,勾陳克游都賊亦敗,不然主難守禦,宜急避之方可也。

游都が旺相の気を得て且つ日干日支の上に加われば、それは我方の畏るる所である。譬えば春季の三箇月の間に丙日・辛日に占問すれば、寅は游都、春は木旺なれば游都は便ち旺に当たる。丁日・壬日に占問すれば、巳は游都、春は火を相とすれば游都は便ち相気を得る。かかる游都が更に本日の干支の上に加われば、敵勢極めて強く、正に畏るべきの象を説明し、避くるが吉なり。敵勢は人を陵し、我方は守持し難し。游都旺相なれば敵人の必ず来犯するを主る。この時若し勾陳の来て游都を克制する有れば、敵は仍お敗る。然らざれば守御し難く、急いで回避してこそ行け。

游都和處喜降卒。游都落處上下相生,必有降卒。畏下難侵大戰時。游都臨所畏之方,主彼、父子不相親,中外不相信,賊不敢侵,我應大戰,我勝彼負。若以游都臨受制之方為彼勝,則謬矣。

游都が臨む位と相和する処に落ちれば、喜ぶべきは敵兵の来て投降する有るを。游都の落つる処の上下の神支が相生せば、必ず降卒有り。游都がその畏れ・克制を受くる方位に落ちれば、敵の内部は和せず、大戦の際に在りても敢えて来犯さず。この時敵営の裡に父子相親しまず、中枢と外将が互いに信任せず、故に敵は進犯を敢えてせず。我方は大戦を発動すべく、我勝ち敵敗る。若し人の游都の受制の方に臨むを反って敵勝と解する有らば、大錯特錯なり。

居在東南災稍重。若游都屬木火加東方猛烈兮堅城壘,居西兮速備關津,為得相氣也。臨之西北禍當微。游都臨西北,其賊遲疑未進,可息兵勞士。若臨北方賊歸本家,宜安息。

游都が東方・南方に居れば、災禍は比較的重し。游都が木・火に属して且つ東方に加臨すれば、敵勢格外に猛烈、この時城塁を堅固にすべし。西方に居れば、急いで關口渡口を防備すべし。そこに在って相気を得たればなり。游都が西北に臨めば、禍事は便ち軽微些かなる。游都が西北に落ちれば、敵は遅疑して進むを敢えてせず、我方は兵を休め士卒を犒勞するを得べし。若し游都が北方に落ちれば、敵は已に本国に回り去り、正に安頓休息に宜し。

不見游都視天乙。如游都離日辰遠,謂之不見游都,當視天乙貴人加日辰否。臨日還如都將推。如天乙加日辰,賊亦來;不臨不來也。子辰巳未加今日。子為神后,辰為天罡,巳為太乙,未為小吉,如加今日支干。賊到猖狂疾似飛。主賊來疾而去速也,或半路而回。

若し課の中に游都の消息を看出さざれば、改めて天乙貴人を看よ。游都倘も日干日支を離るること遠ければ、これを「游都を見ず」と謂い、即ち天乙貴人が日干日支に加臨する有無を看るべし。天乙が日に臨めば、仍お游都の弁法に照らして推し断ず。天乙が日干日支の上に加われば、敵は照様来る。加臨せざれば、便ち来ず。子・辰・巳・未のこの四神が当日の干支の上に加われば——子は神後、辰は天罡、巳は太乙、未は小吉——敵人の到来する時は猖狂迅疾にして飛ぶが如し。これは敵の来ること速く去ることも速く、或いは時に半路に走りて便ち折り回りて去るを主る。

占賊去否

傳聞賊去問疑奸。報聞賊去,恐奸媒作誘,不可不占。專尋斗罡繫處占看。注曰:斗者,天罡也。月將加時,天罡落在十二辰何字上。加孟未行加仲發。天罡加孟賊尚在,加仲已發主路行。加季如今向遠山。若天罡加季神,賊己遠去矣。

伝聞に敵人已に撤走せりと聞くに、其の中に詐有らんことを疑い、一課を占うべし。人来りて敵軍退けりと報ずるに、只恐らくは姦細の設けたる誘餌ならん、占わざるを得ず。占法は専ら「斗罡」の落つる何処を看る。原注に曰く:斗は即ち天罡(辰)。月将を占時に加えて天盤を転出し、天罡が十二辰の何れの字に落ちるかを看る。天罡が四孟の位に加われば、敵人は未だ動身せず。四仲の位に加われば、已に出発せり。天罡が孟に加われば敵は尚お原処に在り、仲に加われば已に開拔して路に上りたるを説明す。天罡が四季の位に加われば、敵人は如今遠山に奔向す。天罡が四季の神に加臨すれば、敵人は已に遠く去りたり。

大吉臨干將出界。一法,視大吉臨干,主賊出界,不論天罡。又一法,大吉臨干,賊出界。未到猶自在吾關。如大吉不臨干,不過干,猶在我關住也。

「大吉」(丑)が日干に加臨すれば、敵軍は将に境を出んとす。一法に曰く:只大吉が日干に臨むか否かを看る。臨めば即ち敵の出境を主り、更に天罡を論ずるに及ばず。又一法に曰く:大吉が日干に臨めば、敵人已に界を出たり。若し大吉が未だ日干の上に到らざれば、敵人は就中我が関隘の内に仍お在り。大吉が日干に臨まず、また日干を越過せざれば、敵人が仍お我が関口の裡に拦められて去らざるを説明す。

突圍出處

或被兵圍不須忙。若陡然遇賊圍,不必驚忙,東走西奔,亂撞取害,當凝神以占之。加時出路望天罡。太公曰:“行兵千里,斗到必通。”斗者,天罡也,以月將加時,尋天罡下一宮而可出。若天罡方無路出,可尋三宮時,三宮時者,是亥子丑也。

万一敵兵に囲困せられんも、慌張するに及ばず。若し突然敵の合囲に遭えば、驚惶して乱竄し、東奔西突して胡乱に衝撞するは只自ら其の禍を取るのみ。心神を凝定して一課を占うべし。突圍の出路を尋ねんには、月将を占時に加えて天盤を転出して天罡を望むを用いよ。太公曰く:「兵を行うこと千里、斗柄の至る処に必ず通り得て過ぐ。」斗は即ち天罡。月将を占時に加え、天罡の下に対する其の一宮を尋ね出せば、そこより便ち突出するを得べし。倘若天罡の在る方向に路なく走るべからざれば、別に「三宮時」を尋ねよ。所謂三宮とは、亥・子・丑のこの三位を指す。

若值絳宮申酉地。以月將加時,若亥臨子午卯酉為絳宮,軍宜向天上申酉下出。明堂時往太沖方。子臨子午卯酉,為明堂,宜向天盤卯方出。玉堂宜出天魁下。如遇丑臨子午卯酉,為玉堂,宜向戌字下出,利。若鋒芒人極張。謂軍履險危之地,忽逢豪強之賊,勢雄不可當,向天罡可出,此為人極張也。

若し「絳宮」の格局に碰えば、申・酉の方向より突圍せよ。月将を占時に加えて天盤を転出し、亥が子・午・卯・酉の四正の一に落ちれば、便ち絳宮と叫び、軍隊は天盤の申・酉の対する下の方位に向かって突出すべし。「明堂」に碰えば、太冲(卯)の方に向かって走れ。子が子・午・卯・酉の上に落ちるを明堂と叫び、天盤の卯方より衝き出ずるに宜し。「玉堂」に碰えば、天魁(戌)の下より出ずるに宜し。若し丑が子・午・卯・酉の上に落ちれば、玉堂と叫び、戌字の下に向かって突圍するに利有り。所謂「鋒芒人極張」とは、軍隊が險危の地に身を処し、忽然として豪強の敵に撞上り、声勢雄猛にして抵当すべからざる時、天罡の方向に向かえば便ち衝き出ずるを得るを謂い、この局面を人極張と叫ぶ。

日辰上將相生吉。注曰:傷不傷,視陰陽。若被兵圍,日辰上將神相生者吉。相剋如今有損傷。若日辰上將神戰克,又制日辰,必損傷,用兵者宜審之。

日干日支の上の天将と乗ずる所の神と相生せば、吉を主る。原注に曰く:我方が傷を受けるか否かを断ぜんには、陰陽両課の配合を看るべし。若し敵兵に囲困せられ、日干日支上の天将と神とが彼此相生せば、便ち吉兆なり。若し彼此相克せば、眼下に将に損傷有らんとす。日干日支上の天将と神とが互いに戦克し、而且反ってまた日干日支を克制せば、必ず損傷有る所とす。兵を帯ぶる者は此れに対し仔細審察すべし。

占今日戦否

兩軍相守已經時。謂兩軍相持,安營極久,今朝憂戰。始占之。以月將加時,戰不戰占之,則吉凶可知矣。勾陳剋日刑沖斗。如勾陳乘神剋日辰,又逢刑沖日辰,主戰。刑者,如甲子日勾陳乘卯是也。不克無刑各護持。《經》曰:“斗不斗,勾陳輳;殺不殺,相刑壓。”勾陳有刑則戰,否則不戰。

両軍対峙して已に好些の時を経たり。此れは両軍相持して各々営を安くすること久しく、今天早上に将に開戦せんことを憂うを謂う。于是にしてこそ此の一課を占う。月将を占時に加えて天盤を転出し、今日戦うか戦わざるかを占えば、吉凶便ち知るを得べし。勾陳の乗ずる神が日辰を克し、又刑冲を帯びれば、将に交戦せんとす。若し勾陳の乗ずる神が日干日支を克し、同時にまた日干日支を刑冲すれば、今日必ず戦うを主る。所謂刑とは、譬えば甲子日に勾陳が卯の上に乗ずれば、子卯相刑即ち是れ。若し相克せず且つ刑なければ、両辺は便ち各々営塁を守護し、手を動かさず。《経》の上に曰く:「打つべきか打たざるべきか、勾陳の湊り来るかを看よ。殺すべきか殺さざるべきか、相刑相圧の有無を看よ。」勾陳が刑を帯びれば開戦し、然らざれば便ち戦わず。

大吉小吉支干上。丑為大吉,未為小吉,二神有一神臨支干。兩軍俱解固疆圍。主兩軍俱解不戰也。斗罡加孟須堅守。天罡加孟,宜堅守營壘。加仲相傷彼此疲。天罡加仲不利出軍,急宜謹備。臨季出軍攻擊好。若天罡加季,宜出兵急攻,主大得勝回。得勝名之是順機。是用兵取勝之順機也。

「大吉」(丑)或いは「小吉」(未)が日干日支の上に落つる時——丑を大吉と叫び、未を小吉と叫ぶ。この両位の神、一位でも日干日支に臨めば——両軍は便ち皆囲を解いて兵を罷め、各々疆界を固守す。これは双方とも兵を収めて戦わざるを主る。天罡が四孟の位に加われば、必ず堅守すべし。天罡が孟に加われば、営塁を堅守して出ずるに宜し。天罡が四仲の位に加われば、両辺互いに損傷有り、彼此皆疲憊す。天罡が仲に加われば兵を出すに利せず、急いで謹んで防備すべし。天罡が四季の位に加われば、兵を出して攻撃する最も好し。天罡が若し季に加われば、兵を出して急攻するに宜しく、大勝して回るを主る。此の種の勝を得るを順機と叫び、即ち兵を用いて勝を取る順勢の時機なり。

六害來加年命上。六害者,寅巳、卯辰、丑午、子未、酉戌、申亥是也。若主將行年本命上見六害,再與凶神並者,當日時必敗。此時攻戰自遭刑。遇此刑害,必遭刑傷,為將者不可不審也。白虎若並凶更甚,日辰還忌切須明。日辰上亦不可逢六害白虎也,慎之慎之!《經》曰:“敗不敗,視六害。”

六害が主将の行年・本命の上に加われば、当心すべし。所謂六害とは、寅と巳、卯と辰、丑と午、子と未、酉と戌、申と亥のこの六対の相害なり。若し主将の流年行年と本命の上に六害を見、更に凶神と同じく一位に処れば、当日当時必ず敗北す。此の時出戦せば、自ら反って刑傷に遭わんとす。此の種の刑害に碰えば、必ず傷損を招致す。将たる者は仔細審察せざるべからず。若し更に白虎と同じく臨めば、凶険は就中更に厲し。日干日支の上も亦た同じく忌むべし、此の一点は必ず弄明白にすべし。日干日支の上も亦た六害と白虎に遇うべからず、切々謹慎せよ。《経》の上に曰く:「敗るや敗らざるを断ずるには、六害を看よ。」

戰雄用起春寅勝,夏巳秋申冬亥升。注曰:雄者,乃春寅、夏巳、秋申、冬亥是也。其法專主分主客,雄臨日干客勝,雄臨支辰主勝。對沖為雌值凶惡。注曰:雌者,春申、夏亥,秋寅,冬巳是也。雌臨干客敗,雌臨支主敗。此術標題《龍首》經。昔黃帝得此,乘龍昇天之日,傳於三子,明授龍前,故名曰《龍首經》。

「戦雄」が発用し、春は寅を得れば便ち勝ち、夏は巳を得、秋は申を得、冬は亥を得れば、皆気勢の上昇を主る。原注に曰く:所謂雄とは、春寅・夏巳・秋申・冬亥の此の四位なり。此の法は専ら主客を分弁するに用いる。雄神が日干に臨めば客方勝ち、雄神が日支に臨めば主方勝つ。雄と対冲するを「雌」と叫び、遇えば便ち凶悪なり。原注に曰く:所謂雌とは、春申・夏亥・秋寅・冬巳の此の四位なり。雌神が日干に臨めば客方敗れ、雌神が日支に臨めば主方敗る。此の套の術法は《龍首経》に出ず。昔黄帝之を得て、龍に乗りて天に升るの日に三つの子に伝え、当面して龍の前に授けたり。故に此の書は便ち《龍首経》と叫ぶ。

占定勝否

兩軍交戰誰當勝,主客後先看日辰。先起為客後為主。其法,以日辰分主客,以先起兵為客,後起兵為主。上將明之不陷軍。為將者先明主客,方知勝負。干害支兼上克下。干克支利客,宜先起兵,用得上克下亦然,利客。反宜做主人。干克支上,上克下,利客。支克干,下賊上,是反宜做主人,宜後起兵勝。

両軍交戦して究竟誰が勝を取るを得るかは、主客の先後に按じて日干日支の上より看るべし。先に兵を起すを客と算へ、後に兵を起すを主と算ふ。此の法子は日干日支を以て主客を分つ。先に兵を動かす一方を客と為し、後に兵を動かす一方を主と為す。将たる者此の一層を弄清楚にしてこそ、自らの軍隊を陷没せしめざるに至る。先に誰が主で誰が客かを明白にしてこそ、勝負を判断するを談ずるを得べし。日干が日支を克害し、兼ねて上神の下神を克する有るは、客方に利有り、先んじて兵を起すに宜し。発用に上克下を取るも、同じく客に利す。反っての情形は則ち主人を為すに宜し。日干が日支上の神を克し、上が下を克すは客に利し。若し是れ日支が日干を克し、下が上を克すは、那れ反って主方を為すに宜しく、後に兵を起してこそ勝を取るを得べし。

本將行年宜制虎。主將本命行年克白虎吉,若白虎克主將年命者凶。不然須見克勾陳。如白虎不相剋制,卻宜主將年命克勾陳。如本將年命辰木,勾陳乘土,是克勾陳,餘仿此。

主将の行年は最も白虎を制し住むを得るが好し。主将の本命と行年の神が若し白虎を克し得れば、便ち吉なり。反って白虎が主将の行年本命を克すれば、則ち凶なり。若し白虎と克制の関係を構い成さざれば、就中勾陳を克するを得べきか否かを看るべし。白虎既に相克制せざれば、那れ主将の年命に由りて勾陳を克すべし。譬えば主将の年命が辰に在りて其の気が木に属し、勾陳の乗ずる所は土神、木は能く土を克す、此れを勾陳を克すと叫ぶ。其余は此れに類推す。

勾陳利克賊方神。勾陳克賊方上神,卻能取勝也。賊方之上勾陳立。假若賊在午地而上加勾陳是也。天乙遙能制下神。若天乙貴神屬水,為遙克賊方之午地,而上加勾陳也。遇此名為天滅寇,佑我行師得大名。遇此課是上天欲我威賊,佑助我用兵,發大功,顯著於當時,揚於後世也。

勾陳が能く敵方の在る所の神を克すれば、我に利有り。勾陳が若し敵人の在る方位の上頭の神を克し住めば、我方は便ち勝を取るを得べし。勾陳が正に敵方の上頭に立てば、就更に好し。譬えば敵人が午地に在りて、午の上に恰好勾陳を加えば、即ち此の種の格局なり。天乙貴人は又能く位を隔てて遥かに下の神を制す。假如天乙貴神が水に属し、能く遥かに敵方の在る午火を克し、而して其の午の上に又正に勾陳を加えば、便ち両重の制伏なり。此の如き課に遇えば、「天が寇を滅す」と叫ばれ、上天が我が出師を保佑して我をして名を揚げしむるなり。此の課に碰えば、上天が我が手を借りて敵人に向かって威を示威せんとし、暗中に我を扶助して兵を用い、大功を建立して、当時に顕赫し、後世に芳を流すを説明す。

敵使虚実(伝報通用)

敵有使來看日辰,日上為客辰主人。日干上神克辰土。若日上神克辰上神,其言虛謬不可聞。若是辰上克干上,彼必畏我,言詞真。其言是實可信。朱空太陰日辰上。朱空陰乘日上神,主彼詐,乘辰上神主我詐。彼此欺詐機已深。彼以詐來,我以詐應,其機已深,用兵者宜審也。

敵方が使者を派して来れば、日干と日支を看るべし。日干は客位を代表し、即ち来使の一方なり。日支は主位を代表し、即ち我方なり。若し日干上の神が日支上の土神を克し住めば——即ち日上神が辰上神を克する——那れ使者の説く所の話は虚仮荒謬にして、聴くに値らず。若し反って日支上の神が日干上の神を克するは、敵人必ず我方を畏懼し、講ずる所の話は即ち真実にして、属実にして信ずべし。日干日支の上に若し朱雀・天空・太陰を乗ぜば、此の三将が日干上神に乗ずるは対方の詐を使うを主り、日支上神に乗ずるは我方の詐を使うを主る。両辺彼此欺詐して、機心已に甚だ深し。対方が詐術を以て来れば、我も亦た詐術を以て去りて応付し、用心已に深し。兵を帯ぶる者は仔細に弁察すべし。

敵派使者來我方,或敵有書報送來,取月將加時占之。日干為客為敵,日支為主為我。若日干上神剋日支上神,敵使所言皆虛詐,不可信;若日支上神剋日干上神,為敵畏我,其使所言為實,可信。日辰上乘朱雀、天空、太陰,主敵我雙方皆欺詐。

此の一節は上の口訣を把りて再び申説するなり。凡そ敵人が使者を差遣して我が営中に至らしめ、或いは書信を送りて通報するは、皆当月の月将を取りて占問の時辰に加えて天盤を排出して断ず。其の中に日干は客位に居り、来使の属する敵方を指す。日支は主位に居り、我方を指す。假如日干上に乗ずる神が日支上に乗ずる神を克制せば、来使の講ずるが全て虚仮詐語にして信ずべからずを説明す。假如反って日支上の神に由りて日干上の神を克制せば、那れ便ち敵人が畏懼を心存し、使者の報ずる所は属実にして采信すべきなり。日干日支の上に若し朱雀・天空・太陰の此の三位の口舌虚詐を主る天将を乗ぜば、敵我両辺が共に詐を耍しており、誰の話も全信すべからずを表示す。

劫糧覓水

我軍欲劫糧,大小吉下方尋。大吉小吉下得糧。軍意欲求水,小吉太沖訪。小吉太沖為井泉之神,此二神下覓水則得。

我軍が敵の糧草を劫奪せんと欲すれば、「大吉」(丑)と「小吉」(未)の臨む所の下に就りて尋求せよ。此の両位の神の下には必ず糧食を得べし。軍中に水源を尋ねんと欲すれば、「小吉」(未)と「太冲」(卯)を訪ねに去れ。小吉・太冲は井泉を主管する神なり。此の両位の神の臨む下に於て掘り尋ねれば、便ち水を得べし。

姦匿

月將加時向奸求?神后之下萬人伏。奸者,神后是也。其下可伏萬人。千人須藏河龍下。河龍者,太沖是也。百人陰精是良圖。陰精者,從魁是也,其下可伏百人。

月将を占時に加えて天盤を排出し、何処に去りて蔵匿伏兵の所を求めんか。「神後」の下は一万人を埋伏すべし。所謂「姦」とは、指す所は神後(子)なり。其の下は万人の衆を蔵むべし。一千人を蔵むるには、「河龍」の下に蔵むべし。河龍が指すは太冲(卯)なり。一百人を蔵むるには、「陰精」は好去処なり。陰精が指すは従魁(酉)にして、其の下は百人を埋伏すべし。

行險

三河九江天道通。太沖為三河,從魁為九江,欲行間諜切要明。除定危開二神加。二神有一神加四位者,出入敵營任縱橫。出入其下,無人知者。又曰卯酉為天二門,覆地四戶,除定危開之門,出奇制勝,萬夫難當,神鬼佑護。

「三河」と「九江」の両処は天道の通行の地なり。太冲(卯)を三河と叫び、従魁(酉)を九江と叫ぶ。間諜を派せんと欲する者は切に弄清楚を須い。再び此の両位の神が除・定・危・開の四値の上に加わる有無を看よ。只卯・酉の中に一位でも此の四位の一に加臨せば、間諜の敵営に出入するや縦横自如なり。其の下より進出すれば、察覚し得る人なし。又曰く卯・酉は天上の両扇の門なり。地上の除・定・危・開の此の四道の門戸の上に覆わる。此れに由りて奇を出して勝を制すれば、万夫も亦た抵当し難く、尚お神鬼の暗中に庇佑する有り。

訪密

欲得賊消息,天耳下聽之。天耳者,大小吉是也。要訪機密事,地耳不須疑。地耳者,太沖從魁是也。二神下密聽之即得。

敵の消息を探り得んと欲すれば、「天耳」の下に就りて聴け。天耳が指すは大吉(丑)と小吉(未)なり。機密の事を探訪するには、「地耳」も亦た疑うに及ばず。地耳が指すは太冲(卯)と従魁(酉)なり。人を派して此の両位の神の臨む下に至らしめ、悄悄として探聴せしめれば、消息は便ち手に到るを得べし。

劫掠攻城(通用)

若入他境為客兵,劫掠須詳三傳情。初中旺相我軍勝。初中傳主我軍,末傳有氣彼定贏。如攻城亦看初中為我,末傳為彼,以旺相休囚分之。

如果別国の境内に開進して客軍と為し、劫掠に去らんとすれば、須く「三伝」の情勢を細察すべし。初伝・中伝が旺相の気を得れば、我軍は勝を取る——初伝・中伝は我方を主るが故なり。末伝に若し気有れば、対方は就一定に赢つ。城を攻める時も亦た此の看法に照らす。初伝・中伝は我を代表し、末伝は敵を代表し、旺・相・休・囚の気勢の強弱を以て勝負を分判す。

渡河

天有三河壬子癸,地有三河卯酉辰。月將加時看三河,一河臨井必覆舟。又曰:太沖、天罡加日辰主風雨,神后加太歲主舟沉,神后加季急渡則吉。

天上に三条の河有り、即ち壬・子・癸なり。地上も亦た三処の水口有り、即ち卯・酉・辰なり。月将を占時に加えて天盤を転出して此の三河を看れば、只一河でも井位の上に圧すれば、船を行うに必ず傾覆す。又曰く:太冲(卯)・天罡(辰)が日干日支の上に加われば、途中に風雨有るを主る。神後(子)が太歳の上に加われば、船隻の沈没を主る。神後が若し四季の神の上に加われば、急いで渡を搶うが反って吉を得る。

斗柄所指

天罡指巳天地開。以月將加時尋天罡,指巳為天地初開。出軍行師任徘徊。用兵大勝,開地千里。指午坐帳宜彈琴。天罡指午為天地縱橫,不可出軍,坐帳彈琴則吉。指未小通亦可裁。天罡加未為天地小通,出軍亦吉。加申迫爭君須忌。天罡指申為天地迫爭之時,用兵者須忌之。指酉人馬受驚駭。天罡指酉,天地閉塞,車傷馬死,戰必大凶。

天罡が巳位を指すは、天地初開の時なり。月将を占時に加えて天盤を転出して天罡を尋ね、天罡が巳の上に落ちれば、就中天地初開と叫ぶ。此の時軍を出し師を行えば、従容として進退すべし。兵を用いれば必ず大勝を獲し、疆土千里を開拓す。天罡が午を指すは、只帳中に坐して琴を弾ずるに宜し。天罡が午を指すを「天地縦横」と叫び、軍を出すべからず、帳中に安坐して琴を弾じ楽しむが反って吉を得る。天罡が未を指すは、小通の時にして、亦た尚お裁断する所と為すを得べし。天罡が未に加わるを「天地小通」と為し、軍を出すも亦た吉。天罡が申の上に加われば、迫争の時にして、将たる者は必ず避忌すべし。天罡が申を指すを「天地迫争」と叫び、兵を用いる者は須く忌諱すべし。天罡が酉を指せば、人馬皆驚を受く。天罡が酉を指すは天地閉塞し、車は毀れ馬は死し、出戦すれば必ず大凶なり。

返來戌土主乖隔。天罡指戌,出軍主士卒乖傷也。加亥天阱不稱懷。天罡指亥為天阱,用軍主損傷驚怕。指子半路魂魄散。當此之時,出軍迷惑,行者半路魂魄不安。指丑途宿待明來。天罡指丑為天地小通,出軍三十里可止,待來晨任意而行,必獲大勝。

天罡が戌位に転回するは、乖違阻隔を主る。天罡が戌を指すは、軍を出せば士卒の乖離し傷を受くるを主る。天罡が亥の上に加われば便ち「天阱」にして、人意に称わず。天罡が亥を指すを天阱と叫び、兵を用いれば損傷驚怕有るを主る。天罡が子を指すは、軍を行うに半路上に魂魄消散せんとす。此の時に当たりて軍を出せば、人心迷惑昏乱し、半路に走りて魂魄寧まらず。天罡が丑を指せば、就中途中に一晩宿して、天亮を待ちて再び走れ。天罡が丑を指すも亦た「天地小通」にして、軍を出して三十里を走れば便ち停下すべく、第二天早晨を待ちて再び任意に前行すれば、必ず大勝を獲す。

臨寅有喜戰獲勝。天罡指寅,行者有喜,戰必大捷。到卯閉塞宜藏埋。天罡指卯,天地閉塞,宜藏匿避之,凡事不宜。復臨辰地關梁塞。天罡臨本位為關梁閉塞,只可安營下寨,不可妄動。掌上兵機仔細詳。

天罡が寅位に臨むに喜事有り、出戦すれば能く勝を獲す。天罡が寅を指すは、出行の人に喜有り、交戦すれば必ず大捷す。天罡が卯に到れば、天地閉塞し、蔵匿に宜し。天罡が卯を指すは天地閉塞通ぜず、蔵れ躲れて躲避すべく、何事を辦するも相宜ならず。天罡が又辰と云う本位に回れば、関口津梁は便ち皆閉塞す。天罡が自らの本位辰に臨むを、関梁閉塞と叫び、只営を安んじ寨を下すべく、軽挙妄動すべからず。以上此れら兵家の機宜は、全て掌上の一推の間に在り、仔細に推詳すべし。

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