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震の林(震卦六十四林)

汉 · 焦延寿 · 第60巻 / 71

作盤ガイド: 大衍筮法, 六爻納甲の立卦

井 靈龜陸處,一旦失所。伊子復耕,桀亂無輔。

帰妹の卦が井の卦に変わる。靈龜水を離開して陸地に處りて、一旦憑依を失せり。伊尹重新に田間に回りて耕作して、夏桀昏乱にして輔佐する人なし。此の林主として賢者位を去りて、上良弼なく、政乱の凶なり。

革 仁德覆洽,恩及異域。澤及殊方,禍災隱伏。蠶不作室,寒無所得。

帰妹の卦が革の卦に変わる。仁徳広く被りて恩沢異域他郷に遍く及して、禍災此れによって潜伏して發せず。只だ蚕繭を結びて室を作るを肯ぜずして、天寒の時便ち衣著の得る可きなし。此の林主として徳広く施すと雖も本業修めずして、外和して内乏し、吉の中缺有り。

鼎 夏麥□,霜擊其芒。疾君敗國,使年夭傷。

帰妹の卦が鼎の卦に変わる。夏天の麦子正に穂を抽すも、却って霜に打たれて麦芒を傷せられり。奸人の君を害し国を敗するに猶お如くして、年成をして夭折して損を受けしむ。此の林主として時令常に反して、賢者害を受けて、歲収と国事倶に傷う、凶なり。原文缺字有り、□を以て之を存す。

震 火雖熾,在吾後。寇雖多,在吾右。身安吉,不危殆。(震之歸妹,大有之需)

帰妹の卦が震の卦に変わる。火勢猛なると雖も、却って我が身の後に燒きて、盗寇多しと雖も、我が右辺に行けり。災禍身を擦りて過ぎて、人安吉を得て危殆ならず。此の林主として険象環生しても己が身に及ばずして、驚有りて険なし、吉なり。末の注此の林《震》の《帰妹》、《大有》の《需》と文同じを示す。

艮 遼遠絕路,客宿多悔。頑嚚相聚,生我畏惡。(明夷之小畜)

帰妹の卦が艮の卦に変わる。路途遼遠にして又た去路を断絶して、客居して宿を投ぐれば處處悔を生ず。《尚書・堯典》の説く所の父頑なり母嚚なりのごとき人一處に聚れば、我が心をして畏懼厭惡を生ぜしむ。此の林主として遠行して路を失して、遇う所人に非ずして、客の中安ならず、凶なり。末の注此の林《明夷》の《小畜》と文同じを示す。

漸 懸懸南海,去家萬里。飛兔褭駿,一日見母,除我憂悔。

帰妹の卦が漸の卦に変わる。心懸懸として遠く南海に在りて、家を離るること万里なり。幸いに飛兎、要褭のごとき駿馬有りて、一日の内便ち母親を見て、我が憂愁悔恨を解除せり。此の林主として千里を遠隔して速やかに歸を得て、母子重ねて逢う、吉なり。

豐 因而後通,難厄不窮。終得其願,姬姜相從。

帰妹の卦が豊の卦に変わる。形勢に順い而して後に通達して、艱難困厄絶路に走り至らず。終に心愿を遂げて、姬姓と姜姓のごとき名門婚姻を結成して、彼此相随えり。此の林主として困にして能く通じて、婚姻美满して、先ず難にして後に吉なり。

旅 西賈巴蜀,寒雪已沒。欲前不得,還反空室。

帰妹の卦が旅の卦に変わる。西に往きて巴蜀に到りて經商するも、道路已に寒雪に淹沒せられり。前進せんと想うも能わずして、只好く空手にして家中に回るのみ。此の林主として時令道を阻みて、商旅困を受けて、往返徒労せり。

巽 作新初陵,爛焰難登。三駒推車,躓損傷頤。

帰妹の卦が巽の卦に変わる。新修の陵墓剛く工を起して、山勢陡峭して烈焰の如く攀登し難し。三匹の小馬車を推して上に往きて、跤を跌して下巴を摔傷せり。此の林主として力弱くして任重くして、勉强して高きに登れば、傷を受くるの凶なり。

兌 延頸望酒,不入我口。深目自苦,利得無有。幽人悅喜。

帰妹の卦が兌の卦に変わる。脖子を伸長して眼巴々として酒を望むも、一口も亦た喝み到らず。眼を望みて穿かんと欲して自ら苦悩を尋ねて、終に一の得もなし。倒れて是れ幽居して静を守る人自ら其の楽を得たり。此の林主として得んと欲して得ず、唯だ分に安んずる者のみ反って能く歓喜せり。

渙 仲春孟夏,和氣所舍。生我喜福,國無殘賊。

帰妹の卦が渙の卦に変わる。仲春と孟夏の時節は、正に是れ和気停駐するの時なり。喜慶と福気を生出して、国の中殘害して乱を作す人なし。此の林主として時和くして気順にして、境内清寧せり、吉なり。

節 張網捕鳩,兔離其災。雌雄俱得,為罝所賊。

帰妹の卦が節の卦に変わる。網を張るは本より斑鳩を捕えんと要すれど、兎子倒れて此の災を躲過せり。結果雌雄两隻の鳩倶に網に落ちて、羅網に害せられり。此の林主として設計中と失有りて、圖る所の物終に免を得難し、獵する者に於ては吉にして獵せられる者に於ては凶なり。

中孚 三人俱行,一人言北。伯仲欲南,少叔不得。中欲分道,爭鬥相賊。

帰妹の卦が中孚の卦に変わる。三個人一同に路に上りて、一個北に往かんと主張せり。老大老二南に行かんと想うに、小弟肯えて依従せず。半路の上各々道を分かたんと要して、争執し起して彼此相害せり。此の林主として同行して志を異にして、内訌して変を生じて、合謀成らず、凶なり。

小過 然諾不行,欺紿誤人。使我露宿,夜歸溫室。神怒不直,鬼擊其目。欲求福利,適反自賊。(恆之觀)

帰妹の卦が小過の卦に変わる。許したる諾言兌現せずして、欺騙を以て別人を耽誤せり。我をして荒野に露宿せしめて、他自己却って暖屋に回りて安眠せり。神靈此のごとき不正直を惱怒して、鬼便ち彼の眼睛を打瞎せり。本より福利を求取せんと想うも、恰恰に反って自己を害せり。此の林主として信に背きて人を欺きて、終に自ら報を受く、凶なり。末の注此の林《恒》の《観》と文同じを示す。

既濟 陳辭達誠,使安不傾。增祿益壽,以成功名。(明夷之晉)

帰妹の卦が既済の卦に変わる。言辞を陳述して誠意を表出して、局面をして安穩して傾覆に至らざらしむ。此れによって俸禄を增加して寿命を延長して、功業名声を成就せり。此の林主として誠を以て人を動かして、言を進めて用を得て、禄寿功名兼ねて得る、大吉である。末の注此の林《明夷》の《晋》と文同じを示す。

未濟 火燒公床,家破滅亡。然得安昌,先憂後喪。

帰妹の卦が未済の卦に変わる。大火主人の床榻に燒到して、家業破敗して以て滅亡せり。一度安定興盛を得たると雖も、終に是れ先ず憂患有りて而して後に喪亡有り。此の林主として火厄家を破りて、盛にして復た衰う、凶なり。

豊の林(豊卦六十四林)

豐 清懦行賈,徑陟山阻。與狄為市,不憂危殆。利得十倍。

豊の卦が自ら変じても豊の卦のままである。性情清和柔順の人外に出でて商を行いて、徑直に険阻の山路を翻越して、狄人と買売を做せり。人を待つに平和を以てすれば、反って危險を擔憂するを必とせずして、利十倍を獲たり。此の林主として柔和にして利を取りて、険を犯して傷なく、經商大吉なり。

乾 鼎足承德,嘉謀生福。為王開庭,得心所欲。(晉之大壯)

豊の卦が乾の卦に変わる。三足鼎立の如く穩々として徳業を承載して、好い謀劃福気を生出せり。君王に替えて朝庭を開設して、事事心に称い意の如し。此の林主として輔弼力を得て、謀劃成有りて、位に居りて志を遂ぐ、大吉である。末の注此の林《晋》の《大壮》と文同じを示す。

坤 曳綸江海,釣魴與鯉。王孫列俎,以饗仲友。

豊の卦が坤の卦に変わる。江海の上に於て絲綫を牽きて垂釣して、魴魚と鯉魚を釣得せり。王孫魚を俎の上に陳列して、以て彼の朋友を宴請せり。此の林主として獲る所豊美にして、賓主歓會せり、吉なり。

屯 東山皋落,叛逆不服。興師征討,恭子敗覆。

豊の卦が屯の卦に変わる。東山の皋落氏叛逆して肯えて帰服せざれば、晋献公便ち太子申生に命じて師を興して征討せしむ。申生勉力して命に従うも、終に讒間に陷りて敗亡して、恭君と謚せられり。此の林主として命を受けて叛を伐ちて内猜忌を被りて、功賞を見ず、凶なり。

蒙 千里騂駒,為王服車。嘉其驪榮,君子有成。

豊の卦が蒙の卦に変わる。日に千里を行く赤色の良駒は、選ばれて來りて君王の為に車を駕せり。人人其の毛色の光榮を称美して、君子の事業も亦た此れによって成有り。此の林主として良材用を見られて、榮顯して成有り、吉なり。

需 三龍北行,道逢六狼。莫宿中澤,為禍所傷。

豊の卦が需の卦に変わる。三条の龍北に向かいて行きて、路上六隻の狼に遇見せり。半途の沼沢の中に宿を留るる勿れ、否らずんば便ち禍患に傷せられん。此の林主として行途険に遇い、留止して災を招く、宜しく速やかに過ぐべく久しく留る宜ならず。

訟 天災所遊,凶不可居。轉徙獲福,留止危憂。

豊の卦が訟の卦に変わる。天災流行の到る所の處は、凶险にして居住する可ならず。他に遷移して往けば反って福を得る能くして、原地に滯留すれば便ち危難憂患有り。此の林主として動に宜しくして静に宜からずして、遷徙して災を避くれば則ち吉なり。

師 狐狸雉兔,畏人□去。分走竄匿,不知所處。(益之解,睽之大有)

豊の卦が師の卦に変わる。狐狸、野鶏と兎子は人を怕れて、一たび人を見れば便ち跑げり。四散奔逃して躲蔵して、何の處に去りたるかを知らず。此の林主として求むる所の物驚散して、蹤跡尋ね難くして、事を謀れば獲なし。原文缺字有り、□を以て之を存し、末の注此の林《益》の《解》、《睽》の《大有》と文同じを示す。

比 雨師娶婦,黃岩季子。成禮既婚,相呼南上。膏潤下土,年歲大有。(損之益,井之坤,恆之晉,本卦之大過)

豊の卦が比の卦に変わる。雨師親を娶るは、黄岩季子の家の女兒に配せり。礼成婚を完したる後、相呼びて南に向かいて上れり。沛然の雨沢大地を滋潤して、一年収成大いに好し。此の林主として陰陽交合して、雨足りて年豊にして、婚姻と田事倶に吉なり。末の注此の林《損》の《益》、《井》の《坤》、《恒》の《晋》及び本卦の《大過》と文同じを示す。

小畜 外棲野鼠,與雉為伍。瘡痍不息,即去其室。

豊の卦が小畜の卦に変わる。身を外に棲して野鼠と隣を為して、又た野鶏と伴を作せり。身上の瘡傷總に好く見えずして、只だ己が居室を離開するを得たり。此の林主として依託する所を失して、疾患愈えずして、遷離を迫られり、凶なり。

履 天命絕後,孤傷無主。彷徨兩社,獨不得酒。

豊の卦が履の卦に変わる。天命後嗣を断絶して、孤苦傷痛にして事を主る人なし。两處の社廟の間に徘徊して、独り一杯の祭酒を連ねても討い到らず。此の林主として宗祀継ぐなく、祭享分無し、孤独の凶なり。

泰 鵠思其雄,欲隨鳳東。順理羽翼,出次日中。傾流北邑,反覆其室。(明夷之益,需之離,益之觀)

豊の卦が泰の卦に変わる。雌鵠其の雄伴を思念して、鳳凰に跟りて東に飛ばんと想えり。羽翼を理順して、正午の時分に起程せり。一路順流して北辺の城邑に到りて、最後に又た己が巢室に回れり。此の林主として偶を思いて遠行して、往して復た返りて、労すると雖も終に本位に歸す、平吉なり。末の注此の林《明夷》の《益》、《需》の《離》、《益》の《觀》と文同じを示す。

否 蜲蛇九子,長尾不殆。均明光澤,燕自受福。

豊の卦が否の卦に変わる。蜿蜒の長蛇九子を產して、尾長にして傾危に至らず。一樣に明亮にして光沢有りて、燕の地自然に福気を承受せり。此の林主として子孫衆多にして、各々其の養を得て、一門福を受く、吉なり。

同人 日走月步,趨不同舍。夫妻反目,君主失國。(小畜之同人,謙之睽)

豊の卦が同人の卦に変わる。太陽と月亮各々運行して、趨る所の星次並びに相同じからず。正に《周易・小畜》の説く「夫妻反目」の如くして、家中和を失して、国君も亦た此れによって国家を丢了せり。此の林主として床を同じくして夢を異にして、上下乖離して、家国倶に損す、凶なり。末の注此の林《小畜》の《同人》、《謙》の《睽》と文同じを示す。

大有 定房戶室,括薪除毒。文德淵府,害不能賊。(一作宜房戶室,括卿深毒。)

豊の卦が大有の卦に変わる。房舍門戸を安定して、柴薪を收拾好して毒害を清除せり。文徳淵深の府庫の如く深厚にして、禍害分毫に傷を到らず。此の林主として居處安固して、徳を修めて自ら守れば、外患害を加うる能わず、吉なり。末に一本の異文を附す。

謙 東齊郭廬,嫁於洛都。駿良美好,多好讓主。利得過倍。(臨之益)

豊の卦が謙の卦に変わる。斉国東郭氏の女兒洛陽の京都に嫁せり。陪嫁の車馬駿良にして、人物美好にして、又た多く謙讓主人の美徳有りて、得る所の利一倍を超過せり。此の林主として婚嫁して貴を得て、謙を以て益を獲る、吉なり。末の注此の林《臨》の《益》と文同じを示す。

豫 病篤難醫,和不能治。命期終訖,下既蒿里。(臨之益)

豊の卦が豫の卦に変わる。病勢沉重にして医すること難くして、秦国の名医医和を連ねても策を束する手なし。寿数尽頭に到りて、人已に蒿里の墓地に下れり。此の林主として病膏肓に入りて、藥石靈なく、大凶なり。末の注此の林《臨》の《益》と文同じを示す。

隨 開郭聚業,王跡所起。姬德七百,振以八子。

豊の卦が随の卦に変わる。城郭を開辟して産業を聚集するは、正に是れ王業發跡の起點なり。姬姓周室の徳沢綿延して七百年にして、又た周の八士のごとき賢才其の業を振起せり。此の林主として業を創りて基を奠めて、後嗣蕃昌して、家国長久なり、大吉である。

蠱 豐年多儲,河海饒魚。商客善賈,大國富有。

豊の卦が蠱の卦に変わる。豊年積儲多くして、江河大海の裏魚産豊饒なり。商旅経營を善くして、大国此れによって富足せり。此の林主として積蓄余り有りて、貨殖興旺して、公私倶に富めり、吉なり。

臨 鵠求魚食,過彼食邑。繒加我頸,繳掛羽翼。欲飛不能,為羿所得。

豊の卦が臨の卦に変わる。天鵝魚食を覓らんと為めて、彼の采邑を飛過せり。不料絲網脖子を套住して、箭を繫ぐ生絲又た翅膀に纏住せり。飛ばんと想うも飛び動く能わずして、終に后羿のごとき善射する者に捕獲せられり。此の林主として食を貪りて険を履みて、羅網に堕ちて、行動制を受く、大凶なり。

觀 望城抱子,見邑不殆。公孫上堂,文君悅喜。

豊の卦が観の卦に変わる。遠く城池を望みて幼子を懐抱して、城邑を見れば便ち再び危險ならざるを知れり。公孫堂に登りて拜見して、文君心中歓喜せり。此の林主として行きて安處に至りて、母子相全して、主賓相得せり、吉なり。

噬嗑 左指右麾,邪侈靡靡。執節無良,靈君以亡。

豊の卦が噬嗑の卦に変わる。左に指點して右に揮使して、事を行いて邪僻奢侈にして頹靡せり。節操を持守する人其の位を得ずして、靈公の一類の国君終に敗亡せり。此の林主として上驕き下佞にして、良臣節を執るなし、国危くして身亡ぶ、凶なり。

賁 日中為市,各持所有。交易資賄,函珠懷寶。心悅歡喜。(泰之升)

豊の卦が賁の卦に変わる。《周易・繫辭》に「日中に市を為す」と説きて、正午集市開張して、人人己が貨物を帶びて前來せり。相互に財貨を交換して、匣子を用ゐて珠を盛りて懐の裏寶を揣めて、心の裏十分に歓喜せり。此の林主として交易暢通して、買売利を得て、歓欣して成有り、吉なり。末の注此の林《泰》の《升》と文同じを示す。

剝 山沒丘浮,陸為水魚,燕雀無廬。

豊の卦が剥の卦に変わる。山陵沈沒、丘阜漂浮して、陸地魚兒の游動する水域と変成して、燕雀を連ねても巢を築くの地方を找り得ず。此の林主として天地翻覆して、水患頂を滅して、身を安んずる處なし、大凶なり。

復 馬服長股,宜行善市。蒙佑諧偈,獲利五倍。(一作終日在市,詰朝獲利。既享嘉福,得久乃幾。)

豊の卦が復の卦に変わる。馬匹脚力長健にして、正に宜しく遠行して集を趕り買売すべし。神佑を蒙りて事事諧順して、利五倍を獲たり。此の林主として脚力至る所倶に利を得て、貿易興隆せり、吉なり。末に一本の異文を附す。

旡妄 三狸捕鼠,遮遏前後。死於國城,不得脫走。(離之遯)

豊の卦が旡妄の卦に変わる。三隻の狸猫力を合して鼠を捕えて、前後堵截せり。老鼠都城の中に死して、逃げ出づる能わず。此の林主として衆力に圍困せられて、退路断絶して、身を脱するに望なし、凶なり。末の注此の林《離》の《遯》と文同じを示す。

大畜 鬼舞國社,歲樂民喜。臣禮於君,子孝於父。

豊の卦が大畜の卦に変わる。社日に神を祭りて、神を扮する人国社の前に起舞して、年成安楽して、百姓歓喜せり。臣下君主に對して礼を守りて、兒子父親に對して孝を尽せり。此の林主として祭祀宜を得て、上下序有りて、風俗淳美せり、吉なり。

頤 慈母望子,遙思不已。久客外野,我心悲苦。

豊の卦が頤の卦に変わる。慈母兒子の歸來を盼望して、遠く思念して止まず。兒子却って久しく野外に居りて客として返らずして、人をして心中悲苦せしむ。此の林主として遠客歸らずして、親人懸念して、憂思の凶なり。

大過 雨師娶婦,黃岩季子。成禮既婚,相呼南上。膏潤下土,年歲大有。(損之益,恆之晉,井之坤,本卦之比)

豊の卦が大過の卦に変わる。雨師親を娶るは、配する所は黄岩季子の女なり。礼を行いて婚を成したる後、相呼びて南に向かいて上れり。甘霖大地を滋潤して、一年大いに豊収を獲たり。此の林主として陰陽和合して、雨沢時に及びて、婚姻と農事倶に吉なり。末の注此の林《損》の《益》、《恒》の《晋》、《井》の《坤》及び本卦の《比》と文同じを示す。

坎 兩狗圍室,相咬爭食。枉矢西流,射我暴國。高宗伐鬼,三年乃服。

豊の卦が坎の卦に変わる。两条の狗屋辺に圍りて互に咬みて食を争えり。妖星枉矢西に向かいて飛流して、直に彼の暴虐の国を射れり。《周易・既済》に殷高宗鬼方を征伐して、三年を打ちて始めて之をして臣服せしむと記す。此の林主として内争い外伐して、兵事曠日持久して、久しく戰いて方に勝つ、先ず凶にして後に定まる。

離 早霜晚雪,傷禾害黍。損功棄力,飢無可食。(離之蠱)

豊の卦が離の卦に変わる。過早の霜と過晚の雪は、禾苗を傷し黍稷を害せり。一年の功夫気力全く白費して、飢餓にして吃る可き食なし。此の林主として天時害を為して、農功尽く弃さる、飢荒の凶なり。末の注此の林《離》の《蠱》と文同じを示す。

咸 腐臭何在,青蠅集聚。變白為黑,敗亂邦國。君為臣逐,失其寵光。

豊の卦が咸の卦に変わる。何の處腐臭有れば、蒼蠅便ち何の處に聚まる。《詩経・小雅・青蠅》青蠅を以て讒人を比して、能く白を説いて黑と為し、邦国を敗壞擾乱せり。国君反って臣下に驅逐せられて、尊寵と光彩を失去せり。此の林主として讒佞朝に盈ちて、黑白を顛倒して、君位保たれず、大凶なり。

恆 牽羊不前,與心戾旋。聞言不信,誤紿丈人。(一雲言語不富,誤詒丈人。)

豊の卦が恒の卦に変わる。羊を牽きても却って拉動する能わずして、事心愿と正に相違背せり。忠言を聴聞するも又た肯えて信ぜずして、結果欺瞞して長者を耽誤せり。此の林主として事を行いて拂逆して、良言を聽かずして、人を誤り己を誤る、凶なり。末に一本の異文を附す。

遯 甘忍利害,還相剋敵。商子酷刑,鞅喪厥身。

豊の卦が遯の卦に変わる。甘んじて利害得失の煎迫を忍受して、反って人と相克して敵と為せり。商君法を立てて嚴酷にして、法を作して自ら斃れて、商鞅終に性命を喪失せり。此の林主として刻薄にして刑を用ゐて、終に自ら害を受く、凶なり。

大壯 刲羊不當,血少無羹。女執空筐,不得桑根。(隨之艮)

豊の卦が大壮の卦に変わる。《周易・帰妹》に「士羊を刲して血無し、女筐を承けて実無し」と説く:羊を宰して血少くして、羹湯を做り成らず。女子空の筐を捧げて、桑根を連ねても采い到らず。此の林主として祭と婚两失して、労して実なし、凶なり。末の注此の林《随》の《艮》と文同じを示す。

晉 □,貧鬼相責。無有歡怡,一日九結。(震之既濟)

豊の卦が晋の卦に変わる。窮鬼一個個門に上りて催逼責問して、家中一絲の歓楽なしして、一日の内心の裏九個の結を打てり。此の林主として貧困交迫して、債主門に臨みて、愁悶解け難し、凶なり。原文首句殘缺して、□を以て之を存し、末の注此の林《震》の《既済》と文同じを示す。

明夷 兩足四翼,飛入嘉國。寧我伯姊,子母相得。(賁之同人)

豊の卦が明夷の卦に変わる。两隻の脚、四片の翅膀にして、美好の邦国に飛進せり。我が大姐をして安寧を得しめて、母子團聚して相得せり。此の林主として遠く飛びて所を得て、親人團圓せり、吉なり。末の注此の林《賁》の《同人》と文同じを示す。

家人 文山紫芝,雍梁朱草。生長和氣,王以為寶。公尸侑食,福祿來處。

豊の卦が家人の卦に変わる。文山紫芝を出産して、雍州梁州朱草を生長するは、倶に是れ和気の鍾まる所の祥瑞にして、君王之を国宝と視せり。《詩経・大雅・鳧鷖》公尸の勧を受けて飲食するを写して、福禄之に随いて來れり。此の林主として祥瑞呈現して、祭享して福を得て、家門慶を蒙る、大吉である。

睽 絕世游魂,福祿不存。精神渙散,離其躬身。

豊の卦が睽の卦に変わる。後代を断して、魂魄游荡して歸る處なくして、福禄荡然として存せず。精神渙散して、己が形体を離開せり。此の林主として宗祧断絶して、元気離散す、大凶なり。

蹇 北辰紫宮,衣冠立中。含弘建德,常受大福。

豊の卦が蹇の卦に変わる。北極星の居る所の紫微宮は、衣冠整肅の人其の中に端立せり。胸懐寛宏にして徳業を建立すれば、此れによって常に大福を受く。此の林主として中に居りて正を守りて、徳位相称して、長く福禄を享く、大吉である。

解 伯蹇叔盲,莫為守株。失我衣裘,代爾陰鄉。(鼎之離)

豊の卦が解の卦に変わる。長兄跛足、次兄目盲にして、人我に替えて此の基業を守る能くするなし。衣裘尽く失して、只好く彼の陰僻の郷里に遷往するのみ。此の林主として家中託する可きの人なく、財物散失して、处境轉じて衰う、凶なり。末の注此の林《鼎》の《離》と文同じを示す。

損 兩女共室,心不聊食。亂髮如蓬,憂常在中。(艮之剝)

豊の卦が損の卦に変わる。两個の女子一室に同住して、志相合わずして、悶して飯を連ねても喰い下る能わず。頭髪蓬草の如く乱れて、憂愁常に心の裏に在り。此の林主として同處して和せず、内室睦を失して、鬱結解け難し、凶なり。末の注此の林《艮》の《剥》と文同じを示す。

益 去辛就蓼,毒愈酷甚。避□遇坑,憂患日生。

豊の卦が益の卦に変わる。辛辣を離れて又た苦蓼に碰上して、毒害反って更に甚し。一一處の険阻を躲开するも却って坑の裏に掉ちて、憂患一天ずつ滋生せり。此の林主として趨避當を失して、愈避け愈苦し、凶なり。原文缺字有り、□を以て之を存す。

夬 初病終凶,季為死喪,不見光明。

豊の卦が夬の卦に変わる。起初只だ是れ生病なりしも、最終に凶事と成れり。幼子此れによって夭亡して、再び光明を見ず。此の林主として病久しくして危に轉じて、家喪亡有り、大凶なり。

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