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損の林(損卦六十四林)

汉 · 焦延寿 · 第47巻 / 71

作盤ガイド: 大衍筮法, 六爻納甲の立卦

巽:天地鈐塞,仁智隱伏。商旅不行,利潤難得。

益の卦が巽の卦に変わる。天地の間閉鎖不通にして、仁者と智者倶に隱伏して出でず。商旅行き通うに法なく、利潤も亦た獲得し難し。「天地閉、賢人隠」は《周易・坤》の文言に出る。主とする所は時局閉塞の象、凶である、経商遠行倶に利あらず、宜しく晦を韜して通を待つべし。

兌:福德之士,歡悅日喜。夷吾相桓,三歸為臣。賞流子孫。

益の卦が兌の卦に変わる。福有り徳有るの人は、天天歓欣喜悦す。正に管仲字夷吾の斉桓公を輔佐して、三帰の富を享有して位人臣の極に居りて、賞賜還た子孫に惠及するが如し。管仲の三帰有りて、位陪臣の上に在るは《論語・八佾》《史記・管晏列伝》に事見る。主とする所は主に遇いて志を得、蔭後代に及ぶの象、大吉である。

渙:上無飛鳥,下無走獸。擾亂未治,勞民於事。

益の卦が渙の卦に変わる。天上に一隻の飛鳥なく、地下に一頭の走獣なく、一派荒寂なり。禍乱未だ平定せざるに、百姓仍お各種の差事に役使労苦せられり。主とする所は地荒れて政擾り、民力枯竭の象、大凶である、宜しく民と休息し、再び事役を興す可からず。

節:月削日衰,工夫下機。宇宙滅明,不見三光。(謙之觀)

益の卦が節の卦に変わる。月亮一天一天として虧損し、日光一天一天として衰微して、織婦も亦た織機を放下して停工す。天地の間光明熄滅して、日、月、星の三光倶に見えず。主とする所は光明晦絶、生業停頓の象、大凶である、宜しく静を守りて明を待ち、有為すべからず。夾注に此の繇《謙》之《観》と重出と標す。

中孚:戴盆望天,不見星辰。顧小失大,福迯牆外。

益の卦が中孚の卦に変わる。盆子を頂きて天空を仰望すれば、何の星辰も亦た見ず。只だ眼前の小利を顧みて大處を失掉して、福気牆外より溜走せり。「戴盆望天」は司馬遷の《報任安書》に出る。主とする所は自ら其の明を蔽い、小に因りて大を失うの象、凶である、宜しく其の障蔽を去り、眼を放して長遠を見るべし。

小過:握斗運樞,順天無憂。所行造德,與樂並居。

益の卦が小過の卦に変わる。北斗を手握りて天樞を運轉して、天道に順應して憂患なし。一言一行倶に徳行を積累して、歓楽と相伴して居れり。「斗為帝車、運於中央」は《史記・天官書》に見る。主とする所は天に順い徳を修むるの象、大吉である、行う所道に合せば、福樂自ら随わん。

既濟:操戟刺魚,披髮立憂。虎脫我輿,狼取我袍。亡馬失財。

益の卦が既済の卦に変わる。長戟を挙げて魚を叉り、頭髪を披散して立ちて愁を発す。老虎我が車を拆き去り、豺狼我が袍子を叼去りて、馬も亦た失い、銭財も亦た没くなりぬ。主とする所は用其の器に非ず、内外交失の象、大凶である、用う所の法当ならず、反って劫奪破財を招く。

未濟:兩人俱醉,相與悖戾。心乖不同,爭訟匈匈。

益の卦が未済の卦に変わる。両人倶に喝醉して、彼此頂撞乖違す。心思相背いて一處に合わずして、吵吵嚷嚷として争執して官司を打起せり。主とする所は酒後に和を失い、争訟紛起の象、凶である、宜しく酒を戒め争を息め、一步退けば方に禍を免れん。

夬の林(夬卦六十四林)

夬:戴堯扶禹,松喬彭祖。西遇王母,道路夷易。無敢難者。

夬の卦が自ら変じても夬の卦のままである。頭上に唐堯の徳を頂戴し、身辺に夏禹の功を扶持して、又た赤松子、王子喬、彭祖のごとき長寿の福を兼ね有す。西行の途中西王母に得遇して、道路平坦順暢にして、敢えて来りて阻攔刁難する者なし。此れ賢主の提携を得、仙縁の庇佑に遇うの象、出行し事を謀る倶に通達して、福寿綿長を主とす。

乾:狼戾美謀,無言不殊。允厭帝心,悅以獲佑。

夬の卦が乾の卦に変わる。心思剛決にして謀略精美にして、口を開きて話を説けば一句として衆に出でざるなし。果して帝王の心意に深く合し(「厭」は即ち「饜」、満足)、君上歓悦して因って庇佑を降下せり。此れ策を献じて納を見るの象、言を進め進を求むる者は必ず賞識を得て福を受けん。

坤:歲暮花落,陽入陰室。萬物伏匿,絕不可得。

夬の卦が坤の卦に変わる。一年將に尽きんとして、花朵凋落して、陽気陰分の中に退入せり。万物潜蔵隱匿して、何かを尋求せんと想うも一獲なし。此れ時令閉塞、生機内に斂まるの象、事を謀り財を求むる倶に成就し難し、宜しく安靜に守候し、陽の回り春の至るを待ちて再び動くべし。

屯:雞鳴失時,君騷於憂。犬吠不休,行者稽留。

夬の卦が屯の卦に変わる。雄鶏暁を報ずるも時辰を錯過して、主人此れによって心緒煩擾す。門を看る犬叫び停まざるに因りて、路を趕る人滞留するを迫られり。此れ節候序を失し、行止阻まるるの象、門を出でて遠行すれば擱擱多く、謀る所の事も亦た期を按じて办成ること難し。

蒙:鳧鷖游涇,君子以寧。履任不愆,福祿來成。

夬の卦が蒙の卦に変わる。野鴨と鷗鳥涇水の上に自在に浮游するは、正に是れ《詩経・大雅・鳧鷖》の詠ずる所の太平を祭祀するの景にして、君子因って安寧を得享せり。官に居りて事に任ずるに差錯出でず、福気と禄位自然に随いて成就せり。此れ正を守りて安を得るの象、職に任じ、命を受くる者吉なり。

需:薄為蕃皮,勁風吹卻。欲上不得,復歸其宅。

夬の卦が需の卦に変わる。単薄の物只だ藩籬の外皮を算えり、一陣の勁風便ち之を吹き落とせり。上に向かい攀升せんと欲するも办する能わず、只だ元来の居所に退回するを得たり。此れ根基浅薄、衝撃に経えざるの象、進を求めて成ることなく、宜しく本位を退守して以て折損を免るべし。

訟:東行破車,步入危家。衡門垂倒,無以為主。賣袍續食,糟糠不飽。

夬の卦が訟の卦に変わる。東に出行して車子壞損して、只好く徒歩にて一戸の衰危の家に投入す。彼の家横木を以て門と為し、屋宇將に傾かんとして、事を主る能くの人なく、只だ衣袍を変売して飯を換えて吃るのみ、糟糠を連ねても肚子を填飽す能わず。此れ家業凋敝、行旅所を失うの象、出行と財を求むる倶に大いに利あらず。

師:青牛白咽,呼我俱田。歷山之下,可以多耕。歲精之節,民人安寧。

夬の卦が師の卦に変わる。青色の牛白喉を生じて、我を呼喚して同じく田に下りて耕作せしむ。歷山の脚下正に宜しく多く開墾すべし——彼処は正に是れ虞舜当年躬耕の処なり。年成精好の時節に逢えば、百姓自然に安居寧定せり。此れ田を力めて養を得、上下相安の象、農を務め経営する倶に吉なり。

比:異國殊俗,情不相得。金木為仇,百賊擅谷。

夬の卦が比の卦に変わる。異邦風俗同じからずして、彼此情意相投じ難し。金と木五行の上に於て相克して仇を成し、衆多の盗賊山谷に盤踞せり。此れ格格不入、外患叢生の象、合伙、婚を通じ、遠行倶に相い宜しからず、尤も須らく劫奪の災を提防すべし。

小畜:陰陽精液,高熟脫折。治卵成鬼,肇生頭目。日有大吉。

夬の卦が小畜の卦に変わる。陰陽二気凝聚して精液と為りて、高處に長じて熟透すれば便ち自ら脱落す。鳥卵を孵治して異物を生出して、一開始に便ち頭有り眼有りと為れり。此れ造化萌動、生機初めて具わるの象、事無より有となりて漸漸形を成し、日日倶に大吉なり。

履:飢蟲作害,多亂纏綿,不可得秋。

夬の卦が履の卦に変わる。飢餓の虫啃食して害を為し、紛乱纏繞して休まず、庄稼秋天の収成に熬え到らず。此れ暗に耗損し、功垂成に敗るるの象、事を謀れば多く小人に牽掣糾擾せられて、終に結果有ること難し。

泰:清冷如云,為兵導先。民人寬急,不知東西。

夬の卦が泰の卦に変わる。寒気清冷として陰雲の聚集するが如く、正に是れ兵禍到來の先兆なり。百姓一時寛緩し一時窘急して、慌てて東西南北を辨え得ず。此れ兵災將に起らんとして、人心惶惑の象、宜しく険を避け静を守り、軽く挙げ妄動すべからず。

否:班馬旅師,以息勞疲。役夫嘉喜,入戶見妻。

夬の卦が否の卦に変わる。馬を勒めて班師して、遠征の軍旅を撤回して、疲憊の士卒休息を得しむ。服役の人歓喜慶幸して、家門に走り入りて妻子に見ゆ。此れ久役して帰るを得、労苦終止の象、行人信有りて、久しく別離し散ずる事終に團圓せん。

同人:坐爭立訟,紛紛哅哅。卒成禍亂,災及家公。

夬の卦が同人の卦に変わる。坐しても争執し立ち起きても訟を興して、吵嚷喧騰して休まず。最終に禍乱を釀成して、災殃一家の長に波及せり。此れ争鬪して和を失うの象、凡そ詞を興し訟を構えば必ず家門に累を及ぼす、宜しく及早に争を息め怨を釋すべし。

大有:鹿食美草,逍遙求飽。趍走山間,過期乃還。肥澤且厭。

夬の卦が大有の卦に変わる。鹿児豊美の青草を吃りて、自在に游荡して只だ飽を求む。山間に奔走して、約期を過ぎて回來れど、已に長じて肥壮潤沢、飽足にして余り有り。此れ処に随いて養を得るの象、行人遅れて帰ると雖も恙なく、食を求め利を求むる終に豊足に帰す。

謙:田鼠野雉,意尚欲去。拘制籠檻,不得搖動。

夬の卦が謙の卦に変わる。田鼠と野雉一心還た逃走せんと想うも、却って籠檻の中に関められて牢牢と拘住せられ、丝毫も動彈する能わず。此れ身己に由らず、人に受制するの象、脱身、遷徙、外出を謀る者倶に阻まるを受け、宜しく安分にして自ら守りて以て時を待つべし。

豫:日趍月步,周遍次舍。歷險致遠,無有難處。

夬の卦が豫の卦に変わる。太陽の疾行し月亮の緩歩するが如く、次を依りて天上二十八宿の舍次を走り遍らす。縦い険阻を歴し他方に遠く赴くも、難き行く處なし。此れ行運序有り、険に遇いて通ずる能くの象、遠行、遷調倶に順遂なり。

隨:天孫帝子,與日月處。光榮於世,福祿祺祉。

夬の卦が随の卦に変わる。天孫織女と帝王の子は、日月と同じく天上に居せり。人世に於いて光耀顕赫して、福気、禄位、吉祥倶に一身に聚まれり。此れ貴極まりて榮顯の象、名を求め位を求むる者大吉にして、事業光大を望む可し。

蠱:晨風文翰,大舉就溫。時過我邑,羿無所得。

夬の卦が蠱の卦に変わる。《詩経・秦風・晨風》の詠ずる所の鸇鳥と羽毛華美の錦鶏は、高く翅を振りて温暖の地に飛び往く。一時我が城邑を飛び過ぐるに、善射の后羿を連ねても之を捕え得ず。此れ高く挙げ遠く引き、害を避けて全うを得るの象、禍を避けて遠行する者吉なり、擒獲有らんと想うは則ち終に落空に帰す。

臨:旦生夕死,名曰嬰鬼,不可潛視。

夬の卦が臨の卦に変わる。早晨纔わかに出生して、傍晚に到れば便ち夭亡する、此のごとき小児を「嬰鬼」と作り呼びて、偷偷と看る可からず。此れ短促夭折、凶穢当に避くべきの象、謀る所久長し難く、病を問い孕を問う尤も当に警惕すべし。

觀:疾貧望幸,使伯南販。開牢擇羊,多得大牂。

夬の卦が観の卦に変わる。貧病に苦しみて時の來り運の轉ずるを盼望して、是に於て伯氏を打発して南に下りて貨を販らしむ。羊圏を打開して挑選せば、果して肥壮の母羊の「牂」を多く得たり。此れ苦尽きて利を得るの象、外に出でて経商し、貨物を擇取すれば必ず厚獲有らん。

噬嗑:長城驪山,生民大殘。涉井發難,唐叔為患。

夬の卦が噬嗑の卦に変わる。秦朝万里の長城を修築し驪山の陵墓を營造して、百姓摧殘せられて尽きんとせり。井の旁の細故に由りて禍難を引発して、唐叔一系の宗親を連ねても禍患と成れり。此れ民を労して怨を生じ、内乱微末より起るの象、大役を興し大事を挙ぐる者は必ず其の害を受けん。

賁:娶於姜呂,駕迎新婦。少齊在門,夫子歡喜。

夬の卦が賁の卦に変わる。姜姓呂氏の家に娶を求めて、車を駕して前に往きて新婦を迎接す。年少の斉国の女子已に門の前に到りて、男家の主人心に歓喜を満てり。此れ婚姻配を得るの象、嫁娶、盟を結び、約を締する倶に吉慶順遂なり。

剝:隨時草木,灌時葉起。扶疏條桃,長大盛美。華沷鑠疏。

夬の卦が剥の卦に変わる。草木時令に順應して生じて、澆灌時に及べば便ち葉を抽びて舒展す。桃樹の枝條扶疏して交映りて、漸漸長じて高大茂美と為りて、花光潑灑して鮮亮疏朗せり。此れ時を得て長ずるの象、凡そ事勢に順いて培養すれば、自ずから日に興盛して観る可からん。

復:姬姜悅歡,二姓為婚。霜降合好,西施在前。

夬の卦が復の卦に変わる。姬姓と姜姓両家歓悦して相得して、婚姻を結べり。古礼を依りて霜降の後に礼を成し好を合すれば、西施の如き佳人即ち眼前に在り。此れ良縁時に應じて成るの象、婚嫁、合作倶に佳偶美事を得る能し。

旡妄:戴笠獨宿,晝不見日。勤勞無妄,長勞悲思。

夬の卦が旡妄の卦に変わる。斗笠を頭に戴きて独り露宿して、白日も亦た太陽を見ず。終日勤苦操労して半点の虚妄非分の求有るを敢えてせず、長久労累して只だ満懐の悲思を落得せり。此れ辛労して獲少なく、孤苦にして自ら守るの象、正を守りて身を失わずと雖も、終に労して功寡なし。

大畜:始加元服,二十繫室。新婚既樂,伯季有德。

夬の卦が大畜の卦に変わる。初次冠礼を行い首服を戴くは、正に是れ《儀礼・士冠礼》の記する所の成人の始めにして、二十歳にして便ち妻を娶りて家を成せり。新婚和楽融融として、兄弟長幼各々徳行有り。此れ成人して室を立て、家門慶有るの象、婚娶、業を立て、身を進むる倶に恰も其の時を得たり。

頤:二至靈臺,文所止遊。雲物備具,長樂無憂。

夬の卦が頤の卦に変わる。冬至、夏至の両個の節気靈台に登りて雲物を観測するは、彼処は正に是れ《詩経・大雅・靈台》の詠ずる所の周文王游息の所なり。雲気物候一々斉備して、長久に歓楽して憂慮する所なし。此れ天に順い時に應じ、太平を安享するの象、凡そ事備有れば則ち久安にして患なし。

大過:久陰霖雨,塗行泥潦。商人休止,市空無有。

夬の卦が大過の卦に変わる。連日陰晦、霪雨止まずして、路上行走するに尽く泥濘積水なり。商販此れによって業を停めて出でず、集市空蕩蕩として貨物なし。此れ阻滞不通、買売断絶の象、出行と貿易倶に利あらず、宜しく暫く手を停めて晴を待つべし。

坎:城壞厭境,數為齊病。侵伐不休,君臣擾憂。上下屈竭,士民乏財。

夬の卦が坎の卦に変わる。城牆崩壞して辺境の上に壓りて、屢々斉国の進逼の禍患と成れり。侵伐停まずして、君臣上下惶擾憂懼して、国力屈尽枯竭にして、士人百姓倶に銭財没くなりぬ。此れ辺患息まず、国用匱乏の象、国事を問い財運を問う倶に凶を主とす。

離:南國盛茂,黍稷醴酒。可以饗養,樂我嘉佑。

夬の卦が離の卦に変わる。南方の国五谷盛茂にして、黍稷成熟して甜美の醴酒を釀成せり。以て賓客を宴享奉養するに足りて、歓歓喜喜として此の美好の福佑を領受す。此れ豊年養を得るの象、祭祀、賓を宴し、福を求むる倶に吉利なり。

咸:憂在心腹,內崩為疾。禍起蕭牆,意如制國。

夬の卦が咸の卦に変わる。憂患心腹の間に生じて、内裏崩壞して疾病と成れり。正に《論語・季氏》の説く所の禍蕭牆に起るが如くして、心の裏還た邦国を制馭せんと想えり。此れ内変將に作らんとして、外強く中幹なるの象、宜しく先ず内部を安頓し、親近の人の乱を生ずるを謹防すべし。

恆:朽根刖樹,花葉落去。卒逢大焱,隨風僵仆。

夬の卦が恒の卦に変わる。樹根朽爛し樹身砍傷せられて、花と葉紛紛として凋落す。終に又た大火烈焰に遇い、風に随いて倒伏僵死せり。此れ根本已に傷え、再び横禍に遭うの象、凡そ根基固からざる者は必ず傾覆に致る、尤も須らく意外の災を提防すべし。

遯:樹表為壇,相與笑言。午中不會,寵榮棄袚。

夬の卦が遯の卦に変わる。標木を樹起して祭壇を筑成して、衆人相聚まりて談笑す。可なりしも正午の約期に到りて會齊する能わず、恩寵榮華も亦た祓除の礼に随いて一倂に棄置せられり。此れ約會期を失し、榮寵中断の象、期望する所の事多半落空せん。

大壯:四足俱走,駑疲任後。兩戰不勝,敗於東楚。

夬の卦が大壮の卦に変わる。四条の腿一斉に奔跑するも、駑劣疲憊の馬只だ後頭に落つるのみ。两度交戦して未だ勝を取らず、終に東方の楚国に敗れり。此れ力任に勝えず、屡々戦い屡々北ぐの象、争競し比試する者利あらず、宜しく其の鋒芒を避くべし。

晉:執轡在朝,回還故處。麥秀傷心,叔父無憂。

夬の卦が晋の卦に変わる。馬繮を手執して朝に供職して、又た元来の位次に回れり。故国の麦苗秀发を見て、箕子の《麦秀歌》を作れるが如く傷心せりも、叔父の一輩却って安然として憂なし。此れ旧位に復帰し、時に感じて旧を懐うの象、悲慨有ると雖も身家咎有るに至らず。

明夷:夜長日短,陰為陽賊。萬物空枯,藏於北陸。

夬の卦が明夷の卦に変わる。黒夜漫長にして白昼短促にして、陰気陽気を侵害す。万物空虚枯槁して、倶に北方幽寒の地に潜蔵せり。此れ陰盛んに陽衰え、生機閉蔵の象、小人勢を得て君子宜しく隱るべし、謀る所顯發し難し。

家人:鳴鳩七子,均而不殆。長大成就,棄合於好。

夬の卦が家人の卦に変わる。《詩経・曹風・鳲鳩》の鳲鳩の七隻の雛鳥を養育して、用心均一にして懈怠せざるを詠ず。雛鳥長じて材を成して、一度離散の後又た重新に和好せり。此れ心を持つこと均平、家道興旺の象、子を教え、家を理め、親族を和睦する倶に吉なり。

睽:三羊上山,馳至大原。黃龍負舟,逐到夷陽。宛其玉囊。

夬の卦が睽の卦に変わる。三隻の羊山岡に登上して、一路奔馳して広闊の高原に到れり。黄龍舟船を背負して、平坦向陽の地に追随して、宛然として温潤の玉囊の如し。此れ勢に乘じて上に行き、神物の相助有るの象、遠行遷徙して宝を獲て利を得るを望む可し。

蹇:首足易處,頭尾顛倒。公為雌嫗,亂其蠶織。

夬の卦が蹇の卦に変わる。頭と脚位置を換えられて、頭尾整个として顛倒せり。一家の主竟に婦人の活計を做して、蚕を養い紡織する事を皆な攪乱せしめり。此れ尊卑序を失し、職分錯乱の象、各々其の位を失えば則ち百事成ることなし、宜しく名分を端正すべし。

解:登高望家,役事未休。王事靡盬,不得逍遙。

夬の卦が解の卦に変わる。高處に登上して家郷を遥望するも、差役の事未だ完らず。正に《詩経・唐風・鴇羽》の嘆ずる「王事靡盬」の如く、公家の差事止息なくして、自在安閑を得ず。此れ身役外に在り、帰期卜し難きの象、行人帰らんと思えど未だ帰る能わず。

損:畏昏不行,候旦待明。燎獵受福,老賴其慶。

夬の卦が損の卦に変わる。天黑を怕りて身を動かさず、破暁天明を等候して走る。時に到りて火を挙げて圍獵して福気を蒙受して、年老の人も亦た此の喜慶を仰賴せり。此れ重を持して時を待ち、後に動きて吉を得るの象、凡そ事躁進せざれば便ち獲有りて、尤も老成の人に利なり。

益:孤獨特處,莫依無輔,心勞志苦。

夬の卦が益の卦に変わる。孤零たる一個人独り処りて、依靠なく輔助なくして、心力交瘁にして志意苦悶せり。此れ孤立して援なきの象、謀る所援手を缺き、須らく先ず同心の人を結交せねばならず、否ずんば則ち只だ徒らに心を労するのみ。

姤:山石朽破,消崩墜墮。上下離心,君受其祟。

夬の卦が姤の卦に変わる。山上の岩石朽壞破裂して、消蝕崩塌して墜落して下れり。上下心を離れ徳を離れて、君主此れによって禍祟に遭受せり。此れ根基崩解、人心渙散の象、上位に居る者は須らく臣下の背离して災を招くを防ぐべし。

萃:文母聖子,無疆壽考,為天下主。

夬の卦が萃の卦に変わる。《詩経・周頌》の頌ずる太姒のごとき徳美の「文母」有りて、又た聖明の兒子を生下して、無窮の高寿を享有して、天下の主と成れり。此れ母賢く子聖にして、福祚綿遠の象、子嗣を問い貴顯を問う倶に大吉なり。

升:倔傀如儀,前後相違。言如鱉咳,語不可知。

夬の卦が升の卦に変わる。神情倔强怪異なるも、装うて礼仪に合すの模様を出して、前後の言行自ら相背す。話を説けば鳖の咳嗽するが如く、含混にして人をして明らかに聴得しめず。此れ表裏一ならず、言語通ぜざるの象、人と交涉して実情を得難し、軽信すべからず。

困:五龍俱起,強者敗走。露我苗稼,年歲大有。

夬の卦が困の卦に変わる。五條の龍一斉に興起して雨を降らせば、強横の者反って敗退逃走せり。雨露我が禾苗庄稼を滋潤して、此の年大いに豊収を獲たり。此れ群賢倂び作り、邪正に勝たざるの象、農事と財を求むる倶に危を轉じて豊と為す能し。

井:雷除善猛,雖為功醫。驥疲鹽車,出於御棰。

夬の卦が井の卦に変わる。雷霆の汚穢を掃除する最も迅猛にして、説くと雖も亦た算えて功を建て疾を療す。可なりしも千里の馬却って《戦国策》の記する所の如く鹽車を拉きて疲れ、還た車夫の鞭打を挨らん。此れ大材小用、功有りて反って屈を受くるの象、才高き者其の位を得ず、須らく伯楽に遇いて方に困を脱する能し。

革:江南多蝮,螫我手足。冤煩詰屈,痛徹心腹。

夬の卦が革の卦に変わる。江南一帯蝮蛇多くして、我が手脚を螫傷せり。冤屈煩乱、曲折して伸び難く、疼痛一直に心腹に透達せり。此れ暗害に遭い、冤情身に纏うの象、南行尤も須らく毒物と口舌の傷を提防すべし。

鼎:心無可據,射鹿不得。多言少實,語無成事。

夬の卦が鼎の卦に変わる。心の裏凭据すべき主意なく、鹿を射るも亦た中たらず。説くこと多くして実処に落ること少なく、空話事を办成る能わず。此れ心志定まらず、言実に過ぐるの象、謀る所成ること難し、宜しく言を少くして行を篤くすべし。

震:君明臣賢,鳴求其友。顯德之政,可以履土。

夬の卦が震の卦に変わる。君主聖明にして臣子賢能にして、《詩経・小雅・伐木》の詠ずる鳥児の鳴叫して友を求むるが如く彼此感召す。彰明せる徳義の政令を施行せば、便ち安然として疆土を据有する可し。此れ君臣相得の象、賢を求め、事に任じ、土を守る倶に吉なり。

艮:安土宜官,一日九遷。踰越群等,牧養常山。

夬の卦が艮の卦に変わる。本土に安居して官に居るに宜しくて、一天の内連ねて九級に升せり。同輩衆人を超越して、常山の地の牧守に出任せり。此れ遷擢神速の象、官を求め職を謀る者大吉にして、級を越えて超升するを望む可し。

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