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咸の林(咸卦六十四林)

汉 · 焦延寿 · 第35巻 / 71

作盤ガイド: 大衍筮法, 六爻納甲の立卦

中孚:三頭六目,道畏難宿。寒苦之國,利不可得。

咸の卦が中孚の卦に変わる。三つの頭に六つの眼の怪物が、路上人を畏れしめて投宿すること難し。苦寒の国に到れば、利益も得る能わず。この林は行途に怪に遇い寄宿に門なく、往く所の地が貧瘠にして獲なきことを主とし、凶である。

小過:燕雀御茅,以生孚乳。昆弟六人,歡好孝悌。各同心願,和悅相樂。

咸の卦が小過の卦に変わる。燕雀が茅草を衔えて来り巣を築き、孵化して幼雛を生養す。兄弟六人は歓好和睦して孝順友愛、各人の心願は一致し、和悦に相处して快楽なり。この林は巣を営みて成あり子嗣が繁衍し、手足が同心して家門が和楽なることを主とし、大吉である。

既濟:文君德義,仁聖致福。年無胎夭,國富民實。臥者在室,曾累益息。

咸の卦が既済の卦に変わる。文徳ある君主が徳義を秉持し、仁聖を以て福沢を招来す。年々胎死夭折の事なく、国家は富足し百姓は充実し、病を臥す室中の人さえ一層々と康復して長養す。この林は徳政の感召と人口の蕃息、家国の殷富を主とし、大吉である。

未濟:秋梁未成,無以至陳。水深難涉,使我不前。

咸の卦が未済の卦に変わる。秋の橋梁は未だ修成せず、陳国に到達すること能わず。水は深くて渉り難く、我をして前進すること能わざらしむ。この林は津梁が未だ通ぜず去路が阻まるるを主とし、事を辦するは時候未だ至らず、待つに宜しく進むべからず。

恒の林(恒卦六十四林)

恆:黃帝所生,伏羲之宇。兵刃不至,利以居止。

恒の卦が自ら変じても恒の卦のままである。彼処は黄帝の誕生の地、伏羲の居住の域である。兵器刀刃も到る能わず、正に安居止息に利あり。この林は地を擇びて霊秀なり、兵禍を遠く離れ、宅を安んじ久しく処るに宜しきことを主とし、吉である。

乾:登墀踒足,南行折角。長夜之室,不逄忠直。

恒の卦が乾の卦に変わる。台階に登る時に足を扭傷し、南に行きてまた角を折断す。長夜明けざる屋に住みて、忠誠正直の人に遇わず。この林は歩を挙げて傷を受け锋芒が挫を受け、居処は昏暗にして良友なきことを主とし、凶である。

坤:燕雀衰老,悲鳴入海。憂在不飾,差池其羽。頡頏上下,寡位獨處。

恒の卦が坤の卦に変わる。燕雀が衰老して、悲鳴しながら海上に飛び往く。憂愁は羽毛が復た整飭せざるに在り、長短は参差として、上下に翻飛し孤孤零零として一隅に独処す。差池其羽は《詩経・邶風・燕燕》に出る。この林は年老い力衰えて飘零して所を失い、孤单して偶なきことを主とし、凶である。

屯:關門除憂,伯自外來。切切之患,我心得歡。(切切疑當作忉忉)

恒の卦が屯の卦に変わる。門を関ざして憂愁を除けば、伯氏が外より帰り来る。もとの憂切の患が消解して、我が心は歓喜を得た。校語に「切切」は疑わしく「忉忉」と作るべしという、憂思不安の貌である。この林は戸を閉じて静を守れば憂患が自ら消え、親人が帰り来たり、憂より喜に転ずることを主とし、吉である。

蒙:郊耕擇耜,有所疑止。空虛無子,蒙昧不知。

恒の卦が蒙の卦に変わる。郊外に往きて耕し耒耜を擇ぶも、心中に迟疑あれば即ち停頓す。家里は空虚にして子嗣なく、蒙昧にして其の缘故を明らかにせず。この林は猶疑不決して事業が停頓することを主とし、また子息が艱難なるを主とし、不吉である。

需:張牙切齒,斷怒相視。禍起蕭牆,牽引吾子。患不可解,憂驚吾母。

恒の卦が需の卦に変わる。牙を張り歯を切りて、忿怒して相視る。禍事は自家の屏牆の内より起こり、我が兒子に牵连す。禍患は解けず、また我が母を驚擾す。禍起蕭牆は《論語・季氏》に出る。この林は内訌が禍を成し家人に株連し、憂驚が解け難きことを主とし、大凶である。

訟:履不容足,南山多棘。毋出房閨,乃無病疾。

恒の卦が訟の卦に変わる。脚を落す処は一只の足を容れるも能わず、南山上にまた満ち満ちて荊棘あり。内室を出るなかれ、乃ち病を生じ害を受けざらん。この林は処境が局促にして外に凶険多く、静かに閨門を守りて疾患を避くるに宜しきことを主とする。

師:牛騂亡子,鳴於大野。申後陰微,還歸其母。

恒の卦が師の卦に変わる。赤色の母牛が小牛を失いて、曠野の上に哀鳴す。申后は勢弱く位微なり、ただ己の母家に帰るのみ。周幽王が申后を廃したは、《詩経》と《史記》に記する旧事である。この林は子を失い离散し、后妃が寵を失い、棄てられて宗に帰ることを主とし、凶である。

比:龍生於淵,因風昇天。章虎炳文,為禽敗軒。發輗溫谷,暮宿崑崙,終身無患。光精照耀,不被患難。

恒の卦が比の卦に変わる。龍は深淵の中に生まれ、風勢に乗じて天空に升る。斑斕の虎は焕然の花紋を顕し、禽獣を捕獲して車軒を毁壊す。清晨に温谷より啓程し、傍晚に崑崙に投宿し、終身に禍患なし。光華は四方を照耀して、患難に遭わず。「大人虎変して其の文炳たり」は《周易・革》に出る。この林は勢に乗じて騰達し光彩顕赫にして、遠行に礙なく終身安泰なることを主とし、大吉である。

小畜:既嫁宜吉,出入無咎。三聖並居,國安無災。

恒の卦が小畜の卦に変わる。女子はすでに出嫁し、吉慶に宜しく、出入に皆過ちなし。三位の聖人が同じく一朝に処して、国家は安定にして災禍なし。この林は婚嫁が宜を得て行止に咎なく、賢者が位に在りて境内が平安なることを主とし、大吉である。

履:北陸陽伏,不知黑白。君子傷讒,正害善人。

恒の卦が履の卦に変わる。太陽が北陸に行きて、陽気は潜伏し、人は黒白を分つ能わず。君子は讒言に中傷され、正直の名がかえって善人を加害するに用いらる。北陸は《左伝・昭公四年》のいわゆる日が虚危に在り隆冬に氷を蔵する時である。この林は是非が混淆して讒佞が賢を害することを主とし、凶である。

泰:一身兩頭,延適二家,亂不可治。

恒の卦が泰の卦に変わる。一つの身に二つの頭を生やし、一人の人を二家に嫁がすことを許す。紛乱して整治する能わず。この林は政が両門より出て心志が二属し、頭緒が混乱して収拾し難きことを主とし、凶である。

否:牝馬牡駒,歲孳不休。君子衣服,利得有餘。

恒の卦が否の卦に変わる。母馬と公駒は年々生息して歇まず。君子の衣裳は斉備して、得る所の利益は绰绰として余りあり。この林は畜産が蕃息し衣食が豊足して、財利に余りあることを主とし、吉である。

同人:南行懷憂,破其金輿。安坐故廬,乃無殃患。

恒の卦が同人の卦に変わる。南に遠行して心に憂愁を懐き、あの華美の車を弄り壊す。安穏に旧屋に坐するのみこそ、災殃禍患なからん。この林は出行して財を破り憂を招くを主とし、旧を守り家に居れば平安なり、静に宜しく動すべからず。

大有:憂人之患,履傷浮顏。為身禍殘,篤心自守。與喜相抱。

恒の卦が大有の卦に変わる。他人の禍患を替わって憂え、脚下に傷を受けて愁容が面頬に浮かぶ。本より已に自身に禍残を招けり。若能く篤実に心を用い堅守して自ら持せば、便ち喜慶と相拥することを得ん。この林は初め多事によって損を招き、転じて篤く本分を守れば終に喜慶を得ることを主とし、先凶後吉である。

謙:咸陽辰巳,長安戌亥。丘陵生心,非魚鰍市。可以避水,終無凶咎。

恒の卦が謙の卦に変わる。咸陽は辰巳の位に当たり、長安は戌亥の方に居る。心中に主意を打ち定めて丘陵の高き処に遷往せんとす、彼処は魚鰌の聚集する水郷にあらず。かくすれば便ち水患を躲くるを得、終竟凶険の過ちなし。この林は高地を擇びて居れば水厄を避くべく、趨避に法を得れば咎なきことを主とする。

豫:不知何孫,夜來扣門。我慎外寇,兵戎且來。

恒の卦が豫の卦に変わる。何れの家の子孫か知らず、夜に来りて門を敲く。我は謹慎して外来の盗寇を防備す、兵戈の战事がまさに到らんとす。この林は夜に明らかならざる来客あり外患が將に起こらんとす、須く厳に戒備を加うべし、凶である。

隨:昧旦不明,目暗無光。喪滅失常,使我心傷。

恒の卦が隨の卦に変わる。天が將に明けんとすれど仍だ明けず、眼前は昏暗にして光亮なし。喪亡毀滅して常度を失い、我が心を悲傷せしむ。昧旦は《詩経・鄭風・女曰鶏鳴》に出る。この林は時運が晦暗で家に喪亡あり、悲傷を免れ難きことを主とし、凶である。

蠱:江陰水側,舟楫破乏。狐不得南,豹無以北。雖欲會盟,河水梁絕。

恒の卦が蠱の卦に変わる。江南の水辺に在りて、船只の桨艪は残破匱乏す。狐狸は南岸を過ぐ能わず、豹子も北辺に到る能わず。会盟に往かんと欲すれど、河上の橋梁は断えたり。この林は舟車が備わらず南北が隔絶して、約会が成らざることを主とし、凶である。

臨:神之在丑,逆破為咎。不利西南,商人休止。

恒の卦が臨の卦に変わる。神煞が丑位に居り、冲逆破害して即ち災咎を成す。西南の方向は利あらず、商人はただ歇まりて行かざるのみ。この林は方位の神煞が相冲し、出行と経商とに皆暫く止むに宜しく、妄動は利あらざることを主とする。

觀:然諾不行,欺訟誤人。使我虛宿,夜歸溫室。神怒不直,鬼擊無目。欲求福利,適反自賊。

恒の卦が觀の卦に変わる。応許の言は肯んじて兌現せず、欺詐の訴訟を以て他人を貽誤す。我を害して空しく一宿を待たしめ、夜に独り温暖の屋に帰る。神明は彼が正直ならざるを惱怒し、鬼魅は暗に撃つも眼長からず。もとより福利を求めんと欲したに、恰恰かえって自らを害したり。この林は信を失し人を欺きて神鬼ともに怒るを主とし、福を求めてかえって禍を招く、大凶である。

噬嗑:攘臂拯肘,怒不可止。狼戾愎很,無與為市。

恒の卦が噬嗑の卦に変わる。袖子を捋し胳膊を擧げて、怒気は止む能わず。性情は凶戾にして剛愎乖張なれば、彼と売買を為さんとする人なし。この林は暴躁自用にして人と和を失い、交易が成らざることを主とし、凶である。

賁:販馬買牛,會值空虛。利得尟少,留連為憂。

恒の卦が賁の卦に変わる。馬を販りまた牛を買うに、偏に市面の空虚に赶上ぐ。獲る所の利は極めて少なく、滞留して外に在りかえって憂愁を成す。尟は即ち鮮で、稀少の意である。この林は経商が其の時に逢わず獲る所無幾にして、羈留して憂を生ずることを主とし、不吉である。

剝:高樓陸處,以避風雨。深堂邃宇,君安其所。牝雞之息,為我利福。請求弗得。

恒の卦が剝の卦に変わる。高樓を高地の上に建てば、風雨を避くることを得。深広の厅堂屋宇に、主人は其の中に安居す。母鶏が蛋を生み孳息して、我が利益と福気と為る。ただ請托する所有れど辦らず。牝鶏はもと司晨の戒あれど、ここでは其の生養の利を取る。この林は居処が安穏で家中に生息して余りあることを主とすれど、ただ他に干求して応ずるなし、吉の中に略々不足あり。

復:阿衡服箱,太乙載行。迯時歷舍,所求吉昌。

恒の卦が復の卦に変わる。阿衡と号する伊尹が車を駕し馱載し、太乙の神が車に乗りて行く。時辰に順応して列舍を歴れど、求むる所の事は吉慶昌盛す。服箱は《詩経・小雅・大東》に出る。この林は神明と賢佐の相助を得、行程が時日に合して、謀事が亨通することを主とし、大吉である。

旡妄:飛來之福,入我居室,以安吾國。

恒の卦が无妄の卦に変わる。意外に飛来した福気が、我が居室に入りて、我が邦国を安定せしむ。この林は福が天より降りて求めずして至り、家国ともに安んずることを主とし、大吉である。

大畜:不孝之患,子孫為殘。老耄莫養,獨坐空垣。

恒の卦が大畜の卦に変わる。不孝の禍患に遭いて、子孫はかえって自家を残害する人と成る。年老い力衰えて奉養する人なく、ただ独り空牆の下に坐すのみ。この林は家門が教を失い老いて依る所なきことを主とし、孤苦凄涼たり、凶である。

頤:南過棘門,駒裂我冠。斷衣傷襦,使君恨憂。

恒の卦が頤の卦に変わる。南に往きて棘門を経るに、馬駒が我が帽子を撕裂す。衣裳は扯断され短襖は弄壊され、人をして又恨まし憂えらしむ。この林は行途に損を受け衣冠が整わず、羞を蒙り恨を含むことを主とし、不吉である。

大過:重門射平,不知所定。質疑蓍龜,孰可避火。明神答報,告以犧牲。宜利止居。

恒の卦が大過の卦に変わる。層々の門戸の中に在りて射て平允を求むれど、心に終始主意を定むる能わず。ここに蓍草と龟甲を以て疑難を卜問し、何如にすれば火災を躲け得るかを問う。神明は回答を作し、犠牲を以て祭祷せよと指示す。かくすれば便ち歇まりて安居するに宜し。この林は疑難は当に決すべき時に卜に問い、神示に依りて攘祭して後に静守すれば、災を免るべきことを主とする。

坎:麟麑鳳雛,安樂無憂。捕魚河海,利踰徙居。

恒の卦が坎の卦に変わる。麒麟の幼崽、鳳凰の雛鳥は、安楽にして憂愁なし。江河大海に往きて魚を捕れば、利を得ること多くして遷り居るに値う。麟鳳は古人の最も看重する祥瑞である。この林は家に祥瑞あり後輩が安吉で、また漁猟に大いに財利を得ることを主とし、大吉である。

離:新田宜粟,上農得谷。君子懷德,以乾百祿。

恒の卦が離の卦に変わる。新たに開墾した田は粟を種るに宜しく、上等の農夫は好穀を収む。君子は心に徳行を懐きて、これによって百様の福禄を求め得る。干禄百福は《詩経・大雅・假楽》の類の頌詩の成語である。この林は田事が豊收し徳を修めて禄を得、財福両全することを主とし、大吉である。

咸:簪短帶長,出思苦窮。瘠蠡小瘦,以病之癃。

恒の卦が咸の卦に変わる。髪簪は短すぎ衣帯は長すぎて、門を出る時に心に満ちて己の窮苦のみを念ず。身は瘦弱枯瘠にして、病によって残廃と成る。この林は衣冠が称わず貧病が交加し、身体が羸弱なることを主とし、凶である。

遯:爭訟之門,不可與鄰。出入有為,憂生我患。疑當作生我憂患)

恒の卦が遯の卦に変わる。官司を好む人家とは、彼と隣居を為すべからず。出入の間に稍々作為あれば、憂愁が便ち禍患を生ず。校語に末句は疑わしく「我が憂患を生ず」と作るべしという。この林は訟門に近ければ必ず牽累を受け、妄りに挙動あれば憂を招くを主とし、遠く避け静かに守るに宜し。

大壯:朽根枯株,不生肌膚。病在心腸,日以燋枯。

恒の卦が大壯の卦に変わる。朽爛の根、枯死の樹桩は、再び新たな皮肉を生ずる能わず。病根は心腸の深き処に在りて、日一日と焦灼枯槁す。この林は根本が已に壊れ生機が断絶し、宿疾の内傷が日に甚だしくなることを主とし、大凶である。

晉:雨師娶婦,黃岩季女。成禮就婚,相呼南上。膏我下土,年歲大茂。

恒の卦が晋の卦に変わる。雨師が新婦を迎娶す、娶るは黄岩の小女兒なり。婚礼を行い畢りて親を成し、相呼びて南に路に上る。雨水は大地を潤沢し、年成は十分に豊茂なり。この林は婚姻が和合し雨暘が時に応じ、五穀が豊登することを主とし、大吉である。

明夷:冬采薇蘭,地凍堅難。利走失北,暮無所得。

恒の卦が明夷の卦に変わる。冬に往きて薇菜蘭草を采るに、地は凍えて硬く下手し難し。奔走して利を求むれど方向を迷失し、天黑るるに及びて一無所得なり。この林は時令に合せず方向を已に失ひ、労して功なきことを主とし、凶である。

家人:昧之東域,誤過虎邑。失我熟(一作熊)羆飢無所食。

恒の卦が家人の卦に変わる。昏昧の中に東辺の地界に走り至り、誤りて虎狼の盤踞する城邑に闖入す。我が熊羆の獵獲を落し去りて、餓えて食べる物なし。「熟」の字は一本に「熊」と作る。この林は険地に誤入して獵獲を尽く失い、飢困が交加することを主とし、凶である。

睽:日莫閉目,隨陽休息。箕子以之,乃受其福。舉事多言,必為悔殘。

恒の卦が睽の卦に変わる。日暮に目を閉じて安歇し、陽気の消長に順いて休息す。箕子は正にかくのごとく自ら晦して全身を求め、これによって福沢を承受した。箕子が狂を佯りて禍を免れたるは、《史記・宋微子世家》に見える。この林は韜晦して静を守る者は福を得、多言多事の者は必ず悔残を致すことを主とする。

蹇:蓼蕭瀼瀼,君子龍光。鳴鸞噰噰,福祿來同。

恒の卦が蹇の卦に変わる。蓼蕭の上の露水は濃重にして、君子は龍のごとき光彩あり。車上の鸞鈴は噰噰として鳴り、福と禄が一斉に到来す。語は《詩経・小雅・蓼蕭》に本づく。この林は君臣が歓宴し恩沢が下に逮び、福禄が並び集まることを主とし、大吉である。

解:鳥飛無翼,兔走折足。雖不同會,未能利達。

恒の卦が解の卦に変わる。鳥は飛ばんと欲して翅膀なく、兎は走らんと欲して足を折る。両者は一処に在らざれど、同じく順利に通達する能わず。この林は憑藉に乏しく行動が阻まるるを主とし、求むる所は目的に到らず、凶である。

損:五勝相賊,火得水息。精光消滅,絕不能續。

恒の卦が損の卦に変わる。五行は相克相害し、火は水に遇えば即ち熄滅す。精華光亮は一斉に消失し、断絶して接続する能わず。五勝は即ち五行相勝の説である。この林は気数が相克して光明が熄滅し、事業が断絶して継ぐこと難きを主とし、凶である。

益:東資齊魯,得騂大馬。便辟能言,市人善賈。鄰人並戶,請火不與。人道閉塞,鬼祟其宇。

恒の卦が益の卦に変わる。東辺の斉魯の一帯に往きて貨を取れば、赤色の大馬を得る。巧言善弁にして能く説き能く道えば、市上の人は皆経商に善し。しかし隣の両家は緊く挨りて、火種を討ちに往きても肯んじて与えず。人情道路は閉塞して、鬼祟が便ち屋裏に盤踞す。この林は貿易は獲る所有るも、人情は浇薄にして家宅は寧らかならず、吉凶相半ばすることを主とする。

夬:爭雞失羊,亡其金囊。利不得長,陳蔡之患。賴楚以安。

恒の卦が夬の卦に変わる。一只の鶏を争うて羊を失い、錢袋さえ一並びに丟失す。利益は長久する能わず、正に孔子が陳蔡の間に困せられた禍患のごとく、全く楚国の来援に頼りて乃ち安寧を得たり。事は《史記・孔子世家》に見える。この林は小に因りて大を失い一時困を受け、外力の相救に頼りて方に険を脱することを主とし、先凶して後に安んず。

姤:九登十陟,馬跌不前。管子佐之,乃能上山。

恒の卦が姤の卦に変わる。連續して九次十次を攀登するも、馬は跌倒して上る能わず。管仲のごとき人が傍より輔佐あって、ようやく山頂に登ることを得た。この林は独力では成し難く屡々試み屡々挫け、賢者の相助を得て乃ち事を成す能くすることを主とする。

萃:東鄰愁苦,君亂天紀。日貪祿寵,必受其咎。一本有意合志同,內外相從,見吾伯公。

恒の卦が萃の卦に変わる。東辺の隣居は愁苦に堪えず、君主は天時綱紀を擾乱す。日々俸禄恩寵を貪れば、必ずこの災咎を承受せん。一本にこの下に「意合志同、内外相従、吾が伯公を見る」の数句ありて、上下が同心し内外が相従いて伯公を見るを得ると説く。この林は上が其の道を失い禄を貪りて禍を招くを主とすれど、ただ同心に相従う者は尚お転機あらん。

升:三狸捕鼠,遮遏我前。死於壞域,不能脫走。

恒の卦が升の卦に変わる。三匹の野猫が合力して鼠を捕え、我が前路を堵えて死ぬほど固めた。終に残破の囲欄の裏に死して、逃げ脱ぐことを得ず。この林は四面に囲を受け前路が断絶して、身を脱する所なきことを主とし、凶である。

困:狼虎爭強,禮義不行。兼吞其國,齊魯無王。

恒の卦が困の卦に変わる。豺狼猛虎が強を争い勝を鬥い、礼義は推行する能わず。強者は兼併して他人の国家を吞没し、斉魯の一帯に共主なし。この林は強梁が横行して礼崩れ楽壊れ、弱者が吞まるることを主とし、凶である。

井:五嶽四瀆,合潤為德。行不失理,民賴恩福。

恒の卦が井の卦に変わる。五岳と四瀆が共同して天下を滋潤せしむるは、これ即ち彼らの功德である。行事に常理に違わざれば、百姓はこれによって恩福を蒙受す。五岳四瀆は歴代国家が常に祀る山川である。この林は恩沢が普く施され挙措が合宜して、衆庶が安を得ることを主とし、吉である。

革:六月種黍,歲晚無雨。秋不宿酒,神失其所。先困後通,與福相從。

恒の卦が革の卦に変わる。六月に至りて乃ち黍の種を下し、年底に到ればまた雨なし。秋祭の時は隔宿の酒さえ備え出せず、神霊は在るべき享祀を失う。幸いに先に困頓して後に亨通し、福気は終竟相随いて来る。この林は播種が時を失し祭享が備わらず、前路は困なれど後に転機あることを主とし、先凶後吉である。

鼎:騋牝龍身,日取三千。南上蒼梧,與福為婚。道理夷易,身安無患。

恒の卦が鼎の卦に変わる。七尺の高き母馬は龍のごとき身躯を生やし、一日に三千里を走る能し。これに乗りて南に蒼梧に上り、福気と婚姻を結ぶ。道路は平坦にして行きよく、身体は安康にして禍患なし。騋牝は《詩経・鄘風・定之方中》に出る。この林は良驥を得て遠行し佳縁を締結し、途は順にして身は安んずることを主とし、大吉である。

震:出入休居,安止無憂。上室之歡,虐為季殘。

恒の卦が震の卦に変わる。出で入りし歇息し安居して、其の所に止まりて憂愁なし。ただ上房の裏のあの歓楽は、強を恃み暴虐を以て年幼の一輩を害したり。この林は起居は安穏にしてもとより憂なかるべきも、家中に強を以て弱を凌ぎ、少き者が傷を受くるを主とし、吉の中に損あり。

艮:南山昊天,刺政閔身。疾病無辜,背憎為仇。

恒の卦が艮の卦に変わる。《詩経・小雅》に《節南山》の類の篇章あり、蒼天を仰望して弊政を譏刺し己を哀憫す。辜なきに疾病に遭い、背裏の憎恨は仇怨を結ぶ。この林は政乱れて身危うく暗に怨を結び、疾病が端なく至ることを主とし、凶である。

漸:潼頓東徙,道路跛踦。日辰不良,病為祟禍。

恒の卦が漸の卦に変わる。潼関の一帯に停頓した後、東に遷移するに道路は崎嶇にして行き難し。日辰を擇ぶに善からざれば、病痛は鬼祟の作り出す禍害と成る。この林は遷徙に日を擇ぶに吉ならず途中に艱険あり、疾病が身に纏わるることを主とし、凶である。

歸妹:兄征東燕,弟伐遼西。大克勝還,封居河間。

恒の卦が歸妹の卦に変わる。哥哥は出征して東辺の燕地に往き、弟弟は遼西を討伐す。大いに勝ち全勝して帰り、封を受けて河間に住す。この林は兄弟が並び出でて功を立て征伐して勝を得、封を受けて地を得ることを主とし、大吉である。

豐:播輪折輻,馬不得行。豎牛之讒,賊其父兄。布衣不傷,終身無患。

恒の卦が豐の卦に変わる。車輪は搖れ散らばり輻條は折断し、馬も走る能わず。豎牛が讒を進めて、己の父と兄を害したり。豎牛が叔孫氏の父子を譖殺したは、《左伝・昭公四年》に見える。幸いに布衣平民は牵连を受けず、終身に禍患なし。この林は貴家が讒に遭い内乱するを主とすれど、分を安んじ素を守る人はかえって保全を得る。

旅:駕之南海,晨夜不止。君子勞罷,僕伕憔苦。

恒の卦が旅の卦に変わる。車を駕して南海に往き、清晨より深夜に至るまで肯んじて停歇せず。君子は労累疲憊し、車夫も憔悴困苦す。この林は奔波に度なく人馬俱に疲れ、行役が辛苦なることを主とし、不吉である。

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