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咸の林(咸卦六十四林)

汉 · 焦延寿 · 第38巻 / 71

作盤ガイド: 大衍筮法, 六爻納甲の立卦

革:舉袂覆目,不見日月。衣衾杖幾,就其夜室。

大壮の卦が革の卦に変わる。衣袖を擡げて眼を遮り、日月を見ず。衣衾と杖几を備え、彼の長夜の墓室に走り入る。夜室は即ち幽宅。この林は光明断絶、喪具已に備わり、是れ土に入るの象、大凶である。

鼎:長尾踒跎,畫地為河。深不可涉,絕世之比。憫然憤息。

大壮の卦が鼎の卦に変わる。長尾を拖きて跚跚前せず、地に一線を画して河と為す。深くして渉る能わず、世と隔絶するが如し。只だ憐憫憤懣に嘆息するのみ。画地為牢の類の比喻は、自ら障碍を設くるを説く。この林は自ら手脚を縛り、寸步も行難く、隔絶孤憤するを主とし、凶である。

震:晨風文翰,火舉就溫。昧過我邑,羿無所得。

大壮の卦が震の卦に変わる。晨風鳥と文彩斑斕の錦鶏は、火光の燃起を見て湊り近づき暖を取る。昏昧中に我が城邑を経過するも、后羿も一物も獲ず。《詩経・秦風・晨風》は正に此の鳥の疾飛を詠ず。この林は禽鳥暖に趨りて自ら投ずるも、猟者は反って空手して帰る、得失人意表に出ず。

艮:出入節時,南北無憂。亟行所逐,在外來歸。(亟行所逐又作行者亟至)

大壮の卦が艮の卦に変わる。出入倶に時節に合い、南来北往倶に憂愁なし。急切追趕の事は着落有りて、外に在る人も帰り来れり。校語に「亟行所逐」は一に「行者亟至」と作ると。この林は行止度有り、四方通達し、遠人速やかに帰るを主とし、吉である。

漸:陽氏狂惑,季孫亂潰。陪臣執政,平子俱折。季心不快。

大壮の卦が漸の卦に変わる。陽虎狂妄惑乱し、季孫氏此れによって潰散失序せり。家臣国政を執掌し、季平子一系も連れて一同に折損し、季氏心中甚だ痛快ならず。陪臣執国命は《論語・季氏》に出る。この林は家臣権を越え政を乱り、主家損を受け、上下倶に安んぜざるを得ず、凶である。

歸妹:五鳥六鴟,相對蹲跂。禮讓不興,虞芮爭訟。

大壮の卦が帰妹の卦に変わる。五隻の鳥、六隻の鴟鴞は、相対して蹲踞踮立す。礼譲の風興らず、虞・芮の両国が田界の為に官司を打起するが如し。虞芮は文王の庭に質成す、《詩経・大雅・綿》に見る。この林は群小相対峙し、礼譲廃弛して、訟争を興起するを主とし、凶である。

豐:願念所生,隔在東平。遭離滿沸,河川決潰。幸得無恙,復生歸室。

大壮の卦が豊の卦に変わる。己を生養する父母を思念するも、人は東平に隔てられ。禍乱沸騰に遭逢し、河川口を決し堤を潰す。所幸平安恙なく、生路を重獲して家中に帰る。この林は親人阻隔、水乱交わり逼るを主とし、終に険を脱し家に還る、凶中より吉に転ず。

旅:追獵東走,兔迯我後。吾銳不利,獨空無有。

大壮の卦が旅の卦に変わる。東に往きて獵物を追えば、兎子は却って我が背後より溜走す。我が鋒刃銳利足らず、孤零零として一物も得ず。迯は即ち逃。この林は追逐落に空しく、器鈍く力弱く、白忙一場を主とし、凶である。

巽:犬吠非主,上下渾擾。敵人襲戰,閔王迯走。

大壮の卦が巽の卦に変わる。狗は主人に非ざる人に対して狂吠し、上上下下一片混亂たり。敵人偷袭して戦を開き、斉閔王只だ出逃するを得ざりき。燕将楽毅の斉を破り閔王出奔せしは、《史記・田単列伝》に見る。この林は内外擾攘、猝に敵襲に遭い、君主逃亡するを主とし、大凶である。

兌:嵩高岱宗,峻直且神。觸石膚寸,千里蒙恩。

大壮の卦が兌の卦に変わる。嵩山と泰山は、高峻挺直にして神霊有り。雲気山石に触れて湧出し、初めは一寸の厚さなりしが、転眼千里を滋潤して、衆人同じく恩沢を蒙る。触石而出、肤寸而合は《公羊伝・僖公三十一年》に出る。この林は徳名山の如く、恩沢広く被り、小より大に及ぶを主とし、大吉である。

渙:陳魚觀社,狼虎踰距。為民開緒,亡其祖考。

大壮の卦が渙の卦に変わる。魚貨を陳列し社祭を観るも、狼虎は却って界限を越過せり。本より百姓の為に頭緒を開かんと欲するも、反って祖宗基業を喪失せり。魯隠公の棠に矢魚し、荘公の斉に如きて社を観たるは、皆《春秋》の其の非礼を譏るの事。この林は遊観に耽り、礼法を逾越し、惠民の名有ると雖も其の祖業を失うを主とし、凶である。

節:四壁無戶,三步一止。東西南北,利不可得。

大壮の卦が節の卦に変わる。四面皆な墻壁にして門戸なく、歩三步走れば一停しなければならず。東西南北何れの辺に於いても、利益皆得る能わず。この林は四面壅塞、寸步行くこと難く、利を謀るに門なし、凶である。

中孚:求君衣裳,情不可當。觸諱西行,為伯生殃。君之上安,得生安存。

大壮の卦が中孚の卦に変わる。主君に衣裳を求取するは、情面上実に承け難し。忌諱を触犯して西に行き、伯氏に禍殃を惹出す。所幸主君は上に在りて安穏にして、自身も亦た生存を保全するを得たり。この林は干求忌を犯して他人を連累するを主とし、上位者の庇護に賴りて方に事なきを得。

小過:春鴻飛東,以馬貨金,利可得深。

大壮の卦が小過の卦に変わる。春の鴻雁は東に飛び去る。馬匹を以て黄金に換え、厚利を獲る可し。この林は時に順い動き、物を以て財を易え、獲利豊厚を主とし、吉である。

既濟:禾生蟲蠹,還自克賊,使我無得。

大壮の卦が既済の卦に変わる。禾苗に蛀虫生じ、反って自身を残害し、我をして一物も得ざらしむ。この林は内部蠹を生じ、自ら根本を傷し、収成落空するを主とし、凶である。

未濟:桀亂無道,民散不聚。背室之家,遁迯出走。

大壮の卦が未済の卦に変わる。夏桀昏乱無道にして、百姓離散して聚める能わず。家室を背弃する人家、紛紛として逃遁出走す。この林は上道なくして衆叛親離れ、人口流亡するを主とし、大凶である。

晋の林(晋卦六十四林)

晉:銷鋒鑄耜,休牛放馬。甲兵解散,夫婦相保。

晋の卦が自ら変じても晋の卦のままである。兵器の鋒刃を熔し改めて犂耜に鋳て、牛を歇め馬を放帰す。甲士兵卒解散して家に帰り、夫妻相守り保全するを得たり。歸馬放牛は《尚書・武成》に見る。この林は武を偃め文を修め、兵を化して農と為し、家室団圓を主とし、大吉である。

乾:一衣三冠,冠無所絆。衣服不成,為身災患。

晋の卦が乾の卦に変わる。只だ一件の衣裳有るのみにして三頂の帽子を配し、帽子には又た絆ぐ可き繋帯なし。衣服樣子を成さず、反って自身の災患と為れり。この林は名実称わず、器用斉わず、巧を弄して拙と成るを主とし、凶である。

坤:百足俱行,相輔為強。三聖翼事,王室寵光。

晋の卦が坤の卦に変わる。百足の虫衆足斉しく動き、彼此扶持して強健を顕す。三位の聖人は共同で国事を輔翼し、王室此れによって栄寵光耀せり。この林は協力同心、賢佐朝に在り、門庭輝を生ずるを主とし、大吉である。

屯:魚蛇之恠,大人憂懼。梁君好城,失其安居。

晋の卦が屯の卦に変わる。魚と蛇の類の怪異出現し、大人之れが為に憂愁畏懼す。梁国の君は一味に好大喜功して城を築き、反って安居の所を失えり。この林は妖異警を示し、民を労して役を興し、居処安ならざるを主とし、凶である。

蒙:少無強輔,長不見母。勞心遠思,自傷憂苦。

晋の卦が蒙の卦に変わる。年少の時強力の依靠なく、長成の後又た母親を見ず。遠方に於いて心を労し思を苦しめ、独自感傷憂苦す。この林は孤立無援、母子分離し、憂思自ら傷むを主とし、凶である。

需:前不溽暑,解不可取。離門二里,敗我利市。老牛病馬,去之何悔。

晋の卦が需の卦に変わる。眼前未だ湿熱の暑天に至らず、解除せんと欲するも下手すべき処なし。家門を離るること纔かに二里路にして、我が好い買売を壊せり。老牛病馬の類の累贅は、之を売却するに又何の后悔かあらん。この林は時機未だ至らず、近処に失利し、宜しく果断に無用の物を捨棄すべし。

訟:君明有德,登天大祿。佈政施惠,以成恩福。中子南遊,翱翔未復。

晋の卦が訟の卦に変わる。君主賢明にして徳有り、禄位高く天に登る。政令を頒布し恩惠を広く施して、恩沢と福気を成就せり。只だ次子南に游びて外に在り、盤桓翱翔して未だ帰らず。この林は上に明主有り、恩福広く被るを主とし、唯だ家中の子弟遠游して未だ帰らず、吉中に念を帯ぶ。

師:嘵然唯諾,敬上尊客。執恭除患,禦侮致福。

晋の卦が師の卦に変わる。恭恭敬敬として声を連ねて応諾し、上級を敬重し賓客を尊礼す。恭謹を持守すれば即ち禍患を除去する能く、外侮を抵禦すれば即ち福気を招来する能し。この林は謙恭有禮、内外周全にして、禍を避け福を得るを主とし、吉である。

比:黍稷禾稻,垂秀方造。中旱不雨,傷風病槁。

晋の卦が比の卦に変わる。黍・稷・禾・稻は正に穗を抽き秀を吐く。中途に乾旱に遇いて雨降らず、又た風に吹傷せられて枯槁成病せり。この林は莊稼將に熟せんとして旱風に遇い、功垂成に敗るを主とし、凶である。

小畜:三羸六罷,不能越跪。東賈失馬,往反勞苦。

晋の卦が小畜の卦に変わる。三分瘦弱、六分疲憊にして、一歩を跨ぎ一跪するも能わず。東辺に経商に往きて又た馬を失い、来返奔波して徒らに労苦す。この林は力疲れ体弱く、経営折損し、往返功なし、凶である。

履:倚立相望,引衣欲裝。陰雲蔽日,暴雨降集。使道不通,阻我歡會。

晋の卦が履の卦に変わる。門に倚りて立ちて相互に張望し、衣裳を牽起して装を整え路に上らんと欲す。陰雲太陽を遮住し、暴雨傾盆して下る。道路此れによって通ぜず、我が歓聚の約を阻断せり。この林は行に臨みて雨に遇い阻まれ、佳期錯過するを主とし、不吉である。

泰:高腳疾步,受肩喜趨。日走千里,賈市有得。

晋の卦が泰の卦に変わる。腿腳高長にして步子飛快、肩上に貨物を担ぎても奔走を楽しむ。一日千里を走る能く、買売を為して大いに得る所有り。この林は行動敏捷、奔走に勤しみ、経商利を獲るを主とし、吉である。

否:北風寒涼,雨雪盈冰。憂思不樂,哀悲傷心。

晋の卦が否の卦に変わる。北風寒冷凄凉にして、雨雪落下して堅冰を積成す。憂思重重にして快楽せず、哀傷悲痛して人心を砕く。北風其涼、雨雪其雱は《詩経・邶風・北風》に出る。この林は寒気人を逼り、憂愁苦悶し、心境悲涼を主とし、凶である。

同人:貞鳥雎鳩,執一無尤。寢門治理,君子悅喜。

晋の卦が同人の卦に変わる。貞潔の雎鳩鳥は、専一不二にして過失なし。内室の門治理方有りて、君子此れによって歓悦欣喜す。關雎は后妃の徳を詠ず、《詩経・周南・關雎》に見る。この林は夫婦専一、内治整粛にして、家道和楽を主とし、大吉である。

大有:蓼蕭露瀼,君子寵光。鳴鸞噰噰,福祿來同。

晋の卦が大有の卦に変わる。蓼蕭の上の露水濃重にして、君子恩寵の光輝を承受す。鸞鈴噰噰として鳴り、福と禄倶に来れり。語は《詩経・小雅・蓼蕭》に本づく。この林は上の恩寵を得、禄位並び臨むを主とし、大吉である。

謙:南行求福,與喜相得。受封上賞,鼎足輔國。咸之恆同。

晋の卦が謙の卦に変わる。南辺に往きて福を求め、正に喜事と相遇す。封を受けて上等の賞賜を領し、鼎の三足の如く國家を輔佐す。校語に此の条は「咸之恒」の一林と相同じと。この林は南行して喜に遇い、封賞身に加えられ、位は輔弼に居るを主とし、大吉である。

豫:桑華腐蠹,衣敝如絡。女功不成,絲布為玉。

晋の卦が豫の卦に変わる。桑葉花朵虫に蛀壊せられ、衣裳破爛して一張の網の如し。女紅成らず、絲と布反って玉の如く貴し。この林は蚕桑害を受け、紡織成らず、衣料騰貴するを主とし、凶である。

隨:左服易右,王良心歡,喜利從己。

晋の卦が随の卦に変わる。左辺の服馬を右辺に換え、王良車を駕して心中歓喜し、喜慶と利益倶に己に随う。王良は古の車を駕るを善くする人。この林は調度宜を得、駕馭方有り、喜利自ら随うを主とし、吉である。

蠱:壽考不忘,駕駟東行。三適陳宋,南賈楚荊。得利息長,旅身多罷。畏晝喜夜。

晋の卦が蠱の卦に変わる。長寿にして旧徳を忘れず、四馬の車を駕して東に行く。三たび陳・宋に往き、又た南に下りて楚荆一帯に経商す。獲利生息増長するも、只だ旅途中身は十分に疲憊し、白昼の赶路を怕れて夜行を喜ぶ。この林は遠く賈して多く厚利を得るも、然れど奔波労苦す、吉中に苦を含む。

臨:羔羊皮弁,君子朝服。輔政扶德,以合萬國。

晋の卦が臨の卦に変わる。羔羊皮の作れる皮弁は、君子の朝に上るの礼服なり。之を穿きて朝政を辅助し徳義を扶持して、万国をして和合に帰せしむ。皮弁服は古代朝会の服。この林は官に居りて礼を守り、徳を以て政を輔け、四方を協和するを主とし、大吉である。

觀:鸇鳩徙巢,西至平州。遭逢雷電,破全葦蘆。室家飢寒,思吾故初。全一作我。(咸之隨同)

晋の卦が観の卦に変わる。鸇鳥と斑鳩は巢穴を遷移し、西に往きて平州に到る。途中雷電に遭遇し、整片の葦蘆の窩を撃破せり。一家人飢寒交迫して、只だ当初の旧居を懐念するのみ。校語に「全」の字は一に「我」と作り、此の条は「咸之随」の一林と相同じと。この林は遷徙して災に遭い、家園天変に毀られ、飢寒して旧を思うを主とし、凶である。

噬嗑:大尾小頭,重不可搖。上弱下強,陰制其雄。(咸之坎同)

晋の卦が噬嗑の卦に変わる。尾大きくして頭小さく、沉重にして揺撼する能わず。上に居る者衰弱し、下に在る者強横にして、陰柔の一方雄強を圧制せり。校語に此の条は「咸之坎」の一林と相同じと。尾大不掉は《左伝・昭公十一年》に出る。この林は本末倒置、下強く上弱く、事を主とる者制せらるるを主とし、凶である。

賁:疏足息肩,有所忌難。金城銅郭,以鐵為關。藩屏自衛,安心無患。

晋の卦が賁の卦に変わる。双脚を分かち肩上の担子を卸すは、顧忌為難する所有ればなり。金鑄の城、銅築の郭、鉄を以て関門を成す。屏障を築きて自ら防衛し、心を安んぜれば禍患なし。この林は行動暫く止み、堅に憑りて自ら守るを主とし、心安く事なし、守れば則ち吉を得。

剝:天命元鳥,下生大商。造定四表,享國久長。

晋の卦が剥の卦に変わる。上天の命令玄鳥に降りて、偉大の商朝を生出せしむ。四方の辺際を開創安定し、国祚長久を享有す。天命玄鳥、降而生商は《詩経・商頌・玄鳥》に出る。この林は命を受けて興り、基を開き業を立て、国祚綿長を主とし、大吉である。

復:賦斂重數,政為民賊。杼軸空虛,我去其室。

晋の卦が復の卦に変わる。賦税征斂既に重く又た頻りにして、政令は百姓を残害する禍賊と為れり。織機の上の杼軸空空如として、我只好く己が屋を離る。杼柚其空は《詩経・小雅・大東》に出る。この林は苛政民を剥し、家資耗盡し、迫られて流離するを主とし、凶である。

旡妄:陰陽隔塞,許嫁不答。宛丘新臺,悔往嘆息。

晋の卦が旡妄の卦に変わる。陰陽隔絶壅塞して、婚約を許すも回音を得ず。《陳風・宛丘》の譏る所の游荡、《邶風・新台》の刺る所の丑事の如く、前往の後只だ悔恨嘆息あるのみ。この林は男女阻隔、婚事諧せず、行けば必ず悔有るを主とし、凶である。

大畜:願望登虛,意常欲迯。賈辛丑惡,妻不安夫。

晋の卦が大畜の卦に変わる。心願空に落ち、念頭に總は逃開せんことを想う。賈辛容貌醜陋にして、妻子丈夫の身辺に住みて安穏ならず。賈辛の貌惡は《左伝・昭公二十八年》に見る。この林は願う所空と成り、夫婦相安んぜず、家室心を離るるを主とし、凶である。

頤:踄行竊視,有所畏避。蔽目伏藏,以夜為利。

晋の卦が頤の卦に変わる。手蹑り足蹑りに走り、偷偷に張望して、心の内に畏懼躲避する所有り。眼を遮りて身を伏せ蔵匿し、夜色を以て有利の時機と為す。この林は事を行いて光を見る能わず、只だ潜蔵暗行に宜しく、明るき処利あらざるを主とす。

大過:信敏恭謙,敬鬼尊神。五嶽四瀆,克厭帝心。受福宜年。

晋の卦が大過の卦に変わる。誠信勤敏、恭敬謙遜にして、鬼神を敬奉す。五岳四瀆を祭祀して、上帝の心意に合すること能し。因って福沢を承受し、年成も亦た好し。厭は饜と読みて、称心合意の意。この林は敬慎にして徳を修め、祀典闕なく、天福年を賜るを主とし、大吉である。

坎:懸懸南海,去家萬里。飛兔腰褭。一日見母,除我憂悔。

晋の卦が坎の卦に変わる。心は南海に懸り、家を離るること万里の遥か有り。幸いに飛兎、腰褭のごとき駿馬有りて、一日の内に便ち母親を見え、我が憂愁悔恨を除去せり。飛兎、腰褭は皆な古書の載する所の良馬名。この林は千里を遠隔するも速やかに帰りて親を見るを得、憂解け事順うを主とし、吉である。

離:雖汙不辱,因何跣足。童子褰衣,五步平復。

晋の卦が離の卦に変わる。污泥に沾れたりと雖も辱を受けたとは算えず、又何ぞ必ずしも赤脚せん。童子衣裳を提起して、五步を走上すれば即ち如常に恢復す。この林は小さく汚損有るも大体を傷めず、稍やかに整頓すれば即ち復原すべく、過咎なし。

咸:宮城立見,衣就袂裾。恭謙自衛,終無禍尤。

晋の卦が咸の卦に変わる。宮城転眼の間に眼前に在り、衣裳を整好し袖口と衣襟を理正す。恭敬謙遜を以て自身を護衛すれば、終に禍患過失なし。この林は覲見に礼有り、恭謹に自ら持し、保て咎なき可し、吉である。

恆:敝笱在梁,不能得魚。望食千里,所至空虛。

晋の卦が恒の卦に変わる。破れた魚簍を魚梁に擺せば、一條の魚も捕えず。千里之外を望みて食を求めるも、到る所皆な空空如たり。敝笱在梁は《詩経・斉風・敝笱》に出る。この林は器具敗壊、圖む所落空し、遠く求めて獲なし、凶である。

遯:千里騂駒,為王服車。嘉其驪榮,君子有成。

晋の卦が遯の卦に変わる。日に千里を行く赤色の馬駒は、君王の為に車を駕す。其の黑亮の鬃毛と光彩を嘉許して、君子此れによって成就有り。この林は良才用を見、主の賞識を得、事業成る有りを主とし、大吉である。

大壯:鼎足承德,嘉謀生福。為王開庭,得心所欲。

晋の卦が大壮の卦に変わる。三公は鼎足の如く徳政を承担し、美好の謀劃福気を生出す。君王の為に朝堂を開闢し、求むる所皆な心に称う。この林は輔臣得力、謀議中を肯し、事事心に遂うを主とし、大吉である。

明夷:右手無合,獨折左指。禹湯失位,事功弗立。

晋の卦が明夷の卦に変わる。右手攏め合わす能わず、単々左手の指頭を折断す。禹・湯のごとき聖王も位を失い、事業功勲建てるべき処なし。この林は肢体損を受け、才具全からず、縦い聖徳有るも亦た事を成し難し、凶である。

家人:憂凶增累,患近不解。心西意東,事無成功。

晋の卦が家人の卦に変わる。憂愁凶険層層に累加し、禍患眼前に近くして解けず。心思西に往き意念東に走り、事一件も办成る能わず。この林は内憂外患交わり迫り、心志分裂して、諸事成らざるを主とし、凶である。

睽:東行食榆,困於枯株。夫妻無家,志窮為憂。

晋の卦が睽の卦に変わる。東に行きて只だ榆樹の皮を食して飢に充つるのみ、枯樹樁の傍らに被困せり。夫妻安身の家なく、志向窮盡して憂愁を生ず。この林は飢困して食なく、居るに定所なく、夫妻同じく愁うを主とし、凶である。

蹇:五經六紀,仁道所在。正月繁霜,獨不離咎。

晋の卦が蹇の卦に変わる。五經六紀の載する所は、正に是れ仁道の在る所なり。然れど正月に就いて繁霜下れば、独り災咎を躲開する能わず。正月繁霜は《詩経・小雅・正月》に出る、是れ時を傷み世を刺るの作。この林は仁道を守ると雖も時に天変に逢い、賢者も仍お咎を受くるを免れ難し、吉中に凶を帯ぶ。

解:懈緩不前,怠墮失便。二至之戒,家無禍凶。刻木象形,聞言不信。

晋の卦が解の卦に変わる。鬆懈遅緩にして前進せず、怠惰堕落して便利を錯過す。若し冬至夏至に閉関静養の戒を守る能わば、家中便ち禍凶なし。至りて木頭を刻みて人形を作りて事を問うは、是れ聞くも信ずるに足らざるなり。二至閉關は《周易・復》の大象に本づく。この林は怠惰事を誤るを主とし、宜しく時節に依りて安分自守し、虚妄の説を信ずる勿かれ。

損:仁愛篤厚,不以所忿,害其所子。徙我舊都,日益富有。

晋の卦が損の卦に変わる。仁愛篤実厚道にして、一時の忿怒に因りて己が愛する子弟を傷害せず。旧都を遷離して別に新居を擇べば、家道一日日に富有す。この林は忿気を克制し、骨肉を厚く待い、居を遷して利を得、日漸殷富するを主とし、大吉である。

益:缺破不成,胎卵未生,弗見兆形。

晋の卦が益の卦に変わる。殘缺破損すれば便ち器を成す能わず、胎孕まず卵生まず、連れて一点の徵兆形迹も看見えず。この林は根基殘缺、孕育成らず、事を謀るに毫も端倪なし、凶である。

夬:摧角不傷,雖折復長。秉德無愆,老賴榮光。

晋の卦が夬の卦に変わる。角は摧折せられたりと雖も本身を傷めず、断ちても還た重新に生出す。徳行を秉持して過失なく、年老いても仍お榮光を享有す。この林は小挫根本を礙ぐることなく、損して復た得、徳を守る者は晩歳光栄なり、吉である。

姤:乘桴浮海,免脫厄中,雖困無凶。

晋の卦が姤の卦に変わる。木筏に乗りて海上に漂浮し、困厄の中より脱身して出づ。処境艱難と雖も凶险なし。乘桴浮於海は《論語・公冶長》の孔子の歎に出る。この林は世を避け遠行して困を脱するを主とし、身は困頓と雖も大害なし。

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