Libo

損の林(損卦六十四林)

汉 · 焦延寿 · 第46巻 / 71

作盤ガイド: 大衍筮法, 六爻納甲の立卦

中孚:鄰不顧我,而望玉女。身疾瘡癩,誰肯媚者。

損の卦が中孚の卦に変わる。隣里倶に我と理睬するを願わず、却って一個個に玉の如き美女を巴望す。自身瘡癩の惡疾を患えて、還た誰か肯えて來りて親近討好せん。主とする所は形穢れて見弃せられ、孤立して援なきの象、凶である、先ず当に其の疾を自治し、然る後に人の和を望む可し。

小過:涸旱不雨,澤竭無流。魚鱉乾口,皇天不憂。

損の卦が小過の卦に変わる。久しく旱して雨せず、湖沢乾涸し水流断絶す。魚鼈嘴を張りて泥の裏に渴死して、上天却って毫も心を動かさず。主とする所は大旱災を成し、求告する門なきの象、大凶である、宜しく早く水源を謀り、坐して天恩を待つ可からず。

既濟:狼虎之鄉,日爭凶訟。受性貪饕,不能容縱。

損の卦が既済の卦に変わる。是れ豺狼虎豹聚居の郷にして、天天凶惡の争鬪訴訟有り。彼等の人生性貪婪饕餮にして、別人の半分を容る能わず。主とする所は地に処りて凶险、暴人と伍を為すの象、大凶である、宜しく速やかに善地に遷り、切に争訟に巻入る勿れ。

未濟:陰住陽疾,水離其室。舟楫大作,傷其黍稷。民飢於食,亦病心腹。

損の卦が未済の卦に変わる。陰気滞留し陽気損を受けて、大水其の河床を溢出せり。處處船槳に靠りて行かざるを得ず、黍稷庄稼を皆な淹壞せしめり。百姓粮を缺きて餓えて、心腹を連ねても病を害えり。主とする所は水患稼を傷め、飢饉疫を成すの象、大凶である、宜しく洪を防ぎ荒に備え、兼ねて飲食を慎むべし。

益の林(益卦六十四林)

益:文王四乳,仁愛篤厚。子畜十男,無有夭折。

益の卦が自ら変じても益の卦のままである。相傳えて周文王四乳の異相有りて生れ、人と為りて仁愛篤実厚道なり。十個の兒子を養育して、一個も夭折せざりき。文王四乳の説は《淮南子・修務訓》に見る。主とする所は徳厚くして男多く、子嗣繁昌の象、大吉である、嗣を求め家を興す倶に得。

乾:下堂出門,東西九山。逢福值喜,得其安閒。

益の卦が乾の卦に変わる。厅堂を走下して大門を出でれば、東西一帯皆な重重の山峦なり。一路上福に遇い喜に逢い、安逸清閑を得享せり。主とする所は出行して吉に遇うの象、大吉である、遠行、游歴倶に喜慶有り。

坤:城上有烏,自鳴破家。招呼丑毒,為國災患。

益の卦が坤の卦に変わる。城頭の上烏鴉落ちて、自ら顧み自ら啼叫するは、是れ家を破るの凶兆なり。其れ醜惡毒害の気を招来して、国家の災患と成れり。城上烏の鳴くは、古より不祥と為す。主とする所は凶兆上に現れ、禍家国に及ぶの象、大凶である、宜しく徳を修めて災を禳げ、門庭を謹守すべし。

屯:伯虎仲熊,德義淵泓。使布五穀,陰陽順序。

益の卦が屯の卦に変わる。伯虎、仲熊のごとき賢才は、徳行道義深厚宏大なり。彼等を派して五谷の農事を推廣せしめ、天地陰陽因って各々其の序に順えり。八元八凱は《左伝・文公十八年》に見る。主とする所は賢者職に当たり、農事順遂の象、大吉である。

蒙:飲酒醉臥,跳起爭鬥。伯傷仲僵,東家治喪。

益の卦が蒙の卦に変わる。酒を喝醉して頭を倒して睡下するも、忽然として跳び起きて手を動かして打架す。老大傷を受け老二打ち倒されて起たず、東隣の人家此れに就きて喪事を办起せり。主とする所は酒後に控を失い、争鬪して死に致るの象、大凶である、宜しく酒を戒め鬪を慎み、喧嚣の席を遠離すべし。

需:四目相視,稍近同執。日映之後,見吾伯姨。

益の卦が需の卦に変わる。両人四目相対に視て、漸漸走り近づき、手を携えて同行す。日影西に斜めし後を待ちて、便ち我が伯母姨母に見ゆるを得たり。主とする所は相親し相就き、親に會して遂うを得るの象、吉である、約會、親を訪ねる倶に願の如くなる可し。

訟:隨時逐便,不失利門。靈獲得福,富於封君。

益の卦が訟の卦に変わる。時勢に順應し、便利に就きて事を行い、何れの一道の利を生ずる門をも錯過せず。因って神靈の賜福を獲得して、富有の程度封を受けし君侯に勝過せり。主とする所は時に因りて利を取るの象、大吉である、善く時機を把握する者は巨富に致る可し。

師:隴西冀北,多見駿馬。去如焱,害不能傷。

益の卦が師の卦に変わる。隴西と冀北一帯良馬を盛産して、隨處に駿驥を見る。跑れば火焰の飛竄するが如く快く、任ずるに何の禍害も傷るに到らず。冀北良馬多しの説は韓愈の述ぶる所の古諺に見る、其の源甚だ早し。主とする所は憑る所の力迅捷にして恃む可きの象、吉である、良助を得れば則ち害を遠くして行かん。

比:白龍黑虎,起伏俱怒。期戰盤空,蚩尤敗走。死於魚首。(同人之比,蒙之坎)

益の卦が比の卦に変わる。白龍と黑虎一起一伏して、同時に暴怒す。期を約して半空に盤旋鏖戦して、蚩尤終に敗逃して、魚首の地に死せり。黄帝の蚩尤を涿鹿に擒殺するの事は《史記・五帝本紀》に見る。主とする所は強敵交鋒して邪終に正に勝たざるの象、吉である、争鬪烈しと雖も、正直の者勝を獲ん。夾注に此の繇《同人》之《比》、《蒙》之《坎》と重出と標す。

小畜:鴻飛戾天,避害紫淵。雖有鋒門,不能危身。

益の卦が小畜の卦に変わる。鴻雁高飛して直に雲天に上り、又た深遽の紫淵に躲め入りて害を避く。縦い前頭に刀鋒のごとき険門有るも、其の身子に危害するに到らず。「鴻飛戾天」は《詩経・大雅・旱麓》の「鳶飛戾天」に化す。主とする所は高く挙げ遠く避けて身を全うするの象、大吉である、進む能く退く能き者は其の害を受けず。

履:平國不均,夏氏作亂。烏號竊發,靈公隕命。

益の卦が履の卦に変わる。陳靈公名は平国、国を治むるに公ならず平ならずして、夏氏一族因って乱を作せり。烏号の良弓暗裏より一箭を射出して、靈公場を当たりて殞命せり。夏徵舒の陳靈公を射殺するは《左伝・宣公十年》に事見る。主とする所は政其の平を失し、身弑逆に遭うの象、大凶である、宜しく正を持して下に待ち、患を内に於いて防ぐべし。

泰:江漢上游,政逆民憂。陰伐其陽,雄者受殃。

益の卦が泰の卦に変わる。江漢の上游一帯に在りて、政令倒行逆施して百姓憂愁す。陰気陽気を侵伐して、雄位に居る人反って災殃を蒙受せり。主とする所は陰盛んに陽を凌ぎ、上位損を受くるの象、凶である、尊きに処る者は宜しく自ら斂み、下人の侵奪を防ぐべし。

否:東家殺豬,聞臭腥臊。神怒不顧,命絕衰國。亳社火燒,宋公夷誅。

益の卦が否の卦に変わる。東辺の人家猪を殺して祭祀するも、只だ一片の腥臊臭気を聞るのみ。神靈震怒して垂顧するを肯ぜず、衰敗の国氣數此れに就きて断絶せり。殷人の立てし亳社火に焚燒せられ、宋公因って誅戮に遭えり。亳社の災は《春秋》の哀公四年に見る。主とする所は祭誠敬ならず、神怒りて国滅ぶるの象、大凶である。

同人:西誅不服,恃強負力。倍道趍敵,師走敗覆。

益の卦が同人の卦に変わる。西に向かい帰服を肯ぜざる一方を討伐すれば、一味に強横を依仗し武力を逞恃す。倍に路を趕りて敵を奔襲するも、結果軍隊潰散、全軍覆沒せり。主とする所は強を恃みて軽く進むの象、大凶である、兵持重を貴ぶ、急躁すれば必ず敗る。

大有:一婦六夫,擾亂不治。張王季莊,莫適為公。政道塞壅,周君失邦。

益の卦が大有の卦に変わる。一個の婦人六個の丈夫を配し、綱紀擾乱して整治すべき法なし。張氏、王氏、季氏、莊氏各々相讓らずして、誰も亦た誰を奉じて主と為すを肯ぜず。政令の路此れによって壅塞不通にして、周天子終に邦国を失掉せり。主とする所は名分紊乱、政多門より出づるの象、大凶である、宜しく名を正しく分を定め、号令を統一すべし。

謙:配合相迎,利之四鄉。昏以為期,明星煌煌。欣喜奭懌,所言得當。

益の卦が謙の卦に変わる。男女相配し彼此迎娶して、利益四方郷里に通達す。黄昏を約して親迎の期と為せば、啓明星閃爍して輝を生ず。「昏以為期、明星煌煌」は《詩経・陳風・東門之楊》に出る。衆人歓欣喜悦して、説く所の話樣樣に体を得たり。主とする所は婚配時を得、言事倶に当たるの象、大吉である。

豫:猿墜高木,不踒手足。握金懷玉,還歸其室。(蒙之隨,訟之艮,否之臨)

益の卦が豫の卦に変わる。猿猴高樹の上より跌落して下るも、手脚却って扭伤せず。還た黄金を握り美玉を懐きて、安然として己が窩裏に回れり。主とする所は険に遇うも傷なく且つ厚獲有るの象、大吉である、波折を経ると雖も、人財両全せり。夾注に此の繇《蒙》之《随》、《訟》之《艮》、《否》之《臨》と重出と標す。

隨:卷領遁世,仁德不害。三聖攸同,周國茂興。(需之震)

益の卦が随の卦に変わる。卷領の粗朴の衣裳を穿きて隱遁して世を避け、仁徳を懐抱して人を害せず。太王、王季、文王の三位の聖人志同道合にして、周室此れによって繁茂興盛せり。三聖相承は《詩経・大雅》《中庸》の述ぶる所の周徳の積に見る。主とする所は徳を守り善を積み、家国日に興るの象、大吉である。夾注に此の繇《需》之《震》と重出と標す。

蠱:去危脫厄,安無怵惕。上福善堂,見我喜悅。

益の卦が蠱の卦に変わる。険境を離れ困厄を脱出して、安穏にして再び心を提げ胆を吊るすに及ばず。福徳善慶の堂に登上れば、我に見ゆる時人人歓喜せり。主とする所は険を脱して安を獲、人に逢いて皆な吉の象、大吉である、困厄解く可く、喜事將に臨まん。

臨:帶季兒良,時利權兵。將師合戰,敵不能當。趙魏以強。

益の卦が臨の卦に変わる。兵符を佩帯し兒良のごとき良將を任用して、正に兵を用ゐ権を掌るの有利の時機に逢えり。將帥師を率ゐて交鋒すれば、敵人抵擋する能わず、趙国と魏国此れによって強盛せり。兒良は古の善く兵を用うる者、《呂氏春秋・不二》に見る。主とする所は良將を得て戦勝するの象、大吉である、宜しく賢を任じて兵を用ゐ、師を出でば必ず克たん。

觀:鵠思其雄,欲隨鳳東。順理兩翼,出自日中。須留北邑,復反其室。

益の卦が観の卦に変わる。雌鵠其の伴侶を思念して、鳳凰に追随して東に往かんと欲す。双翅を理順して、正午の時分啓程出發す。中途北辺の城邑に些日を停留せりしも、最後還はた己が巢室に回れり。主とする所は出行滞有るも終に家に返る能くの象、求む所擱擱すると雖も、人事終に完聚に帰す。

噬嗑:且如驚鹿,不能定足。室家分散,各走竄匿。

益の卦が噬嗑の卦に変わる。驚きたる鹿の如くして、脚跟倶に站め立つこと稳からず。一家人四散分離して、各々奔逃して躲藏せり。主とする所は驚乱離散の象、大凶である、家宅寧ならず、宜しく先ず人心を安んずべし。

賁:甲乙丙丁,俱歸我庭。三丑六子,入門見母。

益の卦が賁の卦に変わる。甲乙丙丁の諸方の人物、一斉に汇帰して我が庭院に至る。三丑六子の此れらの兒孫輩、門に進みて便ち母親に見ゆ。主とする所は人丁歸聚、闔家團圓の象、大吉である、人を尋ね、親を聚むる倶に遂う。

剝:躡華巔,觀浮雲。風不搖,雨不薄。心安吉,患無咎。

益の卦が剥の卦に変わる。華山の巔に登上して、脚下の浮雲を靜観す。風吹きても動かず雨も亦た侵るに到らず。心中安泰吉祥にして、縦い憂患有るも過錯有ることなし。主とする所は超然として高處に在り、外擾を受けざるの象、大吉である、高きに処りて自ら守れば、虞なきを保つ可し。

復:德施流行,利之四鄉。雨師灑道,風伯逐殃。巡狩封禪,以告成功。

益の卦が復の卦に変わる。恩徳広く布き流行して、利益四方郷里に通達す。雨師水を洒りて道を浄め、風伯災殃を駆逐す。天子四方を巡狩し泰山に封禅して、天地に向かい功業已に成るを報告す。封禅の礼は《史記・封禅書》に見る。主とする所は徳業大成、天人共に慶するの象、大吉である。

旡妄:水流趍下,遂成東海。求我所有,買鱣與鯉。(損之需)

益の卦が旡妄の卦に変わる。水低處に向かいて奔流して、日積月累して終に東海に匯成れり。人來りて我が此処の物を求取して、鱣魚と鯉魚を買い去れり。主とする所は小を積みて大を成し、買売順遂の象、大吉である、涓滴の功巨業を成す可し。夾注に此の繇《損》之《需》と重出と標す。

大畜:和氣相薄,膏潤津澤,生我嘉穀。

益の卦が大畜の卦に変わる。和順の気交じて激蕩して、化して肥美の雨露と為りて大地を滋潤して、我が好い庄稼を長出せしめり。主とする所は陰陽交泰、生養豊美の象、大吉である、農事、孕育、経営倶に宜し。

頤:憂驚以除,禍不成災,安全以來。

益の卦が頤の卦に変わる。憂愁と驚恐一倂に消除して、禍端災殃を釀成せず、平安此れにより來れり。主とする所は険を化して夷を為すの象、吉である、憂う所の事終に患を為さず、放心する可し。

大過:堅冰黃鳥,常哀悲愁。不見甘粒,但睹藜蒿。數驚鷙鳥,為我心憂。

益の卦が大過の卦に変わる。堅冰封凍の時節、黄雀哀鳴已まず、終日悲愁す。一粒の好穀を尋ね得ず、眼前に只だ藜草蓬蒿のみ。又た屢屢猛禽に驚擾せられて、我に替えて平らに憂愁を添えり。「交交黄鳥」は《詩経・秦風・黄鳥》に出る。主とする所は飢寒交迫、驚擾頻仍の象、大凶である、宜しく早く粮儲を蓄え、強横を遠避すべし。

坎:翕翕□,實墜崩顛。滅其令名,身命不全。(泰之謙,否之離)

益の卦が坎の卦に変わる。聚集依附して相相與に黨を結び、果実墜落し根本崩塌す。美好の名声此れに就きて毀滅して、性命を連ねても保つ能わず。原文此処に闕字有り、「□」を以て疑を存して臆補せず。「翕翕訿訿」は《詩経・小雅・小旻》に見る、群小の苟合を刺す。主とする所は朋比して名を敗り、身死に名裂くの象、大凶である、宜しく私党を絶ち、独り其の正を守るべし。

離:因禍受福,喜盈其身。

益の卦が離の卦に変わる。一場の禍事に因りて反って福気を得て、喜慶全身に充盈せり。「禍兮福之所倚」は《老子》に出る。主とする所は禍の中に福を蔵するの象、大吉である、眼前の厄正に是れ轉機なり、憂懼するに及ばず。

咸:陸居千里,不見河海,無有魚市。

益の卦が咸の卦に変わる。方円千里の内陸に住みて、江河大海を見ず、魚を売る集市も亦たなし。主とする所は地業に宜しからざるの象、凶である、処する所の境此の資源なし、求めんと欲する者は当に別に他途を謀るべし。

恆:鹿得美草,鳴呼其友。九族和睦,不憂飢乏。(益之恆,同人之蹇)

益の卦が恒の卦に変わる。鹿肥美の青草を尋ね到れば、便ち鳴叫して同伴を呼喚して食を共にせしむ。「呦呦鹿鳴、食野之苹」は《詩経・小雅・鹿鳴》に出る、嘉賓を宴饗するの樂を為す。九族因って和睦親近して、再び飢餓匱乏を憂愁せず。主とする所は利を得て共享し、宗族和順の象、大吉である。夾注に此の繇《益》之《恒》、《同人》之《蹇》と重出と標す。

遯:出門得堂,不逢禍殃。入戶自苦,不見矛戟。

益の卦が遯の卦に変わる。門を出でれば便ち歇息すべき厅堂有りて、禍殃に遇上せず。反って屋裏に留在して自ら苦を尋ねて吃す、刀兵矛戟を連ねても見ざると雖も。主とする所は出づるに宜しく守るに宜しからざるの象、外出すれば接済を獲る可く、門を閉じて自ら守れば徒らに困を受く。

大壯:累尊重席,命我家客。福佑久長,不見咎殃。

益の卦が大壮の卦に変わる。層る。層層の酒尊を擺し重なりの坐席を鋪きて、我が家の中の賓客を請じて座に入らしむ。福沢庇佑長長久久として、一点の罪咎災殃を見ず。「重席」は賢を敬するの礼、《礼記》に見る。主とする所は賢を礼して福を致すの象、大吉である、客を宴し、結び交わり、好を修むる倶に宜し。

晉:鴻雁俱飛,北就魚池。鱣鰋鯰鯉,眾鳥饒有。一鳴獲兩,得之過倍。

益の卦が晋の卦に変わる。鴻雁成群して斉び飛びて、北に向かいて魚塘の上に落る。鱣魚、鰋魚、鲶、鲶魚、鯉魚樣樣倶に有りて、群鳥此れによって吃りて飽足せり。一声叫べば便ち两条を抓りて、收穫預期に超過すること一倍なり。「鱣鮪發發」「鰋鯉處之」は《詩経・衛風・碩人》《小雅・魚麗》の属に見る。主とする所は獲る所倍蓰の象、大吉である、財を求め漁利する倶に厚報有り。

明夷:當風奮翼,與鳥飛北。入我家國,見吾慶室。

益の卦が明夷の卦に変わる。風に迎い翅を振りて高く挙げ、群鳥と同じく北に飛び往く。飛び入りて我が家邦に到りて、我が喜慶に満ちたる居室を見れり。主とする所は風に乘りて勢を得、家に還りて喜に逢うの象、大吉である、北行利有り、帰來慶有り。

家人:麒麟鳳凰,善政得祥。陰陽和調,國無災殃。

益の卦が家人の卦に変わる。麒麟と鳳凰同時に出現するは、是れ善政の感召して來らしめし祥瑞なり。陰陽二気調和順暢して、国中災殃なし。麟鳳は王者の瑞、《礼記・礼運》に見る。主とする所は徳政瑞を致すの象、大吉である、政修まり家和して、諸事皆な吉なり。

睽:逐狐東山,水過我前。深不可涉,失其後便。

益の卦が睽の卦に変わる。東山に到りて狐狸を追獵せば、一道の大水我が前に横たわれり。水深くして渉り過ぐる能わず、連れて後頭の方便の退路も亦た失掉せり。主とする所は前阻みて後絶え、追逐功なきの象、凶である、求むる所水を隔てて致し難し、宜しく速やかに歩を止むべし。

蹇:丑戌亥子,饑饉所生。陰為暴客,水絕我食。

益の卦が蹇の卦に変わる。丑、戌、亥、子の此の几个の方位時辰は、正に是れ飢荒の由りて発生する所の処なり。陰気化して凶暴の來客と為りて、大水我が食粮を断絶せり。主とする所は水厄飢を致すの象、大凶である、宜しく水患を防ぎ、預め口粮を蓄うべし。

解:狐狸雉兔,畏我迯去。分走竄匿,不知處所。

益の卦が解の卦に変わる。狐狸、野鶏と兎子は、一たび我を見れば便ち嚇して逃開す。四散奔走して各々蔵匿し、誰も亦た何処に去りしかを知らず。主とする所は衆散じ物失うの象、凶である、人を尋ね物を覓るも倶に着落有ること難し、宜しく静候して自ら現るるを待つべし。

損:桀蹠惡人,使得不通。炎旱為殃,年榖大傷。

益の卦が損の卦に変わる。夏桀と盗跖のごとき惡人道に当たりて、政令下情をして倶に通達せざらしむ。酷熱乾旱災殃と成りて、一年の谷物大いに損傷を受く。盗跖の事は《荘子・盗跖》に見る。主とする所は惡人権に当たり、天時随いて之が為に災を成すの象、大凶である、宜しく惡人を去り、旱荒に備うべし。

夬:兔乳立室,行來雀食。虎攫我子,長號不已。

益の卦が夬の卦に変わる。母兎乳を哺り家を安んじ室を立つるに、走り來る麻雀も亦た來りて食を分かつ。不料猛虎撲來りて我が幼子を叼去れば、母を為る者長声哀号して止まず。主とする所は安居して忽ち強奪に遭うの象、大凶である、子女の厄を主とし、宜しく厳かに看護を加うべし。

姤:土階明堂,禮讓益興。雄雌相得,使我無疾。(疾一作疚)

益の卦が姤の卦に変わる。素土の台階、朴素の明堂にして、礼讓の風因って更に興盛す。雌雄相配して宜を得て、我が身上病痛なからしむ。「土階三等」は堯の倹徳、《史記・太史公自序》に見る。主とする所は倹を尚び礼を崇び、身心康泰の象、大吉である。夾注に「疾」は一本に「疚」と作ると称す。

萃:送金出門,井失玉兔。往來井上,破甕壞盆。(兔一作丸)

益の卦が萃の卦に変わる。金子を把きて門を出でて送り、井の裏又た玉兔のごとき宝物を丢失せり。井辺に来来回回として打捞するも、只だ瓮を摔破し盆を砸壞するを落得せり。主とする所は財物両失、労して益損ずるの象、大凶である、貸借し餽贈するに宜しからず、器物の損毀を謹防すべし。夾注に「兔」は一本に「丸」と作ると称す。

升:諷德誦功,美周盛隆。加其旦輔,夬濟沖人。(夬一作大)

益の卦が升の卦に変わる。人人徳行を傳誦し功業を歌頌して、周朝の昌盛隆厚を讃美す。更に周公旦の輔佐を加えて、果決に年幼の成王を扶助せり。「沖人」は即ち幼君、成王の自称と為す、《尚書》の諸誥に見る。主とする所は賢臣幼主を佐え、国運隆昌の象、大吉である。夾注に「夬」は一本に「大」と作ると称す。

困:盜竊滅身,二母不親。王后無黨,毀其寶靈。

益の卦が困の卦に変わる。盗竊に因りて身を殺すの禍を招致して、两位の母親も亦た肯えて相認し相親まず。王后党羽の依靠を失いて、彼女の那件の宝貴の靈物を連ねても毁掉せられり。主とする所は不義を行いて衆叛り親離るるの象、大凶である、宜しく正を守り貪を戒め、非分の財を取る勿れ。

井:六月騤騤,名欲有至。專征未裝,俟侍明旦。

益の卦が井の卦に変わる。六月の裏戦馬雄壮にして馳騁して、声名眼の前に到手せんとす。只だ専擅征伐の行裝未だ備え斉わずして、只好く明日の天亮を待って再び説くのみ。「四牡騤騤」は《詩経・小雅・采薇》に出る。主とする所は勢成りて時機未だ到らざるの象、圖る所期す可し、但だ須らく再び一日の功を候すべし。

革:雀行求粒,誤入網罭。賴仁君子,復說歸室。

益の卦が革の卦に変わる。麻雀四處に谷粒を覓食して、一たび小心せざれば誤って細密の網の中に撞入れり。幸いに仁厚の君子の相救に賴りて、解脱して巢に回るを得たり。主とする所は網に陷りて仁者に遇いて脱するを得るの象、吉である、一時困を受くるも、終に貴人の開釋有らん。

鼎:仁德孔明,患禍不傷。期誓不至,室人御恤。

益の卦が鼎の卦に変わる。仁厚の徳行極めて昭彰にして、憂患禍事傷害するに到らず。約定したる人期を失して未だ至らずと雖も、家裏の人も亦た應付して照料周全する能し。主とする所は徳を以て禍を免れ、内助力を得るの象、吉である、縦い失約の小挫有るも、家中憂なし。

震:龜厭江海,陸行不止。自今枯槁,失其都市。憂悔咎生。

益の卦が震の卦に変わる。神龜江海に厭きて、偏に陸地の上に於いて停まず爬行せんと要す。従是身体干枯憔悴して、原本安身の所在を丢失して、憂愁、懊悔と過錯一倂に生出せり。主とする所は本性を背弃し、自ら其の所を離るるの象、大凶である、宜しく本業を安守し、軽く途を改む可からず。

艮:孤獨特處,莫依為輔。正心允濟,神勞志苦。

益の卦が艮の卦に変わる。孤零たる一個人独り処りて、依靠し輔助すべき人なし。唯だ心志を端正し誠実にして自ら勵まして始めて難関を渡過する能く、只だ精神労頓、心志苦楚なり。主とする所は孤立して援なくして自強せねばならざるの象、外に助くる所なく、端に自持を賴りて、苦尽きて方に通ず。

漸:伯仲言留,叔子云去。誰云無咎,主母大喜。

益の卦が漸の卦に変わる。大哥二哥は留下せんと説き、三弟却って去らんと説く。誰か此の如くすれば便ち過錯なからんと説く、倒れに家中の主母此の為に大いに歓喜せり。主とする所は家人去留一ならずして内主心に称うの象、意見分岐すると雖も、家内に於いて反って喜事と成る。

歸妹:初憂不安,後得笑歡,雖懼無患。

益の卦が帰妹の卦に変わる。起初憂愁不安なるも、後来却って歓笑喜楽を得たり。一度驚懼せりと雖も、終究禍患なし。主とする所は先に憂え後に喜ぶの象、吉である、眼下の慮患を為すに足らず、堅持すれば轉機を待つ可し。

豐:好戰亡國,師不以律。稱上殞墜,齊疾狼戾。被其災祟。

益の卦が豊の卦に変わる。戦を好めば必ず国を亡ぼすに致り、兵を出でば又た法度節制に依らず。上に在ると号称する者反って墜落喪亡して、斉国暴戾狼の如くに因りて速やかに敗れ、衆人皆な此の災祟を蒙受せり。「師出以律」は《周易・師》の初六爻辞に出る。主とする所は武を黷みて紀なく、上下殃を同じくするの象、大凶である、切に兵を興し鬪を好むを忌むべし。

旅:鹿生澤陂,豺傷其麑,泣血獨哀。

益の卦が旅の卦に変わる。母鹿水沢の岸辺に於いて子を産むるに、豺狼却って其の小鹿を咬傷せり。母鹿泣血のごとく独り哀鳴す。「彼沢之陂」は《詩経・陳風・沢陂》に出る。主とする所は骨肉傷に遭い、孤苦して告ぐるなきの象、大凶である、子女の厄を主とし、宜しく倍に防護を加うべし。

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