噬嗑の林(噬嗑卦六十四林)
噬嗑 麒麟鳳凰,善政得祥。陰陽和調,國無災殃。
麒麟と鳳凰と現身す、善政の感召し來たる祥瑞なり。陰陽調和順暢し、國中災殃なし。此の林徳政祥を致すを主とす。國事家運を占問うに、平安して興旺するを主とす。
乾 北風相牽,提笑語言。伯歌叔舞,燕樂以喜。
北風吹來し、衆人彼此相い攜え、手を攜えて笑語す。兄長唱歌し叔弟起舞し、宴飲歡樂して喜悅す。此の林親族和樂するを主とす。家宴聚會を占問うに、融洽歡欣を主とす。
坤 甲戊己庚,隨時運行。不失常節,咸逢出生。各樂其類,達性任情。
甲・戊・己・庚等の日辰時に隨いて運行し、常有の節度に違背せず。萬物皆生長の機に遇上し、各々同類と同樂し、本性を通達して其の眞情を任す。此の林時に順い性を任すを主とす。處世養生を占問うに、自然にして吉きを主とす。
屯 破亡之虛,神所憂衰。進德無光,留止有慶。
殘破滅亡の廢墟、正に神明の憂慮衰敗する所の處なり。此の時進取して徳を修めるも光彩を見ず、停留して守住すれば反つて喜慶有り。此の林靜に宜しく進むに宜しからざるを主とす。進退を占問うに、守れば則ち慶有り。
蒙 注斯膏澤,祈衛百毒。防以江南,虺不能螫。
此のごとき膏澤恩潤を灌注し、各種の毒害を防衛せんを祈求す。江南一帶に防備を加えば、毒蛇もまた人を蜇する能わず。此の林豫防法を得るを主とす。疾病災害を占問うに、備有れば患なし。
需 日月相望,光輝盛昌。三聖成功,仁德大降。
日と月と遙々相い望み、光輝盛大昌明なり。三位の聖人各々其の功を成し、仁徳廣泛に降臨す。此の林明德幷び耀くを主とす。國事仕進を占問うに、大吉を主とす。
訟 大蛇巨魚,戰於國郊。上下濟塞,衛侯廬漕。
大蛇と巨魚と國都郊外に爭鬥す。上下交通時に通じ時に塞し、衛侯只だ漕邑に廬舍を搭起して暫居するを得。此の林衛國東に漕に徙すの典を用ゐ。爭鬥國事を占問うに、都を失い居を寄するの厄を主とす。
師 龍入天關,經歷九山。登高上下,道里險難。日晏不食,絕無甘酸。
竜天門關隘に進入し、九重の山嶺を翻越す。高に登り下に涉り、路途險阻艱難なり。日頭の西に偏するに到りて未だ飯を吃上げず、一點の酸甜の滋味すらもなし。此の林遠征跋涉の苦を主とす。出行軍旅を占問うに、艱險にして食を乏しくするを主とす。
比 沙漠北塞,純無水泉。君子征凶,役伕力殫。
沙漠と北方邊塞、全く水泉無し。君子出征すれば凶險有り、服役の人力氣用尽きる。此の林絕地行軍するを主とす。遠征遠役を占問うに、大凶にして止むに宜し。
小畜 關柝門啟,衿帶解墮。福與善生,憂不為禍。
關卡の木柝停み門戸開啓し、衣襟帶子もまた松解し下來す。福氣善行に隨いて生じ、憂慮禍患を釀成せず。此の林戒嚴解除し、身心舒緩するを主とす。困擾を占問うに、安に轉ずるを主とす。
履 狼虎所嗥,患害必遭。不利有為,宜以遁逃。
豺狼虎豹嗥叫の地方、禍患傷害必ず遇上す。此の時爲す所有るに利ならず、當に退避して遠走すべし。此の林凶地避くべきを主とす。進取を占問うに、退くに宜しく進むに宜しからざるを主とす。
泰 金精耀怒,帶劍過午。兩虎相距,弓弩滿野,雖憂無咎。
太白金星の光耀して怒を含み、佩劍の人正午を過ぎて出行す。兩虎相持對峙し、弓弩郊野に佈滿す。憂懼あると雖も、過錯有るを得ず。此の林兵氣盛なると雖も己身傷なきを主とす。爭鬥を占問うに、驚きて咎なきを主とす。
否 朽根枯樹,華葉落去。卒逢火焱,相隨偃仆。
樹根朽爛し樹身枯干し、花葉皆已に落盡す。忽然烈火に遇上し、接續して倒伏す。此の林根本已に壞れ、變に遇えば卽ち倒るるを主とす。家業身體を占問うに、危にして支え難きを主とす。
同人 入和出暗,動作有光。轉運休息,常樂允康。
入れば和順、出れば韬晦し、一擧一動皆光彩有り。運轉と休止と各々其の時を得、長久快樂して確實に安康なり。此の林動靜宜に合するを主とす。處世を占問うに、平安順遂を主とす。
大有 國多忌諱,大人恆畏。結口無患,可以長存。
國中忌諱多く、上の位に在る者もまた常に畏懼を懷く。口を閉じて言わざれば便ち禍患なく、長久保全する可し。此の林言語禍を招くを主とす。是非仕途を占問うに、言を謹めば則ち安きを主とす。
謙 天地淳亨,六合光明。陰序陽順,厥功以成。
天地敦厚亨通し、上下四方一片光明なり。陰次序有り陽順應する能くし、功業因りて成就す。此の林時位和諧するを主とす。謀事を占問うに、諸事順成を主とす。
豫 裸裎逐狐,為人觀笑。牝雞鳴晨,主作亂妖。
赤身裸體して狐狸を追い、人の圍觀取笑する所と爲る。母鷄鳴きて曉を報ず、亂象妖異有るを主とす。此の林《尚書・牧誓》の牝鷄晨を司るの典を用ゐ。家國內政を占問うに、序を失して亂を招くを主とす。
隨 陰失陽復,桀失其室,相餧不食。
陰氣消退し陽氣回復すれど、夏桀卻って自己の宮室を失掉す。彼此食を喂すも吃し下がらず。此の林時運轉ずると雖も己身所を失うを主とす。家宅を占問うに、據を失いて安んぜざるを主とす。
蠱 蜎飛蠢動,各有配偶。大小相保,咸得其所。臨之豫)
飛ぶ蟲・蠕動の蟲、各々皆配偶有り。大小相互に保全し、全て各々其の所を得。此の林各々其の位に安んずるを主とす。婚配處世を占問うに、和順を主とす。此の條臨の豫と辭同じ。
臨 鬼守我廬,欲呼伯去。曾孫壽考,司命不許。與生相保。
鬼怪我が屋舍の傍に守住し、伯氏を叫び去らんと想う。然るに曾孫自ら長壽の分有り、司命の神許准するを肯んぜず。性命因りて保全を得。此の林邪正に勝たざるを主とす。疾病壽數を占問うに、驚有りて險なきを主とす。
觀 禍走患伏,喜為我福。凶惡消亡,災害不作。
禍事跑開し憂患潜伏し、喜慶我が福氣と成る。凶惡の氣消亡し、災害再び發生せず。此の林禍を轉じて福と爲すを主とす。災厄を占問うに、全く消して吉を主とす。
賁 智不別揚,張誑妄行。陷淵僕顛,傷殺伯身。
智慮是非を分辨する能わず、只だ一味虛張欺誑し胡亂に行事す。終に深淵に墜入して跌倒し、伯氏自身を傷害す。此の林愚妄して自ら敗るを主とす。行事を占問うに、自ら其の禍を取るを主とす。
剝 凶憂災殃,日益明章。禍不可救,三都夷傷。
凶險憂患と災殃、一天天明顯なり。禍事已に挽救する能わず、三處の都邑皆夷平損傷に遭う。此の林積りし禍暴發するを主とす。時局家國を占問うに、大凶にして救い難きを主とす。
復 長尾蜲蛇,畫地為河。深不可涉,絕無以北。悵然憤息。
長尾の委蛇の屬、地上に一道の河を劃出す。水深くして涉り過ぐる能わず、北に去る路徹底して斷絕す。只だ悵然として嘆息憤懣するを得。此の林虛境阻を成すを主とす。出行謀望を占問うに、難を受けて行き難きを主とす。
旡妄 愛我嬰女,牽引不與。冀幸高貴,反曰下賤。
我が小女兒を疼愛し、彼女を牽きて他人に許配するを肯んぜず。本來高貴の人家に攀上せんを指望すれど、反つて人に卑下微賤と說成せらる。此の林高攀を貪慕して辱を受くるを主とす。婚嫁して進を求むるを占問うに、願高くして得低きを主とす。
大畜 鳧游江湖,甘樂其餌。既不近人,雖驚不駭。
野鴨江湖の上に游び、甘んじて其の食餌を享用す。人に靠近せざるに因り、驚を受くると雖も驚駭に至らず。此の林害に遠ざかりて自ら安きを主とす。處世して險を避くるを占問うに、距離を保持すれば則ち虞なし。
頤 明滅光息,不能復食。精魄既喪,以夜為室。
光明熄滅し光輝止息し、再び進食する能わず。精氣魂魄已に喪失し、只だ黑夜を以て居室と爲すを得。此の林生機斷絕するを主とす。疾病を占問うに、大凶を主とす。
大過 奇適無偶,習靜獨處。所願不從,心思勞苦。
只身一人して配偶無く、清靜獨處に習慣す。願う所實現する能わず、心思勞苦す。此の林孤獨して遂げざるを主とす。婚姻謀望を占問うに、孤單して成るなきを主とす。
坎 葛藟蒙棘,花不得實。讒 亂政,使忠壅塞。
葛藤荆棘の上に攀纏し、花を開くも果實を結ぶ能わず。讒を進むる人朝政を攪亂し、忠言をして壅塞して通ぜざらしむ。此の林糾纏して阻を受け、忠良抑に見ゆるを主とす。仕進陳情を占問うに、始有りて終なきを主とす。
離 鵲笑鳩舞,來遺我酒。大喜在後,授我龜紐。龍喜張口,超拜福祉。
喜鵲歡笑し斑鳩起舞し、前來して我に美酒を贈る。更大なる喜事還て後頭に在り、我に龜紐印綬を授く。竜もまた歡喜して口を張き、級を越えて拜を受けて福祉を得。此の林喜訊連々至り、超擢して爵を受くるを主とす。功名を占問うに、大吉を主とす。
咸 搖尾逐災,雲孽闢除。洿泥生粱,下為田主。
尾巴を搖いて災禍を驅走し、妖孽の氣辟除せらる。低窪の污泥の裏好穀を長出し、人もまた田地の主人と做る。此の林害を除きて豐に轉ずるを主とす。田産家業を占問うに、貧より富に轉ずるを主とす。
恆 白鶴銜珠,夜食為明。膏潤優渥,國歲年豐。
白鶴口に明珠を銜み、夜裏進食するも光亮有り。雨露膏澤豐厚優渥にして、國中年成豐稔す。此の林暗處明を得、時雨滋潤するを主とす。農事家運を占問うに、豐足して吉を主とす。
遯 內執柔德,止訟以默。宗邑賴德,禍災不作。
內心柔順の徳を持守し、沉默を以て爭訟を止息す。宗廟都邑此の徳行に仰賴し、禍災再び發生せず。此の林柔を以て爭を化すを主とす。爭訟を占問うに、事を息め人を寧んじて吉を主とす。
大壯 犬吠驚駭,公拔戈起。元冥厭火,消散瓦解。
狗吠聲人をして驚駭せしめ、主公戈を拔起す。水神玄冥火勢を壓住し、禍患隨い之消散瓦解す。此の林驚變制を得るを主とす。火災驚擾を占問うに、驚有りて終に解くるを主とす。
晉 公悅嫗喜,子孫俱在。榮譽日登,福祿來處。
男主人歡悦し老婦人喜樂し、子孫皆身邊に在り。榮譽一天天上升し、福祿紛紛として到來す。此の林家門興旺するを主とす。家運子嗣を占問うに、大吉を主とす。
明夷 鳥鳴捕 ,長欲飛去。循枝上下,適與風遇。顛損樹根,命不可救。
鳥兒鳴叫して捕らる、一心飛去らんと想う。樹枝に沿いて上下跳躍す、恰好大風に遇上す。樹根傾倒折損し、性命挽救する能わず。此の林危に臨みて掙扎するも終に脫るを得ざるを主とす。危難を占問うに、凶を主とす。
家人 析薪熾酒,使媒求婦。和合齊宋,姜子悅喜。
柴を劈き火を燒きて酒を溫め、媒人に托して妻子を求娶せんとす。齊・宋兩國の聯姻を促成し、姜姓の女と其の子と皆歡喜す。此の林媒妁成を得るを主とす。婚姻を占問うに、兩姓和合して吉を主とす。
睽 鄰不我顧,而望玉女。身多疣癩,誰當媚者。
鄰里我を照顧するを肯んぜず、我卻って美玉のごとき女子を娶るを指靠す。自身疣瘡疥癩を長滿せ、誰か來りて親近愛悦せん。此の林自ら量らずして妄求するを主とす。婚姻して人を求むるを占問うに、拒に見ゆるを主とす。
蹇 遠視無光,不知青黃。黈纊塞耳,使君闇聾。
遙望するも光亮なく、青色黄色すらも分清楚せず。黄綿の制する耳塞耳朵を堵住し、君主をして昏く且つ聾ならしむ。此の林耳目蔽はるるを主とす。決斷して人を用ゐるを占問うに、蒙蔽を受けて事を誤るを主とす。
解 克身整己,逢禹巡狩。賜我元圭,蒙受福佑。
自身を克制し己行を整肅し、恰に大禹の出巡に逢う。彼我に大圭の玉を賜い、我因りて福澤庇佑を蒙受す。此の林己を修めて明主に遇うを主とす。進を求め賞を受くるを占問うに、賜を得て吉を主とす。
損 遠望千里,不見黑子。離婁之明,無益於光。
千里之外を遙望す、一顆の黑痣すらも看不見ず。縱ほ離婁のごとき目力あるも、光亮を增添するに助無し。此の林才高きと雖も境明ならざるを主とす。明察して斷を謀るを占問うに、力及ばざる所有るを主とす。
益 斧斤所斫,瘡疣不息。針口不施,下即空室。
斧頭の砍傷する所の地方、瘡疣痊愈する能わず。針藥もまた施治するに從無く、最後只だ空空の屋子を落得す。此の林創傷愈え難く、家業空虚するを主とす。疾病家計を占問うに、凶を主とす。
夬 齊侯少子,才略美好。求我長女,賤薄不與。反得醜陋,後乃大悔。
齊侯の小兒子才略出衆して品貌美好、前來して我が長女を求娶す。我彼を嫌ひて微賤輕薄と爲して許嫁を肯んぜず。結果女兒反つて醜陋の人に嫁し、事後大いに後悔す。此の林貌を以て人を取りて良配を失うを主とす。婚姻を占問うに、錯失して當に早く決斷すべきを主とす。
姤 失儷後旅,天門地戶。不知所在,安止無咎。
配偶を失掉し隊伍の後に落ち、天門地戸茫然として辨え難し。身の何處に在るかを知らず、安然として停下すれば反つて過錯なし。此の林途を迷いて止むに宜しきを主とす。出行謀望を占問うに、靜守すれば則ち咎なきを主とす。
萃 烏孫氏女,深目黑丑。嗜慾不同,過時無咎。
烏孫國の女子、眼窩深陷して面色黝黑なり。彼此嗜好欲求同じからず、此の段の時候を過ぎれば便ち過錯なし。此の林異俗合し難きを主とす。婚姻合伙を占問うに、諧わずして緩く圖るに宜しきを主とす。
升 伯駕純騮,南至東華。求索車馬,道闕中止。
伯氏清一色の騮馬を駕し、南に向かいて東華の地に到達す。一路車馬を尋求するも、道路殘缺に因りて半途停下す。此の林行程阻を受くるを主とす。出行謀望を占問うに、中道にして廢するを主とす。
困 二女寶珠,誤鄭大夫。君父無禮,自為作笑。
兩位の女子と珠寶の事、鄭國の大夫を誤らす。君父行事禮なく、自己譏笑を招來す。此の林色に因り財に因りて度を失うを主とす。人事名聲を占問うに、自ら其の羞を貽すを主とす。
井 陽城太室,神明所息。仁者之君,獨無兵革。
陽城と太室山、神明棲息の處なり。仁政を行く國君、唯だ兵戈の患無し。此の林仁者敵無きを主とす。國事安危を占問うに、仁を守れば則ち兵災を免るるを主とす。
革 反(一作大)蛇為殃,使道不通。歲收甚少,年穀敗傷。
反常の蛇災殃と成り、道路をして通ぜざらしむ。年成收穫少なく、穀物歉收敗壞す。此の林異災道を阻みて歲歉くを主とす。農事出行を占問うに、兩皆利ならざるを主とす。「反」の字一本「大」と作る。
鼎 三足孤鳥,靈明為御。司過罰惡,自殘其家。毀敗為憂。坎之渙)
三足を生じし孤鳥、神靈の驅使する所と爲る。專ら過を察し惡を罰するの職を司るも、反つて自己の家を殘害す。毀敗これによって憂患と成る。此の林苛察して自ら傷るを主とす。法を執り家を治むるを占問うに、過ぎて嚴刻にして敗るを主とす。此の條坎の渙と辭同じ。
震 車駕兩靷,絕馬欲步。雙輪脫行,至道遇害。一本作膠車乃駕,兩引如繩。馬絕靷走,雙輸脫去)
車上兩條の引繩を駕す、繩子斷れ、馬只だ緩步して行くを得。兩隻の車輪脫落し、大路に到れば禍害に遭遇す。此の林行具敗壞し、途中變を生ずるを主とす。出行運輸を占問うに、中途損を受くるを主とす。舊本「膠車乃駕、兩引如繩。馬絕靷走、雙輸脫去」と作る。
艮 鬱映不明,為陰所傷。眾霧麗集,共奪日光。
光影鬱結して映照するも分明ならず、陰氣の傷る所と爲る。重重の濃霧附着聚集し、一同に日光を奪去す。此の林群陰明を蔽うを主とす。事理時局を占問うに、晦暗して辨え難きを主とす。
漸 鸇 梟,治城御災。周公勤勞,綏得安家。
鸇鳥惡梟を驅逐し、城池を修治して災禍を抵禦す。周公勤勉操勞し、終に安撫を得て家國安寧す。此の林惡を除きて固く守るを主とす。患を防ぎ家を治むるを占問うに、勞して後に安きを主とす。
歸妹 名成德就,項領不試。景公耄老,尼父逝去。
名聲已に成り徳行已に就くも、卻って肥壯の馬頸のごとく駕用せられず。齊景公年老昏聵し、孔夫子只だ離去するを得。此の林孔子齊を去るの典を用ゐ。仕を求むるを占問うに、才成りて用ゐられざるを主とす。
豐 一夫兩心,岐刺不深。所為無功,求事不成。
一個の人兩樣の心思を懷き、分叉の刺扎りて深からず。做する所の事功效なく、求辦する事成らず。此の林心志專ならざるを主とす。謀事を占問うに、半途にして廢するを主とす。
旅 羿張烏號,彀射天狼。趙國雄勇,敗於滎陽。
后羿烏號の良弓を張開し、弦を拉滿して天狼星に射向す。趙國雄壯勇武なると雖も、卻って滎陽一帶に敗北す。此の林强弓必勝を保ち難きを主とす。爭戰競逐を占問うに、勇を恃みて敗るを主とす。
巽 東家殺牛,汙臭腥臊。神皆西顧,命衰絕周。
東鄰牛を殺して盛祭すれど、牲肉卻って污穢腥臭なり。神明皆頭を掉して西に向かいて看、氣數衰落して周室斷絕す。此の林《易・既濟》の東鄰の牛を殺すは西鄰の禴祭に如かずの義を取る。祭祀國運を占問うに、奢祭して益なきを主とす。
兌 火起我後,喜炙吾廬。蒼龍銜水,泉噀屋柱,雖難無咎。
火我が身後より燒起し、眼看我が屋子を烤せんとす。蒼竜口に水を銜みて來り、泉水を屋柱の上に噴す。危難あると雖も過錯有るを得ず。此の林火厄救を得るを主とす。災患を占問うに、險して解を獲るを主とす。
渙 桃雀竊脂,巢於小枝。搖動不安,為風所吹。寒心飄搖,常憂殆危。
桃雀脂膏を偷食し、細小の枝條の上に巢を築く。巢搖晃定まらず、また風の吹動する所と爲る。鳥兒心寒して搖蕩し、時時傾危を擔憂す。此の林身を託すること固からざるを主とす。依附居處を占問うに、驚懼して安んじ難きを主とす。
節 徒足去域,飛入東國。有所畏避,深藏遠匿。
徒步して本境を離れ、一路東方の國に奔入す。畏懼躲避する所有るに因り、只だ深藏遠匿するを得。此の林禍を避けて遠遁するを主とす。出行して難を避くるを占問うに、隱るるに宜しく顯るるに宜しからざるを主とす。
