Libo

震の林(震卦六十四林)

汉 · 焦延寿 · 第62巻 / 71

作盤ガイド: 大衍筮法, 六爻納甲の立卦

解 清潔淵塞,為讒所言。證訓詰情,繫於枳溫。甘棠聽斷,昭然蒙恩。(師之蠱)

品行が清白で深沈した人が、かえって讒言に傷つけられる。対証し案を詰問され、しばらく獄に繋がれる。幸い召伯が甘棠の樹の下で訟を聴いたような明察の官に遇い、案情が昭雪されて恩沢を蒙る。この林は冤を蒙り獄に入りながら、終に昭雪を得ることを主とし、先は凶で後は吉。末注はこの林が《師》の《蠱》と文が同じであることを示す。

損 皋陶聽理,岐伯悅喜。西登華道,東歸無咎。

皐陶が刑獄を執り案を理するに公允で、岐伯もこれを喜んだ。西に登って華山の道を行き、東に帰っても咎はない。この林は獄を折るに平を得、往来ともに宜しいことを主とし、災禍はない。吉。

益 低頭竊視,有所畏避。行作不利,酒酸魚敗。眾莫貪嗜。(鼎之解)

頭を低くしてこっそり見るのは、畏れ避ける所があるからだ。だから行事が利せず、酒は酸くなり魚も敗れ、衆は誰も貪り食おうとしない。この林は心が虚しく事が滞り、貨が敗れて売れないことを主とし、営謀は利ならず。末注はこの林が《鼎》の《解》と文が同じであることを示す。

夬 十雉百雛,常與母俱。抱雞搏虎,誰肯為娛。

十羽の雉に百の雛が、常に母とともにいる。だが一羽の鶏を抱いて虎と搏つなら、誰がこれを楽しみとするだろうか。この林は群小が相依ればなお自ら保てるが、弱をもって強に犯せば自ら滅亡を取ることを主とする。

姤 高阜山陵,峻□顛崩。為國妖祥,元后以薨。

高い阜の山陵、その峻しい嶺が忽然と崩れる。山崩れは国家の妖異の兆で、君王はこれによって薨ずる。この林は天変が凶を示し、上に大きな喪があることを主とする。大凶。原文に欠字があり、□をもって存する。

萃 六鷁退飛,為襄敗祥。陳師合戰,左股疾傷。遂以崩薨,霸功不成。(蹇之蠱)

《春秋》僖公十六年に六羽の鷁鳥が退きながら飛んで宋の都を過ぎたと記すが、これは宋襄公が敗亡する凶兆だった。後に彼は泓水に兵を陳して楚と交戦し、左腿に重傷を負い、傷によって薨じ、覇業はついに成らなかった。この林は異兆が先に見え、兵を挙げて創を受けることを主とし、功は敗れて垂成となる。大凶。末注はこの林が《蹇》の《蠱》と文が同じであることを示す。

升 異國殊俗,情不相得。金木為仇,酋賊擅役。(家人之未濟)

異国に身を置き風俗が違えば、互いの情意は通じ得ない。金と木が相克するように仇となり、凶横の徒が擅りに徴役し駆使する。この林は客居して異地にあり、格格不入することを主とし、人に制される。凶。末注はこの林が《家人》の《未済》と文が同じであることを示す。

困 鴉噪庭中,以戒災凶。重門擊柝,儕憂暴客。

鴉が庭の中で噪ぐのは、災凶が至る戒めだ。《周易・繋辞》に「重門して柝を撃ち、暴客を待つ」とあるように、層々に門を設け更を打ち夜を巡り、衆はともに強暴の徒を防ぐ。この林は凶兆が先に現れて戒備が法を得ることを主とし、謹み守れば災を免れ得る。

井 慈母赤子,享賜得士。獲夷服除,以安王家。側陋逢時。(除一作徐)

慈母が幼い子を養い、君上は饗宴し賞賜して賢士を得る。外夷を平定し患を除き去り、これをもって王家を安んずる。微賤で側陋の身の人も好い時に逢う。この林は上下が相養い、外患が平息することを主とし、寒士が時を得る。吉。末注は「除」の字が一は「徐」と作ることを載せる。

革 跡造惡人,使得不通。炎旱為殃,年穀大傷。(坤之大有)

行跡が悪人の手に落ち、至る所で通じなくなる。さらに炎暑の旱が災いとなり、年の穀は大いに傷つく。この林は遇う所が人に非ず、天時もまた逆なことを主とし、収成が大いに壊れる。凶。末注はこの林が《坤》の《大有》と文が同じであることを示す。

鼎 躬履孔德,以帶束帶。文王燎獵,呂尚獲福。號稱太師,封建齊國。

みずから大きな徳を履み、衣帯を整え束ねて自ら守る。周の文王が渭のほとりに猟に出て、卜辞に獲る所は熊でも羆でもなく王者の師であるとあり、これによって呂尚に遇う。呂尚はこれによって福を得、太師と尊ばれ、後に斉に封じられ国を建てた。この林は徳を修め時を待ち、明主に遇って顕達することを主とし、爵を封ぜられる大吉。

震 徵將止惡,鼓鞞除賊。慶仲奔莒,子般獲福。

兵を出して征するのは暴悪を止めるためで、鼓鞞が一たび響けば乱賊を除き去る。魯の慶父は乱を作し事敗れて莒に奔り、子般の一脉の冤屈が伸び、公室はこれによって福を得る。この林は乱を討って功があり、祸首が遠く遁れることを主とし、危を転じて安とする。吉。

艮 良夫淑女,配合相保。多孫壽子,歡樂長久。

良い夫と淑やかな女が配偶を結び、互いに守り保つ。孫は多く子は寿で、歓楽が長く久しい。この林は婚姻が美満で、子嗣が繁昌することを主とし、長久の吉。

漸 逶迤四牡,思念父母。王事靡盬,不得安處。(渙之復)

《詩経・小雅・四牡》は四匹の牡馬が逶迤と奔るさまを写し、行役の人が父母を思い念う。公家の差事は終わりがなく、終始安らかに居ることができない。この林は王事に労し、親を思いて帰るを得ないことを主とし、辛苦あれど咎なし。末注はこの林が《渙》の《復》と文が同じであることを示す。

歸妹 水壞我裡,東流為海。龜鼉讙囂,不得安居。(豐之兌)

大水が我が郷里を壊し、東に流れて海となる。亀と鼉が水中で歡び騒ぎ、人はもはや安らかに居ることができない。この林は水患が家を毀り、故居が守り難いことを主とする。凶。末注はこの林が《豊》の《兌》と文が同じであることを示す。

豐 束帛戔戔,賻我盂空。徵召送君,處號易子。

《周易・賁卦》六五に「束帛は戔戔たり」とある。送って来た一束の帛はあまりに薄く、助葬に用いても盂器すら満たせない。征召されて国君を送り、残された者は号哭し、ついに子を易えて日を度るほどになる。この林は饋助が菲薄で、喪乱に離散することを主とし、困苦の凶。

巽 乾行大德,履贍六合。嘔喣成熟,使我福德。

天道の運行の大徳を效い、行う所は六合を周ぎ赡するに足る。和気が吹き煦んで万物が成熟し、我に福徳を得させる。この林は徳行が広く被り、万物が益を受けることを主とする。大吉。

兌 秦並六國,更相剋賊。獲惠質圉,鄭被其咎。

秦が六国を併呑し、各国は交々に相克し賊い合った。秦はかつて晋の恵公を俘え、また太子圉を質とし、鄭国も連帯してその咎を被った。この林は強隣が併呑し、弱者が制されることを主とし、牽連の凶。

渙 晦昧昏冥,君無紀綱。甲子成亂,簡公喪亡。

世の道は晦昧昏冥で、国君は綱紀を失う。甲子の日に大乱を醸し、斉の簡公は田氏に弑されて喪亡した。この林は上が綱紀を失い、権臣が乱を作すことを主とし、国君が害に遇う。大凶。

節 三足無頭,弗知所之。心狂精傷,莫使為明。不見日光。(小畜之復)

三本の足があるのに頭がなく、どこへ行くべきか分からない。心神は狂乱し精気は損なわれ、誰も彼のために明らかにしてくれず、終日日光を見ない。この林は群竜に首なく、神志が昏昧であることを主とし、進退の拠り所を失う。凶。末注はこの林が《小畜》の《復》と文が同じであることを示す。

中孚 長夜短日,陰為陽賊。萬物空枯,藏於北陸。(夬之明夷,謙之漸)

夜は長く昼は短く、陰気が陽気を賊う。万物は空しく枯れ、みな北の幽陸に潜蔵した。この林は陰盛んで陽微かく、生機が閉塞することを主とし、蔵るべきで出るべからず。凶。末注はこの林が《夬》の《明夷》、《謙》の《漸》と文が同じであることを示す。

小過 依宵夜遊,與君相遭。除煩解惑,使我無憂。(歸妹之大有)

夜に乗じて出かけ、ちょうど君と遭遇した。一場の言談で煩悶を除き疑惑を解き、我に憂いなからしめた。この林は暗中の遇合、疑慮が釈然とすることを主とし、憂を転じて安とする。吉。末注はこの林が《帰妹》の《大有》と文が同じであることを示す。

既濟 逐鹿南山,知我入門。陰陽和調,國無災殘。長子出逃,須其仁君。(逃一作迎)

南山で鹿を逐い、収穫が満ちて我が門に入ったことを知る。陰陽は和調し、国の中に災害も残虐もない。長子はいったん出て行ったが、なおあの仁厚な君主を待っている。この林は田猟に獲ることあり、国は泰く家は安しを主とし、離散した者も終に帰る所がある。吉。末注は「逃」の字が一は「迎」と作ることを載せる。

未濟 請騁作耳,嗇不我與,驅我父母。

車馬を借りて馳驱し力を尽くそうと請うたが、相手は吝嗇で与えてくれず、かえって我の父母を駆り立てて労働させた。この林は求めに応じず、かえって欺凌を受けることを主とし、親長が累を受ける。凶。

巽の林(巽卦六十四林)

巽 溫山松柏,常茂不落。鸞鳳以芘,得其歡樂。(鼎之泰,需之坤,否之恆)

巽の巽。日向の暖かい斜面の松と柏は、四季を通じて青々として枝葉は決して凋まない。鸞鳥と鳳凰はこれを蔭の居所とし、その間に棲み、それぞれその楽しみを得る。松柏は寒さに耐えて凋まず、昔から君子が節を守り移らないことの喩えとされ、鸞鳳が木を択んで棲むのは賢者が依拠を得た象徴である。この林は根基が穏固で庇蔭に余りあることを主とし、求める事に長久して頼りになる憑依があり、安く処り成を守るに宜しく、歓楽が期せられる。同文はまた《鼎》の《泰》、《需》の《坤》、《否》の《恒》に見える。

乾 采唐沬鄉,要我桑中。失信不會,憂思鉤帶。(無妄之恆,師之噬嗑)

巽の乾。沬邑の郊野で女蘿を采り、桑林の中で会おうと約した。この二句は《詩経・鄘風・桑中》に出て、もとは男女の私約の辞である。ところが相手は信約を失して終に会いに来ず、ただ衣帯の鉤飾りを撫でて、独り憂い思うばかり。この林は約束が空しくなり、期待が虚しくなることを主とし、人事に背信爽約の憂いがある。事を謀るには早めに二手の用意をし、ただ空しく望んではならない。

坤 有鳥飛來,集於宮樹。鳴聲畏惡,主將出去。(屯之夬)

巽の坤。一羽の鳥が飛んで来て、宮室の庭前の樹に集まり止まり、鳴き声は凄まじく恐ろしく、人の心を驚かす。古人は異鳥が室に入り鳴き噪ぐのを凶兆とし、宅の主人が移り去るか亡くなることを予示した。この林は家宅が安らかでなく、驚変の象があることを主とし、居処に変動があるだろう。占者は意外に対して謹慎して防ぎ、久しく原処に留まるべきでない。

屯 仁政之德,參參日息。成都就邑,日受厥福。

巽の屯。仁政を施して積んだ徳沢は、草木のように枝葉が紛れ披り、日に日に生長して息まない。これによって聚落は都会となり村邑は城郭となり、百姓は日々それが齎す福沢を受ける。古人の「一年で聚を成し、二年で邑を成し、三年で都を成す」というのは、まさに舜が歴山に耕し民衆が帰附した旧事を言う。この林は大吉で、徳業が日に進み人口が輻輳することを主とし、凡事は寛厚をもって積み累ねるべきで、久しければ必ず福を得る。

蒙 他山之錯,與璆為仇。夾攻吾城,傷我肌膚。邦家搔擾。(明夷巽蒙)

巽の蒙。《詩経・小雅・鶴鳴》に「他山の石、以て錯とすべし」とある。砥ぐ粗石はもとより美玉を琢磨するのに用いられたが、今や粗石が美玉と怨敵を結んだ。二つが挟み攻めて我の城を攻め、刀兵の及ぶ所、我の肌膚を傷つけ、国家はこれによって騒動して安らかでない。この林は内外が交々攻め、賢と佞が相い闘うことを主とし、身がその傷を受け邦家が動盪する凶がある。占者は敵を樹てるべきでなく、特に腹背に敵を受ける局を忌む。

需 齎貝贖狸,不聽我辭。繫於虎鬚,牽不得來。(震之咸,萃之蹇,否之革,隨之師)

巽の需。貝幣を携えてあの狸猫を贖おうとするが、相手は我の説辞を聞き入れない。狸は虎の髭の傍に繋がれ、牽いても牽き出せない。財をもって物を求めて強横に制されるのが、この四句の本意である。この林は求める所が勢力の家に阻まれることを主とし、贖救は得られず交渉も功なく、人を贖うこと、債を取ること、旧物を索還すること、いずれも成り難い。暫く緩めて時を待つべき。同文はまた《震》の《咸》、《萃》の《蹇》、《否》の《革》、《随》の《師》に見える。

訟 一簧兩舌,□言諂語。三奸成虎,曾母投杼。(師之乾)

巽の訟。一枚の簧から二種の音が出るように、口いっぱいに諂媚奉承の言を吐く。三人の奸人が繰り返し伝えれば、市に真に「虎あり」となる。曽参の母は「曽参が人を殺した」と三度聞かされ、ついに織布の杼を投げて垣を越えて逃げた。二つの典故はいずれも《戦国策》に出て、讒言の畏るべきこと、衆口が金を鑠かすことを言う。この林は口舌が構い陥れ、争訟が身に纏わることを主とする。占者は是非の口を遠ざけ、凡事に証拠を残して自ら明らかにすべき。

師 薄行搔尾,逐雲塗水。汙泥為陸,下田宜稷。

巽の師。浅く水を渉って行き、尾を泥に曳いて揺らす。雲の影を逐い、満地の泥水を踏んで進む。污泥が淤積して陸地となる頃、その低窪の下田はちょうど稷を植えるに宜しい。この林は污から浄に転じ、涝から耕に転ずる象を取り、主として目下は艱難で泥濘するが、困頓の所にまさに生機が孕まれており、前行し続ければ終に収穫を得る。先難後獲の占である。

比 天門九重,澤內難通。明登到暮,不見神公。

巽の比。天帝の宮門は九重の深さがあり、《楚辞》にいう「虎豹が九関を守る」のとおり、凡人の誠意はその内に達し難い。夜明けから日暮れまで攀じ登り続けても、終にあの神明の天公に見えない。この林は関節が重々しく、上達に門がないことを主とし、貴人に見えること、上書して情を陳ずることは徒労に往復する。占者は強いて高攀すべきでなく、別の門径を求めるか本分を安く守るべき。

小畜 闇昧不明,耳聾不聰。陷入深淵,滅頂成凶。(兌之井)

巽の小畜。目の前が暗昧ではっきり見えず、耳が聾して聡くない。心目がすでに閉塞していれば、一歩足を失して深淵に陥り、水が頭頂を没して大凶を醸す。《周易・大過》上六の「渉りて頂を没す」はまさにこの象である。この林は耳目が蔽塞し判断に拠り所を失って滅頂の災を招くことを主とする。占者は冒険して険に渉ることを切に忌み、まず明察を求め、慎に慎むべき。同文はまた《兌》の《井》に見える。

履 霧露早霜,日暗不明。陰陽孽疾,年穀大傷。

巽の履。濃い霧と冷たい露、早くから厳しい霜が降り、日光は遮られて晦暗不明である。陰陽二気が調を失して災疾を生じ、一年の穀物はこれによって大きく傷つく。古人は霜降が時を失するのを陰気が陽を侵す象とし、天時が順でないことを主とした。この林は農事が歎收し、時令が乖違することを主とし、耕種・経営・養生の事は皆挫折を受ける。占者は早めに備蓄をして匱乏に備えるべき。

泰 三階土廓,德義明堂。交讓往來,享燕相承。箕伯朝王,錫我元黃。

巽の泰。泰階の三星は平正で、都邑の城郭は安穏、天子は明堂の上で徳義を宣明する。賓主は往来して互いに譲り合い、宴饗が相継いで絶えない。風を掌る箕伯の神まで君王に朝見し、我に玄色と黄色の幣帛を賜る。泰階星が平なのは天下太平の徴で、明堂は政を布く所である。この林は大吉で、上下が和順し礼譲が風を成すことを主とし、賜を受け財を得、名位がともに進む喜びがある。

否 爭雞失羊,利得不長。陳蔡之患,賴楚以安。

巽の否。一羽の鶏を争って一匹の羊を失い、得た小利は長く保てない。春秋の時、陳・蔡両国はたびたび兵禍に遭い、全て楚国が出て来てやっと安定を得た。この林はまず小のために大を失う戒めを示し、後に危うくして救いのある機を示す。目下患難はあっても、終に強援を藉りて険を脱せる。占者は錙銖を計るべきでなく、難に遇えば外力の扶持を求めるべきで、そうすれば危を転じて安とする。

同人 天旱水涸,枯槁無澤,未有所獲。

巽の同人。天は久しく雨がなく、河水は涸れ、草木は枯れ、地上に一点の潤いもなく、田にも何の収穫もない。この林は旱魃が虐をなし生機が断絶する象を取り、時運が枯竭し財源が継がないことを主とし、事を謀り経営しても皆得る所なし。占者は退いて守り雨を待つべきで、力を尽くして開拓してはならない。

大有 陶朱白圭,善賈息貲。公子王孫,富利不貧。

巽の大有。陶朱公范蠡と戦国の白圭は、いずれも商売に巧みで、元本を絶えず息を生じ増やすことができた。彼らの子孫は公子王孫のごとく、厚い利を享けて代々貧しくならなかった。范蠡は三度千金を致し、白圭は「人が棄てれば我が取る」で、《史記・貨殖列伝》にその事を記す。この林は経営に法を得て財源が広く進むことを主とし、商賈を行い産業を置くに宜しく、財を求める上吉である。

謙 龜厭江海,陸行不止。自令枯槁,失其都市。憂悔無咎。

巽の謙。亀が江海に厭き、わざわざ水を棄てて陸に登り、一途に這い進んで止まらない。結果、自らを日干しにして枯れ、もとの聚居の地を失った。これは本分を離れ、自ら長ずる所を棄てる喩えである。幸いなお憂惧し悔改むる心が残り、終に災禍はない。この林は性に違い妄動して自ら困頓を取ることを主とするが、時に及び反省し回頭すれば、なお禍患を免れ得る。

豫 黃鳥採蓄,既嫁不答。念吾父兄,思復邦國。

巽の豫。黄鳥が葍菜を啄む。《詩経・小雅・黄鳥》はこれを借りて遠く異国に嫁した女を写す。女子はすでに嫁いだのに夫家の善待を得られず、これによって自分の父兄を思い念い、一心に故国に帰りたいと思う。この林は身を他郷に寄せてその所を得ず、去就が安からず、帰り旧を思う象があることを主とする。占者は旧地または旧業に退くことを考えるべきで、強いて留まり滞ればかえって委屈を受ける。

隨 田鼠野雛,意常欲逃。拘制籠檻,不得動搖。(夬之謙)

巽の随。田の鼠、野の雛鳥は、心に常に逃れたいと思っているが、籠と檻に拘えられ、少しも動揺することができない。この林は困った獣が逸を思いながら人に制される象を取り、身は己に由らず、志と勢が相い違うことを主とし、脱身・遷転・辞退を謀ることは一時に成り難い。占者は忍び隠れて時を待つべきで、妄動すれば徒に束縛を増す。同文はまた《夬》の《謙》に見える。

蠱 平國不君,夏氏作亂。烏號竊發,靈公殞命。(既濟之噬嗑,臨之晉)

巽の蠱。陳国(宛丘に都し、古く平国と称す)の君が君道を守らず、夏姫と淫乱し、ついに夏氏の変を激成した。夏徴舒は暗に烏号の良弓を張り、一箭で陳の霊公を射殺した。事は《左伝・宣公十年》に見える。この林は上がその徳を失い、下に逆乱が生ずることを主とし、骨肉宮闈の禍と暗算の凶がある。占者は自ら行止を検し、特に近侍・親信が変を生ずるのを防ぐべき。

臨 巨蛇大□,戰於國郊。上下閉塞,君遁走逃。(剝之艮)

巽の臨。巨蛇と大獣が国都の郊外で闘い、妖異の象がすでに現れ、上下の道は塞がれ、国君は位を棄てて出奔し逃亡するしかない。古人は蛇が郊で闘うのを国に難があらんとする徴とした。この林は強敵が相攻ぎ、政令が通じないことを主とし、君臣が離散し出奔して禍を避ける象がある。占者は早めに退避すべきで、危局の中で強いて支えてはならない。

觀 讒言亂國,覆是為非。伯奇流離,恭子憂哀。(豐之鼎)

巽の観。讒人の言が国政を乱し、是を覆して非とする。尹吉甫の子伯奇は継母に讒され、父に放逐されて流離し在外した。晋献公の太子申生(諡「恭」)も驪姫の構陥によって憂い哀しみ、ついに自裁に至った。この林は讒慝が賢を害し、冤屈が白し難いことを主とし、父子が相い疑い親人に見棄てられる凶がある。占者は身辺の小人が是非を翻すのを防がなければならない。

噬嗑 鬱怏不明,為陰所傷。眾霧集聚,共奪日光。

巽の噬嗑。心が鬱として快からず、神思が昏昧で清からないのは、陰邪の気に傷つけられたからだ。四方の霧が聚まり集い、ともに太陽の光を奪った。この林は群陰が陽を掩う象をもって、小人が党を成して上の者を蒙蔽し、賢路が塞がれ真相が彰かれないことを主とする。占者は静を守り自ら保ち、霧が散り日が出るを待つべきで、昏暗の中で強いて事を行ってはならない。

賁 望城抱子,見邑不殆。公孫上堂,大君歡喜。

巽の賁。遠く城を望み幼子を抱いて帰り、すでに自分の城邑を見れば、路途にもはや危険はない。公族の子孫が堂に登り拝見し、国君はこれを喜ぶ。この林は危を経て安に就き、幼きを帯びて帰ることを主とし、行く道に虞なく、上の者の歓心を得る。吉。

剝 三蟲為蠱,劃跡無與。勝母盜泉,君子弗處。(姤之觀,觀之困)

巽の剝。三匹の毒虫が器皿の中に聚まり相食して「蠱」となる。界を劃してこれと交わらない。地の名が「勝母」なら曽子は入るを肯んじず、泉の名が「盗泉」なら孔子は渇しても飲まなかった。事は《淮南子・説山訓》に見える。この林は環境が穢悪で名実が正しくないことを主とし、君子は身を潔くして遠く避けるべきで、これと同処してはならない。占者は地を択び友を択ぶに宜しく、寧ろ避けるとも、染まってはならない。

復 車馳人趨,卷甲相求。齊魯寇戰,敗於犬丘。(復之小畜,明夷之兌)

巽の復。戦車は馳騁し士卒は疾走し、甲冑を巻いて軽装で追撃し、互いに交鋒を求め合う。斉・魯両国が兵を興して相寇し、ついに犬丘の一戦で潰敗した。この林は兵戈が相い求め、争競して両傷することを主とし、訴訟・競争・遠行の事は皆凶を帯びる。占者は争端を挑むべきでなく、出行は特に険地を避けなければならない。

旡妄 欲訪子車,善相欺紿。桓叔相迎,不見所期。

巽の旡妄。子車氏を訪ねようとしたら、あちらは花言巧語で欺瞞するのが上手だった。曲沃の桓叔が迎えに出ると約したのに、土地に着いても約束の人に見えない。この林は人の蒙騙を受け、約期が空しくなることを主とし、交際往来に虚言誑語の患がある。占者は人と事を謀るにその言を核実すべきで、軽く許諾を信じてはならず、特に遠道して約に赴くに証拠なきを忌む。

大畜 爭雉失羊,亡其金囊。利得不長,陳蔡之患。賴楚以安。(歸妹之損)

巽の大畜。一羽の雉を争って羊を失い、銭を入れた嚢まで失った。得た小利は終に長く保てない。まさに春秋の時、陳・蔡両国がたびたび兵禍に遭い、最後に楚国が出て来てやっと安定を得たようなものだ。この林はまず小を貪り大を失う戒め、後に危の中に援ありを示す。目下損耗と驚擾はあっても、終に外力を藉りて安に転ずる。占者は小を捨て大を求めるに宜しく、難に遇えば強援を求めるべき。

頤 歲莫花落,陽入陰室。萬物伏匿,利不可得。

巽の頤。年の暮れに花が落ち、陽気は退蔵して陰室に入り、万物はみな潜伏して隠れ、この時に利を求めても得られない。「歳莫」はすなわち歳暮で、冬の閉蔵の時を指す。この林は時令が未だ至らず生機が内に敛することを主とし、経営・求財・出仕の事は皆時に逢わない。占者は精を養い鋭を蓄え、静かに来春を待つべきで、妄動は徒労に過ぎない。

大過 晨風文翰,大舉就溫。過我成邑,羿無所得。(大壯之震,小畜之革,大過之豫)

巽の大過。晨風の鳥と文彩の斑しい白翰が高く飛び起き、温かい南に向かって遷って行く。それらは我の城邑の上空を掠め、善射の后羿でさえ一獲も得なかった。この林は高く飛び遠く挙げ、人力の及ばない象を取り、賢者が遠く引き良機が手を脱することを主とし、捕捉・追討・挽留の事は皆成らない。占者は自然に順うに宜しく、強求すればかえって空しくなる。

坎 持鵠抱子,見蛇何咎。室家俱在,不失其所。

巽の坎。手に鴻鵠を托し、懐に子を抱き、路で蛇に遇っても何の害があろうか。古人は蛇を小怪とし、懐中に鴻あり子あれば福気は自ずから厚く、邪は干ることができないとした。この林は小さな驚きに遇うも実害なしを主とし、家室は完好で、各々その位に安んずる。占者は縦しく場の虚驚があっても、終にその守る所を失わず、心を安くして事を行ってよい。

離 隱隱大雷,□霈為雨。有女痴狂,驚駭鄰里。

巽の離。隠隠と沈んだ雷の音が伝わり、続いて大雨が滂沱と傾瀉する。ちょうどその時、女子が痴狂の病を発し、喧騒の状が四隣を驚かす。雷雨が驟至し人心が常を失うのは、陰陽が調を失い内外が交い乱れる象である。この林は家の中に疾病・驚擾・名声の損傷の憂いがあることを主とする。占者は婦孺の病と門内の是非に留意すべき。

咸 無足斷跟,居處不安,凶惡為患。(革之蹇)

巽の咸。足がなく、踵も断たれ、立とうとしても立ち得ず、居る所は自ずから安らかでなく、凶悪の事が相継いで患となる。足は行動の本であり、足が傷つけば進退ともに廃れる。この林は根基が損なわれ行止が両難であることを主とし、残傷・遷徙不定・災禍相尋の凶がある。占者は遠行・謀動に宜しからず、まず本を固め傷を療し、静かに守って害を避けるべき。

恆 破筐敝筥,棄捐於道,不復為寶。

巽の恒。破れた方筐、壊れた円筥は、道の傍に棄て捐てられ、もはや宝とは数えられない。器物はいったん残破すれば人に見棄てられるのは、才用が彰れず恩愛が断絶する喩えである。この林は棄てられ寵を失い、旧物・旧交は皆恃むに足らざることを主とし、事を謀り人を求めても多く冷落に遭う。占者は自らその身を惜しみ、別に根本を立てるに宜しく、旧日の情分を指してはならない。

遯 三雞啄粟,十雛從食。飢鳶卒擊,凶其兩叔。(中孚之頤作「八雛從食」)

巽の遯。三羽の雌鶏が粟を啄み、十羽の雛が随いて食う。忽然として一匹の飢えた鳶が猛り撃ち下ろし、二羽の雛が殃に遭った。安享の際に禍が天から降るのは、防ぎ難き横禍である。この林は食を聚める時に暴至の災あることを主とし、特に兄弟・子侄の輩に応ずる。占者は安逸の中に予め戒備を設け、親しい者を単り落とさぬようにすべき。

大壯 乘車七百,以明文德。踐土葵丘,齊晉受福。(兌之剝)

巽の大壮。七百乗の兵車に乗って諸侯と会盟し、もって礼楽文徳を宣明した。晋の文公は践土に盟し、斉の桓公は葵丘に盟し、斉・晋両国はこれによって福沢を受けた。二つの盟の事は《左伝》《史記》に見え、春秋覇業の頂点である。この林は大吉で、威をもって徳を済し、衆人を会合して功名を立てることを主とし、盟約・結社・共事の挙は皆成る。

晉 百足俱行,相輔為強。三聖翼事,王室寵光。(屯之履,晉之坤,遯之復,井之履)

巽の晋。百足の虫は衆足が斉しく動き、互いに輔け扶け合うゆえに強健である。三位の聖賢が王事を翼佐し、周の王室はこれによって栄光赫たる。いわゆる三聖とは、周公・召公・太公の類の輔弼の重臣を指す。この林は同心協力・群賢共済を主とし、事業が衆人の助けを得て昌盛する。占者は伙を合わせて共に謀るに宜しく、独断専行を忌む。

The original text is in the public domain. The Japanese is a machine-assisted translation of this library’s own Chinese paraphrase, checked against a fixed glossary so that technical terms match the definitions used elsewhere on this site. It is a reading aid and does not replace the original.

Hexagrams in this volume