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震の林(震卦六十四林)

汉 · 焦延寿 · 第59巻 / 71

作盤ガイド: 大衍筮法, 六爻納甲の立卦

艮 虎豹熊羆,遊戲山谷。仁賢君子,得其所欲。(謙之中孚)

漸の卦が艮の卦に変わる。虎豹熊羆山谷の間に於て自在に游嬉して、各々其の地を得たり。仁厚賢明の君子も亦た一樣に心に称い愿を遂げたり。此の林主として各々其の所に安んじて、求むる所心に随う、吉なり。末の注此の林《謙》の《中孚》と文同じを示す。

歸妹 海隅遼右,福祿所至。柔嘉蒙祉,尤夷何咎。

漸の卦が帰妹の卦に変わる。遠く海辺と遼東以西の地は、正に是れ福禄の到る所の處なり。柔順美善の徳を秉持すれば便ち福祉を蒙りて、夷方に居ると雖も又た何の過錯かあらん。此の林主として遠方福を得て、徳を以て俗を化す、吉なり。

豐 華首之山,仙道所遊。利以居止,長無咎憂。(謙之井)

漸の卦が豊の卦に変わる。華首の山は、是れ神仙往来遨游する所の地方にして、居住停留するに宜しく、長久過咎と憂患なし。此の林主として地を擇びて清勝にして、安居して長く吉なり。末の注此の林《謙》の《井》と文同じを示す。

旅 甲乙戊庚,隨時轉行。不失常節,萌芽律屈。咸達生出,各順其類。(歸妹之□)

漸の卦が旅の卦に変わる。甲乙戊庚等の日辰時序に随いて推移運行して、常度節令を失わず。草木の萌芽律吕に依りて屈伸して、時に到れば便ち一斉に生發して、各々其の種類に按じて生長せり。此の林主として時に循りて動きて、各々其の宜を得て、理に順えば則ち吉なり。末の注の示す所の卦名殘缺して、□を以て之を存す。

巽 跂躓未起,失利後市,不得鹿子。

漸の卦が巽の卦に変わる。脚を踮きて行かんと欲するも却って地に绊倒して、還た爬起こる能わず。行情を錯過して、集市に趕到して已に晚しして、一頭の小鹿を連ねても獵着せず。此の林主として動きて時を失して、求むる所落空して、營謀に利あらず。

兌 惟恃自負,不志於下。血從地出,誅罰失理。

漸の卦が兌の卦に変わる。一味に自恃して高傲して、下情を體察する心なし。以致地の裏より血を冒出して、刑罰誅戮全く其の理を失せり。此の林主として驕慢して衆を失し、刑を用ゐるに當たらずして、慘禍を招致す、大凶なり。

渙 江河淮海,天之都市。商人受福,國家饒有。

漸の卦が渙の卦に変わる。長江、黄河、淮水、大海は、是れ上天の設けたる大都会集市なり。商人此に於て福利を蒙りて、国家も亦た之に因りて富饒せり。此の林主として水陸商を通じて、財貨流通して、公私倶に足る、大吉である。

節 節情省欲,賦斂有度。家給人足,且貴且富。

漸の卦が節の卦に変わる。情欲を節制し貪求を減省して、賦税を征收するに節度有り。於是家家充裕、人人富足して、既に尊貴を得て又た財富を得たり。此の林主として自ら奉ずるに節有りて、取与に度有りて、富貴保つ可し、吉なり。

中孚 牝馬鳴呴,求呼其潦。雲雨大會,流成河海。

漸の卦が中孚の卦に変わる。母馬嘶鳴呼喚するは、積水の降臨を祈求するに似たり。雲と雨大挙して會合して、流淌して河海を匯成せり。此の林主として求むる所應有りて、潤沢大いに來りて、事聚合に於て成る、吉なり。

小過 日月之塗,所行必到,無有患故。

漸の卦が小過の卦に変わる。日月運行の軌道に沿い行けば、去る所の處必ず到達して、患難事故なし。此の林主として正道に循りて行きて、目標期す可くして、出入平安せり、吉なり。

既濟 乘風而舉,與飛鳥俱。一舉千里,見吾愛母。(明夷之鼎)

漸の卦が既済の卦に変わる。風を乘りて飛起して、飛鳥と翼を并びて行けり。一たび飛べば便ち千里にして、終に我が思念する母親を得見せり。此の林主として勢を借りて遠行して、迅速にして愿の如くして、骨肉重ねて逢う、吉なり。末の注此の林《明夷》の《鼎》と文同じを示す。

未濟 陰配陽事,臥木反立。君子攸行,喪其官職。

漸の卦が未済の卦に変わる。陰柔の人陽剛の事に插手して、本より横臥すべきの木頭反って竪立して、上下顛倒せり。君子此の時出行すれば、己が官職を丢了せん。此の林主として名分錯乱して、陰陽位を失して、仕宦利あらず、凶なり。

帰妹の林(帰妹卦六十四林)

歸妹 堅冰黃鳥,常悲哀鳴。不見甘粒,但歡藜荊。數驚鷙鳥,為我心憂。

帰妹の卦が自ら変じても帰妹の卦のままである。堅氷未だ解けざるの時、《詩経・秦風・黄鳥》の詠ずる黄鳥長声に哀鳴せり。一粒の好粮を見ずして、只だ藜蒿荊棘の棲む可き有り。又た屢々凶猛の鷙鳥に驚起せられて、人をして心中憂愁せしむ。此の林主として時寒くして食乏しく、常に欺凌を受けて、憂懼安ならず、凶なり。

乾 荊木冬生,司寇緩刑。威權在下,國亂且傾。

帰妹の卦が乾の卦に変わる。荊木冬天に於て常に反して生發して、刑を主る司寇又た刑罰を放寛せり。威權臣下の手裏に落到して、国家便ち動乱して以て傾覆せり。此の林主として綱紀松弛して、權柄下に移りて、国危亡有り、凶なり。

坤 喘牛傷暑,弗能耕畝。草萊不闢,年歲無有。(丙吉問牛喘)

帰妹の卦が坤の卦に変わる。牛粗氣を喘ぐは、是れ暑熱に傷せられて、田に下りて耕作するに法なし。荒草叢生の田地開辟し出だせずして、一年到頭収成なし。漢の丞相丙吉路に牛の喘ぐに遇いて問うは、正に是れ時候の変を察するなり。此の林主として天時和を失して、耕作成らずして、歲歉しく収なし、凶なり。

屯 魚欲負流,眾不同心,至德潛伏。

帰妹の卦が屯の卦に変わる。魚流れに逆い上らんと欲するも、同伴各々異心を懐けり。徳行最高の人只好く潜蔵して露さず。此の林主として衆志斉わずして、勢に逆いて行き難く、賢者宜しく隱忍して時を待つべし。

蒙 春耕有息,秋入利福。獻豜大豭,以樂成功。

帰妹の卦が蒙の卦に変わる。春天耕作して労息有りて、秋天収入して利を獲て福を得たり。《詩経・豳風・七月》に大獣を獵して「豜を公に献ず」と説きて、衆人大猪を献上して一年の成功を慶賀せり。此の林主として春に作り秋に成りて、労して獲有りて、歓慶の吉なり。

需 生有聖德,上配太極。皇靈建中,授我以福。(家人之需)

帰妹の卦が需の卦に変わる。生まれて便ち聖人の徳行有りて、上太極の道と相配する可し。天神中正の道を樹立して、福気を我に交付せり。此の林主として徳天心に合して、上より福を受く、大吉である。末の注此の林《家人》の《需》と文同じを示す。

訟 右撫琴頭,左手援帶。凶訟不已,相與相戾。失利而歸。

帰妹の卦が訟の卦に変わる。右手琴頭を按じて、左手又た去りて衣帶を扯れば、手忙しく脚乱れん。凶险の官司纏訟して休まずして、彼此相互に抵触して、最後に本銭を折りて家に回れり。此の林主として争訟止まずして、两相違逆して、財を破りて返る、凶なり。

師 炙魚拈斗,陰倚碩鼠。舌不思味,譏發為祟。笮不得去。

帰妹の卦が師の卦に変わる。烤好の魚剛く斗の中に夾上するも、暗處却って《詩経・魏風・碩鼠》の譏る所の大老鼠に倚れり。食物口に到りて品を味わう心なくして、譏議一たび起れば便ち祟害と成りて、逼迫せられて身を脱する能わず。此の林主として小人食を竊みて、謗議身に纏りて、制を受けて去ること難し、凶なり。

比 申酉說服,牛馬休息。君子以安,勞者得歡。

帰妹の卦が比の卦に変わる。申酉の時分に到りて衣装を卸下して歇息して、牛馬も亦た休養を得たり。君子此れによって安適して、労苦の人歓楽を得たり。此の林主として労逸節有りて、上下倶に安んず、吉なり。

小畜 堯門尹爵,聖德增益。使民不疲,安無怵惕。

帰妹の卦が小畜の卦に変わる。堯の門下功を按じて爵を授けて、聖人の徳行日に增益せり。百姓を役使して疲敝せしめずして、人人安居して驚懼なし。此の林主として賞罰當を得て、政簡くして民安んず、吉なり。

履 孤公寡婦,獨宿悲苦。目張耳鳴,莫與笑語。(訟之歸妹)

帰妹の卦が履の卦に変わる。偶を失せる老翁と寡を守る婦人は、各々独宿して悲苦せり。眼睛を睜いて耳の中鳴を作して、身辺説笑する可きの人一個もなし。此の林主として孤独して偶なく、夜眠を成さずして、憂苦の凶なり。末の注此の林《訟》の《帰妹》と文同じを示す。

泰 外得好畜,相與嫁娶。仁賢集聚,諮詢厥事。傾奪我城,使家不寧。

帰妹の卦が泰の卦に変わる。外に在りて好い牲畜を得て、両家婚姻を結成せり。仁人賢士一處に聚りて、共同に此の事を商議せり。不料後に人我が城邑を傾覆搶奪して、家宅をして安寧を得ざらしむ。此の林主として先ず喜慶有りて後に侵奪に遭い、吉の中凶を蔵して、須らく後患を防ぐべし。

否 煎砂盛暑,鮮有不朽。去河千里,敗我利市。老手育馬,去之何悔。

帰妹の卦が否の卦に変わる。盛暑の中沙の上に於て煎晒して、東西腐壞せざるを得る者甚だ少し。河を離るること千里の遠にして、買売を做すも亦た成らず。倒れて是れ老練の人馬を養うは、便ち売出去ると雖も亦た悔すべき何もなし。此の林主として時と地倶に宜からずして、經營損を受く、唯だ本業を守るのみ悔を免る可し。

同人 甲乙戊庚,隨時轉行。不失常節,萌芽律屈。咸達出生,各樂其類。(漸之旅)

帰妹の卦が同人の卦に変わる。甲乙戊庚等の日辰時序に依りて推移して、常度を失わず。草木の萌芽律吕に依りて屈伸して、時に到れば便ち一斉に生發して、各々其の類に按じて各々其の楽を得たり。此の林主として時に順いて動きて、万物各々安んず、吉なり。末の注此の林《漸》の《旅》と文同じを示す。

大有 依宵夜遊,與君相遭。除解煩惑,使心不憂。

帰妹の卦が大有の卦に変わる。夜色に趁りて出游して、恰好に君と相遇せり。一席の話煩悶疑惑を解開して、心の中をして再び憂愁せざらしむ。此の林主として暗の中合に遇い、疑難釋を得て、憂を轉じて安と為す、吉なり。

謙 天有絕明,巧言為讒。覆白汙玉,顏叔哀音。

帰妹の卦が謙の卦に変わる。上天本より一切を洞察するの明鑑有るも、可なりしも巧言の徒専ら讒を進むるを事とせり。《詩経・小雅・巧言》正に此の事を刺して、讒言能く白を説いて黑と為し、美玉を説いて汚物と為して、顔叔を逼って哀鳴を發せしむ。此の林主として讒口是非を混淆して、正直屈を受く、凶なり。

豫 逐利三年,利走如神。展轉東西,如鳥避丸。

帰妹の卦が豫の卦に変わる。財利を追逐して三年を追えど、利頭却って神靈の如く跑げて影蹤無し。東奔西走して輾轉定まらずして、飛鳥の彈丸を躲避するが如し。此の林主として財を求めて獲なく、奔波労碌して、且つ須らく危を防ぐべし、不吉なり。

隨 堤防壞決,河水泛溢。傷害稼穡,民流去室。君孤獨宿,沒溺我邑。

帰妹の卦が随の卦に変わる。堤防潰決して、河水泛濫四溢して、庄稼淹を被りて、百姓流離して所を失せり。国君孤零零として独宿して、城邑大水の中に淹沒せり。此の林主として水患災を成して、家国倶に損す、大凶なり。

蠱 陰陽隔塞,許嫁不答。旄丘新臺,悔往嘆息。(晉之無妄)

帰妹の卦が蠱の卦に変わる。陰陽隔絶不通にして、已に許したる婚事對方却って回應せず。《詩経・邶風》の《旄丘》人に怨望し、《新台》衛宣公の子の妻を奪うを刺すは、嫁ぐ所人に非ずして、只好く悔恨歎息するのみ。此の林主として婚事阻絶して、託する所偶に非ずして、悔恨の凶なり。末の注此の林《晋》の《無妄》と文同じを示す。

臨 伯夷叔齊,貞廉之師。以德防患,憂禍不存。(泰之乾,革之否,比之剝)

帰妹の卦が臨の卦に変わる。伯夷、叔齊国を讓りて節を守るは、是れ堅貞清廉の表率なり。徳行を以て患難を防備して、憂愁と禍事自然に存留せず。此の林主として廉を守りて退讓して、徳を以て禍を免る、吉なり。末の注此の林《泰》の《乾》、《革》の《否》、《比》の《剥》と文同じを示す。

觀 陽為狂悖,拔劍自傷,為身生殃。(明夷之井)

帰妹の卦が観の卦に変わる。陽剛甚だ過ぎて狂悖に流れて、劍を拔出して反って自己を傷して、自身に替えて禍殃を招来せり。此の林主として剛愎して妄動して、自ら其の身を傷する、凶なり。末の注此の林《明夷》の《井》と文同じを示す。

噬嗑 進士為官,不苦服田,獲壽保年。

帰妹の卦が噬嗑の卦に変わる。身を進むる途に由りて官を做して、必ずしも田に下りて耕作するの苦を吃らずして、還た長寿して年を保つ能し。此の林主として労役を脱離して、身を進めて禄を得て、身安んじて寿永し、吉なり。

賁 耕石不生,棄禮無名。縫衣失針,襦褲弗成。

帰妹の卦が賁の卦に変わる。石頭の上に於て耕種しても苗を長出せずして、礼法を拋弃すれば便ち名分を得ず。衣服を縫いて針を丟失して、短襖長褲倶に做り成らず。此の林主として為す所其の法を得ずして、憑借を缺少して、事事成らず、凶なり。

剝 靈龜陸處,一旦失所。伊子復耕,桀亂無輔。

帰妹の卦が剥の卦に変わる。靈龜水を離れて陸地に處りて、一旦憑依を失せり。伊尹重たび有莘の野に回りて田を耕し、夏桀昏乱にして輔佐する人なし。此の林主として賢者退隱して、上良弼なく、国政守を失し、凶なり。

復 室當原口,漂溺為海。財產殫盡,衣食無有。

帰妹の卦が復の卦に変わる。房屋正に水源の出口に対して、一たび大水を發すれば便ち漂沒して一片の汪洋と成れり。財産荡然として存せずして、衣食倶になし。此の林主として居地険に臨みて、水厄家を破る、大凶なり。

旡妄 雞方啄粟,為狐所逐。走不得食,惶懼喘息。

帰妹の卦が旡妄の卦に変わる。鶏剛く粟米を啄到するも、便ち狐狸に追趕せられり。一路逃竄して食を吃り上ぐる能わずして、驚慌して直に喘氣せり。此の林主として剛く得る所有れば便ち奪に遭い、驚惶安ならず、不吉なり。

大畜 家在海隅,繞旋深流。豈敢憚行,無木以趨。

帰妹の卦が大畜の卦に変わる。家海角の上に住して、四面倶に深水に盤繞せられり。並びに門を出でるを害怕するに非ずして、實に是れ趁行する可きの舟楫木筏なし。此の林主として地勢に困を受けて、心有りて具なくして、行かんと欲して得ず。

頤 他山之錯,與璆為仇。來攻吾城,傷我肌膚。國家騷憂。(明夷之井)

帰妹の卦が頤の卦に変わる。《詩経・小雅・鶴鳴》に他山の石以て玉を攻る可しと説くも、如今此の磨石却って美玉と冤家を結成せり。敵人來りて我が城池を攻して、我が肌膚を傷して、国を挙げて騷動憂懼せり。此の林主として外侮身に加りて、器我が害と為して、邦国寧ならず、凶なり。末の注此の林《明夷》の《井》と文同じを示す。

大過 弊鏡無光,不見文章。少女不嫁,棄於其公。

帰妹の卦が大過の卦に変わる。破舊の鏡子再び明亮せずして、紋飾文采を照出する能わず。年少の女兒嫁し去る能わずして、彼女の父親に家の中に弃せられり。此の林主として昏昧して文なく、婚配時を失して、弃せられんの凶なり。

坎 大蛇巨魚,相輔殺之。君臣隔塞,郭公失廬。

帰妹の卦が坎の卦に変わる。大蛇と巨魚相互に勾連して而して後に人に合力して誅殺せられり。君臣の間隔閡堵塞して、《春秋》の記する所の郭公此れによって国土居所を丢了せり。此の林主として上下通ぜずして、強梁自ら斃れて、国主位を失し、凶なり。

離 絕世無嗣,福祿不存。精神渙散,離其躬身。

帰妹の卦が離の卦に変わる。後代を断絶して子嗣なくして、福禄も亦た再び存留せず。精神渙散飄蕩して、己が身体を離開せり。此の林主として家祀將に絶えんとして、元神離散す、大凶なり。

咸 文君之德,養人致福。年無胎夭,國富民寶。憂者之望,曾參盜息。

帰妹の卦が咸の卦に変わる。文王のごとき君徳にして、百姓を養育して福気を招来せり。年成の中胎死夭折の事なくして、国家富足して、人民便ち是れ国宝なり。憂愁の人も亦た轉機を盼到して、曾參誣に遭うがごとき流言を連ねても止息せり。此の林主として上徳民を養いて、謡諑自ら消えて、家国倶に吉なり。

恆 合歡之國,喜為我福。東嶽南山,朝濟成恩。

帰妹の卦が恒の卦に変わる。和睦歡洽の邦国に處りて、喜慶便ち是れ我が福気なり。東岳を朝拜して南山に面對して、早晚祭享して恩沢を成就せり。此の林主として上下歓合して、祭禱應を得て、福を受くるの吉なり。

遯 憂人之患,履悖易顏。為身禍殘,率身自守。與喜相抱,長子成考,封受福佑。

帰妹の卦が遯の卦に変わる。別人に替えて患難を擔憂して、事を行いて一旦違悖すれば便ち臉色を変ずべし。禍害己身を殘傷するの時、唯だ自身を約束して本分を謹守する有るのみ。守住し得れば便ち喜慶と相擁する能くして、長子長成大人して、封を受けて福佑を得たり。此の林主として先ず険にして後に安んじ、能く自ら守れば終に福を得ん、吉なり。

大壯 太公避紂,七十隱處。卒逢聖文,為王室輔。(明夷之坤)

帰妹の卦が大壮の卦に変わる。姜太公商紂の暴政を躲避して、七十歲に隱居せり。終に聖明の周文王に遇上して、王室の輔弼と成れり。此の林主として久しく隱れて時を待ちて、老いて主に遇い、先ず困して後に大吉なり。末の注此の林《明夷》の《坤》と文同じを示す。

晉 江漢上流,政逆民憂。陰代其陽,雌為雄公。

帰妹の卦が晋の卦に変わる。江漢の上游に處りて、政令悖逆にして百姓憂苦せり。陰陽の位置を取代して、母鶏雄鶏に充作せり。此の林主として陰陽倒置して、婦夫の權を奪いて、政乱れて民困る、凶なり。

明夷 縮縮亂絲,舉手為災。越畝逐兔,濡其衣褲。

帰妹の卦が明夷の卦に変わる。絲綫一団の乱麻に縮りて、一たび手を動かせば便ち乱を添えて災と成れり。田壟を越えて去りて兎子を追えば、衣褲を倶に弄湿して弄髒せり。此の林主として頭緒紛乱して、妄動して損を招きて、逐う所得ず、凶なり。

家人 臭彘腐木,與狼相輔。亡夫失子,憂及父母。

帰妹の卦が家人の卦に変わる。腐臭の猪と朽爛の木頭は、正に好く豺狼と相伴せり。婦人丈夫を死なれて又た兒子を失去して、憂愁年老の父母に連累及せり。此の林主として家道敗壞して、惡と隣と為して、喪亡の凶なり。

睽 刲羊不當,女執空筐。兔跛鹿踦,緣山墜墮。讒□亂作。

帰妹の卦が睽の卦に変わる。《周易・帰妹》の上六に「士羊を刲して血無し、女筐を承けて実無し」と説きて、羊を宰すに法を得ずして、女子空の筐を捧げり。兎子跛脚にして鹿も亦た瘸腿にして、山に沿い攀爬する時跌落して下れり。讒言又た紛紛として興起せり。此の林主として祭礼成らず、婚事落空して、讒乱交わり至る、大凶なり。原文缺字有り、□を以て之を存す。

蹇 拔劍傷手,見敵不喜。良臣無佐,困憂為咎。

帰妹の卦が蹇の卦に変わる。劍を拔く時先ず自己の手を割傷して、敵人を見て心の裏怵を發せり。忠良の臣幇手を得ずして、困頓憂愁して便ち過咎と成れり。此の林主として未だ戰わずして先ず傷え、孤立して援なくして、事を處すに艱難せり、凶なり。

解 三羖五羊,相隨俱行。迷入空澤,循入直北。經涉六駁,為聽傷敗。

帰妹の卦が解の卦に変わる。三隻の黑公羊と五隻の羊伴を結して同行して、路に迷いて空曠の沼沢に走进して、一直に北に向かいて深入せり。途中《詩経・秦風・晨風》の説く所の六駁の猛獣出没するの地を經過して、誤りて人言を聽したるに因りて害を受けて敗亡せり。此の林主として途に迷いて向を失して、軽く信じて禍を招きて、行旅大凶なり。

損 爭雞失羊,亡其金囊。利得不長,陳蔡之患。賴楚以安。(恆之夬)

帰妹の卦が損の卦に変わる。一隻の鶏を争わんが為に羊を丢了して、還た錢袋を失落せり。得る所の利長久する能わずして、孔子の陳蔡に困えて粮を絶たるがごとき難を受けて、幸いに楚昭王兵を發して相迎えに賴りて始めて安全を得たり。此の林主として小に因りて大を失して、中途厄に遇いて、終に貴人の相救を得、先ず凶にして後に安んず。末の注此の林《恒》の《夬》と文同じを示す。

益 三灑負衡,南取芷香。秋蘭芬馥,盈滿神匱。利我仲季。

帰妹の卦が益の卦に変わる。再三灑掃して、横木を肩負して南に行きて、白芷の芳香を采得せり。秋蘭馥郁として、神匱に装満して供奉せり。此の福気我が家の次子と幼子に利及せり。此の林主として遠行して采獲して、芳馨室に盈ちて、子弟に惠及す、吉なり。

夬 孟春己丑,哀呼仲父。明德訖終,亂虐滋起。

帰妹の卦が夬の卦に変わる。孟春己丑の彼の日、斉桓公病篤して、哀声呼喚して仲父管仲とせり。賢相既に殁して、聖明の徳此に到りて終結して、禍乱暴虐随いて滋生せり。此の林主として賢輔既に失われて、盛業中断して、乱此れにより起る、凶なり。

姤 履不容足,南山多葉。家有芝蘭,乃無病疾。(葉又作草)

帰妹の卦が姤の卦に変わる。地方局促して脚を連ねても放り下る處なきも、好し南山草木繁茂せり。家中芝蘭のごとき香草有れば、便ち病痛なし。此の林主として处境窄しと雖も養う所有りて、居家清芳して、身体安康せり、吉なり。末の注「葉」の字又た「草」と作るを載す。

萃 三足無頭,弗知所之。心在精傷,莫使為明。不見日光。

帰妹の卦が萃の卦に変わる。三隻の脚にして頭なくして、何の處に往くべきかを知らず。心神損を受けて、彼に替えて辨明する人なくして、終日日の光を見ず。此の林主として其の首領を失して、進退主なくして、昏昧して明ならず、凶なり。

升 戴堯扶禹,喬松彭祖。西過王母,道路夷易。無敢難者。(師之離)

帰妹の卦が升の卦に変わる。頭に堯を頂き身に禹を扶くるがごとき聖王有りて、又た王子喬、赤松子、彭祖の此れらの長寿の仙と同行せり。西行して西王母の處を經過して、道路平坦にして、人敢えて阻難を加うるなし。此の林主として聖賢の庇護有りて、路途通達して、長寿して福多し、大吉である。末の注此の林《師》の《離》と文同じを示す。

困 式微式微,憂禍相半。隔以巖山,室家分散。

帰妹の卦が困の卦に変わる。《詩経・邶風・式微》に「式微式微、胡為歸らざる」と哀歎して、憂愁と禍事各々一半を占めり。中間又た険峻の山岩に隔たりて、一家人四散分離せり。此の林主として流落して外に在りて、歸途阻まるを受けて、骨肉離散す、凶なり。

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