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震の林(震卦六十四林)

汉 · 焦延寿 · 第56巻 / 71

作盤ガイド: 大衍筮法, 六爻納甲の立卦

震 枯瓠不朽,利以濟舟。渡踰江海,無有溺憂。

震の卦が自ら変じても震の卦のままである。晒乾の葫蘆腐らず朽ちずして、腰間に繫げば人を助けて水を渡る可し、《詩経・邶風・匏有苦葉》の説く済渡便ち此れなり。之に憑りて江海を横渡すれば、沉溺を擔心するを必とせず。此の林主として倚る可きの具有り、険を渉りて済を得て、出行して水を渡り平安せり、吉なり。

乾 陷塗溺水,火燒我履,憂患重累。

震の卦が乾の卦に変わる。泥沼に陷進して又た水中に落入して、好容易に岸に上れば、火又た我が鞋子を燒けり。憂患一層一層と接して壓來せり。此の林主として水火交わり侵し、災難連綿として、進退倶に損せり、凶なり。

坤 旦生夕死,名曰嬰鬼,不可得祀。

震の卦が坤の卦に変わる。早晨生まれて傍晚に便ち夭亡して、此のごとき孩子嬰鬼と称せられて、古礼に按ずれば祭祀を連ねても享有する能わず。此の林主として生育成らずして、夭殤の痛有り、立てる所久長する能わず、凶なり。

屯 揚水潛鑿,使石潔白。衣素表朱,遊戲皋澤。得君所願,心志娛樂。

震の卦が屯の卦に変わる。《詩経・唐風・揚之水》に激揚の流水石を沖刷して、白石を洗いて凿凿分明たらしむと説く。身に素衣朱領の礼服を穿きて、水辺の高地に遊賞せり。君上に求むる所倶に得られて、心意愉悦せり。此の林主として濁去りて清出で、心に遂い志を得て、吉なり。

蒙 眾鳥所翔,呼有大怪。九身無頭,魂驚魄去。不可以居。

震の卦が蒙の卦に変わる。群鳥盤旋する地方に、忽然驚呼して大怪出現せり。九個の身にして頭なくして、見る人魂飛魄散せり。此のごとき地方絶に居住する可からず。此の林主として居る所妖異の兆有りて、驚恐して拠を失し、宜しく速やかに遷避すべし、凶なり。

需 刖根枯株,不生肌膚。病在於心,身以燋枯。

震の卦が需の卦に変わる。樹根斬断せられて、只だ枯干の殘株を残して、再び新皮新肉を長出する能わず。人の病根心に在れば、所以整個の身子随いて焦枯せり。此の林主として病根本に在りて、外治功なく、元気衰竭せり、凶なり。

訟 府藏之富,王以振貧。捕魚河海,罟網多得。

震の卦が訟の卦に変わる。府庫積藏豊厚にして、君王之を用ゐて以て貧困を賑濟せり。又た江河大海の中に到りて魚を捕えて、網を撒下して獲る所甚だ多し。此の林主として上恩施有りて下漁利有りて、財を求めば財を得ん、吉なり。

師 一莖九躔,更用牽攣。安明俯仰,不得東西。贊讞當決,日午被刑。

震の卦が師の卦に変わる。一根の茎の上九道を纏わりて、交相に牽扯拘挛して、人綁られて只だ俯仰する能くして左右移動する能わず。案卷罪を議して已に定讞して、正午に到れば便ち刑を行わん。此の林主として身羅網に陷り、人に受制せられて、官非刑獄頭に臨む、大凶なり。

比 耋老鮐背,齒牙動搖。近地遠天,下入黃泉。

震の卦が比の卦に変わる。人已に老邁して、背上鮐魚のごとき斑紋を生出して、牙歯も亦た松動して落ちんと欲す。地を離るること近くして天を離るること遠くして、眼看に便ち黄泉に下入せんとす。此の林主として年寿將に終わらんとして、気力衰竭して、病を問い寿を問う倶に利あらず。

小畜 季蛇叔虎,野心善怒。黷貨無厭,以滅其身。

震の卦が小畜の卦に変わる。季氏の蛇、叔氏の虎は、倶に是れ心に野性を懐きて輙ち怒を發する人なり。財貨を貪求して毫も滿足なくして、終に此れによって身を喪せり。晋国の羊舌虎の流便ち貪暴に因りて族滅せり。此の林主として貪暴して止を知らず、自ら滅亡を取る、大凶なり。

履 籲疑八子,更相欺紿。管叔善政,不見邪期。

震の卦が履の卦に変わる。八個人猜疑歎息して、彼此欺騙蒙蔽せり。而して管叔一心に善政を施行するも、却って別人暗中に約定する邪謀を看出せず。此の林主として群小相欺して正人蔽を受く、本意善を為すと雖も仍ほ構陷に遭う、凶なり。

泰 絆逃不遠,心與言反。尼丘顧家,茅簟朱華。

震の卦が泰の卦に変わる。脚を绊住して逃げること遠からずして、心の所想と口の所説正に相違背せり。孔子尼丘に生まれて終に家室を顧念するが如くして、屋の中過ぎず茅席一張、朱花一枝のみ。此の林主として遠行成らず、言行相違して、清素の家に安守すれば反って平和を得ん。

否 蜉蝣戴盆,不能上山。搖推□跛,頓傷其顏。

震の卦が否の卦に変わる。朝生暮死の蜉蝣一隻の盆子を頂きて、怎麼も山に爬上する能わず。搖搖晃晃として跛行を推擠して、一跤跌倒して顔面を摔傷せり。《詩経・曹風・蜉蝣》蜉蝣を以て遠圖を知らざる者を喻す。此の林主として力小さく任重くして、勉强して行えば必ず損傷を受く、凶なり。原文此処缺字有り、□を以て之を存す。

同人 朝露不久,為恩惠少。膏澤欲盡,咎在枯槁。

震の卦が同人の卦に変わる。早晨の露水存留して久しからずして、施す所の恩惠便ち微薄なり。滋潤の雨露將に用い盡さんとして、過錯便ち草木の枯槁の上に落れり。此の林主として恩沢短淺にして、後に継ぐ力なく、養う所終に枯竭せん、不吉なり。

大有 河伯之功,九州島攸同。載祀六百,光烈無窮。

震の卦が大有の卦に変わる。河伯水を治めて功有りて、《尚書・禹貢》の謂う所の九州此れによって一同に歸せり。国の祭祀を享くること六百年にして、功業光耀窮まりなし。此の林主として水を治めて成功し、基業綿長にして、福沢後世に及ぶ、大吉である。

謙 三人北行,大見光明。道逢淑女,與我驥子。

震の卦が謙の卦に変わる。三個人一同に北に向かいて行きて、前路豁然として大放光明せり。途中賢淑の女子に遇い、還た我に千里馬のごとき良駒を贈れり。此の林主として同行して助を得て、路途通達して、又た良配佳贈に遇う、吉なり。

豫 金精耀怒,帶劍過午。徘徊高庫,宿於木下。兩虎相距,弓弩滿野。

震の卦が豫の卦に変わる。太白金星光芒憤怒して、劍気を帶びて午位を經過せり。高高の庫楼の上に徘徊して、夜樹の下に宿せり。两隻の猛虎相持して下らずして、弓弩原野に布満せり。此れ是れ兵象。此の林主として兵戈將に起らんとして、两強相争して、出行して険に遇う、凶なり。

隨 江河淮海,天之奧府。眾利所聚,可以富有。安樂無憂。

震の卦が随の卦に変わる。長江、黄河、淮水、大海は、是れ上天の設けたる幽深の庫府なり。各种の利源倶に彼処に匯聚して、以て富を致すに足れり。此の林主として水に臨みて利を興し、貨殖成有りて、安楽して憂なし、大吉である。

蠱 不虞之患,禍至此門。奄忽暴卒,病傷我心。

震の卦が蠱の卦に変わる。意料せざる患難にして、禍事忽然此の一家門の上に臨到せり。親人轉眼暴亡して、此の病痛我が心を傷透せり。此の林主として意外の災、猝然の喪亡、大凶なり。

臨 畫龍頭角,文章未成。甘言美語,說譯無名。

震の卦が臨の卦に変わる。龍を画いて纔かに頭角を画き出して、紋彩還た画き成らず。甜言美語を説尽して、游説陳辞終に名分を得ず。此の林主として功業半途にして、虚言実なく、事を謀れば成らず。

觀 缺破不成,胎卵不生,不見兆刑。(晉之益)

震の卦が観の卦に変わる。器物殘缺破損して形を成さずして、胎と卵倶に孵育し出ださずして、一点の征兆形跡を連ねても見えず。此の林主として事形を成すなく、孕育遂わずして、謀望落空す、凶なり。末の注此の林《晋》の《益》と文同じを示す。

噬嗑 旁行不遠,三里反覆。心多畏惡,日中止舍。

震の卦が噬嗑の卦に変わる。身を側らせて走ること遠からずして、纔かに三里路にして來回折返せり。心の裏畏懼厭惡に満ちて、日頭剛く正中に到れば便ち歇宿を停下せり。此の林主として行きて遠くする能わず、疑懼して前せず、事を謀れば遲滯して成ること難し。

賁 四瀆不安,兵革為患。探我妻子,家復飢寒。

震の卦が賁の卦に変わる。江、河、淮、済の四瀆の地倶に安寧を得ずして、兵戈甲冑大患と成れり。乱兵我が妻兒を搜掠して、一家人重たび飢寒に陷入せり。此の林主として兵乱家に及びて、妻子驚を受け、衣食断絶す、大凶なり。

剝 喜來如云,舉家蒙歡。眾財君子,喜福盈門。(睽之豐)

震の卦が剥の卦に変わる。喜事雲の如く涌來して、全家倶に歓楽に沾れり。財貨君子の門に聚りて、喜慶と福気門庭に充満せり。此の林主として喜信頻りに至り、財禄豊盈して、家を挙げて慶を蒙る、大吉である。末の注此の林《睽》の《豊》と文同じを示す。

復 載金販狗,利棄我走。藏匿淵底,拆晦為咎。(艮之革)

震の卦が復の卦に変わる。車を用ゐて金子を載せて狗を販れば、利潤却って我を弃てて去れり。錢財を深淵の底下に蔵して、隱晦不明にして反って咎害を招来せり。此の林主として本重く利軽くして、買売倒置して、藏匿愈々深ければ損失愈々甚なり、凶なり。末の注此の林《艮》の《革》と文同じを示す。

旡妄 日中為市,各抱所有。交易貲賄,函珠為寶。心悅歡喜。

震の卦が旡妄の卦に変わる。《周易・繫辭》に神農氏の「日中に市を為す」と説きて、天下の民各々所有るを携えて前來を招致せり。彼此財貨を交換して、匣子を用ゐて珠玉を装えて寶物と為して、人人心の裏歓喜せり。此の林主として交易して利を得て、買売两便にして、歓欣して得有り、吉なり。

大畜 日趨月步,周遍次舍。經歷致遠,無有難處。

震の卦が大畜の卦に変わる。日月運行の如くして、日に逐いて推移し月に逐いて前進して、一處々の館舍を走り遍くせり。一路經歷遠行して、走り難きの地方に遇わず。此の林主として行程順遂して、序に循りて遠を致し、出入平安せり、吉なり。

頤 陽明失時,陰凝為憂。主君哀泣,喪其元侯。

震の卦が頤の卦に変わる。陽気盛んなるべきに却って時令を失して、陰寒凝聚して憂患と成れり。国君之が為に哀哭するは、其の首輔の重臣を失うを以てなり。此の林主として陰盛んにして陽衰え、棟梁折損して、上喪亡の痛有り、凶なり。

大過 年衰歲暮,精魂游去。形容消枯,哀子相呼。

震の卦が大過の卦に変わる。年歲已に衰えて、一年又た尽頭に到りて、精神魂魄漸々游離して去れり。形貌消瘦枯槁して、居喪の孝子旁に在りて哀哀と呼喚せり。此の林主として寿元將に尽きんとして、家の中喪事有り、病を問えば大凶なり。

坎 少無功績,老困失福。跌行跛踦,不知所立。

震の卦が坎の卦に変わる。年少の時功績を立下せずして、年老うれば便ち困頓して福を失せり。路を走れば便ち跌跌撞撞、一瘸一拐して、何の處に身を立つべきかを知らず。此の林主として早年虛度して、晚境依無し、進退拠を失し、凶なり。

離 持心耀目,善數搖動。自東徂西,不安其處。渙散府藏,無有利得。

震の卦が離の卦に変わる。心を存して人に炫耀し、又た反復動搖に慣れり。東より西に走りて、心を安んずる能わず。府庫の中の積藏此れによって散尽して、何の好處も亦た得ず。此の林主として心志定まらず、遷動常なく、家財耗散す、凶なり。

咸 □貝贖狸,不聽我辭。繫於虎鬚,牽不得來。(需睽否革同人否隨師)

震の卦が咸の卦に変わる。財貨を帶びて去りて彼の狸を贖わんとすれど、對方却って我が説辞を聽かず。狸虎須の上に繫がれて、怎麼に牽いても牽き來らず。此の林主として求むる所強者の據る所と為りて、贖救門なく、財を用ゐて效を見ず、凶なり。原文首の字殘缺して、□を以て之を存し、末の注此の林と《需》《睽》《否》《革》《同人》《随》《師》の諸卦文同じの處を列す。

恆 老狼白□,長尾大胡。前顛後躓,岐人悅喜。

震の卦が恒の卦に変わる。《詩経・豳風・狼跋》に老狼の颔の下に大胡を垂れ身の後に長尾を拖きて、前に走れば胡を踩み、後に退けば尾を绊して、進退狼狽を写せり。旁觀の岐周の人之を見て笑を發して歓喜せり。此の林主として行動制を受けて、進退两難して、反って他人の笑資と成る、進を謀るに利あらず。原文缺字有り、□を以て之を存す。

遯 背地相憎,心志不同。如火與金,君猛臣懾。虎行兔伏。

震の卦が遯の卦に変わる。背地の裏彼此憎惡して、心志根本に合わず。火と金の相克するが如くして、君主剛猛にして臣下畏懼せり。老虎一たび走動すれば、兎子便ち地に伏して敢えて動かず。此の林主として上下相疑して、強弱懸殊して、弱者宜しく退避して自ら保つべし。

大壯 夏臺羑里,湯文厄處。鬼侯歠醢,岐人悅喜。

震の卦が大壮の卦に変わる。商湯曾て夏台に囚せられ、周文王曾て羑里に囚せられしは、倶に是れ聖人難に遭うの地なり。紂王鬼侯を肉醤に剁して以て文王に賜うに、文王忍を含みて吞下して、岐周の人後に終に其の歓喜を得見せり。此の林主として難を蒙り辱を忍して終に轉機有り、先ず困して後に通ず。

晉 牙□生齒,螳蜋啟戶。幽人利貞,鼓翼起舞。

震の卦が晋の卦に変わる。牙床の上重新に牙歯を長出して、螳螂戸を開きて出づるは、倶に是れ時気來復の象なり。《周易・履卦》に「幽人貞吉」と説きて、幽居して正を守る人此の時正に翅を振りて起舞する可し。此の林主として生機重たび來り、隱者時を得て、正を守れば則ち吉なり。原文缺字有り、□を以て之を存す。

明夷 烈女無夫,閔思苦憂。齊子無良,使我心愁。

震の卦が明夷の卦に変わる。貞烈の女子丈夫なくして、憂思苦悶せり。《詩経・齊風》斉国の公子の行為不良を譏刺して、人をして心の裏發愁せしむ。此の林主として婚配成らず、遇う所人に非ずして、憂思解くこと難し、凶なり。

家人 踐履危難,脫厄去患。入福喜門,見我大君。(我一作海)

震の卦が家人の卦に変わる。一路危險艱難を踏過して、終に厄運を擺脱し禍患を除去せり。福喜の門に走り進みて、我が大君を得見せり。此の林主として険の中脱を得て、危を轉じて安と為し、又た能く貴人に面見す、先ず凶にして後に吉なり。末の注「我」の字一本「海」と作るを載す。

睽 拆臂接手,不能進酒。析杞閒曠,神怒弗喜。

震の卦が睽の卦に変わる。胳膊断きて再び手を接上するも、終に酒杯を擧げて敬獻する能わず。杞木を砍去して、廟庭空曠荒廢して、神靈発怒して歆享するを肯ぜず。此の林主として人殘えて事廢れて、祭祀礼を失して、神に罪を得、凶なり。

蹇 蟻封戶穴,大雨將集。鵲數起鳴,牝雞嘆室。相薨雄文,來到在道。

震の卦が蹇の卦に変わる。螞蟻洞口を封して土封を堆起するは、是れ大雨將に至らんとの先兆なり。喜鵲屢々起飛鳴叫して、母鶏却って屋の裏に長歎せり。種種の異象の後は、是れ相国薨逝の消息正に路上に在りて傳來せん。此の林主として天変先に見えて、大人物の凶信將に至らんとし、凶を主とす。

解 胡俗戎狄,太陰所積。涸洌冱寒,君子不存。

震の卦が解の卦に変わる。胡人戎狄の風俗の地は、是れ極陰の気積聚の處なり。水枯れ氷凍して、寒気凝閉して、君子彼処に於て身を存するに法なし。此の林主として处境陰寒にして久留に宜しからず、遠行して北方大いに利あらず。

損 翕翕□,稍頹崩顛。滅其令名,身不得全。

震の卦が損の卦に変わる。《詩経・小雅・小旻》小人を譏刺して「潝潝訿訿」、聚りて附和詆毀せり。此のごとき作為根基をして漸々崩壞傾頹せしめて、好名声此れによって毁滅して、身家を連ねても保つ能わず。此の林主として朋比して姦を為し、名敗れて身危うし、大凶なり。原文缺字有り、□を以て之を存す。

益 螟蟲為賊,害我稼穡。盡禾殫麥,秋無所得。

震の卦が益の卦に変わる。螟虫群を成して害を作して、我が庄稼を啃食せり。禾苗と麦子喰い乾淨して、秋収一の得もなし。此の林主として虫害農を傷めて、財を耗し益なく、利を謀れば落空す、凶なり。

夬 三鳥飛來,自我逢時。俱行先至,多得大利。

震の卦が夬の卦に変わる。三隻の鳥一斉に飛來して、正に我が好時運に撞上せり。伴を結して同行して先に到達して、此れによって獲利甚多し。此の林主として時來りて運合して、捷足して先に登りて、財を求めば大いに得る所有り、吉なり。

姤 龍馬上山,絕無水泉。喉唇燋乾,渴不可言。

震の卦が姤の卦に変わる。龍馬高山の上に奔上するも、山の上一点の泉水も亦たなし。咽喉嘴唇焦裂乾枯して、渇して話を説き出だす能わず。此の林主として往く所資養するなく、才高くして其の地を失して、困渇して支うこと難し、凶なり。

萃 春生子乳,萬物蕃熾。君子所集,禍災不至。

震の卦が萃の卦に変わる。春天万物生育哺乳して、草木鳥獣繁盛旺盛せり。君子此のごとき地方に聚集して、災禍身に臨まず。此の林主として生機蓬勃して、同類相聚して、家宅平安せり、吉なり。

升 王孫季子,相與為友。明允篤誠,升擢薦舉。(大有之小過)

震の卦が升の卦に変わる。王孫と季子朋友を結びて、二人倶に明察誠信、篤実忠厚にして、因って提拔挙薦せられり。此の林主として友を交えて人を得て、徳を以て知を見られて、升遷望有り、吉なり。末の注此の林《大有》の《小過》と文同じを示す。

困 六明並照,政入有統。秦楚戰國,民受其咎。

震の卦が困の卦に変わる。六道の光明同時に照耀して、政令一統に歸せり。可なりしも秦楚等の国相争う戦国の世は、百姓終に兵禍の咎を承受せん。此の林主として上統有ると雖も下其の苦を遭い、公事序有りて民力困竭す。

井 蝃蝀充側,□人所惑。女謁橫行,正道壅塞。

震の卦が井の卦に変わる。《詩経・鄘風・蝃蝀》彩虹空に當たるを以て淫奔の事を比喻して、虹霓一側に布満して、人をして迷惑せしむ。宮闈の女子請託横行して、正直の路堵塞せられり。此の林主として邪佞事を用ゐ、女子政を干して、君子の道消ゆ、凶なり。原文缺字有り、□を以て之を存す。

革 登崑崙,入天門。過糟丘,宿玉泉。問惠觀,見仁君。(比之姤,革之困)

震の卦が革の卦に変わる。崑崙の巔に登上して、天門に進入せり。糟丘を經過して、玉泉の畔に夜宿せり。一路問訊して見ゆるを求めて、終に仁厚の君主を得見せり。此の林主として高きに登り遠を歴して、尋訪成有りて、明主に遇うを得、大吉である。末の注此の林《比》の《姤》、《革》の《困》と文同じを示す。

鼎 體重飛難,未能越關,不離空垣。

震の卦が鼎の卦に変わる。身子太だ重くして、飛び起きる能わずして、關隘を越過する能わずして、只だ空蕩蕩の墻院の裏に守在して打轉するのみ。此の林主として力心に従わず、処する所に限られて、行かんと欲して得ず、事を謀れば出頭すること難し。

艮 元黃虺隤,行者勞罷。役夫憔悴,踰時得歸。(乾之革,師之臨得作不)

震の卦が艮の卦に変わる。《詩経・周南・卷耳》に「我馬虺隤」と説きて、馬匹病困して力なくして、路を趕る人も亦た疲憊不堪せり。服役の丁夫面容憔悴して、期限を過ぎて始めて家に回るを得たり。此の林主として行役労苦して、歸期延誤するも、遲しと雖も終に郷に還るを得ん。末の注此の林《乾》の《革》、《師》の《臨》と文同じを示し、并びに異文を載す。

漸 孔德如玉,出於幽谷。飛上高木,鼓其羽翼。輝光照國。(同人之坎)

震の卦が漸の卦に変わる。徳行温潤して玉の如き人は、幽深の山谷より走出せり。正に《詩経・小雅・伐木》の説く「幽谷より出でて、喬木に遷る」の如くして、高枝に飛上して双翼を振動して、光輝一国を照耀せり。此の林主として賢者隱微より出でて顯位に登りて、声名遠く播れる、大吉である。末の注此の林《同人》の《坎》と文同じを示す。

歸妹 火雖熾,在吾後。寇雖眾,在吾右。身安吉,不危殆。

震の卦が帰妹の卦に変わる。火勢猛烈なると雖も、却って我が身の後に燒きて、盗寇衆多なると雖も、我が右辺を經過せり。災禍身を擦りて過ぎて、人身安吉せり。此の林主として凶险臨みて近きも己が身に及ばずして、驚有りて険なし、吉なり。

豐 旃裘羶國,文禮不飾。跨馬控弦,伐我都邑。(豫之需)

震の卦が豊の卦に変わる。毡裘を披き膻腥を食する異族の国は、文教礼儀を講究せず。彼等戰馬に跨り、弓を張り弦を引きて、來りて我が都城を攻打せん。此の林主として外寇入侵して、礼樂行われず、辺境兵有り、凶なり。末の注此の林《豫》の《需》と文同じを示す。

旅 被髮八十,暮德獻服。邊鄙不聳,以安王國。

震の卦が旅の卦に変わる。髪を披く遠方の民八十部落は、晚成の徳を感慕して來りて貢を献じ歸服せり。辺地再び驚擾せずして、王国此れによって安定せり。此の林主として遠人來歸して、辺患消弭して、国家安寧せり、吉なり。

巽 心得所好,口常欲笑。公孫蛾眉,雞鳴樂夜。

震の卦が巽の卦に変わる。心の裏喜愛する所を得て、嘴上常に笑を帶びたり。公孫の家の女子生まれて蛾眉美貌にして、《詩経・齊風・雞鳴》夫妻夜半相語の楽を写すは、正に是れ此のごとき光景なり。此の林主として心に称い意に遂い、家室和楽せり、吉なり。

兌 馬西負乘,見邑之野。並獲粱稻,喜悅無咎。

震の卦が兌の卦に変わる。馬西に向かいて載を駝して行きて、城邑の外の郊野を望見せり。一幷に粱米と稻谷を收得して、歓喜して過錯なし。此の林主として行きて載する所有り、至る所獲有りて、喜慶して災なし、吉なり。

渙 高飛視下,貪饕所在。腐臭為患,害於躬身。

震の卦が渙の卦に変わる。高處に飛びて下を窺看して、専ら貪食する可きの地方を找りて、結果腐臭の物を吃到して禍患と成りて、己が身の上に害を到せり。此の林主として貪求度なく、食を擇ぶに精ならずして、自ら其の害を取る、凶なり。

節 東行西步,失其次舍。乾侯野井,昭公喪居。(鼎之噬嗑)

震の卦が節の卦に変わる。東に往かんと想うも却って西辺に邁いて、進退錯乱して、歇宿の館舍を連ねても失去せり。《春秋》に魯昭公出奔して、乾侯に流落して、客地に死すを載す。此の林主として擧止乖違して、其の居所を失して、他郷に客死するの象、凶なり。末の注此の林《鼎》の《噬嗑》と文同じを示す。

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