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損の林(損卦六十四林)

汉 · 焦延寿 · 第55巻 / 71

作盤ガイド: 大衍筮法, 六爻納甲の立卦

復 女室作毒,為我心疾。和弗能治,晉人赴吉。

鼎の卦が復の卦に変わる。内室の女色毒害を釀成して、心腹の疾を結成せり。《左伝》昭公元年に秦国の医和晋平公を診視するを載して、此の病「蠱の如し」と説き、女室に近きより生じて、藥石の医する所能に非ずとし、其の後晋人果して喪訊を発す。此の林主として色に因りて病を致し、醫治功なく、家凶信有り、凶なり。

旡妄 兵征大宛,北出玉關。與胡寇戰,平城道西。七日絕糧,身幾不全。

鼎の卦が旡妄の卦に変わる。兵を出して遠く大宛を征して、北に玉門關を出でて、又た胡人と平城以西に於て交戦せり。漢高祖匈奴の為に白登山に圍困せられて七日にして、粮道断絶して、幾ほど生還する能わず。此の林主として遠行して征戰し、深く険地に入りて、困を被り食を乏うして、身命危殆せり、凶なり。

大畜 十子夫九,莫適與居。貞心不宣,至今名孤。

鼎の卦が大畜の卦に変わる。十個の兒子を生養して、九個を走散して、一個も肯えて留まりて同住せず。節を守るの心意人の體察するなくして、到如今空しく一個の孤苦の名声を落せり。此の林主として子女多しと雖も依靠を得ず、貞守して人の報答するなく、晚景孤单せり。

頤 車行稻麥,遂至家國。樂土無災,君子何憂。

鼎の卦が頤の卦に変わる。車の稻麦を满して一路運りて回りて、直に家門と邦国に抵達せり。居る所正に是れ《詩経・魏風・碩鼠》の説く所の「樂土」にして、災害なく、君子還た何を憂愁せんや。此の林主として収成豊足して、財貨門に入りて、家国安楽せり、吉なり。

大過 作室山根,所以為安。一夕崩巔,破我饔餐。

鼎の卦が大過の卦に変わる。房子を山の脚の下に蓋して、本より以て身を安んずる可しと為せり。不料一夜の間山頂崩塌して下り來りて、早晚両餐の飯食器具を連ねても砸毀せられり。此の林主として倚る所其の地に非ざれば、根基牢ならずして、安処の中忽ち大禍を生ず、凶なり。

坎 六人俱行,各遺其囊。黃鵠失珠,無以為明。

鼎の卦が坎の卦に変わる。六個人伴を結して路に上りて、各々行囊を丢失せり。黄鵠の口に啣む明珠を失するが如くして、再び夜を照らすの光亮なし。此の林主として同行する者財を失い、恃む所の宝散尽して、人依る所を失し前程光なし、凶なり。

離 伯蹇叔盲,莫為守裝。失我衣裘,我是陰邦。

鼎の卦が離の卦に変わる。長兄跛足、次兄失明して、家中我に替えて行裝を看守する人なし。結果衣裘尽く失して、只だ身を幽暗偏僻の邦に處するを落得せり。此の林主として託する所人に非ずして、行旅物を失して、門の外に出づれば照應する人なし、凶なり。

咸 褒寵溢尤,敗政傾家。覆我宗國,秦滅周室。

鼎の卦が咸の卦に変わる。嬖寵分を過ぎて、罪咎叢生して、政事敗壞して、家門傾覆せり。周幽王褒姒を寵して天下を失して、周室終に秦の為に滅せられり。此の林主として寵に因りて禍を致し、女謁政を乱して、家国傾覆す、大凶なり。

恆 詭言譯語,仇禍相得。冰入炭室,消滅不息。

鼎の卦が恒の卦に変わる。言語詭詐にして、輾轉傳譯して真を失して、於是仇怨災禍と相遇せり。氷塊を搬りて炭火の房に進めるに譬ゆれば、消融殆盡して挽回する可ならず。此の林主として言語禍を招き、彼此相克して、所有終に必ず消亡せん、凶なり。

遯 彭生為妖,暴龍作災。盜堯衣裳,聚蹠荷兵。青禽照夜,三日夷亡。

鼎の卦が遯の卦に変わる。《左伝》莊公八年に齊襄公公子彭生を殺すを載して、後に田獵して大豕の人立して啼くに遇いて、衆人驚呼して彭生化して妖祟を為して、凶龍災を作すとす。盜賊堯の衣裳を竊取して以て聖人に充てて、盜跖の徒衆を聚めて兵を持ちて、怪鳥夜間光を発して、三日の内便ち夷滅の禍有らん。此の林主として冤気祟を為し、盜乱位を竊むれば、国速亡の象有り、大凶なり。

大壯 朝暮日月,四馬過隙。歲短期促,時難再得。

鼎の卦が大壮の卦に変わる。日月朝に升り暮に落ちて、光陰駟馬の隙を奔過して一閃即逝するが如し、語《莊子・知北游》の「白駒の郤を過ぐ」に本づく。年歲短促にして、期限逼近して、時機一たび錯過すれば便ち再び來り難し。此の林主として時に當たりて事を行うべく、遲疑すれば必ず機會を失せん。

晉 耳闕道喪,所為不成,所求匪得。

鼎の卦が晋の卦に変わる。耳目閉塞して聞こえずして、正道又た已に喪失して、此れによって何を做すも做す能わず、何を求むるも求むる能わず。此の林主として見聞明ならず、路徑已に失して、謀為落空して、事を挙ぐるに宜しからず。

明夷 申公患楚,危不自安。重耳出奔,側喪其魂。

鼎の卦が明夷の卦に変わる。申公楚国に於て難に遭いて、处境危殆にして自ら安んずる能わず。晋公子重耳他国に出奔せられて、惶惶然として幾ほど魂魄を丢了せり。二事倶に是れ貴人流亡の象。此の林主として身危地に居りて、遠行を迫られて、驚懼して寧ならず、凶の中須らく身を脱することを求むべし。

家人 南上泰山,困於空桑。左沙右石,牛馬無食。

鼎の卦が家人の卦に変わる。南に往きて泰山を攀登して、空桑のごとき荒僻の地に困せられり。左は沙にして右は石にして、牛馬草料を連ねても尋ね得ず。此の林主として絶地に行き入りて、資粮断絶して、進退倶に困り、凶なり。

睽 海隅遼右,福祿所在。柔嘉義禮,九夷何咎。

鼎の卦が睽の卦に変わる。遠く海辺と遼東以西の地に在るは、正に是れ福禄の鍾する所なり。只だ《詩経・大雅・烝民》の説く所の「柔嘉」の徳を秉持して、義と礼を守住すれば、九夷の郷に僑居するも亦た過錯有らず。此の林主として遠方福を得て、徳を以て異俗に服す、吉なり。

蹇 陽春生長,萬物茂壯。垂秋布葉,君子比德。

鼎の卦が蹇の卦に変わる。陽春の時節草木萌生して長して、万物茂盛壮大せり。秋に近きに到りても仍ほ枝葉舒展して、君子之を看れば便ち以て己が徳行を比擬せり。此の林主として時運正に生髮に當たりて、根深く葉茂くして、徳を修むる者は之と相應せり、吉なり。

解 低頭竊視,有所畏避。行作不利,酒酸魚敗。眾莫貪嗜。

鼎の卦が解の卦に変わる。頭を低くして偷偷に張望して、心の裏忌憚する所有りて回避せり。所以事を做して順わずして、摆出の酒已に酸を発し魚已に腐敗して、衆人誰も亦た貪嘴するを肯ぜず。此の林主として心畏怯を懐きて、事を挙げて順わず、貨物陳敗して問う人なし、營謀に利あらず。

損 左輔右弼,金玉滿堂。常盈不亡,富如敖倉。(師之歸妹)

鼎の卦が損の卦に変わる。左右倶に輔弼の賢臣有りて、家中金玉堂に満てり。財富常に満ちて虧損せずして、富厚して秦漢の際粮を儲えて算する無き敖倉の如し。此の林主として力有る助手環繞して、家資豊盈にして長保せん、大吉である。末の注此の林《師》の《帰妹》と文同じを示す。

益 坐朝垂軒,據德宰民。虞叔受命,六合和親。

鼎の卦が益の卦に変わる。朝に臨みて華軒の下に端坐して、徳行に依凭して以て百姓を治理せり。虞叔王命を承受して其の職に出任して、天下四方上下倶に和睦親附せり。此の林主として位に居りて正を得て、徳を以て人に服して、四方來和せん、吉なり。

夬 東行西走,喪其犬馬。南求驊騮,失車林下。

鼎の卦が夬の卦に変わる。忽ち東忽ち西として奔走して、犬馬を連ねても丢了せり。又た南に往きて驊騮のごとき良馬を尋求するも、結果車子を連ねても林子の裏に丟失せり。此の林主として奔波して定まらず、愈々求めて愈々失して、動きて損有り、凶なり。

姤 砥德礪材,果當成周。拜受大命,封為齊侯。

鼎の卦が姤の卦に変わる。徳行を磨礪し才干を錘鍊して、終に成周に於て重用を得たり。跪して册命を受けて、斉国の諸侯に封ぜられり。指す所便ち是れ呂尚周を佐けて斉に封を受くるの事なり。此の林主として學を積みて用を致し、榮く爵命を受く、大吉である。

萃 西逢王母,慈我九子。相對歡喜,王孫萬戶。家蒙福祉。

鼎の卦が萃の卦に変わる。西行して西王母に遇いて、彼女慈愛して我が九個の孩子を撫育せり。賓主相対して歓喜して、王孫貴胄封食万户せり。此の林主として遠行して貴人に遇い、子嗣庇佑を得て、一家福祉を蒙受せん、大吉である。

升 安坐玉床,聽韶行觴。飲福萬歲,曰壽無疆。

鼎の卦が升の卦に変わる。玉飾の坐床の上に安坐して、舜の《韶》楽を聴きて、一巡々杯を傳え酒を行せり。飮む所は祭余の福酒にして、衆人斉しく万歲を呼して、寿命無疆を祝願せり。此の林主として尊に居りて楽を享き、福を受けて年を延ばす、大吉である。

困 登高望家,役事未休。王事靡盬,不得逍遙。

鼎の卦が困の卦に変わる。高處に登上して家郷を遥望するも、差役終止の日なし。《詩経・唐唐風・鴇羽》に「王事靡盬」と説きて、公家の差事了なくして、従容自在の工夫を連ねてもなし。此の林主として労役身に纏りて、歸を思うて得ざれど、辛苦して咎なし。

井 擊鼓陷陔,不得相踰。章甫文德,福厭禍消。

鼎の卦が井の卦に変わる。鼓を撃つ人田埂の下に陷りて、彼此隔阻して相越する能わず。所幸頭に章甫の冠を戴きて、礼樂文徳を以て自ら持せば、福気充盈して禍患消散せり。章甫は是れ殷人の冠にして、《論語》の「端章甫」便ち是れ礼を行うの服を指す。此の林主として一時阻まるを受くるも、文を修め礼を守れば便ち禍を轉じて福と為す可し。

革 追亡逐北,呼還幼叔。至止而德,復歸其室。

鼎の卦が革の卦に変わる。逃亡敗走の人を追趕して、一路呼喚して年幼の小弟を把りて找回せり。家中に到りて人人其の恩徳を感念して、各々己が居室に回歸せり。此の林主として失散する者復た得られて、離乱の後安に歸せん、吉なり。

震 老猾大偷,東行盜珠。困於噬敖,幾不得去。

鼎の卦が震の卦に変わる。老奸巨猾の大盜東に行きて竊して、明珠を偷取せり。結果噬敖の地に困せられて、幾ほど身を脱する能わず。此の林主として険を行いて得を貪りて、終に困頓に遭う、不義の財禍を招く、凶なり。

艮 禹召諸神,南山會稽。執玉萬國,天下康寧。(姤之臨)

鼎の卦が艮の卦に変わる。《國語・魯語》に大禹會稽山に於て群神諸侯を會合して、防風氏後に至りて戮せられたるを載す。《左伝》に禹諸侯を塗山に會して、玉帛を執りて來朝する者万国の多き有りと説く。号令既に行われて、天下安康寧定せり。此の林主として号令統一して、四方來朝して、国泰らかに民安んず、大吉である。末の注此の林《姤》の《臨》と文同じを示す。

漸 忉忉怛怛,如將不活。黍稷之恩,靈輒以存。獲生保年。(蒙之損)

鼎の卦が漸の卦に変わる。心中憂懼不安にして、気息奄奄として活きる能わざるが若し。幸いに人一飯黍稷の恩を受けて以て命を保つを得たり。《左伝》宣公二年に趙盾翳桑に於て餓人靈輒を救活するを載して、後に靈輒反戈して相救いて以て報ゆ。此の林主として危困の際貴人の一飯の恩を得て、因って性命年寿を保全す、先ず凶にして後に吉なり。末の注此の林《蒙》の《損》と文同じを示す。

歸妹 俟叔興起,季子富有。照臨楚國,蠻荊是安。

鼎の卦が帰妹の卦に変わる。叔輩奮起有為するに及びて、季子の一房も亦た此れによって富足せり。徳威楚国に照臨して、南方の蠻荊の地を連ねても以て安定を得たり。此の林主として家中後輩發跡して、兄弟に蔭及して、声名遠く播れて辺地寧靖せり、吉なり。

豐 白馬駿騮,更生不休。富我商人,利得如丘。

鼎の卦が豊の卦に変わる。白馬と駿騮の良駒一代々繁衍止まずして、商を行う人此れによって富を致して、得る所の利丘の如く堆積せり。此の林主として畜養蕃息して、貿易興旺して、財源絶えず、大吉である。

旅 灼火泉源,釣魴山巔。魚不可得,火不肯燃。(革之艮)

鼎の卦が旅の卦に変わる。泉水の源頭に到りて火を點きて、山頂の上に到りて魴魚を釣れり。魚固より釣着せずして、火も亦た決して燃起するを肯ぜず。此れ正に是れ《孟子》の譏る所の木に緣りて魚を求むるなり。此の林主として方法全然理に背きて、力を用いること愈々勤ければ得る所愈々空し、凶なり。末の注此の林《革》の《艮》と文同じを示す。

巽 避患東西,反入禍門。糟糠不足,憂動我心。

鼎の卦が巽の卦に変わる。東奔西走して禍患を躲避するも、反って一頭禍事の門の裏に撞進せり。糟糠のごとき粗食を連ねても吃るに足らずして、憂愁心懐を震動せり。此の林主として趨避して當を失して、愈々避けて愈々凶となり、衣食窘迫せり、凶なり。

兌 我王多寵,商人惶恐。生其禍心,使我危殆。終無災咎。

鼎の卦が兌の卦に変わる。君王偏寵する人多くして、商を行う人因って惶恐不安せり。寵を受くる者人を害するの壊心を動して、我をして一度处境危險せしめり。所幸事最後に到りて並びに禍患を釀成せず。此の林主として小人構陷して、虛驚一場にして、正を守る者終に災禍有らず。

渙 虎飢欲食,見蝟而伏。禹通龍門,避咎除禍。元丑以安。

鼎の卦が渙の卦に変わる。老虎餓極まりて物を吃らんと要して、渾身刺の刺猬を見れば便ち伏して敢えて口を動かさず。大禹龍門を凿通して洪水を疏導して、従って咎害を躲け禍患を除去せり。凶险の開端反って平安を換來せり。此の林主として強敵阻に遇いて自ら退き、阻塞を疏通すれば以て禍を免る可く、先ず険にして後に安んず。

節 安民呼池,玉杯大案。泉如白蜜,一挹獲願。

鼎の卦が節の卦に変わる。百姓を池畔に安頓して、玉杯と大案を陳設して宴飲せり。泉水甜美して白蜜の如くして、一勺を舀きて便ち心に称い願の如し。此の林主として居處安を得て、飲食豊美にして、求むる所軽く得る可し、吉なり。

中孚 雙鳧鴛鴦,相隨群行。南至饒澤,食魚與粱。君子樂長。(澤一作洋)

鼎の卦が中孚の卦に変わる。双を成すの野鴨と鴛鴦相随い群を成して飛びて、南に下りて水草豊饒の湖沢に到りて、魚蝦と稻粱を吃りて。此の林主として夫妻和順、朋類相聚して、衣食充足にして、君子の楽悠久せり、吉なり。末の注「沢」の字一本「洋」と作るを載す。

小過 蔡侯朝楚,留連江渚。踰時歷月,思其君后。

鼎の卦が小過の卦に変わる。蔡侯楚国に到りて朝見するも、江中の小洲の上に扣留せられて遲遲として歸を得ず。一季を過ぎて又た一月を過ぎて、只だ己が国君と夫人を思念せり。此の林主として出行羈を被りて、久しく客として返らず、歸を思うて得ざれども、凶なり。

既濟 驂車駕東,與雨相逢。五楘解墮,頹杌獨坐。憂為身禍。

鼎の卦が既済の卦に変わる。驂馬の車を駕して東に行走して、半路大雨に遇上せり。轅を束ぬる五道の皮革松脱掉落して、人只好く断木の上に呆坐せり。此の林主として行途阻に遇い、車馬損壞して、憂患終に己身の禍と成れり、凶なり。

未濟 螟蟲為賊,害我稼穡。盡禾殫麥,秋無所得。(同人之節,豫之謙)

鼎の卦が未済の卦に変わる。螟虫害を成して、我が庄稼を啃食せり。禾と麦倶に喰い精光して、秋に顆粒収無し。《詩経・小雅・大田》に「其の螟螣を去れ」との語有り、正に是れ此の患なり。此の林主として虫蝗害を為して、田事収を失して、財を求めて獲なし、凶なり。末の注此の林《同人》の《節》、《豫》の《謙》と文同じを示す。

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