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損の林(損卦六十四林)

汉 · 焦延寿 · 第54巻 / 71

作盤ガイド: 大衍筮法, 六爻納甲の立卦

大過:彭生為妖,暴龍作災。盜堯衣裳,聚蹠荷兵。青禽照夜,三旦夷亡。

革の卦が大過の卦に変わる。《左伝》の記する所の殺されたる彭生厲を化して妖を成して、暴戾の龍災禍を興起せり。人唐堯の衣裳を盗穿して聖賢を假冒し、又た盗跖の徒を聚集して兵器を扛起せり。青色の怪鳥夜に光を発して、三個の早晨に過ぎずして便ち夷滅せられり。此れ妖孽據を竊むるの象、名義を假借して乱を作る者は旋ち起こり旋ち滅ぶ。

坎:華言風語,亂相誑誤。終無凶事,安寧如故。(咸之頤)

革の卦が坎の卦に変わる。浮華の言辞、根なきの風言風語は、紛紛擾擾として相互に欺哄耽誤せり。但だ終に凶事なく、一切平常の如く安寧なり。此れ虚驚して実なきの象、謡言擾ると雖も害を為すに足らず、以て安処する可し。此の条「咸之頤」と文同じ。

離:延頸見足,身困名辱。欲隱避仇,為害所滅。

革の卦が離の卦に変わる。脖子を伸長して反って脚を露出して、自身困頓にして名声辱を受けり。本より隱匿して仇家を躲避せんと想うも、却って禍害に滅せられり。此れ隱れんと欲して反って顯るの象、身を蔵すること密ならざる者は終に其の禍に遭わん、宜しく及早に周全の打算すべし。

咸:無足斷跟,居處不安。凶惡為殘,君臣相得。(一作君臣得安,和合於天。保下奠上,大相蒙湛。)

革の卦が咸の卦に変わる。脚なく脚跟を断きて、居処安穩を得ず。凶惡の人肆行して殘害するも、所幸君臣の間還た相得する能し。此れ身危くして上下相保の象、凶险に逢うと雖も、君臣同心なれば尚お支撐する可し。別の一本に「君臣安を得て、天と和合して、下を保ち上を奠めて、大いに相蒙湛せり」と作る、語意更に和吉なり。

恆:三人俱行,北求大牂。孟長病足,借季負糧。柳下之貞,不失驪黃。

革の卦が恒の卦に変わる。三個人一同に路に上りて、北に往きて肥壮の母羊を求取せり。老大脚上病有りて、便ち老三に借重して粮食を背負せしむ。柳下惠のごとき貞正の操守有りて、識見又た九方皐の馬を相して毛色黑黄の表相に拘らざるが如し。此れ同行して相助の象、人を識るに外貌を以てせざる者は求むる所必ず得ん。

遯:退飛見祥,傷敗毀墜。守小失大,功名不遂。

革の卦が遯の卦に変わる。倒退して飛びて凶兆を顯して、損傷敗壞、毀折墜落を招致せり。只だ小處を守住して大局を失して、功名終に成就する能わず。此れ小に因りて大を失うの象、退縮して細を守る者は大事を成すこと難し。

大壯:持心懼怒,善搖數動。不安其處,散渙府藏。利得無有。

革の卦が大壮の卦に変わる。心の裏既に畏懼し又た憤怒して、動すれば便ち搖擺して屢々妄動す。己が位置に安んずる能わずして、府庫の中の積蓄も亦た散失渙尽せり。一点の利益も亦た得ず。此れ心浮いて財を散ずるの象、躁動して定まらざる者は家資を耗尽して終に獲る所なし。

晉:牽尾不前,逆理失臣,怒翔以奔。

革の卦が晋の卦に変わる。尾巴を拉りて肯えて前に向かわずして、事理に違背して臣属を失去せり。彼憤怒して翅を振りて奔逃して去れり。此れ強く牽きて和を失うの象、理に逆いて下を馭る者は衆叛り親離せん。

明夷:祿如周公,建國洛東,父子俱封。

革の卦が明夷の卦に変わる。俸禄周公の如く豊厚にして、洛水以東に封国を建立して、父親と兒子倶に封爵を受けたり。此れ世代封を受くるの象、功高く徳厚き者は一門倶に貴にして、大吉である。

家人:君有八人,信允篤敏,為堯所舉。

革の卦が家人の卦に変わる。君王の手下八位の賢臣有りて、誠信篤実にして又た事に任ずるに敏にして、倶に唐堯に挙抜任用せられり。此れ群賢挙を受くるの象、徳才兼備の者は必ず薦用を獲て、進を求むる者吉なり。

睽:久陰霖雨,泥塗行潦。商人休止,市空無有。

革の卦が睽の卦に変わる。長久陰霾、霪雨停まずして、路上泥濘にして積水横流せり。商販買売を停下して、集市空空として貨物なし。此れ雨阻みて業を廢するの象、出行と経営倶に滞碍を受く、宜しく暫く緩めて晴を待つべし。

蹇:無足斷跟,居處不安。凶惡為殘。(夬之大過)

革の卦が蹇の卦に変わる。脚なく脚跟を断きて、居処安穩を得ず。凶惡の人還た肆行して殘害せり。此れ身殘えて危に処るの象、行止憑なくして外患相逼れば、宜しく静守して自ら保つべし。此の条「夬之大過」と文同じ。

解:馬蹄躓車,婦惡破家。青蠅汙白,恭子離居。

革の卦が解の卦に変わる。馬蹄绊住して車子傾覆して、婦人凶惡にして家業を弄破せり。《詩経・小雅・青蠅》の比する所の讒人潔白を玷汚して、恭子申生此れによって己が居所を離開せり。此れ讒婦家を敗るの象、内惡婦有りて外讒口有れば、家宅安ならんとすること難し。

損:噂噂所言,莫如我垣。歡喜堅固,可以長安。(乾之困,大有之屯。噂噂一作鳴鳴)

革の卦が損の卦に変わる。衆人当面に聚談する彼の些の話は、倶に我が自家の一堵の牆垣の如く可ならず。歓喜にして又た堅固にして、以て長久安寧する可し。此れ己を守りて安を得るの象、浮議を聽かず、本分を固守する者は平安長久なり。此の条「乾之困」「大有之屯」と文同じ、旧本の「噂噂」或は「鳴鳴」と作る。

益:懿公淺愚,不受深謀。無援失國,為狄所滅。

革の卦が益の卦に変わる。衛懿公見識淺薄愚昧にして、深遠の謀劃を採納するを肯ぜず。人來りて援くるなくして国家を丢了して、終に狄人に滅せられり。此れ諫を拒みて国を亡ぼすの象、善言を聽かざる者は衆叛れて身死せん。

夬:騏驥綠耳,章明造父。風伯所獻,襄續厥緒。佐文成伯,為晉元輔。

革の卦が夬の卦に変わる。騏驥と綠耳のごとき良馬は、造父の馭術の名を顯彰せり。風伯の進獻する所の駿馬は、趙襄此の基業を承續せり。晋文公を輔佐して霸業を成就して、晋国の首輔の臣を做れり。此れ技藝に憑りて貴を致すの象、一技の長家を傳へ族を興す可し。

姤:駕車十里,來鮮魴鯉。非其肆居,自今後市。

革の卦が姤の卦に変わる。車を駕して十里の路を走りて、新鮮の魴魚と鯉魚を帶來せり。可なりしも此処は彼の攤を設け店を開くの地に非ずして、従今以後只だ別處に改めて集を趕るのみ。此れ貨市に逢わざるの象、好貨有ると雖も地点宜ならず、宜しく別に去處を擇ぶべし。

萃:求麞嘉鄉,惡地不行。道止中返,復還其床。

革の卦が萃の卦に変わる。美好の郷裏に到りて麞鹿を尋求して、凶惡の地便ち肯えて前往せず。半路の上停下して折返して、重新に己が床榻に回れり。此れ険を知りて返るの象、善を擇び惡を避くる者は獲なしと雖も身平安を得ん。

升:使鳩負裝,醉臥道傍。不知何功,竊我衣囊。(功一作公)

革の卦が升の卦に変わる。斑鳩を派して我に替えて行裝を背負せしむるも、彼却って路の旁に醉倒せり。何者かを知らずして、我が衣袋行囊を偷去せられり。此れ付託其の人に非ずの象、託する所職を失えば則ち財物竊を被る、凡そ事宜しく親力親為すべし。旧本の「功」の字或は「公」と作る。

困:登崑崙,入天門。過糟丘,宿玉泉。問惠觀,見仁君。

革の卦が困の卦に変わる。崑崙山に登上して、天門に進入せり。糟丘を經過して、玉泉に夜宿せり。惠觀の所在を探問して、終に仁徳の君に見ゆるを得たり。此れ高きに登りて貴に遇うの象、遠行して高く挙ぐる者は明主に遇いて大福を得る可し。

井:木為大床,患厭不起。季伯夜行,與善相逢。

革の卦が井の卦に変わる。木頭を用ゐて大床を做りて、病患身を壓して起き身する能わず。季氏と伯氏夜の裏に路を趕りて、却って善縁と相遇せり。此れ病の中助に遇うの象、病に臥して困を受くると雖も、暗中自ずから貴人の相扶有らん。

鼎:烏孫氏女,深目黑丑。嗜慾不同,過時無耦。

革の卦が鼎の卦に変わる。烏孫氏の女子は、眼窩深陷、膚色黝黑にして貌美ならず。彼此嗜好欲求同じからずして、適婚の時を過ぐるも亦た配偶なし。此れ習尚合わざるの象、志趣相異なれば便ち配對を成すこと難く、婚事遷延して諧し難し。

震:子鉏執麟,春秋作經。元聖將終,尼父悲心。(豫之大有)

革の卦が震の卦に変わる。車子鉏商西狩の時麒麟を捕獲して、孔子因って《春秋》の一經を寫成せり。大聖人の生命將に終結せんとして、尼父之が為に悲傷を満懐せり。此れ筆を絶ちて事を終るの象、功業成を告げて時命將に尽きんとす、宜しく及時に大事を了却すべし。此の条「豫之大有」と文同じ。

艮:灼火泉源,釣魴山巔。魚不可得,火不肯燃。(鼎之旅)

革の卦が艮の卦に変わる。泉水の源頭に於て火を點きて、山頂の上に到りて魴魚を釣れり。魚自然に釣着せずして、火も亦た點起す能わず。此れ求むる所を失うの象、方法と處所全然背謬にして、凡そ事必ず成る所なし。此の条「鼎之旅」と文同じ。

漸:天馬五道,炎火久處。往來上下,作文約己。衣枲絲麻,相隨笑歌,凶惡如何。

革の卦が漸の卦に変わる。天馬五方の道路に於て奔行して、炎炎の烈火長く盤踞せり。上下往来奔走の間に、文辞を撰作して自身を約束せり。身に枲麻絲布の衣を穿きて、相随い歌笑して、凶惡又た我を如何せんや。此れ文を修めて自ら守るの象、身を謹み己を約する者は炎威に処ると雖も畏懼する所なし。

歸妹:鴟鴞破斧,沖人危殆。賴旦忠德,轉禍為福。危傾覆立。

革の卦が帰妹の卦に変わる。《詩経・豳風》に《鴟鴞》《破斧》の篇有りて、年幼の成王の处境危殆を写せり。全く周公旦の忠誠徳行に賴りて、始めて禍を轉じて福と為して、傾危の局新たに立穩せり。此れ賢臣危を扶くるの象、危難の際忠良の匡扶有れば便ち復た安なる可し。

豐:牡飛關啟,憂患大解,不為身禍。

革の卦が豊の卦に変わる。門閂飛脱して關卡打開して、憂愁禍患大いに解除して、自身の災禍と為るに至らず。此れ束縛解開の象、久しく困る者は忽ち開釋を得て、凶事之に随いて化消せん。

旅:石門晨門,荷蕢食貧。遁世隱居,竟不逢時。

革の卦が旅の卦に変わる。《論語・憲問》の裏石門を守る晨門人、草筐を擔ぐ荷蕢者は、貧賤粗食に安んず。彼等世を避けて隱居して、終に道を行う可きの時機に遇上せず。此れ才を懐きて隱遁の象、賢者遇わざれば、宜しく貧に安んじ志を守るべし。

巽:兔聚東郭,眾犬俱獵。圍缺不成,無所能獲。

革の卦が巽の卦に変わる。兎子東辺の城郊に聚集して、許多の獵犬一同に追捕せり。包圍圈却って缺口を留めて合攏せずして、結果一の獲もなし。此れ功簣を虧くの象、布置周密ならざれば則ち前功尽く弃さるん。

兌:三羊群走,雉兔驚駭。非所畏懼,自令勞苦。

革の卦が兌の卦に変わる。三隻の羊成群して奔跑して、野雉と兎子驚を受けて慌て乱れり。其の実何の可怕るもなしに、白白と自己をして労苦せしむ。此れ自ら驚き自ら擾るの象、庸人自ら擾る者は徒らに心力を耗す、宜しく鎮定して虚実を辨明すべし。

渙:羽翮病傷,無以為強。宋公德薄,敗於水泓。

革の卦が渙の卦に変わる。翅膀の羽莖傷を受けて、再び強健する能わず。宋襄公徳薄く力弱くして、泓水の一戦に於て敗北せり。此れ力衰えて敗を致すの象、実力足らずして強いて人と勝を争えば必ず挫辱に遭わん。

節:姬姜稚叔,三人偶食。論仁議福,以安王室。

革の卦が節の卦に変わる。姬姓、姜姓と年幼の叔氏は、三人相対して食せり。一同に仁徳を談論し福祚を商議して、以て王室を安定せしむ。此れ同心して共に謀るの象、志同道合の者聚りて議れば家国を安んずる可し。

中孚:精誠所在,神人為輔。德教亡患,彌世長久。三聖仍事,多受福祉。

革の卦が中孚の卦に変わる。精誠の心の在る所、神明と衆人倶に來りて相輔す。徳を以て教を施せば便ち禍患なく、綿延世代長久にして衰えず。三位の聖人相継いで其の事を承擔して、多く福祉を領受せり。此れ至誠神を感ずるの象、誠を以て物に待する者は助を得て福を受けん。

小過:岐周海隅,獨樂不憂。可以避難,全身保財。

革の卦が小過の卦に変わる。岐山周原と海角の一隅に、独り安楽して憂愁なし。此に於て患難を躲避して、身家を保全し財物を守住する可し。此れ地を擇びて乱を避くるの象、隱居して僻遠の者は身財両全せり。

既濟:孤獨特處,莫為依輔,心勞志苦。

革の卦が既済の卦に変わる。孤零零として独り処りて、依靠し輔助すべき人なくして、心力労瘁にして志意困苦せり。此れ孤立無援の象、凡そ事幇手を缺きて、宜しく先ず同道を結交して再び進取を圖るべし。

未濟:顧望登臺,意常欲逃。買辛丑惡,妻不安夫。

革の卦が未済の卦に変わる。頭を回りて張望して高台に登上して、心の裏總に奔逃せんと想えり。買來の物又た辛辣にして又た醜惡にして、妻子も亦た丈夫に安んぜず。此れ心志離散の象、内去意を懐きて家室和せずして、謀る所安定し難し。

鼎の林(鼎卦六十四林)

鼎 積德之君,仁政且溫。伊呂股肱,國富民安。

鼎の卦が自ら変じても鼎の卦のままである。君主世代徳を積みて、仁政を推行して下を待つに寛和温厚にして、又た伊尹、呂尚のごとき賢臣股肱を充てり。伊尹商湯を輔き呂尚周武を佐けて王業を成すは、是れ古來君臣相得の典範なり。上明主有り下良輔有れば、所以国用充裕、百姓安居せり。此の林主として人の相助を得て家国興旺し、事を謀れば成有りて、大吉である。

乾 頃筐卷耳,憂不能傷。心思古人,悲慕失母。

鼎の卦が乾の卦に変わる。淺淺の筐子の裏只だ幾株の卷耳を采得す、語《詩経・周南・卷耳》の「采采卷耳、盈まず頃筐」より出でて、寫す所は心牽挂有りて采摘に心なし。憂思在ると雖も、根本に傷を到らず。只だ先人を追懐して、母親を失うの為に悲慕して平らぎ難し。占問うに主として憂心に在りて身に在らず、親縁缺有り、旧事懐を縈りて、事に於て大害なし。

坤 郄叔賈貸,行祿多悔,利無所得。

鼎の卦が坤の卦に変わる。郄叔外に出でて經商放貸して、一路財禄を求取して、處處悔恨を生出して、本利倶に空を落せり。此れ是れ本を舍て末を逐い、貪求して太過の象。此の林主として經商借貸利あらず、出行して財を謀れば徒労して往返し、宜しく成を守りて妄進する宜ならず。

屯 蹙足跛袵,闢坐不行。棄捐平人,名字無中。

鼎の卦が屯の卦に変わる。脚傷を受けて、路を走れば一瘸一拐して、衣襟足を绊して、只だ一旁に避りて坐して行動する能わず。人既に殘廢なれば、便ち衆人に拋開せられて、名字を連ねても錄用の名册の中に列せず。此の林主として身疾患有りて、進退阻まるを受け、名を求め進を求むる倶に願いを遂げる能わず、凶なり。

蒙 文王四乳,仁愛篤厚。子畜十男,夭折無有。

鼎の卦が蒙の卦に変わる。相傳周文王胸に四乳を生じて、古人以て仁厚の相と為し、《淮南子》便ち此れを以て其の人を愛すること窮まりなきを喻す。彼仁愛篤実にして、十個の兒子を養育して倶に長成大人して、一個も夭折するなし。此の林主として子孫繁盛、家門蕃衍して、兒を育てて災なし、大吉である。

需 容民畜眾,不離其居。

鼎の卦が需の卦に変わる。語《周易・師卦》の大象の「君子以て民を容れ衆を畜う」に本づく。政を為す者寛容して百姓を蓄養せば、人民便ち土に安んじて遷を重んじて、故居を離るるを肯ぜず。此の林主として寛厚にして下を待てば則ち人心歸附して、居處安穩にして、遷動するを須いず、吉なり。

訟 三雛相逐,蠅墜釜中。灌沸潦殪,與母長決。

鼎の卦が訟の卦に変わる。三隻の雛鳥相互に追逐嬉鬧して、蒼蠅の如く鍋の裏に跌進して、滾水一たび澆れば便ち尽数燙死して、従此母鳥と永訣せり。此れ是れ幼稚無知にして自ら険地に投ずるの象。此の林主として小兒湯火の厄有り、骨肉生離す、大凶なり。

師 所望在外,鼎令方來。拭爵滌罍,炊食待之。不為季憂。

鼎の卦が師の卦に変わる。盼望する人還た外頭に在りて、鼎の中の飯食剛く熟成して、好消息も亦た正に送到せんとす。於是酒爵を擦凈し酒罍を洗刷して、火を生じて餐を備えて彼の歸來を待てり。此の林主として遠人將に歸らんとし賓客門に登らんとし、家中須らず幼子の為に擔憂するなし、吉なり。

比 陸居少泉,高山無雲。車行千里,塗汙爾輪。亦為我患。

鼎の卦が比の卦に変わる。高陸の地に住して本より泉を少くして、高山の上又た雲雨を起さず。車子千里を遠行して、泥濘車輪に沾满して、一路倶に拖累と成れり。此の林主として処する所乾枯して潤なく、出行阻まるを受く、勉力して前行すると雖も仍ほ憂患を生ず、遠き動に利あらず。

小畜 東家殺牛,汙臰腥臊。神背西顧,命絕衰周。亳社災燒,宋人夷誅。(睽之明夷)

鼎の卦が小畜の卦に変わる。東隣牛を殺して盛祭するも、牲血反って腥臊汚穢と成れり、語《周易・既済》の「東隣牛を殺すは、西隣の禴祭に如かず」に本づき、講ずる所は祭の厚きは心の誠に如かざるなり。神靈身を背過して西の方を顧るのみして、東家気數断絶して、一周室の衰の如し。《春秋》哀公四年に亳社の火に遭うを記して、宋国其の後亦た誅滅に遭う。此の林主として祭祀誠ならず、国運衰敗して、兼ねて火災兵禍有り、大凶なり。末の注此の林《睽》の《明夷》と文同じを示す。

履 長子入獄,婦饋母哭。霜降旬日,嚮晦伏法。

鼎の卦が履の卦に変わる。長子牢獄に下せられて、妻子飯を送りて獄に進めて、母親家に在りて啼哭せり。霜降過後十來天にして、天色晚に向かうの時便ち處決せられり。此の林主として家中長男刑獄の災有り、秋冬の際尤も危險にして、大凶なり。

泰 溫山松柏,常茂不落。鳳凰以庇,得其歡樂。

鼎の卦が泰の卦に変わる。陽に向かい温暖の山上松柏長青にして、四時凋落せずして、鳳凰樹蔭の下に於て庇護を得て、棲止して歓楽せり。此の林主として根基牢固、依托する所有りて、賢者其の安處を得て、事業長久にして歓欣せり、吉なり。

否 大屋之下,朝多君子。德施溥育,宋受其福。

鼎の卦が否の卦に変わる。高大の厅堂の下、朝廷の上徳有るの君子多し。恩徳遍く万民に施及して衆生を撫育して、宋国此れによって福沢を蒙受せり。此の林主として賢人位に在り、政教寛厚にして、国と家同じく其の福を受けん、吉なり。

同人 羅張目列,圍合有缺。採捕無功,魚鳥得脫。

鼎の卦が同人の卦に変わる。羅網張開して、網眼一格格整斉に排るも、可なりしも合圍の處缺口を留めり。忙しき一場にして、魚と鳥倶に缺口より逃走去りて、一の獲もなし。此の林主として事を謀るに漏有り、功簣を虧きて、捕獵求取倶に空し。若し困を被る人を問えば、反って路有りて身を脱するを主とす。

大有 羔裘豹衣,高易我宇。君子惟好,至老無憂。

鼎の卦が大有の卦に変わる。身に羔裘豹袖の礼服を穿くは、《詩経・鄭風・羔裘》に見ゆ、彼は是れ卿大夫の服色なり。此れに憑りて高大の居室を換得せり。君子彼此交好して、老に到りても倶に憂患なし。此の林主として爵を進め居を遷し、交游人を得て、終身安楽せり、吉なり。

謙 大頭明目,載受福喜。三雀飛來,與祿相得。

鼎の卦が謙の卦に変わる。頭角高大、眼目清亮は、是れ福喜を承受する相貌なり。三隻の雀鳥飛來投止して、正に禄位手に到るに應せり。此の林主として貴相身に加り、喜信頻りに傳わりて、官を求め財を求むる倶に福禄と相遇する能し、吉なり。

豫 銷鋒鑄耜,縱牛放馬。甲兵解散,夫婦相保。

鼎の卦が豫の卦に変わる。刀劍の鋒刃を熔掉して改めて耕田の耜を鑄て、牛馬を放りて田野に歸し、鎧甲兵器一幷に解散して、夫妻相守して保全を得たり。此れ是れ武を偃め文を修め、天下休息の象。此の林主として兵戈化解して家室安寧せり、吉なり。

隨 吉月車攻,田弋雙禽。宣王飲酒,以告嘉功。

鼎の卦が随の卦に変わる。吉月を選定して車を出でて田獵すは、《詩経・小雅・車攻》の記する所の周宣王諸侯を東都に會合して狩を行いて、双を成すの禽鳥を射得せり。歸來して酒を置きて慶賀して、祖廟に向かい此の美功を禀告せり。此の林主として事を挙げて時を得て、獲る所双を成して、君臣同じく慶ばん、吉なり。

蠱 商人行旅,資無所有。貪貝逐利,留連王市。轘轅內安,君子何咎。

鼎の卦が蠱の卦に変わる。商人外に在りて行旅して、手上本より多少の本銭なきに、却って財貨を貪圖して厚利を追逐して、久久王城の集市に滯留せり。所幸轘轅關内の一帯安定なれば、所以君子奔波労碌すると雖も亦た過錯有らず。此の林主として外に在りて久留して、利薄くして災なく、平安を保つ可し。

臨 火入井口,陽芒生角。犯歷天門,窺見太微。登上玉床,家易其公。

鼎の卦が臨の卦に変わる。火光井口の裏に落進して、日辺の光芒角状の暈気を生出せり。此の光天門を沖犯して、直に太微星垣を窺いて、又た帝座の玉床に登れり。天象此の如くは、是れ臣下君位を侵犯するの兆。此の林主として上下位を易え、家中主人を更換す、非常の変に属して、凶なり。

觀 秋隼冬翔,數被嚴霜。甲兵充庭,萬物不生。雄父夜鳴,民擾大驚。

鼎の卦が観の卦に変わる。秋日の鷹隼冬天に到りても還た盤旋して、屢々嚴霜を遭受せり。甲士兵器庭院に塞満して、万物因って生長する能わず。雄鶏夜の裏に乱れ啼きて、百姓騷動驚惶せり。此の林主として兵革擾攘して、時序常を失し、人心安ならず、凶なり。

噬嗑 東行西步,失其次舍。乾侯野井,昭君喪居。

鼎の卦が噬嗑の卦に変わる。東に往かんと想うも、脚下却って西辺に邁いて、進退拠を失して、宿を投ぐるの館舍を連ねても尋ね着かず。《春秋》に魯昭公三桓に逐出せられて、乾侯に流亡して、終に異郷に客死すと記す。此の林主として行止乖違して、其の居所を失して、出亡して返らず、凶なり。

賁 腫脛病腹,陷廁汙辱。命短時極,孤子哀哭。

鼎の卦が賁の卦に変わる。小腿浮腫、腹中病を生じて、又た廁の中に跌進して汚辱を受け尽くせり。寿命短促にして、気數已に尽きて、孤児のみ旁に在りて哀哭せり。此の林主として疾病身に纏りて、死期將に近づき、家の中喪有り、大凶なり。

剝 切膚近災,虎絕我須。小人橫暴,君子何災。

鼎の卦が剥の卦に変わる。災禍肌膚に切近して、猛虎面前に逼到して、幾ほど我が鬍須を扯断せんとせり。小人横行暴虐するは只だ一時にして、君子正を持して身を守れば、又た何の災殃かあらん。此の林主として危險身に貼して終に能く自ら保ち、小人凶なると雖も正人に傷及する能わず。

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