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震の林(震卦六十四林)

汉 · 焦延寿 · 第58巻 / 71

作盤ガイド: 大衍筮法, 六爻納甲の立卦

巽 五穀不熟,民苦困急。駕之南國,嘉樂有得。

艮の卦が巽の卦に変わる。五穀歉收して熟せずして、百姓困苦危急せり。車を駕して南方の国に遷往すれば、反って豊足と歓楽を得たり。此の林主として本土艱難にして遷徙して福を得て、南行利有り。

兌 黃裳建元,病得在身。福佑洋溢,封為齊君。賈市無門,富貴多餐。

艮の卦が兌の卦に変わる。《周易・坤卦》の六五の爻辞「黄裳元吉」に、《左伝》に魯人南蒯曾て此の爻を筮して得たりと載す。然るに徳位に配わざれば便ち病自身に在り。若し徳行相称なれば、則ち福佑洋溢して、以て一国の君に受封する可く、便ち經商に往かざるも、自ずから富貴の享くべき有り。此の林主として吉爻須らく徳配すべく、正を守れば則ち大吉にして、妄りに求めれば則ち病を致す。

渙 齊東郭廬,嬪於洛都。駿良美好,利得萬倍。

艮の卦が渙の卦に変わる。斉国東郭氏の女兒は、洛陽の京都に嫁して婦と為れり。車馬駿良にして、人物美好にして、獲る所の利万倍の多き有り。此の林主として遠く嫁して貴を得て、婚姻して富を致す、大吉である。

節 安床厚褥,不得失宿。棄我嘉宴,困於南國。投杼之憂,不成禍災。

艮の卦が節の卦に変わる。床鋪を安好して厚褥を墊けて、外に露宿するに至らず。豊盛の宴席を舍下するも、一時南方に困して、又た曾母杼を投ぐるがごとき流言の驚を受くるも、所幸終に禍災を釀成せず。此の林主として居る所安有りて、讒言驗せずして、虚驚して害なし。

中孚 內崩身傷,中亂無恆。雖有美粟,不得其食。

艮の卦が中孚の卦に変わる。内部崩壞、身体傷を受けて、中心擾乱して常度なし。縦い倉の裏好粮有るも、亦た嘴の裏に吃り到らず。此の林主として病内裏に在りて、心志定まらずして、資財有ると雖も享用を得ず、凶なり。

小過 出門逢患,與禍為怨。更有拏刺,傷我指端。

艮の卦が小過の卦に変わる。一たび門を出でれば便ち患難に遇上して、禍事と冤仇を結下せり。又た牽扯刺傷せられて、指尖の上に傷えり。此の林主として出行して災を招きて、訟に纏わりて傷を受く、傷重ならずと雖も仍ほ宜しく行を避くべし。

既濟 出入節持,南北無憂。行者即至,在外歸來。

艮の卦が既済の卦に変わる。出入進退倶に節制持守有りて、南來北往倶に憂患なし。出行の人將に到達せんとして、外に在る人も亦た歸來せんとす。此の林主として節を守れば則ち通じて、行止倶に宜しく、遠人返るを得、吉なり。

未濟 公孫駕車,載遊東齊。延陵說產,遺季紵衣。

艮の卦が未済の卦に変わる。公孫車を駕して、一路東游して斉国に到れり。《左伝》襄公二十九年に呉国の延陵季子と鄭国の子産一見して故の如くして、互いに縞帶紵衣を贈りて以て情誼を結ぶを載す。此の林主として出游して知己に遇い、往来して投贈して、交游得有り、吉なり。

漸の林(漸卦六十四林)

漸 別離分散,長子從軍。稚叔就賊,寡老獨安。莫為種瓜。

漸の卦が自ら変じても漸の卦のままである。一家人離別分散して、長子軍に従りて遠征して、年幼の小弟又た賊手に落入せり。只だ寡婦老人を残して独り家中に守りて、瓜を種る人を連ねてもなし。此の林主として骨肉離散して、労力尽く失して、田園荒廢す、凶なり。

乾 旦種穀豆,暮成藿羹。心之所願,志快意愜。

漸の卦が乾の卦に変わる。早晨谷子豆子を種下して、傍晚に便ち豆葉の羹を煮成せり。心の裏盼望する所倶に真と成りて、志気舒暢、心に称い意に快せり。此の林主として収效神速にして、求むる所便ち遂ぐ、吉なり。

坤 牡飛門啟,憂患大解,不為身禍。

漸の卦が坤の卦に変わる。門閂飛脱して大門自ら開きて、積壓の憂患一挙に解除して、再び自身の禍害と為らず。此の林主として壅塞頓に開きて、患難氷釋して、危を轉じて安と為す、吉なり。

屯 東山西山,各自止安。雖相登望,竟未同堂。(姤之坤)

漸の卦が屯の卦に変わる。東山と西山各々一方に安處せり。两边高きに登りて相望する能くするも、終に一堂に同處する能わず。此の林主として彼此心有ると雖も縁分合わずして、望む可くして即く可からずして、合を謀れば成らず。末の注此の林《姤》の《坤》と文同じを示す。

蒙 眾鳥所翔,中有大怪。九身無頭,魂驚魄去。不可以居。(震之蒙)

漸の卦が蒙の卦に変わる。群鳥盤旋の處に竟て大怪出現せり。九個の身にして頭なくして、見る者魂飛魄散せり。此のごとき地方如何と雖も居住する能わず。此の林主として居地妖有りて、驚恐して守を失し、宜しく速やかに遷避すべし、凶なり。末の注此の林《震》の《蒙》と文同じを示す。

需 交侵如亂,民無聊賴。追我濟西,狄人便殫。

漸の卦が需の卦に変わる。外敵交相に侵擾して、局面紛乱して、百姓依靠する所なし。済水以西に追撃して、狄人終に殲滅殆盡せられり。此の林主として先ず侵擾を受けて而して後に能く敵を克ちて、苦戰の後安を得ん。

訟 麟鳳所翔,國無咎殃。賈市十倍,復歸惠鄉。

漸の卦が訟の卦に変わる。麒麟と鳳凰の翱翔する所の地方は、国の中災殃なし。商を行いて利十倍を獲して、満載して彼の恩惠有るの郷里に回れり。此の林主として祥瑞境に在りて、經營大いに利あって、往返倶に吉なり。

師 鑿井求玉,非卞氏宅。身困名辱,勞無所得。

漸の卦が師の卦に変わる。井を挖りて去りて美玉を求むるも、彼処は又た卞和璞玉を得たるの地方に非ず。結果身子困頓して、名声辱を受けて、力気を白費して一の得もなし。此の林主として求むるに道に非ずして、在る所宝なし、労苦して功なし、凶なり。

比 文山鴻豹,肥腯多脂。王孫獲願,載福巍巍。

漸の卦が比の卦に変わる。文山の中大雁と豹子倶に肥壮して脂多し。王孫前に往きて田獵して、心愿を遂げて、満載して歸りて、受くる所の福高大隆盛せり。此の林主として獵する所豊厚にして、愿の如くに償いて、福気巍然たり、大吉である。

小畜 周成之隆,刑措除凶。太宰費佑,君子作仁。

漸の卦が小畜の卦に変わる。周成王の時国勢隆盛にして、刑罰擱置して用ゐずして凶乱自ら除ゆ、史の成康の世刑措すること四十余年と称す。太宰力を尽して輔佑して、君子人人仁を行せり。此の林主として政清く刑省かれて、上下和仁して、太平の象、大吉である。

履 珪璧琮璋,執贄見王。百里甯戚,應聘齊秦。(需之井,否之訟)

漸の卦が履の卦に変わる。手に珪、璧、琮、璋の此れらの玉製の見面の礼を捧げて去りて君王を朝見せり。百里奚秦国の聘に應じ、寧戚斉桓公の用を受くるは、倶に微賤より卿相に登れり。此の林主として賢者聘を受けて、礼を執りて君に見ゆ、身を進むる路有り、吉なり。末の注此の林《需》の《井》、《否》の《訟》と文同じを示す。

泰 穿空漏敝,破壞殘缺。陶弗能治,瓦甓不鑿。

漸の卦が泰の卦に変わる。器皿洞を穿きて漏泄して敗壞して、損壞殘缺せり。陶匠も亦た修復する能わずして、磚瓦更に形を凿成する能わず。此の林主として器物已に壞れて、補救するに従なく、事を謀れば成ること難し、凶なり。

否 鴻飛循陸,公出不復,伯氏客宿。(損之蹇)

漸の卦が否の卦に変わる。《周易・漸卦》に「鴻陸に漸す」と説きて、大雁陸地に沿い飛び去りて返らず。主公出行して一去して回らずして、伯氏只だ他郷に客居して宿を投ぐるのみ。此の林主として出行して返らずして、羈旅して外に在りて、家人失望す、凶なり。末の注此の林《損》の《蹇》と文同じを示す。

同人 蝦蟆群聚,從天請雨。雲雷連集,應時輒下。得其所願。(大過之升)

漸の卦が同人の卦に変わる。蛤蟆群を成して聚集鳴叫するは、上天に向かい雨を祈るに似たり。雲と雷接連に匯集して、時に應じて便ち大雨を降下して、正に衆人の心愿を遂げたり。此の林主として祈求して應有りて、旱して甘霖を得て、愿う所便ち得る、吉なり。末の注此の林《大過》の《升》と文同じを示す。

大有 先弱無子,不能自理。為民雖憂,終不離咎。管子治國,侯伯賓服。乘輿八百,尊我恆德。

漸の卦が大有の卦に変わる。起初勢弱くして又た後嗣なくして、自己料理するも亦た來らずして、百姓の為に憂労するも、仍ほ過咎を免れず。後に管仲国政を主持して、諸侯方伯紛紛として賓服して、兵車八百乘にして、人人此の久長の徳を尊崇せり。此の林主として初め困して後に興り、賢相を得て霸業成る、先ず難にして後に吉なり。

謙 搖梅折枝,與母別離,絕不相知。

漸の卦が謙の卦に変わる。梅樹を搖動して枝子を折断するは、子女の母親と分離するが如くして、従此音信断絶して、彼此消息を知らず。此の林主として骨肉分張して、離れて聚り難し、凶なり。

豫 盛中不絕,衰老復拙。盈滿減虧,瘯□腯肥。鄭昭失國,重耳興起。(一雲去必衰,羸去卻肥。鄭昭失國,重耳得時。)

漸の卦が豫の卦に変わる。正盛の時連綿不絶にして、衰老の後便ち笨拙無能せり。盈滿の後必ず虧減有るは、正に牲口の瘦弱の瘯蠡の疾より博碩肥腯に轉ずるが如くして、此れ消えて彼れ長ず。鄭昭公国を失して晋公子重耳興起するは、正に是れ此のごとき更替なり。此の林主として盛衰相代して、彼失い此れ得、盛に居る者は宜しく其の衰を防ぐべし。末に一本の異文を附す。

隨 聞虎入邑,心欲□匿。走據陽德,不見霍叔。絕無憂慝。

漸の卦が随の卦に変わる。老虎城に進み入りと聞きて、心の裏只だ地方を找りて蔵せんと想えり。奔走の間陽に向かい徳有るの處を占住して、霍叔のごとき禍の人に碰上せずして、終に絶に憂患邪祟なし。此の林主として険を避けて所を得て、凶人遇わずして、驚有りて険なし。原文缺字有り、□を以て之を存す。

蠱 隨時逐便,不失利門。多獲得福,富於封君。

漸の卦が蠱の卦に変わる。時勢に順應して、便に因りて利を取りて、一處の財を生ずるの門路を錯過せず。獲る所甚多にして福を蒙りて、富厚封を受くる君侯を超過せり。此の林主として時を識りて賈を善くして、財を積みて富を致す、大吉である。

臨 禹作神鼎,伯益衒指。斧斤既折,憧立獨倚。賣市不售,枯槁為福。

漸の卦が臨の卦に変わる。大禹神鼎を鑄造して、伯益旁に在りて指點夸示せり。可なりしも斧斤倶に已に折断して、工匠只だ怔々として独り倚立するのみ。東西集市に拿到するも又た売却する能わずして、反って是れ枯槁清素を守りて福分と成れり。此の林主として器廢れて工窮まり、貨滯して售り難く、貧に安んぜば方に咎なからん。

觀 春鴻飛東,以馬貨金。利得十倍,重載歸鄉。

漸の卦が観の卦に変わる。春天大雁東に向かいて飛び去りて、商人も亦た時に趁りて馬匹を以て金銭を換取せり。利十倍を獲して、満載して郷に歸れり。此の林主として時に順いて經營して、貿易大いに利あって、往返獲有り、吉なり。

噬嗑 金齒鐵牙,壽考宜家。年歲有餘,貪利者得。雖憂無咎。

漸の卦が噬嗑の卦に変わる。牙歯金鉄の如く堅くして、是れ長寿して家に宜しきの相なり。年成余粮有りて、逐利の人を連ねても亦た獲有り。些かの憂慮有ると雖も、終に過錯有らず。此の林主として体健くして家安んじ、財用余り有りて、小憂害なし。

賁 膏澤沐浴,洗去汙辱。振除災咎,更與壽福。(浴一作德)

漸の卦が賁の卦に変わる。恩沢を承受すること沐浴の如くして、身の上の汚辱を洗刷して乾凈せり。災殃過咎一幷に振除して、別に長寿と福気を換來せり。此の林主として恩を蒙りて恥を滌して、災を轉じて福と為す、大吉である。末の注「浴」の字一本「徳」と作るを載す。

剝 履階登墀,高升峻巍。福祿洋溢,依天之威。

漸の卦が剥の卦に変わる。台階を踏みて殿庭に登上して、一歩歩高升して崇峻の位に到れり。福禄充溢して、全く上天の威靈の庇護に憑れり。此の林主として升遷顯達して、禄位豊厚なり、大吉である。

復 坤厚地德,庶物蕃息。平康正直,以綏大福。

漸の卦が復の卦に変わる。大地厚徳して物を載せて、万物其の上に蕃衍生息せり。《尚書・洪範》に「平康正直」と説きて、世道平康の時正直の道を以て事を行えば、便ち能く大福を安享せん。此の林主として根基厚実して、生養成有りて、正を守りて福を得、大吉である。

旡妄 絕域異路,多所畏惡。使我驚惶,思吾故處。

漸の卦が旡妄の卦に変わる。身極遠の異域に在りて、陌生の道路を走りて、處處人をして畏懼厭惡せしむ。心の裏驚惶不安にして、只だ己が旧居を思念せり。此の林主として遠行安ならずして、客地驚多くして、歸を思うを宜とす。

大畜 襁褓孩幼,冠帶成家。出門如賓,父母何憂。(遯之恆)

漸の卦が大畜の卦に変わる。襁褓の中の幼兒長成大人して、冠を加え帶を束ねて家を成し業を立てり。門を出でて人を待てば賓客を接待するが如く恭敬にして、父母還た何の憂愁すべきかあらん。此の林主として子弟材を成して、家風嚴整して、父母安心せり、吉なり。末の注此の林《遯》の《恒》と文同じを示す。

頤 一尋百節,綢繆相結。其指詰屈,不能解脫。

漸の卦が頤の卦に変わる。八尺長の繩索上百個の結を打ちて、纏繞糾結して一と處に在り。頭緒曲折にして尋ね難くして、怎麼も解開する能わず。此の林主として糾纏牽連して、事端解け難く、久困の象なり。

大過 鷹鸇獵食,雉兔困極。□走見尾,為人所賊。

漸の卦が大過の卦に変わる。鷹隼四出して食を獵して、野鶏と兎子追われて困窘して極まりたり。倉皇奔逃の時尾巴を露出して、終に人に捕殺せられり。此の林主として強者に逼せられて、身を蔵すること密ならずして、害に遭うの凶なり。原文缺字有り、□を以て之を存す。

坎 危坐至暮,請求不得。膏澤不降,政戾民忒。

漸の卦が坎の卦に変わる。端坐して日暮を待つも、請求する事仍ほ獲准せず。雨露降らずして、政令乖戾にして百姓変乱せり。此の林主として上情通ぜずして、恩沢下らずして、事を求めて成らず、凶なり。

離 剛柔相呼,二姓為家。霜降既同,惠我以仁。

漸の卦が離の卦に変わる。剛と柔相互に唱和して、两姓一家を結成せり。霜降の時期の如くに礼を成して、彼此仁厚を以て相待せり。古礼霜降に女を逆うは、正に婚期に合せり。此の林主として陰陽相配して、婚姻時を得て、家室和順せり、吉なり。

咸 慈母念子,饗賜德士。蠻夷來服,國人歡喜。

漸の卦が咸の卦に変わる。慈母兒子を思念して、食を設けて徳有るの士を賞賜せり。蠻夷の邦を連ねても來りて歸服して、国人歓喜せざるなし。此の林主として上恩養有りて、遠人化に向かいて、国を挙げて同じく慶ばん、吉なり。

恆 良夫孔姬,負悝登臺。欒季不扶,衛輒走逃。

漸の卦が恒の卦に変わる。《左伝》哀公十五年に衛国の孔姫と家臣渾良夫合謀して、孔悝を劫持して台に登らしめて盟を結ぶを脅迫せり。欒氏の季扶を扶助するを肯ぜずして、衛出公輒只だ出奔逃亡するのみ。此の林主として内乱閨門より起りて、君臣相脅して、国主出走す、大凶なり。

遯 子長忠直,季氏為賊。禍及無嗣,司馬失福。

漸の卦が遯の卦に変わる。人の子と為りて既に長じ且つ忠直なるも、季氏の一黨却って乱賊を做れり。禍事後嗣を断絶するに波及して、兵を掌る司馬も亦た福禄を失去せり。此の林主として忠直して陷に遭い、權門禍を為して、家門衰絶す、凶なり。

大壯 節慶之德,不涉亂國。雖昧無光,民受大福。

漸の卦が大壮の卦に変わる。節を守りて慶可きの徳行は、乱邦に涉足せざるに在り。一時晦暗にして光なく人に知られざると雖も、百姓却って此れによって大福を蒙受せり。此の林主として乱を避けて正を守り、光を韜りて晦を養えば、反って衆人の利と成る、吉なり。

晉 驅羊南行,與福相逢。狼驚我馬,虎盜我子。悲恨自咎。

漸の卦が晋の卦に変わる。羊群を趕りて南に往きて、本より正に福気と相遇せり。不料野狼我が馬を驚かして、猛虎又た我が小羊を叼去せしめて、只だ悲傷悔恨、自ら責めて已まざるを残せり。此の林主として先ず得て後に失して、楽極まりて悲を生じ、途中険に遇う、凶なり。

明夷 尼父孔丘,善釣鯉魚。羅網一舉,獲利萬頭。富我家居。

漸の卦が明夷の卦に変わる。尼父孔丘垂釣を善くして鯉を得て、其の子便ち此れによって鲤と名づけたり。一挙に羅網を撒下して、獲る所万を以て計して、我が家道をして富足せしむ。此の林主として其の技を善く用ゐて、一挙大いに獲して、家業豊饒せり、吉なり。

家人 本根不用,華葉落去,更為孤嫗。

漸の卦が家人の卦に変わる。根本弃置して用ゐざれば、花と葉便ち紛紛として凋落せり。頭に到りて只だ一個の孤零零の老婦を残すのみ。此の林主として本を舍てて養を失して、家門凋零して、孤苦して依なし、凶なり。

睽 設罟捕魚,反得居諸。負困竭忠,伍氏夷誅。

漸の卦が睽の卦に変わる。網を張りて魚を捕るも、撈上する所は却って魚に非ず。伍子胥困厄を背負して、忠誠を竭尽するも、最終に反って夷滅誅戮に遭う。此の林主として求むる所遂わず、忠を尽して禍を受けて、忠にして弃せられん、大凶なり。

蹇 敏捷亟疾,如猿集木。彤弓雖調,終不能獲。

漸の卦が蹇の卦に変わる。身手敏捷迅疾にして、猿猴の樹上に騰躍するが如し。縦い朱漆の良弓を調えて手に称えしむるも、終に之を射中する能わず。此の林主として對手靈變して制し難く、器利にして施す所なく、謀取するを得ず。

解 冠帶南行,與福相期。邀於嘉國,拜位逢時。

漸の卦が解の卦に変わる。衣冠を整肅して帶を束ねて南に往きて、福気と期の如く相會せり。美好の邦国に於て礼遇邀請を受けて、官位を拜受して正に其の時に逢えり。此の林主として南行して合に遇い、爵を受けて時を得、吉なり。

損 年豐歲熟,政仁民樂,祿入獲福。

漸の卦が損の卦に変わる。年成豊稔にして五穀成熟して、政令仁厚にして百姓安楽せり、俸禄門に入りて福気を獲得せり。此の林主として上下相安して、財禄双至なり、大吉である。

益 築闕石巔,立基水源。疾病不安,老孤無鄰。

漸の卦が益の卦に変わる。楼闕を乱石の頂に築きて、地基を泉水の源頭に立てて、湿冷にして穩かならず。此れによって疾病身に纏りて安寧を得ずして、年老孤单して隣居を連ねてもなし。此の林主として地を擇ぶに宜を失して、根基固からずして、病多くして孤寂せり、凶なり。

夬 逐狐東山,水遏我前。深不可涉,失利後還。(蒙之蠱,姤之巽,艮之臨)

漸の卦が夬の卦に変わる。東山に到りて狐狸を追逐するも、大水前に横たわりて去路を擋住せり。水深くして徒渉する能わずして、只好く時機を失掉して退回するのみ。此の林主として前程阻有りて、逐う所獲なし、宜しく退守して時を待つべし。末の注此の林《蒙》の《蠱》、《姤》の《巽》、《艮》の《臨》と文同じを示す。

姤 麟子鳳雛,生長嘉國。和氣所居,康樂溫仁。邦多聖人。

漸の卦が姤の卦に変わる。麒麟の子、鳳凰の雛は、美好の邦国に生長せり。彼処は是れ和気の聚まる所の地にして、安康歓楽、温厚仁愛にして、国の中聖賢多し。此の林主として生まれて盛世に逢い、賢才輩出して、家国同じく慶ばん、大吉である。

萃 西行求玉,莫得卞璞。反得凶惡,使我驚惑。

漸の卦が萃の卦に変わる。西に往きて美玉を尋求するも、却って卞和のごとき璞玉を得ず。反って凶惡の事に碰上して、我をして又た驚き又た惑わしむ。此の林主として遠く求めて獲なくして、反って凶险を招きて、出行利あらず。

升 心狂志悖,聽視聾盲。正命無常,下民多孽。

漸の卦が升の卦に変わる。心思狂乱、志向悖謬にして、耳目聾盲の如し。政令法度反復無常にして、底下の百姓災禍重重せり。此の林主として上昏くして下乱れて、擧措拠を失して、民其の殃を受く、凶なり。

困 南國少子,才略美好。求我長女,賤薄不與。反得醜惡,後乃大悔。(噬嗑之夬)

漸の卦が困の卦に変わる。南方の国の一位の少年は、才干謀略倶に出衆して、來りて我が家の長女を求娶せり。只だ其の門第貧薄を嫌て許さざるに因りて、結果女兒別に一個の醜惡の人に嫁して、事後始めて大いに後悔せり。此の林主として婿を擇ぶに當を失して、貌を以て人を取りて、追悔及ぶ可ならず、凶なり。末の注此の林《噬嗑》の《夬》と文同じを示す。

井 透迤高源,家伯妄施,亂其在官。

漸の卦が井の卦に変わる。水源高遠曲折にして、本より序を以て引導すべきに、家伯却って胡乱に施為せり。《詩経・小雅・十月之交》「家伯維れ宰」の擅權を譏刺して、終に官府の事を攪乱せしめり。此の林主として事に當たる者妄為して、政令序を失して、公事清ならず、凶なり。

革 謝恩拜德,東歸吾國,歡樂有福。

漸の卦が革の卦に変わる。受くる所の恩徳を叩謝して、東に向かいて己が邦国に回りて、一路歓楽して福を蒙れり。此の林主として恩を受けて歸を得て、賓主两歓にして、出入倶に吉なり。

鼎 雞鳴同舉,思配無家。執佩持鳧,莫使致之。

漸の卦が鼎の卦に変わる。鶏叫の時一同に起身するも、婚配を成さんと想うも歸る可きの家室なし。手の裏佩玉を拿りて野鴨を提げて聘礼と為すも、人彼に替えて傳達するを為すなし。此の林主として意有りて媒なくして、婚事成らずして、求むる所達し難し。

震 凶重憂慮,身受誅罪,神不能解。

漸の卦が震の卦に変わる。凶险重重、憂慮不断にして、自身誅罰の罪を受けんとして、神明明を連ねても解救する能わず。此の林主として罪咎已に成りて、祈禳效なく、大凶なり。

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