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損の林(損卦六十四林)

汉 · 焦延寿 · 第48巻 / 71

作盤ガイド: 大衍筮法, 六爻納甲の立卦

漸:保辭解謝,除去垢活。驚之成患,屢去酷殘。(活一作汙)

夬の卦が漸の卦に変わる。委婉持重の言辞を以て辯解して罪を謝して、汚垢と嫌隙を洗去す。一たび驚擾を受けば便ち禍患を釀成せりと雖も、所幸屢々酷烈の残害を躲開せり。此れ善く辯して禍を免るるの象、訟に遇い謗に遇えば宜しく頭を低うして解説し、硬く争う可からず。旧本の「活」の字或は「污」と作る。

歸妹:不狂嫗盲,相牽北行。欲歸高邑,迷惑公得。

夬の卦が帰妹の卦に変わる。一個は瘋癲、一個は老婦眼瞎にして、彼此牽扶して北に往く。本より高邑に回らんと想うも、却って半路に迷い方向を失い、反って公家に尋獲せられり。此れ盲くして行きて道を失うの象、明智の人の引領なければ必ず迷途に致る、宜しく静を守り妄動する勿れ。

豐:醉臥道傍,迷且失明,不合我生。

夬の卦が豊の卦に変わる。酒を喝醉して路の旁に倒臥して、昏迷の中連れて眼睛も亦た見えず、此れ実に我が身を安んじ命を立つるの道に合わず。此れ沈溺して守りを失うの象、欲を縱い逸を放せば必ず其の正を失う、宜しく自ら警め自ら持して以て身を保つべし。

旅:北登鬼丘,駕龍東遊。王母御後,文武何憂。

夬の卦が旅の卦に変わる。北に向かい鬼丘に登上し、又た龍を駕して東に巡游す。西王母後に在りて車を駕して随行して、文臣武将又何の憂慮かあらん。此れ神靈護佑、上下相随の象、遠行し使を出づる倶に庇蔭を得て患なし。

巽:恬淡無患,遊戲道門。與神來往,長出以安。

夬の卦が巽の卦に変わる。心境恬淡なれば便ち禍患なく、優游自在にして道術の門に在り。神明と往来相接して、長久出入倶に平安を得たり。此れ清靜にして自ら守り、神明相佑するの象、身を修め、静に養い、遠行する倶に吉なり。

兌:以緡易絲,抱布自媒。棄禮怠惰,卒罹悔憂。

夬の卦が兌の卦に変わる。銭串を拿りて絲を換え、布匹を抱きて自ら門に上りて婚事を説合すは、正に是れ《詩経・衛風・氓》の写す所の光景なり。礼法を抛開し怠慢懈惰して、終に悔恨憂愁を招来せん。此れ苟合して礼を失うの象、婚配と交易正路に循わざる者は必ず後悔有らん。

渙:被服衣冠,遊戲道門。以禮相終,身無災患。

夬の卦が渙の卦に変わる。衣冠を穿戴して斉整にして、道術の門に優游す。始終礼を以て相待して善始善終して、自身災禍憂患なし。此れ礼に循りて自ら守るの象、凡そ事正を守りて矩を逾えざれば、平安无事を保つ可し。

節:大麓魚池,陸為海涯。君子失行,小人相攜。

夬の卦が節の卦に変わる。大山の脚下の林麓変じて魚池と為り、陸地海辺と成れり。君子身を立つるの常道を失いて、小人却って彼此拉扯して一伙を結べり。此れ世道顛倒、正邪位を易うの象、君子当に跡を斂めて時を待ち、妄進に宜しからず。

中孚:淵泉溢出,為邑之祟。道路不通,孩子心憒。

夬の卦が中孚の卦に変わる。深淵の泉水漫溢して出でて、城邑の禍祟と成れり。道路水に阻断して通ぜず、孩童を連ねても心慌意乱せり。此れ水患阻隔の象、出行と音信倶に阻まるを受け、尤も須らく水厄を提防すべし。

小過:十里望煙,散渙四方。形體滅亡,可入深淵。終不見君。

夬の卦が小過の卦に変わる。十里の外に於て炊烟を望見するも、却って四散飄渙して往く所を知らず。形体消散滅尽して、深淵に没入せしが如くして、終に思念する所の人を見る能わず。此れ音信断絶、尋訪着なきの象、人を求め物を尋ねる倶に落空せよとす。

既濟:傳言相談,非好徑路。鳴鼓逐狼,不知跡處。

夬の卦が既済の卦に変わる。傳聞に靠りて輾轉相告するは、並びに穏妥の門路に非ず。鼓を擂き起して野狼を駆赶すれど、其の蹤跡何処に在るかを知らず。此れ道聴途説、盲目に事を行うの象、傳言に憑りて事を办れば終に結果なし、宜しく自ら核実すべし。

未濟:東失大珠,西行棄襦。時多不利,使我後起。

夬の卦が未済の卦に変わる。東辺に於て大顆の明珠を丢失して、西に走りて又た短衣を落下せり。時運多く利あらずして、我をして起步人の後頭に落ちしむ。此れ屡々失い屡々損ずるの象、行止倶に其の時を得ず、宜しく暫く圖謀を緩めて以て轉機を待つべし。

姤の林(姤卦六十四林)

姤:河伯大呼,津不可渡。往復示故,乃無大悔。

姤の卦が自ら変じても姤の卦のままである。河伯高声に呼喝して、渡口通行を許さず。來回往返して、缘由を説明しての後、始めて大きの悔咎を免れたり。此れ水阻みて当前に在るの象、険に遇えば須らく歩を停めて申説し、勉强して渡を搶れば必ず凶险を生ず。

乾:蒙被恩澤,長大成就。柔順利貞,君臣合好。

姤の卦が乾の卦に変わる。上天の恩沢の潤被を蒙受して、長大成材を得たり。柔順にして正を守りて持に利あり、君臣の間和洽相好せり。此れ恩を承けて成を得るの象、上に事え職に任ずる倶に宜しく柔順を以て自ら処り、福禄期す可し。

坤:東山西土,各自止安。雖欲登望,竟不同堂。

姤の卦が坤の卦に変わる。東辺の山、西辺の土は、各々一方に安居す。高きに登りて遥望して相聚まらんと想うと雖も、終に同じく一堂に処る能わず。此れ両地に分隔の象、會合の期成ること難く、親友相望みて相親む能わず。

屯:登山上谷,與虎相觸。蝟為功曹,班叔奔北。脫之嘉同。

姤の卦が屯の卦に変わる。山に登りて深谷に上れば、猛虎と迎面して相撞せり。幸いに刺猬「功曹」を充てて出でて周旋する有りて、班叔始めて北に向かい奔逃するを得たり。険を脱したる後又た同伴と會合して、轉じて嘉美と為れり。此れ険に遇いて救を得るの象、危中に貴人の相援有りて、終に大害なし。

蒙:躓跌未起,失利後市。不得鹿子。

姤の卦が蒙の卦に変わる。地に跌倒して未だ爬起る能わずして、赶集已に遲くして行情を錯失せり。連れて一隻の小鹿も亦た獵着せず。此れ起步して機を失うの象、利を謀れば人の後に落ち、求むる所終に空手に帰す。

需:結珠懷履,卓斯以思。為君奴婢。

姤の卦が需の卦に変わる。珠子を繫結し、鞋を懐裏に揣えて、孤零零として彼処に立ちて苦苦として思念す。情願人に充作して奴婢と為らん。此れ身を委ねて屈就するの象、情繫る所有りて自ら身份を降し、事成る可しと雖も身位卑下なり。

訟:雞鳴失時,民作勞苦。犬吠不休,行者稽留。

姤の卦が訟の卦に変わる。雄鶏暁を報ずるも時辰を錯過して、百姓此れによって操労辛苦す。門を看る犬叫び停まざるに因りて、路を趕る人滞留を迫られり。此れ時序錯乱、行程受阻の象、出行擱擱有りて、事を興すも亦た多く労して成ること少なし。

師:陳媯敬仲,逃興齊姜。營丘立適,八世大昌。(屯之睽,旅之豫)

姤の卦が師の卦に変わる。陳国の敬仲陳完出奔して、姜姓の斉国に到りて反って興盛せり。營丘に於て嫡系一支を立てて、八世に傳わりて大いに昌盛せり。此れ危を去りて安に就き、異地に發達するの象、遷徙して遠く適く者は基を開き業を立て、子孫昌隆を望む可し。此の条「屯之睽」「旅之豫」の両林と文同じ。

比:鹿畏人匿,俱入深谷。短命不長,為虎所得。死於牙腹。

姤の卦が比の卦に変わる。群鹿人を怕れて躲蔵して、一斉に深谷に鑽入す。無奈命短く長からずして、老虎に捉えられて、虎口の中に死せり。此れ害を避けて反って険地に入るの象、趨避して其の法を得ざる者は終に禍を免れ難し、宜しく形勢を審明して後に動くべし。

小畜:言無約結,不成券契。殷叔季姬,公孫爭之。強入委禽,不悅於心,乃適子南。

姤の卦が小畜の卦に変わる。口頭の言約定して結びを作らざれば、便ち契券を立成す能わず。殷叔と季姬の親事に、公孫氏出でて争奪して、強いて大雁を送りて納采の礼を行えば、女方心の裏並びに情願せざるも、終に子南に嫁げり。此れ婚約憑なく、争奪休まざるの象、凡そ事文書を以て據と為さざれば必ず糾葛を生ず。

履:鼓瑟歌舞,歡悅於酒。龍喜張口,大悅在後。

姤の卦が履の卦に変わる。瑟を鼓し樂を奏して、歌舞して興を助けて、酒宴の中に歡愉暢快せり。竜も亦た喜んで大きく口を張るを得て、更大の喜悦還た後頭に在り。此れ歓慶將に至らんとするの象、宴飲、慶典、喜事連々として來りて、後の福尤も深厚なり。

泰:凶憂災殃,日益明章。禍不可救,王卻夷傷。

姤の卦が泰の卦に変わる。凶险憂患と災殃は、一天に一天として顯露分明なり。禍事已に可なき挽救の歩地に到りて、君王退避するも仍お創傷に遭えり。此れ災禍昭著の象、凶兆已に明らかにして補救するに従なし、唯だ及早に退避するのみ。

否:水流趍下,遂成東海。求我所有,貿鱣與鯉。

姤の卦が否の卦に変わる。水低處に向かいて奔流して、涓滴匯聚して終に東海と為れり。我が擁有する物を求取して、以て鱣魚と鯉魚と交易せり。此れ小を積みて大を成し、有を以て無を易うるの象、経商して積累する者は漸く大業を成すを望む可し。

同人:陰為陽賊,君不能克。舉動失常,利無所得。

姤の卦が同人の卦に変わる。陰気陽気を侵害して、君主も亦た之を制伏する能わず。舉動常度を失して、何の好処も亦た得る能わず。此れ陰邪道に当たり、上其の柄を失うの象、事を行い錯乱すれば便ち一獲なし、宜しく静守して以て時の変を待つべし。

大有:離床失案,龜喪其願。都市無會,叔季懷恨。

姤の卦が大有の卦に変わる。卧床を離れて又た几案を失い、占卜の龜も亦た其の願に遂う能わず。都城の集市の上に於いて會合成らずして、叔と季両人心に怨恨を懐けり。此れ居処安ならず、約期落空の象、求む所遂わずして嫌隙を生ず。

謙:壅遏堤防,水不得行。大慎陽光,陰霓伏藏。走歸其鄉。

姤の卦が謙の卦に変わる。堤防を筑起して水道を壅塞して、水流通行を得ず。十分に謹慎して陽光を守住して、陰晦の虹霓潜伏隱蔵せり。是れに於て奔走して故郷に回帰せり。此れ壅塞して帰を思うの象、前路通ぜざれば便ち宜しく本處に退返し、守慎すれば以て咎を免る可し。

豫:躄屈腹伸,東乘浮雲,貴寵母前。(腹一作復)

姤の卦が豫の卦に変わる。跛足屈すると雖も腹背舒展を得て、東に浮雲に乘りて上行して、顯貴寵幸を獲得して、母親の面前に於て榮耀せり。此れ屈より轉じて伸となるの象、先に困頓有りて後に騰達して、親を顯し名を揚ぐるを望む可し。旧本の「腹」の字或は「復」と作る。

隨:實沈參伐,以義斷割。次陸服刑,成我霸功。

姤の卦が随の卦に変わる。《左伝》の記する所の高辛氏の子實沈参・伐の星を主掌して、道義に依りて決斷裁割を作出せり。次序を依りて罪を伏し刑を服して、我が霸業の功を成就せり。此れ刑賞を明断し、義を以て威を立つるの象、公道を主持する者は大功を建つ可し。

蠱:金泉黃寶,宜與我市。娶嫁有息,利後過母。

姤の卦が蠱の卦に変わる。金泉の地黄色の珍宝を出産して、正に宜しく我と交易すべし。婚嫁の後生育して嗣有りて、日后の利益更に母家に勝る。此れ交易して宝を得、婚育して福を得るの象、経商と嫁娶倶に厚利有り。

臨:禹召諸神,會稽南山。執玉萬國,天下安寧。

姤の卦が臨の卦に変わる。大禹諸方の神祇を召集して、會稽南山に於て會盟せり。万邦の諸侯玉帛を手執して前に來りて朝會して、天下因って安寧せり。此れ大いに群賢を會し、四方歸服の象、衆を聚め、盟を結び、大業を開創する倶に吉なり。

觀:三蟲作蠱,踐跡無與。勝母盜泉,君子不處。

姤の卦が観の卦に変わる。三條の虫器皿の裏に聚まりて蠱毒を釀成せば、彼のごとき路徑踏上する可からず。里の名を「勝母」と呼び泉の名を「盗泉」と呼ぶは、曾子と孔子倶に肯えて居留して飲を取らざりき。此れ身を潔くして穢を遠ざくるの象、凡そ名正ならず、來路明らかならざる者は倶に近づく可からず、避開すれば便ち過錯なし。

噬嗑:花葉隕落,公歸樞宅。夷子失民,潔己不食。

姤の卦が噬嗑の卦に変わる。花と葉倶に凋零墜落して、主公中樞の宅第に回れり。夷子民心を失掉して、只だ身を潔くし自ら守り、食を絶ちて志を明らかにする能わず。此れ盛極まりて轉じて衰え、退守して自ら潔くするの象、位を失せし人は宜しく節を守り自ら持し、強争すべからず。

賁:履機懼毀,身王子廢。終得所欲,無有凶害。

姤の卦が賁の卦に変わる。脚機関の上に踩みて唯だ傾毀を恐るも、本より王と称すべき身分却って廢黜せられり。然れど終に欲する所の物を得て、凶险禍害なし。此れ先に危く後に安んずるの象、険に処りて能く懼を知れば、反って敗を轉じて得と為す能し。

剝:道理和得,仁不相賊。君子攸往,我有利福。

姤の卦が剥の卦に変わる。道義事理和順得当にして、仁徳を講ずる人彼此相残害せず。君子往く所有れば、我便ち利益と福気を得着せり。此れ和を以て福を致すの象、出行、合作、事を謀る倶に順利にして得有り。

復:合匏同牢,姬姜並居,壽考長久。

姤の卦が復の卦に変わる。瓠を剖りて卺を為し牲を共食して、古婚礼の中の「合卺同牢」の儀を行えり。姬姓と姜姓の男女并肩して同居して、同じく長久の高寿を享く。此れ佳偶白頭の象、婚姻美満にして、家道久安せん。

旡妄:關雎淑女,賢妃聖偶。宜家壽母,福祿長久。

姤の卦が旡妄の卦に変わる。《詩経・周南・關雎》の詠ずる窈窕淑女は、正に是れ賢良の妃子、聖明の配偶なり。家室をして和宜せしめ、母親をして長寿せしめ、福気と禄位久久として衰えざる能し。此れ賢い内助を得るの象、婚娶、嗣を求め、家を治むる倶に大吉なり。

大畜:騅驥脫乳,不知子處。旋踵悲鳴,痛傷我心。

姤の卦が大畜の卦に変わる。騅馬と駿馬の幼駒剛わかに奶を断ちて便ち走失して、母馬子の何処に在るかを知らず。脚跟を轉じて便ち悲鳴止まずして、其の声我が心を痛傷せり。此れ骨肉離散の象、失物を問い人を尋ねる倶に着落有ること難し、傷別の痛有るを主とす。

頤:知嚴絕理,陰孽謀主。十日不食,困於申亥。

姤の卦が頤の卦に変わる。嚴酷を明知するも常理を断絶して、陰狠の孽臣君主に害を加えんと圖謀す。十天食を進めずして、終に申亥の家裏に困死せり——正に是れ《左伝》の記する所の楚靈王の下場なり。此れ衆叛り親離れ、食を絶ちて困斃するの象、君位を問い疾厄を問う倶に大凶なり。

大過:鑿諸攻玉,無不宜鑿。麟鳳成形,得象君子。三人翼事,所求必喜。(人一作仁,鑿諸攻玉者,鑿其攻玉之事,無不宜。鑿者,鑿則必有也)

姤の卦が大過の卦に変わる。凿子を拿りて美玉を琢磨して、凿を下すに宜しからざる一處なし。麒麟と鳳凰漸漸形を成して、正に君子の気象に合す。又た三人有りて旁より其の事を輔翼して、求むる所必ず心に称い欢喜せん。此れ琢磨して器を成し、助を得て事を成すの象、凡そ營求有れば倶に願の如くなる可し。旧注に「人」の字或は「仁」と作り、倂せて「凿諸攻玉」を釋して即ち攻玉の工に從事すれば、宜しからざる所なく、凡そ凿を動かせば必ず成る所有りと謂う。

坎:昧暮乘車,以至伯家。踰梁渡河,濟脫無他。

姤の卦が坎の卦に変わる。天色昏暮の時車に乘りて路を趕りて、一直に伯氏の家中に到れり。橋梁を越え大河を渡りて、平安にして身を脱し、別に他患なし。此れ夜行して済を得るの象、昏晦の中に奔波すると雖も、終に難関を渡過する能し。

離:吾有黍稷,委積外場。有角服箱,運致我藏。富於嘉糧。

姤の卦が離の卦に変わる。我に黍稷等の谷物有りて、外面の場院の上に堆積す。角有る牛車厢を駕起して、一趟々として運び回りて我が倉廩に収め、好い粮食十分に富足せり。此れ收穫して倉に帰するの象、農を務め財を求むる倶に実在の積蓄有り。

咸:喜笑且語,不能掩口。官爵並至,慶賀盈門。

姤の卦が咸の卦に変わる。又た笑い又た説きて、歓喜して口を掩う能わず。官職と爵位一斉に來り到りて、前に來りて道賀する人門庭に擠満せり。此れ喜信重疊の象、官を求め名を求むる者は必ず顕達の慶を得ん。

恆:霧露雪霜,日暗不明。陰孽為疾,年穀大傷。

姤の卦が恒の卦に変わる。霧気、露水、雪と霜交じて害を為し、太陽昏暗不明なり。陰邪の気疾病を釀成して、一年の谷物大いに損傷を受く。此れ陰晦生を傷めるの象、農事歉収し人多く疾患を患え、宜しく早く防備を作すべし。

遯:伯去我東,髮如飛蓬。寤寐長嘆,展轉空床。內懷悵恨,心摧肝腸。

姤の卦が遯の卦に変わる。夫君東に向かい我を離れて去れば、我が頭髪散乱して飛蓬の如し。睡るも裏も醒むるも裏も倶に長声嘆息して、空床の上に輾轉して眠り難し。心の中怨恨を満懐して、肝腸皆な摧折せんと欲す。此れ離別相思の象、行人未だ帰らず、帰期を問い婚情を問う倶に愁苦を主とす。

大壯:亡羊補牢,張氏失牛。騂駟奔走,鵠盜我魚。

姤の卦が大壮の卦に変わる。羊失いて始めて羊圏を補えば、張氏又た牛を走失せり。赤色の駟馬四散奔逃して、天鵝還た我が魚を叼去せり。此れ屢々失脱の象、損耗接連して來りて、事後の補救已に遲し、宜しく先ず藩籬を固くすべし。

晉:販鼠賣蛙,利少無謀,難以得家。

姤の卦が晋の卦に変わる。老鼠を販売し青蛙を售売して、利潤微薄にして又た毫も籌劃なく、此の如く家を成し業を立つること難し。此れ營生卑微、経営術なきの象、獲る所の利太だ薄くして、以て富を致すに足らず。

明夷:西戎為秩,幽君去室。陳子發難,項伯成亂。

姤の卦が明夷の卦に変わる。西戎秩序の主位に坐上して、周幽王宮室より逐出せられり。陳渉兵を起して難を発して、項氏一族終に大乱を釀成せり。此れ外患内叛、宗社傾覆の象、国事を問い家宅を問う倶に凶なり、宜しく禍を遠ざけ地を避くべし。

家人:秋風生哀,花落心悲。公室多難,羊舌氏衰。

姤の卦が家人の卦に変わる。秋風一たび起れば便ち哀思を生じて、花朵零落して人をして心悲しましむ。公室多く患難有りて、晋国の羊舌氏一族此れによって衰敗せり。此れ時衰えて族替わるの象、門第將に落ちんとす、宜しく斂蔵して自ら守り、張揚すべからず。

睽:持福厭患,去除大殘。日長夜盡,嘉世蒙恩。

姤の卦が睽の卦に変わる。福気を守住し禍患を壓住して、大きの残害を除去せり。白昼漸く長く黑夜將に尽きんとして、美好の世道に逢着して恩沢を蒙受せり。此れ否を轉じて泰と為すの象、災去りて福來りて、恩を求め赦を求むる者吉なり。

蹇:新受大喜,福履重來。樂且日富,足用豐財。

姤の卦が蹇の卦に変わる。新近大きの喜慶を領受して、福禄接連して至れり。一天に一天として歓楽富足して、用度充裕、銭財豊盈なり。此れ喜慶重疊の象、財を求め、禄を受け、家を成す倶に大吉なり。

解:前頓卻躓,左跌右逆。登高安梯,復反來歸。

姤の卦が解の卦に変わる。前に往きて挫を受け後に退きて又た跌绊して、左に摔倒し右に順わず。高きに登らんとすれば便ち先ず梯子を安好して、随後平安に折返せり。此れ進退阻まり多きの象、凡そ事須らく階梯を預備し、次第を按じて行い、方に往返傷なからん。

損:夢飯不飽,酒來入口。嬰女難好,媒應不許。

姤の卦が損の卦に変わる。夢の裏飯を吃るも肚子を填飽す能わずして、只だ酒嘴辺に送り到るのみ。幼小の女兒許配し難くして、媒人來りて説合するも答應せず。此れ虚に其の名有りて、求む所遂わざるの象、婚事と実利終に落空に帰す。

益:大都王市,稠人多寶。公孫宜買,資禍萬倍。(禍一作貨)

姤の卦が益の卦に変わる。大都城の王家集市の上、人群稠密、宝貨衆多なり。公孫氏正に宜しく此に在りて採買すべく、積む所の財貨万倍に增す可し。此れ鬧市に於て利を得るの象、経商して市に入る者厚獲有り。旧本の「禍」の字或は「貨」と作る。

夬:兩人俱醉,相與悖戾。心乖不同,爭訟恟恟。

姤の卦が夬の卦に変わる。両人倶に喝醉して、彼此乖張抵觸す。心思背离して意見合わずして、是に於て争吵して訟を興し喧鬧して休まず。此れ和を失い訟を構うるの象、事を同じくし伙を合する者齟齬を生じ易し、宜しく飲を節し忍讓すべし。

萃:身無頭足,超蹠庶乖。不能遠中,之道疲休。失利後市。

姤の卦が萃の卦に変わる。身子頭もなく脚もなければ、縱躍踩踏樣樣乖違す。既に遠行する能わず、中的する能わずして、半路を走りて便ち疲憊して停下し、赶集遲到して行情を錯失せり。此れ形殘え力尽きるの象、行う所達せず、謀る所成ることなし。

升:三人俱行,六目光明。道逢淑女,與我驥子。

姤の卦が升の卦に変わる。三個人伴を結びて同行して、六隻の眼睛倶に分明に看る。路上賢淑の女子に遇見して、還た我に一匹の良駒を贈れり。此れ同心して助を得るの象、伴を結びて出行する者貴人に遇い財物を獲て、大吉である。

困:進士為官,不若復田,獲壽保年。

姤の卦が困の卦に変わる。功名を求取して官を做するは、反って頭を回して田を種るに如かず、倒れに長寿を獲得し天年を保全する能し。此れ退隱して安を得るの象、仕途険多くして、拙を守りて田に帰る者は反って身を全うして福寿を享く能し。

井:先易後否,失我所市。騷蘇自苦,思吾故事。

姤の卦が井の卦に変わる。起先順利にして後来閉塞して、我が市の上に於いて成せし買売を失掉せり。心緒騷擾して自ら苦惱を尋ねて、従前の旧事を追想す。此れ先に順い後に阻まるの象、事中変有りて、宜しく成を守りて再び新利を圖るに宜しからず。

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