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噬嗑の林(噬嗑卦六十四林)

汉 · 焦延寿 · 第31巻 / 71

作盤ガイド: 大衍筮法, 六爻納甲の立卦

遯 坐席未溫,憂來扣門。踰牆北走,兵交我後。脫於虎口。

座席未だ坐暖めざるに、憂患已に門を敲きに來る。牆を翻越して北に逃走し、追兵身後に在りて交戰し、終に虎口の中より脫身す。此の林禍至りて倉皇にして幸いに難を免るを得るを主とし、險に遇うを占問うに速かに避くるに宜しく、脫する可し。

大壯 赤帝懸車,廢職不朝。叔帶之災,君子記廬。

赤帝車を高懸して用ゐず、職守を荒廢して再び上朝せず。王子帶狄人と勾結して亂を作し、周襄王迫られて鄭に出居す、事《左傳》僖公二十四年に見ゆ。君子只だあの草廬に難を避けし日子を記着するを得。此の林君其の政を廢し、亂蕭牆に起るを主とし、國事と官事とを占問うに皆凶。

晉 子畏於匡,厄困陳蔡。明德不危,竟自免害。

孔子匡地に圍まれて驚恐を遭受し、また陳蔡の間に糧を絕たれて困を受く、事《論語・子罕》と《先進》とに見ゆ。徳行光明なるを以て、終に危亡に至らず、最後自然に禍害を免る。此の林聖者厄に遇いて徳足りて難を免るるを主とし、困境を占問うに終に脫身を得。

明夷 逐雁南飛,馬疾牛罷。不見魚池,失利憂危。牢戶之冤,脫免無患。

大雁を追うて南に飛去し、馬病み牛もまた累垮す。魚池を尋着けず、利益を失して憂慮危殆す。幸いに牢獄の中の冤情昭雪を得て、脫身出來して禍患なし。此の林勞して功なくして刑厄解く可きを主とし、財を求むるを占問うに利ならず、訟事釋を得。

家人 推輦上山,高仰重難。終日至暮,不見阜巔。

車子を推して山に上り、仰頭して望めば又高く又重くして、極めて艱難なり。早より天黑くなるまで忙しくするも、山頂をも看不見ず。此の林任重くして道遠く、力事に及ばざるを主とし、事を謀るを占問うに成り難し。

睽 憂不為患,福在堂門,使君偃安。

憂慮並びに禍患を釀成せず、福氣便ち堂前門口に守在り、您をして安臥して事なからしむ。此の林憂散じて福來り、身心安を得るを主とし、占問うに平安、吉。

蹇 春桃生華,季女宜家。受福多年,男為邦君。

春天桃樹花を開出す、年少の女子家を成すに宜し、《詩經・周南・桃夭》に「其の室家に宜し」の詠有り。多年福を享け、生ずる所の男孩一方の君と做る。此の林婚配時を得、子貴くして門榮えるを主とし、嫁娶と子嗣とを占問うに大吉。

解 高山之巔,去地億千。雖有兵寇,足以自守。

高山の頂峰、平地と距ること何ぞ止まらん千萬丈。縱ほ兵禍盗寇有るも、此の險要を憑りて以て自ら守るに足る。此の林險を據りて自ら固くし、外患侵し難きを主とし、守禦と家宅とを占問うに皆吉。

損 過時歷月,役夫憔悴。處子嘆室,思我伯叔。

約期を過ぎてまた數月を歷經し、服役の人形容憔悴す。閨中の女子屋裏に嘆息し、我が兄長と叔父とを思念す。此の林行役期を逾え、閨中遠を思うを主とし、歸期と團聚とを占問うに皆遲し。

益 太微復明,說升傅巖,乃稱高宗。一作疾在頭頸,和不能生,滅其令名。

太微垣重ねて光明を放ち、傅說傅岩の版築の間より擧用せられて相と爲り、殷王武丁これによって高宗と稱するを得、事《尚書・說命》に見ゆ。此の林賢者草野に拔かれ、君臣相い得るを主とし、賢を求めと仕進とを占問うに大吉。一本此の條「疾頭頸に在り、和して生ずる能わず、其の令名を滅す」と作る。

夬 旁多小星,三五在東。早夜晨行,勞苦無功。

天邊の小星衆多にして、參宿と昴宿と三五群を成して東方に掛る、《詩經・召南・小星》正に小吏の夙夜奔忙を詠む。早く起きて黑に貪りて路を趕り、辛苦勞碌して功效なし。此の林奔波して成なく、勞して獲少なきを主とし、出行と事を謀るとを占問うに皆利ならず。

姤 東鄉煩煩,相與笑言。子般鞭革,圉人作患。

東邊の鄕裏熱鬧紛紛として、人々相互に說笑す。魯公子般圉人犖を鞭打ち、あの養馬人恨を心に懷き、終に君を弑するの禍を釀成す、事《左傳》莊公三十二年に見ゆ。此の林歡會の中暗に殺機を伏せ、下人を輕侮して禍を招くを主とし、下を待するを占問うに慎むに宜し。

萃 鼻移在頭,枯葦復生。下朽上榮,家乃不寧。其舍不成。

鼻子頭頂に至るまで長出し、枯葦また新芽を抽く。下面朽壞して上面繁榮し、根基實ならず、家中これによって安寧を得ず、房舍もまた蓋成らず。此の林本末倒置し、根基固からざるを主とし、家宅と營造とを占問うに皆凶。

升 蝦蟆群聚,從天請雨。雲雷集聚,應時輒與。得其所願。

蛤蟆群を成して聚集し、天に向かいて雨の降るを祈求す。云と雷と聚拢して、時に應じて便ち甘霖を降下し、彼らの心願を遂ぐ。此の林誠求應有り、願う所必ず遂げるを主とし、祈求の事を占問うに皆吉。

困 大步上車,南到喜家。送我貂裘,與福載來。

大步して車子に登上し、南に喜事有る人家に來到す。主人我に貂皮の大衣を送り、福氣之と一同に載せて回る。此の林客を訪うて贈を得、福身に隨いて來るを主とし、出行と財を求むるとを占問うに皆吉。

井 賊仁傷德,天怒不福。斬刈宗社,失其土宇。一本此下有皆頤之三字,闕一字)

仁義を殘害し徳行を損傷すれば、上天震怒して再び福を降さず。宗廟社稷斬伐し盡くされ、疆土屋宇すらも失う。此の林徳に逆いて國を亡し、土を失い祀を絕つを主とし、家國を占問うに大凶。一本此の下に「皆頤之」の三字有り、一字を闕く。

革 從蝟見虎,雖危無殆,終已不處。

刺猬に跟りて走りて卻って老虎に撞見す、危險なると雖も敗亡に至らず、終に此に久留するを肯んぜず。此の林險中全を得、機を見て遠去るを主とし、險に遇うを占問うに速かに離るるに宜しく、咎無きを保つ可し。

鼎 履行素德,卒蒙佑福。與堯侑食,君子有息。

朴素本分の徳行を踐行し、終に神明の保佑を蒙受して福を得。堯のごとき聖君と侑食して席を共にする能くし、君子これによって生息する所有り。此の林素徳報を獲、明主に遇いて安んずるを主とし、福を求めと仕進とを占問うに皆吉。

震 利在北陸,寒苦難得。憂危之患,福為道門。商叔生存。

利益北方の陸地に在り、あの處天寒くして地苦しくして取得し難し。憂愁危殆の禍患の中、福氣反つて通達の門と成り、商叔これによって生存を得。此の林苦寒にして利を求め、危中にして福を得るを主とし、占問うに先に難にして後に獲。

艮 四蹇六盲,足痛難行。終日至暮,不離其鄰。

四處跛蹇して六處昏盲し、脚痛みて行走し難し。早より晚に至るまでも、鄰近の地を走り出る能わず。此の林行動限を受け、寸步移り難きを主とし、出行と事を謀るとを占問うに皆成らず。

漸 臺駘昧子,明知地理。障澤宣德,封居河涘。

台駘微昧より出身すれど、卻って地理に深通す。彼堤を築き水を障え澤を疏濬して徳澤を廣布し、功に因りて封を受けて汾河の濱に居る、事《左傳》昭公元年に見ゆ。此の林微賤の者大能有り、水を治めて功を建つを主とし、事を治むと封賞とを占問うに皆吉。

歸妹 畜水待時,以備火災。柱車絆馬,郊行出旅。可以無咎。

水を蓄好して需用の時を待ち、以て火災に防備す。車子を支住し馬匹を絆住し、郊外に出行して遠游すれば、過錯無き可し。此の林豫備周全にして、行止節有るを主とし、出行を占問うに平安。

豐 歲暮花落,君衰於德。榮寵殞墜,陰棄其室。

一年將に盡きんとして花朵凋落し、國君の徳行もまた之に隨いて衰减す。榮耀恩寵墜落し、陰柔の人自己の家室を拋棄す。此の林徳衰え寵失い、家道零落するを主とし、家國と恩寵とを占問うに皆凶。

旅 夏敗蔡悲,千里為市。黃落潱鬱,利得無有。

夏國敗亡し蔡國悲傷し、千里の地皆交易の場と成る。草木枯黄凋落して水氣鬱塞し、利益一の得る所なし。此の林國破れて商滯り、財路斷絕するを主とし、財を求むるを占問うに大利ならず。

巽 仲春巡狩,東見群后。昭德允明,不失其所。

仲春の時節天子出巡し、東に諸侯群后に會見す、《尚書・舜典》舜の「歲二月東に巡守す」を載す。徳行を彰明し誠信昭著にして、人人其の位を失わず。此の林巡行會同し、上下所を得るを主とし、出行と朝覲とを占問うに皆吉。

兌 冽潔縲縲,締構難解。嫫母衒嫁,媒不得坐。自為身禍。

繩索一圈圈に纏えて又緊く又結實にして、締結の死扣解開し難し。醜陋の嫫母處處自誇して嫁を求め、媒人纏えられて席に安んずる能わず、反つて自らのために禍事を招來す。此の林糾纏して解き難く、自ら炫えて殃を招くを主とし、婚事と糾紛とを占問うに皆凶。

渙 鳥嚕夜中,以戒災凶。重門擊柝,備憂外客。

鳥半夜の裏に鳴叫し、以て災禍凶險を警戒す。重重の門戸を設け更を打ちて柝を敲き、外來の不速の客に防備す。「重門擊柝」の語《易・繫辭》に出づ。此の林警備森嚴にして、患を未だ然らざるに防ぐを主とし、守禦を占問うに吉を得。

節 朝霽暮露,纖我衣濡,道無行牛。

早上剛に晴放れしも、傍晚また露水を下し、細細として我が衣裳を沾濕せしむ、路上一頭の路を趕る牛すらもなし。此の林天時定まらず、路を行くこと冷落するを主とし、出行を占問うに利ならず。

中孚 抱璞懷玉,與桀蹠觴。詘坐不申,道無良人。

璞石を抱懷し美玉を懷揣すれど、卻って夏桀・盗跖の類の人と對飲す。卞和の璞を抱きて遇わざるの事《韓非子・和氏》に見ゆ。膝を屈して坐し抱負伸ぶるを得ず、一路上一個の好人もなし。此の林才を懷きて遇わず、交る所其の人に非ずを主とし、進を求めと交游とを占問うに皆利ならず。

小過 兩心相悅,共其茀□。一作茅蘆)夙夜在公,不離房中。得君子意。

兩心相互に喜悅し、一處の遮蔽の下に同處す。早晚皆公事の中に在れども、人卻って房室の內を離れず、《詩經・召南・小星》に「夙夜公に在り」の語有り。終に君子の心意に合す。此の林情投意合し、內外相い安んずるを主とし、婚姻と事を共にするとを占問うに皆吉。「茀」一本「茅蘆」と作る。

既濟 載饋茹田,破鉏失餐。苗稼不闢,獨飢於年。

飯を田間に送りて吃せしめんとすれど、鋤頭卻って折斷し、此の頓の飯すらも誤了す。禾苗莊稼人の開墾耕治する無く、此の一年只だ獨り餓へるを落得す。此の林農具損壞し、耕作荒廢するを主とし、農事と生計とを占問うに皆凶。

未濟 甘露醴泉,太平機關。仁德感應,歲樂民安。屯之謙)

天甘露を降し地醴泉を涌す、此れ太平盛世の樞機の在る所なり。仁徳感召して上天回應し、年歲歡樂して百姓安寧す。此の林祥瑞幷びに至り、徳天和を感ずるを主とし、家國と福を求むるとを占問うに大吉。同辭また「屯の謙」に見ゆ。

坎の林(坎卦六十四林)

坎:有鳥黃足,歸呼季玉。從我睢陽,可避刀兵。與福俱行,有命久長。

坎の卦が自ら変じても坎の卦のままである。黄い足の鳥が旧巣に帰り、声々に季玉を呼んで、我を睢陽に移らせる。そこは兵刃の禍いを避けられる地で、福が一路付き従い、寿命は長い。睢陽は古の宋国の奥地で、漢人はこれを乱を避けて身を安んずる所と見做し、黄足の異鳥は警戒して吉を報じる祥禽である。この林は遠く移って危険を避けて福寿を得ることを主とし、大吉である。

乾:太王為父,季歷孝友。文武聖明,仁德興起。孔張四國,載福綏厚。

坎の卦が乾の卦に変わる。古公亶父が父となると、子の季歴は孝順友愛で、文王・武王に伝わり、聖徳は昭明、仁政は大いに興り、周室は四方に張大して深厚な福沢を受けた。これは《詩経・大雅》が詠う周家三世が徳を積んで国を開いた旧事である。この林は累世善を行って門戸が興隆し、福禄が綿厚であることを主とし、大吉である。

坤:猿墮高木,不踒手足。保我全生,還歸其室。

坎の卦が坤の卦に変わる。猿が高い木から落ちても手足を挫かず、命を全うして安らかに己の巣に帰る。猿はよく攀縁するので、墜ちても傷つかないのは天賦の本领が身を守る喩えである。この林は転落の険境を経ても終に損折なく、平安に家に帰れることを主とし、驚きあれど険なき吉である。

屯:重耳恭敏,遇讒出處。北奔戎狄,經涉齊楚。以秦代懷,誅殺子圉,身為伯主。

坎の卦が屯の卦に変わる。晋の公子重耳は恭謹勤敏であったが、驪姫の讒言によって出亡を余儀なくされ、北に戎狄へ奔り、また斉・楚の間を転々とした。後に秦穆公の力を借りて晋懐公に代わり、子圉を誅して自ら君位に立ち、終に春秋の覇者、すなわち晋文公となった。この林は先に讒害に遭って異郷に流れ、久困の後にかえって高位に登ることを主とし、先凶後吉・苦尽甘来の象である。

蒙:倚鋒據戟,傷我胸臆,耗折不息。

坎の卦が蒙の卦に変わる。身を刀の刃に倚せ、手に長戟を按えば、胸は刺し傷つけられ、損耗折損が止まらない。身をもって兵刃に当たるのは自ら傷を取ることである。この林は強を逞しゅうして険を犯し、処事に避けることを知らず、必ず身の傷と財の損を致すことを主とし、凶である。

需:狗冠雞步,君失其所。出門抵山,行者憂難。水灌我園,高陸為泉。

坎の卦が需の卦に変わる。狗に冠冕を冠せ、鶏が人の歩みを学べば、尊卑と名実は転倒し、君主は在るべき位を失う。出門すれば大山にぶつかり、行路の人は愁苦して進めず、大水が園圃に灌ぎ込み、高き地さえ泉眼と化する。狗冠鶏歩は漢人が名実の錯乱を形容する常語である。この林は上下失序・行止の阻害に加えて水患に逢うことを主とし、凶である。

訟:眾鳥所翔,中有大怪。丈身長頸,為我驚憂。

坎の卦が訟の卦に変わる。群鳥が盤旋する所の中に一つの怪物が現れ、身の丈一丈、頸は細長く、人を驚駭憂懼させる。漢人は異形の禽を妖祥の変の示しとした。この林は反常の意外な驚擾があり、事は不測に起こり、口舌と憂驚を主とし、不吉である。

師:虎行相逐,未有休息。戰於平陸,為夷所覆。

坎の卦が師の卦に変わる。二虎が互いに追い合い、一刻も歇めず、ついに平陸一帯で交戦し、かえって外族に打たれて傾覆した。平陸は斉国の辺邑で、これは両強が争って外敵が虚に乗ずる喩えである。この林は内争が止まず外患の覆敗を招くことを主とし、用兵は大凶である。

比:禹鑿龍門,通利水泉。同注滄海,民得安然。

坎の卦が比の卦に変わる。大禹が龍門山を鑿ち開き、水道と泉源を疏通させ、衆流を同じく大海に注がせ、百姓はこれによって安居した。事は《尚書・禹貢》に記す禹が九河を疏した功に見える。この林は疏導が法を得て衆力が一に帰し、害を除き民を安んずることを主とし、大吉である。

小畜:堯舜仁德,養賢致福。眾英積聚,國無寇賊。

坎の卦が小畜の卦に変わる。堯・舜は仁徳をもって天下を治め、賢才を供養して福沢を招き、英俊の士は朝廷に聚集し、国中に盗賊がなかった。これは二帝が皐陶・稷・契を挙用した旧事を用いる。この林は賢を任じ士を納れ、人才が輻輳して家国が安寧であることを主とし、大吉である。

履:陸居少泉,山高無雲。車行千里,塗不汙輪。渴我為怨。

坎の卦が履の卦に変わる。高い陸上に住めば泉水は稀で、山は高くても雲雨を生ぜず、車は千里を走っても道路が乾きて車輪に泥さえ沾らず、人は渇して心に怨恨を生ず。これは久旱無雨の象である。この林は行路は通畅でも所需の物は匱乏し、乾渇によって怨を生ずることを主とし、小さな不足の憂いがある。

泰:朝不見光,夜不見明。暝抵空床,季女奔亡。愴然心傷。

坎の卦が泰の卦に変わる。昼は日光を見ず、夜は月明を見ず、暗を摸して帰れば空床に触れるばかりで、小さな娘はすでに私奔して逃げ去り、凄愴して傷心させる。この林は家中が昏昧にして察することを失い、骨肉が离散することを主とし、人口の走失と悲憂傷心を主とし、凶である。

否:齊魯永國,仁聖輔德。造禮雅言,定公以安。

坎の卦が否の卦に変わる。斉・魯両国の国祚が長久なのは、仁徳の聖賢が政を輔けるに依る。礼楽を制作し雅正の言を講ずれば、魯定公はこれによって安穏を得た。魯は周公の後で礼楽の存する所であり、孔子はかつて定公の相を務めた。この林は礼義をもって政を輔けて安定を致すことを主とし、吉である。

同人:束帛元圭,君以佈德。伊呂百里,應聘輔國。

坎の卦が同人の卦に変わる。束帛と大圭を捧げ持ち、君主はこれをもって恩徳を広く施せば、伊尹・呂尚・百里奚の流の賢者が聘に応じて来て国政を輔佐する。束帛加璧は古の賢を聘する重礼である。この林は賢に礼し士を下して輔弼の才を得、謀事に人の助けあることを主とし、大吉である。

大有:棘鉤我襦,為絆所拘。靈巫拜祝,禍不成災。東山之邑,中有肥土,可以饒飽。

坎の卦が大有の卦に変わる。荊棘が我が短衣に鉤り、絆されて脱け出せない。霊験ある巫者に叩拜祷祝させると、禍事は終に災殃を成さなかった。東山一帯の城邑には肥沃な土地があり、人を飽かせるに足る。この林は初めに牽絆の小阻があり、攘解の後に険を夷に化し、また田土の利を得て、先に滞り後に吉である。

謙:門燒屋燔,為下所殘。西行出戶,順其道理。虎臥不起,牛羊歡喜。

坎の卦が謙の卦に変わる。門が焼かれ屋が焚かれるのは、下人の残害に遭ったからである。西へ出て避ければ、ようやく事理に順うこととなる。猛虎が伏臥して再び起たなければ、牛羊はこれによって歓喜する。この林は先に内奸の放火の禍があり、避けて西行すれば安に転じ、凶煞は退伏して終に吉利に帰る。

豫:牆高蔽目,崑崙翳日。遠行無明,不見歡叔。

坎の卦が豫の卦に変わる。牆を高く築き過ぎて視線を遮り、崑崙山が高くて太陽さえ遮る。遠行の路上に光亮なく、望む叔父に見えない。この林は隔閡蒙蔽を受けて音信が通じず、見たい人に見えないことを主とし、壅塞して行き難く、不吉である。

隨:天地際會,不見內外。祖辭遣送,與世長訣。

坎の卦が隨の卦に変わる。天と地が交接して混同し、内外を分つことができない。祖道の礼を行って辞別し送れば、これから人世と永訣する。祖はもと出行前に路神を祭る礼であるが、ここでは死を送るに借りる。この林は陰陽が混沌として生死が永隔するを主とし、喪亡の象で、大凶である。

蠱:深水難涉,泥塗至轂。牛罷不進,浮陷為疾。

坎の卦が蠱の卦に変わる。水は深くて渉り難く、泥濘は車轂に没し、牛は疲れて進めず、車身は漂浮して陷落し大患となる。この林は道路が艱阻で力竭きて行き難く、凡事が陷溺して前に進まないことを主とし、凶である。

臨:羊驚虎狼,獼猴群走。無益於僵,為齒所傷。

坎の卦が臨の卦に変わる。羊が虎狼に驚かされ、獼猴は群れて逃げる。奔逃はすでに倒斃した同伴に何の用もなく、己も終に利歯に咬み傷つけられる。この林は驚懼して奔避するも事に補いなく、仍として害を免れないことを主とし、凶である。

觀:履蛇躡虺,與鬼相視。驚恐失氣,如騎虎尾。

坎の卦が觀の卦に変わる。足に長蛇と短虺を踏み、また鬼怪と四目相対し、魂が体に附かず驚き、あたかも虎の尾に騎るがごとし。履虎尾は《周易・履》卦に出て、極険の地に身を処する喩えである。この林は身が険境に臨み驚懼して寧らかならざるを主とし、凶である。

噬嗑:車驚人傾,兩輪脫去。行者不止,人生憂懼。結締復解,夜明為喜。

坎の卦が噬嗑の卦に変わる。車馬が驚いて人は転覆し、両輪がともに脱落したが、行人は仍として歇まらず、これによって心に憂懼を生ず。後に死結を打ったものがまた解け、長夜が明に転じて喜事となる。この林は途中で事が起き器物が損壊し、冒進すれば憂患を添えるが、糾結は終に化解して、先凶後吉である。

賁:南販北賈,與喜為市,利得百倍。

坎の卦が賁の卦に変わる。南へ貨を販り北へ商い、交易は順遂して心に歓喜を生じ、百倍の利を得る。この林は遠行して経商し大いに財利を得ることを主とし、財を求める者の上吉の兆である。

剝:延陵適魯,觀樂太史。車鄰白顛,知秦興起。卒兼其國,一統為主。

坎の卦が剝の卦に変わる。呉の季札は延陵に封じられ、魯に使いして太史に列国の楽歌を奏させた。《秦風・車鄰》の「有馬白顛」の句を聞き、秦が將に興らんことを断定し、後に秦は果たして諸国を兼併し天下を一統して主と称した。事は《左伝・襄公二十九年》の季札の楽観に見える。この林は微を見て著を知り盛衰を預知することを主とし、後起の者が終に大成する、吉である。

復:出門逢惡,與福為患。反相擊刺,傷我手端。

坎の卦が復の卦に変わる。出門すれば凶悪の人に逢い、福を求めんとしてかえって禍患となる。互いに反目して相撃ち相刺し、我が手指を傷つける。この林は外出して悪に遇い、利を求めてかえって争闘を招き、血光の小傷あることを主とし、凶である。

旡妄:獐鹿群走,自然燕喜。公子好遊,他人多有。

坎の卦が无妄の卦に変わる。獐と鹿は群れて奔走し、自ら安楽であるが、公子はただ遊び戯れるのみで、家業は多く他人に帰した。この林は自ら逸楽して憂いなきも、経営を疏にして財産を他人の手に落とすことを主とし、喜びの中に失を帯びる。

大畜:恭寬信敏,履福不殆。從其邦域,與喜相得。

坎の卦が大畜の卦に変わる。人を待つに恭敬寛厚・誠信勤敏であり、福地を踏んで危険なし。自家の疆域に順って事を行えば、処処に喜慶と相遇う。恭寛信敏はもと《論語・陽貨》に挙げる仁者の徳である。この林は徳を守り自ら持して本分を越えず、福喜は自ら至ることを主とし、吉である。

頤:欲飛無翼,鼎重折足。失其福利,庖羞為賊。一下有上卿之家,富其蒙宰。喜除我憂,解吾思愁。

坎の卦が頤の卦に変わる。高く飛ばんと欲して翼なく、鼎に重く装い過ぎて足を折れば、福利はこれによって尽く失われ、一鼎の佳肴がかえって禍害となる。鼎折足覆餗は《周易・鼎》九四に出て、才力が其の任に勝えず事を敗る喩えである。別本にはこの句の下に「上卿之家は其の蒙宰を富ましめ、喜は我が憂いを除き、吾が思愁を解く」数語があり、卿相の家が先ず自家の家臣を富ましめ、後に喜事が臨んでようやく憂愁を除いたと説く。この林は力小さく任重ければ必ず傾覆を致し、外来の助けを待たねば憂いを解けないことを主とし、先凶して後に転機あり。

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