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乾の林(乾卦六十四林)

汉 · 焦延寿 · 第11巻 / 71

作盤ガイド: 大衍筮法, 六爻納甲の立卦

履之無妄:雎鳩淑女,賢聖配偶。宜家壽福,吉慶長久。

《詩経・關雎》の中の雎鳩と淑女、賢聖佳偶を結ぶ。室に宜しく家に宜しく、長壽にして福有り、吉慶綿長なり。此の林大吉。婚姻美滿し、天成して妄なきを主とす。

履之大畜:兩人俱爭,莫能有定。心乖不同,訟言起凶。

兩人相持爭執し、人定奪する能くする無し。心意乖違合わず、爭訟の言凶禍を引出す。此の林怨を蓄えて解けず、爭端息め難きを主とす。退讓して訟を息むるに宜し。

履之頤:涉伯殉名,棄禮誅身。不得其道,成子奔燕。

涉伯名聲を求めて身を喪い、禮法を抛弃して終に身を殺すに至る。行う所正道に合せず、成子只だ燕國に出奔するを得たり。此の林名を逐いて身を失い、養う所其の正に非ざるを主とす。頤養の道禮を守るに貴し。

履之大過:逾江求橘,並得大栗。烹羊食肉,飲酒歌笑。

大江を渡りて橘子を求めに往き、連帶して大栗を得。羊を烹り肉を食い、酒を飲み歡歌す。此の林吉。遠く求めて多く獲るを主とす。事常度の外に出ると雖も終に豐美を得。

履之坎:山險難升,澗中多石,車馳轊擊,重傷載軸,擔負善躓,跌豕手足。

山勢險峻にして攀登し難く、澗中亂石叢生す。車馬奔馳して車軸頭相い撞き、重載車軸を壓傷し、挑擔の人頻に跌倒し、猪すらも手足を摔壞す。此の林大凶。險途重載し、進退皆傷くを主とす。

履之離:元利孔福,神所子畜。般樂無苦,得其歡欲。

大いに利有り極めて福氣有り、神明の養育眷顧する所と爲る。安樂にして苦楚なく、心願遂成するを得。此の林大吉。光明に附麗し、上庇佑を得下欲する所を遂ぐるを主とす。

履之咸:烏鵲食穀,張口受哺。蒙被恩福,長大成就。柔順利貞,君臣合德。

烏鵲穀粒を啄食し、雛鳥口を張開して哺喂を承受す。恩澤福佑を蒙り、長大して材と成るを得。柔順にして正を守りて利を得、君臣徳行相合す。此の林大吉。感應相い得、上下心を同じくするを主とす。

履之恆:潼滃蔚薈,膚寸來會。津液下降,流潦滂沛。

云氣蓊鬱として涌起し、一寸一寸聚合成團す。古人は「肤寸して合す」を以て泰山云起の速を形容す。雨水降下し、積流滂沱盛大なり。此の林吉。微を積みて著を成し、恒久にして乃ち成るを主とす。久旱雨を得るの象なり。

履之遁:路多枳棘,步刺我足。不利旅客,為心作毒。

道路上枳樹荆棘多く、一步一刺我が脚を扎傷す。行旅の人に利あらず、心頭の患と成る。此の林退路阻多きを主とす。遁避するも其の便を得ず。出行宜しからず。

履之大壯:虺蝮所聚,戲以居處。毒螯痛甚,瘡不可愈。

毒蛇蝮蟲聚集の地、卻って以て嬉游居住の所と爲す。毒刺に蜇傷せられ劇痛當え難く、瘡口愈合する能わず。此の林强を恃み險を涉り、自ら重傷を取るを主とす。

履之晉:麟鳳相隨,觀察安危。東郭聖人,后稷周公。共和政令,君子攸同。利以居止,長無憂凶。

麒麟と鳳凰と伴を結び同行し、安危の機を審察す。東郭の聖人・后稷と周公、共同に政令を和協し、君子向かう所一致す。安居して止を守るに宜しく、長久憂患凶險なし。此の林大吉。賢者聚會し、政通じて人和すを主とす。

履之明夷:桀亂不時,使民恨憂。立祉為笑,君危臣羞。

夏桀暴亂にして天時に合せず、百姓をして怨恨憂愁せしむ。本來福を立つべき事を以て兒戲取笑と爲し、君主危殆にして臣子羞を蒙る。此の林大凶。上昏く下怨ずるを主とす。明夷の世宜しく其の明を隱晦すべし。

履之家人:黃帝所生,伏羲之宅。兵刃不至,利以居止。

黄帝誕生の地、伏羲居住の宅。刀兵波及せず、安居止息するに宜し。此の林大吉。家宅地を得、兵禍を免るを主とす。

履之睽:雀行求食,暮歸屋宿。反其室舍,安寧無故。

麻雀白日外に出でて食を覓め、傍晚屋に回りて歇宿す。己が居所に返回し、平安にして事なし。此の林吉。乖睽の世に處ると雖も終に歸宿を得。出入常あり、家宅安寧なりを主とす。

履之蹇:太倉積穀,天下饒食。陰陽調和,年歲時熟。

京師太倉穀米を堆滿し、天下人飲食豐足す。陰陽調和し、年成時に按じて成熟す。此の林大吉。蓄積深厚を主とす。蹇難に當たると雖も衣食虞なし。

履之解:干旄旌旗,執幟在郊。雖有寶玉,無路致之。

干旄旌旗を豎立し、旗幟を執りて郊野に立つ。語《詩経・鄘風・干旄》に本づき、賢を訪うの禮と爲す。寶玉相い贈る有ると雖も、送達する路徑なし。此の林誠意通じ難く、賢者至らざるを主とす。解けて未だ通ぜざるの象なり。

履之損:履危蹈顛,墜入泉淵。蹇不能前,足踒不便。

危處を踏み顛險に行き、終に深淵に墜落す。跛蹇して前行する能わず、脚扭傷して行動便ならず。此の林大凶。險を涉りて損を受け、擧步維艱なるを主とす。

履之益:銜命上車,合和兩家。峨眉皓齒,二國不殆。

命を奉じて車に登り出使し、兩家の和好を促成す。娥眉皓齒の美人出嫁聯姻し、兩國これによって危難を免る。此の林吉。使命成有り、和親利を得るを主とす。

履之夬:吉日車攻,田弋獲禽。宣王飲酒,以告嘉功。

吉日を擇定して車馬を整治す。語《詩経・小雅・車攻》に本づき、田獵して禽獸を射獲す。周宣王宴を設けて飲酒し、以て美好の功績を告成す。此の林大吉。行動果決にして、獵獲して後功を慶するを主とす。

履之姤:金帛貴寶,宜與我市。嫁娶有恩,得利過倍。

金銀布帛これらの貴重寶貨、正に我と交易するに宜し。嫁娶恩義を結下し、獲利一倍を超出す。此の林吉。姤は相遇なり。交易と婚姻と皆厚利を得る能くするを主とす。

履之萃:延頸望酒,不入我口。深以自喜,得利無有。

頸を伸長してあの杯酒を盼ぐも、始終我が口に進まず。空しく暗暗に歡喜し、實は毫も得る所なし。此の林梅を望みて渴を止むるがごとく、聚りて己に屬せざるを主とす。求む所終に歸して落空す。

履之升:牧為代守,饗食甘賜。德利士意,戰大破胡,長安國家。

牧守邊防の任を代行し、美食厚賜を以て軍士を犒勞す。恩徳深く士心を得、一戰大いに胡虜を破り、長く國家を安定す。此の林大吉。衆心を得て奇功を建つるを主とす。正を履みて後升を得。

履之困:日出溫谷,照臨萬國。高明淑仁,虞夏配合。

太陽温谷より升起し、光萬國を照す。高遠明睿・善良仁厚にして、虞舜夏禹と相い匹配すべし。此の林吉。困中徳を顯し、光明終に到來するを主とす。

履之井:逐兔索烏,破我弓車。日暮不及,失利後時。

兔子を追いまた烏鴉を尋ぬ、己が弓と車とを弄壞す。天黑くなるも追趕上せず、時機を錯失して利益を失去す。此の林多く貪りて兩失し、遲滯事を誤るを主とす。

履之革:訛言妄語,傳相詿誤。道左失跡,不知戶處。

謠言妄語輾轉相い傳え、彼此相い貽誤す。路旁蹤跡を失了、自家門戶すら找着けず。此の林流言衆を惑わし、變革據を失うを主とす。宜しく先に眞僞を辨明すべし。

履之鼎:履虎躡尾,貶損我威。君子失否,去其國家。

老虎を踏み虎尾を踏住す、正に履卦の本義なれど、威勢これによって損を受く。君子憑依を失い、只だ己が國家を離るるを得たり。此の林險を犯して位を失うを主とす。鼎重器と雖も守る能わず。

履之震:本跟不固,新花落去。更為孤嫗,不得相視。

根柢牢ならず、新開の花朵紛紛として墜落す。轉眼孤苦の老婦と成り、相い顧る人無し。此の林根本立たず、盛華速やかに謝すを主とす。震動の下更に其の危を顯す。

履之艮:五軛四國,優得饒有。陳力就列,騶虞悅喜。

五輛の車四方の國に駕行し、寛裕にして豐饒なり。各々其の力を盡し各々其の位に就き、《詩経・召南・騶虞》の詠うがごとく、仁澤物に及びて人心歡喜す。此の林吉。各々其の分に安んじ、上下俱に足るを主とす。

履之漸:黃帝紫雲,聖哲且神,光明見祥,告我無殃。

黄帝の上紫云繚繞し、聖明睿哲にして神に通ず。光明の中祥瑞を顯出し、我に平安無災を昭告す。此の林大吉。漸々顯達し、瑞應昭彰するを主とす。

履之歸妹:五利四福,俱田高邑。黍稷盛茂,多獲藁稻。

五種の利益・四樣の福氣、一同に高地城邑に耕作す。黍稷茂盛し、大量の禾稻を收穫す。此の林大吉。歸りて其の所を得、耕穫豐盈するを主とす。

履之豐:群虎入邑,求索肉食。大人衛守,君不失國。

群虎城邑に闖入し、四處肉食を搜尋す。幸いに大人鎮守防衛有り、國君邦國を失わず。此の林外患來侵すれど賢に賴りて保を得るを主とす。豐盛の中仍ほ須らく守御の備有るべし。

履之旅:烏子鵲雛,常與母居。願慕群侶,不離其巢。

烏鴉と喜鵲の雛鳥、常に母親と同住す。同伴を眷戀し、巢穴を離るるを肯んぜず。此の林家を戀して遠行に宜しからざるを主とす。旅外に居るは反つて巢を守りて自ら安んずるに如かず。

履之巽:蹇驢不材,駿驥失時。筋老力盡,疲於沙丘。

跛驢本來才力なく、駿馬また生れて時に逢わず。筋骨衰老し氣力用盡き、沙丘の上に困頓す。此の林才時に遇わず、力心に從わざるを主とす。時に順い收斂するに宜し。

履之兌:玄鬣黑顙,東歸高鄉。朱鳥道引,靈龜載莊。遂抵天門,見我貞君,人馬安全。

黑鬣黑額の駿馬、東に向かいて高地の故鄉に回る。朱雀前に在りて路を引き、靈龜行裝を載す。終に天門に抵達し、我が正直の君主に拜見し、人馬平安損なし。此の林大吉。神物の護行有り、貴人に謁見して成を得るを主とす。

履之渙:探巢得雛,鳩鵲俱來,使我欣娛。

鳥巢に探入して雛鳥を取得し、鳩鵲一齊に飛來して、我をして歡欣娛悦せしむ。此の林吉。探取する所有れば便ち獲る所有るを主とす。渙散の中反つて歡喜を聚起す。

履之節:安上宜官,一日九遷,升擢超等,牧養常山,君臣獲安。

上位に安んじ官職に居るに宜しく、一日の內九次昇遷し、級を越えて提拔せられ、出でて常山の地を牧し、君臣皆安寧を得。此の林大吉。仕途驟かに顯れるを主とす。節度宜を得て位望日に高し。

履之中孚:大頭目明,載受嘉福。三雀飛來,與祿相得。

頭大きく眼明らかの相、美好の福澤を承受す。三隻の雀鳥飛來して、祿位と相い應ず。此の林吉。誠信內に充ちて福祿外に應ずるを主とす。

履之小過:遠視千里,不見黑子。離婁之明,無益於光。

目力千里の外を望見する能くするも、眼前の小黑點を卻って看不見ず。縱ほ離婁のごとき明目あるも、《孟子》は離婁の能く秋毫の末を察するを稱すと雖も、近處を照見するに助け無し。此の林遠に明らかにして近に昧きを主とす。小事察を失せば便ち過錯と成る。

履之既濟:三女成奸,背夫夜行,與伯笑言,不忍王母,為失醴酒,冤天誰告。

三個の女子勾結して奸を爲し、丈夫を背負き夜間外出し、人と談笑し、王母を容忍する能わず、以て祭祀の醴酒を失掉し、冤を含み天を呼ぶも申告する處無し。此の林凶。內亂禮を失い、事成りて復た敗るを主とす。

履之未濟:日辰不良,強弱相振,一鳥兩離,客勝主人。

日辰時令吉ならず、强弱相互に震蕩し、一隻の鳥兩下に分扯せられ、客反つて主人を壓倒す。此の林主客倒置し、力守る能わざるを主とす。《未濟》の世事情猶ほ底定を待つ。

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