開元占經 卷二十七
歳星占 五
歳星犯南方七宿
歳星犯東井 一
《黃帝占》曰:“歲星入東井,軍在外,歲星進,兵退;歲星退,兵進。”郗萌曰:“歲星犯東井,一南一北,侯王憂;又曰害於黍稷。”《黃帝占》曰:“歲星犯東井,留二十日以上,易正朔。”又曰:“天下有土功,川瀆之事,期十月,若十一月。”又曰:“居其東,五穀不成;居其南,國君病,諸侯多死;居其西者,及兒子多死;居其北,有改令。”
《黄帝占》にいう、歳星が東井に進入し、軍隊は正しく外面に在りて作戦し、歳星が前進すれば、我軍は則ち退き。歳星が後退すれば、我軍は則ち進まん。郗萌がいう、歳星が東井を侵犯し、忽ち南に忽ち北にと移動せば、侯王に憂いあらん。またいう、黍稷を傷害せんとす。《黄帝占》にいう、歳星が東井を侵犯し、停留して二十日以上なれば、まさに正朔・暦法を更改せんとす。またいう、天下に土木の工程と河川・溝渠の事とあり、期は十月に応じ、あるいは十一月なり。またいう、それが東井の東側に居れば、五穀は長成せざらん。南側に居れば、国君は病を生じ、諸侯は死亡多からん。西側に居れば、小孩子に至りてもまた死多からん。北側に居れば、政令を更改せん。東井は則ち井宿にして、水事と法令・刑罰とを主り、分野は秦地に属す。
《黃帝占》曰:“歲星出入留舍東井,三十日,天下一國有水者。”陳卓曰:“歲星在東井,兵起,近期一年,遠五年。”《黃帝占》曰:“歲星中犯東井,人君有戮者。”陳卓曰:“歲星犯守東井,王者法令急,多獄事,其年大水,民飢,天下改令。”郗萌曰:“歲星中犯乘東井,其國內外有兵起。”
《黄帝占》にいう、歳星が東井に出没・停留・入宿すること三十日なれば、天下は一個の国家ありて水を発せんとす。陳卓がいう、歳星が東井に処れば、戦事を興起し、近きは期一年に応じ、遠きは五年なり。《黄帝占》にいう、歳星が正中より東井を侵犯せば、君主はまさに人を殺さんとす。陳卓がいう、歳星が侵犯して併せて東井を守住せば、帝王の法令は苛急にして、獄訟は繁多し、この一年は大水を発し、百姓は饑饉し、天下は政令を更改せん。郗萌がいう、歳星が正中より侵犯・凌乗して東井すれば、あの国家は内外皆戦事を興起せん。「中犯」は星体の正中より掩い過ぐるを謂い、辺を擦りて過ぐるの「犯」よりも重く、故に応験は直ちに君主の人を殺すに指す。
(案孝武帝政和二年四月乙卯,歲星在東井,占曰:‘兵起,近期一年,遠五年。’到三年正月,匈奴入五原、酒泉,殺兩都尉。三月遣將軍廣利七萬人出五原,御史大夫高成將兵三萬人出河西,重合保馬通將四萬騎出酒泉,與虜賊,多斬首,廣利敗匈奴,積三年。又案魏甘露三年三月庚子,歲星順行,犯東井距星,占曰:‘兵起’。到景元元年己丑,太后令曰:‘昔日立東海王子齔,悖逆不道,自陷大禍,以民禮葬之。’京師嚴兵,積二年三月。)
原書小注の考證にいう、漢武帝・征和二年(原文は「政和」と作る)四月乙卯、歳星は東井に処り、占辞にいう「戦事を興起し、近きは期一年に応じ、遠きは五年」と。三年正月に到り、匈奴は五原・酒泉に侵入し、両名の都尉を殺せり。三月、朝廷は将軍・李広利を派して七万人を率いて五原より出で、御史大夫・商丘成は兵三万人を率いて河西より出で、重合侯・馬通は四万の騎兵を率いて酒泉より出で、敵と交戦し、斬首は甚だ多く、李広利もまた曽て匈奴を撃敗し、前後して三年を暦せり。また魏の甘露三年三月庚子を考るに、歳星は順行し、東井の距星を侵犯し、占辞にいう「戦事を興起す」と。景元元年己丑に到り、太后は下令していう、「当日の立てられし東海王の子は年紀幼小にして、悖逆・不道にして、自ら大禍に陥れり、則ち平民の礼に依りて彼を安葬せよ」と。京師は随いて戒厳し、前後して二年三か月を暦せり。
《荊州占》曰:“歲星去東井七寸,七日以上至一百五十日,則王者用法,大臣修度,天下和平。”石氏曰:“歲星守東井,河溢。”甘氏曰:“歲星守東井,法令急,多獄事,其年大赦。”《黃帝占》曰:“歲星守東井,歲大飢,人民疾病。”《黃帝占》曰:“歲星守東井南,男子多寒熱病。”
《荊州占》にいう、歳星が東井に距ること七寸にして、七天以上より一百五十日に至れば、則ち帝王は法に依りて治め、大臣は法度を遵守し、天下は太平せん。石氏がいう、歳星が東井を守れば、黄河は泛濫せん。甘氏がいう、歳星が東井を守れば、法令は苛急にして、獄訟は繁多し、この一年は大赦あらん。《黄帝占》にいう、歳星が東井を守れば、この一年は大いに饑饉し、百姓は病を生ぜん。《黄帝占》またいう、歳星が東井の南側に守れば、男子は寒熱の病を患うる多からん。同じく東井を守るにして、石氏は河水の泛濫と断じ、甘氏は法令の苛急にして終に大赦に帰すと断じ、《黄帝占》は饑饉・疾疫と断ず、見るに井宿は兼ねて水事と刑獄との両端を管る。
郗萌曰:“歲星守東井,大人多病,若有喪;守其北,多暴雨。又曰:歲星守東井,若將相死;一曰君死;又曰糴貴。”石氏曰:“歲星守東井,旱。”《荊州占》曰:“歲星守東井,道上多死人。”《黃帝占》曰:“歲星守東井,水。”郗萌曰:“歲星守東井,百物五穀不成;久守之,金錢易。”陳卓曰:“歲星守東井,百川皆溢。”
郗萌がいう、歳星が東井を守れば、権貴は病多く、あるいは丧事あらん。その北側に守れば、暴雨多からん。またいう、歳星が東井を守れば、あるいは将相の死亡せん。別の一説には君主の死亡す。またいう、米価の上漲す。石氏がいう、歳星が東井を守れば、天は旱す。《荊州占》にいう、歳星が東井を守れば、路上の死人は甚だ多からん。《黄帝占》にいう、歳星が東井を守れば、水患を主る。郗萌がいう、歳星が東井を守れば、百物と五穀とは皆長成せざらん。久しくそれを守れば、銭財はまさに主を易え流散せんとす。陳卓がいう、歳星が東井を守れば、百川は皆泛濫せんとす。諸家はここに衆説紛紜にして、あるいは旱を主り、あるいは水を主り、あるいは穀貴・人亡を主る、正しく井宿の兼ねて水と法との两重の含義有るがゆえに、占者は須く星色・日数と守る所の方位とを合して推斷すべし。
郗萌曰:“歲星入,若守東井,有士功事。又曰:歲星入犯乘守東井,留三日以上,其歲諸侯當之。”《感精符》曰:“五精入東井,從歲星聚,殺白而發黃,神奉絕,用兵卒亂,以義得天下。”石氏曰:“歲星逆行東井,有兵;一曰歲星守東井,有兵。”
郗萌がいう、歳星が進入しあるいは東井を守住せば、土木の工程の事あらん。またいう、歳星が進入・侵犯・凌乗して併せて東井を守住し、停留して三天以上なれば、この一年の災の応は諸侯に由りて承当せらるべし。《感精符》にいう、五星の精は皆東井に進入し、歳星に随いて聚合し、白色の粛殺の気は退去して黄色を發すれば、神明の奉祀は断絶し、兵を用いて士卒は潰乱し、最終に義をもって天下を取得せん。石氏がいう、歳星が東井にて逆行せば、戦事あらん。別の一説には歳星が東井を守るは、戦事あるなり。
(案《宋書天文志》曰:“晉永興二年九月,歲星守東井,占曰:有兵,井又秦分也。是年荀睎破公師蕃,張方破范陽王虓,關西諸將攻河間,王顒顒奔走,東海王迎殺之。”)郗萌曰:“歲星逆行東井,其君出入不時。”陳卓曰:“歲星逆行東井,山川壅寒。”又曰:“歲星中犯乘守東井若鉞,人君有戮死者。”又曰:“歲星環繞鉞,諸侯誅;一曰赦。”
原書小注の考證に《宋書・天文志》を引いていう、晋の永興二年九月、歳星は東井を守り、占辞にいう戦事あり、而して井宿はまた秦地の分野なり。この一年荀晞は公師藩を撃破し、張方は范陽王・司馬虓を撃破し、関西の諸将は河間王を進攻し、司馬顒は出逃し、東海王は彼を迎え回る途中にて殺せり。郗萌がいう、歳星が東井にて逆行せば、あの君主は出入に定時なきなり。陳卓がいう、歳星が東井にて逆行せば、山川は壅塞して通ぜざらん。またいう、歳星が正中より侵犯・凌乗して併せて東井あるいは鉞星を守住せば、君主はまさに人を殺さんとす。またいう、歳星が鉞星を環繞せば、諸侯は誅せらるる。別の一説には赦令あるなり。鉞の一星は東井の前に附し、斬殺の刑を主り、故に歳星がそれを環繞すれば便ち諸侯の誅を受くるに応ず。
(案魏武帝甘露二年八月壬年,歲星犯鉞,其年九月庚寅,歲星逆行井鉞,到三年,徵東將軍諸葛誕誅,積六月應。)《黃帝占》曰:“歲星入鉞,大臣誅,一曰歲星入鉞,賢相死。”郗萌曰:“歲星干鉞者,為斧鉞用。”又曰:“歲星中犯乘守鉞,其國內亂,兵起。”
原書小注の考證にいう、魏の甘露二年八月の壬某日(原文の干支に訛あり)、歳星は鉞星を侵犯せり。同年九月庚寅、歳星は井宿の鉞星のあの処にて逆行せり。三年に到り、征東将軍・諸葛誕は誅せられ、前後して六か月を暦て応験せり。《黄帝占》にいう、歳星が鉞星に進入せば、大臣は誅せらるる。別の一説には歳星が鉞に入るは、賢明の宰相の死去するなり。郗萌がいう、歳星が鉞星を干犯せば、斧鉞の刑を動用するを主る。またいう、歳星が正中より侵犯・凌乗して併せて鉞星を守住せば、あの国家は内乱し、戦事は興起せん。
歳星犯輿鬼 二
郗萌曰:“歲星入輿鬼,相誅。”巫咸曰:“歲星入輿鬼,為十日以上,金錢大散於諸侯;期六十日,若十月。”石氏曰:“木入輿鬼,大臣誅;一曰亂臣在內。”
郗萌がいう、歳星が輿鬼に進入せば、宰相は誅せらるる。巫咸がいう、歳星が輿鬼に進入すること十天以上なれば、大量の金銭は諸侯に散賜せられ、期は六十日に応じ、あるいは十月なり。石氏がいう、木星が輿鬼に進入せば、大臣は誅せらるる。別の一説には乱臣は則ち朝廷の内に在るなり。輿鬼は則ち鬼宿にして、祠祀・鬼神と死丧の事とを主り、宿中の積尸気はまた天尸と謂い、分野は秦地に属す、故にこの一宿の占辞は多く誅戮・大丧と金銭を散賜するとを講ず。
(案漢孝武帝后元二年十月戊午,歲星在輿鬼中,占曰:大臣有誅者;一曰有金錢之賜令,近期一年,遠五年。到昭帝始元二年二月,賜諸侯王,列侯進宗宣,金錢各有差。七月賜天下民牛酒,到四年六月,復賜丞相以下至郎吏,錢帛各有差。延尉李種有罪,棄市。在期內如占說。又案漢宣帝元康二年六月,歲星入輿鬼,到四年三月乃出,占曰:歲星入輿鬼,滿數十日,金錢帛之施諸侯;一曰大臣誅;一曰歲樂糴石三四十錢,一曰有大喪,近期一年,遠五年。其月詔賜天下將吏二千石,諸宗室高年錢帛,男子爵女子牛酒,是比年豐穀石五錢,大司馬衛將軍張安世薨,到神爵蓋寬饒有罪自殺。又案魏甘露四年四月甲申,木犯輿鬼東南星,東南星主兵,占曰:木入輿鬼,大臣有誅者,金錢之令,到景元元年五月,尚書王經伏誅,到六月,當逆鄉公即位,賜天下民爵,積一年二月也。)
原書小注の考證にいう、漢武帝・后元二年十月戊午、歳星は輿鬼の中に処り、占辞にいう大臣に誅せらるる者あり、と。別の一説には金銭を賞賜するの詔令あり、近きは期一年に応じ、遠きは五年なり。昭帝・始元二年二月に到り、諸侯王と列侯とを賞賜し、金銭は各々等差あり。七月に天下の百姓に牛肉と酒とを賞賜せり。四年六月に到り、また丞相以下より郎吏に至るまでを賞賜し、銭帛は各々等差あり。廷尉・李種は罪を犯し、処死せられ屍を棄てて市に在り。これらは皆応期の内に落ち、占辞と相合す。また漢宣帝・元康二年六月を考るに、歳星は輿鬼に進入し、四年三月に到りて始めて出づ、占辞にいう、歳星が輿鬼に入ること数十日に満てば、金銭・布帛はまさに諸侯に施与せんとす。別の一説には大臣の誅せらるる。又一説には年成は和楽にして、米価は一石ただ三四十銭に値す。還って一説には大丧あり、近きは期一年に応じ、遠きは五年なり。その月便ち詔を下して天下の二千石の将吏と宗室の中の高年の人とに銭帛を賞賜し、男子は爵を賜い・女子は牛酒を賜えり。此より後連年豊収し、穀価は一石ただ五銭に値せり。大司馬衛将軍・張安世は去世せり。神爵年間に到り、蓋寛饒は罪を獲て自殺せり。また魏の甘露四年四月を考るに
石氏曰:“木犯守鬼、積尸,邦有兵;犯南星,王有疾,崩,若戮死者;近布帛發佈帛,近金錢發金錢,近馬發馬,近兵發兵;七寸以內為近。其守之三日以上,所發明審也。”又曰:“歲星逆行,出鬼陽,男坐之;陰,女坐之;出鬼左,貴女坐之;右,為貴人坐之;抵其中央,君坐之。”
石氏がいう、木星が侵犯して併せて鬼宿と積尸気とを守住せば、国中に戦事あらん。鬼宿の南星を侵犯せば、君王は病を生じ・駕崩し、あるいは殺戮せらるる者あらん。それが布帛を主る星に靠近せば則ち布帛を發放し、金銭を主る星に靠近せば則ち金銭を發放し、馬を主る星に靠近せば則ち馬を發し、兵器を主る星に靠近せば則ち兵器を發す。相距ること七寸以内を算して靠近と為す。それが守候して三天以上なれば、發放する所の物類は則ち格外に明白・確鑿なり。またいう、歳星が逆行し、鬼宿の陽位より出づれば、男子は罪を獲ん。陰位より出づれば、女子は罪を獲ん。鬼宿の左辺より出づれば、貴婦は罪を獲ん。右辺より出づれば、貴人は罪を獲ん。直ちに鬼宿の正中に抵れば、君主は罪を獲ん。
郗萌曰:“歲星去五諸侯,入輿鬼,諸侯世子有疾死者;期六十日。去天高,入輿鬼,不出百二十日,大人惡之。”石氏曰:“歲星出入留舍輿鬼,五十日不下,有大喪;六十日不下,國相不明;百日不下,民半死。”
郗萌がいう、歳星が五諸侯の星を離れて輿鬼に進入せば、諸侯の嫡子に病死する者あり、期は六十日に応ず。それが天高の星を離れて輿鬼に進入せば、一百二十日を出でずして、権貴はこれがために憂懼・厭惡せん。石氏がいう、歳星が輿鬼に出没・停留・入宿して、五十日も還って離れざれば、大丧あらん。六十日も還って離れざれば、国相は昏昧・不明ならん。一百日も還って離れざれば、百姓は一半を死掉せん。
郗萌曰:“歲星舍輿鬼東北,麻豆成,稻不成;舍東南,豆麥熟,有渴死人;舍西南,萬民多喪;舍西北,黍稷成,麥不成,早蠶不熟,晚蠶熟;舍中,歲樂,石三四錢。”《黃帝占》曰:“歲星處輿鬼南,有易君;處其北,國易相;處其西,殺老人;一曰殺妊子者。”
郗萌がいう、歳星が輿鬼の東北に入宿せば、麻と豆とは長じること好く、稲子は収成せざらん。東南に入宿せば、豆麦は成熟すも、却って渇死する人あらん。西南に入宿せば、万民は丧亡多からん。西北に入宿せば、黍稷は長成し、麦子は収成せず、早蚕は繭を結ばず、晚蚕は繭を結ばん。正中に入宿せば、年成は和楽にして、米価は一石ただ三四銭ならん。《黄帝占》にいう、歳星が輿鬼の南側に停まれば、まさに君主を更換せんとす。北側に停まれば、国家は宰相を更換せん。西側に停まれば、老人は殺されん。別の一説には孕婦を殺害するなり。
甘氏曰:“歲星犯輿鬼,人君必有所戮。”巫咸曰:“歲量守輿鬼,天子賜諸侯金錢。”郗萌曰:“歲星守輿鬼,五穀多傷,民以飢死者無數;又曰多狂病死者。”《海中占》曰:“歲星守輿鬼,角動,有殺主者;色黑,誅死不成。”石氏曰:“歲星犯天尸,國有兵,王者病疾;一曰人君有戮死者。”《海中占》曰:“木守鬼,出其北,旱;出其南,雨、水,五穀熟。”
甘氏がいう、歳星が輿鬼を侵犯せば、君主は必ず人を殺さんとす。巫咸がいう、歳星(原文は「歳量」と作る)が輿鬼を守れば、天子は諸侯に金銭を賞賜せん。郗萌がいう、歳星が輿鬼を守れば、五穀は受損多く、百姓の餓死するは其の数を計る可からず。またいう、狂疾に因りて死する人は甚だ多からん。《海中占》にいう、歳星が輿鬼を守り、星の芒は抖動せば、人ありてまさに君主を弑殺せんとす。星の色は黑を發せば、あの場の誅殺は得逞する能わざらん。石氏がいう、歳星が天尸の星を侵犯せば、国中に戦事あり、帝王は病を生ぜん。別の一説には君主のまさに人を殺さんとするなり。《海中占》にいう、木星が鬼宿を守り、それの北面より出づれば、天は旱す。南面より出づれば、雨水多く、五穀は成熟せん。天尸は則ち鬼宿の中央の積尸の気にして、死丧を主る。須く星芒の抖動するや否や・星色の黑を發するや否やを合して看て、始めて能くあの場の誅殺の成ると成らざるとを斷定せん。
郗萌曰:“歲星逆行輿鬼,其君不聰明,用財奢浮過度,治衰。”《荊州占》曰:“歲星逆行輿鬼,其君不聰於事。”《荊州占》曰:“歲星入輿鬼,財寶出。”《荊州占》曰:“歲星入輿鬼,亂臣在內,有屠城。”郗萌曰:“歲星乘質,斧鉞用。”《荊州占》曰:“歲星乘質,君貴人憂,金玉用,人民多疾;從南入,為男;從北入,為女;從西入,為老人;從東入,為丁壯;若棺木倍價。”
郗萌がいう、歳星が輿鬼にて逆行せば、あの君主は明察せず、用度は奢靡・浮華にして節制なく、治績は衰敗せん。《荊州占》にいう、歳星が輿鬼にて逆行せば、あの君主は事を処するに明察たるを足らざるなり。《荊州占》またいう、歳星が輿鬼に進入せば、府庫の財宝はまさに流散して出去せんとす。《荊州占》またいう、歳星が輿鬼に進入せば、乱臣は則ち朝廷の内に在り、屠城の惨事あらん。郗萌がいう、歳星が質星を凌乗するは、則ち鬼宿の正中の積尸の気にして、斧鉞の刑を動用するを主る。《荊州占》にいう、歳星が質星を凌乗せば、君主と貴人とに憂いあり、金玉の器はまさに動用せられ、百姓は病多からん。南辺より進入したるは、男子に応ず。北辺より進入したるは、女子に応ず。西辺より進入したるは、老人に応ず。東辺より進入したるは、壮年の人に応ず。棺木の価銭はまさに一倍を翻上せんとす。
司馬彪《天文志》曰:“歲星入輿鬼,為死喪。”《荊州占》曰:“歲星干犯守輿鬼者,皆為天下有大喪;陽為後,左為天子;右為貴臣,又隨所守主物;王者發之,不出七十日。”石氏曰:“歲星守輿鬼,為大人有祭祀事。”郗萌曰:“歲星守輿鬼,大人以命終。又曰:歲星守輿鬼西南,皆為秦漢有反臣,以赦解之。”
司馬彪《天文志》にいう、歳星が輿鬼に進入せば、死丧を主る。《荊州占》にいう、歳星が干犯して併せて輿鬼を守住せば、皆天下に大丧あるを主る。陽位に応ずるは皇后に属し、左辺に応ずるは天子に属し、右辺に応ずるは貴臣に属し、還ってそれの守る所のあの顆の星の各々主管する所の何たるを看るを要す。帝王は此に拠りて財物を發放し、七十日を出でざらん。石氏がいう、歳星が輿鬼を守れば、権貴に祭祀の事あるを主る。郗萌がいう、歳星が輿鬼を守れば、権貴は寿終して亡らん。またいう、歳星が輿鬼の西南に守れば、皆秦・漢の旧地に叛臣あるを主り、赦令を用いて以て化解するを要す。守る所の方位は分かちて皇后・天子と貴臣とに配属す、これ石氏の一派の方位に按じて主を分かつの通例なり。
歳星犯柳 三
郗萌曰:“歲星入天庫,以飢起兵;一曰五穀收入。”石氏曰:“歲星入柳,諸侯有慶賀,天下安寧,五穀豐熟,不出其年,民人歌舞而行。”又曰:“歲星處柳東,晚稚不成;處其南,有易君;處其西,殺老人;一曰殺妊子;一曰民族,處其北,貴人徙;一曰國易相。”又曰:“歲星處柳南,地必動;處其西,民疾,歲大水;一曰大人坐。”
郗萌がいう、歳星が天庫の星に進入せば、饑饉に因りて兵を起こさん。別の一説には五穀は収めて倉中に入るを得るなり。石氏がいう、歳星が柳宿に進入せば、諸侯に喜慶ありて賀す可く、天下は安寧し、五穀は豊熟し、この一年を出でずして、百姓は則ち歌い舞いて以て出行せん。またいう、歳星が柳宿の東側に停まれば、晚熟の莊稼は収成せざらん。南側に停まれば、まさに君主を更換せんとす。西側に停まれば、老人は殺され、別の一説には孕婦を殺害し、還って一説には族類を傷及するなり。北側に停まれば、貴人は遷徙し、別の一説には国家の宰相を更換するなり。またいう、歳星が柳宿の南側に停まれば、一定に地震を発生せん。西側に停まれば、百姓は病を生じ、この一年は大水を発し、別の一説には権貴の罪を獲るなり。柳宿は朱雀の喙にして、草木と厨膳・飲食とを主り、分野は周地に属す。
甘氏曰:“歲星守柳,貴臣得地,有德令,不出九十日。”石氏曰:“歲星守柳,人飢。”巫咸曰:“歲星守柳,多水災,萬物五穀不成。”郗萌曰:“歲星守柳,多獄;不然,獄空。又曰:守天相,政事急,民有千里之行。”陳卓曰:“歲星逆行柳陰,女主坐之;逆行柳中,其君坐之;若逆行柳陽,男坐之;若逆行柳左右,坐貴親。”
甘氏がいう、歳星が柳宿を守れば、貴臣は封地を得て、恩を施すの徳令を頒下せんとし、九十日を出でざらん。石氏がいう、歳星が柳宿を守れば、人々は餓に挨がん。巫咸がいう、歳星が柳宿を守れば、水災多く、万物と五穀とは皆長成せざらん。郗萌がいう、歳星が柳宿を守れば、獄訟は繁多せん。否ならば則ち牢獄の一空するなり。またいう、歳星が天相の星を守れば、政事は苛急にして、百姓はまさに千里の跋涉の行あらんとす。陳卓がいう、歳星が逆行して柳宿の陰位に在れば、女主は罪を獲ん。逆行して柳宿の正中に在れば、あの君主は罪を獲ん。若是れ逆行して柳宿の陽位に在れば、男子は罪を獲ん。若是れ逆行して柳宿の左右の両辺に在れば、則ち貴戚・親族は罪を獲ん。
郗萌曰:“歲星與柳合,同光,其國將大強。”《荊州占》曰:“歲星與熒惑合柳,歲星色赤,兵起,黃、白,五穀傷;黑為憂;青而角赤,兵起;近期三十日,遠六十日。”郗萌曰:“歲星守柳,有反臣中兵也。”《海中占》曰:“歲星居柳,歲和熟。”又曰:“歲星出入留舍柳,九十日不下,將軍出。”又曰:“歲星行柳,其君不敬祭祀。”
郗萌がいう、歳星と柳宿とが會合し、光色相同じければ、あの国家はまさに十分に強盛ならんとす。《荊州占》にいう、歳星と熒惑とが柳宿にて會合し、歳星が赤色を呈せば、戦事を興起せん。黄色・白色を呈せば、五穀は受損せん。黑色を呈せば、憂患を主る。青色を呈して星芒が赤を發すれば、また戦事を興起せん。近きは期三十日に応じ、遠きは六十日なり。郗萌がいう、歳星が柳宿を守れば、叛臣ありて軍中に藏るるあらん。《海中占》にいう、歳星が柳宿に居止せば、年成は調和・豊熟せん。またいう、歳星が柳宿に出没・停留・入宿して、九十日も還って離れざれば、将軍は出征せん。またいう、歳星が柳宿を経行せば、あの君主は祭祀に對して恭敬ならざるなり。
歳星犯七星 四
《荊州占》曰:“歲星入七星,五穀多傷,天下盜賊起。期一年。”陳卓曰:“歲星出入留舍七星,其國有以義致天下。”郗萌曰:“歲星居七星,歲和同。又曰:歲星處七星,民疾;處其西,歲水。”陳卓曰:“歲星犯七星,天子憂兵,功臣受封。”甘氏曰:“歲星守七星,皇天以%王者,其邦獲五福,九十年。”
《荊州占》にいう、歳星が七星に進入せば、五穀は受損多く、天下は盗賊が四起し、期は一年に応ず。陳卓がいう、歳星が七星に出没・停留・入宿せば、あの国家は道義をもって天下を取得せんとす。郗萌がいう、歳星が七星に居止せば、年成は調和せん。またいう、歳星が七星に停まれば、百姓は病を生ぜん。その西側に停まれば、この一年は水を発せん。陳卓がいう、歳星が七星を侵犯せば、天子は兵事のために憂慮し、功ある臣は封を受けん。甘氏がいう、歳星が七星を守れば、上天は此をもって帝王を嘉佑す——ここ底本に闕文あり、原書はただ一個の符号を留下す——あの邦国は五福を獲得し、国を享くること九十年ならん。七星は則ち星宿にして、朱雀の頸にして、衣裳・文繍と緊急の事とを主り、分野は周地に属す。
陳卓曰:“歲星與七星同光者,以粟當錢。”巫咸曰:“歲星守七星,旱,多火災,萬物五穀不成,有兵飢。”《海中占》曰:“木犯七星,使者滿道,子弒父,臣弒主。”《荊州占》曰:“曰:“歲星犯七星,王者敬天,宗廟有禮,天下和平。”郗萌曰:“歲星逆行七星,其君衣服不法。”
陳卓がいう、歳星と七星とが光色相同じければ、粟米を用いて銭幣に抵充する可し。巫咸がいう、歳星が七星を守れば、天は旱し、火災多く、万物と五穀とは皆長成せず、兵事と饑饉とあらん。《海中占》にいう、木星が七星を侵犯せば、使者の往来は道路に挤滿し、兒子は父を弑殺し、臣子は君主を弑殺せん。《荊州占》にいう、歳星が七星を侵犯せば、帝王は上天を敬奉し、宗廟の祭祀は礼制に合し、天下は太平せん。郗萌がいう、歳星が七星にて逆行せば、あの君主の服飾は法度に合せざるなり。「粟をもって銭に当つ」は、市面上に直ちに粟米を拿して銭幣に折抵するを謂い、見るに銭貨は短缺して穀物は有余なり。
《荊州占》曰:“歲星逆行七星,處其南,地伏動;處其西,大人坐之;處其北,貴人徙。”《黃帝占》曰:“木犯七星,逆臣為亂。”郗萌曰:“歲星逆行七星,地動。”《黃帝占》曰:“木守七星,為反臣也;一曰夏物不成。”石氏曰:“木守七星,有兵。”郗萌曰:“歲星守七星,反臣中兵也。”甘氏曰:“歲星入七星,有君置太子者。”郗萌曰:“歲星留守七星,天下大憂,憂中央。”
《荊州占》にいう、歳星が七星にて逆行し、その南側に停まれば、地面は隠隠と震動せん。西側に停まれば、権貴は罪を獲ん。北側に停まれば、貴人は遷徙せん。《黄帝占》にいう、木星が七星を侵犯せば、叛臣は乱を作さん。郗萌がいう、歳星が七星にて逆行せば、地震を発生せん。《黄帝占》にいう、木星が七星を守れば、叛臣あるを主る。別の一説には夏の作物の長成せざるなり。石氏がいう、木星が七星を守れば、戦事あらん。郗萌がいう、歳星が七星を守れば、叛臣ありて軍中に藏るるあらん。甘氏がいう、歳星が七星に進入せば、君主ありてまさに太子を冊立せんとす。郗萌がいう、歳星が停留・守候して七星すれば、天下は大いに憂慮し、憂うる所は正しく朝廷の中枢に在り。この一段の裏《黄帝占》・石氏と郗萌とは皆星宿の変を叛臣に繫ぐ、星宿は朱雀の頸項にして、頸項は制せられれば則ち首尾は相い顧みる能わず、恰も叛逆の象に合すればなり。
歳星犯張 五
石氏曰:“歲星入張,天子有慶賀之事,天下大樂,谷大豐。”《荊州占》曰:“歲星入張,不出一年,天子有慶賀之事,天下大樂。”巫咸曰:“歲星入張星,多火災,萬物五穀不成。”郗萌曰:“歲星出入留張舍,三十日不下,有兵;六十日不下,更立侯王。”石氏曰:“歲星守張,民人病疫;一曰其歲民多心腹疾。”
石氏がいう、歳星が張宿に進入せば、天子に喜慶の事あり、天下は大いに歓楽し、穀物は大いに豊収せん。《荊州占》にいう、歳星が張宿に進入せば、一年を出でずして、天子に喜慶の事あり、天下は大いに歓楽せん。巫咸がいう、歳星が張宿に進入せば、火災多く、万物と五穀とは皆長成せざらん。郗萌がいう、歳星が張宿に出没・停留・入宿して、三十日も還って離れざれば、戦事あらん。六十日も還って離れざれば、別に侯王を立てん。石氏がいう、歳星が張宿を守れば、百姓は疫病を患わん。別の一説にはこの一年百姓は心腹の疾を患うる多きなり。張宿は朱雀の嗉嚢にして、天厨の饗食と珍宝・器物とを主り、分野は周地に属す。
郗萌曰:“歲星民張,歲和熟。”甘氏曰:“歲星守張,其國大豐,守之一年;七年昇平,君臣同心。”又曰:“歲星處張南,地必動,若六畜貴;處張西,其歲水。”《荊州占》曰:“歲星守張,四十日至百二十日,陰陽和,群臣忠良,王者吉。”郗萌曰:“歲星守張,政事急,民有千里之行;一曰貴人死。”
郗萌がいう、歳星が張宿に居れば(原文「民」の字に訛あり)、年成は調和・豊熟せん。甘氏がいう、歳星が張宿を守れば、あの国家は大いに豊収せん。若し守ること一年に満てば、七年の太平する可く、君臣は同心ならん。またいう、歳星が張宿の南側に停まれば、一定に地震を発生し、あるいは六畜は価貴からん。張宿の西側に停まれば、この一年は水を発せん。《荊州占》にいう、歳星が張宿を守ること四十日より一百二十日に至れば、陰陽は調和し、群臣は忠良にして、帝王は吉利せん。郗萌がいう、歳星が張宿を守れば、政事は苛急にして、百姓はまさに千里の跋涉の行あらんとす。別の一説には貴人の死亡するなり。
《荊州占》曰:“歲星逆行張,其君衣服不法。”郗萌曰:“歲星逆行張,其君用樂淫佚。”又曰:“歲星守張,有反臣中兵也。”《荊州占》曰:“歲星與墳星合於張,歲不和,貴人多內喪;一曰大水,六年。”郗萌曰:“歲星與墳星合於張,天下有變,不傷為政者,則害於民;一曰民憂盜賊,若功臣受封。”又曰:“後且大旱。”《荊州占》曰:“歲星與墳合守張,天下易令,民流千里。”
《荊州占》にいう、歳星が張宿にて逆行せば、あの君主の服飾は法度に合せざるなり。郗萌がいう、歳星が張宿にて逆行せば、あの君主は声楽に耽り・逸楽を放縦せん。またいう、歳星が張宿を守れば、叛臣ありて軍中に藏るるあらん。《荊州占》にいう、歳星と墳星とが張宿にて會合せば、年成は和せず、貴人は内室の丧多からん。別の一説には大水を發し、患と為ること六年なり。郗萌がいう、歳星と墳星とが張宿にて會合せば、天下に變故あり、若し執政する人を傷及せざれば、則ち百姓を禍害せんとす。別の一説には百姓は盗賊に憂え、あるいは功ある臣の封を受くるなり。またいう、此より後まさに大旱あらんとす。《荊州占》にいう、歳星と墳星とが會合して張宿を守れば、天下は政令を更改し、百姓は千里に流亡せん。墳星は每に張宿と相犯し、占辞は總じて内室の丧・大水と流亡とを離れず、見るにこの星はもと丧葬の事を主る。
歳星犯翼 六
石氏曰:“歲星入翼,五穀風傷。期一年。”郗萌曰:“歲星出入留舍翼,六十日不下,地亡六十里。”石氏曰:“歲星出入留舍翼,且有急事徵召。”郗萌曰:“歲星居翼,歲和熟。”石氏曰:“歲星守翼,有兵若大水;一曰川枯不通。”甘氏曰:“歲星守翼,聖臣代主。”《荊州占》曰:“歲星守民辦,王道大興,王者得天心,將相忠良,不出九十日,文術大用。”
石氏がいう、歳星が翼宿に進入せば、五穀は風に吹損せられ、期は一年に応ず。郗萌がいう、歳星が翼宿に出没・停留・入宿して、六十日も還って離れざれば、国土は六十里を喪失せん。石氏がいう、歳星が翼宿に出没・停留・入宿せば、まさに急事の徵召あらんとす。郗萌がいう、歳星が翼宿に居止せば、年成は調和・豊熟せん。石氏がいう、歳星が翼宿を守れば、戦事ありあるいは大水あらん。別の一説には河川の乾涸して通ぜざるなり。甘氏がいう、歳星が翼宿を守れば、聖徳の臣は君主に取代らん。《荊州占》にいう、歳星が翼宿を守れば(原文は「守民辦」と作る、字に訛脱あり)、王道は大いに興盛し、帝王は天心を得て、将相は忠良にして、九十日を出でずして、文治の術は大いに重用を受けん。翼宿は朱雀の羽翼にして、楽府・倡優と遠方より来るの客とを主り、分野は荊楚に属す。
郗萌曰:“歲星守翼南,六畜貴。”《海中占》曰:“歲星守翼,處其東,魚監瓦器貴;處其南,車貴;處其西,不占;處其北,五穀不成。”郗萌曰:“歲星逆行翼,其君用樂淫泆,若失火。”甘氏曰:“歲星入翼,有海客。”郗萌曰:“歲星入翼,四海有急,國憂。”石氏曰:“歲星守翼,萬物不成。”石氏曰:“歲星守翼,人民流亡。”
郗萌がいう、歳星が翼宿の南側に守れば、六畜は価貴からん。《海中占》にいう、歳星が翼宿を守りてその東側に停まれば、魚鹽と陶瓦の器皿とは価貴からん。南側に停まれば、車輛は価貴からん。西側に停まれば、占断を作さず。北側に停まれば、五穀は長成せざらん。郗萌がいう、歳星が翼宿にて逆行せば、あの君主は声楽に耽り・荒淫・放縦し、あるいは火災を發生せん。甘氏がいう、歳星が翼宿に進入せば、海を渡りて遠より来るの客あらん。郗萌がいう、歳星が翼宿に進入せば、四海の内に急難あり、国家は憂患せん。石氏がいう、歳星が翼宿を守れば、万物は長成せざらん。石氏またいう、歳星が翼宿を守れば、百姓は流亡して所を失わん。
歳星犯軫 七
郗萌曰:“歲星入軫,天下多喪。”《荊州占》曰:“歲星入軫,邦有將死。期六年。”陳卓曰:“歲星入軫兵,大起。”《荊州占》曰:“歲星在軫,王者憂疾,不出九十日。”巫咸曰:“歲星入軫中,伺其出而數之,期二十日為兵發;伺始入處之率,一日期十日,軍罷。”郗萌曰:“歲星舍軫,七日不移,赦。”
郗萌がいう、歳星が軫宿に進入せば、天下は丧事多からん。《荊州占》にいう、歳星が軫宿に進入せば、国中に大将の死亡あり、期は六年に応ず。陳卓がいう、歳星が軫宿に進入せば、兵事は大いに起こらん。《荊州占》にいう、歳星が軫宿に処れば、帝王は疾病のために憂慮し、九十日を出でざらん。巫咸がいう、歳星が軫宿の中に進入し、それの出づる時より起算して、期は二十日の上に兵事発動す。再びそれの当初の進入の位置に照らして推せば、別の一説には期十日に応じて軍隊は解散す。郗萌がいう、歳星が軫宿に入宿し、七天移動せざれば、赦令あらん。軫宿は車駕と風とを主り、また死丧を主り、分野は荊楚に属す。
《黃帝占》曰:“歲星處軫東,耀貴;處軫西,有女喪,有水。”《海中占》曰:“歲星犯守軫,天子養孤老、不平,大臣背叛,師旅起,車騎盡發。”《荊州占》曰:“歲星干犯過軫,大臣戮死。”甘氏曰:“歲星守胃,國主疾,王者修宗廟,赦三百里內,則災消。”
《黄帝占》にいう、歳星が軫宿の東側に停まれば、光耀して顕貴せん。軫宿の西側に停まれば、女子の丧あり、併せて水患あらん。《海中占》にいう、歳星が侵犯して併せて軫宿を守住せば、天子の孤老を撫養するの政令は均平なる能わず、大臣は背叛し、軍旅は興起し、車騎は全部出動せん。《荊州占》にいう、歳星が干犯して軫宿を経過せば、大臣は殺されん。甘氏がいう、歳星が軫宿を守れば(原文は誤りて「守胃」と作る)、国君は病を生じ、帝王は宗廟を修治し、国都の三百里以内の罪人を赦免せば、災禍は則ち消解する能くす。
巫咸曰:“歲星守軫,民多疾病。”《海中占》曰:“歲星守軫,主庫者有罪。”郗萌曰:“歲星守軫,有土功事,若旱;萬物不成,民飢。”《黃帝占》曰:“歲星守軫南,六畜皆貴。”郗萌曰:“歲星守軫背,五穀不成。”《荊州占》曰:“歲星逆行軫,失火。”郗萌曰:“歲星逆行軫,其君持喪服,不謹;若貴親生之。”又曰:“木守軫,川楫不通也。”
巫咸がいう、歳星が軫宿を守れば、百姓は疾病を生ずる多からん。《海中占》にいう、歳星が軫宿を守れば、府庫を掌管する人は罪を獲ん。郗萌がいう、歳星が軫宿を守れば、土木の工程の事あり、あるいは天は旱せん。万物は長成せず、百姓は饑饉せん。《黄帝占》にいう、歳星が軫宿の南側に守れば、六畜は皆価を漲さんとす。郗萌がいう、歳星が軫宿の背後に守れば、五穀は長成せざらん。《荊州占》にいう、歳星が軫宿にて逆行せば、火災を發生せん。郗萌がいう、歳星が軫宿にて逆行せば、あの君主は丧服を身に著けて恭謹ならざらん。あるいは貴戚・親族にこの過失あらん。またいう、木星が軫宿を守れば、河川・舟楫は通ぜざらん。軫宿の旁に長沙の一星あり、また左轄・右轄の二星あり、皆車行と相関す、故に車駕・道路と舟楫の通塞の応は、皆この一宿の名下に帰す。
開元占經 卷二十八
歳星占 六
歳星犯石氏中官
歳星犯攝提 一
《海中占》曰:“歲星犯攝提,臣謀其君,若主出走,有兵起。期一年。”
《海中占》にいう、歳星が攝提を侵犯せば、臣下はその君主を図謀し、あるいは君主は出奔・逃亡し、還って戦事を興起し、期は一年に応ず。攝星は共に六星にして、分列して大角の左右の両旁に在り、時節を建立し・暦数を厘正するを主り、これ天子の號令の發出する所なり、故に歳星がそれを犯せば便ち君臣の互相に図謀するを主る。
歳星犯大角 二
《海中占》曰:“歲星守大角,臣謀主者,有兵起,人主憂,王者戒慎左右,期不出百八十日,遠一年。”
《海中占》にいう、歳星が大角を守れば、臣下ありて君主を図謀し、戦事を興起せんとし、君主はこれがために憂慮せん。帝王は当に左右の近臣に對して格外に戒備・謹愼すべく、期は一百八十日を出でずに応じ、遠きは一年なり。大角は天王の座位にして、両組の攝提の星の間に処り、これ帝王の朝廷の象徴なり、故に歳星がそれを守れば上下の猜疑を主る。
歳星犯梗河 三
巫咸曰:“歲星守梗河,國有謀兵,四夷兵起,來侵中國,邊境有憂。”
巫咸がいう、歳星が梗河を守れば、国中に兵を用うるを謀劃するの事あり、四方の夷狄は兵を興して前来りて中原を侵犯し、辺境に憂患あらん。梗河の三星は大角の北に在り、胡人の兵馬を主り、また天子の矛戟の一類の兵器の象徴なり、故にこの一星は專ら辺境の警訊に応ず。
歳星犯招搖 四
《聖洽符》曰:“歲星犯招搖,邊兵大起,敵人為寇;若守之,敵人敗,敵人死:期不出二年。”《荊州占》曰:“歲星入招搖,兵起,馬多死。”
《聖洽符》にいう、歳星が招搖を侵犯せば、辺境は大挙して兵を興し、敵人は前来りて劫掠せん。若し歳星がそれを守住せば、敵人は反りて戦敗れ、敵方の主将は死亡し、期は两年を出でずに応ず。《荊州占》にいう、歳星が招揺に進入せば、戦事は興起し、馬匹は大量に死亡せん。招揺の一星は梗河の北面に在り、胡人の兵馬と四方の夷狄の動静とを主る。
歳星犯玄戈 五
《聖洽符》曰:“歲星守犯玄戈,邊兵大起,突厥為寇;若守之,突厥敗,若其主死,期不出三年。”
《聖洽符》にいう、歳星が守住して併せて玄戈を侵犯せば、辺境は大挙して兵を興し、突厥は前来りて劫掠せん。若し歳星がそれを守住せば、突厥は反りて戦敗れ、あるいは彼らの君主は死亡し、期は三年を出でずに応ず。玄戈の一星は招揺の北に在り、同じく北方の兵事を主る。この条は直ちに突厥に説き到る、見るにこれ唐人の当時の辺情に依りて増改したる占語なり。
歳星犯天槍 六
巫咸曰:“歲星犯天槍,邊夷兵起,機槍大用,防戍有憂;若誅邊臣,期不出年。”
巫咸がいう、歳星が天槍を侵犯せば、辺地の夷狄は兵を興し、弩機・長槍の一類の兵器は大量に動用せられ、辺防を戍守する将士に憂患あらん。あるいは朝廷はまさに邊将を誅殺せんとし、期は一年を出でずに応ず。天槍の三星は北斗の斗柄の端の北面に在り、これ上天の兵器の象なり。
歳星犯天棓 七
巫咸曰:“歲星守天棓,邊夷兵起,機槍大用,防戌有憂;若誅邊臣,期不出年。”
巫咸がいう、歳星が天棓を守れば、辺地の夷狄は兵を興し、弩機・長槍の一類の兵器は大量に動用せられ、辺防を戍守する将士に憂患あらん。あるいは朝廷はまさに邊将を誅殺せんとし、期は一年を出でずに応ず。天棓の五星は女床の北に在り、また天子の先駆の兵器なり、占辞は上の一条の天槍と完全相同す、見るにこの両組の星は同じく辺兵を主る。
歳星犯女床 八
《荊州占》曰:“歲星犯女床,凶。”甘氏曰:“歲星守女床,兵起,宮中若妃后暴誅者,期百八十日,遠一年。”
《荊州占》にいう、歳星が女床を侵犯せば、凶を主る。甘氏がいう、歳星が女床を守れば、戦事は興起し、宮中にはあるいは妃嬪・皇后の突然誅殺せらるる者あり、期は一百八十日に応じ、遠きは一年なり。女床の三星は紀星の東北に在り、後宮の御女の位次を主り、故にこの一星の占辞は專ら宮闈の変に応ず。
歳星犯七公 九
《黃帝占》曰:“歲星守七公,為民飢,君不安。”石氏曰:“歲星犯守七公,輔臣有謀,議臣相疑,若有誅者,主人有憂。”
《黄帝占》にいう、歳星が七公を守れば、百姓は餓に挨ぎ、君主は安寧を得ざらん。石氏がいう、歳星が侵犯して併せて七公を守住せば、政を輔く大臣は図謀を心懐き、参議の臣子は彼此に猜疑し、あるいは人ありて誅せられ、君主はこれがために憂慮せん。七公の七星は招揺の東に在り、これ天子の三公の象徴にして、得失を議論するを主り、故に歳星がそれを犯せば、応験は輔弼の大臣の身に落つ。
歳星犯貫索 十
巫咸曰:“歲星犯守貫索,天下亂,兵大起,有獄事,貴人有死者。”石氏曰:“歲星入天平中犯乘守者,以獄為亂,多不平。”
巫咸がいう、歳星が侵犯して併せて貫索を守住せば、天下は大乱し、大挙して兵を興し、獄訟の事あり、貴人の中に死亡の者あらん。石氏がいう、歳星が天平の中に進入して侵犯・凌乗・守候せば、獄訟に因りて禍乱を生じ、判決は多く不公あらん。貫索の九星はまた連索・天牢と謂い、罪人を拘捕・系押するを主る。天平は則ち曲直を衡量するの象徴なり、故にこの両条の占辞は皆刑獄の上に応ず。
