咸池星占 七十三
甘氏曰:“咸池三星,在天潢西北。”《黃帝》曰:“咸池,一名黃龍;一名五潢。”(注云:《天官書》曰:咸池星曰天五潢。一名天津;一名潢池;一名天井;一名天淵;豐際太陰,陰者,蒼龍之舍也,五帝之車也。)《樂葉圖》曰:“咸池,五車天關也。”(宋均曰:五車,咸池別名也。)《春秋緯》曰:“咸池天潢,五帝車舍。”《淮南子》曰:“咸池者,水魚之囿也。”郗萌曰:“咸池者,天子名池也。”《合誠圖》曰:“咸池,主五穀。”焦延壽曰:“咸池星明大,則有龍墮死者,不乃虎狼為人害,若大兵起。”郗萌曰:“咸池者,五車中星也,非其故,國旱。”郗萌曰:“咸池不足,津河道不通。”又曰:“五潢,欲其黃澤明也。”《甘氏贊》曰:“咸池陂澤,鵾雞雁鳥。”
甘氏はいう、咸池は三つの星で、天潢の西北に在る。咸池はもともと古人の伝説する太陽の沐浴する水池で、天上はその名を取って以て星を名づく。《黄帝占》にいう、咸池はまた「黄龍」とも名づき、また「五潢」とも名づく。原書の小注にいう、《史記・天官書》は咸池星を天五潢と呼ぶと講う。それはまた天津とも名づき、また潢池とも名づき、また天井とも名づき、また天淵とも名づく。それは太陰の気の最も盛んなる辺際に処り、しかも陰はすなわち蒼龍の栖止する居舎で、また五方の天帝の車駕のあるところである。《楽葉図》にいう、咸池は五車の天関である。原書の小注に宋均を引いていう、五車とはすなわち咸池の別名である。《春秋緯》にいう、咸池・天潢は五方の天帝が車駕を停放する処所である。《淮南子》にいう、咸池は水族・魚類の栖息する苑囿である。郗萌はいう、咸池は天子の名下の池沼である。《春秋合誠図》にいう、咸池は五穀を主掌する。焦延寿はいう、咸池星が明亮碩大であれば、すなわち龍の地に墜ちて死するあるを主り、然らざればすなわち虎狼が出て人を害し、あるいは大兵の興起あり。郗萌はいう、咸池は五車の当中のあの几颗の星で、それが常態を失えば、その国家はまさに干ばつする。郗萌にまたいう、咸池の星光が足らざれば、渡口と河道は通暢せず。またいう、五潢は色沢が黄潤にして明亮なるを以て宜しとす。《甘氏賛》にいう、咸池は陂塘・沼沢の象で、鵾鶏・大雁の類の水鳥はそこに聚集す。
月星占 七十四
甘氏曰:“月一星,在昴東,主女主,大臣之象也。”《甘氏贊》曰:“月明刑度,光生蟾蜍。”
甘氏はいう、月はただ一つの星で、昴宿の東面に在り、女主の事を主り、また大臣の象徴である。《甘氏賛》にいう、月星は刑罰の法度を彰明し、その光華の中に蟾蜍の形を生出す。
天街星占 七十五
甘氏曰:“天街二星,在昴畢間,近月東。”巫咸曰:“天街,水官也。”《春秋圖》曰:“天街,主伺候。”石氏曰:“天街,陰陽之所分,中國之境界。昴以西,屬外國;畢以東,屬中國也。”石氏曰:“天街者,日月五星,出入之道也。”《甘氏贊》曰:“天街保塞,孔塗道衢。”
甘氏はいう、天街は二つの星で、昴宿と畢宿の間に在り、月星の東辺に靠近す。巫咸はいう、天街は五行において水官に属する。《春秋図》にいう、天街は伺察観候を主掌す。石氏はいう、天街は陰陽の分界のところで、また中原の疆域の界限のあるところである。昴宿より以西は外国に帰属し、畢宿より以東は中国に帰属す。石氏にまたいう、天街は太陽・月亮および歳星・熒惑・填星・太白・辰星のこの五つの行星が出入り往来する通道である。《甘氏賛》にいう、天街は辺塞の関隘を守護し、四通八達の大道の要衝で、華夏と夷狄はこれに由りて途を分かつ。
天阿星占 七十六
甘氏曰:“天阿一星,在昴西,偏高曰阿;亦曜候之處,以察山林之妖也。”《甘氏贊》曰:“天阿察近,岑尉西隅。”
甘氏はいう、天阿はただ一つの星で、昴宿の西面に在る。地勢が偏高のを「阿」と呼ぶ。それもまた星曜を観測し征兆を伺候する処所で、以て山林の中の妖異を察看す。《甘氏賛》にいう、天阿は近く就きて察看し、西辺の角落の高岑の上に守望する尉官のごとし。
開元占経 巻七十
甘氏外官
青丘星占 一
甘氏曰:“青丘七星,在軫東南。”(青丘,南方蠻夷之國號也。)《荊州占》曰:“青丘星非常,動搖;大官有事。”
甘氏はいう、青丘は七つの星で、軫宿の東南に在る。原書の小注にいう、青丘は南方の蛮夷の国の名号で、古書は海外に青丘の国ありと称す。《荊州占》にいう、青丘星に異常が現われ揺動して定まらざれば、朝中の大官に事の発生あるを主る。
《甘氏贊》曰:“南夷蠻貊,大赫青丘。”
《甘氏賛》にいう、南方の夷人・蛮人・貊人のこれら辺遠の族群は、声威赫赫として、いずれも青丘星の統轄に帰す。青丘は天上に南方の遠国を標志する星官で、その明暗と変異を観察すれば、すなわちこれら辺地部族の動静・向背を推知すべし。
折威占 二
甘氏曰:“折威七星,在亢南。”(折威者,獄卒也。)石氏曰:“折威者,天子執法之徒也。”郗萌曰:“折威星不居積卒間,胡兵大興,中國大傷,邊將死。”《甘氏贊》曰:“將威斷獄,棄諸市都。”
甘徳はいう、「折威」は全部で七つの星で、位は二十八宿中の亢宿の南辺に在る。原書の小注が解釈する、折威が指すは牢獄を看守する獄卒である。石申はいう、折威は天子の手下に刑法を執行するあの一班の人を象徴す。郗萌はいう、折威星がもし「積卒」星の間に安処せざれば、すなわち北方の胡人の軍隊が大挙して兵を興し、中原は重き創を被り、辺境を戍守する将領は任の上に死するを預示す。《甘氏賛》にいう、折威は威刑を執掌し獄訟を断決し、処決した罪人を都城市集に弃尸して衆に示す。この一組の星は専ら斬殺・刑戮の事を主る。
陣車占 三
《甘氏贊》曰:“陣車三星,在氐南。”(陣車,猶革車也。)
《甘氏賛》にいう、「陣車」は全部で三つの星で、位は氐宿の南辺に在る。原書の小注にいう、陣車は「革車」に相当し、すなわち皮革を蒙せた兵車である。この三つの星は軍中の戦車を主管し、陣を布きて戦い車駕して出師する象徴である。
騎陣将軍占 四
甘氏曰:“騎陣將軍一星,在騎官中,東端。”(騎陣將軍,將軍騎將之行陣也。)
甘徳はいう、「騎陣将軍」はただ一つの星で、位は「騎官」のこの一組の星の当中・東に靠るあの一端に在る。原書の小注にいう、騎陣将軍は将軍と騎将が騎兵を統率して陣を列して行軍する様子を象徴す。それが主るは騎兵の軍陣の号令・編列と進退である。
車騎星占 五
甘氏曰:“車騎三星,在騎官南。”巫咸曰:“車騎,金官也。”《甘氏贊》曰:“陣車騎部行。”
甘徳はいう、「車騎」は全部で三つの星で、位は「騎官」の南辺に在る。巫咸はいう、車騎は「金官」に属し、五行は金に配し、金は兵戈・殺伐を主る。ゆえにこの組の星は兵事の類に帰す。《甘氏賛》にいう、陣車と車騎は部を分かちて行き、講うは戦車と騎兵が各々隊を成し次を序して前進する軍容の行列である。
糠星占 六
甘氏曰:“糠一星,在箕舌前。”《甘氏贊》曰:“箕主簸揚,糠給大豬。”
甘徳はいう、「糠」はただ一つの星で、位は箕宿の「箕舌」の前方に在る。箕宿の星形は一只の簸箕に似て、箕舌はすなわち簸箕の口沿である。《甘氏賛》にいう、箕宿は揚場して穀を簸るを主管し、簸いて出る糠秕はすなわち取って大猪に喂养す。ゆえに糠星が主るは倉廩の中の糠秕と牲畜の飼料で、穀物の収成・六畜の飼養の類の星象に属す。
農丈人星占 七
甘氏曰:“農丈人一星,在南斗西南。”(農丈人,老農也。)郗萌曰:“農丈人,主歲豐耗,在箕東,歲大熟;在箕西,飢;在箕南,小旱,穰;在箕北,大穰。”《甘氏贊》曰:“先農丈人,執斗與箕。”
甘徳はいう、「農丈人」は一つの星で、位は南斗の西南の方に在る。原書の小注にいう、農丈人とはすなわち年高で経験ある老農である。郗萌はいう、農丈人は一年の収成の豊歉を主る——それが箕宿の東に出現すれば、当年に五穀は大熟し、箕宿の西に出現すれば、まさに饑饉が閙ぎ、箕宿の南に出現すれば、小旱あるもなお豊年に属し、箕宿の北に出現すれば、すなわち大豊収である。《甘氏賛》にいう、先農と農丈人は手に南斗と箕宿を執り、一斗一箕はまさに穀を量り穀を簸る二件の農具である。
狗星占 八
甘氏曰:“狗二星,在南斗魁前。”《荊州占》曰:“狗星不如常,戒御之臣當之。”《甘氏贊》曰:“狗主守內,夾門伏跗。”
甘徳はいう、「狗」は二つの星で、位は南斗の斗魁の前方に在る。《荊州占》にいう、狗星がもし常度を失い平日の様子に似ざれば、災応は警蹕・宿衛を負責する近臣の身に落ちる。《甘氏賛》にいう、狗星は内廷を守衛するを主り、家を看る犬のごとく分かれて門戸の両傍を守り門階の脚下に伏す。ゆえにこの二つの星は専ら宮禁の門衛と警戒を主る。
狗国星占 九
《荊州》曰:“狗國四星,在建星東南。”《黃帝》曰:“狗國星不具,天下有大盜。”《甘氏贊》曰:“狗國,鮮卑烏丸沃沮。”
《荊州占》にいう、「狗国」は全部で四つの星で、位は建星の東南の方に在る。《黄帝占》にいう、狗国の星数がもし斉全ならず其中の几颗を欠けば、天下はまさに大盗を出す。《甘氏賛》にいう、狗国星の対応する所は、塞外の鮮卑・烏丸・沃沮のこの幾つかの東北方の部族の国で、その変異はこれらの外族の身に応ず。
天田星占 十
甘氏曰:“天田九星,在牽牛南。”郗萌曰:“天田如井干狀,在營室南。”《甘氏贊》曰:“天田本農,耕器犁鉏。”
甘徳はいう、「天田」は全部で九つの星で、位は牽牛宿の南辺に在る。郗萌はいう、天田星は井欄のごとき方框の形状に排し、位置は営室宿の南に在る——両家の記する方位は同じからず。《甘氏賛》にいう、天田は農事を以て根本と為し、犁・鋤のこの類の耕田の農具を象徴し、天上に田畝の耕作を主管する星官である。
哭星占 十一
甘氏曰:“哭二星,在虛南。”
甘徳はいう、「哭」は二つの星で、位は虚宿の南辺に在る。虚宿はもともと喪事・哭泣を主る。哭星はその下方に附し、専ら哀を挙げ号哭する象を主る。
泣星占 十二
甘氏曰:“泣二星,在哭星東。”《甘氏贊》曰:“哭泣悲涼,墳墓倚廬。”
甘徳はいう、「泣」は二つの星で、位は哭星の東辺に在る。《甘氏賛》にいう、哭星と泣星は一片の悲凉の気で、対応する所は墳墓と「倚廬」——倚廬とは居喪の人が墓側に搭起する草棚である。両星を合わせて見れば、まさに喪葬・守孝の星象である。
蓋室星占 十三
甘氏曰:“蓋室二星,在危南。”(主蓋治之官也)《甘氏贊》曰:“危蓋屋室,柱樑侏儒。”
甘徳はいう、「蓋室」は二つの星で、位は危宿の南辺に在る。原書の小注にいう、それは営造・修繕の官員を主管す。《甘氏賛》にいう、危宿の一帯は屋室を覆蓋するを主り、房屋の柱・梁と「侏儒柱」を象徴す——侏儒柱とはすなわち大梁の上に架する短柱である。見ゆべし、この一組の星は専ら土木・営建の事を主る。
八魁星占 十四
甘氏曰:“八魁九星,在北落東南。”《甘氏贊》曰:“八魁陷阱,棧門揭翹。”(八魁、主張捕陷阱設機也,棧覆阱也,揭翅為毒熾,使人無踐也。)
甘徳はいう、「八魁」は全部で九つの星で、位は北落星の東南の方に在る。《甘氏賛》にいう、八魁は陥穽を象徴し、および「桟門」「掲翹」のこの類の機関を象徴す。原書の小注が解釈する、八魁は網を張りて獣を捕え穽を掘りて機関を設くを主る。「桟」とは穽の口の上に蓋する遮蔽物で、「掲翹」とはすなわち高く竪起する標識で、毒烈の処を標明して人をして誤りて踏み入れざらしむ。
雷電星占 十五
甘氏曰:“雷電六星,在營室西南。”《甘氏贊》曰:“雷電震音,殷殷動搖。”
甘徳はいう、「雷電」は全部で六つの星で、位は営室宿の西南の方に在る。《甘氏賛》にいう、雷電星は雷霆の震響する声を象徴し、隆隆として響き、万物を震わして動揺せしむ。この一組の星は天上の雷鳴・電閃を主り、また以て号令の威厳と天下を驚動する事を占候す。
雲雨星占 十六
甘氏曰:“雲雨四星,在霹靂南。”《甘氏贊》曰:“雲雨興和,休祁茂孳。”(興,發也;和,善也;休,亦善也。祁雨盛貌孳、草木蕃茂也。)
甘徳はいう、「雲雨」は全部で四つの星で、位は霹靂星の南辺に在る。《甘氏賛》にいう、雲雨は興発して調和し、雨水は豊沛で、草木は繁茂す。原書の小注が字を逐って解釈する、「興」は発動で、「和」は和善調順で、「休」もまた美善の意で、「祁」は雨の下ること盛大なりを形容し、「孳」は草木の蕃衍茂盛である。この一組の星は専ら雲を興し雨を降るを主り、農事の豊歉の繋る所である。
霹靂星占 十七
甘氏曰:“霹靂五星,在土公西南。”《甘氏贊》曰:“霹靂舊塹捽。”(拽拖投也)
甘徳はいう、「霹靂」は全部で五つの星で、位は土公星の西南の方に在る。《甘氏賛》にいう、霹靂が落下すれば、旧有の溝塹をいずれも摔打して七零八落せしむ。原書の小注が「捽」の字を解釈していう、すなわち拽し拖し抛擲するの意である。霹靂星が主るは迅雷・猛撃の象で、突発の震動と摧折を占候す。
土公星占 十八
甘氏曰:“土公二星,在東壁南。”《論語讖》曰:“土公,主豫儲。”
甘徳はいう、「土公」は二つの星で、位は東壁宿の南辺に在る。緯書《論語讖》にいう、土公は「豫儲」を主る、すなわち預め儲備す——およそ宮室を営造し材用を堆積し事先に筹办儲蓄するこの類の事は、いずれもその掌管に帰す。
土公吏星占 十九
郗萌曰:“土公吏,主司過度。”甘氏曰:“土公吏二星,在營室西南,一曰土公,司屏郎設儲。”
郗萌はいう、「土公吏」は過失を稽查し法度の逾越するや否やを監督するを主管す。甘徳はいう、土公吏は二つの星で、位は営室宿の西南の方に在る。一種の説はすなわち直ちにこれを土公と呼び、それを屏藩を守衛する郎官・儲備を設置することを負責する官員と講う。この一組の星は土功・営造と庫儲の類に属す。
鈇鑕星占 二十
甘氏曰:“鈇鑕五星,在天倉西南。”《甘氏贊》曰:“鈇鑕銼鉤後有饒。”(鈇,斧也;鑕,椹也。主斬藁,以飴牛馬。四石為鈞,言斬銼豐饒,盈鈞石也。)
甘徳はいう、「鈇鑕」は全部で五つの星で、位は天倉の西南の方に在る。《甘氏賛》にいう、鈇鑕は草料を鍘切し、鍘して後すなわち豊足の儲備あり。原書の小注が解釈する、「鈇」は斧頭で、「鑕」は下に墊く砧板である。この一組の星は禾秆・藁草を鍘切するを主り、以て牛馬に喂养す。四石を以て一鈞と為し、いわゆる「後に饒あり」とは、鍘切して下る草料が豊足で、鈞石の数に満ちるまで堆積するを講う。
天溷星占 二十一
甘氏曰:“天溷七星,在屏南。”《甘氏贊》曰:“天溷作,杼廁糞丘。”(天溷,廁也。)
甘徳はいう、「天溷」は全部で七つの星で、位は外屏星の南辺に在る。《甘氏賛》にいう、天溷が一たび動作すれば、すなわち厠所を掏挖し糞丘を堆起する景象である。原書の小注にいう、天溷とはすなわち厠所である。この一組の星は宮中の圊溷・汚穢の処を主り、また以て穢乱・不潔の事を占候す。
外屏星占 二十二
甘氏曰:“外屏七星,在奎西。”(外屏,所以障天溷也。)《甘氏贊》曰:“屏蔽擁幢,安溷莫睹。”
甘徳はいう、「外屏」は全部で七つの星で、位は奎宿の西辺に在る。原書の小注にいう、外屏は以て天溷を遮擋する屏障である。《甘氏賛》にいう、屏障は重々に遮蔽し、張き開いた帷幢のごとく囲んで、汚穢の溷厠を安穏に内に挡して人をして見えざらしむ。ゆえに外屏星が主るは遮蔽・隠蔽し体面を維護する事である。
天庚星占 二十三
甘氏曰:“天庚三星,在天倉東南。”(屋積曰倉,露積曰庚。)《甘氏贊》曰:“天庚積穀,草茂身拊。”
甘徳はいう、「天庚」は全部で三つの星で、位は天倉の東南の方に在る。原書の小注が分辨する、屋頂に蓋われて堆放するを「倉」と呼び、露天に堆積するを「庚」と呼ぶ。《甘氏賛》にいう、天庚は穀物を堆積し、禾草は茂盛で、摞みて以て拍打して垛を成すべし。この一組の星が主るは野外露天の穀堆と積儲である。
芻藁星占 二十四
甘氏曰:“芻藁六星,在天苑西。”郗萌曰:“芻藁,一曰天積;天積,天子之藏府也。”《黃帝占》曰:“天積中星盛,則百庫之藏存;中星無,百庫之藏散出。”郗萌曰:“芻藁星見,芻臺賤,不即芻藁貴。”又曰:“天積中星繁,則歲豐穰,民乃安寧;星希,則貨財散出。”
甘徳はいう、「芻藁」は全部で六つの星で、位は天苑の西辺に在る。郗萌はいう、芻藁はまた「天積」と呼ばれ、天積はすなわち天子の庫蔵・府庫である。《黄帝占》にいう、天積の当中の星光が盛明であれば、各処の倉庫の儲蔵は保たれ、当中の星がもし見えなければ、各処の倉庫の儲蔵はまさに散失して出る。郗萌はいう、芻藁星が顕現すれば、草料はすなわち便宜で、もし顕現せざれば、芻藁はすなわち漲価す。彼にまたいう、天積の当中に星数が繁密であれば、年成は豊足で、百姓はこれに因って安寧す。星数が稀疏であれば、財貨はまさに散失して外流す。
《甘氏贊》曰:“芻藁甸服,納輊總輸。”(生草曰芻,禾稗曰藁,故《禹貢》曰:百里賦納總二百里納輊。刈藁曰總,刈穗曰輊,謂甸服入之,以供牛馬之食也。)
《甘氏賛》にいう、芻藁の一星は「甸服」の地に応じ、そこは「輊」と「総」のこの二様の草料を繳納す。原書の小注が解釈する、新たに割く青草を「芻」と呼び、禾秆・稗秆を「藁」と呼ぶ。ゆえに《尚書・禹貢》に記す、王畿百里の内の賦税は「総」を繳納し、二百里の内は「輊」を繳納す。整棵の禾秆を割下するを「総」と呼び、ただ穗子のみを割くを「輊」と呼び、講うは甸服の地がこれらを王朝に送り進め、以て牛馬の草料に供給するである。
天園星占 二十五
甘氏曰:“天園十三星,在天苑南。”郗萌曰:“天園中小勾曲星明,果熟,苑馬牛物羊皆善。”又曰:“天苑南,牛馬櫪也;其中小星,櫪槽也;不見者,牛馬羊多死傷者。”《甘氏贊》曰:“天園草實,菜茹畜儲。”(生曰菜,熟曰蓄,茹儲果薪也。)
甘徳はいう、「天園」は全部で十三の星で、位は天苑の南辺に在る。郗萌はいう、天園の当中のあの曲がって鉤形を成す小星がもし明亮であれば、果実は成熟し、苑囿の中の馬・牛・羊などの牲畜もいずれも健やかである。彼にまたいう、天苑の南は牛馬の馬廐で、その中の小星はすなわち馬廐の中の食槽である。これらの小星がもし見えなければ、牛・馬・羊はまさに死傷多し。《甘氏賛》にいう、天園には草木・果実が生え、また腌蔵した菜蔬と儲備あり。原書の小注が解釈する、生鮮のを「菜」と呼び、煮熟して腌えたを「蓄」と呼び、「茹儲」が指すは儲存した果実と薪柴である。
九州殊口星占 二十六
甘氏曰:“九州殊口九星,在天節下。”《黃帝占》曰:“九州殊口,一名勾風;凡九星,在參間,常以十月、十一月候;若一星不具,其國凶;三星已上不具,兵起,天下亂。”巫咸曰:“九州,外官也。”郗萌曰:“九州殊口,主聚議。”
甘徳はいう、「九州殊口」は全部で九つの星で、位は天節星の下方に在る。《黄帝占》にいう、九州殊口はまた「勾風」と呼ばれ、一合で九つの星で、参宿の間に在り、通常は十月・十一月のこの二つの月の裡に観測すべし。もし一つの星を欠いて斉全ならざれば、対応するあの国家に凶事あり。三つ以上に欠ければ、まさに兵を興し武を動かし、天下は大いに乱れる。巫咸はいう、九州殊口は「外官」に属し、すなわち四方の外域の事務を掌管する官署である。郗萌はいう、九州殊口は群臣が聚集して議事するを主る。
《甘氏贊》曰:“九州殊口重譯辭。”(九州殊口,能曉方言之官,九州言語不同,要荒蠻夷,重譯乃通也。)
《甘氏賛》にいう、九州殊口が主るは層層に転訳する言辞である。原書の小注が解釈する、九州殊口が指すは各方の方言に通暁する訳官である。九州の各地は言語が同じからず、要服・荒服のそれら辺遠の蛮夷の邦に至っては、さらに幾重の転訳を経てこそ溝通すべし。ゆえにこの一組の星は専ら翻訳・通使と四方の来朝する辞令の往還を主る。
天節星占 二十七
石氏曰:“天節八星,在畢、附耳南。”甘氏曰:“天節小而明,節使忠直;其不明,若不見,奉使無威敬。”《甘氏贊》曰:“天節奉使,專對無疑。”(天節以給使命,靈威德於四海。)
石申はいう、「天節」は全部で八つの星で、位は畢宿と附耳星の南辺に在る。甘徳はいう、天節星が小さくとも明亮であれば、節を持ちて出使する臣子はすなわち忠誠正直である。もしそれが昏暗にして明ならず、さらには隠没して見えざれば、命を奉じて出使する人は威望なく、人に敬重されず。《甘氏賛》にいう、天節は命を奉じて出使するを主り、独りで一面に当たって対答問に応じ、毫も遅疑なし。原書の小注にいう、天節は用いて使命の符節を頒授し、君王の威霊・徳澤を四海に宣布す。
九游星占 二十八
甘氏曰:“九游九星,在玉井西南。”郗萌曰:“九游,一名苑遊,在參西,九星。”石氏曰:“九游,一名司曲;一名天旗;主司五星之過。”《元命苞》曰:“九游,統九州,別邦。”石氏曰:“九游光芒盛,兵起。”《元命包》曰:“九游星明大,則其位多大人;微,則小人臨州。”《甘氏贊》曰:“九游威旗,色盛兵興。”
甘徳はいう、「九游」は全部で九つの星で、位は玉井の西南の方に在る。郗萌はいう、九游はまた「苑游」と呼ばれ、参宿の西に在り、全部で九つの星。石申はいう、九游はまた「司曲」とも名づき、また「天旗」とも名づき、金・木・水・火・土の五星の運行の差失を稽察することを主管す。緯書《元命苞》にいう、九游は九州を統轄し、各々の邦国を分別す。石申はいう、九游の光芒が熾盛であれば、まさに兵を興す。《元命包》にいう、九游星が明亮碩大であれば、それが対応する処には賢能の大人物多く出る。星光が微弱であれば、すなわち小人ありて州郡を治理せん。《甘氏賛》にいう、九游は天上の威武の軍旗で、星色が盛旺であればすなわち兵事の興起を預示す。
軍井星占 二十九
甘氏曰:“軍井四星,在屏東南。”《荊州占》曰:“天井如輪曲,與狼星俱主水旱。”《甘氏贊》曰:“軍井給水,師用不竭。”
甘徳はいう、「軍井」は全部で四つの星で、位は外屏の東南の方に在る。《荊州占》にいう、天井星は車輪のごとく彎曲して排列し、それは天狼星とともに水災と旱災を主管す。《甘氏賛》にいう、軍井は軍中の用水を供給し、軍隊は取りて用いて枯竭せず。この一組の星は専ら行軍・作戦の水源の供応を主る。
水府星占 三十
甘氏曰:“水府四星,在東井南。”巫咸曰:“水府,水官也。”《甘氏贊》曰:“水府堤防,開道激滿。”
甘徳はいう、「水府」は全部で四つの星で、位は東井宿の南辺に在る。巫咸はいう、水府とはすなわち水利を主管する官署である。《甘氏賛》にいう、水府は堤防を修築し水道を開通することを主り、水流をして激涌充盈せしむ。およそ治水・灌溉・防洪のこの類の事務は、いずれもそれに由りて主管す。
四涜星占 三十一
甘氏曰:“四瀆四星,在東井南,轅東。”(四瀆者,江河淮濟之精也。)《甘氏贊》曰:“四瀆受輸,滌源注海。”
甘徳はいう、「四涜」は全部で四つの星で、位は東井宿の南・天轅星の東に在る。原書の小注にいう、四涜は長江・黄河・淮水・済水のこの四条の独り流れて海に入る大川の精気の化するところである。《甘氏賛》にいう、四涜は衆水の匯輸を承受し、源流を滌蕩し、一路に大海に注入す。
闕丘星占 三十二
甘氏曰:“闕丘二星,在南河南。”《元命苞》曰:“闕丘,主滅除之官;毀疏明恩,以帝五常。”(宋均曰:闕丘,主闕墜丘之官也,毀疏過於王,歷則遷之於禮,更立近,明恩情。所在諸星也。)
甘徳はいう、「闕丘」は二つの星で、位は南河の南辺に在る。緯書《元命苞》にいう、闕丘は刑戮・滅除の類の官職を主管し、毀棄し疎遠すべきを毀棄し疎遠し、従って恩徳を彰明し、以て帝王の五常の教を輔成す。原書の小注に漢儒の宋均を引いていう、闕丘は闕失・墜廃の事を主管する官である。およそ毀傷・疏失が王法に超出するあれば、すなわち礼制に依って以て遷改し、別に親近の人を立て、以て恩情を顕明す。指すはこの一帯の幾つかの星である。ここの小注の文字は畧かに訛脱あり、大意はこのごとし。
《甘氏贊》曰:“闕丘雙塾,外屏罘謒。”(闕立門外,象魏也,天子謂之闕,諸侯謂之兩觀,丘高也,塾門西高堂也。天子外屏,罘罳在宮門外,諸侯內屏,罘罳在宮門內,所以別尊卑也。)
《甘氏賛》にいう、闕丘は門外に相対する一双の塾堂に似て、外屏はすなわち宮門前の罘罳のごとし。原書の小注が解釈する、闕は門外に立ち、すなわち法令を懸掛する「象魏」で、天子のを「闕」と呼び、諸侯のを「両観」と呼ぶ。「丘」は高きの意で、「塾」は門の西辺の高堂である。天子の屏は宮門の外に設け、罘罳もまた宮門外に立つ。諸侯の屏は宮門の内に設け、罘罳もまた宮門内に立つ——この種の設置を以て尊卑の等級を区別す。
