熒惑犯天紀 十一
石氏曰:“熒惑犯天紀,天下國相攻。”郗萌曰:“熒惑舍天紀星西,人相食;東、五穀不實;北、木果實;南、天下州戰。”巫咸曰:“熒惑守天紀,天下國相繫。”石氏曰:“熒惑守天紀,君不安,有饑民。”《文曜鉤》曰:“熒惑守天紀,倖臣執權,有兵起,王者有憂。”甘氏曰:“熒惑犯守天紀,天下亂,山崩地動,人主不安,人亡國,期二年。”
天紀九星は貫索の東面にあり、万事を紀綱し万物を条理することを主り、また九卿の職に当たる。石氏はいう、火星が天紀を侵犯すれば、天下の各国は互いに攻伐する。郗萌はいう、火星が天紀星の西辺に止宿すれば、人が人を食う惨事があろうとし、東辺に止宿すれば五穀は実を結ばず、北辺に止宿すれば樹木は多く果実を結び、南辺に止宿すれば天下の各州は交戦する。巫咸はいう、火星が天紀を守れば、天下の各国は互いに牽連・拘係する。石氏はいう、火星が天紀を守れば、君主は安寧を得ず飢餓する百姓がある。《文曜鉤》にいう、火星が天紀を守れば、近幸の臣は権柄を把持し兵事の興起があり、君王に憂いがある。甘氏はいう、火星が侵犯して天紀を守れば、天下は動乱し山は崩れ地は震い、君主は安寧を得ず、逃亡する人があり国の敗亡があり、応期は二年である。
熒惑犯織女 十二
《黃帝占》曰:“熒惑入織女,兵起,十年乃解北方。又占曰:熒惑入織女,人主政一家族之;一曰政一國族之。”郗萌曰:“熒惑入東橋,二十日兵起。”《玉曆》曰:“熒惑入織女,天下有女喪,產乳多死;一曰絲綿布帛大貴。”《黃帝占》曰:“熒惑犯守織女,天下有女憂,有兵起急,不出其年。”《海中占》曰:“熒惑入犯守織女,有大兵起,十年乃罷,若貴女有憂。”
織女三星は天紀の東端にあり、天上にて女工を主る官で、瓜果・糸帛と珍宝を主る。《黄帝占》にいう、火星が織女に入れば、兵事が興起して十年にしてやっと北方に解除する。また一条の占辞にいう、火星が織女に入れば、君主の刑政は一家一族を誅滅するほどに厳酷であり、もう一説には一国の族を誅滅するとする。郗萌はいう、火星が東橋に入れば、二十日後に兵事が興起する。《玉暦》にいう、火星が織女に入れば、天下に女子の喪事があり婦人の生産に死亡が多く、もう一説には糸綿・布帛の価銭が大いに騰るとする。《黄帝占》にいう、火星が侵犯して織女を守れば、天下の女子に憂いがあり緊急の兵事が興起し、応験は当年を出ない。《海中占》にいう、火星が入り・侵犯して織女を守れば、大兵事が興起して十年にしてやっと罷息し、あるいは顕貴の婦女に憂いがある。
熒惑犯天市垣 十三
《黃帝占》曰:“熒惑入天市,成鉤巳,反環繞之,天下惡,期十月。”石氏曰:“熒惑入天市,都邑有兵。”甘氏曰:“熒惑入天市,幣亂,人民憂;一曰錢幣亂。”《海中占》曰:“熒惑入天市,天子失廷,期六月。”郗萌曰:“熒惑入天市,名曰受谷,糴大貴。”又占曰:“熒惑入天市中,為將凶;一曰五官有憂;一曰赦。”
天市垣二十二星は、天上の都市で、権衡・聚衆と市易・銭幣の事を主る。《黄帝占》にいう、火星が天市に入って往返して勾曲の形を画き、また反復して一周を繞行すれば、天下に悪事があり応期は十か月である。石氏はいう、火星が天市に入れば、都城の中に兵事がある。甘氏はいう、火星が天市に入れば、貨幣は紊乱して百姓は憂苦し、もう一説には銭法が敗壊するとする。《海中占》にいう、火星が天市に入れば、天子は朝廷を失い応期は六か月である。郗萌はいう、火星が天市に入るのを、これを「受谷」と作し、糧価は大いに騰る。また一条の占辞にいう、火星が天市の中に入るのは将帥に凶ありを主り、もう一説には五官の職に憂いがあり、また一説には赦令を行うべきであるとする。
《荊州占》曰:“熒惑入天市之中,大飢。”《玉曆》曰:“熒惑入天市中,為將相凶,人民有憂。”郗萌曰:“熒惑當天市門而止,糴貴再倍;若入市門中,糴五倍;更入廷則守之,糴貴十倍;人民大飢。”又占曰:“熒惑居天市,民訟。”石氏曰:“熒惑起,角芒長,色如雞血,三十日舍天市,臣謀其主。”
《荊州占》にいう、火星が天市の中に入れば、天下は大飢饉する。《玉暦》にいう、火星が天市の中に入るのは将帥・宰相に凶ありを主り、百姓に憂いがある。郗萌はいう、火星が正しく天市の門に対して停住すれば、糧価は二倍に漲り、もし市門の中に入れば糧価は五倍に漲り、さらに市廷に入ってそこに守候すれば、糧価は十倍に漲り百姓は大いに飢餓する。また一条の占辞にいう、火星が天市に居留すれば、百姓は争訟して休まない。石氏はいう、火星が昇るとき星芒が長く尖鋭にして顔色が鶏血のごとく殷紅で、天市に止宿して三十日に満てば、臣下はその君主を図り謀る。
《黃帝占》曰:“熒惑守天市,天下兵起。”劉向《洪範傳》曰:“熒惑守天市、必戮臣不忠者。”郗萌曰:“熒惑守天市垣,若入之,皆為闢亂;若天下名市移及失火;若有暴買立市;皆大臣坐之。”《玄冥占》曰:“熒惑守天市垣,若入之,皆為天下亂,名人受誅,人主憂,期一年。”郗萌曰:“熒惑入若守天市,必有大臣戮。”郗萌曰:“熒惑入若守天市,皆為更幣;一曰幣易。”
《黄帝占》にいう、火星が天市を守れば、天下は兵事を興す。劉向《洪範伝》にいう、火星が天市を守れば、必ず不忠の臣を誅殺するべきである。郗萌はいう、火星が天市垣を守るかあるいはその中に入れば、いずれも法度の敗壊して変乱を生ずるを主り、あるいは天下の名ある市集の遷移および火災に遭遇があり、あるいは強買・強売して擅りに市肆を設立する人があり、これらはいずれも大臣によって罪責を承当する。《玄冥占》にいう、火星が天市垣を守るかあるいはその中に入れば、いずれも天下の動乱を主り知名の人は誅殺に遭い、君主に憂いがあり応期は一年である。郗萌はいう、火星が天市に入るかあるいは守れば、必ず大臣の殺される者がある。郗萌はまたいう、火星が天市に入るかあるいは守れば、いずれも銭幣を更改するを主り、もう一説には幣制が変易するとする。
熒惑犯帝座 十四
石氏曰:“熒惑犯帝座,有逆亂事。”《玄冥占》曰:“熒惑犯帝座,為臣謀主,天下亂,兵大起急,不出年。”石氏曰:“熒惑犯天廷,兵大起,有自立主者;若有徒王,期百八十日,若一年。”
帝座一星は天市垣の中にあり、天帝の座位で君主の象である。石氏はいう、火星が帝座を侵犯すれば、叛逆して乱を作す事があろう。《玄冥占》にいう、火星が帝座を侵犯するのは臣下が君主を図り謀る兆しで、天下は動乱し緊急の兵事は大いに起こり、応験は当年を出ない。石氏はいう、火星が天廷を侵犯すれば、兵事は大いに起こり自ら立って君と為る人があり、あるいは遷徙される君王があり、応期は百八十日または一年である。
熒惑犯候星 十五
《聖洽符》曰:“熒惑守候星,天下飢,兵草起,國有憂,期二年。”《海中占》曰:“熒惑犯守候星,陰陽不和,五穀傷,人大飢,有兵起。”
候一星は帝座の東北にあり、陰陽を伺察し気候を観望することを主り、天子の耳目の官である。《聖洽符》にいう、火星が候星を守れば、天下は飢饉し兵戈は草草として起こり、国に憂いがあり応期は二年である。《海中占》にいう、火星が侵犯して候星を守れば、陰陽は調わず五穀は損を受け、人々は大いに飢餓し兵事の興起がある。
熒惑犯宦者 十六
甘氏曰:“熒惑犯守宦者,左右輔臣有誅,若戮死,期不出年。”
宦者四星は帝座の西南にあり、君主の起居に侍奉する内官・近侍を主る。甘氏はいう、火星(熒惑)が侵犯して宦者星を守れば、君主の左右の輔弼・近臣の中に誅せられる者があり、あるいは殺されて死に、応験は当年を出ない。
熒惑犯斗星 十七
郗萌曰:“熒惑守市斗,糴石五百,守斗中,糴石千。石氏曰:“熒惑守斗,斗斛之事,倉吏不平。”
斗五星は天市垣の中にあり、米を量る斗を象り、衆物を聚集し量器を平準することを主る。郗萌はいう、火星(熒惑)が天市中の斗星を守れば、糧価は石ごとに五百に漲り、斗星の中に守れば石ごとに千に漲る。石氏はいう、火星が斗星を守るのは、斗斛・量器の事に岔子が出て、倉を管する官吏の称量が不公である兆しである。
熒惑犯宗正 十八
石氏曰:“熒惑犯守宗正,左右群臣多死;若更政令,人主有憂。”
宗正二星は帝座の東南にあり、宗室の大夫の官で、皇族の事務を掌管する。石氏はいう、火星が侵犯して宗正を守れば、君主の左右の群臣に死亡が多く、あるいは政令を更改するべく、君主に憂患がある。
熒惑犯宗人 十九
石氏曰:“熒惑犯宗人,親族貴人有憂,若有死者;一曰人親宗有離絕者。”
宗人四星は宗正の東面にあり、宗室の礼儀と譜系の親疎を掌管する。石氏はいう、火星が宗人を侵犯すれば、皇親・宗族の中の貴人に憂患があり、あるいは死去する者があり、もう一説には親族・宗支の間に往来を断絶し恩義が離散する者があるとする。
熒惑犯宗星 二十
甘氏曰:“熒惑犯宗星,宗室之臣有分離者。”《玄冥占》曰:“熒惑觸抵宗星,宗中倖臣有誅者,期二年。”
宗二星は候星の東面にあり、宗室の象で、宗廟の祭祀の事を主る。甘氏はいう、火星が宗星を侵犯すれば、宗室の臣の中に分崩・離散する者がある。《玄冥占》にいう、火星が宗星を触撞・抵犯すれば、宗室の中の寵を受ける近臣に誅殺される者があり、応期は二年である。
熒惑犯東西咸 二十一
陳卓曰:“熒惑犯東西咸,當去不去,賊臣有謀,不出一年。”石氏曰:“熒惑守東西咸,先樂後憂。”又占曰:“熒惑守咸星,女主憂誅,若貴女有戮死,期二年。”郗萌曰:“熒惑守東西咸,大戰。”《荊州占》曰:“熒惑守東西咸,憂兵。”石氏曰:“熒惑犯東西咸者,為有臣不從令,有陰謀。”
東咸・西咸は各四星で、房宿の上に分列し、淫佚を防閑する門戸で、内宮の防禁を主る。陳卓はいう、火星が東咸・西咸を侵犯して離れ去るべきときに離れ去らなければ、奸賊の臣に図り謀る所有り、応験は一年を出ない。石氏はいう、火星が東咸・西咸を守れば、先に歓楽があり後に憂患がある。また一条の占辞にいう、火星が咸星を守れば、女主は憂懼して誅に遭い、あるいは顕貴の婦女に殺されて死ぬ者があり、応期は二年である。郗萌はいう、火星が東咸・西咸を守れば、大戦があろう。《荊州占》にいう、火星が東咸・西咸を守れば、兵事のために憂える。石氏はいう、火星が東咸・西咸を侵犯するのは、政令に聴従せず暗に別に図り謀る臣下ありを主る。
熒惑犯天江 二十二
石氏曰:“熒惑守天江,必有立王;一曰賊起水中。”(案韋昭《洞記》曰:漢靈帝中平三年,熒惑守天江,江夏兵遇南陽,反殺太守,岑頡太尉張廷克也。)巫咸曰:“熒惑犯守天江,天下有水,若入之,大水齊城郭,人民飢亡,去其鄉。”(案《宋書天文志》曰:晉穆帝昇平三年七月乙酉,熒惑犯天江,四年五月,天下大水。)
天江四星は尾宿の北にあり、太陰の水を主り、天上の江河で、もっぱら水事を候す。石氏はいう、火星が天江を守れば、必ず新たに立てられる君王があり、もう一説には水上に起こる賊寇があるとする。原書小注は韋昭《洞記》に拠っていう、漢霊帝中平三年、火星が天江を守り、江夏の軍隊は南陽に変故に遭遇し、反って太守を殺し、岑頡と太尉張廷はみなこれに因って害された。巫咸はいう、火星が侵犯して天江を守れば、天下に水患があり、もしその中に入れば、大水は城郭と相い斉しく漲り、百姓は飢饉・流亡して故郷を離れる。原書小注は《宋書・天文志》に拠っていう、晋穆帝升平三年七月乙酉、火星が天江を侵犯し、升平四年五月に至って天下に大水があった。
熒惑犯建星 二十三
《聖洽符》曰:“熒惑犯建星,臣謀其主,若大臣不親其君,上下相疑,有兵起,王者有憂。”郗萌曰:“熒惑犯建星,嬰兒多死,大臣相諧。”《黃帝占》曰:“熒惑入建星,人臣有走者。”甘氏曰:“熒惑入建星,津河水大,若出,關梁不通。”郗萌曰:“熒惑入建星,人主謀,兵罷;出建星,軍乃戰。”石氏曰:“熒惑入建星,留二十日巳上,諸侯謀反,期百十二日。”
建六星は南斗の北面にあり、天上の都関で、日月・五星の往来の中道であり、旗鼓・兵事と関梁・津渡を主る。《聖洽符》にいう、火星が建星を侵犯すれば、臣下はその君主を図り謀るか、あるいは大臣と君主が相親附せず上下は互いに猜疑し、兵事の興起があり君王に憂いがある。郗萌はいう、火星が建星を侵犯すれば、嬰児に夭折が多く、大臣の間で互いに勾結し附和する。《黄帝占》にいう、火星が建星に入れば、臣子の中に出逃する者がある。甘氏はいう、火星が建星に入れば、津渡・河道の水勢は大いに漲り、もしその中から出れば、関隘・橋梁は阻斷して通ぜない。郗萌はいう、火星が建星に入れば、君主に別の謀劃があり兵事は罷息し、建星から出れば軍隊はやっと交戦する。石氏はいう、火星が建星に入って二十日以上滞留すれば、諸侯は反叛を図り謀り、応期は百一十二日である。
甘氏曰:“熒惑舍建星,有置主。”郗萌曰:“熒惑舍建星,馬大貴。”《荊州占》曰:“熒惑舍星建星,人民起蠶桑以作婦,各安其土,天下大樂。”《黃帝占》曰:“熒惑色青,守建星北,天下有辱王,西去,天下有女主治者。”又占曰:“熒惑守建星三十日,天下有水。”
甘氏はいう、火星が建星に止宿すれば、別に君主を擁立するであろう。郗萌はいう、火星が建星に止宿すれば、馬匹の価銭は大いに騰る。《荊州占》にいう、火星が建星に止宿すれば、百姓は蚕桑の業を興弁し、婦女は各々その職を尽くし、人々は本土に安居し天下は十分に歓楽する。《黄帝占》にいう、火星の顔色が青に発して建星の北に守れば、天下に屈辱を蒙る君王があり、もしそれが西に向かって離れ去れば、天下にすなわち女主が国政を執掌する者が現れる。また一条の占辞にいう、火星が建星を守って三十日に満てば、天下に水患が発生する。
石氏曰:“熒惑守建星三十日,色赤,大旱,赤地千里,民流滿道;星色青黑,則有女君憂。”郗萌曰:“熒惑守建星,宰相坐之。”又占曰:“熒惑守旗,附三十日,兵起。”又占曰:“熒惑守建星,地氣洩,貴人多死。”《荊州占》曰:“熒惑守建星,歲水,民飢,有自賣者。”《玄冥占》曰:“熒惑守建星,諸侯有謀,若大臣有戮死者,期百八十日。”
石氏はいう、火星が建星を守って三十日に満ち、顔色が赤紅なれば、天下は大旱し千里の内は寸草も生えず、流民は道路に塞満する。もし星色が青黒なれば、女君の憂患があろう。郗萌はいう、火星が建星を守れば、宰相によってこの災咎を承当する。また一条の占辞にいう、火星が天旗の類の星を守って附着して去らず三十日に満てば、兵事が興起する。また一条の占辞にいう、火星が建星を守れば、地気は外泄して貴人に死亡が多い。《荊州占》にいう、火星が建星を守れば、当年に水澇が災を成し百姓は飢饉し、身を売って活を求める人がある。《玄冥占》にいう、火星が建星を守れば、諸侯は暗に謀があり、あるいは大臣の中に殺されて死ぬ者があり、応期は百八十日である。
熒惑犯天弁 二十四
甘氏曰:“熒惑犯天弁,若守之,則囚徒起兵;一曰五穀不成,糴大貴,人民飢。”
天弁九星は建星の北面にあり、集市の官長で、市易・列肆の事を掌管する。甘氏はいう、火星が天弁を侵犯するかあるいはそれを守候すれば、囚徒が兵を起こして乱を作すことがあろうとして、もう一説には五穀が熟さず糧価は大いに騰り百姓は飢餓するとする。
熒惑犯河鼓 二十五
巫咸曰:“熒惑犯河鼓,大將死;犯左右將,左右將死。”《黃帝占》曰:“熒惑守河鼓,軍食絕。”《文曜鉤》曰:“熒惑守河鼓三十日,大將出必有戰,守左將、左將憂;守右將、右將憂;去疾;軍罷疾;去遲,軍罷遲;期不出年。”郗萌曰:“熒惑居河鼓中,若守之日,因數出入其間百日,兵大起。”
河鼓三星は牽牛の北面にあり、中央の大星は大将軍、左右の両星は左将・右将で、天上の軍鼓を象り兵鼓・号令を主る。巫咸はいう、火星が河鼓を侵犯すれば大将は死ぬべきであり、左将・右将の両星を侵犯すれば左将・右将はすなわち死ぬ。《黄帝占》にいう、火星が河鼓を守れば、軍中は糧食が断絶する。《文曜鉤》にいう、火星が河鼓を守って三十日に満てば、大将が師を出せば必ず戦事があり、左将星を守れば左将に憂いがあり、右将星を守れば右将に憂いがある。火星の去るが速ければ軍隊の解散も速く、去るが慢ければ軍隊の解散も慢い——応験は当年を出ない。郗萌はいう、火星が河鼓の中に居留するかあるいはそれを守候し、随いて屡々この数星の間に出入して百日に満てば、兵事は大いに起こる。
熒惑犯離珠 二十六
石氏曰:“熒惑犯離珠,宮中有事,若亂宮者;若宮人有罪黜者。”《海中占》曰:“熒惑犯離珠宮,人有憂;若兵起宮中,若有誅,期二年。”《黃帝占》曰:“熒惑守離珠,有憂;行徐,憂甚,行疾,無故。”
離珠五星は須女の北面にあり、女子の佩戴する珠玉を象り、後宮の嬪御の服御の物を主る。石氏はいう、火星が離珠を侵犯すれば、宮中に事故があり、あるいは宮闈を擾乱する人があり、あるいは宮人の中に罪を獲て斥退される者がある。《海中占》にいう、火星が離珠の宮を侵犯すれば、人に憂患があり、あるいは宮中に兵変が興り、あるいは誅せられる人があり、応期は二年である。《黄帝占》にいう、火星が離珠を守れば、憂患があり、それの行度が遅緩なれば憂患は深重で、行度が迅疾なれば事故を生じない。
熒惑犯匏瓜 二十七
郗萌曰:“熒惑入匏瓜中,主人攻,一邑殘之;星出匏瓜,天下有遊兵,不戰。”甘氏曰:“熒惑犯守匏瓜二十日,狗群譁,雞夜鳴,天下盡驚,若有兵,期百八十日,若一年。”《聖洽符》曰:“熒惑犯守匏瓜,天下有憂,若有遊兵,名果貴;一曰魚鹽貴,價十倍,不出期年。”
匏瓜五星は離珠の北面にあり、後宮の蔵する果実を主り、また陰謀の事を主る。郗萌はいう、火星が匏瓜の中に入れば、主人の一方は進攻を発動し一つの城邑がこれに因って残破し、火星が匏瓜から出れば、天下に遊蕩して定まらぬ散兵があるが、交戦はしない。甘氏はいう、火星が侵犯して匏瓜を守って二十日に満てば、群狗は吠え叫び喧嘩し鶏は夜に啼鳴し、天下は尽く驚擾し、あるいは兵事があり、応期は百八十日または一年である。《聖洽符》にいう、火星が侵犯して匏瓜を守れば、天下に憂患があり、あるいは游兵が出現し、名貴の果品は価銭が騰貴し、もう一説には魚塩が価貴く十倍に漲り、応験は一年を出ないとする。
熒惑犯天津 二十八
《海中占》曰:“熒惑犯天津,關道絕,不通;有兵起,若關吏有憂。”郗萌曰:“熒惑犯天津五日,國相出走。”又占曰:“熒惑入漢中,大亂,大旱,大殘;以其所近舍四方,中央死而不葬,易世立王。”郗萌曰:“熒惑入漢中,為將相貴人有渡江事,一曰貴人溺死。”
天津九星は銀河の上に横跨し、天上の渡口で、四瀆・津梁と舟車の往来を主る。《海中占》にいう、火星が天津を侵犯すれば、関隘・道路は断絶して通ぜず、兵事の興起があり、あるいは関を守る官吏に憂いがある。郗萌はいう、火星が天津を侵犯して五日に満てば、国中の宰相は出走する。また一条の占辞にいう、火星が銀河の中に入れば、天下は大いに乱れ大旱し大いに残破に遭い、それが臨近して止宿する方位に拠って四方を分占し、もし中央に在れば、人は死しても安葬を得ず、朝代を改めて別に新王を立てるべきである。郗萌はいう、火星が銀河の中に入るのは、将帥・宰相と貴人に江を渡る事ありを主り、もう一説には貴人が溺水して死ぬとする。
又占曰:“熒惑色青,若蒼,二十日,舍天津中,必有亡海、失江;天下備道路,修橋樑。”又占曰:“熒惑赤芒而守天津三十日,關梁不通,不可以渡,人主有憂;若諸侯兵起,有亡國,期一年,遲二年。”石氏曰:“熒惑守天津,兵船大貴。”《聖洽符》曰:“熒惑入天津,去復還守之,津道不通,諸侯起兵,天下亂,期三年。”
また一条の占辞にいう、火星の顔色が青に発するかあるいは蒼白で、二十日に満ちて天津の中に止宿すれば、必ず海道の失守・江防の喪失の事があり、天下は道路を整治し橋梁を修繕するべきである。また一条の占辞にいう、火星が赤色の星芒を帯びて天津を守って三十日に満てば、関隘・橋梁は阻斷して通ぜず水を渡ることができず、君主に憂いがあり、あるいは諸侯が兵を起こし国家の敗亡があり、応期は一年、遅ければ二年である。石氏はいう、火星が天津を守れば、兵船の価銭は大いに騰る。《聖洽符》にいう、火星が天津に入って離れ去った後また折り返って来てそれを守れば、渡口・水道は通ぜず、諸侯は兵を起こし天下は動乱し、応期は三年である。
熒惑犯螣蛇 二十九
石氏曰:“熒惑犯螣蛇,魚鹽貴。”甘氏曰:“熒惑守螣蛇,天子前驅凶,若奸臣有謀,前驅為害。”《海中占》曰:“熒惑入守螣蛇,天子憂前驅為害;若因水為敗,期不出年。”
螣蛇二十二星は営室の北面にあり、水虫の神で、水中の怪異を主り、また天子の前導・護衛を主る。石氏はいう、火星(熒惑)が螣蛇を侵犯すれば、魚塩は価貴い。甘氏はいう、火星が螣蛇を守れば、天子の前導・護衛に凶険があり、あるいは奸臣が暗に図り謀り、前駆の士は反って禍害となる。《海中占》にいう、火星が入って螣蛇を守れば、天子は前導・護衛が禍害となることを憂慮し、あるいは水患に因って敗損に遭い、応験は当年を出ない。
熒惑犯王良 三十
巫咸曰:“熒惑入王良,人主墮墜,以車為敗,馬多死,關道不通。”郗萌曰:“熒惑入王良,車騎貴。又占曰:熒惑入天橋,赦。”又占曰:“熒惑舍王良,地動。”石氏曰:“熒惑三十日舍王良,將亡,一曰將士皆亡,車騎行。”
王良五星は奎宿の北面にあり、天子の車騎の御者で、車馬と橋梁の事を主る。巫咸はいう、火星が王良に入れば、君主は車を墜として傷を摔け、車駕に因って事を敗し、馬匹は大批に死亡し、関隘・道路は通ぜない。郗萌はいう、火星が王良に入れば、車馬は価貴い。また一条の占辞にいう、火星が天橋に入れば、赦令があろう。また一条の占辞にいう、火星が王良に止宿すれば、地震が発生する。石氏はいう、火星が王良に止宿して三十日に満てば、将帥は敗亡し、もう一説には将士はみな敗亡し車騎はこれに随って出動するとする。
《文曜鉤》曰:“熒惑守王良,津橋不可渡,並諸侯不通;守之三十日,大兵起,車騎行,期二年。”《春秋緯》曰:“熒惑守王良,兵馬起。”郗萌曰:“熒惑守王良,天下大水,道不通。”郗萌曰:“熒惑守天馬,天子馬多死者。”《齊伯占》曰:“熒惑守王良,天下有兵,諸侯相攻,強臣謀主,期不出年。”
《文曜鉤》にいう、火星が王良を守れば、渡口・橋梁は通行できず、諸侯の間の往来さえも阻隔して通ぜない。守候して三十日に満てば、大兵が興起し車騎は出動し、応期は二年である。《春秋緯》にいう、火星が王良を守れば、兵馬はこれに興起する。郗萌はいう、火星が王良を守れば、天下は大水を発し道路は通ぜない。郗萌はまたいう、火星が王良の近旁の天馬星を守れば、天子の養う馬匹は多く死亡する。《斉伯占》にいう、火星が王良を守れば、天下に兵事があり諸侯は互いに攻伐し、強横の臣は君主を図り謀り、応験は当年を出ない。
熒惑犯閣道 三十一
巫咸曰:“熒惑守閣道,閣道中有伏兵,臣有謀主者;若宮中兵起,期百八十日,若一年。”《荊州占》曰:“熒惑守閣道,中有伏兵,人主當藏房中,或備女兵。”石氏曰:“熒惑犯守閣道而絕漢者,為九州異政,各主其王,天下有兵,期二年。”
閣道六星は王良の前にあり、天子が紫宮から別宮に通ずる複道で、鑾輿の巡幸の通路を主る。巫咸はいう、火星が閣道を守れば、閣道の中に兵馬が埋伏し、君主を図り謀る臣子があり、あるいは宮中に兵変が興り、応期は百八十日または一年である。《荊州占》にいう、火星が閣道を守れば、その中に伏兵があり、君主は当に内室に深藏すべく、あるいは予め女兵を安排して防衛する。石氏はいう、火星が侵犯して閣道を守り銀河を横断すれば、九州が各々その政を行い各々自家の王を擁立する兆しで、天下に兵事があり、応期は二年である。
熒惑犯附路 三十二
石氏曰:“熒惑守附路,太僕有罪,若有誅,一曰馬多死,道無乘馬者。”
附路一星は閣道の南面にあり、閣道の旁道で、車駕の出行の副路を主る。石氏はいう、火星(熒惑)が附路を守れば、車馬を掌る太僕は罪を獲るかあるいは誅せられ、もう一説には馬匹が大批に死亡して道上に騎馬の人を見ないとする。
熒惑犯天将軍 三十三
郗萌曰:“熒惑入天大將軍,興軍者吉。”《荊州占》曰:“熒惑舍天大將軍,有陰謀。”石氏曰:“熒惑守天大將軍,軍吏不安,飢為敗。”巫咸曰:“熒惑守天大將軍三十日,天下有兵,大將出行,期一年。”《荊州占》曰:“熒惑守天大將軍,兵大起,將軍行。”石氏曰:“熒惑守犯天大將軍,為大將軍死,若誅。”
天将軍十二星は婁宿の北面にあり、中央の大星は天上の大将、四周の小星は吏士で、征伐・威武の事を主る。郗萌はいう、火星が天大将軍に入れば、兵を興し衆を動かす一方は吉利である。《荊州占》にいう、火星が天大将軍に止宿すれば、陰謀があろう。石氏はいう、火星が天大将軍を守れば、軍中の官吏は安寧を得ず、糧を缺き飢餓することに因って敗に至る。巫咸はいう、火星が天大将軍を守って三十日に満てば、天下に兵事があり大将は師を出し、応期は一年である。《荊州占》にいう、火星が天大将軍を守れば、兵事は大いに起こり将軍は出行する。石氏はいう、火星が守候して天大将軍を侵犯するのは、大将軍の身死あるいは誅せられるを主る。
熒惑犯大陵 三十四
石氏曰:“熒惑入大陵,國有大喪,大臣誅,若戮死者大半;皆不出年。”《荊州占》曰:“熒惑入大陵,女主宗室有誅者。”又占曰:“熒惑入大陵,天下盡喪,死人如丘山。”《玉曆》曰:“熒惑入守大陵,天子崩;若倖臣有死者,大人當;之期二年。”
大陵八星は胃宿の北面にあり、陵墓・丘塚を主り、宿中に積尸の星がありもっぱら死喪に応ずる。石氏はいう、火星が大陵に入れば、国に大喪があり大臣は誅せられ、あるいは殺されて死ぬ者が半ばを過ぎるほどに多い——これらはいずれも当年を出ずに応験する。《荊州占》にいう、火星が大陵に入れば、女主と宗室の中に誅殺される者がある。また一条の占辞にいう、火星が大陵に入れば、天下は尽く喪事で、死人は積み重なって丘陵・山岡のごとし。《玉暦》にいう、火星が入って大陵を守れば、天子は駕崩し、あるいは寵を受ける臣の中に死去する者があり、貴人によってこの災咎を承当し、応期は二年である。
熒惑犯天船 三十五
巫咸曰:“熒惑入天船,諸侯有自立者,有兵起,若關津不通,人主憂。”郗萌曰:“熒惑守天船,不出三年,樓船大作,五穀大貴。”《玄冥占》曰:“熒惑守天船,天下有兵,若有喪,守之三十日,有亡國。”《聖洽符》曰:“熒惑入守天船,兵大起,舟楫用,有亡國,期不出年。”
天船九星は大陵の北面にあり、銀河の中に居り、水を渡り険を済す事と舟航の事を主る。巫咸はいう、火星が天船に入れば、諸侯の中に自ら立って君と為る者があり兵事の興起があり、あるいは関隘・渡口は阻塞して通ぜず、君主に憂いがある。郗萌はいう、火星が天船を守れば、三年を出ずに楼船を大造するべく、五穀の価銭は大いに騰る。《玄冥占》にいう、火星が天船を守れば、天下に兵事があり、あるいは喪事があり、守候して三十日に満てば、国家の敗亡があろう。《聖洽符》にいう、火星が入って天船を守れば、兵事は大いに起こり舟楫・水軍は用場に派せられ、国家の敗亡があり、応験は当年を出ない。
熒惑犯巻舌 三十六
郗萌曰:“熒惑入捲舌,國有佞臣謀其君,以口舌為害,人主有憂。”石氏曰:“熒惑乘捲舌,天下多喪。”《春秋緯》曰:“熒惑守捲舌,天下多亂,謀國君,以口舌之害,起寇。”石氏曰:“熒守捲舌,有讒言亂主明口,口舌作。”《文曜鉤》曰:“熒惑入捲舌,若守之,天下大旱,有兵起;讒臣亂主,其國有憂,期不出年。”
巻舌六星は昴宿の北面にあり、人の口舌を象り、もっぱら讒佞の臣と流言の禍を占う。郗萌はいう、火星が巻舌に入れば、国に佞臣があってその君主を図り謀り、口舌を以て是非を搬弄して害を為し、君主に憂いがある。石氏はいう、火星が巻舌の上に凌駕すれば、天下に喪事が多い。《春秋緯》にいう、火星が巻舌を守れば、天下に乱事が多く、国君を図り謀る人があり、口舌の禍に因って寇兵を招来する。石氏はいう、火星が巻舌を守れば、君主の清明の耳目を蒙蔽する讒言があり、口舌の是非が興起する。《文曜鉤》にいう、火星が巻舌に入るかあるいはそれを守候すれば、天下は大旱し兵事の興起があり、讒佞の臣は君主を迷惑し、その分野の国に憂いがあり、応験は当年を出ない。
熒惑犯五車 三十七
石氏曰:“熒惑犯五車,大旱,若有喪;一曰犯庫星,兵起西北方,若西方;犯倉星,穀貴,若有水。”《黃帝占》曰:“熒惑入五車、大旱;一曰留不去,大旱。”《海中占》曰:“熒惑入五車,兵大起,車騎行,五穀不成,天下民飢,若軍絕糧。”巫咸曰:“熒惑入五車,天下亂,大兵起,其國大旱,人民飢亡;若有赦,期百八十日。”
五車五星は畢宿の東北にあり、天子の五種の兵車で、また五穀・倉廩を主り、その間に天庫・天倉・天獄などの星が分列する。石氏はいう、火星が五車を侵犯すれば、天下は大旱し、あるいは喪事があり、もう一説には庫星を侵犯すれば、兵事は西北方に起こるかあるいは西方に起こり、倉星を侵犯すれば、穀価は騰貴するかあるいは水患が発生するとする。《黄帝占》にいう、火星が五車に入れば、天下は大旱し、もう一説には滞留して去らなければ、これすなわち大旱であるとする。《海中占》にいう、火星が五車に入れば、兵事は大いに起こり車騎は出動し、五穀は熟さず天下の百姓は飢餓し、あるいは軍中が糧を断つ。巫咸はいう、火星が五車に入れば、天下は動乱し大兵が興起し、その分野の国は大旱し百姓は飢餓・流亡し、あるいは赦令があり、応期は百八十日である。
郗萌曰:“熒惑入五車,大旱;以所近,占四方、中央。”又占曰:“熒惑入五車,赦,必先軍起,後有令。”又占曰:“熒惑以春入五車,赦。”韓楊曰:“熒惑出入五車,貴人溺死。”郗萌曰:“熒惑至五車,兵在外者有功,得地五百里。”
郗萌はいう、火星が五車に入れば、天下は大旱し、それが臨近するあの星に拠って四方と中央の応験を分別して占断する。また一条の占辞にいう、火星が五車に入れば、赦令があろうが、必ず先に軍事が興起し、随いて後に赦命を下す。また一条の占辞にいう、火星が春季に五車に入れば、赦令があろう。韓楊はいう、火星が五車に出入すれば、貴人は溺水して死ぬ。郗萌はいう、火星が五車に行き至れば、外にあって征戦する軍隊は戦功があり、五百里の土地を開拓し得る。
《黃帝占》曰:“熒惑過畢口,直五車一月,兵連戰一歲;留二月,兵連戰二歲;留三月,兵連戰三歲;若其留土車,兵在外有小功,得地百五十日,留水車,當以水為難。”郗萌曰:“熒惑出五車東,東西留二十日以上,卿死之;去之復還,其國君死之;有大赦。”又占曰:“熒惑舍五車西南,萬民多死。”
《黄帝占》にいう、火星が畢宿の口部を越えて五車に正対して一か月に満てば、兵馬は連年に交戦して一年、二か月滞留すれば連戦二年、三か月滞留すれば連戦三年である。もしそれが土車星に滞留すれば、外にある軍隊はやや小功があり、百五十日路程の土地を得られ、水車星に滞留すれば、まさに水患に因って困厄に遭わんとする。郗萌はいう、火星が五車の東に出て東西の両側に二十日以上滞留すれば、公卿はこれに因って死に、離れ去った後また折り返って来れば、その国の君主はこれに因って死に、併せて大赦があろう。また一条の占辞にいう、火星が五車の西南に止宿すれば、万民に死亡が多い。
《黃帝占》曰:“熒惑守五車星,五穀大貴,人相食。”郗萌曰:“熒惑守五車,必易帝王;天下有以車之名官者,大敗;有車器之怪。”又占曰:“熒惑守五車,格、休留十日,有大喪。”又占曰:“熒惑守五車二十日,有喪;以入日占何國。”又占曰:“熒惑守五車,格、休、右軍大發;一曰大赦。”《黃帝占》曰:“熒惑入五車中,犯乘守天倉星,下轉,菽粟大貴。”又占曰:“熒惑入五車中,犯乘守天倉星,以食起兵。”《荊州占》曰:“熒惑入五車中,犯乘守天庫星,兵起,亂十年。”
《黄帝占》にいう、火星が五車星を守れば、五穀の価銭は大いに騰り人が人を食うに至る。郗萌はいう、火星が五車を守れば、必ず帝王を更換するべく、天下のおよそ車を以て名とする官職はいずれも大敗し、併せて車馬・器具の方面の怪異が出現する。また一条の占辞にいう、火星が五車を守って格星・休星の処に十日滞留すれば、大喪があろう。また一条の占辞にいう、火星が五車を守って二十日に満てば、喪事があり、それが入宿の日辰に拠ってどの国に応じるかを占断する。また一条の占辞にいう、火星が五車を守って格星・休星の処にあれば、右軍は大挙して出動し、もう一説には大赦があるとする。《黄帝占》にいう、火星が五車の中に入って天倉星を侵犯し凌駕し守り、下に向かって運行すれば、豆穀の価銭は大いに騰る。また一条の占辞にいう、火星が五車の中に入って天倉星を侵犯し凌駕し守れば、糧食の事に因って起兵するであろう。《荊州占》にいう、火星が五車の中に入って天庫星を侵犯し凌駕し守れば、兵事が興起し動乱は十年に継続する。
熒惑犯天関 三十八
《海中占》曰:“熒惑入入天關,左右必有置立關塞之事;一曰必有逆兵不順者。”石氏曰:“熒惑守天關,道路不通,多盜賊,弟攻兄,子攻父,臣攻君。”
天関一星は五車の南面にあり、天上の関門で、辺塞・関隘と道路の開閉を主る。《海中占》にいう、火星が天関に入れば、君主の左右に必ず関塞を設置する事があり、もう一説には必ず命令に服従せざる叛逆の兵があるとする。石氏はいう、火星が天関を守れば、道路は阻塞して通ぜず盗賊は众多で、弟は兄を攻撃し子は父を攻撃し臣子は君主を攻撃する。
郗萌曰:“熒惑守天關,大臣有不道者。”又占曰:“熒惑守天關二十日,若四十日,天下大赦。”又占曰:“熒惑守天關,必有一國之王不朝者,車有急行。”《荊州占》曰:“熒惑守天關,為有兵;關梁不通。”《玄冥占》曰:“熒惑守天關,若以七月、十月守之,二十日、若三十日,必有大赦,期不出年。”
漢代の占家郗萌はいう、火星「熒惑」が停駐して「天関」星のそばに守候すれば(天関一星は畢宿と觜宿の間にあり、日月・五星の出入に必ず経る門戸である)、朝中に悖逆・無道の大臣ありを主る。また一条の占辞にいう、熒惑が天関を守ること二十日に達するかあるいは四十日に達すれば、天下はまさに大赦を頒行せんとする。また一条の占辞にいう、熒惑が天関を守れば、必ずある一国の君王が朝覲に来ず、併せて車駕の倉促に出行する事がある。《荊州占》にいう、熒惑が天関を守るのは兵事ありを主り、関隘・橋梁は阻斷され往来は通ぜない。《玄冥占》にいう、熒惑が天関を守るに、もし七月あるいは十月に来て守り、二十日あるいは三十日守候すれば、必ず大赦があり、応期は当年を出ない。
《帝覽嬉》曰:“熒惑逆行,守天關,車騎有急行,兵大起,士卒滿野,期九十日。”《雒書摘亡闢》曰:“熒惑逆行,守天關,東方兵起。”《荊州占》曰:“熒惑入天關留止守焉,不出百日,天下兵悉起,州州戰。”《海中占》曰:“熒惑守犯天關,道絕;天下相疑,有關梁之令。”郗萌曰:“熒惑行,不從天關,不出其年,有兵。”
《帝覧嬉》にいう、熒惑が倒退・逆行して天関を守るのは、車馬・騎兵に緊急の調発があり兵事が大規模に興起し、士卒は原野に布満する兆しで、応期は九十日である。《雒書摘亡辟》にいう、熒惑が逆行して天関を守るのは、東方の兵事の興起を主る。《荊州占》にいう、熒惑が天関の星区に入り、滞留して去らずそこに守候すれば、百日を出ずに天下の兵はすべて起こり、州と州は互いに攻戦する。《海中占》にいう、熒惑が既に守りまた天関を衝犯するのは、道路の断絶を主り、天下の人は彼此に猜疑し、朝廷は関隘・橋梁を封鎖する命令を下達するべきである。郗萌はいう、熒惑が運行するとき天関に循らずして過ぎれば、この一年を出ずに兵事があろう。
熒惑犯南北河戍 三十九
《黃帝占》曰:“熒惑行南河戍中,若留止守南河戍為旱。”石氏曰:“熒惑行南河戍中,若留止者,為四方兵起,百姓疾病。”郗萌曰:“熒惑行南河戍中,若留止守南河戍,皆為兵。”又占曰:“熒惑經南河戍之南,行法峻暴,誅罰不當;經北河戍之北,以女子金錢、貪色、奢侈、失治道;近期三年,中期六年,遠期九年而災至。”
《黄帝占》にいう、火星「熒惑」が行って南河三星の戍守の内に入るか、あるいは滞留して南河戍を守候すれば、天下の大旱を主る。戦国の魏国の天文家石申はいう、熒惑が行って南河戍の中に入るか、あるいはそこに停留して去らなければ、四方の兵事の興起を主り、百姓は多く疾病を生ずる。郗萌はいう、熒惑が行って南河戍の中に入るか、あるいは滞留して南河戍を守候すれば、いずれも兵事を主る。また一条の占辞にいう、熒惑が南河戍の南辺を経れば、執法が苛刻・残虐で刑罰・誅戮が失当である兆しで、北河戍の北辺を経れば、君上が女色・銭財を貪戀し生活が奢侈して治国の道を喪失する兆しである——近ければ三年、中ばなれば六年、遠ければ九年に災禍が至る。南河・北河は各三星で、東井の南北両側を夾み、古人はこれを「南戍」「北戍」と称し、天上の関梁で、中国と胡の地の分界である。
《荊州占》曰:“熒惑中犯乘守南河戍,天下兵盡起。”《黃帝占》曰:“熒惑乘南河戍,若出南河,為中國兵。”又占曰:“熒惑舍南河戍二十日,若三十日,國有男喪。”《海中占》曰:“熒惑舍南闕下,飢。”《黃帝占》曰:“熒惑蝕南河戍西星,有兵;蝕南河戍東星,天下州戰。”巫咸曰:“熒惑過南河戍之西星,木果不實。”
《荊州占》にいう、熒惑が正しく衝き・侵犯し・凌駕しそして南河戍を守候するのは、天下の兵がすべて起こる兆しである。《黄帝占》にいう、熒惑が南河戍の上に凌駕するか、あるいは南河から穿ち出れば、中原の国に兵事ありを主る。また一条の占辞にいう、熒惑が南河戍に寄宿して二十日に達するかあるいは三十日なれば、国中に男子の喪事ありを主る。《海中占》にいう、熒惑が南面の闕門の下に寄宿するのは飢饉を主る。《黄帝占》にいう、熒惑が南河戍の西星を掩蝕すれば兵ありを主り、南河戍の東星を掩蝕すれば天下の各州が互いに攻戦するを主る。巫咸はいう、熒惑が南河戍の西星を越えれば、樹上の果実が結ばない兆しである。
郗萌曰:“熒惑守南河戍間,大國君重不吉,子代。”又占曰:“熒惑守南河戍,女主憂,若多旱災。”石氏曰:“熒惑守南河,蠻夷兵起邊戍,有憂;若有旱災,人民飢。”《玉曆》曰:“熒惑守南河戊,以火為害;一曰邊寇入境。”《文曜鉤》曰:“熒惑逆行,犯守南河,有男主之喪;若犯乘守南戍,天下兵盡起;一曰家相擊;一曰州戰;一曰飢。”
郗萌はいう、熒惑が南河戍の両星の間に守れば、大国の君の処境は極めて不吉で、その子によって君位を接替するであろう。また一条の占辞にいう、熒惑が南河戍を守るのは、后妃の類の女主に憂患ありを主り、あるいは旱災が頻発する。石申はいう、熒惑が南河を守るのは、蛮夷が辺地の戍所で兵を起こし辺境に憂いありを主り、あるいは旱災に遭遇して百姓は飢餓する。《玉暦》にいう、熒惑が南河戍を守れば(源文は「戊」と作る、「戍」の形近の訛りである)、火を以て害を成すを主り、もう一説には辺地の賊寇が国境に侵入するとする。《文曜鉤》にいう、熒惑が倒退・逆行して南河を衝犯し守候するのは、男性の君主の喪事ありを主り、もし南戍を衝犯・凌駕・守候すれば天下の兵がすべて起こるを主り、もう一説には各家族が互いに攻撃し、もう一説には各州が互いに攻戦し、もう一説には飢饉が発生するとする。
郗萌曰:“熒惑入北河戍,從西入六十日,有喪;從東入五十日,有兵。”《荊州占》曰:“熒惑入北河,守戍西,留上焉,不出,即天下兵悉起。”《荊州占》曰:“熒惑入北河戍,大臣有盜賊者。”郗萌曰:“熒惑北至北戍,去北戍三丈,當復發千人以上;去北戍二丈,復萬人以上;去北戍一丈,城閉,道無人行。”又占曰:“熒惑守北河戍,環繞之,主突厥主死。”
郗萌はいう、熒惑が北河戍に入って西辺から入るものは六十日以内に喪事があり、東辺から入るものは五十日以内に兵事がある。《荊州占》にいう、熒惑が北河に入って戍星の西側に守り、そこに滞留して去ろうとしなければ、天下の兵はすべて起こるであろう。《荊州占》はまたいう、熒惑が北河戍に入るのは、大臣の中に盗賊の勾当を為す人ありを主る。郗萌はいう、熒惑が北行して北戍に到達し、北戍に距ること三丈なれば、当にさらに千人以上を征発すべく、北戍に距ること二丈なればさらに一万人以上を征発し、北戍に距ること一丈なれば、城門は緊閉し道路上に行人なし。また一条の占辞にいう、熒惑が北河戍を守ってそれを繞り盤旋して環を成せば、突厥の君長の死亡を主る。
《黃帝占》曰:“熒惑入若舍河戍,天下有覆獄移擊;二曰大臣誅。”郗萌曰:“熒惑舍北河戍三十日,有女喪。”《文曜鉤》曰:“熒惑守北河邊,兵大起,來侵境;若守之二十日,其國有憂。”郗萌曰:“熒惑守北戍間,大國女主重不吉。”又占曰:“熒惑失度,守陰門若陰陽,皆為諸侯奸。”《荊州占》曰:“熒惑守北河戍,有兵兵罷,無兵兵起;一曰水。”《玄冥占》曰:“熒惑守北河三十日不下,天下大水,人民飢,期不出年,若二年。”
《黄帝占》にいう、熒惑が河戍に入るかあるいは寄宿すれば、天下に翻案・重審し案を移し判を改める事ありを主り、もう一説には大臣が誅せられるとする。郗萌はいう、熒惑が北河戍に寄宿して三十日に達すれば、女子の喪事ありを主る。《文曜鉤》にいう、熒惑が北河の一側に守れば、兵事の大いに起こるを主り敵人は来て辺境を侵犯し、もし二十日守候すればあの一国に憂患がある。郗萌はいう、熒惑が北戍の両星の間に守れば、大国の女主の処境は極めて不吉である。また一条の占辞にいう、熒惑が運行して常度を失い陰門あるいは陰陽の位に守れば、いずれも諸侯が奸謀を心に懐くを主る。《荊州占》にいう、熒惑が北河戍を守れば、もと兵あれば兵事はすなわち停息し、もと兵なければすなわち兵事を興起し、もう一説には大水を発するとする。《玄冥占》にいう、熒惑が北河を守って三十日に達して退け下らなければ、天下の大水を主り百姓は飢饉し、応期は一年を出ず、あるいは二年である。
郗萌曰:“熒惑出北河戍北,若守北河戍,環繞之,邊境將帥有不請於上,而伐夷狄之君者,勝之。”巫咸曰:“熒惑守若舍北河戍之西者,人相食;蝕北戍之東星,五穀無實。”《黃帝占》曰:“熒惑留止守北河戍,不出百日,天下兵悉起。”又占曰:“熒惑守若蝕北戍之東星,有兵。”郗萌曰:“熒惑守輿鬼,逆行守北河,有女子喪。”又占曰:“熒惑舍兩河中,留二十日,關河不渡,諸侯不通。”
郗萌はいう、熒惑が北河戍の北面から穿ち出るか、あるいは北河戍を守候してそれを繞り盤旋して環を成せば、辺境の将帥に朝廷に命を請わず擅りに兵を出して夷狄の君を討伐し、しかも勝を取る者ありを主る。巫咸はいう、熒惑が北河戍の西星を守候するか寄宿すれば、人が相食する大荒を主り、北戍の東星を掩蝕すれば五穀が実を結ばないを主る。《黄帝占》にいう、熒惑が滞留して北河戍を守候すれば、百日を出ずに天下の兵はすべて起こる。また一条の占辞にいう、熒惑が北戍の東星を守候するか掩蝕すれば、兵事ありを主る。郗萌はいう、熒惑が輿鬼星を守候してまた逆行して北河を守りに行けば、女子の喪事ありを主る。また一条の占辞にいう、熒惑が南北両河の間に寄宿して二十日停留すれば、関口・河川は渡越できず諸侯の間は音問が断絶するを主る。
《黃帝占》曰:“熒惑守南北河三十日,諸川皆溢。”《文曜鉤》曰:“熒惑守兩河,兵起,天下因悲。”司馬遷《天官書》曰:“熒惑守南北河,谷不登。”郗萌曰:“熒惑守兩河戍間百日,天下中隔不通。”《荊州占》曰:“熒惑守兩河間,天下乖離,道路不通。”
《黄帝占》にいう、熒惑が南河・北河を守って三十日に達すれば、各条の河流はいずれも泛濫・漫溢せんとするを主る。《文曜鉤》にいう、熒惑が南北の両河を守れば、兵事の興起を主り天下はこれに因って悲苦に陥る。司馬遷《史記・天官書》にいう、熒惑が南河・北河を守れば、穀物の歉収を主る。郗萌はいう、熒惑が両河戍の間に守って百天に達すれば、天下が中間より隔絶され南北は往来できないを主る。《荊州占》にいう、熒惑が両河の間に守れば、天下の人心は離散・乖違し道路は阻塞して通ぜぬを主る。
石氏曰:“熒惑久守天闕門,主絕祀,以入日占國。”郗萌曰:“熒惑守天闕門中三十日,有大喪。”又占曰:“熒惑守日月之門,國內亂,以其日占國。”又占曰:“熒惑入天高,先軍起,後有赦。”又占曰:“熒惑守衡星,大國女主有憂。”《黃帝占》曰:“熒惑入天高中,留二十日,小赦;三十日,大赦。”郗萌曰:“熒惑不行天門,天闕門為有喪。”又占曰:“熒惑逆行天高中,必在破軍死將,亡國去王。”
石申はいう、熒惑が長久に天闕門(南北両河の間の門戸で、日月・五星はこれより出入する)に守れば、君主が宗廟の祭祀を断絶したを主り、どの国に応じるかは熒惑が門に入ったあの日の干支に拠って推断する。郗萌はいう、熒惑が天闕門の中に守って三十日に達すれば、大喪ありを主る。また一条の占辞にいう、熒惑が日月出入の門を守れば、国内の変乱を主り、当日の干支に拠ってどの国に応じるかを推断する。また一条の占辞にいう、熒惑が天高星に入れば、先に軍興があり随いて赦令を頒行する。また一条の占辞にいう、熒惑が衡星を守れば、大国の女主に憂患ありを主る。《黄帝占》にいう、熒惑が天高星の中に入って二十日停留すれば小赦を行い、三十日停留すれば大赦を行う。郗萌はいう、熒惑が運行して天門を走らず天闕門を走れば、喪事ありを主る。また一条の占辞にいう、熒惑が天高星の中で逆行すれば、必ず軍隊の撃破・将領の戦死、国家の敗亡・君王の出走に応ずる。
