開元占経 巻八十四
客星占 其の八
客星が石氏外官を犯す
客星が天庫楼を犯す 其の一
《黃帝占》曰:“客星入天庫,以飢兵起。”石氏曰:“客星入天庫,糴大貴,為後年。”《天官書》曰:“客星入天庫,邊郡之兵起,此為外夷之事。”郄萌曰:“客星犯天庫,五穀大貴,入庫中,糴石百;處其旁,石五十。”郄萌曰:“客星入天庫,牛馬有行。”郄萌曰:“客星入天庫,兵起,十年亂。”
《黄帝占》に曰く:客星が「天庫」に入れば、飢饉によって兵事が起こる。庫楼は十星、角宿の南にあり、兵車と武庫を主管し、天庫はその中の一星である。石氏に曰く:客星が天庫に入れば、糴米の値が大いに上がり、二年に応ずる。《史記・天官書》に曰く:客星が天庫に入れば、辺郡の兵事が起こり、これは外族に関する事である。郄萌に曰く:客星が天庫を犯せば、五穀の値が大いに上がる。庫の中に入れば米は一石につき百銭、庫のそばに処れば一石につき五十銭。郄萌に曰く:客星が天庫に入れば、牛馬は駆り立てられて調運される。郄萌に曰く:客星が天庫に入れば、兵事が起こり、動乱は十年続く。
《荊州占》曰:“客星入天庫,有兵發行。”《黃帝占》曰:“客星出庫樓,兵車用,若守之,邊兵大起,庫兵出,車騎行,期二年,遠三年。”《荊州占》曰:“客星入若守之天庫,外夷兵起;一曰:官兵憂。”《黃帝占》曰:“客星入若乘守天庫,兵車出用。”
《荊州占》に曰く:客星が天庫に入れば、兵馬が開拔して出征する事がある。《黄帝占》に曰く:客星が庫楼に現れれば、兵車は用をなす。もし留まって守れば、辺境の兵事が大いに起こり、武庫の中の兵器は搬出され、車馬・騎兵は出動し、期限は二年、遠くは三年である。《荊州占》に曰く:客星が天庫に入るかあるいは留まれば、境外の夷族は兵を興す。一説に官軍に憂患がある。《黄帝占》に曰く:客星が天庫に入り、凌乗し、あるいは留まれば、兵車は出して用いられる。
客星が南門を犯す 其の二
石氏曰:“客星出南門,若守之,關梁塞,道路不通,人民憂。”石氏曰:“南門中有小星三芒者,則兵車出。”
石氏に曰く:客星が「南門」に現れ、あるいは留まって守れば、関隘・橋梁は塞がれ、道路は通じず、人民は憂困する。南門は二星、庫楼の南にあり、天上の外門で、関隘の守衛を主管する。石氏に曰く:南門の中に三つの芒角を帯びた小さな星が現れれば、兵車はまさに出る。
司馬彪《天文志》曰:“孝靈中平二年十月癸亥,客星出南門中,大如半筵,五色喜怒稍小。至後年六月,乃消。占曰:為兵。至六年,司隸校尉袁紹誅滅中官大將軍部曲將吳匡,攻煞車騎將軍何苗,死者合數千人。”
司馬彪《続漢書・天文志》に曰く:漢の霊帝・中平二年十月癸亥の日、客星が南門の中に現れ、大きさは半張の筵のごとく、光色は五彩に変幻して明暗は定まらず、その後しだいに小さくなり、翌年六月に至ってようやく消えた。占辞にこれは兵禍の象であるという。中平六年に至り、司隸校尉・袁紹は宦官を誅滅し、大将軍・何進の部曲将・呉匡らは車騎将軍・何苗を攻め殺し、死んだ人は合わせて数千に及んだ。
客星が平星を犯す 其の三
石氏曰:“客星出平星,賦斂之臣憂而有退罪者,若庫吏不忠,當有廢出,期不出一年。”
石氏に曰く:客星が「平星」に現れれば、賦税の徴収を掌る臣子に憂患があり、その中に罪を得て退職する者があるか、あるいは庫吏が職守に忠ならず、廃黜されて逐い出されるべきで、応験は一年を出ない。平星は二星、庫楼の北にあり、平準の法度と徴斂の事を主管するので、変異は賦税・銭粮の官員に応ずる。
客星が騎官を犯す 其の四
石氏曰:“他星入騎官,有喜。”《玉曆》曰:“客星出騎官星,若守之,有兵起,將軍有出者。”石氏曰:“客星守騎官,將出有憂。”《荊州占》曰:“客星守騎官,士卒發用。”
石氏に曰く:別の変異の星が「騎官」に入れば、喜事を主る。騎官は二十七星、氐宿の南にあり、天子の宿衛の騎兵である。《玉歴》に曰く:客星が騎官に現れ、あるいは留まって守れば、兵事が起こり、将軍の中に兵を率いて出征する者がある。石氏に曰く:客星が騎官に留まれば、将は出征して憂患がある。《荊州占》に曰く:客星が騎官に留まれば、士卒は徴発・動用される。
客星が積卒を犯す 其の五
石氏曰:“他星守積卒,主兵臣誅。”石氏曰:“客星出守積卒,兵士為亂,近臣有誅,士卒多死。”
石氏に曰く:別の変異の星が「積卒」に留まれば、兵事を掌る臣子は誅殺される。積卒は十二星、房宿の南にあり、聚集した衛士で、守衛を主管する。石氏に曰く:客星が積卒に現れてそこに留まれば、兵士は乱を起こし、近臣の中に誅殺される者があり、士卒は多く死亡する。
客星が亀星を犯す 其の六
郄萌曰:“客星入龜星,小憂,無傷也;又曰:天下大倉發。”甘氏曰:“客星出龜星,珠玉貴,寶物不入;若守之,君臣不和,上下乖離。”
郄萌に曰く:客星が「亀星」に入れば、小さな憂患があるだけで、大きな損傷はない。又曰く天下の大倉が開倉して粮を放つ。亀星は五星、尾宿の南にあり、亀は水中の物で、また卜筮に用いられるので、その占は水事と宝貨を兼ね及ぶ。甘氏に曰く:客星が亀星に現れれば、珠玉の値が貴く、宝物は運び入れることができない。もし留まって守れば、君臣の間は和を失い、上下は互いに乖離する。
客星が傅説を犯す 其の七
聖洽符曰:“客星守傅說,王者後宮少子孫,若有絕後者。”
《聖洽符》に曰く:客星が「傅説」に留まれば、君王の後宮は子孫が少なく、さらに後嗣を絶つ者がある。傅説は一星、尾宿の後にあり、傅説はもともと殷の高宗の賢相で、伝えるところでは死後天に昇ってこの星と化し、子嗣を求めることと後代の綿延を主管するので、その占辞はもっぱら子孫の一事に応ずる。
客星が魚星を犯す 其の八
齊伯曰:“客星出魚星,鹽魚貴再倍;若守之,搖動,大貴五倍;一曰:有大水,期不出一年。”
斉伯に曰く:客星が「魚星」に現れれば、塩と魚の値は二倍に上がる。もし留まって守って、しかも星光が揺動して定まらなければ、五倍に大いに上がる。一説に大水が発して、応験は一年を出ない。魚星は尾宿の後にあり、位は天の河の中に当たり、水族の象なので、その占辞はもっぱら魚塩と水患を主る。
客星が杵星を犯す 其の九
《甄曜度》曰:“客星出杵星而守之,天下兵起,有稅米粟之事。”
《甄曜度》に曰く:客星が「杵星」に現れてそこに留まれば、天下に兵事が起こり、米粟を徴収する事がある。杵は三星、箕宿の南にあり、米を舂く木杵の象で、粮食の舂擣を主管するので、その変異は米粟の徴斂に応ずる。
客星が鼈星を犯す 其の十
《黃帝占》曰:“客星守鱉星,有白衣之會。”石氏曰:“有星入鱉星,有水令。”《海中占》曰:“客星出守鱉星,有白衣之眾聚,若天下有水,水物不成,期百八十日,遠一年。”
《黄帝占》に曰く:客星が「鼈星」に留まれば、白衣を着る喪事の集会がある。鼈は十四星、南斗の南にあり、水中の介甲の物で、水族を主管する。石氏に曰く:星が鼈星に入れば、治水の政令がある。《海中占》に曰く:客星が鼈星に現れて留まれば、白衣を着た人衆が聚集して喪を執るか、あるいは天下に大水があり、水中の産する物は熟さず、期限は百八十日、遠くは一年である。
客星が九坎を犯す 其の十一
郄萌曰:“有星入九坎,天下有憂。”《玄冥》曰:“客星出九坎,有水旱之災。出陽則旱,出陰則水。”
郄萌に曰く:星が「九坎」に入れば、天下に憂患がある。九坎は九星、牛宿の南にあり、溝渠の灌漑と蓄泄の事を主管する。《玄冥》に曰く:客星が九坎に現れれば、水旱の災がある。陽に属する側から出れば旱を主り、陰に属する側から出れば涝を主る。
客星が敗臼を犯す 其の十二
《文曜鉤》曰:“客星守敗臼,天下兵起,有軍糧之急,米粟之憂,期二年。”石氏曰:“他星守敗臼,以飢兵起。”
《文曜鈎》に曰く:客星が「敗臼」に留まれば、天下に兵事が起こり、軍粮は急を告げ、米粟は不足して憂え、応験の期限は二年である。敗臼は四星、虚宿・危宿の南にあり、臼は米を舂く器具で、臼にして「敗」と言えば、それ自体が凶歉の象である。石氏に曰く:別の変異の星が敗臼に留まれば、飢饉によって兵事が起こる。
客星が羽林を犯す 其の十三
郄萌曰:“客星守羽林,若天陣,兵大起。”郄萌曰:“客星守天陣,將兵吏憂。”郄萌曰:“赤星守羽林二十日,臣弒主。”
郄萌に曰く:客星が「羽林」に留まるか、あるいは「天陣」に留まれば、兵事が大いに起こる。羽林は四十五星、営室の南にあり、天上の禁軍である。天陣はすなわち壘壁陣で、羽林の北にあり、軍営・壁壘の象である。郄萌に曰く:客星が天陣に留まれば、兵を統べる官吏に憂患がある。郄萌に曰く:赤色の星が羽林に二十日留まれば、臣子は君主を弑殺する。
郄萌曰:“客星入壘壁,有兵。”石氏曰:“黃白星入天軍南,天子立后。”巫咸曰:“客星出羽林,兵大起,有亡國,若守之久,將軍有謀主者,有憂,期不出三年。”
郄萌に曰く:客星が壘壁陣に入れば、兵事がある。石氏に曰く:黄白色の星が天軍の南に入れば、天子は皇后を冊立する。天軍とは羽林の諸星の総称である。巫咸に曰く:客星が羽林に現れれば、兵事が大いに起こり、覆亡する国家がある。もし留まることが日久しければ、将軍の中に君主を企てる者があって、憂患を生じ、応験は三年を出ない。
客星が北落を犯す 其の十四
石氏曰:“黃白星入北落,天子有喜。”石氏曰:“黃星出北落,天子使出。”石氏曰:“赤星出北落,中兵起。”
石氏に曰く:黄白色の星が「北落」に入れば、天子に喜事がある。北落はすなわち北落師門で、一星、羽林の西南にあり、天軍の門戸で、偵候して非常の変を主管する。石氏に曰く:黄色の星が北落に現れれば、天子は使者を派遣して外出させる。石氏に曰く:赤色の星が北落に現れれば、内地に兵事が起こる。
石氏曰:“客星出北落,邊夷虜兵起,來入關塞,若關吏有憂。”郄萌曰:“客星中犯乘守若北落星,斗,光芒相及者,為兵覆軍,煞大將。”
石氏に曰く:客星が北落に現れれば、辺地の夷狄の兵馬が起こり、関塞を越えて侵入するか、あるいは関を守る官吏に憂患がある。郄萌に曰く:客星が北落の星に貫入し、冲犯し、凌乗し、あるいは留まってそれと斗い、互いの光芒が交接すれば、兵禍が全軍を覆没し、大将を殺すことを主る。
客星が土司空を犯す 其の十五
《荊州占》曰:“客星入土司空,多土功,男不得耕,女不得織,天下大疾。”韓楊曰:“客星入土司空,有土徭之事。”
《荊州占》に曰く:客星が「土司空」に入れば、土木の工役は繁多し、男子は田に下りて耕作できず、女子は家で紡織できず、天下は大いにその苦を受ける。土司空は一星、奎宿の南にあり、水土の営造の事を主管する。韓楊に曰く:客星が土司空に入れば、土木の徭役を徴発する事がある。
《玉曆》曰:“客星出土司空,外臣有憂,夷狄兵起,若土功之事,人民飢苦、多病。”郄萌曰:“客星守土司空,宮有土功,若哭泣之事。”石氏曰:“客星入守土司空,旱。”
《玉歴》に曰く:客星が土司空に現れれば、外にいる臣子に憂患があり、夷狄は兵を興すか、あるいは土木を大いに興し、百姓は飢困・労苦して疾病が叢生する。郄萌に曰く:客星が土司空に留まれば、宮中に土木の工事を動かすか、あるいは哀を挙げて哭泣する事が現れる。石氏に曰く:客星が土司空に入って留まれば、干ばつを主る。
客星が天倉を犯す 其の十六
《黃帝占》曰:“客星入天倉,糴石一千五百,谷如玉。”郄萌曰:“客星入天倉,糴石千,歲大飢,五穀如金玉,能有谷,為君卿。”郄萌曰:“客星入天倉,匈奴王且操奇物來進中國。”郄萌曰:“周伯星流入天倉,糴賤。以春入,夏賤;以夏,入秋賤;秋入,冬賤;冬入,春賤。”
《黄帝占》に曰く:客星が「天倉」に入れば、米は一石につき千五百銭に上がり、穀は玉のごとく貴い。天倉は六星、婁宿の南にあり、穀物を収納する倉廩である。郄萌に曰く:客星が天倉に入れば、米は一石につき千銭、この年は大いに飢饉となり、五穀は金玉のごとく貴く、穀を蓄えられる家は富が公卿に比する。郄萌に曰く:客星が天倉に入れば、匈奴の王はまさに奇珍・異物を携えて中原に進献しに来る。郄萌に曰く:瑞星の中の「周伯星」が天倉に流入すれば、米の値は下がる。春に流入すれば夏に下がり、夏に流入すれば秋に下がり、秋に流入すれば冬に下がり、冬に流入すれば春に下がる。
郄萌曰:“老人星流入天倉,糴大貴。春入,夏貴;夏入,秋貴;秋入,冬貴;冬入,春貴。”石氏曰:“客星入天倉,粟發,出兵滿野,期三年。”《黃帝占》曰:“客星出入天倉,有發粟之事;出之,有出粟;入之,有入粟;不出其年,必有兵。”
郄萌に曰く:「老人星」が天倉に流入すれば、米の値は大いに上がる。春に流入すれば夏に上がり、夏に流入すれば秋に上がり、秋に流入すれば冬に上がり、冬に流入すれば春に上がる。これは周伯星の天倉に入るとちょうど相反する。石氏に曰く:客星が天倉に入れば、倉の中の粟米は調発されて出て、兵は郊野に満ちて出て、期限は三年である。《黄帝占》に曰く:客星が天倉に出没すれば、倉を開き粟を発する事がある。天倉から出るは、粮食の運出を主る。天倉に入るは、粮食の収入を主る。その年を出ずに、必ず兵事がある。
郄萌曰:“客星在天倉,天下貧,倉粟出。”《黃帝占》曰:“客星當天倉戶,將吏受主俸,不為主用。”石氏曰:“客星守天倉,馬大貴。”郄萌曰:“客星入若守天倉,有兵,道不通。”
郄萌に曰く:客星が天倉にあれば、天下は貧困し、倉の中の粟米は放ち出されて賑済する。《黄帝占》に曰く:客星が天倉の門戸に正当すれば、将吏たちは君主の俸禄を領くも、君主のために力を尽くそうとしない。石氏に曰く:客星が天倉に留まれば、馬の値が大いに上がる。郄萌に曰く:客星が天倉に入るかあるいは留まれば、兵事があり、道路は塞がれて通じない。
客星が天囷を犯す 其の十七
郄萌曰:“客星入天囷,匈奴且操奇物來進中國。”齊伯曰:“客星出天囷,若守之,天下大旱,民飢,人相食,若有粟令,期二年。”
郄萌に曰く:客星が「天囷」に入れば、匈奴はまさに奇珍・異物を携えて中原に進献しに来る。円形の穀倉を囷といい、天囷は十三星、胃宿の南にあり、粮を儲える円廩である。斉伯に曰く:客星が天囷に現れ、あるいは留まって守れば、天下は大いに旱し、民は飢え、人は互いに食い合うか、あるいは朝廷は粟米を調運する命令を下し、応験の期限は二年である。
客星が天廩を犯す 其の十八
石氏曰:“有星入天廩中,色青,天下多憂;赤,大旱,有火;黃白,歲熟。”甘氏曰:“客星出天廩,天下粟貴,民以飢流亡,去其鄉,粟當出廩,期一年,遠二年。”
石氏に曰く:星が「天廩」の中に入り、星色が青なら、天下に憂患が多い。星色が赤なら、大いに旱し、また火災が起こる。星色が黄白なら、年成は豊熟する。天廩は四星、昴宿の南にあり、黍稷の類の穀物を貯蔵し、もっぱら祭祀・饗献の用に供する。甘氏に曰く:客星が天廩に現れれば、天下の粟米は騰貴し、民は飢饉によって流亡し、その郷里を去り、倉廩の中の粟米は放ち出されて賑済すべきで、期限は一年、遠くは二年である。
石氏曰:“客星守天廩,馬大貴。”石氏曰;“他星犯天廩,天下亂。”郄萌曰:“客星守天廩,粟發用。”
石氏に曰く:客星が天廩に留まれば、馬の値が大いに上がる。石氏に曰く:別の変異の星が天廩を犯せば、天下は動乱する。郄萌に曰く:客星が天廩に留まれば、廩の中の粟米は調発されて動用される。
客星が天苑を犯す 其の十九
郄萌曰:“客星入天苑,畜多傷。”《荊州占》曰:“客星入天苑,禽獸多死。”《玉曆》曰:“客星守天苑,畜物不孳,禽獸多死,以馬起兵,邊賊入境;一曰:牧馬多死,期三年。“石氏曰:”他星犯守天苑,兵起,馬死。“
郄萌に曰く:客星が「天苑」に入れば、牲畜は多く傷損する。天苑は十六星、昴宿・畢宿の南にあり、天子が禽獣・牛馬を畜養する苑囿である。《荊州占》に曰く:客星が天苑に入れば、禽獣は大量に死亡する。《玉歴》に曰く:客星が天苑に留まれば、畜物は繁殖できず、禽獣は大量に死亡し、馬匹の事によって兵を興し、辺地の賊寇は境内に侵入する。一説に牧養の馬匹は多く死亡し、応験の期限は三年である。石氏に曰く:別の変異の星が天苑を冲犯して留まれば、兵事が起こり、馬匹は死亡する。
(按司馬彪《天文志》曰:孝順陽嘉元年閏月戊子,客星氣白,廣二尺,長五尺,起天苑西南,東北指,歷天苑,抵參伐。天苑主馬牛,為外軍;色白為兵。
(原書の小注:司馬彪《続漢書・天文志》の記載を案ずるに、漢の順帝・陽嘉元年閏月戊子の日、客星の気色は潔白で、幅二尺、長さ五尺、天苑の西南方から起こり、芒角は東北を指し、天苑を経て、参宿の伐星に抵った。天苑は馬牛を主管し、また境外の軍隊を象し、星色が潔白なれば兵事を主る。
是時敦煌大守徐由使疏勒王磐等二萬人入於關界,虜獲斬首三百餘級,烏桓校尉耿畢使烏桓親僕都尉戎朱魔等出寨,抄鮮卑,斬首,獲生口、財物,鮮卑怨恨,抄遼東代郡,殺傷吏民。是後西戎北狄為寇害,以馬牛起兵,馬牛亦死傷於兵中,十餘年乃息也。)
この時、敦煌太守・徐由は疏勒王・磐ら二万人を派して関界に入らせ、俘獲・斬首三百余級し、烏桓校尉・耿曄は烏桓の親僕都尉・戎朱魔らを派して塞を出させ、鮮卑を抄掠し、首級と俘虜・財物を獲た。鮮卑はこれによって恨みを懐き、反対に遼東と代郡を抄掠し、官吏・百姓を殺傷した。この後、西戎・北狄はたて続けに寇害を為し、皆馬牛の利によって兵を起こし、馬牛もまた戦事の中で死傷し、前後十余年にしてようやく平息した。)
客星が参旗を犯す 其の二十
郄萌曰:“客星入天宮,天下有變,弓弩皆張。”《黃帝占》曰:“星出入天弓,必有削主。”《河圖聖洽符》曰:“客星出守參旗,天下兵起,大將軍行出,弓弩用,人主憂,期百八十日,遠期一年。”石氏曰:“客星守參,負海不安,兵起。”
郄萌に曰く:客星が天宮に入れば、天下に変故があり、弓弩は皆張って発を待つ。参旗は九星、参宿の西にあり、また天旗・天弓ともいい、弓弩・征伐を主管する。《黄帝占》に曰く:星が天弓に出没すれば、必ず封地を削奪される君主がある。《河図聖洽符》に曰く:客星が参旗に現れて留まれば、天下に兵事が起こり、大将軍は兵を率いて出征し、弓弩は用をなし、君主に憂患があり、期限は百八十日、遠くは一年である。石氏に曰く:客星が参宿に留まれば、海に瀕する一帯は安らかでなく、兵事が起こる。
客星が玉井を犯す 其の二十一
《黃帝占》曰:“客星入玉井中者,皆為強國失地;出玉井,強國得地。”郄萌曰:“客星入玉井,天下有喪。”《荊州占》曰:“客星出玉井,將出。”齊伯曰:“客星出玉井,其軍已出,為憂,若有水敗;若入守之三日,其歲大水。”
《黄帝占》に曰く:客星が「玉井」の中に入るは、皆強国が土地を喪失することを主る。玉井から出れば、強国は土地を得る。玉井は四星、参宿の左足の下にあり、水漿・膳羞の供給の事を主管する。郄萌に曰く:客星が玉井に入れば、天下に喪事がある。《荊州占》に曰く:客星が玉井に現れれば、将は出征する。斉伯に曰く:客星が玉井に現れれば、すでに出発した軍隊は憂患があるか、あるいは水に淹れられて敗を受ける。もし客星が玉井に入って三日留まれば、その年は大水が発する。
客星が屏星を犯す 其の二十二
石氏曰:“客星入天屏,四足大疾。”《海中占》曰:“客星出天屏,輔臣有憂,若人民多疾病,四足畜多死。”石氏曰:“客星出入天屏,大人疾,主汙辱。”郄萌曰:“客星出入天屏,人民疾疫。”
石氏に曰く:客星が「天屏」に入れば、四足の牲畜は大量に病に患う。屏は二星、天廁の南にあり、廁溷を遮蔽する屏障なので、その占辞は多く疾病・穢悪の事を主る。《海中占》に曰く:客星が天屏に現れれば、輔政の大臣に憂患があるか、あるいは百姓は多く疾病を生じ、四足の家畜は大量に死亡する。石氏に曰く:客星が天屏に出没すれば、君主・大人は病に患い、また汚辱を蒙ることを主る。郄萌に曰く:客星が天屏に出没すれば、百姓の中に疫病が流行する。
客星が天廁を犯す 其の二十三
《黃帝占》曰:“客星入天廁,天下大飢,人相食,民移去國,君子賣衣,小人賣妻妾;一曰:賣子而食。”《黃帝占》曰:“客星入天廁,主病帶下。”石氏曰:“黃白星入天廁,天子有喜,奇物見。”石氏曰:“蒼白星入天廁,天子有陰病。”
《黄帝占》に曰く:客星が「天廁」に入れば、天下は大いに飢饉となり、人は互いに食い合い、民は移徙して本国を離れ、士人は衣物を売り、平民は妻妾を売る。一説に児女を売って飯に換える。天廁は四星、屏星の北にあり、古人は廁中の候によって疾病を察知したので、この星官は疾疫と飢饉を兼ね主る。《黄帝占》に曰く:客星が天廁に入れば、君主は病み、患うのは下部の帯下の類の疾患である。石氏に曰く:黄白色の星が天廁に入れば、天子に喜事があり、奇異の物が現れる。石氏に曰く:青白色の星が天廁に入れば、天子は隠秘の疾に患う。
石氏曰:“有星入天廁,色青,有憂;赤,有兵;白,為旱;黑,為凶。”石氏曰:“赤星入天廁,有內兵起。”石氏曰:“黑星入天廁,天子當之。”郄萌曰:“周伯星流入天廁,歲糴大賤,民有餘食。以春入,夏賤;夏入,秋賤;秋入,冬賤;冬入,春賤;終歲同焉,糴無處也。”
石氏に曰く:星が天廁に入り、色が青なら憂患があり、赤なら兵事があり、白なら旱を為し、黒なら凶を為す。石氏に曰く:赤色の星が天廁に入れば、境内に兵変が発生する。石氏に曰く:黒色の星が天廁に入れば、天子に応ずる。郄萌に曰く:瑞星の中の周伯星が天廁に流入すれば、この年は米の値が大いに下がり、百姓の家に余粮がある。春に流入すれば夏に下がり、夏に流入すれば秋に下がり、秋に流入すれば冬に下がり、冬に流入すれば春に下がる。一年じゅう皆このようで、米は賤くて売買する所がないほどである。
郄萌曰:“老人星流入天廁,為飢。以春入,夏飢;夏入,秋飢;秋入,冬飢;冬入,春飢。”郄萌曰:“客星入天廁,若有流水,水大出。”《玄冥》曰:“客星出有天廁,王者有憂,廁中有謀兵,若大人陷廁,宜防備之。”
郄萌に曰く:老人星が天廁に流入すれば、飢饉を主る。春に流入すれば夏に飢饉となり、夏に流入すれば秋に飢饉となり、秋に流入すれば冬に飢饉となり、冬に流入すれば春に飢饉となる。郄萌に曰く:客星が天廁に入り、もし同時に流水の象があれば、大水はまさに泛滥して出る。《玄冥》に曰く:客星が天廁に現れれば、君王に憂患があり、廁の中に行刺を企てる兵刃が埋伏しているか、あるいは君主・大人が廁に陥ることがあるので、あらかじめこれを防備すべし。
客星が天矢を犯す 其の二十四
石氏曰:“客星出天矢而守之,天下民多病,若多死,以五色占之;色黃,吉;青白,疾;黑,死。”
石氏に曰く:客星が「天矢」に現れてそこに留まれば、天下の百姓は多く疾病を生じるか、あるいは大量に死亡し、具体的な吉凶は五色によって占断する。色が黄なら吉、青白なら疾、黒なら死である。天矢は一星、天廁の下にあり、古人は排泄の物を観察して疾病を測知したので、この星はもっぱら疫疾を候する。
客星が軍市を犯す 其の二十五
郄萌曰:“客星入軍市,大飢,將離散,士卒死亡。”《荊州占》曰:“他星守軍市,兵起。”《玉曆》曰:“客星出軍市,若入守之,軍市中人飢,將離散,士卒死亡,期一年。”
郄萌に曰く:客星が「軍市」に入れば、軍中は大いに飢饉となり、将士は離散し、士卒は死亡する。軍市は十三星、参宿の東南にあり、軍中の交易の集市で、軍資・粮秣を主管する。《荊州占》に曰く:別の変異の星が軍市に留まれば、兵事が起こる。《玉歴》に曰く:客星が軍市に現れ、あるいは入って留まれば、軍市の中の人は飢え、将士は離散し、士卒は死亡し、応験の期限は一年である。
客星が狼星を犯す 其の二十六
石氏曰:“客星守狼弧,夷狄將來降。”郄萌曰:“客星守狼弧,邦失大臣,色赤者得,青黑者亡也。”《荊州占》曰:“客星守狼星,狗大貴。”《荊州占》曰:“客星守狼星,色黃潤,有大喜;黑,有大憂。”
石氏に曰く:客星が「狼」星と「弧」星に留まれば、夷狄はまさに帰降しに来る。狼は一星、東井の東南にあり、侵掠・擄掠を主る。弧は九星、狼星の東南にあり、すなわち天弓で、もっぱら狼星に備えるために設けられた。郄萌に曰く:客星が狼・弧の二星に留まれば、国家は大臣を失う。星色が赤なら保つことを得、青黒なら喪失する。《荊州占》に曰く:客星が狼星に留まれば、狗の値が大いに上がる。《荊州占》に曰く:客星が狼星に留まり、星色が黄にして潤沢なら、大喜の事があり、黒なら大憂の事がある。
《荊州占》曰:“客星守狼星,有圍城之急,以入日占何國。”甘氏曰:“客星出狼星,若守之,天下起兵,多盜賊,將相多死,若有千里之行,期一年,中二年,遠三年。”
《荊州占》に曰く:客星が狼星に留まれば、城を囲まれる急難があり、客星の入ったその日の干支によってどの国に応ずるかを推断する。甘氏に曰く:客星が狼星に現れ、あるいは留まって守れば、天下は兵を起こし、盗賊は衆多で、将相は多く死亡するか、あるいは千里の遠行の役があり、近くは一年、中は二年、遠くは三年に応験する。
客星が弧星を犯す 其の二十七
郄萌曰:“客星入弧星,將有南夷來降中國者,亦為蜀。”石氏曰:“他星守弧,野將死。”石氏曰:“客星守弧,主將弱。”郄萌曰:“客星守弧,外夷大飢。”又曰:“有兵若弧星張,先起兵者利,後起兵者不利。”
郄萌に曰く:客星が弧星に入れば、南方の夷族が中原に帰降しに来る者があり、また蜀の地に応ずることもある。石氏に曰く:別の変異の星が弧に留まれば、野にあって兵を統べる将は死ぬ。石氏に曰く:客星が弧に留まれば、主将の勢力は衰弱する。郄萌に曰く:客星が弧に留まれば、境外の夷族は大いに飢饉となる。また曰く、兵事がある時、もし弧矢が張って指す所があれば、先に兵を動かす方が利あり、後に兵を動かす方は利なし。
郄萌曰:“客星出弧,兵出;入弧兵,入。”郄萌曰:“客星舍弧,秋雨,五穀不成。”又曰:“舍弧左右,群臣有伺其君者。”巫咸曰:“客星出弧,若入之,其國有兵,大人驚,貴人多死,士卒出行,不出其年。”
郄萌に曰く:客星が弧星から出れば、兵馬は境を出る。弧星に入れば、兵馬は境に入る。郄萌に曰く:客星が弧星に宿れば、秋は多雨で、五穀は熟し成らない。また曰く、弧星の左右に宿れば、群臣の中にその君主を窺い伺う者がある。巫咸に曰く:客星が弧星に現れ、あるいは弧星に入れば、その分野の国に兵事があり、君主・大人は驚き、貴人は多く死亡し、士卒は開拔して遠く行き、応験はその年を出ない。
