太白の河鼓を犯す 二十五
《黃帝占》曰:“太白犯河鼓,大將若左右將有誅者,若有罪,以五色占之。”石氏曰:“太白入河鼓,兵大起,大將出;若守之,所犯之將誅,期二年。”郗萌曰:“太白守河鼓,兵起,期六十日。”
《黄帝占》にいう、金星が「河鼓」を冒犯するのは——河鼓の三星は牽牛の北にあり中央の大星は大将軍で左右の両星はそれぞれ左将・右将である——大将あるいは左右の将領の中に誅される人がありあるいは罪を得る人があり、究竟いずれの人に応ずるかは金星の呈する五色に按じて推断すべきことを主る。石氏がいう、金星が河鼓に入るのは、大規模に兵を興し主将が出征することを主る。もし金星が停駐して去らなければ冒犯されたその将領が誅殺され応験の期限は二年である。郗萌がいう、金星が河鼓に停駐するのは、兵事が興起することを主り応験の期限は六十日である。
太白の離珠を犯す 二十六
石氏曰:“太白犯離珠,宮中有事;若有亂宮者,宮人有罪黜者。”巫咸曰:“太白犯離珠。有兵起,後宮凶,女主有憂。”
石氏がいう、金星が「離珠」を冒犯するのは——離珠の五星は須女の北にあり女主の用いる珠玉の飾物である——宮中に事が出ることを主る。あるいは人が宮闈を淫乱し宮人の中に罪によって貶黜される者がある。巫咸がいう、金星が離珠を冒犯するのは、兵事が興起し後宮が凶に遭い女主がこれを憂えることを主る。
太白の匏瓜を犯す 二十七
《玄冥占》曰:“太白守匏瓜,人主誅邑族;若有兵;一曰王者以果賜諸侯。”《聖洽符》曰:“太白犯守匏瓜,天下有憂;若有遊兵,名果貴;一曰魚鹽貴,價十倍,不出其年。”
《玄冥占》にいう、金星が「匏瓜」に停駐するのは——匏瓜の五星は離珠の北にあり後宮の進める果実・菜蔬を主る——君主が采邑の族を誅戮することを主る。あるいは兵事がある。別の説では王者が珍果を諸侯に賞賜しようとする。《聖洽符》にいう、金星が匏瓜を冒犯し停駐するのは、天下に憂いがあることを主る。あるいは流竄して劫掠する散兵が現れ名貴の果品の価格が上揚する。別の説では魚と鹽が値上がりし価銭が十倍に高出し応験はその年を出でず。
太白の天津を犯す 二十八
《海中占》曰:“太白犯天津,關道絕不通,有兵起;若關吏憂。”《文曜鉤》曰:“太白入天津,兵起大亂,以其所近,四方中央,死而葬,易政立王。”齊伯曰:“太白守天津,兵起,有亡國,期一年,遠二年。”石氏曰:“太白有赤芒,而守天津三十日,關道不度,人主有憂,若諸侯。”
《海中占》にいう、金星が「天津」を冒犯するのは——天津の九星は銀河を横跨し水を渡る津梁・橋渡である——関隘・道路が断絶して通じず兵禍が興起することを主る。あるいは関津を掌る官吏に憂いがある。《文曜鈎》にいう、金星が天津に入るのは、兵を興して大乱しそれが靠近する星位が四方に属するか中央に属するかに按じて禍事がいずれの地に応ずるかを推断しその間に死亡と喪葬がありしかも政権を改易し別に君王を立てることを主る。斉伯がいう、金星が天津に停駐するのは、兵事が興起し国家の滅亡があろうことを主り応験の期限は一年で遠ければ二年である。石氏がいう、金星が赤色の芒角を帯びて天津に停駐して三十日に長く及ぶのは、関隘・渡口が通行を得ず君主に憂いがありあるいは諸侯の身に応ずることを主る。
太白の螣蛇を犯す 二十九
甘氏曰:“太白守螣蛇,天子前螣凶,奸臣有謀,前螣為害。”《玄冥占》曰:“太白守螣蛇,諸侯若先螣者;一曰以水為災,水物不成。”
甘氏がいう、金星が「螣蛇」に停駐するのは——螣蛇の二十二星は営室の北にあり水中の飛ぶ能くする神蛇である——天子の座前の螣蛇の位が凶を呈し奸臣が暗中に図謀し前螣の位が害を為すことを主る。《玄冥占》にいう、金星が螣蛇に停駐するのは、諸侯の中に先んじて事を興す人があることを主る。別の説では大水が災を成し水中の産する物が成熟しない。
太白の王良を犯す 三十
《帝覽嬉》:“太白入王良,人主以車為弊,馬多死,關津不通,國有憂。”石氏曰:“太白守王良,為兵。”《海中占》曰:“太白守王良,三十日,大將亡;一曰主將皆大亡,兵起,車騎行,期百八十日,遠一年。”郗萌曰:“太白守天馬,天子馬多死者。”齊伯曰:“太白犯守王良,天下有兵,諸侯相恐,強臣謀主,期不出年。”
《帝覧嬉》にいう、金星が「王良」に入るのは——王良の五星は奎宿の北にあり王良は古の御に善い能手でその中の四星は天馬で一星は策鞭である——君主が車駕によって損を受け馬匹が大量に死亡し関隘・津渡が通じず国家に憂いがあることを主る。石氏がいう、金星が王良に停駐するのは、兵事を主る。《海中占》にいう、金星が王良に停駐して三十日に達するのは、大将の死亡を主る。別の説では君主と将帥がともに大喪に遭い兵事が興起し車馬・騎兵が出動し応験の期限は百八十日で遠ければ一年である。郗萌がいう、金星が「天馬」に停駐するのは、天子の馬匹に死亡が多いことを主る。斉伯がいう、金星が王良を冒犯し停駐するのは、天下に兵があり諸侯が彼此に驚恐し強横の臣が君主を図謀することを主り応験の期限は一年を出でず。
太白の積水を犯す 四十一
巫咸曰:“太白犯守積水,其國有水災,水物不成,魚鹽貴;一曰以水為敗,糴大貴,人民飢,期二年。”
巫咸がいう、金星が「積水」を冒犯し停駐するのは——積水の一星は北河の西北にあり水を蓄えて祭祀の酒醴の用に供することを主る——その分野の国に水災が発生し水中の産する物が成熟せず魚と鹽の価格が昂貴であることを主る。別の説では水によって敗を致し糧価が暴騰し百姓が飢饉し応験の期限は二年である。本巻の標目の序號は「三十」から直ちに「四十一」に接する。原書がこのようで中間に脱条はない。
太白の積薪を犯す 四十二
甘氏曰:“太白犯守積薪,天下大旱,五穀不登,人民飢亡。”
甘氏がいう、金星が「積薪」を冒犯し停駐するのは——積薪の一星は積水の東にあり炊爨の用に供する柴薪を主る——天下の大旱と五穀の欠収と百姓の飢餓・流亡を主る。
太白の水位を犯す 四十三
甘氏曰:“太白犯守水位,天下以水為害,津關不通;一曰大水入城郭,傷人民,期不出二年。”
甘氏がいう、金星が「水位」を冒犯し停駐するのは——水位の四星は東井の東にあり水衡の政を主る——天下が水患を受け津渡・関隘が通じないことを主る。別の説では洪水が城郭に灌入し百姓を傷害し応験の期限は二年を出でず。
太白の軒轅を犯す 四十四
《荊州占》曰:“太白犯軒轅,女御;天子僕死。”《文曜鉤》曰:“太白入軒轅,四猾起。”石氏曰:“太白入軒轅中,犯乘之,有逆賊,若火災。”《黃帝占》曰:“太白出東陵,必有白龍出左右宮;若行軒轅中,犯女主,女主失勢,憂喪也;列大夫有放逐者,五官有不治者;色悴為憂,為疾,其所中犯乘守者誅,若有罪。”
《荊州占》にいう、金星が「軒轅」を冒犯するのは——軒轅の十七星は七星の北にあり形が黄龍の体のようで后妃の主でありその中の大星はすなわち女主の皇后である——女御の属に応ずることを主る。天子の僕御の官が死亡する。《文曜鈎》にいう、金星が軒轅に入るのは、四方の奸猾の徒が事を起こすことを主る。石氏がいう、金星が軒轅の中に入りしかもその星を冒犯・凌乗するのは、叛逆の賊人がありあるいは火災が発生することを主る。《黄帝占》にいう、金星が「東陵」——東方の陵位——から出れば必ず白色の龍気が左右の宮から涌出する。もし金星が軒轅の中を行経して女主の星を沖犯すれば女主は勢権を失い憂愁と喪事があろう。列位の大夫の中に放逐される者があり五官の職に居る者に職を失い事を理しない者がある。金星の色沢が枯憔ならば憂を主り疾病を主り、それに射中され冒犯され凌乗され停駐されたその星に対応する人が誅されあるいは罪を得る。
《荊州占》曰:“太白行軒轅端,貫出其中而東,大臣出令。”石氏曰:“太白在軒轅中,有以女請人君者。”《黃帝占》曰:“太白中女主,女主當之;其守犯女主,女主有憂。”(《宋書天又志》曰:魏青龍四年七月七日甲寅,太白犯軒轅大星,景初元年,皇后毛氏崩,晉成帝咸康六年六月七日,太白犯軒轅大星,七年三月皇后杜氏崩。安帝義熙六年八月壬午,太白犯軒轅大星,七年八月,皇后王氏崩。宋文帝元嘉十六年八月朔,日犯軒轅,明年皇后袁氏崩。)
《荊州占》にいう、金星が軒轅の端首に行き到りその中を貫穿して再び東に行き出るのは、大臣が権を越えて号令を発することを主る。石氏がいう、金星が軒轅の中に停まるのは、人が女子をもって君主に請託する者があることを主る。《黄帝占》にいう、金星が女主の星を射中すれば応験はすなわち女主の身に落ちる。金星が女主の星を停駐し冒犯すれば女主に憂いがある。原書小注が《宋書・天文志》を引く——原書の「天又志」は「天文志」の訛——魏の青龍四年七月七日甲寅に金星が軒轅の大星を冒犯し景初元年に至って皇后毛氏が去世し、晋の成帝咸康六年六月七日に金星が軒轅の大星を冒犯し七年三月に皇后杜氏が去世し、晋の安帝義熙六年八月壬午に金星が軒轅の大星を冒犯し七年八月に皇后王氏が去世し、宋の文帝元嘉十六年八月初一に太陽が軒轅を冒犯し第二年に皇后袁氏が去世した。
《聖洽符》曰:“太白守軒轅,兵大起,憂宮中;若有女喪,各以其所犯占之,期一年。”《帝覽嬉》曰:“太白守軒轅大星,若環繞之,皇后有急,若憂誅;一曰天下易王,女主有殃。”《荊州占》曰:“太白守軒轅、女御有誅者。”巫咸曰:“太白行犯守軒轅,女主失政,若失勢;一曰大臣當之,若有黜者,期二年。”
《聖洽符》にいう、金星が軒轅に停駐するのは、大規模に兵を興し憂患が宮中に出ることを主る。あるいは女子の喪事が発生し各々金星の冒犯する具体的な星位に按じていずれの人に応ずるかを推断し応験の期限は一年である。《帝覧嬉》にいう、金星が軒轅の大星に停駐しあるいはそれを繞って盤桓・回環するのは、皇后に急難がありあるいは憂懼して誅されることを主る。別の説では天下が君王を改易し女主が殃に遭う。《荊州占》にいう、金星が軒轅に停駐するのは、女御の類の宮嬪の中に誅される者があることを主る。巫咸がいう、金星が軒轅を行経し冒犯し停駐するのは、女主が干政の権を喪失しあるいは勢位を失うことを主る。別の説では大臣の身に応じあるいは罷黜される者があり応験の期限は二年である。
(司馬彪《天文志》曰:光武建武九年七月乙卯,金星犯軒轅大星,十月己丑,又犯之。軒轅者,後宮之官,大星者,後宮之皇后,金犯之,為失勢。是時郭后已失勢見踈,後廢為中山太后。孝和元年四月乙酉,金星犯軒轅東北二尺,四年,寶氏被誅,太后失勢。孝垣永壽二年八月戊午,太白犯軒轅大星,為皇后,後二年四月,懿獻後以憂死。)《荊州占》曰:“太白中犯,守軒轅左角,為大臣當之。”
原書小注が司馬彪《天文志》すなわち《続漢書・天文志》を引く——漢の光武帝建武九年七月乙卯に金星が軒轅の大星を冒犯し十月己丑にまた一たび冒犯した。軒轅は後宮の官を主りその中の大星はすなわち後宮の皇后で金星がそれを冒犯するのは皇后が勢いを失うことを主る。当時郭皇后はすでに寵を失い疏遠され後に廃居して中山王太后と為った。漢の和帝元年四月乙酉に金星が軒轅の東北二尺の処を侵犯し第四年に竇氏の一族が誅され太后が勢権を失った——原書の「宝氏」は「竇氏」の訛。漢の桓帝永寿二年八月戊午に金星が軒轅の大星を冒犯しこの星は皇后を主り二年後の四月に懿献皇后が憂憤によって死んだ——原書の「孝垣」は「孝桓」の訛。《荊州占》にいう、金星が軒轅の左角を射中し冒犯し停駐するのは、大臣の身に応ずることを主る。
太白の少微を犯す 四十五
石氏曰:“太白入少微,君當求賢佐;不求賢佐,則失奪勢。太白犯守少微,名士有憂;王者任用小人,忠臣被害,有死者。”《黃帝占》曰:“太白入中犯乘少微,為宰相易,女主有憂。”石氏曰:“太白入中犯乘守少微,為五官亂,宰相憂。”
石氏がいう、金星が「少微」に入るのは——少微の四星は太微垣の西にあり処士・議士と博士の位で賢才を薦挙することを主る——君主は賢能の輔佐を訪求すべきことを主る。もし賢を求めなければ勢権を喪失し人に位を奪われる。金星が少微を冒犯し停駐するのは、名望の士人が憂に遭うことを主る。王と為る者が小人を任用すれば忠臣が害を受け甚だしきは人がこのため命を喪う。《黄帝占》にいう、金星が少微の中に入りその星を冒犯・凌乗するのは、宰相が更換し女主に憂いがあることを主る。石氏がいう、金星が少微の中に入り冒犯・凌乗しその間に停駐するのは、五官の職が紊乱し宰相に憂いがあることを主る。
太白の太微を犯す 四十六
《春秋緯》:“太白犯太微,主受期命奪號,滅沖為期。”(《宋書天文志》曰:晉熙帝建武元年六月丁卯,太白犯太微,占曰:王者惡之。七月熙帝崩於寇廷也。)《帝賢嬉》曰:太白行犯太微左右執法。為大臣有憂。”(司馬彪《天文志》曰:孝安元初元年閏月已未,太白犯太微左執法,建光元年五月,太后兄車騎將軍隲等七侯皆免官自殺。《宋書天文志》曰:晉成帝咸康四年九月,太白犯左執法。五年七月庚申,丞相王導薨。安帝義熙六年九月甲寅,太白犯左執法。八年九月,兗州刺史劉蕃,尚書僕射琨夥誅也。)
《春秋緯》にいう、金星が「太微」を冒犯するのは——太微垣の十星は東西の両蕃に分列し天子の南宮朝廷・五帝の座・十二諸侯の府である——君主が既定の期限内に名號を奪去されることを主り応験の期は対沖の位が沖滅するときをもって推定する。原書小注が《宋書・天文志》を引く——晋の熙帝建武元年六月丁卯に金星が太微を冒犯し占辞に王と為る者の忌悪するところといい、その年七月に熙帝が寇廷で死んだ——「熙帝」は当に「恵帝」の訛であるべし。《帝賢嬉》——すなわち前文に屢々引く《帝覧嬉》——にいう、金星が太微垣の左執法・右執法の二星を行経し冒犯するのは、大臣に憂いがあることを主る。原書小注が司馬彪《天文志》を引く——漢の安帝元初元年閏月已未日に金星が太微の左執法を冒犯し建光元年五月に至って太后の兄の車騎将軍鄧騭ら七位列侯がみな官を免ぜられ自殺した。また引く《宋書・天文志》——晋の成帝咸康四年九月に金星が左執法を冒犯し第五年七月庚申に丞相王導が去世し、晋の安帝義熙六年九月甲寅に金星が左執法を冒犯し八年九月に至って兗州刺史劉藩・尚書僕射謝混がともに誅された——原書の「劉蕃」「琨伙」はみな形近の訛である。
石氏曰:“太白入太微庭,所中犯乘守者,為天子所誅;若有罪,太白犯左右執法,左右執法者誅;若有罪。”郗萌曰:“太白犯天府,庭臣為亂。”《荊州占》曰:“太白道,從太微西蕃北南方星間入,到南蕃東方星間南出,道也;中西蕃直坐入者,非道也。太白以庚子日順入太微天庭中,天子所使也;不以庚子日,非天子使。太白入太微軌道,吉;軌道者,入西門,出東門,若左右掖門,行不留也;不軌道者,謂有所犯守也。”
石氏がいう、金星が太微の宮庭に入り、およそそれに射中され冒犯され凌乗され停駐されたその星は、その主るところの人が便ち天子に誅殺されあるいは罪を得る。金星が左執法・右執法を冒犯すれば、左右執法の職を任じる大臣が誅されあるいは罪を得る。郗萌がいう、金星が「天府」を冒犯するのは、朝廷の臣が乱を作すことを主る。《荊州占》にいう、金星の運行の常道は太微垣の西蕃の偏北の南方の諸星の間から入り、南蕃の東方の諸星の間に行き到って南に穿出することで、これを「道」を走ると呼ぶ。もし西蕃の正中から帝座に対して直ちに闖入すれば常道ではない。金星が庚子の日に順行して太微の天庭の中に入るのは、天子の派遣したところである。庚子の日に入らなければ天子の使者ではない。金星が太微に入り軌道に循うのは吉。いわゆる軌道に循うとは西門から入り東門から出るかあるいは左右の掖門から出入し一路行き去り滞留しないことをいう。いわゆる軌道に循わないとは垣内の諸星に冒犯する所有り停駐する所有ることをいう。
郗萌曰:“太白當太微門,為受制;當在左執法,受事左右執法;守太微門三日以下,為受制;三日以上,為兵、為賊、為亂、為飢。”石氏曰:“太白出東掖門,為相受命;東南出,德事也;出西掖門,為將受命;西南出,刑事也;期以春夏。太白入太微,出左掖門,大將軍出,東南伐;出右掖門,大將軍出,西南伐;皆不出其年。”
郗萌がいう、金星が太微垣の門口に正対するのは、君命を承受することを主る。左執法の位に正対すれば左右執法から政事を領受する。金星が太微門に停駐して三日以内ならば君命を承受することを主る。三日を超えれば兵禍を主り盗賊を主り動乱を主り飢饉を主る。石氏がいう、金星が東掖門から出るのは、宰相が任命を領受することを主る。もし東南方に偏って出れば主るところは徳を布き恵を施す事である。金星が西掖門から出るのは、将帥が任命を領受することを主る。もし西南方に偏って出れば主るところは刑殺の事で応験の時令は春夏である。金星が太微に入り左掖門から出るのは、大将軍が師を出し東南に向かって征伐することを主る。右掖門から出るのは、大将軍が師を出し西南に向かって征伐することを主る。二つの状況はともにその年の内に応験する。
《黃帝占》曰:“太白入天庭,色白潤澤,為期百八十日,有赦。”《帝覽嬉》曰:“太白入太微,而出端門;臣不臣。”《洛書》曰:“太白入左右掖門,出太陽東門,強臣暴誅;若入端門,庭守十日,臣欲害君,期不十日。”《春秋圖》曰:“太白入西華門,出東華門,大臣作亂,謀其主;若諸侯不從王命,期百八十日,若一年。”
《黄帝占》にいう、金星が天庭に入り色が潔白にして光潤ならば、百八十日を期としてその間に赦令があろう。《帝覧嬉》にいう、金星が太微に入りまた端門——太微垣の南面の両執法の間の正門——から穿出するのは、臣子が臣道を守らないことを主る。《洛書》にいう、金星が左右の掖門から入り太陽の東門から出るのは、強横の臣が驟に誅戮されることを主る。もし端門から入り庭中に十日停駐すれば臣下に君主を加害する心があり応験の期限は十日に及ばない。《春秋図》にいう、金星が西華門から入り東華門から出るのは、大臣が乱を作し君主を加害しようと図謀することを主る。あるいは諸侯が王命に服従せず応験の期限は百八十日あるいは一年である。
石氏曰:“太白入太微庭,中華東西門,若左掖門,而南出端門者,為必有反臣。太白入西出東門,皆為人君不安,欲求賢佐;有入中西華門,出中華東門,為臣有不令;有入太陰西門,出太陰東門,皆為天下大亂,有喪,若大水。”甘氏曰:“太白入太陰西門,出東門,天下大亂,主死,破宮;若有大水,期一年。”
石氏がいう、金星が太微の宮庭に入り中華東門・中華西門を経過しあるいは左掖門を経過し再び南に向かって端門から穿出するのは、必ず反逆の臣があることを主る。金星が西辺から入り東門から出るのは、みな君主が安寧を得ず賢能の輔佐を訪求しようとすることを主る。中華西門から入り中華東門から出るものがあるのは、臣下が号令を遵わないことを主る。太陰西門から入り太陰東門から出るものがあるのは、みな天下の大乱を主り喪事がありあるいは洪水が発生する。甘氏がいう、金星が太陰西門から入り東門から出るのは、天下の大乱と君主の身死と宮室の破敗を主る。あるいは大水が発生し応験の期限は一年である。
(司馬彪《天文志》曰:王莽地皇四年秋,太白在太微中,燭地如月光,太白為兵,太微為天庭,太白贏而北入太微,是兵將天子庭也。是時王莽遣二公之兵至昆陽,已為光武所破,莽又拜九人為將軍,至華陰,皆為漢將劉畢李崧所破,進攻京師,十月戊申,漢兵自宣平城門入,二月己酉,城中少年子弟數千人起兵攻莽,商人杜昊殺莽漸臺之上,校尉公寶斬莽首,大兵蹈公庭之中,仍以更始入長安,居前殿,皆以火入宮庭者。)
原書小注が司馬彪《天文志》を引く——王莽の地皇四年秋に金星が太微垣の中に停まり地を照らして月色のように明るかった。金星は兵戈を主り太微垣は天子の宮庭で金星の行度が超前して偏北して太微に入るのは、兵禍がまさに天子の宮庭に攻め入ろうとする兆である。当時王莽は両位の大司の軍隊を派出して昆陽に開かせたがすでに光武帝劉秀に撃破され、王莽はまた九人を拝任して将軍と為し華陰に進んだが全て漢将の劉畢・李崧に撃破され、漢軍は随いて京師に進攻した。十月戊申日に漢兵が宣平城門から攻め入り、二月己酉日に城中の少年子弟数千人が起兵して王莽を攻打し、商人杜昊が漸台の上で王莽を殺し、校尉公宝がその首級を砍り、大軍が公庭の中に踏み入った。随いて更始帝が長安に入り未央宮の前殿に住んだ——これらはみな兵火が宮庭に攻め入る占辞に応じたものである。
郗萌曰:“太白入太微西門,犯天庭,出端門,為大臣伐主;入西門,而折出右掖門,為大臣假主之威,而不從主命;太白入西華門,出端門東門,詐稱詔。太白入太微西門,若入端門,出東門,為貴者奪勢。太白入太微中,臣相殺,國有憂。”《荊州占》曰:“太白主西方北方,入太微西南陽星之南,為西方;入二星之北,為北方;皆臣殺主之候也。犯帝座星,臣勝;不犯、不勝;視其所止留之宿國,以知其所誅。”
郗萌がいう、金星が太微の西門から入り天庭を冒犯し再び端門から出るのは、大臣が君主を攻伐することを主る。西門から入りまた折れて右掖門から出るのは、大臣が君主の威権を仮借して事を行い君命を遵奉しないことを主る。金星が西華門から入り端門あるいは東門から出るのは、人が詔令を仮伝する者があることを主る。金星が太微の西門から入りあるいは端門から入り東門から出るのは、顕貴の人が勢権を奪去されることを主る。金星が太微の中に入るのは、臣子が彼此に相殺し国家に憂いがあることを主る。《荊州占》にいう、金星は西方と北方を主り、それが太微垣の西南の陽星の南面から入れば西方に応じ、この両星の北面から入れば北方に応じる——両者とも臣下が君主を弑殺する徴候である。それが帝座の星を冒犯すれば臣下が勝を得、冒犯しなければ臣下は勝を得られない。さらにそれがどの宿の対応する分野の国に停留するかを見れば誅戮がいずれの処に応ずるかを知ることができる。
《荊州占》曰:“太白入太微西蕃第一星,行至東蕃第一星,東下去;太微者,天子庭也;太白行其中,宮門當閉,大將軍被甲,守兵大臣伏誅,左右有罪者。”(司馬彪《天文志》曰:孝靈帝建寧元年六月,太白在西方入太微,犯西蕃南頭星,其年八月,太傅陳蕃,大將軍寶武謀,欲盡誅諸宦者,其年九月辛亥,中常侍曹節,長樂五官吏朱瑀覺之,先矯制殺蕃等,家屬徒日南。)
《荊州占》にいう、金星が太微垣の西蕃の第一星に入り一路行って東蕃の第一星に至り再び東に下行して離れ去る。太微垣は天子の宮庭で金星がその中を行経すれば宮門は関閉すべきであり大将軍は甲を披いて戒備すべきで、さもなければ守兵と大臣が誅殺され君主の左右に罪を得る人がある。原書小注が司馬彪《天文志》を引く——漢の霊帝建寧元年六月に金星が西方から太微に入り西蕃の南頭の一星を冒犯し、その年八月に太傅陳蕃と大将軍竇武が計を定め宦官をことごとく誅尽しようとし、その年九月辛亥日に中常侍曹節・長楽宮の五官吏朱瑀がこの謀を察覚し先んじて詔命を仮伝して陳蕃らを殺し、家が日南郡に流された——原書の「宝武」は「竇武」の訛、「徒」は「徙」の訛である。
《荊州占》曰:“太白入太微宮,為天下驚;一曰有兵。太白入天庭,國不安其宮。太白入太微中,近臣起兵;入庭中,丞相、御史誅。”《北官候》曰:“太白入太微天庭,天子自將兵,大臣謀立,若有誅者。”《黃帝占》曰:“太白東行入太微庭中,出東門,天下有急兵,若守將、相、丞相、御史,大臣有死者;若入端門守庭,大禍至;入南門,出東門,國大旱;入南門,逆行出西門,國有大水;逆入東門,出西門,大國破亡;若順入西蕃,而留不去,楚國凶殃。”
《荊州占》にいう、金星が太微宮に入るのは、天下の震驚を主る。別の説では兵事がある。金星が天庭に入るのは、国家が宮室の中で安寧を得ないことを主る。金星が太微の中に入るのは、近臣が兵を起こすことを主る。庭中に入れば丞相・御史が誅される。《北官候》にいう、金星が太微の天庭に入るのは、天子が自ら兵を統べ大臣が密かに別の新君を立てることを謀りあるいは人が誅されることを主る。《黄帝占》にいう、金星が東に行き太微の庭中に入り再び東門から出るのは、天下に緊急の兵事がありあるいは将・相・丞相・御史などの星位に停駐すれば大臣の中に死亡する人があることを主る。もし端門から入り庭中に停駐すれば大禍がまさに至ろうとする。南門から入り東門から出るのは、国中の大旱を主る。南門から入り逆行して西門から出るのは、国中の大水を主る。逆行して東門から入り西門から出るのは、大国が破敗して滅亡することを主る。もし順行して西蕃に入り滞留して去らなければ楚の地の国に凶殃がある。
巫咸曰:“太白逆行入太陽東門,出西門,有反臣欲伐其主,期九十日。太白逆行入太微天庭中,為大臣有誅;若諸侯戮死,期二年。”石氏曰:“太白逆行入左掖門,為大臣劫其主。太白逆行於太微之中,及出左右掖門,為有逆謀,天子有命將征伐之事;一曰大赦可以解其患。”《荊州占》曰:“太白逆行入太微天庭中,為諸侯將有殺者;若至黃帝座而謀成,不至黃帝座而遠,有謀不成;以其入日占國。”
巫咸がいう、金星が逆行して太陽の東門から入り西門から出るのは、反逆の臣が君主を攻伐しようと欲することを主り応験の期限は九十日である。金星が逆行して太微の天庭の中に入るのは、大臣が誅されあるいは諸侯が殺され身を死することを主り応験の期限は二年である。石氏がいう、金星が逆行して左掖門から入るのは、大臣が君主を脅持することを主る。金星が太微の中で逆行しおよび左右の掖門から出るのは、叛逆の図謀があり天子に将帥を任命して兵を出し征討する事があろうことを主る。別の説では大赦を頒布すればこの禍患を化解できる。《荊州占》にいう、金星が逆行して太微の天庭の中に入るのは、諸侯に殺される者があろうことを主る。もし黄帝座に行き至ればその陰謀は便ち逞しくなり、もし黄帝座に至らずなお遠ければ図謀は成し遂げられない。さらにそれが入った日辰に按じていずれの国に応ずるかを推断する。
《玉曆》曰:“太白逆行入太微,強臣凌主,天下大亂,諸侯皆兵起。太白留太微庭中,天下大憂;中央留十日以上,為天下亡徒為兵者。太白道南蕃入,留止南門,為大臣有憂。”(司馬彪《天文志》曰:太白贏而北入太微,大兵將入天子之庭,出太微,宮中有兵。)《荊州占》曰:“太白從右入七日以上,為主有憂。”
《玉暦》にいう、金星が逆行して太微に入るのは、強横の臣が君主を欺凌し天下が大乱し諸侯が各処に皆兵事を興すことを主る。金星が太微の庭中に滞留するのは、天下の大憂を主る。中央に十日を超えて停留すれば天下の亡命・逃徒が紛紛として聚まり兵衆と為ることを主る。金星が南蕃を取って入り南門に停留して去らないのは、大臣に憂いがあることを主る。原書小注が司馬彪《天文志》を引く——金星の行度が超前して偏北して太微に入るのは、大軍がまさに天子の宮庭に攻め入ろうとすることを主る。金星が太微から出れば宮中に兵変がある。《荊州占》にいう、金星が右側から入り七日を超えて停留するのは、君主に憂いがあることを主る。
《感精符》曰:“太白入端門而守之,大臣謀叛,將軍伐主,外臣陵內,天下大亂,期二年。”《黃帝占》曰:“太白乾太微,留守二十日以上,為必有兵革,天下大赦。”《春秋緯》曰:“太白入太微庭,其陵犯留焉三十日,必有喪。”《荊州占》曰:“太白入太微天庭中,犯乘守者殺,若有罪,各以守宦名名之。(《宋書天文志》曰:晉慧帝大安二年秋,太白守太微,成都河間攻洛陽,三年正月,東海王越執長沙王乂,張方又殺之。)太白食,若中犯秉守太微東西蕃、四輔,為君失禮,輔臣有誅者。”
《感精符》にいう、金星が端門に入りその中に停駐するのは、大臣が謀反し将軍が君主を攻伐し外臣が内朝を欺凌し天下が大乱することを主り応験の期限は二年である。《黄帝占》にいう、金星が太微を干犯し滞留・停駐して二十日を超えるのは、必ず兵戈の事があり続いて天下が大赦することを主る。《春秋緯》にいう、金星が太微の宮庭に入りその中で欺凌・冒犯し滞留して三十日に達すれば必ず喪事がある。《荊州占》にいう、金星が太微の天庭の中に入りおよそそれに冒犯され凌乗され停駐された星は、その主るところの人が便ち殺されあるいは罪を得、各々それが停駐したその星の官名に按じていずれの人に応ずるかを指認する。原書小注が《宋書・天文志》を引く——晋の恵帝太安二年秋に金星が太微に停駐し成都王・河間王が洛陽を進攻し、第三年正月に東海王司馬越が長沙王司馬乂を拘執し張方がまた彼を殺した——原書の「慧帝」は「恵帝」の訛、「大安」はすなわち「太安」。金星が虧食を発生しあるいは太微垣の東蕃・西蕃と四輔の諸星を射中し冒犯し持守するのは、君主が礼数に失し輔政の臣の中に誅される者があることを主る。
太白の土司空を犯す 十一
《聖洽符》曰:“太白守土司空,邦君有死者。”《海中占》曰:“太白守土司空,其國以土起兵;若有土功之事,天下旱。”石氏曰:“太白守土司空,有兵喪;天下憂水。”
《聖洽符》にいう、金星が「土司空」に停駐するのは——土司空の一星は奎宿の南にあり土木の营造の事を主る——一国の君の中に死亡する者があることを主る。《海中占》にいう、金星が土司空に停駐するのは、当該分野の国が土地を争って兵を起こすことを主る。あるいは土木工程を興辦し天下が大旱する。石氏がいう、金星が土司空に停駐するのは、兵禍と喪事があることを主る。天下は水患を憂えるべきである。按:本条の「土司空十一」より始まり下文の「太白の天厩を犯す七」に至るまでの一大段は、底本が巻五十一の末に重出し、巻五十二「太白占八」の載する所と全く同じである。ここは源文に依り実録し删并を加えない。
太白の天倉を犯す 十二
《黃帝占》曰:“太白入天倉中,主財寶出,主憂臣在內,天下有兵而倉庫之戶俱開;主人勝,客事不成,期二十日而發。”《荊州占》曰:“太白守天倉,天下飢,粟出。”齊伯曰:“太白守天倉,諸侯有發粟之事,有兵起;星若當戶守之,將受命,不為主用。”石氏曰:“太白入守天倉,有兵起,食粟散出;一曰年穀不登,人民飢。”郗萌曰:“太白中犯乘守天倉,四夷人相食,期三歲,兵起西方,若北方。”
《黄帝占》にいう、金星が「天倉」の中に入るのは——天倉の六星は婁宿の南にあり穀物を貯蔵する倉廩である——府庫の財宝が流散して出ることを主り君主が憂慮し臣下が宮内に伏処し天下が兵を興して倉庫の門戸がすべて開く。主方が勝を得て客方が事を謀って成らず応験の期限は二十日で事が発する。《荊州占》にいう、金星が天倉に停駐するのは、天下が飢饉し倉粟が外に運ばれることを主る。斉伯がいう、金星が天倉に停駐するのは、諸侯に倉を開いて糧を放つ挙がありしかも兵事が興起することを主る。もしこの星が倉門に正対して停駐すれば将帥は任命を受けても君主の用に肯んじない。石氏がいう、金星が天倉に入り停駐するのは、兵事が興起し储糧が散発され出ることを主る。別の説では年成が欠収し百姓が飢餓する。郗萌がいう、金星が天倉を射中し冒犯し凌乗し停駐するのは、四方の夷狄の人が飢困して人相食むに至ることを主り応験の期限は三年で兵事は西方あるいは北方に起きる。
太白の天囷を犯す 十三
石氏曰:“太白入天囷,天下兵起,囷倉儲積之物發用;一曰御物多有出者,庫藏空虛,期二年。”《海中占》曰:“太白入天囷,天下兵起,儲侯謀,囷倉庫藏有破者。”(《宋書天文志》曰:晉孝武大元二年四月壬申,太白入天.,占曰:為飢,陸安元年,王恭舉兵,協朝遷,內外戒嚴,出國寶以謝之,又水旱,民飢。)
石氏がいう、金星が「天囷」に入るのは——天囷の十三星は胃宿の南にあり円形の穀倉で積貯を主る——天下が兵を興し囷倉の中に储積する物資が支取・動用されることを主る。別の説では御用の物が大量に流出し府庫がこれに空虚となり応験の期限は二年である。《海中占》にいう、金星が天囷に入るのは、天下が兵を興し諸侯に図謀する所有り囷倉と府庫に攻破されるものがあることを主る。原書小注が《宋書・天文志》を引く——晋の孝武帝太元二年四月壬申に金星が天囷に入った——底本はここにわずかに一「天」字を存し次の一字は漫漶して「.」と作る——占辞に飢饉を主るといい、隆安元年に至って王恭が起兵して朝廷を脅迫し京城の内外が戒厳し朝廷は王国宝を交出して彼に謝罪し、また水旱の災に逢い百姓が飢饉した。原書の「陸安」は「隆安」の訛、「朝遷」は「朝廷」の訛である。
太白の天廩を犯す 十四
石氏曰:“太白守天廩,天下大飢。”甘氏曰:“太白入守天廩,天下有兵,歲大飢,倉粟散,不出其年。”《玉曆》曰:“太白入守天廩,兵起滿野,天下粟出,給軍糧;一曰糴貴。”石氏曰:“太白犯守天廩,天下亂,粟散出。”
石氏がいう、金星が「天廩」に停駐するのは——天廩の四星は昴宿の南にあり黍稷を貯蓄して祭饗に供することを主る——天下の大飢饉を主る。甘氏がいう、金星が天廩に入り停駐するのは、天下に兵事があり年成が大いに飢え倉中の糧食が散じ尽くすことを主り応験はその年を出でず。《玉暦》にいう、金星が天廩に入り停駐するのは、兵戈が四起して原野に遍くし天下の糧食が皆調出され用いて軍糧に供することを主る。別の説では糧を籴う価銭が騰貴する。石氏がいう、金星が天廩を冒犯し停駐するのは、天下の大乱と储糧の散発・流失を主る。
太白の天苑を犯す 十五
《荊州占》曰:“太白入天苑,出兵犯外夷。”《荊州占》曰:“太白守天苑,兵起馬死。”石氏曰:“太白入守天苑,牛羊禽獸多疾疫;若守之二十日,天下兵起,馬多死,其國憂。”(漢班固《天文志》曰:“漢孝武元鼎五年,太白入天苑,占曰:將以馬超兵也,一曰馬將以軍而死耗,其年以天馬,故誅大宛馬大死天軍。)《玄冥占》曰:“太白守天苑,邊境兵起,王者出兵,徵外夷,天下馬發。”
《荊州占》にいう、金星が「天苑」に入るのは——天苑の十六星は昴・畢の南にあり天子が禽獣・犠牲を畜養する苑囿である——兵を出して外族を征討することを主る。《荊州占》にまたいう、金星が天苑に停駐するのは、兵事が興起し馬匹が死亡することを主る。石氏がいう、金星が天苑に入り停駐するのは、牛羊・禽獣に疾疫に染まるものが多いことを主る。もし二十日停駐すれば天下が兵を興し馬匹が大量に死亡し当該分野の国に憂いがある。原書小注が漢の班固《天文志》を引く——漢の武帝元鼎五年に金星が天苑に入り占辞にまさに馬のために兵を興さんとすといい、別の説では馬匹が軍に随って征戦して死亡・耗損しようという。その年はまさに天馬を求取する故に大宛を誅伐し馬匹と軍士が大量に死亡した——この段の小注の文字は多く訛脱があり大意はこのようである。《玄冥占》にいう、金星が天苑に停駐するのは、辺境に兵が興り王者が師を出して外族を征討し天下が馬匹を征発することを主る。
太白の参旗を犯す 十六
《文曜鉤》曰:“太白守參旗,九州騷動,天下皆兵,弓不下弦,矢不舍筈,其國不寧,王者有憂。”《海中占》曰:“太白守參族,兵大起,弓弩,將士出行;一曰弓矢貴。”
《文曜鈎》にいう、金星が「参旗」に停駐するのは——参旗の九星は参宿の西にあり別名を天旗といい弓弩の張設を主る——九州が騒動し天下に遍く皆兵があり弓弦が終日解かず箭括が弦口を離れず该国が安寧を得ず王と為る者に憂いがあることを主る。《海中占》にいう、金星が参旗に停駐するのは——原書は「参族」と作りすなわち参旗の訛——大規模に兵を興し弓弩が斉い将士が出征することを主る。別の説では弓箭の価格が昂貴である。
太白の玉井を犯す 十七
《黃帝占》曰:“太白入玉井,為強國失地;其出之,強國得地。”巫咸曰:“太白入玉井,國有水憂;若以水為敗,水物不成,期不出年。”《感精符》曰:“太白入守玉井,水兵大起,若以水為變,魚鹽十倍。”
《黄帝占》にいう、金星が「玉井」に入るのは——玉井の四星は参宿の左足の下にあり水漿を取って庖厨に供することを主る——強国が土地を喪失することを主る。金星が玉井から出れば強国が土地を獲得することを主る。巫咸がいう、金星が玉井に入るのは、国中に水患の憂いがあることを主る。あるいは水によって敗を致し水中の産する物が成熟せず応験の期限は一年を出でず。《感精符》にいう、金星が玉井に入り停駐するのは、水戦が大いに起きあるいは水によって変故が生じ魚鹽の価銭が十倍に漲ることを主る。
太白の屏星を犯す 十八
甘氏曰:“太白入屏星,為大臣戮;若疾。”《玄冥占》曰:“太白入守屏星,諸侯有謀;若有大臣有戮死者。”
甘氏がいう、金星が「屏星」に入るのは——屏の二星は玉井の南にあり遮蔽・障隔を主る——大臣が殺されることを主る。あるいは病に染まる。《玄冥占》にいう、金星が屏星に入り停駐するのは、諸侯が暗中に図謀する所有ることを主る。あるいは大臣の中に殺され身を死する人がある。
太白の天厠を犯す 十九
《黃帝占》曰:“太白犯天廁,為大臣戮者。”郗萌曰:“太白守廁星,國多疾疫,兵飢並起,人主有憂。”《甄曜度》曰:“太白入守天廁。天下大飢,人相食,死者大半,期二年。”
《黄帝占》にいう、金星が「天厠」を冒犯するのは——天厠の四星は屏星の東にあり疾病を観察することを主る——大臣の中に殺される者があることを主る。郗萌がいう、金星が天厠の星に停駐するのは、国中に疾疫が流行し兵禍と飢饉が一斉に発生し君主に憂いがあることを主る。《甄曜度》にいう、金星が天厠に入り停駐するのは、天下の大飢饉と人相食し死者が半ばを過ぐることを主り応験の期限は二年である。
太白の天矢を犯す 二十
《帝覽嬉》曰:“太白守天矢,貴人多有疾而病死者;一曰民多以飢死。”
《帝覧嬉》にいう、金星が「天矢」に停駐するのは——天矢の一星は天厠の南にありすなわち天屎で疫癘を候察することを主る——顕貴の人に病に患って死ぬ者が多いことを主る。別の説では百姓が多く飢餓によって死ぬ。
太白の軍市を犯す 二十一
《荊州占》曰:“太白守軍市,以飢兵起。”石氏曰:“太白入守軍市,兵大起,大將軍出,若以飢兵起;一曰天下亂,四夷兵起,道路不通;一曰大軍飢,絕其糧,兵士逃亡,期二年。”
《荊州占》にいう、金星が「軍市」に停駐するのは——軍市の十三星は参宿の東南にあり軍中が互市・貿易する所で軍糧・営壘を主る——飢饉によって兵事を興すことを主る。石氏がいう、金星が軍市に入り停駐するのは、大規模に兵を興し大将軍が出征しあるいは飢饉によって兵を起こすことを主る。別の説では天下が大乱し四方の夷狄が兵を興し道路が阻断して通じない。また別の説では大軍が飢え糧道が切断され兵士が逃散し応験の期限は二年である。
太白の野鶏を犯す 二十二
甘氏曰:“太白入軍市,犯守野雞,其國凶,有死將,軍營敗,兵士散。”
甘氏がいう、金星が軍市に入りその中の「野鶏」を冒犯し停駐するのは——野鶏の一星は軍市の中にあり変怪の兆を主る——当該分野の国に凶事があり将帥が陣亡し軍営が潰敗し兵士が離散することを主る。
太白の狼星を犯す 二十三
《感精符》曰:“太白守狼星,車騎出滿野;守二十二日,將相有死者。”石氏曰:“守白守狼星,野獸死。”郗萌曰:“太白提狼星,而出入守之,車騎兵出,大將有千里之行。”《荊州占》曰:“太白守狼,敵兵起。太白犯守狼星,大將出行,其國有兵;一曰有兵,將死。”齊伯曰:“太白犯守狼星,兵大起,士卒行,天下凶,諸侯相攻,多賊盜。”(《宋書天文志》曰:晉惠帝永興二年四月丙子,太白犯狼星,是年苟破公師,藩張方破莊陽王號,關西諸將攻河間,王&&奔走東海,王遂而殺之也。)
《感精符》にいう、金星が「狼星」に停駐するのは——狼の一星は東井の東南にあり色白く芒角があって侵掠・劫奪を主る——車騎・兵馬が出動して原野に満ちることを主る。二十二日停駐に満てば将相の中に死亡する者がある。石氏がいう、金星が狼星に停駐するのは、野獣が死亡することを主る——原書の「守白」は「太白」の訛。郗萌がいう、金星が狼星に逼近しその間に出入して停駐して去らないのは、車騎の兵が出動し大将に千里の遠征の行があることを主る。《荊州占》にいう、金星が狼星に停駐するのは、敵兵が興起することを主る。金星が狼星を冒犯し停駐するのは、大将が師を出し该国に兵事があることを主る。別の説では兵事がありしかも将帥が陣亡する。斉伯がいう、金星が狼星を冒犯し停駐するのは、大規模に兵を興し士卒が遠行し天下が凶を呈し諸侯が互いに攻伐し盗賊が多いことを主る。原書小注が《宋書・天文志》を引く——晋の恵帝永興二年四月丙子に金星が狼星を冒犯し、この年に苟晞が公師藩を撃破し張方が長沙一系の王号を攻破し関西の諸将が河間王を進攻し某王が東海王の処に奔逃し東海王が終に彼を殺した——この段の小注の人名は訛脱が甚だしく底本に併せて両処の墨釘があり、姑くその大意を存す。
太白の弧星を犯す 二十四
《荊州占》曰:“太白守弧星,弓弩矢貴,大將軍有千里之行,民多死者。”《玄冥占》曰:“太白守弧星,臣有謀主者,庫兵盡用,關梁四塞,津道不通,期二年。”
《荊州占》にいう、金星が「弧星」に停駐するのは——弧の九星は狼星の東南にあり形が弓を張り矢を搭えるようで天上の弓弩で盗賊を防備することを主る——弓弩・箭矢の価格が昂貴で大将軍に千里の遠征の行があり百姓に死亡が多いことを主る。《玄冥占》にいう、金星が弧星に停駐するのは、臣下に君主を図謀する者があり武庫の中の兵器が数を傾けて取り出され関隘・橋梁が四処に封鎖され津渡・道路が阻断して通じないことを主り応験の期限は二年である。
