歳星犯羽林 十三
《海中占》曰:“歲星入守羽林,有兵起,若有逆行,變色成鉤已,天下大兵,關梁不通,不出其年。”郗萌曰:“歲星入守羽林,有反臣中兵起也。”《玄冥占》曰:“歲星入守羽林,諸侯悉發兵,強臣謀主,王者憂,期二年。”(案《宋天文志》曰:晉安帝義熙五年五月戊戍,歲星入羽林,是年四月,高祖討鮮卑,西虜攻安定,姚略自以大眾救之,六年二月,鮮卑滅。)
「羽林」四十五星は営室の南にあり、天子の禁衛軍で天軍ともいう。《海中占》にいう、歳星が羽林に入って守候するのは兵事が興る兆しであり、もしさらに逆行・変色し、蟠曲して「鉤己」の形を成せば、天下は大いに干戈を動かし関隘・橋梁が断絶して通ぜず、当年を出ずに応じる。郗萌はいう、歳星が羽林に入って守候するのは叛臣があり、兵変が内部から起こる兆しである。《玄冥占》にいう、歳星が羽林に入って守候すれば、諸侯は皆兵を発し、強横な臣子が君主を図り、君王はこれを憂う。期限は二年である。以下は原書小注の按語で、《宋書・天文志》を引いていう、晋の安帝義熙五年五月戊戌の日、歳星が羽林に入った。この年の四月、宋の高祖劉裕が南燕の鮮卑を征討し、西の敵虏が安定を攻め、姚略は自ら大軍を率いて救援に赴いた。義熙六年二月に至って鮮卑は滅ぼされた。
石氏曰:“歲星入天軍,諸侯悉發甲兵;一曰興兵者吉。”郗萌曰:“歲星犯守天軍為兵起,有破軍死將。”
石氏はいう、歳星が天軍すなわち羽林軍の星に入れば、諸侯は皆甲士・兵器を調発し、もう一説には自ら兵を興す側が吉であるとする。郗萌はいう、歳星が天軍を衝犯または守候するのは兵事が興る兆しで、軍隊が撃破され将領が陣亡する事がある。
歳星犯北落 十四
石氏曰:“歲星與北落相貫,牴觸,光芒相及,有兵大戰,破軍殺將,伏尸流血,不可當也。期百八十日,若一年;又守北落,亦為兵起。”
「北落」すなわち北落師門は一星、羽林軍の南にあり、軍営の北門である。石氏はいう、歳星と北落が互いに貫き相抵触して光芒が交じり合うのは、大規模な兵戦があり、軍隊が撃破され将領が殺され、屍が野に横たわり血が川を成し、锋芒は鋭くて当たるべからずという兆しである。期限は百八十日または一年である。また、歳星が北落を守候するのも同じく兵事が興る兆しである。
歳星犯土司空 十五
《海中占》曰:“歲星守土司空,其國以土起兵;若有土功之事,天下旱。”郗萌曰:“歲星守土司空,多土功事。”
「土司空」一星は奎宿の南にあり、土木の営造と堤防・溝洫を主る。《海中占》にいう、歳星が土司空を守候すれば、その国は土地の争いのために兵を起こし、あるいは土木を興建する工役があり、天下は干旱する。郗萌はいう、歳星が土司空を守候するのは土木の工役が繁多な兆しである。
歳星犯天倉 十六
《黃帝占》曰:“歲星入天倉中,主財寶出,主憂,亂臣在內,天下有兵,而倉庫之戶俱開,主人勝客,客事不成,期二十日中而發。”巫咸曰:“歲星入天倉,若守之,天下有轉粟之事,歲惡民飢。”《齊伯占》曰:“歲星守天倉,諸侯有發粟之事,兵起;星若當戶守之,將受命,不為主用。”
「天倉」六星は婁宿の南にあり、穀物を儲蓄する倉廩である。《黄帝占》にいう、歳星が天倉の中に入るのは庫蔵の財宝が流出し、君主に憂患があり、乱を為す臣子が朝廷の内に在り、天下に兵事があって倉庫の門戸はすべて敞く兆しである。交戦すれば主方が客方に勝ち、客方の図る事は成らない。期限は二十日以内に発作する。巫咸はいう、歳星が天倉に入るか留まり守れば、天下に糧米を転運する事があり、年成は悪く百姓は飢饉する。《斉伯占》にいう、歳星が天倉を守候すれば諸侯に倉を開き糧を発する事があり兵事が興り、もし歳星が倉門に正対して守れば、将帥は君命を受けたにもかかわらず君主の用に肯んじない。
歳星犯天囷 十七
石氏曰:“歲星入天囷,天下兵起,囷倉儲積之物皆發用;一曰:御物多有出者,庫藏空虛,期二年。”
「天囷」十三星は胃宿の南にあり、円形の穀倉である。石氏はいう、歳星が天囷に入れば天下に兵事が興り、囷倉に儲積した物資はすべて調発されて用いられ、もう一説には御用の物品が大量に流出して府庫が空虚となり、期限は二年である。
歳星犯天廩 十八
石氏曰:“歲星犯守天廩,天下亂,大飢,粟散出。”甘氏曰:“歲星入守天廩,天下有兵,歲大飢,倉粟散出,不出其年。”
「天廩」四星は昴宿の南にあり、御用の糧米を儲蓄する倉廩である。石氏はいう、歳星が天廩を衝犯または守候すれば天下は動乱して大いに飢饉し、倉中の粟米は散発される。甘氏はいう、歳星が天廩に入って守候すれば天下に兵事があり年成は大いに飢え、倉中の粟米が散発されて当年を出ずに応じる。
歳星犯天苑 十九
甘氏曰:“歲星入守天苑,牛羊禽獸多疾疫,若守之,二十日兵起,馬多死,其國憂。”
「天苑」十六星は昴宿・畢宿の南にあり、天子が牲畜・禽獣を牧養する苑囿である。甘氏はいう、歳星が天苑に入って守候すれば牛羊・禽獣に疫病が多く生じ、もし長く守候すれば二十日以内に兵事が興り、馬匹が大量に死亡し、その国に憂患がある。
歳星犯参旗 二十
《海中占》曰:“歲星守參旗,兵大起,弓弩用,士將出行;一曰弓弩貴。”
「参旗」九星は参宿の西北にあり、天旗ともいい、弓弩・旌旗の象である。《海中占》にいう、歳星が参旗を守候すれば兵事が大いに起こり、弓弩が用をなし、士卒・将帥は出征して遠く行き、もう一説には弓弩の価が騰貴するとする。
歳星犯玉井 二十一
《黃帝占》曰:“歲星入玉井,為強國失地;其出之強國得地。”巫咸曰:“歲星入玉井,國有水憂;若以為水敗水,物不成,期不出年。”
「玉井」四星は参宿の左足の下にあり、水泉を主る。《黄帝占》にいう、歳星が玉井に入るのは強国が土地を喪う兆しであり、歳星が玉井から穿ち出るのは強国が土地を得る兆しである。巫咸はいう、歳星が玉井に入れば国に水患の憂いがあり、あるいは水によって害を受け水に冲毀され、作物は成熟せず、期限は当年を出ない(底本の「若以為水敗水」の句は誤りと重複があり、義は水をもって害と為すということである)。
歳星犯天屏 二十二
甘氏曰:“歲星入守天屏星,諸侯有謀,若大臣有戮死者。”
「天屏」二星は玉井の南・天厠の近くにあり、遮蔽・障隔の象を取る。甘氏はいう、歳星が天屏星に入って守候するのは、諸侯が密かに謀を抱くか、あるいは大臣の中に処刑される者が出る兆しである。
歳星犯天厠 二十三
《黃帝占》曰:“歲星入守天廁,為大臣有戮者。”《甄耀度》曰:“歲星入守天廁星,天下大飢,人相食,死者大半,期二年。”
「天厠」四星は屏星の東・参宿の南にあり、疾疫と五穀の豊歉を察することを主る。《黄帝占》にいう、歳星が天厠に入って守候するのは大臣の中に殺される者が出る兆しである。《甄耀度》にいう、歳星が天厠星に入って守候すれば、天下は大いに飢え、人は互いに殺し食い、死ぬ者が半ばを過ぎ、期限は二年である。
歳星犯軍市 二十四
石氏曰:“歲星入守軍市,兵大起,大將出;若以飢兵起。”
「軍市」十三星は参宿の東南にあり、軍中で交易する集市である。石氏はいう、歳星が軍市に入って守候すれば兵事が大いに起こり、大将が出征し、あるいは飢饉のために兵乱が興る。
歳星犯野鶏 二十五
甘氏曰:“歲星入犯守野雞,其國凶,必有死將,軍營敗,兵士散走。”
「野鶏」一星は軍市の中にあり、変異・怪祥を主る。甘氏はいう、歳星が野鶏に入り・衝犯しまたは守候すれば、その国に凶禍があり、必ず陣亡する将領が出て、軍営は潰敗し、兵士は四散して逃走する。
歳星犯狼星 二十六
郗萌曰:“歲星守犯狼星,大人免。”石氏曰:“歲星入守犯狼星,野獸死。”《荊州占》曰:“歲星守犯狼星,大將出行,其國有兵;一曰有死將。”《玉曆》曰:“歲星犯守狼星,大將出,天下多兵,盜賊起,人主憂。”
「狼星」すなわち天狼は一星、東井の東南にあり、色は白くて芒があり、侵掠・劫奪を主る。郗萌はいう、歳星が狼星を守候・衝犯するのは大人が罷免される兆しである。石氏はいう、歳星が狼星に入り・守候し・衝犯するのは野獣が死亡する兆しである。《荊州占》にいう、歳星が狼星を守候・衝犯するのは大将が出征して遠く行く兆しで、その国に兵事があり、もう一説には陣亡する将領が出るとする。《玉暦》にいう、歳星が狼星を衝犯または守候するのは大将が師を出し、天下に兵事が頻繁で盗賊が四方に起こり、君主がこれを憂う兆しである。
歳星犯天弧星 二十七
《荊州占》曰:“歲星守弧,貴人多死,若將當貴人伐。”《荊州占》曰:“歲星守弧,大將有千里之行,國驚。”
「天弧」すなわち弧矢九星は狼星の東南にあり、弓を張って狼を射る状を成し、盗賊への防備を主る。《荊州占》にいう、歳星が弧星を守候するのは貴人に死亡が多いか、あるいは将帥がある貴人を征討しに行く兆しである。《荊州占》はまたいう、歳星が弧星を守候するのは大将に千里遠征の行があり、国を挙げて震動する兆しである。
歳星犯天稷 二十八
《海中占》曰:“歲星犯守天稷,有旱災,五穀不登,歲大飢;一曰五穀出。”
「天稷」五星は七星宿の南にあり、農事を主管する農正の象である。《海中占》にいう、歳星が天稷を衝犯または守候するのは旱災があり、五穀が成熟せず年成が大いに飢える兆しであり、もう一説には五穀が外に流れ散出するとする。
歳星犯甘氏外官 二
歳星犯四輔 一
《荊州占》曰:“歲星中犯乘守四輔星,君臣失禮,輔臣有誅者。”
「四輔」四星は北極枢星を環抱し、天子を輔佐する四人の重臣を象徴する。《荊州占》にいう、歳星が四輔星を正中・衝犯・凌乗または守候するのは、君臣の間に礼数を失し、輔政の大臣の中に誅殺される者が出る兆しである。
歳星犯日星 二
《荊州占》曰:“歲星守日星,王者得忠臣,陰陽平;守之二十日至四十日不去,王者與天同心,四夷和平,五穀大豐。”
「日星」は太陽を象徴する一星で、君德の明を代表する。《荊州占》にいう、歳星が日星を守候するのは君王が忠臣を得て陰陽が調和し均平となる兆しであり、もし二十日から四十日守候して去らなければ、君王の心意は上天と合し、四方の夷狄は和睦して事なく、五穀は大いに豊収となる。
歳星犯天田 三
《荊州占》曰:“歲星守天田,五穀豐,不出年中。”
「天田」二星は京畿の内の田畝を主り、天子が自ら籍田を耕す象である。《荊州占》にいう、歳星が天田を守候するのは五穀が豊収する兆しで、この一年を出ずに応じる。
歳星犯平道 四
甘氏曰:“歲星守平道,天下治,隱士外不出一年。”
「平道」二星は角宿の两星の間にあり、天子が出行する馳道である。甘氏はいう、歳星が平道を守候するのは天下が太平に安治し、隠居の士が出て官を為す兆しで、一年を出ずに応じる(底本の「隠士外」の「外」は「出」と作るべきである)。
歳星犯酒旗 五
《荊州占》曰:“歲星守酒旗,天下大酺,有酒肉財物賜,若爵宗室。”
「酒旗」三星は軒轅の右角の南にあり、宴饗・酒食を主る。《荊州占》にいう、歳星が酒旗を守候するのは、朝廷が特に天下に聚飲の大酺を許し、酒肉・財物の賞賜があるか、あるいは宗室の子弟に爵位を加封する兆しである。
歳星犯天高 六
《黃帝占》曰:“歲星逆行天高,其君齋戒不謹;一曰守天高,赦。”
「天高」四星は畢宿の南にあり、登臨して遠望する台榭の象である。《黄帝占》にいう、歳星が天高で逆行するのは、そこの国君が斎戒・祭祀を恭謹に足りない兆しであり、もう一説には歳星が天高を守候すれば赦令を頒行しようとするとする。
歳星守天潢 七
《黃帝占》曰:“歲星入天潢,為天下大亂,易政;一曰貴人死。”《黃帝占》曰:“歲星入天潢,為運道不通,兵起。”郗萌曰:“歲星失度入天潢中,為人主以水為害;若以井為害;以見入之日占其及與其官。”《黃帝占》曰:“歲星中犯乘守天潢,期二十日,兵起。”
「天潢」五星は五車の中にあり、天上の津渡・橋梁で水上の通行を主る。《黄帝占》にいう、歳星が天潢に入るのは天下が大いに乱れ政令を改め換える兆しであり、もう一説には貴人が死亡するとする。《黄帝占》はまたいう、歳星が天潢に入るのは漕運の道路が塞がり通ぜず兵事が興る兆しである。郗萌はいう、歳星が行度を失って天潢の中に入るのは君主が水によって害を受けるか、あるいは井によって害を受ける兆しであり、それが天潢に入った日の干支によって禍事の及ぶ範囲と応じる官職を推し断する。《黄帝占》はまたいう、歳星が天潢を正中・衝犯・凌乗または守候すれば、期限は二十日で兵事が興る。
歳星犯咸池 八
甘氏曰:“歲星入咸池,有兵喪,天子且以火敗,失忠臣,若旱;一曰大水,道不通,貴人死,以入日占國。”郗萌曰:“歲星入咸池,為有以迷惑人主者;一曰大旱,歲飢。”郗萌曰:“歲星入咸池北,大水;出咸池南,旱。”《荊州占》曰:“歲星入咸池,天下大亂,人君死,易政;以入日占其國。”
「咸池」三星は五車の中・天潢の南にあり、魚陂・水沼の象で、伝えるところではまた太陽が沈んで洗浴する所である。甘氏はいう、歳星が咸池に入るのは兵事と喪事があり、天子が火災によって損を受け忠臣を失うか、あるいは旱災に遭う兆しであり、もう一説には大水を発して道路が通ぜず貴人が死亡し、それが入った日辰によってどの国に応じるかを推し断するとする。郗萌はいう、歳星が咸池に入るのは君主を迷惑させる者がある兆しであり、もう一説には大旱で年成が飢饉するとする。郗萌はまたいう、歳星が咸池の北面に入るのは大水を主り、咸池の南面から穿ち出るのは干旱を主る。《荊州占》にいう、歳星が咸池に入れば天下は大いに乱れ国君は死亡し政令を改め換え、それが入った日辰によってどの国に応じるかを推し断する。
歳星犯天街 九
郗萌曰:“歲星當天街,為諸侯自立為王;一曰大水。”郗萌曰:“歲星留止逆行天街中,為兵革起。”石氏曰:“歲星犯守天街,及徘徊亂行,主弱臣強,道隔絕,天下不通。”郗萌曰:“歲星不從天街,為政令不行,不出其年,有兵。”
「天街」二星は昴宿と畢宿の間にあり、華夏と四夷の分界で道路・関梁を主る。郗萌はいう、歳星が天街に正対するのは諸侯が自立して王となる兆しであり、もう一説には大水があるとする。郗萌はまたいう、歳星が天街の中に留まり進まず後に逆行するのは兵革が興る兆しである。石氏はいう、歳星が天街を衝犯または守候し、あるいはそこで徘徊して乱行するのは、君が弱く臣が強く、道路が隔絶して天下が通行できない兆しである。郗萌はまたいう、歳星が天街に循わずに行くのは政令が推行できず、当年を出ずに兵事がある兆しである。
歳星犯甘氏外官 三
歳星犯哭泣 一
甘氏曰:“歲星犯哭泣,有大喪。”(案《宋天文志》曰:孝武太元二年一年六月辛已,歲星犯哭泣星,占曰:有哭泣事,是年九月,孝武帝崩。)
「哭」「泣」は各二星、虚宿の南にあり、喪亡・哭泣の事を主る。甘氏はいう、歳星が哭泣星を衝犯するのは大喪がある兆しである。以下は原書小注の按語で、《宋書・天文志》を引いていう、晋の孝武帝太元二十一年(底本は「二十一年」を「二年一年」と誤る)六月辛巳の日、歳星が哭泣星を衝犯し、占辞は哭泣の事があるといい、この年の九月に孝武帝は逝去した。
歳星犯鈇鑕 二
《荊州占》曰:“歲星犯天鈇鑕,五日以上,臣有謀。又曰:“歲星犯鈇鑕,誅國相。”郗萌曰:“歲星中犯乘守鈇鑕,為鈇鑕用;一曰兵將有憂。”
「鈇鑕」は人を斬る鍘刀と下に敷く砧板であり、その星は亢宿の南にあって刑戮を主る。《荊州占》にいう、歳星が天鈇鑕を衝犯して五日以上留まるのは臣下が密かに謀を抱く兆しである。またいう、歳星が鈇鑕を衝犯するのは国相を誅殺する兆しである。郗萌はいう、歳星が鈇鑕を正中・衝犯・凌乗または守候するのは刑具が用をなす兆しであり、もう一説には兵を帯びる将領に憂患があるとする。
歳星犯芻藁 三
《黃帝占》曰:“歲入主天積中,主財寶出,憂臣在內。”(天積芻藁也。)
「芻藁」六星は天囷の南にあり、積み重ねて牛馬に餌やりする草料である。《黄帝占》にいう、歳星が天積の中に入るのは(底本はこの句の「歳星入」を「歳入主」と誤る)、庫蔵の財宝が流出し、憂慮させる臣子が朝廷の内に在る兆しである。原書小注にいう、天積は芻藁の別名である。
歳星犯軍井 四
《荊州占》曰:“歲星入軍井,三日以上,其歲大水。”
「軍井」四星は玉井の東南にあり、軍中で水を汲む井で行軍の飲水を主る。《荊州占》にいう、歳星が軍井に入って三日以上留まれば、この年に大水を発する。
歳星犯天狗 五
《荊州占》曰:“歲星入天狗北,夷大飢來歸,鄰國多土功。”
「天狗」七星は狼星の北にあり、門戸を守御し盗賊を防備することを主る。《荊州占》にいう、歳星が天狗の北面に入るのは、夷狄が大飢饉を鬧して帰附して来るか、隣国が土木の工役を大いに興す兆しである。
歳星犯天廟 六
《黃帝占》曰:“歲星入天廟,若守皆為廟事;一曰為凶,憂。”《荊州占》曰:“歲星入天廟,有廟殘之事,吏不去,死。”
「天廟」十四星は張宿の南にあり、天子の宗廟である。《黄帝占》にいう、歳星が天廟に入るかそこで守候するのは、いずれも宗廟の祭祀の事を主り、もう一説には凶を主り憂を主るとする。《荊州占》にいう、歳星が天廟に入るのは宗廟が毀損・残破する事がある兆しで、廟を守る官吏が引退しなければ死亡する。
歳星犯巫咸外官 四
歳星犯土司空 一
《荊州占》曰:“歲星守入土司空,有土徭之事。”
「土司空」は土木の営造を主り、巫咸の一家もこれを外官に列する。《荊州占》にいう、歳星が土司空を守候して入るのは、土木の徭役を徴発する事がある兆しである。
歳星犯鍵閉 二
《荊州占》曰:“歲星犯守乘鍵閉星,大臣有誤天子尊事天者,天子不宜出宮下殿,有匿兵於宗廟中者。”《荊州占》曰:“歲星守健閉,王者出國,不出七十日。”
「鍵閉」一星は房宿の東北にあり、鍵は門閂、閉は鎖鑰で、関鍵の門戸を主る。《荊州占》にいう、歳星が鍵閉星を衝犯・守候または凌乗するのは、大臣が天子の天を尊び神に事える礼儀に差しつかえが出た兆しで、天子は宮を出て殿を下るべきではない——人が兵器を宗廟の中に藏匿しているからである。《荊州占》はまたいう、歳星が鍵閉を守候するのは(底本は「鍵」を「健」と誤る)、君王が出行して京を離れる兆しで、七十日を出ずに応じる。
歳星犯天淵 三
郗萌曰:“歲星守天淵,海水出,江河決溢,若海魚出。”
「天淵」十星は鱉星の東南にあり、灌漑の溝渠・深池である。郗萌はいう、歳星が天淵を守候するのは海水が上に湧き、江河が決口して氾濫するか、あるいは海魚が内地に游び出て来る兆しである。
歳星犯天厩 五
《荊州占》曰:“歲星入天廄中,十日以上,馬有食變。”《黃帝占》曰:“歲星守天廄,為災之事,人主以馬為憂,不則馬死。”
「天厩」十星は室宿の北にあり、天子が車馬を畜養する厩苑である。《荊州占》にいう、歳星が天厩の中に入って十日以上留まれば、馬匹の草料の供給に変故が出る。《黄帝占》にいう、歳星が天厩を守候するのは災異の事があり、君主が馬匹のために憂うか、さもなければ馬匹が死亡する兆しである。
開元占経 巻三十
熒惑占 一
熒惑名主 一
《黃帝占》曰:“熒惑一曰赤星。”《廣雅釋天篇》曰:“熒惑一日罰星,或曰執法。”《荊州占》曰:“熒惑居東,為懸息;西方,為天理;南方,為熒惑;其行無常,司無道之國。”吳龔《天官書》曰:“熒惑,火之精,其位在南方,赤帝之子,方伯之象也。為天候,主歲成敗,司察妖孽,東西南北,無有常,出則有兵,入則兵散,周旋止息,乃為死喪。”
「熒惑」は火星である。五星の中でそれは色が赤く火のごとく、行度が熒熒と定まらず人を惑わせるのでこの名を得て、兵戈・喪亡・禍乱を主る。《黄帝占》にいう、熒惑はまた「赤星」ともいう。《広雅・釈天篇》にいう、熒惑はまた「罰星」ともいい、あるいは「執法」と呼ぶ者もいる。《荊州占》にいう、熒惑は東方に処るとき「懸息」といい、西方に処るとき「天理」といい、南方に処るときに始めて「熒惑」という。それは運行に常度がなく、もっぱら無道の国を伺い察する。呉の龔《天官書》にいう、熒惑は火の精気の結んだもので、方位は南方に属し、赤帝の子で方伯・諸侯の象徴である。それは上天の斥候を務め、年成の豊歉を主管し、妖異・孽禍を伺い察し、東西南北に游行して定まらず、現れれば兵事があり、隠伏すれば兵事は消散する。もし盤旋して往復し留まって去らなければ、死喪の禍があろうとしているのである。
《詩緯含神霧》曰:“熒惑司實。”《春秋緯》曰:“熒惑主候守。”《春秋緯》曰:“熒惑主禮成,天意;禮失,則妾為妻,支為嗣,精感類應,則熒惑逆見,變怪。”石氏曰:“熒惑主憂,主南維,主於火日,主丙丁,主禮,禮失者,罰出熒惑之逆行是也,此失夏政也。以其所守之舍,命其國。”
《詩緯・含神霧》にいう、熒惑は名実が相副するかどうかを主管する。《春秋緯》にいう、熒惑は伺候・守望を主管する。《春秋緯》はまたいう、熒惑は礼制の成就を主り、礼制が天意に合えば安らかであり、礼制が敗壊すれば妾を以て妻とし傍支を以て嫡嗣とするような僭乱の事が現れ、精気は感召し同類は相応じて、熒惑は逆行して現れ、種々の変異・怪象を示す。石氏はいう、熒惑は憂患を主り、南方の天維を主り、火行の日を主り、天干の丙・丁を主り、礼を主る。礼制が敗壊すれば、上天の責罰は熒惑の逆行として表れ、これは夏季の政令が失当な兆しである。それが守候する星宿の分野によって、どの国に応じるかを断定すべきである。
石氏曰:“熒惑者,天子之禮也,東西南北無有常,五月而出。”石氏曰:“熒惑主大鴻臚,主死喪。”巫咸曰:“熒惑者,太白之雄也,五星之伯也,其色赤,勝太白。”巫咸曰:“熒惑主憂患,過、惡、禍、福,所由坐也。”
石氏はいう、熒惑は天子の礼制を代表し、東西南北に游行して常度なく、五か月隠伏して後に現れる。石氏はまたいう、熒惑は賓客・礼儀を掌る大鸿臚の官を主り、死喪を主る。巫咸はいう、熒惑は太白金星の雄配で、五星の中の伯長であり、その色は赤く、気勢は太白に勝る。巫咸はまたいう、熒惑は憂患を主り、人間の過失・罪悪・災禍と福慶は、すべてそれによって坐実し定断される。
《洪範五行傳》曰:“熒惑於五常為禮,辨上下之節於五事,為視明察善惡之事也;禮虧視失逆夏令,則熒惑為旱災、為飢、為疾、為亂、為死喪、為賊、為妖言大怪也。”班固《天文志》曰:“逆夏令,傷火氣,罰見熒惑。”
《洪範五行伝》にいう、熒惑は仁義礼智信という五常の中で「礼」に対応し、上下・尊卑の節度を分かち辨えるのに用いられ、貌・言・視・聴・思という五事の中で「視」に対応し、眼力の明察・善悪の辨別の事を主る。礼制が損なわれ視聴が明を失い夏季の時令に逆らえば、熒惑は旱災・飢饉・疾疫・動乱・死喪・賊寇および妖言・大怪として応験を表す。班固《天文志》にいう、夏令に逆らえば火気を傷つけ、上天の責罰は熒惑に顕現する。
《淮南天文間詁鴻烈》曰:“南方火也,其帝祝融、其佐朱明,執衡而治夏;衡平地其神為熒惑,其獸為朱雀,其音徵,其日丙丁。又曰:“出入無常,辨其變,其色時見、時匿。”班固《天文志》曰:“熒惑天子理也。故曰:雖有明天子,必視熒惑所在。”郗萌曰:“熒惑為司馬。”
《淮南鴻烈》の《天文》篇にいう、南方は火に属し、その天帝は祝融、輔佐は朱明で、衡器を手に執って夏季を治める。衡は平正を主り、その神は熒惑であり、その獣は朱雀、その音は五音の中の徵、その日は丙・丁である。またいう、熒惑の出没に常度はなく、その変化を仔細に分かち辨えよ——その色は時に顕現し時に隠没する。班固《天文志》にいう、熒惑は天子の治理を代表する。ゆえにいう、聖明の天子が位にあっても、必ず熒惑のある位置を察しなければならない。郗萌はいう、熒惑は兵を掌る司馬の官を主る。
《荊州占》曰:“熒惑火之精,其神上為熒惑,其國荊楚。又曰:“主吳越以南。”《荊州占》曰:“熒惑,天一候者,司萬物之變。”《荊州占》曰:“熒惑上承天一,下主司天下人臣之過,司驕、司奢、司禍、司賊、司飢、司荒、司死、司喪、司正、司直、司兵、司亂、司惑,災殃無不主之。”《荊州占》曰:“王者禮義,熒惑不留其國;凶殃,熒惑罰之。”
《荊州占》にいう、熒惑は火の精気で、その神が天に昇れば熒惑星となり、対応する分野は荊楚の地である。またいう、それは呉越以南の区域を主る。《荊州占》にいう、熒惑は天一の神の斥候で、万物の変異を主管する。《荊州占》にいう、熒惑は上は天一の命を承け、下は天下の臣子の過失を伺い察することを主管し、驕縦を管し、奢侈を管し、禍患を管し、賊寇を管し、飢餓を管し、荒歉を管し、死亡を管し、喪事を管し、端正を管し、正直を管し、兵戈を管し、禍乱を管し、迷惑を管し、一切の災殃でそれの管掌に帰さないものはない。《荊州占》にいう、君王が礼義を講じれば、熒惑はその国境に滞留しない。国に凶殃があれば、熒惑は来てそれを責罰する。
韓楊曰:“熒惑之為言;熒惑以像讒賊,進退無常,不可為極。”韓楊曰:“熒惑,火行之星,其理也,主諸侯。”韓楊曰:“熒惑為天一候,犯、逆、留,隱其雷鳴,臣子主社稷、傾五精、並聚弒成刑、出西反,明主不,熒受命興起,天下平,變色失行,所留者亡,所抵有兵。韓楊曰:“熒惑修禮,順則喜,逆則怒。”
韓楊はいう、いわゆる「熒惑」とは熒熒と惑乱する義を取り、讒を進め人を害する姦賊を象徴するのに用い、進退に常がなく準則とすることができない。韓楊はまたいう、熒惑は五行の火に属する星で、治理を主り、諸侯を主る。韓楊はまたいう、熒惑は天一の神の斥候を務め、ひとたび衝犯・逆行・久留があれば、雷声が隠伏して鳴らなくなり、臣子が社稷の権を擅り執り五星の常序を傾覆し、徒党を聚めて弑を行い刑戮の禍を醸成する兆しとなる。それが西方から逆に出れば、聖明の君主も自ら安んじることが難しい(この段は底本の文字に脱誤があり、語意は全く通じない)。熒惑が命を受けて興れば天下は太平であり、色を変え行を失えば、それが滞留する分野は敗亡し、それが抵触する分野には兵がある。韓楊はまたいう、熒惑は礼制の修明を主り、礼が順なればそれは喜び、礼が逆なればそれは怒る。
石氏曰:“熒惑躁急、促疾,主南方,從巳至未,南方夏氣所治位也;盛陽在上,微陰在下,尊卑承養物禮也;言失夏政,封錫逆天,則熒惑有變。”韓楊曰:“熒惑入列宿,其國有殃。”韓楊曰:“熒惑所止,為其國君死。”《海中占》曰:“熒惑法使行無常。”
石氏はいう、熒惑は性情が躁急で行動が迫促し、南方を主り、方位は巳から未に及び、これは南方の夏気の主治する位置である。この時、盛陽が上にあり微陰が下にあり、ちょうど尊卑が相承え万物を長養する礼序に合う。これは、ひとたび夏季の政令が失当となり封賞・賜与が天道に逆らえば、熒惑に変異が現れると言うのである。韓楊はいう、熒惑がある星宿に入れば、その分野の国に災殃がある。韓楊はまたいう、熒惑が留まって去らない所は、その国の国君が死ぬ。《海中占》にいう、熒惑は使者の職に倣い、運行に常度がない。
