馬が宮殿に入る
《潛潭巴》曰:“有馬入宮,大臣不從行不忠,其有聲也,臣名於天下,主令不行,輕見虜。”注云:“馬,地精,陰也。從人,無所不之。今忽入宮,臣欲奪主位,居其宮之祥也。有聲,是日而鳴聲者,欲行主教令也。”
《春秋潜潭巴》にいう:馬有りて宮中に闖入するは、大臣が君命に服従せず、行事が忠ならざるを主る。若しその馬が還りて声を出して嘶鳴せば、あの位の臣子はまさに名を天下に動かし、君主の号令は推行する能わず、軽易に人に俘獲せらるべし。原注が解釈していう:馬は地気の精華にして、陰に属す。それは人に順従し、また到らざる処なし。今忽然として宮中に闖入するは、臣下が君位を奪取し、宮室を占據せんと欲するの先兆である。所謂「有声」とは、当日に鳴叫して声を出すを指し、象徴する所はこの位の臣子が位を越えて号令を発し、君主の教令を代行せんと欲することである。
京房曰:“馬走入君宮,有兵事,大憂。”《異苑》曰:“後趙建武十四年,有妖馬一匹,色青,尾燋燎,自中陽走闕下,是歲,虎死,國亂。”《晉陽秋》曰:“咸康八年,有馬色赤如血,自宣陽門直入殿前,走出不知所之。”《二石偽事》曰:“石混說建武十四年時,忽有斕馬一匹,有四目,繫著殿中,十餘日,突去,不知所在。”
京房がいう:馬が奔跑して君主の宮室に闖入するは、兵事あるあらん、君主に大いなる憂患あり。《異苑》に記す:後趙の建武十四年、一匹の妖馬が出現し、青色にして、尾巴は火に焼け焦げたるが如く、中陽より一直に宮闕の下まで跑った。この年、石虎が死去し、国中大いに乱れたり。《晋陽秋》に記す:東晋の咸康八年、一匹の馬有りて顏色は赤紅にして血の如く、宣陽門より径直に殿前まで闖り、随後に跑り出でて、往く所を知らざりき。《二石偽事》に記す:石混が説くに建武十四年のとき、忽然として一匹の斑斕の馬が出現し、四隻の眼睛を長じ、殿中に拴られ、十数日を過ごし、突然に跑り去りて、去向を知らざりき。
馬に角生ず
《地鏡》曰:“馬忽生角,其君以兵攻國,破亡。”《呂氏春秋》曰:“亂國之妖,馬乃生角。”京房曰:“下不順政,厥妖馬生角,茲謂賢士不足。”又曰:“天子親伐,馬生角。”《洪範五行傳》曰:“文帝十二年,有馬生角於吳,在耳前,上向,右角長三寸,左角長二寸,皆大二寸。劉向以為,馬不當生角,猶吳主不當舉兵向上也。”
《地鏡》にいう:馬が忽然として角を生出するは、この君主まさに兵を用いて別の国を攻打せんとし、結果は破败・滅亡す。《吕氏春秋》にいう:乱国の妖異は、即ち馬に角を生ずるのこの一類あり。京房がいう:下に在る人が政令に順従せざれば、その妖異は馬に角を生ずるなり、これを賢士は任用するに足らざると謂う。又いう:天子まさに親ら出征せんとすれば、馬は角を長ずべし。《洪範五行傳》に記す:漢の文帝十二年、呉地に馬有りて角を生出し、角は耳朵の前に生じ、上に向かって竪起し、右角の長さ三寸、左角の長さ二寸にして、皆二寸の粗さあり。劉向が以為するに、馬は本より角を生ずべからず、正に呉王が応に兵を挙げて朝廷に指向すべからざるが如し。
又曰:“咸帝綏和二年二月,大廄馬生角左右耳前,圍長各一寸。是時王莽為大司馬,害上之萌,自此始矣。”《晉紀》曰:“隆安四年,梁州刺史郭詮,送馬生角,桓玄之應也。”《趙書》曰:“前趙臨涇縣,馬生角在耳,長七寸,搖之則動。”
《洪範五行傳》がまた記す:漢の成帝の綏和二年二月、太僕・大廐の馬が左右の両耳の前に角を生出し、囲長は各々一寸(底本の「咸帝」は「成帝」の訛)。当時王莽が正に大司馬を担任し、君上を謀害するの苗头は、この時より開始した。《晋紀》に記す:東晋の隆安四年、梁州刺史の郭詮が一角を長じた馬を送り来たり、これは桓玄の簒乱の応験である。《趙書》に記す:前趙の臨涇県に馬有りて耳朵上に角を生じ、長さ七寸、一たび搖れば即ち晃动した。
牡馬が駒を生む
京房曰:“方伯分威,厥妖牡馬生駒。”《史記》:“秦昭王二十年,牡馬生駒而死,非類妄生而死,猶秦恃力強得天下而還自滅之象也。”《漢書五行志》曰:“哀帝建平二年,定襄牡馬生駒三足,隨群飲食,太守以聞。馬,國之武用;三足,不任用之象。後侍中董賢年二十二為大司馬,居上公之位,天下不宗。哀帝暴崩,成帝母王太后召弟子新都侯王莽入,收賢印綬,賢自殺,莽因代之。”
京房がいう:一方の諸侯の長が君主の威権を分奪せば、その妖異は即ち公馬が駒を産するなり。《史記》に記す:秦の昭王二十年、公馬が馬駒を生下して随即死去せり。同類に非ざるに胡乱に子を産し、産み下せば即ち死するは、正に秦国が武力を倚仗して天下を強取し、最終に反って自ら滅亡を取るの象徴の如し。《漢書・五行志》に記す:漢の哀帝の建平二年、定襄郡に公馬有りて三隻脚の馬駒を生下し、還りて馬群に随って水を飲み草を食むこと能き。太守はこの件の事を朝廷に上報した。馬は国家の武備の用にして、三隻脚は任用に堪えざるの象徴である。後に侍中の董賢は二十二歳にして即ち大司馬を做し、位は上公に居るも、天下の人は却って彼を推重せず。哀帝が突然に去世すると、成帝の母・王太后は甥の新都侯王莽を召して朝に入れ、董賢の印綬を收回し、董賢は自殺し、王莽は於是彼の位置に取代した。
馬が子を生じて形異なり
京房曰:“馬生子,一目,其君弱;馬生子,三目以上,臣制主令;馬生子,二口以上者,其令多亂;馬生子,三鼻以上,民流亡;馬生子,三耳以上,其民人多死者;馬生子,二匹以上,民流亡;馬生子,三足,其邑主且有不祥;馬生子,二陰以上,有兵;馬生子,目在腹下及在旁,其邑有兵;馬生子,目在四支,其邑俘囚;馬生子,目在陰,其邑大弱,主亡;馬生子,目在背,民流亡,不從令;
京房がいう:馬の生下したる駒子が一隻の眼睛のみなるは、この君主が孱弱なり。三隻以上の眼睛なるは、臣下が君主の号令を把持す。両張以上の嘴有るは、君主の政令に多く混乱あり。三箇以上の鼻子なるは、百姓が流散・逃亡す。三隻以上の耳朵なるは、あの処の百姓に死亡多し。一胎に両匹以上を生下するは、百姓が流亡す。三隻の脚のみなるは、この城邑の君主にまさに不祥あらんとす。両箇以上の生殖器有るは、兵事あるあらん。駒子の眼睛が腹下或いは身体の両旁に長ずるは、この城邑に兵事あり。眼睛が四肢上に長ずるは、この城邑の人は俘を為し囚と為るべし。眼睛が生殖器上に長ずるは、この城邑大いに衰弱し、君主は敗亡す。眼睛が背上に長ずるは、百姓が流亡し、号令を聴かざるなり。
馬生子,口在背,邑民大去其君;馬生子,口在腹,邑飢,五穀大貴;馬生子,耳鼻在四支者,兵作;馬生子,耳鼻在腹及背,臣謀叛上,敗績;馬生子,足在首,失邑君;馬生子,足在背,人主有行;馬生子,及在腹,主勞民飢;馬生子,尾在首足,谷不成;馬生子,尾在背,其君搖;馬生子,尾在腹,臣謀反;馬生子,無目,其邑君久疾;馬生子,無口鼻,其邑君無子;馬生子,無耳,主失位;馬生子,無足,主失位。”
馬の生ずる駒子は、嘴が背上に長ずるは、城邑の百姓が大批にその君主を離棄す。嘴が腹部に長ずるは、城邑が飢饉し、五穀の価格が暴漲す。耳朵・鼻子が四肢上に長ずるは、兵事が興起す。耳朵・鼻子が腹部と背上に長ずるは、臣下が君上に背叛するを図謀し、終に敗亡に致す。脚が頭上に長ずるは、この位の邑君を失掉せんとす。脚が背上に長ずるは、君主にまさに出行の事あらんとす。腹上に長ずるは、君主が労苦し百姓が飢餓するを主る。尾巴が頭上或いは脚上に長ずるは、五穀が熟せず。尾巴が背上に長ずるは、この君主が動揺・不安なり。尾巴が腹部に長ずるは、臣下が反叛を図謀す。駒子に眼睛なきは、この城邑の君主が久しく病みて愈えず。嘴と鼻子なきは、この城邑の君主に児子なし。耳朵なきは、君主まさに位を失わんとす。脚なきは、君主も同じく位を失わんとす。
《古今注》曰:“漢哀帝大初四年中,張幼卿有馬生子,一身三頭九口,各有言,民皆書之戶上。”《華陽國志》曰:“蜀李特將亡,馬生駒,一頭二身,著六牙,一牡。”《異苑》曰:“李勢時,有馬生駒,一頭二身六腳,身中有牝牡。”
崔豹《古今注》に記す:漢の哀帝の太初四年間、張幼卿の家に馬有りて駒子を生下し、一箇の身子に三箇の頭九張の嘴、毎張の嘴は皆能く説話し、百姓は皆その話を把って自家の門戸上に写した(以て禳解と為す)。《華陽国志》に記す:成漢の李特がまさに敗亡せんとする快きとき、馬有りて駒を生み、一箇の頭両箇の身子にして、六顆の牙を長じ、一匹の公駒なりき。《異苑》に記す:李勢が位に在りしとき、馬有りて駒を生み、一箇の頭両箇の身子六条の腿にして、同一の身上に雌雄の両性を兼有せり。
馬が人を生む
京房曰:“上無天子,諸侯相伐,民流,百姓勞,厥妖馬生人。馬生人,一身有兩頭以上,邑有反者,兵大作;馬生人,一首三顙以上,邑相撓亂;馬生人,一首兩顙以上,邑有大兵;馬生人,一身而兩首無目,一耳居顙以上,且有兵;馬生人,一身三首以上,三耳以上,無目,一耳居顙上,是謂不祥,天下有兵,民流亡;馬生人,一身兩首九口,鼻居項,天下大飢,民流亡;馬生人,一身兩首以上,無耳無口,二鼻以上,一鼻著項,一鼻著顙,天下有兵喪;
京房がいう:上に天子の統摂なく、諸侯が互相攻伐し、百姓が流散・労苦すれば、その妖異は即ち馬が人形を生下するなり。馬の生ずる人形が一箇の身子にして両箇以上の頭有るは、城邑の中に人有りて反叛し、兵事が大いに起る。一箇の頭にして三箇以上の額頭有るは、城邑の上下が互相扰乱す。一箇の頭両箇の額頭以上なるは、城邑に大いなる兵事あり。一箇の身子両箇の頭にして眼睛なく、一隻の耳朵が額上に長ずるは、まさに兵事あらんとす。一箇の身子三箇の頭以上・三隻の耳朵以上にして眼睛なく、一隻の耳朵が額上に長ずるは、これを不祥と呼び、天下に兵あり、百姓が流亡す。一箇の身子両箇の頭九張の嘴にして、鼻子が頸項上に長ずるは、天下大いに飢え、百姓が流亡す。一箇の身子両箇の頭以上にして、耳朵なく嘴なくして両箇以上の鼻子あり、一箇の鼻子は頸項に貼り、一箇は額頭に貼るは、天下に兵禍・喪乱あり。
馬生人,一身兩首,邑無主;馬生人,一身而兩面以上,其邑大不祥;馬生人,三首以上,邑爭凶;馬生人,一身三耳以上,其邑亂;馬生人,一首兩鼻以上,邑民貧;馬生人,有臂無首足,邑有兵,不勝,凶;馬生人,三臂以上,邑君有惡疾;馬生人,三足以上,其邑勞;馬生人,三腹以上,無足,邑有大喪;馬生人,三陰以上,臣謀其主;
馬の生ずる人形が一箇の身子両箇の頭なるは、城邑が主人を失去す。一箇の身子にして両張以上の臉有るは、この城邑大いに不祥なり。三箇以上の頭有るは、城邑が争奪に因りて凶に致す。一箇の身子にして三隻以上の耳朵有るは、この城邑が動乱す。一箇の頭にして両箇以上の鼻子有るは、城邑の百姓が貧困す。手臂有るも頭と脚なきは、城邑に兵事あり、打ち勝つ能わず、凶を主る。三条以上の手臂有るは、邑君に悪疾を害せん。三隻以上の脚有るは、この城邑が労苦・不安なり。三箇以上の肚腹有りて脚なきは、城邑に大喪あり。三箇以上の生殖器有るは、臣下がその君主を図謀す。
馬生人,首在腋下,主賊殺其臣;馬生人,首在足下,邑君私,社稷亡;馬生人,首在背,民大勞苦;馬生人,首在陰,其君亡地;馬生人,目在腋下,其君喪;馬生人,目在背,邑有大兵,流亡;馬生人,目在腹,若喉顙,人主有亡地;馬生人,目在足下,此謂下視,欲謀其上;馬生人,口在腹,邑有兵,民且飢;馬生人,口在背,邑有大事,民絕食;
馬の生ずる人形は、頭が腋下に長ずるは、君主まさにその臣子を残殺せんとす。頭が脚下に長ずるは、邑君が偏私・不公にして、社稷は因りて滅亡す。頭が背上に長ずるは、百姓が極めて労苦す。頭が下体に長ずるは、この君主まさに土地を喪失せんとす。眼睛が腋下に長ずるは、この君主に喪事あり。眼睛が背上に長ずるは、城邑に大いなる兵事あり、百姓が流亡す。眼睛が腹部に長じ、或いは咽喉・額頭上に長ずるは、君主まさに土地を失掉せんとす。眼睛が脚下に長ずるは、これを「下視」と呼び、下位に在る人がその君上を図謀せんと欲するを主る。嘴が腹部に長ずるは、城邑に兵事あり、百姓まさに飢餓せんとす。嘴が背上に長ずるは、城邑に大事あり、百姓は口粮を断絶す。
馬生人,鼻在腹下,主令不行;馬生人,鼻在足下,民相從哭;馬生人,鼻在腹下,其邑谷不成;馬生人,鼻在背,邑民勞;馬生人,鼻在陰,邑君鬼神不享;馬生人,耳在背,民不相從,邑有兵;馬生人,耳在腹,其邑弱主治不行;馬生人,耳在陰,賢者不上通;馬生人,腹在跨,其邑大飢,君亡地;馬生人,陰在上,其君無子;馬生人,陰在背腹,民飢,臣下大謀其主;馬生人,四支在首及項,其君失位;
馬の生ずる人形の鼻子が腹下に長ずるは、君主の号令が推行する能わざるなり。鼻子が脚下に長ずるは、百姓が相い継ぎて哭泣す。鼻子が腹下に長ずるは、この城邑は五穀が熟せず。鼻子が背上に長ずるは、城邑の百姓が労苦す。鼻子が下体に長ずるは、邑君が祭祀するに鬼神は来りて享用せず。耳朵が背上に長ずるは、百姓が互に服従せず、城邑に兵事あり。耳朵が腹部に長ずるは、この城邑の君は弱く、治理は推行する能わず。耳朵が下体に長ずるは、賢能の士は君主に上達する能わず。肚腹が胯上に長ずるは、この城邑大いに飢え、君主は土地を喪失す。生殖器が上身に長ずるは、この君主に児子なし。生殖器が背上・腹上に長ずるは、百姓が飢餓し、臣下が大いにその君主を図謀す。四肢が頭上と頸項上に長ずるは、この君主まさに位を失わんとす。
馬生人,無首,其君大疾;馬生人,無目,其國失令亡;馬生人,無口,天下大飢;馬生人,無鼻,其邑有喪;馬生人,無耳,其邑有鬼驚人主;馬生人,無手足,其邑不穀;馬生人,無臂,邑有兵,兵敗;馬生人,無腹,邑亡,有兵,民飢;馬生人,人身而畜面者,民飢,主易;馬生人,人面而六畜身者,是不祥,邑有兵;馬生人,人面野獸身者,邑有大客及兵;馬生人,人身而野獸面,天下有亡邑;馬生人,人面鳥身,是謂不祥,邑有兵;馬生人,人身而蟲蛇面者,邑且亡;馬生人,人面而蟲蛇身者,謂邑虛及有兵;馬生人,人身而蛇龍面,其邑有弱主不治;馬生人,人面而龍蛇身者,民流亡。”
馬の生ずる人形に頭なきは、この君主まさに大病を害せんとす。眼睛なきは、この国家は政令が失效し、終に覆亡に至る。嘴なきは、天下大いに飢荒を鬧す。鼻子なきは、この城邑に喪事あり。耳朵なきは、この城邑に鬼怪有りて君主を驚擾す。手脚なきは、この城邑は五穀を収めず。手臂なきは、城邑に兵事あり且つ敗仗を吃す。肚腹なきは、城邑が覆亡し、又兵事あり、百姓が飢餓す。人の身子にして家畜の面孔を長ずるは、百姓が飢餓し、君主が更換す。人の面孔にして六畜の身子を長ずるは、これは不祥の象にして、城邑に兵事あり。人の面孔にして野獣の身子なるは、城邑にまさに大批の外来の人と兵禍あらんとす。人の身子にして野獣の面孔なるは、天下に城邑の淪亡あり。人の面孔にして鳥の身子なるは、これを不祥と呼び、城邑に兵事あり。人の身子にして虫蛇の面孔なるは、城邑まさに覆亡せんとす。人の面孔にして虫蛇の身子なるは、城邑の空虚且つ兵事あるを主る。人の身子にして蛇龍の面孔なるは、この城邑の君主は孱弱にして、国事を治理する能わず。人の面孔にして龍蛇の身子なるは、百姓が流散・逃亡す。
《洪範五行傳》曰:“秦孝公二十一年,有馬生人。占曰:‘畜生非其類,子孫必有非其姓者。’後始皇蓋呂不韋子也。”《史記》曰:“秦孝公有馬生人,劉向以為皆馬禍也。孝公始用商君攻守之法,東侵諸侯,其象將以兵革抗極成功而還自害也。”
《洪範五行傳》に記す:秦の孝公二十一年、馬有りて人を生下せり。占辭にいう:牲畜の産下するは自らの同類に非ざれば、子孫の裏に必ず本姓ならざる人あるあらん。後に秦の始皇は大概呂不韋の児子なり。《史記》に記す:秦の孝公の時に馬の人を生ずる有り、劉向はこれらを皆「馬禍」に属すと認めた。孝公は始めて商鞅の攻守の法を採用し、東に向かって諸侯を侵奪した。この征象の説くは、秦国がまさに兵革の力を以て極に至るまで抗争し、功業を成就し、最後に反って自らその害を取るなり。
馬が六畜を生む
京房曰:“馬生六畜,君有大事。馬生羊,邑安。”又曰:“國無憂,民大安,馬生牛,人安,五穀蕃。馬生六畜,一首兩身,其君且逐;馬生六畜,二口以上,天下有作兵者;馬生六畜,二鼻以上,民大飢;馬生六畜,三耳三目以上,君失社稷亡;馬生六畜,無首,人君失位;馬生六畜,無四支,其君不安;馬生六畜,無目,臣塞君之善,上令不行;馬生六畜,無鼻口,天下有兵;馬生六畜,無耳,天子失忠臣;馬生六畜,無陰者,女主治。”
京房がいう:馬が別の六畜(牛・羊・猪・狗・鶏の類)を生下するは、君主にまさに大事あらんとす。馬が羊を生むは、城邑が安寧す。又いう:国家に憂患なく、百姓が十分に安定せば、即ち馬が牛を生むを出現し、人民の安居し五穀の繁盛するを主る。馬の生ずる六畜が一箇の頭両箇の身子なるは、この君主まさに国を逐出せらるべし。両張以上の嘴有るは、天下に人有りて兵を興し乱を作す。両箇以上の鼻子有るは、百姓が大いに飢荒を鬧す。三隻の耳朵・三隻の眼睛以上有るは、君主が社稷を喪失して敗亡す。頭なきは、君主まさに位を失わんとす。四肢なきは、この君主は安寧を得ず。眼睛なきは、臣下が君主の善政を壅塞し、上の号令が推行せざるを主る。鼻子と嘴なきは、天下に兵事あり。耳朵なきは、天子が忠直の臣を失去す。生殖器なきは、まさに女主に由りて国政を執掌せらるべし。
馬が野獣・飛鳥を生む 馬が魚虫を生む
京房曰:“馬生野獸,有他變,民盡為兵;馬生野獸,天下不通;馬生飛鳥,民不安,有反臣;馬生飛鳥,有他變形者,皆為兵喪。”又曰:“馬生魚,邑主憂。又云:大水至,谷不成。馬生蟲蛇及蜂蚊者,其邑流亡。”
京房がいう:馬が野獣を生下するは、別に別の変故有り、百姓まさに尽く徴発せられて兵と為るべし。馬が野獣を生むは、天下の道路が阻隔して通ぜず。馬が飛鳥を生むは、百姓が安せず、反叛の臣子あり。馬の生ずる飛鳥の形体がまた別に怪変あるは、皆兵禍と喪乱を主る。又いう:馬が魚を生むは、邑君に憂患あり。別の一説は大水まさに至らんとし、五穀が熟せざるをいう。馬が虫蛇および蜂・蚊の類を生出するは、この城邑の人まさに流散・逃亡せんとす。
馬が五穀・金銭・鉄石・土・草木を生む
京房曰:“馬生五穀,歲樂昌;馬生金錢,其邑臣有欲賊主者;馬生石,其邑強;馬生土,其邑增地;馬生草木,其君疾;馬生布帛者,政令且更。”
京房がいう:馬が五穀を生出するは、この一年が歓楽・昌盛す。馬が金銭を生出するは、この城邑の臣子の裏に君主を謀害せんと欲する人あり。馬が石頭を生出するは、この城邑が強盛す。馬が泥土を生出するは、この城邑まさに土地を増広せんとす。馬が草木を生出するは、この君主まさに病を生じんとす。馬が布帛を生出するは、政令まさに更改せんとす。
開元占經 卷一百十九
羊・犬・豕の占
羊の休征
玉羊現る
《瑞應圖》曰:“鐘律調,五音當節,則玉羊見。師曠時。”
《瑞応図》にいう:鐘律が調諧し、宮・商・角・徵・羽の五音が皆節度に合せば、玉羊という祥瑞は即ち出現す。これは晋国の楽師・師曠が世に在りしとき曽て有りし事である。
羊疫 夷羊 羊に両口 羊に六頭 羊に多角
《漢書五行志》曰:“視之不明,是謂不哲,時則有羊禍,多疫死,及為怪。”《國語》曰:“商之亡也,夷羊在牧。”(賈逵注曰:夷羊,神獸也。《貨食傳》曰:羊,揚也。許慎注《淮南子》曰:大羊也。牧,商牧野。)
《漢書・五行志》にいう:君主が事物を看るに明察ならざれば、これを「不哲」と謂い、於是即ち「羊禍」あり、羊が大批に疫を染みて死去し、および種種の怪異を出現す。《国語》にいう:商朝まさに亡びんとするとき、夷羊が牧野に出現した。原書小注に東漢の賈逵を引いていう:夷羊は神獣である。《貨殖傳》を引いていう:羊は即ち「揚」の義である。許慎の《淮南子》を注するを引いていう:夷羊は一種の大羊である。「牧」とは、商朝の牧野を指す。
《天鏡》曰:“羊一頭兩口,其年不熟,民飢亡。”《災異圖》曰:“王侯二千石不祗上命,克暴,百姓吁嗟,則一羊六頭。”《異苑》曰:“石虎建武初,秦州南安虞大柳摩獻六角及四角羊各十。山羌中有三角、五角羊,又旄牛有一角,皆其類也。江陵黃丘村有羊兩頭,一頭下,不能鳴。”
《天鏡》にいう:羊が一箇の頭両張の嘴なるは、この一年に庄稼が熟せず、百姓が飢餓・流亡す。《灾異図》にいう:諸侯王と二千石の郡守が朝廷の号令を敬奉せず、苛刻・残暴にして、百姓が嘆息・怨嗟すれば、即ち一隻の羊に六箇の頭を長ずるを出現す。《異苑》に記す:後趙の石虎の建武初年、秦州南安の人虞大柳摩が六角羊と四角羊を各々十隻進献せり。山中の羌人の彼の処に三隻角・五隻角の羊あり、又只だ一隻角を長じたる旄牛あり、皆同一類の怪異に属す。江陵の黄丘村に一隻の羊有りて両箇の頭を長じ、その中の一箇の頭は下に朝き、鳴叫する能わざりき。
羊に四耳 羊に足なし 羊が犬馬を生む
《河圖》曰:“黑羊四耳,目在腋下,名孽,見即有起王。”《天鏡》曰:“羊無後足,前吉後凶。”又曰:“羊無前足,先憂後悅。”《晉中興徵祥說》曰:“咸和元年,司徒府羊產無後足,其後蘇峻作逆。”《天鏡》曰:“羊生犬,國被外賊。”又曰:“羊生馬,天下將兵起。”
《河図》にいう:黒羊が四隻の耳朵を長じ、眼睛が腋下に生ずるは、この種の怪物の名を「孽」と曰い、それが一たび出現すれば即ち人有りて兵を起し王と称せん。《天鏡》にいう:羊に後脚なきは、先ず吉にして後に凶なるを主る。又いう:羊に前脚なきは、先ず憂愁して後に喜悦するを主る。《晋中興征祥説》に記す:咸和元年、司徒府の羊が後脚なき羊羔を産下せり、その後蘇峻は即ち起兵して叛乱した。《天鏡》にいう:羊が狗を生下するは、国家まさに外敵の侵犯を遭わんとす。又いう:羊が馬を生下するは、天下にまさに兵事の興起あらんとす。
犬の咎征
犬の狂疾
《洪範五行傳》曰:“犬禍者,西方也,以口守言之類也,言氣毀則犬傷疾矣,故曰犬傷禍也。旱歲,犬多狂死,或言氣亂則犬為怪,以期占之。”京房曰:“佞臣在側,則犬妖生,歲多蝗蟲。任佞則群物盡傷,犬妖則軍兵將至。”又曰:“犬能言,吉凶如其言。”又曰:“犬呼其主,主且亡。”《天鏡》曰:“犬作人音聲,世主移。”
《洪範五行傳》にいう:「犬禍」は西方に属し、狗は口を以て守衛するに因り、言語の一類と相応す。君上の言語の気が敗壞すれば、狗は即ち傷を受け病を生ず。故に犬傷の禍と呼ぶ。旱年に逢えば、狗は多半発狂して死す。或いはあるもの説くは言語の気が錯乱すれば、狗は即ち怪異と化す。これに拠りて応験の日期を推占すべし。京房がいう:奸佞の臣が君主の身辺に在れば、即ち犬妖を生出し、この一年に蝗虫多し。佞人を任用すれば、万物は皆損傷を受け、犬妖を出現すれば則ち軍隊の兵禍まさに至らんとす。又いう:狗が能く口を開きて人の話を説くは、吉凶は即ちその説く所に按じて応験す。又いう:狗がその主人を呼喚するは、主人まさに死去せんとす。《天鏡》にいう:狗が人の声音を発するは、当世の君主まさに更換せんとす。
犬が群れて嗥ゆ 犬が自ら子を食ふ 犬が反哺す 犬が子を負ふ 犬が鼠を嚙まず
《淮南子》曰:“夏桀在位,亂四時之政而萬物失所,犬群嗥,起淵。”《運斗樞》曰:“七政亂,主見禁,則天下犬嗥。”《天鏡》曰:“犬嗥街巷中,不出其年,有賊在邑;犬群嗥街巷中,不出其年,外內戒嚴,君臣交兵,從朝廷起;二犬嗥,眾犬和,兵必起;犬群嗥城池,不出三年三月,國內虛空;犬嗥屋上,國有喪;犬嗥門巷中,其邑不寧。”
《淮南子》にいう:夏桀が位に在り、四時の政令を扰乱し、万物は皆安処を失い、群狗は一斉に嗥叫し、妖気は深淵より興起した。緯書《春秋運斗樞》にいう:七政が紊乱し、君主が人に挟制・禁錮せられれば、天下の狗は皆嗥叫し起る。《天鏡》にいう:狗が街巷の中に嗥叫するは、この一年を出ずして、城邑の裏に盗賊を出現せん。群狗が街巷の中に嗥叫するは、この一年を出ずして、内外が戒厳し、君臣が相い動兵し、禍事は朝廷の内部より発起す。両隻の狗が嗥叫し、衆狗が跟随して応和すれば、必定兵事を興起す。群狗が城池に対して嗥叫するは、三年零三箇月を出ずして、国内は空虚・凋敝す。狗が屋頂上に嗥叫するは、国家に喪あり。狗が門巷の中に嗥叫するは、この城邑は安寧を得ざるなり。
京房曰:“犬晨夜嗥堂室上,家且有喪,邑亦然。”《天鏡》曰:“犬群嗥,暮嗥室中,男若女必喜;朝嗥室中,長女死。”《墨子》曰:“三苗大亂,天命傾覆,則犬嗥於市中。”《天鏡》曰:“犬逆吠,其主必遠行,若國君遠征,傷將亦傷兵。”《京房易傳》云:“犬群嗥,國將亡。”
京房がいう:狗が清晨或いは深夜に堂屋に対して嗥叫するは、この家にまさに喪事あらんとし、一城の内も亦同じ。《天鏡》にいう:群狗が嗥叫するに、若し傍晚に屋中に於て叫ばば、家裏の男子或いは女子に必ず喜事あり。若し清晨に屋中に於て叫ばば、長女まさに死せん。《墨子》にいう:三苗が大いに乱れ、天命まさに傾覆せんとするとき、狗は即ち市集の中に嗥叫した。《天鏡》にいう:狗が迎面して倒れて人を吠ゆるは、その主人は必ず遠行せんとす。若し是れ国君の家の狗なれば、則ち国君の遠征し、将領が傷を受け、士卒もまた傷を受くるを主る。《京房易傳》にいう:群狗が一斉に嗥叫するは、国家まさに滅亡せんとす。
《天鏡》曰:“犬自食子,國無盜賊。”又曰:“犬子初生,反哺其母,國有義。”又曰:“犬負其子走,來入城池中,其國不征伐,鄰國歸;犬負其子入巷,民去其鄉。”京房曰:“犬無故皆見鼠不動,邑且有賊臣,公不禁下。”
《天鏡》にいう:母狗が自ら亲生の小狗を吃掉するは、国中に反って盗賊なからん。又いう:小狗が剛に出生して反ってその母を哺養するは、国中に節義の風あり。又いう:狗がその小狗を背負して奔跑し、城池の中に進入するは、この国家は必ずしも兵を用いて征伐せずとも、隣国は自ら来り帰附せん。狗が小狗を背負して里巷に進入するは、百姓が自らの郷土を離れん。《京房》がいう:一群の狗が故なく老鼠を見て皆動かざるは、城邑に人を害する奸臣を出現し、而上に在る公卿は下属を約束する能わざるを主る。
犬が宮門に聚る 犬が水中に浴す 犬が地中より出づ
京氏曰:“犬死,無故當邑門及宮門,聚如尸,皆大凶。”又曰:“犬無故相從浴水中,兵大作。”又曰:“犬自地中出,邑大水,君且貧。”《晉書徵祥說》曰:“興平二年,吳郡府舍地中得犬子二頭,一雄一雌,太守張懋聞齋內床下犬子聲,地自坼,見有二犬,取而養之,皆成。尋而懋為洗克所害。”(注云:《夏鼎志》曰:掘地而得狗,名曰假。《尸子》曰:地中有犬,名地狼也。)
京房がいう:狗が故なく城門口と宮門口に死して、堆聚すること陳尸の如きは、皆大凶なり。又いう:狗が故なく成群して相い随い水裏に到りて洗浴するは、兵事が大いに起る。又いう:狗が地下より鑽出するは、城邑まさに大水を発せんとし、君主まさに窮困に陷入せんとす。《晋書征祥説》に記す:興平二年、呉郡の官署・房舎の地下に両隻の小狗を得、一雄一雌なりき。太守の張懋が書斎の内の床下に小狗の叫声あるを聴き、地面が自行して裂开し、見れば両隻の狗有りて、取り来りて飼養し、皆養い大きくせり。没だ久しからずして張懋は即ち洗克に殺害せられた。原書小注に《夏鼎志》を引いていう:地を挖りて狗を得るは、名を「假」と曰う。《尸子》を引いていう:地下に狗有るは、名を「地狼」と曰う。
又曰:“晉孝武帝大元中,廬江灊縣何旭家忽聞地中有犬子聲,即於聲處掘之,見一狗母,狀甚贏瘦,走入菰中,不知所在。視其處,有犬子二頭,一雄一雌,取而養之,雌死雄活。及長,為犬善噬野獸。其後,地裡中為蠻所沒。安帝隆安中,輔國將軍孫無終家既陽中,地中聞犬子聲,尋穴地有坼,犬子皆白色,一雄一雌,取而養之,皆死。後無終為桓玄所誅。”
《晋書征祥説》がまた記す:晋の孝武帝の太元年間、廬江郡の灊県の何旭の家に忽然として地下に小狗の叫声あるを聴き、即ち声の出る処に就きて挖掘すれば、一隻の母狗を見、その様子は十分に瘦弱にして、茭白の叢裏に跑進して去向を知らざりき。再び原処を看るに、両隻の小狗あり、一雄一雌にして、取り来りて飼養すれば、母は死に、公は活下来り、長大して後に野獣を撲咬するに善き好狗と成れり。後にあの一帯の地方は蛮人に占據せられた。晋の安帝の隆安年間、輔国将軍の孫無終の家が既陽に在り、地下に小狗の叫声あるを聴き、随即地を掘れば、地面は裂开し、小狗は皆白色にして、一雄一雌、取り来りて飼養すれば、皆死せり。後に孫無終は桓玄に殺害せられた。
犬が冠を戴く
京房曰:“君不正,臣欲篡,厥妖狗冠出朝門。”《漢書五行志》曰:“昌邑王賀為王時,見白犬冠方出,冠而無尾,此服妖,示犬禍。龔遂曰:‘天戒在君也。’賀既廢死,不得置後,犬無尾征也。”《續漢書五行志》曰:“熹平中,省內冠狗帶綬,以為娛樂,有一狗突出,走入司徒府門,或見之者,莫不驚怪。靈帝寵用便嬖西園賣官,實狗而冠也。”
京房がいう:君主の行事が正ならざれば、臣下は簒奪せんと欲し、その妖異は即ち帽子を戴いた狗が朝門の裏より走り出づるなり。《漢書・五行志》に記す:昌邑王劉賀が諸侯王を做るとき、一隻の白狗が方帽子を戴いて出るを見、帽子を戴いて尾巴なかりき。これは「服妖」に属し、犬禍を預示す。龔遂がいう:これは上天の君王に対する告誡である。劉賀は後に廃黜せられて死し、後嗣を立つる能わざりき。正にあの隻の狗の尾巴なきの征兆に応ぜり。《續漢書・五行志》に記す:漢の霊帝の熹平年間、宮禁の内に狗に帽子を戴かせ、印綬を繋いで、以て楽しみを取ると為せり。一隻の狗有りて突然に窜出し、司徒府の大門に跑進し、見る人は無きも驚駭・詫異せざらんとするなし。霊帝は近幸の小人を寵信し、西園に於て公開に官を売り、実際に正に「狗にして冠を戴く」の写した照である。
犬に角生ず 犬に両首あり 犬が宮室に入り淫連す 犬と豕と交る
《天鏡》曰:“犬生角,世主增地。”京房曰:“犬生角,必人主失政,小人進用。”《漢書五行志》曰:“文帝后元五年,齊城門外有狗生角,齊悼惠王亡後,帝分齊地,立其庶子七人皆為王,兄弟並強,有亢陽心,故犬禍見。犬,守衛;角,兵家;在前,向上也。犬不當生角,猶諸侯不當舉兵向京師也。”
《天鏡》にいう:狗が角を生出するは、当世の君主まさに土地を増広せんとす。京房がいう:狗に角を生ずるは、必定君主の政事が失当にして、小人が進用せられたるなり。《漢書・五行志》に記す:漢の文帝の後元五年、斉国の城門外に狗有りて角を生出せり。この前に斉の悼惠王は已に死し、文帝は斉地を分割し、その七人の庶子を立てて皆諸侯王を做らしめ、兄弟は同時に強盛にして、驕亢・僭越の心を懐きたれば、故に犬禍は出現す。狗とは、守衛を主る。角とは、兵家の象に属す。角が頭前に生ずるは、上に向かって衝犯するの様子である。狗は本より角を生ずべからず、正に諸侯が応に兵を挙げて京師に指向すべからざるが如し。
《運斗樞》曰:“狗兩首,人行銜刀。”宋均注云:“狗為人吠守,而設兩頭,且主行銜刀兵,是宿衛之臣欲判自作主而妖也。”《地鏡》曰:“犬入室中淫連,君亡之象。”《呂氏春秋》曰:“亂國之妖,犬彘乃連。”注云:“案《漢書五行志》曰:景帝三年,邯鄲狗與彘交,悖亂之氣,近犬豕禍也。比時趙王遂悖亂,與吳楚謀為逆,遣使匈奴求助,卒伏誅。”京房曰:“人君夫婦不嚴,厥妖狗與豕交,茲謂反德,國有兵革。”
《春秋運斗樞》にいう:狗に両箇の頭を長ずるは、人たちの出行に皆口に刀刃を銜えて防身するを主る。宋均が注解していう:狗は本より人に替わりて吠えて門を守るにして、今却って両箇の頭を生出し、而且主として出行するに刀兵を銜帯するは、これは宿衛の臣が君上に背离し、自ら主を為すを欲するの妖異である。《地鏡》にいう:狗が屋裏に跑進して交尾して相連なるは、君主が敗亡するの征象である。《吕氏春秋》にいう:乱国の妖異は、即ち狗と猪と交配するのこの一類あり。原注にいう:《漢書・五行志》の記載を査するに、漢の景帝三年、邯鄲に狗と猪と交配する有り、これは悖逆・錯乱の気の生ずる所にして、犬豕の禍に近し。当時趙王劉遂は悖逆・昏乱にして、呉・楚と合謀して反叛し、還りて使者を派して匈奴に援を求め、最終に誅せられた。京房がいう:君主と后妃との間に荘重・自持せざれば、その妖異は即ち狗と猪と交配するなり、これを「反徳」と呼び、国家に兵革の禍あるあらん。
犬が子を生じて形異なり
京氏曰:“犬生子,三耳以上,邑且有亂臣;犬子生,一目,邑有臣事二主者;犬生子,三目以上,邑有大臣謀主;犬生子,有二口,邑有憂;犬生子,鼻一孔,邑有兵;犬生子,有二鼻,邑且有兵;犬生子,三足以上,其邑主有公侯;犬生子,有五足以上,其邑且大卒行;犬生子,有二陰,君多子;犬生子,有二尾以上,邑有徙亡;
京房がいう:狗の生ずる崽子に三隻以上の耳朵有るは、城邑に乱を作す臣子を出現せん。狗崽に只だ一隻の眼睛なるは、城邑の裏に臣子有りて同時に両人の主人に事奉す。狗崽に三隻以上の眼睛有るは、城邑に大臣有りて君主を図謀す。狗崽に両張の嘴有るは、城邑に憂患あり。狗崽の鼻子が一箇の孔のみなるは、城邑に兵事あり。狗崽に両箇の鼻子有るは、城邑にまさに兵事あらんとす。狗崽に三隻以上の脚有るは、この城邑の主人まさに公侯を封ぜられんとす。狗崽に五隻以上の脚有るは、この城邑にまさに大批の士卒の出征あらんとす。狗崽に両箇の生殖器有るは、君主の子嗣の衆多するを主る。狗崽に两条以上の尾巴有るは、城邑に遷徙・流亡の事あり。
犬生子,口在背,邑有反臣;犬生子,口在陰,邑臣強,主命弱,令不行;犬生子,口在四足,臣殺其君;犬生子,口在腹下及腹旁,邑大憂;犬生子,口在腹,民大飢;犬生子,口在四支,其邑君亡;犬生子,有鼻在四支,邑有兵;犬生子,足在腹,邑有徙亡;犬生子,足在背,邑有大咎;犬生子,足在首,邑君且有大仇;犬生子,尾在腹,邑有大臣殺君;犬生子,尾在背四支,邑有三主爭者;犬生子,無尾,邑大臣殺君;犬生子,無目,邑主病;犬生子,無口鼻,民飢;犬生子,無足,谷不成;犬生子,無尾,邑民貧。”
狗の生ずる崽子は、嘴が背上に長ずるは、城邑に反叛の臣子あり。嘴が下体に長ずるは、城邑の臣下が強横にして、君主の命令は軟弱にして、政令は推行し下らざるなり。嘴が四隻の脚上に長ずるは、臣子はその君主を弑殺せんとす。嘴が腹下或いは腹部の両側に長ずるは、城邑に大いなる憂患あり。嘴が腹部に長ずるは、百姓まさに大いなる飢荒を鬧さんとす。嘴が四肢上に長ずるは、この城邑の君主まさに死亡せんとす。鼻子が四肢上に長ずるは、城邑に兵事あり。脚が腹部に長ずるは、城邑の人まさに遷徙・流亡せんとす。脚が背上に長ずるは、城邑に大いなる灾咎あり。脚が頭上に長ずるは、この位の邑君まさに大いなる仇を結ばんとす。尾巴が腹部に長ずるは、城邑に大臣有りて国君を弑殺す。尾巴が背上或いは四肢上に長ずるは、城邑にまさに三箇の主人有りて互相争奪せんとす。狗崽に尾巴なきは、城邑の大臣まさに君を弑せんとす。眼睛なきは、邑君まさに病を生じんとす。嘴と鼻子なきは、百姓が飢餓す。脚なきは、五穀の成熟する能わざるなり。尾巴なきは、城邑の百姓が貧困す。
犬が人を生む
京氏曰:“犬生人,其邑君失位,兵行;犬生子,人形不具,其邑有兵;犬生子,人之形而物各不居其所者,主亡;犬生人之形而六畜身,主亡,大有咎;犬生人之形而飛鳥身,邑大水;犬生人之形而野獸身,此有亡主;犬生人之形而魚身者,邑大水;犬生人之形而鼠形者,其邑虛。”
京房がいう:狗が人形の怪胎を生下するは、この城邑の君主まさに位を失い、還りて兵を用いんとす。狗の生ずる崽子が人形を作すも肢体が全からざるは、この城邑に兵事あり。狗の生ずる崽子が人の形状にして各処の器官が皆応るべき位置上に在らざるは、君主が敗亡す。狗の生ずるは人の形状にして六畜の身子なるは、君主が敗亡し、大いなる灾咎あり。人の形状にして飛鳥の身子なるは、城邑に大水を発す。人の形状にして野獣の身子なるは、国中に君主の亡故する有るを主る。人の形状にして魚の身子なるは、城邑に大水を発す。人の形状にして老鼠の形体なるは、この城邑まさに空虚にして人なからんとす。
犬が六畜を生む 犬が鼠・魚を生む 犬が野獣を生む 犬が飛鳥・蜂・蛇を生む
京氏曰:“犬生六畜,其邑易命,有大事;犬生六畜,一首二身,邑有廢;犬生六畜,兩身,邑且二君流;犬生六畜,兩口以上,邑大臣亂;犬生六畜,三鼻,其邑有亂臣;犬生六畜,有人形者,邑易主;犬生六畜,無首,其邑有大事;犬生六畜,無耳,邑不用事;犬生六畜,無目,其邑兵行;犬生六畜,無口鼻,民流亡,作兵;犬生六畜,無四支,邑不治,有兵;犬生六畜,無陰,主且暴死;犬生豕,歲大熟,民樂。”《天鏡》曰:“狗生豕,吉,不出三年,國安樂。”
京房がいう:狗が別の六畜を生下するは、この城邑まさに天命を改換し、大事の発生せんとす。生下したる六畜が一箇の頭両箇の身子なるは、城邑にまさに廃立の事あらんとす。両箇の身子を生下するは、城邑にまさに両位の君主の出奔・流亡あらんとす。両張以上の嘴有るは、城邑の大臣が乱を作す。三箇の鼻子有るは、この城邑に乱を作す臣子あり。人形を帯びるは、城邑まさに主人を更換せんとす。頭なきは、この城邑に大事あり。耳朵なきは、城邑の政事に主持する人なし。眼睛なきは、この城邑まさに兵を出さんとす。嘴と鼻子なきは、百姓が流散・逃亡し、且つ戦事を興起す。四肢なきは、城邑は治理すること能わざるにして、又兵事あり。生殖器なきは、君主まさに暴死せんとす。狗が猪を生むは、この一年に五穀大いに熟し、百姓は安楽す。《天鏡》にいう:狗が猪を生むは吉兆にして、三年を出ずして、国家は安寧・快楽す。
京氏曰:“犬生子為鼠,歲虛,民流亡;犬生子為魚,邑有大水。”《地鏡》曰:“犬生野獸,大夫有外謀,不出三年,君且亡國。”京氏曰:“犬生野獸,邑有大咎;犬生野獸人形者,邑有大兵。”京房曰:“犬生飛鳥,雖有人形及不具,皆為大兵及大水;犬生子為蜂,天下更令;犬生子為蜂蛇,其邑民人流。”
京房がいう:狗の生下したる崽子が老鼠なるは、年成が空虚にして、百姓が流亡す。生下したる崽子が魚なるは、城邑に大水あり。《地鏡》にいう:狗が野獣を生下するは、大夫の中に人有りて外に於て勾結して図謀し、三年を出ずして、君主まさに国を亡ぼさんとす。京房がいう:狗が野獣を生むは、城邑に大いなる灾咎あり。狗の生ずる野獣が人形を帯びるは、城邑に大いなる兵事あり。京房がまたいう:狗が飛鳥を生むは、人形を帯びると否と、肢体の斉全なると否とを論ぜず、皆大いなる兵事と大水とを主る。狗の生下したる崽子が蜂なるは、天下まさに政令を更改せんとす。狗の生ずる崽子が蜂なり、蛇なりせば、この城邑の百姓まさに流散せんとす。
犬が宮室・道路に矢溺す 犬が金石・雑物を矢る
京氏曰:“犬矢宮室中殿堂上,三日以上,邑空虛;犬矢王門中,其主有喜;犬矢王門外,邑主有憂;犬矢邑社,不及大神,五日以上,邑亡;犬皆群溺於邑門外及內,兵作,人家亦然;犬無故大道矢而行,邑大凶;群犬無故皆矢大道中,兵行;犬矢人民床蓆上,其殃大;犬矢井中,家虛,邑亦然;犬無故溺人,其人不出三歲,亡。”
京房がいう:狗が宮室の殿堂上に屎を拉し、連続して三日以上なるは、城邑まさに空虚せんとす。狗が王宮の門内に屎を拉するは、この家の主人に喜事あり。王宮の門外に屎を拉するは、城邑の主に憂患あり。狗が城邑の社壇上に屎を拉し、穢気は尚未大神に触れず、連続して五日以上なるは、城邑まさに覆亡せんとす。群狗が皆城門外或いは城門内に尿を撒くは、兵事が興起し、尋常の人家の門前も此の如きは亦同じ。狗が故なく辺り行走し辺り大路上に屎を拉するは、城邑大凶なり。群狗が故なく皆大路の中間に屎を拉するは、まさに軍隊の出動あらんとす。狗が人の床席上に屎を拉するは、この家の灾殃は甚だ大なり。狗が井裏に屎を拉するは、この家が敗落・空虚し、一城も亦是の如し。狗が故なく人に向かって尿を撒くは、この人は三年を出ずしてまさに死せんとす。
又曰:“犬矢石,其邑臣強君弱;犬矢金鐵,邑兵大作;犬矢土,邑愈墜;(墜地也)犬矢五穀,邑昌,歲成;犬矢布帛,邑有暴政;犬矢草木,邑人有喪。”
京房がまたいう:狗が石頭を拉出するは、この城邑は臣強く君弱し。金鉄を拉出するは、城邑の兵事が大いに起る。泥土を拉出するは、この城邑の土地は日に益々増広せん(原書小注:「墜」は即ち「地」の義)。五穀を拉出するは、城邑が昌盛し、年成が豊収す。布帛を拉出するは、城邑に暴虐の政令あり。草木を拉出するは、城邑の中の人にまさに喪事あらんとす。
豕の咎征
豕が能く言ふ 豕が自ら子を食ふ 豕が自ら尾を食ふ
京氏曰:“豕能言,吉凶如其言。豕晝同時俱鳴,此謂哭主,歲不成。”又曰:“豕自食其子,家破。”又曰:“豕反自食其尾,家富,歲且凶。”
京房がいう:猪が能く口を開きて人の話を説くは、吉凶は即ちその説く所に照らして応験す。白日に群猪が同一の時刻に一斉に嚎叫するは、これを「哭主」と呼び、この一年に庄稼の熟せざるを主る。又いう:母猪が自ら亲生の猪崽を吃掉するは、この家まさに破败せんとす。又いう:猪が反って自らの尾巴を啃食するは、この家は富起来るも、年成はまさに凶荒あらんとす。
豕が屋に登り宮に入る
京氏曰:“豕之屋上,其邑得賢士;豕入君室中,其社稷邑君且亡。”《漢書五行志》曰:“昭帝元鳳元年,燕王宮永巷中豕出圈,壞都灶,銜鬴六七枚置殿前。劉向以為,灶者,生養之本,豕陳鬴於庭,灶將不用,宮室廢矣。燕王不改,卒伏誅。”《地鏡》曰:“野豬入宮室中,其軍將圍,小人失宅。”京氏曰:“豕無故入君室屋,且有女憂,為亂。”又曰:“赤彘見於國,不出三年,必有大禍,野人為政。”
京房がいう:猪が屋頂上に跑上るは、この城邑まさに賢士を獲得せんとす。猪が君主の居室に闖入するは、此の処の社稷と邑君と皆まさに敗亡せんとす。《漢書・五行志》に記す:漢の昭帝の元鳳元年、燕王の宮中の永巷裏の猪が圏欄を衝出し、公用の大灶を毀壞し、還りて六七口の鍋を銜えて殿前に放到せり。劉向が以為するに、灶は生養の本にして、猪が鍋を庭中に陳列するは、灶まさに用いられざり、宮室まさに廃棄せんとするの預兆である。燕王は悔改するを肯ぜず、最終に誅せられた。《地鏡》にいう:野猪が宮室の中に闖入するは、軍隊まさに囲困せられ、小民は居所を失わんとするを主る。京房がいう:猪が故なく君主の屋室に闖入するは、まさに女子に由りて起る憂患有りて、禍乱を醸成せんとす。又いう:紅色の猪が国中に出現するは、三年を出ずして、必定に大禍有りて、まさに草野の人に由りて政権を執掌せらるべし。
豕が子を生じて形異なり
《災異圖》曰:“王侯、刺史、二千石令長不祗上命,則豕一頭兩身六腳。”《古今注》曰:“哀帝大初三年,長安彘生兩頭三目,一目在項中。”京氏曰:“豕生子,有角,其邑有福祿;豕生子,有二口以上,其邑且安;豕生子,鼻一穴,郡有九侯;豕生子,三足,其歲不熟;豕生子,五足以上,其邑有大咎,兵;豕生子,一陰,其邑分,無後;豕生子,目在四支,其邑兵行,得地;豕生子,目在腹下及旁,邑有大咎;
《灾異図》にいう:諸侯王・州刺史・二千石の郡守と県令長が朝廷の号令を敬奉せざれば、即ち一箇の頭両箇の身子六条の腿の猪を出現す。崔豹《古今注》に記す:漢の哀帝の太初三年、長安に母猪有りて両箇の頭三隻の眼睛の小猪を生下し、その中の一隻の眼睛は頸項の中間に長ぜり。京房がいう:猪の生ずる崽子に角を長ずるは、この城邑に福禄あり。崽子に両張以上の嘴有るは、この城邑まさに安寧を得んとす。崽子の鼻子が一箇の孔のみなるは、本郡まさに九人の侯を封ぜられる人を出さんとす。崽子に只だ三隻の脚なるは、この一年に庄稼が熟せず。崽子に五隻以上の脚有るは、この城邑に大いなる灾咎と兵禍あり。崽子に只だ一箇の生殖器なるは、この城邑まさに分裂し、君主に後嗣なからんとす。崽子の眼睛が四肢上に長ずるは、この城邑まさに兵を出さんとし、且つ土地を得るべし。眼睛が腹下或いは身体の両旁に長ずるは、城邑に大いなる灾咎あり。
豕生子,口在背,邑主弱,群臣奪,王令不行;豕生子,口在腹,其邑飢;豕生子,口在四肢,民飢,兵作,邑亡;豕生子,口在陰,邑有大謀;豕生子,耳鼻在腹及背,臣謀其主;豕生子,耳鼻在四肢及在首上,兵作邑中;豕生子,足在首上,亡社稷;豕生子,足在其腹,邑有大事;豕生子,足在背,其民勞於兵;豕生子,尾在腹及首,邑有大事;豕生子,無口,其邑亂;豕生子,無目,其邑臣奪主令;豕生子,無尾,其邑兵弱;豕生子,無尾有羽,邑亡。”
猪の生ずる崽子は、嘴が背上に長ずるは、城邑の主は孱弱にして、群臣が権を奪い、王命は推行する能わざるなり。嘴が腹部に長ずるは、この城邑に飢荒を鬧す。嘴が四肢上に長ずるは、百姓が飢餓し、兵事が興起し、城邑は因りて覆亡す。嘴が下体に長ずるは、城邑の中に大いなる陰謀あり。耳朵・鼻子が腹部と背上に長ずるは、臣下がその君主を図謀す。耳朵・鼻子が四肢上或いは頭頂上に長ずるは、城邑の中に兵事を興起す。脚が頭頂上に長ずるは、社稷まさに滅亡せんとす。脚が腹部に長ずるは、城邑に大事あり。脚が背上に長ずるは、あの処の百姓は兵役に苦しまるべし。尾巴が腹部或いは頭上に長ずるは、城邑にまさに大事の発生あらんとす。猪崽に嘴なきは、この城邑が動乱す。眼睛なきは、この城邑の臣下が君主の号令を奪取す。尾巴なきは、この城邑の兵力が衰弱す。尾巴なきにして羽毛を生ずるは、城邑が覆亡す。
